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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080292
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】自動車用サーフボードキャリア
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/048 20060101AFI20240606BHJP
   B60R 9/052 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B60R9/048
B60R9/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193359
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】390005304
【氏名又は名称】PIAA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】可児 玄
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020AA04
3D020AB01
3D020AD03
3D020AD19
3D020AD21
3D020AE01
(57)【要約】
【課題】サーフボード及びサーフボードキャリア自体の盗難を防止できる自動車用サーフボードキャリアを提供する。
【解決手段】自動車用サーフボードキャリア1は、バックルベルトユニット10と、ラチェットユニット50と、フック付ベルト90と、を備える。バックルベルトユニット10は、自動車のルーフ2に車幅方向に延在するように設けられたベースバー4に配置されるバックルベルト11を有する。ラチェットユニット50は、ベースバー4にバックルベルト11と間隔をおいて配置されるラチェット51を有する。フック付ベルト90は、一端部がバックルベルト11の先端部に係合され、他端部がラチェット51のベルト巻取部66に係合される。バックルベルトユニット10は、バックルベルト11の脱着を制限する脱着制限部材30を有し、ラチェットユニット50が、ラチェット51の脱着を制限する脱着制限部材80を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のルーフに車幅方向に延在するように設けられたベースバーに配置されるバックルベルトを有するバックルベルトユニットと、
前記ベースバーに前記バックルベルトと間隔をおいて配置されるラチェットを有するラチェットユニットと、
一端部が前記バックルベルトの先端部に係合され、他端部が前記ラチェットのベルト巻取部に係合されるフック付ベルトと、を備え、
前記バックルベルトユニットは、前記ベースバーに固定部材を用いて固定された前記バックルベルトの脱着を制限する脱着制限部材を有し、
前記脱着制限部材は、前記バックルベルトの固定部を保持する下部ケース部材と、前記バックルベルトの脱着が可能な脱着可能位置と前記バックルベルトの脱着が制限される脱着制限位置とに変位される上部ケース部材と、を有しており、
前記上部ケース部材が前記脱着可能位置にあるときにのみ前記固定部材の締結及び締結解除をするための工具が挿通可能な挿通穴が、前記上部ケース部材に形成されている、
自動車用サーフボードキャリア。
【請求項2】
前記バックルベルトのベルト部が、前記バックルベルトの固定部に対して接続ピンを介して回動可能に接続されており、
前記バックルベルトの固定部及び前記上部ケース部材には、前記接続ピンが挿通される支持穴が形成されており、
前記支持穴は、前記バックルベルトの固定部及び前記上部ケース部材の双方に設けられて車両上下方向に延びる第一長穴と、前記上部ケース部材にのみ設けられて前記第一長穴の車両下方側端部から車幅方向に延びる第二長穴と、を有して構成されており、
前記接続ピンが前記第一長穴内を車両上側へ移動されることにより、前記上部ケース部材の前記下部ケース部材に対する相対移動が制限される、
請求項1に記載の自動車用サーフボードキャリア。
【請求項3】
自動車のルーフに車幅方向に延在するように設けられたベースバーに配置されるバックルベルトを有するバックルベルトユニットと、
前記ベースバーに前記バックルベルトと間隔をおいて配置されるラチェットを有するラチェットユニットと、
一端部が前記バックルベルトの先端部に係合され、他端部が前記ラチェットのベルト巻取部に係合されるフック付ベルトと、を備え、
前記ラチェットユニットは、前記ベースバーに固定部材を用いて固定された前記ラチェットの脱着を制限する脱着制限部材を有し、
