(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080280
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】蓋体の取り付け構造及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20240606BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240606BHJP
【FI】
H05K5/03 D
H01M50/213
H01M50/202 501C
H01M50/271 S
H01M50/271 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193337
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴史
【テーマコード(参考)】
4E360
5H040
【Fターム(参考)】
4E360BA08
4E360BB22
4E360BC06
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA18
4E360EC04
4E360EC13
4E360ED12
4E360ED14
4E360ED23
4E360EE02
4E360FA02
4E360FA12
4E360GA07
4E360GA52
4E360GB22
4E360GC08
5H040AA01
5H040AA07
5H040AS04
5H040AS11
5H040AS15
5H040AS22
5H040AT01
5H040AY02
5H040CC02
5H040CC17
5H040CC23
5H040CC30
5H040CC36
(57)【要約】
【課題】蓋体が外れにくく省スペースな蓋体の取り付け構造を提供する。
【解決手段】蓋体の取り付け構造(TK)は、凹部(71)を有する筐体(1)と、筐体(1)における凹部(71)の全体を含み凹部(71)よりも広い範囲を覆う蓋体(3)と、を備える。蓋体(3)は、筐体(1)に対し第1の方向にスライドした際に筐体(1)に設けられた複数の係合部(KB1~KB4)に係合可能な複数の係合爪部(34,35)を有し、複数の係合部(KB1~KB4)は、凹部(71)における第1の方向と直交する第2の方向に対向する一対の縁部それぞれの近傍に配置されている。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する筐体と、
前記筐体における前記凹部の全体を含み前記凹部よりも広い範囲を覆う蓋体と、を備え、
前記蓋体は、前記筐体に対し第1の方向にスライドした際に前記筐体に設けられた複数の係合部に係合可能な複数の係合爪部を有し、
前記複数の係合部は、前記凹部における前記第1の方向と直交する第2の方向に対向する一対の縁部それぞれの近傍に配置されている蓋体の取り付け構造。
【請求項2】
前記範囲は、前記第2の方向において前記凹部よりも広い請求項1記載の蓋体の取り付け構造。
【請求項3】
前記複数の係合部は、前記凹部における前記一対の縁部それぞれにおいて前記第1の方向に離隔して複数設けられている請求項1記載の蓋体の取り付け構造。
【請求項4】
前記凹部は乾電池を収容する凹部であり、
前記蓋体には、前記筐体に取り付けられた状態で前記凹部の側となる面に圧縮弾性を有するクッション部材が取り付けられており、前記凹部に前記乾電池が収容され前記筐体に前記蓋体が取り付けられた状態で、前記クッション部材が前記乾電池を押し付ける請求項1~3のいずれか1項に記載の蓋体の取り付け構造。
【請求項5】
請求項4記載の蓋体の取り付け構造を備え、
前記凹部に収容された前記乾電池を電源として動作する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体の取り付け構造及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、レールを有するケースと、レールに係合する凸部を有する電池蓋(カバー)とを備え、凸部をレールに係合させてスライドさせることで、電池蓋によって電池を収容する電池収容部を塞ぐ構造のバッテリーケースが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器の筐体に設けられた電池収容部を覆って塞ぐ蓋体は、電池収容部に収容した電池が動かないように押さえること、電子機器が床などに落下した場合において、収容した電池に押されて電池蓋が外れにくいこと、蓋体を樹脂の成形で形成した場合に、成形に起因する変形などが生じても不具合なく筐体に装着できること、などの条件を満たすことが求められる。
