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特開2024-80302全芳香族ポリアミド溶液、及び全芳香族ポリアミド溶液の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080302
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】全芳香族ポリアミド溶液、及び全芳香族ポリアミド溶液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/10 20060101AFI20240606BHJP
   C08J 3/02 20060101ALI20240606BHJP
   D01F 6/60 20060101ALI20240606BHJP
   D01F 6/80 20060101ALI20240606BHJP
   D01F 6/90 20060101ALI20240606BHJP
   C08G 69/32 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
C08L77/10
C08J3/02 CFG
D01F6/60 371
D01F6/80 331
D01F6/90 331
C08G69/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193383
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】曽根原 悟
(72)【発明者】
【氏名】周 宗揚
【テーマコード(参考)】
4F070
4J001
4J002
4L035
【Fターム(参考)】
4F070AA54
4F070AC16
4F070AC36
4F070AC40
4F070AC66
4F070AE28
4F070CA12
4F070CB05
4F070CB11
4J001DA01
4J001DB02
4J001DB04
4J001DC05
4J001DC16
4J001DC22
4J001DC24
4J001DC25
4J001DD04
4J001DD05
4J001DD06
4J001DD07
4J001EB34
4J001EB36
4J001EB37
4J001EB44
4J001EB46
4J001EC44
4J001EC45
4J001EC46
4J001EC54
4J001EC56
4J001EC66
4J001EC67
4J001EC70
4J001EC77
4J001EE27F
4J001EE67D
4J001EE67F
4J001FA01
4J001FB03
4J001FC03
4J001FC06
4J001JA10
4J001JB34
4J001JC04
4J001JC08
4J002CL061
4J002DE026
4J002EC026
4J002EF026
4J002ER026
4J002EU096
4J002EU136
4J002EU156
4J002EU186
4J002EV207
4J002FD206
4J002FD207
4J002GK00
4J002GT00
4J002HA03
4L035AA04
4L035BB03
4L035BB06
4L035BB11
4L035BB12
4L035BB13
4L035BB15
(57)【要約】
【課題】非プロトン性有機極性溶媒に無機塩、有機塩などを併用することなく、溶解可能な全芳香族ポリアミド溶液を提供することにより、ハロゲン系溶媒で抽出する工程、該ハロゲン系溶媒を蒸留する工程などの回収工程を簡素化する。
【解決手段】全芳香族ポリアミドと、下記(a)~(b)のいずれかに記載の溶媒の少なくとも1種とを含有する全芳香族ポリアミド溶液であって、該全芳香族ポリアミド溶液中に含まれる、無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量が10,000PPM以下であることを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液。
(a)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩
(b)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成されるイオン性液体
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全芳香族ポリアミドと、下記(a)~(b)のいずれかに記載の溶媒の少なくとも1種とを含有する全芳香族ポリアミド溶液であって、該全芳香族ポリアミド溶液中に含まれる、無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量が10,000PPM以下であることを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液。
(a)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩
(b)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成されるイオン性液体
【請求項2】
請求項1に記載の
(a)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩
(b)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成されるイオン性液体
に、さらに非プロトン性有機溶媒が含まれている請求項1記載の全芳香族ポリアミド溶液。
【請求項3】
全芳香族ポリアミド貧溶媒である水、アルコール、カルボン酸などのプロトン性溶媒を含有する全芳香族ポリアミド凝固液に有機強塩基、又は有機強塩基と二酸化炭素を添加し、有機強塩基とプロトン性溶媒を含有する塩及びイオン液体、又は、有機強塩基とプロトン性溶媒と二酸化炭素を含有する塩及びイオン液体に変化させることを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の全芳香族ポリアミド溶液を湿式紡糸用ドープとして用いることを特徴とする全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全芳香族ポリアミドと、有機強塩基、又は有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩、又は有機強塩基とプロトン性溶媒から合成されるイオン性液体を含む溶媒と、を含む全芳香族ポリアミド溶液、及び全芳香族ポリアミド溶液の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