前記脱着制限部材は、前記ラチェットの固定部を保持するベース部材と、前記ラチェットの脱着が可能な脱着可能位置と前記ラチェットの脱着が制限される脱着制限位置とに変位されるカバー部材と、を有しており、
前記カバー部材が前記脱着可能位置にあるときにのみ前記固定部材の締結及び締結解除を可能にすべく、前記脱着制限位置において前記固定部材を覆う前記カバー部材が前記ベース部材に回動可能に連結されている、
自動車用サーフボードキャリア。
【請求項4】
前記脱着制限部材は、前記カバー部材を前記脱着制限位置にロックするロック機構をさらに有している、
請求項3に記載の自動車用サーフボードキャリア。
【請求項5】
前記ラチェットは、前記フック付ベルトを巻き取るために前記ラチェットのベルト巻取部を回動させるラチェットレバーを有しており、
前記カバー部材は、前記脱着制限位置にあるときに前記ラチェットレバーを操作できないように覆う、
請求項3に記載の自動車用サーフボードキャリア。
【請求項6】
前記ラチェットレバーの回転半径が、90mm~100mmである、
請求項5に記載の自動車用サーフボードキャリア。
【請求項7】
前記ラチェットレバーの作動範囲が、91°~110°である、
請求項5に記載の自動車用サーフボードキャリア。
【請求項8】
前記ラチェットは、前記フック付ベルトを緩めるために操作されるリリースレバーを有しており、
前記カバー部材は、前記脱着制限位置にあるときに前記リリースレバーを操作できないように覆う、
請求項3~7のうちいずれか1項に記載の自動車用サーフボードキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車用サーフボードキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のルーフ上に配置されるサーフボードキャリアが利用されている(例えば、特許文献1参照)。より詳しくは、自動車のルーフにルーフキャリアが配置され、サーフボードキャリアのバックルベルト及びラチェットがルーフキャリアのベースバーに固定される。バックルベルト及びラチェットのベースバーへの固定方法は種々考えられるが、ボルト及びナット等の固定部材を用いてバックルベルト及びラチェットをそれぞれ固定するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-144967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な自動車用サーフボードキャリアは、盗難防止のための盗難防止機能を備えていないため、サーフボードキャリアに積載されたサーフボード又はサーフボードキャリア自体が盗難されるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、サーフボード及びサーフボードキャリア自体の盗難を防止できる自動車用サーフボードキャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る自動車用サーフボードキャリアは、自動車のルーフに車幅方向に延在するように設けられたベースバーに配置されるバックルベルトを有するバックルベルトユニットと、ベースバーにバックルベルトと間隔をおいて配置されるラチェットを有するラチェットユニットと、一端部がバックルベルトの先端部に係合され、他端部がラチェットのベルト巻取部に係合されるフック付ベルトと、を備える。バックルベルトユニットは、ベースバーに固定部材を用いて固定されたバックルベルトの脱着を制限する脱着制限部材を有する。脱着制限部材は、バックルベルトの固定部を保持する下部ケース部材と、バックルベルトの脱着が可能な脱着可能位置とバックルベルトの脱着が制限される脱着制限位置とに変位される上部ケース部材と、を有している。上部ケース部材が脱着可能位置にあるときにのみ固定部材の締結及び締結解除をするための工具が挿通可能な挿通穴が、上部ケース部材に形成されている。
【0007】
また、本開示の一態様に係る自動車用サーフボードキャリアは、自動車のルーフに車幅方向に延在するように設けられたベースバーに配置されるバックルベルトを有するバックルベルトユニットと、ベースバーにバックルベルトと間隔をおいて配置されるラチェットを有するラチェットユニットと、一端部がバックルベルトの先端部に係合され、他端部がラチェットのベルト巻取部に係合されるフック付ベルトと、を備える。ラチェットユニットは、ベースバーに固定部材を用いて固定されたラチェットの脱着を制限する脱着制限部材を有する。脱着制限部材は、ラチェットの固定部を保持するベース部材と、ラチェットの脱着が可能な脱着可能位置とラチェットの脱着が制限される脱着制限位置とに変位されるカバー部材と、を有している。カバー部材が脱着可能位置にあるときにのみ固定部材の締結及び締結解除を可能にすべく、脱着制限位置において固定部材を覆うカバー部材がベース部材に回動可能に連結されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サーフボード及びサーフボードキャリア自体の盗難を防止できる自動車用サーフボードキャリアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る自動車用サーフボードキャリアの取付状態を示す概略的な斜視図である。