【0005】
この条件を満たす蓋体の取り付け構造として、特許文献1に記載されたようなレールと凸部とのスライド係合構造は好適である。
しかしながら、レールは、係合距離を確保するためにある程度の長さが必要で、電子機器が小型になるほど、その筐体にレールを設けるスペースを確保しにくい、或いはレールを設けることで電子機器のデザイン上の制約が大きくなる、などの不具合が生じる。そのため、蓋体の取り付け構造は、蓋体が外れにくく、できるだけ少ない空間で形成可能な省スペース構造であることが望まれる。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、蓋体が外れにくく省スペースな蓋体の取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)、2)の構成を有する。
1) 凹部を有する筐体と、
前記筐体における前記凹部の全体を含み前記凹部よりも広い範囲を覆う蓋体と、を備え、
前記蓋体は、前記筐体に対し第1の方向にスライドした際に前記筐体に設けられた複数の係合部に係合可能な複数の係合爪部を有し、
前記複数の係合部は、前記凹部における前記第1の方向と直交する第2の方向に対向する一対の縁部それぞれの近傍に配置されている蓋体の取り付け構造である。
2) 1)において、前記凹部は乾電池を収容する凹部であり、前記蓋体には、前記筐体に取り付けられた状態で前記凹部の側となる面に圧縮弾性を有するクッション部材が取り付けられており、前記凹部に前記乾電池が収容され前記筐体に前記蓋体が取り付けられた状態で、前記クッション部材が前記乾電池を押し付ける蓋体の取り付け構造を備え、前記凹部に収容された前記乾電池を電源として動作する電子機器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、蓋体が外れにくく省スペースである、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一態様に係る電子機器91と、電池蓋3の着脱を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、電子機器91の電池室7に電池を収容した状態を示す斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、電子機器91の筐体1に電池蓋3を取り付ける手順を説明するための第1の断面図である。
【
図4B】
図4Bは、電子機器91の筐体1に電池蓋3を取り付ける手順を説明するための第2の断面図である。
【
図5A】
図5Aは、電池蓋3の取り付け構造TKを説明するための模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る蓋体の取り付け構造TK及び電子機器91を、
図1~
図5Bを参照して説明する。説明の便宜のため、上下左右前後の各方向を
図1に示される矢印の方向で規定する。
【0011】
図1は、本発明の一態様に係る電子機器91と、電池蓋3の着脱を模式的に示す斜視図である。
図2は、電子機器91の電池室7に電池を収容した状態を示す斜視図である。
図3は、電池蓋3を示す斜視図である。
図4Aは、電子機器91の筐体1に電池蓋3を取り付ける手順を説明するための第1の断面図である。
図4Bは、電子機器91の筐体1に電池蓋3を取り付ける手順を説明するための第2の断面図である。
図5Aは、電池蓋3の取り付け構造TKを説明するための模式的平面図である。
図5Bは、
図5AにおけるS5B-S5B位置での断面図である。
【0012】
図1に示される電子機器91は、例えば受信機である。電子機器91は、箱状の筐体1と、筐体1の前壁部1aにおいて前方に突出するように取り付けられた音量調整のためのノブ2とを有する。
前壁部1aの右下の部分は、
図2に示されるように、凹んだ収容凹部71を有する電池室7とされている。収容凹部71には、乾電池81が、横向きの姿勢で上下方向に並べて2本収容される。乾電池81は、例えば単一形乾電池である。
電子機器91は、電池室7に収容された乾電池を電源として動作する。
【0013】
図1に示されるように、電池室7は、電池蓋である蓋体3によって塞ぐことができる。以下、蓋体3を電池蓋3として説明する。
電池蓋3は、後述の取り付け構造TKによって、筐体1に対し前方から宛がった後、上下方向(第1の方向)にスライドさせる(矢印DR1参照)ことで、取り付け可能となっている。また、電池蓋3は、逆の移動で取り外し可能である。筐体1及び電池蓋3は、樹脂の射出成形によって形成されている。
【0014】
次に、電池室7の構造を
図2を主に参照して説明する。
電池室7は、左側から、左棚部72,収容凹部71,及び右棚部75を有する。