全芳香族ポリアミド(アラミド)は芳香族構造を含むポリアミドであり、パラアラミドとメタアラミドとがある。パラアラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「Kevlar」(登録商標)、帝人製「Twaron」(登録商標))、コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人製「Technora」(登録商標))などがある。このようなパラアラミドは溶解性が低く、決められた溶媒(濃硫酸)のみにしか溶解しなかった。しかしながら硫酸は有害物であり、作業者に危険を及ぼすことがある。また金属腐食性が高く、プロセスの配管腐食などの原因にもなりうる。
【0003】
特許文献1~3には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)などの非プロトン性極性有機溶媒中に塩化リチウム、塩化カルシウムなどの無機塩を溶解させた溶剤に溶解させる方法が開示されている。
【0004】
一般的に、ポリマー溶液からポリマーを凝固させるためには、水などの貧溶媒を使用する必要があるが、非プロトン性有機極性溶媒と無機塩、又は第4級アンモニウム塩などの有機塩を用いた溶媒系では、非プロトン性有機極性溶媒と、無機塩又は第4級アンモニウム塩などの有機塩と、水などの貧溶媒、の3成分以上の分離・回収が必要となる。
【0005】
そこで、特許文献4には、非プロトン性有機極性溶媒と無機塩、有機塩からなる水溶液から非プロトン性有機極性溶媒を回収する方法が開示されているが、該方法においては、ハロゲン系溶媒で抽出する工程、該ハロゲン系溶媒を蒸留する工程などが含まれており、回収工程が複雑化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭52-46982号公報
【特許文献2】特開平04-226533号公報
【特許文献3】特開2006-241624号公報
【特許文献4】特開2002-1008号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M.S.Miran,H.Kinoshita,T.Yasuda、M.A.B.H.Susan,M.Watanabe,Phys.Chem.Chem.Phys.,14,5178(2012)
【非特許文献2】M.S.Miran,H.Kinoshita,T.Yasuda、M.A.B.H.Susan,M.Watanabe,Phys.Chem.Chem.Phys.,14,5178(2012)
【非特許文献3】H.Hanabusa,E.I.Izgorodina,S.Suzuki,Y.Takeoka,M.Rikukawa,M.Yoshizawa-Fujita,Greeen Chem.,20,1412(2018)
【非特許文献4】P.G.Jessop,D.J.Heldebrant,X.Li,C.A.Eckert,C.L.Liotta,Nature,436,1102(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、かかる従来技術における問題点を解消し、非プロトン性有機極性溶媒に無機塩、有機塩などを併用することなく、従って、ハロゲン系溶媒で抽出する工程、該ハロゲン系溶媒を蒸留する工程などの回収工程が簡素化できる全芳香族ポリアミド溶液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩、又は有機強塩基とプロトン性溶媒から合成されるイオン性液体を使用するとき、無機塩、有機塩を使用しないで全芳香族ポリアミド溶液が提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、
1.全芳香族ポリアミドと、下記(a)~(b)のいずれかに記載の溶媒の少なくとも1種とを含有する全芳香族ポリアミド溶液であって、該全芳香族ポリアミド溶液中に含まれる、無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量が10,000PPM以下であることを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液、
(a)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩
(b)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成されるイオン性液体、
2.上記1に記載の
(a)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩
(b)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成されるイオン性液体
に、さらに非プロトン性有機溶媒が含まれている上記1記載の全芳香族ポリアミド溶液、
3.全芳香族ポリアミド貧溶媒である水、アルコール、カルボン酸などのプロトン性溶媒を含有する全芳香族ポリアミド凝固液に有機強塩基、又は有機強塩基と二酸化炭素を添加し、有機強塩基とプロトン性溶媒を含有する塩及びイオン液体、又は、有機強塩基とプロトン性溶媒と二酸化炭素を含有する塩及びイオン液体に変化させることを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
4.上記1に記載の全芳香族ポリアミド溶液を湿式紡糸用ドープとして用いることを特徴とする全芳香族ポリアミド繊維の製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非プロトン性有機極性溶媒に無機塩、有機塩などを併用しない全芳香族ポリアミド溶液が提供できるので、ハロゲン系溶媒で抽出する工程、該ハロゲン系溶媒を蒸留する工程などの回収工程が簡素化できる全芳香族ポリマー溶液が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細を説明する。
【0013】
<溶媒>