図2】自動車用サーフボードキャリアの概略的な斜視図である。
図3】自動車用サーフボードキャリアの概略的な正面図である。
図4】自動車用サーフボードキャリアの概略的な平面図である。
図5】上部ケース部材が脱着可能位置にある状態を示すバックルベルトユニットの概略的な正面図である。
図6】上部ケース部材が脱着制限位置にある状態を示すバックルベルトユニットの概略的な正面図である。
図7】サーフボードを積載した状態を示す自動車用サーフボードキャリアの概略的な正面図である。
図8】ラチェットユニットの概略的な正面図である。
図9】ラチェットユニットの概略的な正面図である。
図10】カバー部材が脱着制限位置にある状態を示すラチェットユニットの概略的な斜視図である。
図11】カバー部材が脱着可能位置にある状態を示すラチェットユニットの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。なお、図面において、車幅方向右側はRH、車幅方向左側はLH、車両上側はUPR、車両下側はLWR、車両前側はFR、車両後側はRRとして示す。
【0011】
図1から図11を参照して、一実施形態に係る自動車用サーフボードキャリア(以下、単に「サーフボードキャリア」ともいう。)について説明する。
【0012】
図1に示されるように、自動車のルーフ2にルーフキャリア3が配置され、サーフボードキャリア1のバックルベルト11及びラチェット51がルーフキャリア3のベースバー4に固定される。このベースバー4は、車両前後方向で一対に配置されており、各ベースバー4が、車幅方向に延在するように配置される。
【0013】
[サーフボードキャリアの全体構成]
図1から図4に示されるように、サーフボードキャリア1は、バックルベルトユニット10と、ラチェットユニット50と、フック付ベルト90と、を備える。
【0014】
図2から図7に示されるように、バックルベルトユニット10は、自動車のルーフ2に車幅方向に延在するように設けられたベースバー4に配置されるバックルベルト11を有する。
【0015】
バックルベルト11は、ベルト部12と、ベルト部12の基端部に接続される固定部13と、ベルト部12の先端部に接続されるバックル14と、ベルト部12の先端部に配置される保護パッド15と、を有する。
【0016】
バックルベルト11のベルト部12は、バックルベルト11の固定部13に対して接続ピン16を介して回動可能に接続される。
【0017】
固定部13は、車両前後方向に間隔をおいて形成される一対の側面部17,17と、これら一対の側面部17,17を車幅方向外側において接続する背面部18と、一対の側面部17,17から車両前後方向外側に延在するフランジ部19と、を有する。当該固定部13は、例えば金属材料により形成される。
【0018】
バックルベルト11の固定部13には、接続ピン16が挿通される支持穴20が形成される。支持穴20は、固定部13の側面部17に設けられて車両上下方向に延びる第一長穴21を有して構成される。本実施形態では、第一長穴21は、車両上側に向かうにしたがい車幅方向内側(つまり、ラチェット51が配置されている側)に対して傾斜するように形成される。接続ピン16が第一長穴21内を車両上側へ移動されることにより、後述する上部ケース部材32の下部ケース部材31に対する相対移動が制限される。
【0019】
また、バックルベルト11の固定部13は、図示しないリベット等を用いて下部ケース部材31に対して固定される。さらに、固定部13のフランジ部19には、後述するボルト23が挿通される挿通穴部22が形成される。
【0020】
また、バックルベルトユニット10は、ベースバー4に固定部材としてのボルト23を用いて固定されたバックルベルト11の脱着を制限する脱着制限部材30を有する。
【0021】
脱着制限部材30は、バックルベルト11の固定部13を保持する下部ケース部材31と、バックルベルト11の脱着が可能な脱着可能位置とバックルベルト11の脱着が制限される脱着制限位置とに変位される上部ケース部材32と、を有する。
【0022】
下部ケース部材31の上面には、バックルベルト11の固定部13のフランジ部19を収容するための収容部33が形成され、この収容部33の底面には、ボルト23が挿通される挿通穴部(図示せず)が形成される。当該下部ケース部材31は、例えば、高強度樹脂材料により形成される。