【0015】
収容凹部71は、前壁部1aにおいて前面視で概ね矩形となり後方に向け抉れた部位である。収容凹部71の内部には、単一形の乾電池81が左右方向を両極とする姿勢で上下方向に並列配置して収容される。収容凹部71の左右壁部には、乾電池81の電極に接触する端子82,83が配置されている。
【0016】
左棚部72は、収容凹部71の左端部に形成された、前壁部1aの表面から概ね電池蓋3の厚さ分だけ後方側に落ち込んだ棚状部位である。左棚部72は、左右方向に細く、上下方向は収容凹部71の高さ全体に亘って形成されている。
左棚部72には、上下方向に離隔して一対の係合部が同様形状で形成されている。一対の係合部は、左上係合部73及び左下係合部74である。
左上係合部73及び左下係合部74は、それぞれ後方に凹んだ凹部73a及び凹部74aと、所定の前後方向の厚みで左棚部72の左右方向の幅の概ね半分の幅で右方にリブ状に突出した押さえ突出部73b及び押さえ突出部74bとを有する。
【0017】
左上係合部73及び左下係合部74は、以下、それぞれ第1係合部KB1及び第2係合部KB2とも称する。
【0018】
収容凹部71は、電池室7において左側に偏って形成されている。すなわち、収容凹部71の右側には、左棚部72よりも大きい幅の右棚部75が配置されている。
右棚部75は、
図5A及び
図5Bに示されるように、内部に電子部品群85が収容された部分であり、前面75aは、前壁部1aに対し概ね電池蓋3の厚さ分だけ後方側に奥まった位置にある。
【0019】
右棚部75には、上下方向に離隔して一対の係合部が同様形状で形成されている。一対の係合部は、右上係合部76及び右下係合部77である。
右上係合部76及び右下係合部77は、それぞれ後方に凹んだ凹部76a及び凹部77aと、凹部76aの右上部において、所定の前後方向の厚みで左方に平板状に突出した押さえ突出部76b及び押さえ突出部77bとを有する。
【0020】
右上係合部76及び右下係合部77は、以下、それぞれ第3係合部KB3及び第4係合部KB4とも称する。
【0021】
筐体1の底壁部1b及び右側壁部1cは、電池室7に対応した範囲が前面側から抉られており、それぞれ後退縁部1b1及び後退縁部1c1とされている。
【0022】
次に、電池蓋3を
図3を参照して説明する。
電池蓋3は、基部3a,側壁部3b,及び底壁部3cを有して概ね板状に形成された部材である。
基部3aは、前面視で矩形の板状部位である。基部3aは、筐体1の電池室7の前面視形状に対応した形状を有する。
側壁部3bは、基部3aの右縁部から後方側に立ち上げられた部位であり、筐体1における右側壁部1cの後退縁部1c1をもって抉られた範囲を覆う形状を有する。
底壁部3cは、基部3aの下縁部から後方側に立ち上げられた部位であり、側壁部3bと連続して形成されている。底壁部3cは、筐体1における底壁部1bの後退縁部1b1をもって抉られた範囲を覆う形状を有する。
【0023】
電池蓋3の基部3aの後面には、左縁部近傍において上下方向に離隔して一対の左係合爪部34が同様形状で形成されている。一対の左係合爪部34は、左上係合爪部341及び左下係合爪部342である。
【0024】
左上係合爪部341及び左下係合爪部342は、それぞれ後方に突出する板状の基部341a及び基部342aと、それらの先端から左方に屈曲して延びる先端爪部341b及び先端爪部342bとを有する。左上係合爪部341及び左下係合爪部342は、上面から前方を上として見たときにL字状に形成されている。
【0025】
また、基部3aの後面には、右縁部から左方に所定距離隔てた位置に、上下方向に離隔して一対の右係合爪部35が同様形状で形成されている。一対の右係合爪部35は、右上係合爪部351及び右下係合爪部352である。
【0026】
右上係合爪部351及び右下係合爪部352は、それぞれ後方に突出する板状の基部351a及び基部352aと、それらの先端から右方に屈曲して延びる先端爪部351b及び先端爪部352bとを有する。右上係合爪部351及び右下係合爪部352は、下面から前方を上として見たときにL字状に形成されている。
【0027】
基部3aの上縁部における左右の両端部近傍には、上方に延出する平板上の差し込み上片部31,32が形成されている。また、上縁部の左右方向の中央部には、前方に突出する係止爪33aを先端に有する係合突出部33が形成されている。
底壁部3cの先端における左右端部近傍には、上方に延出する平板上の差し込み底片部36,37が形成されている。
基部3aの中央部位には、圧縮弾性を有する上下方向に長いクッション部材5が貼付されている。
【0028】
次に電池蓋3を電池室7に取り付ける構造について説明する。
電池室7及びその近傍の詳細形状として、