本発明で使用する溶媒とは、有機強塩基、非プロトン性有機溶媒、プロトン性溶媒、塩、イオン性液体、共晶混合物などポリマー溶液中でポリマー以外を構成している成分である。また本発明における溶媒比率とはポリマー溶液中の、全溶媒に対する各溶媒(有機強塩基、非プロトン性有機溶媒、プロトン性溶媒、塩、イオン性液体、共晶混合物)の質量%である。
【0014】
<有機強塩基>
本発明における有機強塩基とは有機化合物からなる塩基であり、アミン系、ピリジン系、ピリミジン系、複素環アミン系、リン系などが挙げられる。本発明における有機強塩基は、強塩基性を示す有機塩基であり、例えば、ピリミジン、グアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチルー1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(THP)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)、ファスファゼン塩基、プロアザフォスフォトラン塩基などが挙げられる。
【0015】
本発明で使用する有機強塩基は求核性が低く、塩基性が高いことが好ましい。具体的にはジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチルー1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(THP)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)がより好ましい。最も好ましくはジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(THP)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)である。
【0016】
<非プロトン性有機溶媒>
本発明における非プロトン性有機溶媒とは有機化合物からなる水酸基などのプロトン供与性の基を持たない溶媒であり、例えば、炭酸エチル、炭酸プロピル、フロロ炭酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、1,2-炭酸ブチレン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、スルホラン、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジエチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、シクロベンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジヒドロレボグルコセノン、α-アンゲリカラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-テトラデカノラクトン、ε-カプロラクトン、ε-デカノラクトン、ジメチルイソソルビド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tertブチル、酢酸ラウリル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸tertブチル、アセト酢酸ラウリル、レブリン酸メチル、レブリン酸エチル、レブリン酸プロピル、レブリン酸イソプロピル、レブリン酸ブチル、レブリン酸イソブチル、レブリン酸tertブチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アセトニトリル、スクシノニトリル、クメン、リモネン、メチルシクロヘキサン、N-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルアセトアミド、N,N-ジブチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアセトアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルオクタンアミド、N、N-ジメチルデカンアミド、N、N-ジエチルヘキサンアミド、N、N-ジエチルベンズアミド、N、N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、マロンアミド、ピロリジン、N-アセチル-2-ピロリジン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジンー2-オン、N-イソプロピルー2-ピロリドン、1-ブチルピロリジンー2-オン、N-イソブチルー2-ピロリドン、N-tertブチル-2-ピロリドン、1-シクロヒキシルー2-ピロリドン、1-n-オクチルー2-ピロリドンなどのN-アルキルー2-ピロリドン、N-ビニルピロリドン、3-ブロモーN-メチルピロリドン、3-ヒドロキシ-n-メチルピロリドン、5-ヒドロキシ-N-メチルピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヘキチルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、5-エチル-2-ピロリドン、5-プロピルー2-ピロリドン、ピペリジン、2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、2-ピペリドン、4-ピペリドン、N-メチル-2-ピペリドン、N-メチルー4-ピペリドン、N-エチル-4-ピペリドン、1、3-ジメチル-2-ピペリドン、1、5-ジメチル-2-ピペリドン、1、3-ジメチル-4-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-メチルーε-カプロラクタム、N-ビニルーε-カプロラクタム、1-メチルイミダゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルプロピレン尿素、テトラメチル尿素、モルホリン、4-メチルモルホリン、4-エチルモルホリン、4-プロピルホルホリン、4-ホルミルモルホリン、4-アセチルモルホリン、1、4-ジアセチルピペラジン、N、N-ジメチルグリシン、N、N-ジアセチルグリシン、ピリジン、2-ヒドロキシピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3、4-ジメチルピリジン、2、6-ルチジン、4-ジメチルアミノピリジン、1-メチル-2-ピリドン、キノリン、1-メチル-2-キノリン、ヘキサメチルりん酸トリアミド、などが挙げられる。