【0023】
下部ケース部材31の車両下側には、ベースバー4を間に挟んで締結相手部材34が配置され、ボルト23を締結相手部材34に内蔵されたナット(図示せず)に締結することにより、バックルベルト11の基端部(固定部13)がベースバー4に対して固定される。当該締結相手部材34は、例えば、高強度樹脂材料により形成される。
【0024】
また、下部ケース部材31と締結相手部材34との間に位置するボルト23の軸部には、スペーサー又はスリーブ35が装着される。
【0025】
上部ケース部材32は、車両前後方向に間隔をおいて配置される一対の側壁部36,36と、これら一対の側壁部36,36を車幅方向外側において接続する背壁部37と、一対の側壁部36,36から車両前後方向外側に延在するカバー部38と、を有する。
【0026】
上部ケース部材32には、接続ピン16が挿通される支持穴40が形成される。支持穴40は、上部ケース部材32の側壁部36に設けられて車両上下方向に延びる第一長穴41と、上部ケース部材32の側壁部36にのみ設けられて第一長穴41の車両下側端部から車幅方向内側に延びる第二長穴42と、を有して構成される。本実施形態では、第一長穴41は、車両上側に向かうにしたがい車幅方向内側(つまり、ラチェット51が配置されている側)に対して傾斜するように形成される。接続ピン16が第一長穴41内を車両上側へ移動されることにより、上部ケース部材32の下部ケース部材31に対する相対移動が制限される。その一方、接続ピン16が第二長穴42内を車幅方向内側へ移動されることにより、上部ケース部材32の下部ケース部材31に対する相対移動(スライド移動)が許容される。
【0027】
また、上部ケース部材32のカバー部38には、上部ケース部材32が脱着可能位置にあるときにのみ固定部材としてのボルト23の締結及び締結解除をするための六角レンチ等の工具(図示せず)が挿通可能な挿通穴43が形成される。
【0028】
このような上部ケース部材32が、下部ケース部材31に対して車幅方向に沿ってスライド移動可能に支持される。当該上部ケース部材32は、例えば、硬質樹脂材料により形成される。
【0029】
そして、図6に示されるように、上部ケース部材32を下部ケース部材31に重ね合わせた状態では、ボルト23の頭部が上部ケース部材32(カバー部38)によって覆われており、バックルベルト11の脱着が制限される(脱着制限位置)。その一方で、図5に示されるように、上部ケース部材32を下部ケース部材31に対して車幅方向外側に対してスライドさせると、上部ケース部材32の挿通穴43がボルト23の車両上側に位置し、バックルベルト11の脱着が可能になる(脱着可能位置)。
【0030】
なお、バックルベルトユニット10にも、後述するロック機構45と同様の、上部ケース部材32を脱着制限位置にロックするロック機構を設けてもよい。
【0031】
図2から図4、並びに図7から図11に示されるように、ラチェットユニット50は、ベースバー4にバックルベルト11とベースバー4の延在方向(本実施形態では、車幅方向)に間隔をおいて配置されるラチェット51を有する。
【0032】
ラチェット51は、支持部52と、支持部52に支持されるラチェットレバー53と、を有して構成される。
【0033】
支持部52は、車両前後方向に間隔をおいて形成される一対の側面部54,54と、これら一対の側面部54,54を車幅方向内側において接続する背面部55と、一対の側面部54,54から車両前後方向の外側に延在する固定部56と、を有する。当該支持部52は、例えば金属材料により形成される。
【0034】
支持部52の側面部54には、車幅方向内側の歯止め78がスライド可能に保持されるスリット57が形成され、車幅方向内側の歯止め78が、支持部52の背面部55との間に配置されるスプリング58により後述する歯車77に向けて付勢される。
【0035】
また、側面部54には、車幅方向外側の歯止め79が係合可能な切込部59と、後述するベルト巻取部66にフック付ベルト90を巻き取る際のラチェットレバー53の作動範囲Rを規定するための上側ストッパー61及び下側ストッパー62と、が形成される。
【0036】
また、ラチェット51の支持部52は、固定部材としてのリベット63を用いて後述するベース部材81に対して固定される。さらに、支持部52の固定部13には、後述するボルト60が挿通される挿通穴部64と、後述する鍵46が通過可能な鍵通過穴65とが形成される(図11参照)。
【0037】
ラチェットレバー53は、フック付ベルト90を巻き取るためにラチェット51のベルト巻取部66を回動させる。
【0038】