図2に示されるように、電池室7における収容凹部71の上壁71tには、電池蓋3の差し込み上片部31,32がわずかな隙間をもって進入可能なスリット71a,71bが形成されている。また、上壁71tには、電池蓋3の係合突出部33がわずかな隙間をもって進入可能であって、係止爪33aがスナップフィット構造により引っ掛かって係止される係止用スリット71cが形成されている。
また、筐体1の底壁部1bには、電池蓋3の底壁部3cに覆われる部分に、差し込み底片部36,37がわずかな隙間をもって進入可能なスリット71d,71eが形成されている。
【0029】
電池蓋3を電池室7に取り付けるときには、まず、電池蓋3を筐体1の前壁部1aと平行な姿勢にする。次いで、
図2のように開放されている電池室7の、第1係合部KB1~第4係合部KB4それぞれの凹部73a,74a,76a,77aに対し、左上係合爪部341,左下係合爪部342,右上係合爪部351,右下係合爪部352を位置合わせする。
ついで、
図4Aに示されるように、電池蓋3を電池室7に接近させて、左上係合爪部341,左下係合爪部342,右上係合爪部351,右下係合爪部352を、それぞれ凹部73a,74a,76a,77aに対し前方から進入させる(矢印DR2参照)。
図4Aでは、断面位置の手前側にあるため本来示されない左上係合爪部341及び左下係合爪部342の基部341a及び基部342aを、理解容易のために二点鎖線で示してある。
【0030】
図4Aに示された状態から、
図4Bに示されるように電池蓋3を上方に距離Qだけスライドさせる(矢印DR3)。
これにより、左係合爪部34の先端爪部341b,342bは、それぞれ押さえ突出部73bと凹部73aとの間の隙間、押さえ突出部74bと凹部74aとの間の隙間に進入する。右係合爪部35の先端爪部351b,352bも、同様にそれぞれ押さえ突出部76bと凹部76aとの間の隙間、押さえ突出部77bと凹部77aとの間の隙間に進入する。
【0031】
それぞれの隙間は、先端爪部341b,342b,351b,及び352bの厚さと同じかわずかに大きく設定されているので、電池蓋3は、筐体1に第1係合部KB1~第4係合部KB4において、前後方向に精度よく位置決めされる。
【0032】
また、電池蓋3は、矢印DR3で示される上方へのスライドによって、差し込み上片部31,32及び係合突出部33が、それぞれ収容凹部71の上壁71tに形成されたスリット71a,71b及び係止用スリット71cに挿入する。
これにより、電池蓋3の上部において、前後方向への位置決めがなされると共に、電池蓋3を距離Qでスライドさせることで、係合突出部33のスリット71cへの係合において、係止爪33aが、いわゆるスナップフィット構造によって弾性変形した後にスリット71cに引っ掛かり、電池蓋3は下方への移動が規制される。従って、電池蓋3は、係止爪33aの係止を解除させる意図的な強い外力が付与されない限り、電池室7から外れることはない。
【0033】
また、電池蓋3が矢印DR3で示される上方へスライドすることによって、差し込み底片部36,37が、筐体1の底壁部1bに形成されたスリット71d,71eに挿入される。これにより、電池室7に装着された電池蓋3は、下方縁部において前方への移動が規制されて下部の浮き上がりが防止されるので、電池室7に対し高品位に装着される。また、電池蓋3が距離Qでスライドすることで、底壁部3cが筐体1に接触する、又は極小隙間で近接する位置に達する。
以上のように、電池蓋3は電池室7に取り付けられる。
【0034】
電池蓋3は、右係合爪部35が筐体1の右縁部近傍ではなく右縁部から内側(左方側)に入り込んだ位置に形成されている。すなわち、電池蓋3は、収容凹部71のみならず、右係合爪部35から右方側の右棚部75をも覆うようになっている。そこで、
図5A及び
図5Bを参照して、電池蓋3と筐体1との係合部である第1係合部KB1~第4係合部KB4の位置と、電池蓋3の覆う範囲との関係などを説明する。
【0035】
図5Aに示されるように、電池室7は、左側から、左棚部72,収容凹部71,右棚部75を有する。電池蓋3は、これらのすべてを覆うように筐体1に取り付けられる。すなわち、電池蓋3は、左右方向において、電池室7の収容凹部71と右棚部75を含んだ収容凹部71よりも広い範囲を覆うようになっている。
左右方向(第2の方向)は、電池蓋3のスライド方向である上下方向(第1の方向)に直交する方向である。
【0036】
電池蓋3は、筐体側の第1係合部KB1~第4係合部KB4において係合して筐体1に取り付けられる。第1係合部KB1及び第2係合部KB2は、電池室7の収容凹部71の左縁部近傍に上下方向に離隔して配置されている。一方、第3係合部KB3及び第4係合部KB4は、電池室7の右縁部ではなく、収容凹部71における左縁部に対し左右方向に対向する右縁部である収容凹部71と右棚部75との境界近傍において上下方向に離隔して配置されている。