【0017】
<プロトン性溶媒>
本発明におけるプロトン性溶媒とは、水酸基を持ち、プロトン供与体となる事ができる溶媒であり、水、アルコール、アミノ酸、カルボン酸、スルホン酸、糖などが挙げられる。
【0018】
特に限定されるものではないが、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール、2-メトキシエタノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ジアセトンアルコール、グリセロール1、2-カルボナート、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸、3-ヒドロキシブタン酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸、レブリン酸、グリコール酸、シュウ酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸=2-エチルヘキシル、ジホルミルキシロースなどの糖、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アスパラギン、シトシン、グルタミン、セリン、トレオニン、セリンなどのアミノ酸、マレイミド、N-ヒドトキシコハク酸イミドなどが挙げられる。
【0019】
より好ましくは、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール、2-メトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アスパラギン、シトシン、グルタミン、セリン、トレオニン、セリンなどのアミノ酸、マレイミド、N-ヒドロキシコハク酸イミドなどが挙げられる。
【0020】
これらの有機強塩基、非プロトン性有機溶媒、プロトン性溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合物としても使用することが可能である。
【0021】
また本発明では動植物由来のプロトン性溶媒、非プロトン性有機溶媒、有機強塩基も使用することができる。本発明における動植物由来のプロトン性溶媒、非プロトン性有機溶媒とは、植物由来の原料(糖/デンプン系バイオマス、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等を含むリグノセルロース系バイオマス)から合成される有機化合物や動植物や微生物が産生する天然物のことである。動植物由来の有機溶媒と化石由来の有機溶媒は、分子量、熱物性(融点、沸点)などの物性に差を生じない。そこで、これらを区別するためには、一般的にバイオマス度が用いられている。
【0022】
バイオマス度とは、放射性炭素(14C、半減期5730年)測定によりバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。上層大気中で高エネルギー宇宙線によって14Nが14Cに変化され、大気中の二酸化炭素には14Cが一定量含まれている。光合成により二酸化炭素が炭水化物として植物中に固定化されるので、植物中には14Cが同程度含まれている。一方、化石由来の石油には14Cが実質的に存在しないことから植物由来の炭素と化石由来の炭素の区別ができる。バイオマス度の測定方法は一般的にASTM D6866などが知られている。したがって、本発明の動植物由来の有機溶媒もポリマー溶液中の有機溶媒を抽出した後、バイオマス度を測定することで区別できる。
【0023】
また特に限定されるものではないが、本発明における具体的な動植物由来の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ギ酸、酢酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、ブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、乳酸、コハク酸、レブリン酸、グリコール酸、アクリル酸、シュウ酸、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、ジヒドロレボグルコセノン、ジホルミルキシロース、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-デカノラクトン、ε-カプロラクトン、ジメチルイソソルビド、アセトン、シクロペンタノン、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸=2-エチルヘキシル、レブリン酸メチル、レブリン酸エチル、レブリン酸プロピル、炭酸プロピル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ビニルエチレン、1,2-炭酸ブチレン、グリセロール1,2-カルボナート、アセトニトリル、スクシノニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジンー2-オン、1-イソプロピルピロリジンー2-オン、1-ブチルピロリジンー2-オン、1-イソブチルピロリジンー2-オン、1-ペンチルピロリジン-2-オン、1-イソペンチルピロリジン-2-オン、1-n-オクチルー2-ピロリドンなどのN-アルキルー2-ピロリドン、N-ビニルー2-ピロリドン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヒキシルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2,6-ルチジン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アスパラギン、シトシン、グルタミン、セリン、トレオニン、セリンなどのアミノ酸など、が例示できる。
【0024】
<塩、イオン性液体(イオン液体)>
本発明においては、
(a)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩
(b)有機強塩基とプロトン性溶媒から合成されるイオン性液体、