ラチェットレバー53は、車両前後方向に間隔をおいて配置される一対のレバー本体部67,67と、これら一対のレバー本体部67,67を車幅方向外側(先端部側)において接続する接続部68と、を有する。当該ラチェットレバー53は、例えば、金属材料により形成され、ラチェットレバー53の接続部68には、例えば樹脂材料により形成されるノブ69が装着される。
【0039】
ラチェットレバー53の一対のレバー本体部67,67の間には、ベルト巻取部66を構成する軸部71がかけ渡される。レバー本体部67から車両前後方向に突出する軸部71の端部には、抜け止めのためのピン72が装着され、このピン72とレバー本体部67との間には、円環状のワッシャー73が配置される。
【0040】
また、レバー本体部67には、車幅方向外側の歯止め79がスライド可能に保持されるスリット74が形成され、車幅方向外側の歯止め79が、ラチェットレバー53の接続部68との間に配置されるスプリング75により歯車77に向けて付勢される。
【0041】
支持部52の側面部54に設けられた軸受穴76aとラチェットレバー53のレバー本体部67に設けられた軸受穴76bとが重ね合わされて、一対の軸部71,71がかけ渡される。これら一対の軸部71,71の間の隙間に、フック付ベルト90の先端部91が差し込まれる。
【0042】
さらに、ベルト巻取部66を構成する軸部71には、車両前後方向に間隔をおいて一対の歯車77,77が配置される。そして、歯車77の車幅方向内側と車幅方向外側とにはそれぞれ、歯止め78,79が配置される。これらの歯止め78,79を歯車77に対して噛み合わせることにより、歯車77は、ラチェットレバー53を操作した際に一方向(図8及び図9において時計回り)にのみ回転するように構成される。
【0043】
車幅方向内側の歯止め78は、支持部52の側面部54に形成されたスリット57に沿ってスライド可能に保持され、当該歯止め78が歯車77に車幅方向内側から係合する。その一方、車幅方向外側の歯止め79は、ラチェットレバー53のレバー本体部67に形成されたスリット74に沿ってスライド可能に保持され、当該歯止め79が歯車77に車幅方向外側から係合する。
【0044】
さらに、当該歯止め79の車幅方向外側の部分には、フック付ベルト90を緩めるために操作されるリリースレバー70が形成される。
【0045】
本実施形態では、ラチェットレバー53の回転半径D(図9参照)を一般的なラチェットレバーに対して大きくしており、固定トルクも一般的なラチェットレバーに対して大きくなる。具体的には、ラチェットレバー53の回転半径Dが、90mm~100mmである。本実施形態では、ラチェットレバー53の回転半径Dは、94mmである。ところで、ラチェットレバー53の回転半径Dとは、ラチェットレバー53の回転中心からラチェットレバー53の先端までの長さをいう。
【0046】
また、本実施形態では、ラチェットレバー53の作動範囲R(図9参照)を一般的なラチェットレバーに対して大きくしている。具体的には、ラチェットレバー53の作動範囲Rが、91°~110°である。本実施形態では、ラチェットレバー53の作動範囲Rは、108°である。ところで、ラチェットレバー53の作動範囲Rとは、フック付ベルト90のベルト部92を巻き取る際にラチェットレバー53を上下に動かすことができる角度をいう。ラチェットレバー53の作動範囲Rの上限は上側ストッパー61によって規定され、ラチェットレバー53の作動範囲Rの下限は下側ストッパー62によって規定される。
【0047】
ラチェットユニット50は、ベースバー4に固定部材としてのボルト60を用いて固定されたラチェット51の脱着を制限する脱着制限部材80を有する。
【0048】
脱着制限部材80は、ラチェット51の固定部56を保持するベース部材81と、ラチェット51の脱着が可能な脱着可能位置とラチェット51の脱着が制限される脱着制限位置とに変位されるカバー部材82と、を有する。
【0049】
ベース部材81の上面には、ラチェット51の固定部56を収容するための収容部83(図11参照)が形成され、この収容部83の底面には、ボルト60が挿通される挿通穴部(図示せず)が形成される。当該ベース部材81は、例えば、高強度樹脂材料により形成される。
【0050】
ベース部材81の車両下側には、ベースバー4を間に挟んで締結相手部材84が配置され、ボルト60を締結相手部材84に内蔵されたナット(図示せず)に締結することにより、ラチェット51がベースバー4に対して固定される。当該締結相手部材84は、例えば、高強度樹脂材料により形成される。
【0051】
また、ベース部材81と締結相手部材84との間に位置するボルト60の軸部には、スペーサー又はスリーブ85が装着される。
【0052】
さらに、ベース部材81には、カバー部材82が脱着可能位置にあるときにのみ固定部材としてのボルト60の締結及び締結解除を可能にすべく、脱着制限位置においてボルト60を車両上側から覆うカバー部材82が回動可能に連結される。