詳しくは、第3係合部KB3及び第4係合部KB4は、第1係合部KB1及び第2係合部KB2に対して右方に距離Laとなる位置に配置されている。
距離Laは、第1係合部KB1及び第2係合部KB2と電池室7の右縁である筐体1の右縁との間の距離Lbよりも十分に小さい。
【0037】
このように、本発明の一態様の蓋体の取り付け構造TKによれば、電池蓋3(蓋体3)は、筐体1に対し第1の方向にスライドした際に筐体1に設けられた複数の係合部KB1~KB4に係合可能な複数の係合爪部34,35を有する。電池蓋3は筐体1との係合位置によらず、係合位置よりも外側の十分広い範囲を覆い塞ぐことができる。そのため、取り付け構造TKは電池蓋3及び電子機器91の外観デザインの自由度が高い。
【0038】
また、蓋体の取り付け構造TKによれば、収容凹部71の左側の係合部と右側の係合部とが、電池蓋3のスライド方向(上下方向)に離隔して複数設けられ、それぞれ二つの第1係合部KB1及び第2係合部KB2と第3係合部KB3及び第4係合部KB4とされている。この上下方向の係合部の数を係合数Nとすると、
図4Bに示される電池蓋3を取り付けるためのスライド量である距離Qを用いて上下方向の実質的な係合距離Qaを、Q×Nと表すことができる。
【0039】
係合距離Qaは、従来のレールと凸部との係合構造におけるレールの長さに相当するので、蓋体の取り付け構造TKによれば、短いスライド量(距離Q)で長いレールに相当する大きい係合距離Qaを得ることができる。これにより、蓋体の取り付け構造TKは省スペースとなる。
【0040】
図5Bに示されるように、電池室7に収容した乾電池81は、電池蓋3に取り付けられたクッション部材5によって弾性的に後方に押し付けられる。これにより、乾電池81が通常の収容状態で動いてしまうことはない。
また、電子機器91が床などに落下しても、乾電池81が電池蓋3に加えようとする力をクッション部材5が吸収するので、電池蓋3が外れる虞は小さい。
また、電池蓋3は、差し込み上片部31,32,左係合爪部34,右係合爪部35,及び差し込み底片部36,37の多数の係合部によって筐体1に係合している。そのため、電池蓋3に成形に起因する変形などが生じていても良好に矯正されるので、電池蓋3は筐体1にしっかりと装着される。
【0041】
以上詳述した一態様は、その構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0042】
電池蓋3と筐体1とが係合する部位は、上述の複数の係合部である第1係合部KB1~第4係合部KB4の4箇所に限定されるものではなく、左右の片側が2箇所以上であって、合計で5箇所以上あってもよい。
また、例えば第1係合部KB1と第2係合部KB2との上下方向の離隔間隔も任意である。第1係合部KB1と第3係合部KB3との上下方向位置、或いは第2係合部KB2と第4係合部KB4との上下方向位置は、
図5Aに示されるように異なっているものに限定されず、同じであってもよい。
第1係合部KB1~第4係合部KB4を、前壁部1aに形成した例を説明したが、電池蓋3が筐体1の底壁部1b又は右側壁部1cの一部を覆う態様の場合、係合部を底壁部又は右側壁部に設けてもよい。
【0043】
蓋体3は電池室7を覆うものに限定されず、凹部を覆う蓋体であればよい。電子機器91は例示した受信機に限定されるものではなく、通信機器、車載装置、撮像装置、音響機器など、種々の機器及び装置であってよい。
【符号の説明】
【0044】
1 筐体
1a 前壁部
1b 底壁部
1b1 後退縁部
1c 右側壁部
1c1 後退縁部
2 ノブ
3 電池蓋(蓋体)
3a 基部
3b 側壁部
3c 底壁部
31,32 差し込み上片部
33 係合突出部
33a係止爪
34 左係合爪部
341 左上係合爪部
342 左下係合爪部
341a,342a 基部
341b,342b 先端爪部
35 右係合爪部
351 右上係合爪部
352 右下係合爪部
351a,352a 基部
351b,352b 先端爪部
36,37 差し込み底片部
5 クッション部材
7 電池室
71 収容凹部
71a,71b,71d,71e スリット
71c 係止用スリット
71t 上壁
72 左棚部
73 左上係合部
74 左下係合部
75 右棚部
75a 前面
76 右上係合部
77 右下係合部
73a,74a,76a,77a 凹部
73b,74b,76b,77b 押さえ突出部
81 乾電池
82,83 端子
85 電子部品群
91 電子機器
KB1~KB4 第1係合部~第4係合部
La,Lb 距離
N 係合数
TK 取り付け構造
Q 距離(スライド量)
Qa 係合距離