を溶媒として使用することができる。
【0025】
塩は一般に酸と塩基との中和反応によって生じる化合物であるが、酸由来のアニオンと塩基由来のカチオンとがイオン結合した化合物である。無機塩は、無機化合物由来の陽イオンと陰イオンがイオン結合した塩であり、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオン、アンモニウムイオンなどのカチオンと、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、珪酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオンなどのアニオンの組合せなどが挙げられ、具体的には、塩化リチウム、塩化カルシウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどが挙げられる。
【0026】
一方、有機塩は酸もしくは塩基のどちらかが有機化合物由来のものである。例えば、酢酸リチウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸カリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムフロリド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、コリンクロリドなどが挙げられる。
【0027】
本発明における無機化合物由来のイオンを含有する塩とは、無機塩、又は無機塩基由来のカチオンと有機酸由来のアニオンとがイオン結合した塩、又は無機酸由来のアニオンと有機塩基由来のカチオンとがイオン結合した塩のことでもある。例えば、酢酸リチウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸カリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムフロリド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、コリンクロリドなどが挙げられる。
【0028】
また塩化カルシウムのような無機塩は、アミド系有機溶媒中に3.2~10.5質量%の無機塩を添加することで、コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解できることが知られているが、前述の通り、この方法においては、無機塩をハロゲン系溶媒で抽出する工程、該ハロゲン系溶媒を蒸留する工程などが含まれることとなり、回収工程が複雑化するという問題がある。
【0029】
そこで、本発明においては、上記(a)~(b)の溶媒を使用することにより、無機化合物由来のイオンを含有する塩を使用しなくても全芳香族ポリアミド溶液を得ることができるのである。ここで、無機化合物由来のイオンを含有する塩を使用しないとは、本発明で使用する溶媒に対する無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量が10000PPM以下となる状態を言い、より好ましくは無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量は溶媒に対し、1000PPM以下であり、更に好ましくは100PPM以下である。無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量が10000PPMを超えると本発明の効果が得られなくなる。
【0030】
本発明におけるイオン液体とは100℃以下の融点を持つ塩である。イオン液体は非プロトン性イオン液体、プロトン性イオン液体、キレートイオン液体、金属錯体イオン液体、無機イオン液体が挙げられる。
【0031】
本発明で使用する塩及びイオン液体は、有機化合物由来の陽イオンと陰イオンがイオン結合した塩及び、イオン液体であり、有機化合物のブレンステッド塩基由来のカチオンと有機化合物のブレンステッド酸由来のアニオンとがイオン結合した塩及びイオン液体(プロトン性イオン液体)である。
【0032】
プロトン性イオン液体とは、下記式(1)に示す如く、ブレンステッド酸、ブレンステッド塩基の中和反応により得られる。
【0033】
【化1】
【0034】
この塩(イオン液体)生成反応は平衡反応である。塩基の共役酸BHの解離定数(pKa(BH))と酸AHの解離定数(pKa(AH))との差(ΔpKa)が大きいときにイオン性が高まる。
【0035】
MacFarlaneらは、ΔpKaが4あれば、プロトン移動が起こり、プロトン性イオン液体を得るには十分であると報告している(非特許文献1)。
また、Watanabeらは、ΔpKaが15以上の場合、プロトン性イオン液体の熱安定性が、非プロトン性イオン液体と同等レベルまで向上することを報告している(非特許文献2)。
【0036】
一方、Fujitaらはジアザビシクロウンデセン(DBU)と酢酸(HOAc)の中和反応により得られたイオン液体[DBUH][OAc](ΔpKa=8.52)を蒸留することでジアザビシクロウンデセン(DBU)と酢酸(HOAc)に精製できることを報告している(非特許文献3)。
またLiottaらはジアザビシクロウンデセン(DBU)と二酸化炭素(CO)を用いることで可逆的にイオン性液体が得られることを報告している(非特許文献4)。
【0037】
本発明で使用する塩及びイオン液体は、ΔpKaが4以上、15以下が好ましい。より好ましくはΔpKが4以上、10以下である。ΔpKaが4未満の場合、目的としている塩及びイオン液体が得られず、ポリアミドの溶解性が低くなる場合がある為好ましくない。一方、ΔpKaが15を超える場合、本目的である回収工程の簡素化が達成できない場合がある為、好ましくない。
【0038】
本発明においては、上述の(a)又は(b)の溶媒を使用することができ、具体的には、有機強塩基とカルボン酸から作られる塩及びイオン性液体や、有機強塩基と、水又はアルコールから選ばれる少なくともどれか一つ以上と、二酸化炭素、二硫化炭素、二酸化硫黄、及び硫化水素からなる群から選ばれる少なくともどれか一つ以上とを含有する塩及びイオン液体、が例示される。
【0039】
更に好ましくは、有機強塩基と、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンからなる群から選ばれるどれか一つ以上と二酸化炭素と、を含有する塩及びイオン液体、又は有機強塩基とギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸から選ばれる少なくともどれか一つ以上を含有する塩及びイオン液体である。