【0053】
カバー部材82は、ヒンジ部86を介してベース部材81に連結される基端部87と、ラチェット51を間に挟んで基端部87とは反対側に位置する先端部88と、基端部87と先端部88との間にかけ渡して形成されるブリッジ部89と、を有する。カバー部材82の基端部87が、カバー部材82が脱着制限位置にあるときに車両後側のボルト60を車体上側から覆っている。また、カバー部材82の先端部88が、カバー部材82が脱着制限位置にあるときに車両前側のボルト60、鍵通過穴65、及び、後述するロック機構45のシリンダー(図示せず)を車両上側から覆っている。さらに、カバー部材82のブリッジ部89が、カバー部材82が脱着制限位置にあるときにラチェットレバー53及びリリースレバー70を操作できないように車両上側から覆っている。
【0054】
脱着制限部材80は、カバー部材82を脱着制限位置にロックするロック機構45をさらに有する。
【0055】
ロック機構45は、カバー部材82側に配置されて鍵46が挿入される鍵穴47と、ベース部材81側に配置されたシリンダー(図示せず)と、を有する。
【0056】
そして、図10に示されるように、カバー部材82をベース部材81に重ね合わせた状態では、ボルト60の頭部がカバー部材82によって車両上側から覆われており、ラチェット51の脱着が制限される(脱着制限位置)。その一方で、図11に示されるように、ロック機構45によるロックを解除し、カバー部材82をベース部材81に対して回動させて開くと、ベース部材81を固定しているボルト60が露出し、ラチェット51の脱着が可能になる(脱着可能位置)。
【0057】
フック付ベルト90は、バックルフックベルトとも称されるものである。このフック付ベルト90は、一端部がバックルベルト11の先端部にあるバックル14に係合され、他端部(先端部91)がラチェット51のベルト巻取部66に係合される。フック付ベルト90は、ベルト部92と、ベルト部92の一端部に接続されるフック93と、を有する。
【0058】
なお、ルーフキャリア3のベースバー4には、図示しないボードクッションが巻き付けられていてもよい。つまり、ベースバー4とサーフボード5との間には、ボードクッションが配置されていてもよい。
【0059】
[サーフボードキャリアの取付方法]
図7に示されるように、バックルベルト11はベルト部12(接続ピン16)が車幅方向外側に位置し、ラチェット51はラチェットレバー53(ノブ69)が車幅方向外側に位置するように配置される。
【0060】
積載するサーフボードの中で一番幅の広いサーフボード5を仮置きし、このサーフボード5に合わせて、バックルベルト11及びラチェット51の位置を調整する。このとき、バックルベルトユニット10とサーフボード5との間、及び、ラチェットユニット50とサーフボード5との間に、隙間(例えば、1cm~3cm)が形成されるように、バックルベルト11及びラチェット51を配置する。
【0061】
バックルベルト11及びラチェット51を位置決めしたら、サーフボード5を一旦降ろし、バックルベルト11側のボルト23及びラチェット51側のボルト60を六角レンチ等を用いて締め込み、バックルベルト11及びラチェット51をしっかりと固定する。
【0062】
次いで、ラチェット51のリリースレバー70を車幅方向外側に引っ張りながら、ラチェットレバー53を車両上側に回転させて上げる(図9参照)。
【0063】
次いで、フック付ベルト90の先端を、ラチェット51のベルト巻取部66に10cm程度差し込み、その状態でラチェット51のラチェットレバー53を上下させてフック付ベルト90の先端が外側から内側になるように巻き取る。
【0064】
フック付ベルト90のベルト部92を巻き取る際には、ベルト部92が歯車77に噛み込まないように、ベルト部92をベルト巻取部66(軸部71)の中央において巻き取るようにする。
【0065】
[サーフボードの積載方法]
サーフボード5をベースバー4の上に積載し、フック付ベルト90のフック93をバックルベルト11のバックル14に引っ掛ける。その状態で、ラチェット51のラチェットレバー53を上下させてフック付ベルト90のベルト部92を巻き取り、サーフボード5をしっかりと固定する。フック付ベルト90のベルト部92を巻き取る目安は、ベルト(バックルベルト11のベルト部12及びフック付ベルト90のベルト部92)にたるみがない状態である。
【0066】
[サーフボードの降ろし方]
ベルト(バックルベルト11のベルト部12及びフック付ベルト90のベルト部92)を緩める際には、ラチェット51のリリースレバー70を車幅方向外側に引っ張りながら、ラチェットレバー53を車両下側に回転させて下げる。車幅方向外側の歯止め79をラチェットレバー53の支持部52に設けられた切込部59に入れた状態で、フック付ベルト90のベルト部92を車幅方向内側へ引いて、ベルト(バックルベルト11のベルト部12及びフック付ベルト90のベルト部92)を緩める。
【0067】
フック付ベルト90のフック93をバックルベルト11のバックル14から外して、サーフボード5をベースバー4の上から降ろす。
【0068】
サーフボード5をベースバー4の上に積載しないで自動車を走行させる場合には、フック付ベルト90のフック93をバックルベルト11のバックル14に引っ掛けて、ベルトにたるみがなくなるまでしっかりと巻き取るようにする。
【0069】
[作用効果等]
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0070】
(1)サーフボードキャリア1は、自動車のルーフ2に車幅方向に延在するように設けられたベースバー4に配置されるバックルベルト11を有するバックルベルトユニット10と、ベースバー4にバックルベルト11と間隔をおいて配置されるラチェット51を有するラチェットユニット50と、一端部がバックルベルト11の先端部に係合され、他端部がラチェット51のベルト巻取部66に係合されるフック付ベルト90と、を備える。バックルベルトユニット10は、ベースバー4に固定部材(ボルト23)を用いて固定されたバックルベルト11の脱着を制限する脱着制限部材30を有する。脱着制限部材30は、バックルベルト11の固定部13を保持する下部ケース部材31と、バックルベルト11の脱着が可能な脱着可能位置とバックルベルト11の脱着が制限される脱着制限位置とに変位される上部ケース部材32と、を有している。上部ケース部材32が脱着可能位置にあるときにのみボルト23の締結及び締結解除をするための工具が挿通可能な挿通穴43が、上部ケース部材32に形成されている。
【0071】
本実施形態によれば、盗難防止のための盗難防止機能をバックルベルトユニット10に持たせることができ、サーフボード5及びサーフボードキャリア自体の盗難を防止できる自動車用サーフボードキャリア1を提供することが可能になる。図6に示されるように、上部ケース部材32を下部ケース部材31に重ね合わせた状態では、ボルト23の頭部が上部ケース部材32によって覆われており、バックルベルト11の脱着が制限される(脱着制限位置)。その一方で、図5に示されるように、上部ケース部材32を下部ケース部材31に対して車幅方向外側に対してスライドさせると、上部ケース部材32の挿通穴43がボルト23の車両上側に位置し、バックルベルト11の脱着が可能になる(脱着可能位置)。
【0072】
(2)バックルベルト11のベルト部12が、バックルベルト11の固定部13に対して接続ピン16を介して回動可能に接続されている。バックルベルト11の固定部13及び上部ケース部材32には、接続ピン16が挿通される支持穴20,40が形成されている。支持穴20,40は、バックルベルト11の固定部13及び上部ケース部材32の双方に設けられて車両上下方向に延びる第一長穴21,41と、上部ケース部材32にのみ設けられて第一長穴21の車両下方側端部から車幅方向に延びる第二長穴42と、を有して構成されている。接続ピン16が第一長穴21,41内を車両上側へ移動されることにより、上部ケース部材32の下部ケース部材31に対する相対移動が制限される。
【0073】
このように上部ケース部材32を構成することにより、盗難防止のための盗難防止機能をバックルベルトユニット10に持たせることができる。図6に示されるように、上部ケース部材32を下部ケース部材31に重ね合わせた状態では、ボルト23の頭部が上部ケース部材32によって覆われており、バックルベルト11の脱着が制限される(脱着制限位置)。その一方で、図5に示されるように、上部ケース部材32を下部ケース部材31に対して車幅方向外側に対してスライドさせると、上部ケース部材32の挿通穴43がボルト23の車両上側に位置し、バックルベルト11の脱着が可能になる(脱着可能位置)。また、サーフボード5をベースバー4の上に固定すると、ベルトが引っ張られて、接続ピン16が車両上側に移動し、上部ケース部材32が下部ケース部材31に対して動かなくなる。
【0074】
(3)サーフボードキャリア1は、自動車のルーフ2に車幅方向に延在するように設けられたベースバー4に配置されるバックルベルト11を有するバックルベルトユニット10と、ベースバー4にバックルベルト11と間隔をおいて配置されるラチェット51を有するラチェットユニット50と、一端部がバックルベルト11の先端部91に係合され、他端部がラチェット51のベルト巻取部66に係合されるフック付ベルト90と、を備える。ラチェットユニット50は、ベースバー4に固定部材(ボルト60)を用いて固定されたラチェット51の脱着を制限する脱着制限部材80を有し、脱着制限部材80は、ラチェット51の固定部56を保持するベース部材81と、ラチェット51の脱着が可能な脱着可能位置とラチェット51の脱着が制限される脱着制限位置とに変位されるカバー部材82と、を有している。カバー部材82が脱着可能位置にあるときにのみボルト60の締結及び締結解除を可能にすべく、脱着制限位置においてボルト60を覆うカバー部材82がベース部材81に回動可能に連結されている。
【0075】
本実施形態によれば、盗難防止のための盗難防止機能をラチェットユニット50に持たせることができ、サーフボード5及びサーフボードキャリア自体の盗難を防止できる自動車用サーフボードキャリア1を提供することが可能になる。図10に示されるように、カバー部材82をベース部材81に重ね合わせた状態では、ボルト60の頭部がカバー部材82によって車両上側から覆われており、ラチェット51の脱着が制限される(脱着制限位置)。その一方で、図11に示されるように、ロック機構45によるロックを解除し、カバー部材82をベース部材81に対して回動させて開くと、ベース部材81を固定しているボルト60が露出し、ラチェット51の脱着が可能になる(脱着可能位置)。
【0076】
(4)脱着制限部材80は、カバー部材82を脱着制限位置にロックするロック機構45をさらに有している。
【0077】
このように脱着制限部材80を構成することにより、盗難防止のための盗難防止機能をラチェットユニット50に持たせることができる。ロック機構45によるロックを解除しないと、カバー部材82をベース部材81に対して回動させて開くことができず、ベース部材81を固定しているボルト60が露出させることができない。
【0078】
(5)ラチェット51は、フック付ベルト90を巻き取るためにラチェット51のベルト巻取部66を回動させるラチェットレバー53を有している。カバー部材82は、脱着制限位置にあるときにラチェットレバー53を操作できないように覆う。
【0079】
このようにカバー部材82を構成することにより、盗難防止のための盗難防止機能をラチェットユニット50に持たせることができる。カバー部材82が脱着制限位置にあるときには、ラチェットレバー53がカバー部材82によって車両上側から覆われ、ラチェットレバー53を操作することができない。
【0080】
(6)ラチェットレバー53の回転半径Dが、90mm~100mmである。
【0081】
本実施形態によれば、ラチェットレバー53の回転半径D(図9参照)を一般的なラチェットレバーに対して大きくしており、固定トルクも一般的なラチェットレバーに対して大きくなる。このため、サーフボード5をしっかりと確実に固定することが可能になる。
【0082】
(7)ラチェットレバー53の作動範囲Rが、91°~110°である。
【0083】
本実施形態によれば、ラチェットレバー53の作動範囲R(図9参照)を一般的なラチェットレバーに対して大きくしており、ベルトの巻き取り及びサーフボード5の固定を簡単且つ迅速に行うことが可能になる。
【0084】
(8)ラチェット51は、フック付ベルト90を緩めるために操作されるリリースレバー70を有している。カバー部材82は、脱着制限位置にあるときにリリースレバー70を操作できないように覆う。
【0085】
このようにカバー部材82を構成することにより、盗難防止のための盗難防止機能をラチェットユニット50に持たせることができる。カバー部材82が脱着制限位置にあるときには、リリースレバー70がカバー部材82によって車両上側から覆われ、リリースレバー70を操作することができない。また、リリースレバー70を操作することにより、ベルトを緩めること及びサーフボード5をベースバー4から降ろすことを簡単且つ迅速に行うことが可能になる。
【0086】
ところで、自動車用サーフボードキャリアは上述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 自動車用サーフボードキャリア(サーフボードキャリア)
2 ルーフ
4 ベースバー
5 サーフボード
10 バックルベルトユニット
11 バックルベルト
13 固定部
16 接続ピン
20 支持穴
21 第一長穴
23 ボルト(固定部材)
30 脱着制限部材
31 下部ケース部材
32 上部ケース部材
40 支持穴
41 第一長穴
42 第二長穴
43 挿通穴
45 ロック機構
50 ラチェットユニット
51 ラチェット
53 ラチェットレバー
56 固定部
60 ボルト(固定部材)
66 ベルト巻取部
70 リリースレバー
80 脱着制限部材
81 ベース部材
82 カバー部材
90 フック付ベルト(バックルフックベルト)
91 先端部
D リリースレバーの回転半径
R リリースレバーの作動範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11