【0040】
本発明においては、全溶媒に対する、有機強塩基とプロトン性溶媒から合成される塩、またはイオン性液体の溶媒比率は0.01~100質量%であることが好ましい。より好ましく0.1~100質量%である。更に好ましくは1.0~100質量%である。該溶媒比率が0.01質量%を下回る場合、ポリマー溶液の溶解性が低くなる為好ましくない。
【0041】
尚、本発明においては、上述の(a)又は(b)の溶媒に、さらに非プロトン性有機溶媒が含まれていても良い。この際の、全溶媒に対する、非プロトン性有機溶媒の溶媒比率は0.01~99.99質量%であることが好ましい。より好ましく0.01~99.9質量%である。更に好ましくは0.01~99.0質量%である。非プロトン性有機溶媒の溶媒比率が99.99質量%を超えるとポリマー溶液の溶解性が低くなる場合がある為好ましくない。非プロトン性有機溶媒の溶媒比率が0.01質量%を下回るとポリマー溶液の粘性が高くなる為本発明のポリマー溶液を使用する用途が限られてしまう場合があるので、好ましくない。
【0042】
<共晶混合物>
本発明における共晶混合物とは、1種類以上の水素結合供与体及び1種類以上の水素結合受容体を混合させることで共晶融点降下して、個々の物質よりも融点が減少した混合物である。
【0043】
例えば、4-アミノ安息香酸とコリンクロリド、リンゴ酸とアラニン、リンゴ酸とグリシン、リンゴ酸とプロリン、シュウ酸とヒスチジン、シュウ酸とプロリン、尿素とアセトアミド、ε-カプロラクタムとアセトアミド、尿素とε-カプロラクタム、尿素とコリンクロリド、尿素とコリンブロミド、尿素とベタイン塩酸塩、グリセリンとコリンクロリド、チオ尿素とコリンクロリド、TMGとチオ尿素、DBNとチオ尿素、DBUとチオ尿素、DBUとメチルチオ尿素、DBUとジメチルチオ尿素、DBUとトリメチルチオ尿素、DBUと硝酸リチウム、DBUとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、DBUとジメチル尿素とエチレングリコール、グリセリンとDBUとコリンクロリド、グリセリンとDBNとコリンクロリド、DBUとイミダゾールのイオン液体とエチレングリコール、DBUとインドールのイオン液体とエチレングリコール、DBUと1,2,4-トリアゾールのイオン液体とエチレングリコールなどの組合せなどが報告されている。
本発明のポリマー溶液は共晶混合物を含んでいても差し支えない。
【0044】
<深共晶溶媒>
本発明における深共晶溶媒は、1種類以上の水素結合供与体及び水素結合受容体をある混合比で混合することで共晶融点降下して室温で液体となる混合物である。特に限定されないが、例えば、リンゴ酸とアラニン(モル比1:1)、リンゴ酸とグリシン(モル比1:1)、リンゴ酸とプロリン(モル比1:2)、シュウ酸とヒスチジン(モル比9:1)、シュウ酸とプロリン(モル比1:1)、尿素とアセトアミド(モル比1:2)、ε-カプロラクタムとアセトアミド(モル比1:1)、尿素とε-カプロラクタム(モル比1:3)、尿素とコリンクロリド(モル比2:1)、尿素とコリンブロミド(モル比2:1)、尿素とベタイン塩酸塩(モル比4:1)、グリセリンとコリンクロリド(モル比2:1)、チオ尿素とコリンクロリド(モル比2:1)、TMGとチオ尿素(モル比2:1)、DBNとチオ尿素(モル比2:1)、DBUとチオ尿素(モル比2:1)、DBUとメチルチオ尿素(モル比2:1)、DBUとジメチルチオ尿素(モル比2:1)、DBUとトリメチルチオ尿素(モル比2:1)、DBUと硝酸リチウム(モル比3:1)、DBUとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(モル比4:1)、グリセリンとDBUとコリンクロリド(モル比1:2:6)、グリセリンとDBNとコリンクロリド(モル比1:2:6)、DBUとイミダゾールのイオン液体とエチレングリコール(モル比7:3)、DBUとインドールのイオン液体とエチレングリコール(モル比7:3)、DBUと1,2,4-トリアゾールのイオン液体とエチレングリコール(モル比7:3)などの組合せが報告されている。
【0045】
本発明のポリマー溶液は、共晶混合物を含有していても差し支えない。この際の、全溶媒に対する、共晶混合物の溶媒比率は0~99.99質量%であることが好ましい。より好ましく0~99.90質量%質量%である。更に好ましくは0.10~99.00質量%である。共晶混合物の溶媒比率が99.99質量%を超えるとポリマー溶液の溶解性が低くなる場合がある為好ましくない。
【0046】
<全芳香族ポリアミド>
全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価以上の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。また、芳香族基にはベンゼン環がパラ位またはメタ位で結合し、これらの2価以上の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基、シアノ基等が含まれていてもよい。
【0047】
また全芳香族ポリアミドはパラ型、メタ型と分類されるが、パラ型全芳香族ポリアミドは、パラ型の芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、パラ型の芳香族ジアミン成分とからなるパラ型全芳香族ポリアミドを主成分とする全芳香族ポリアミドであり、主成分とは全繰り返し単位が50モル%以上を指す。メタ型全芳香族ポリアミドは、メタ型の芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、メタ型の芳香族ジアミン成分とからなるメタ型全芳香族ポリアミドを主成分とする全芳香族ポリアミドであり、主成分とは全繰り返し単位が50モル%以上を指す。
【0048】
[全芳香族ポリアミドの原料]
(芳香族カルボン酸クロライド成分)
上記全芳香族ポリアミドに使用される芳香族カルボン酸クロライド成分としては、イソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、2,6-ナフタレンジカルボン酸クロライド、2,5-フランジカルボン酸クロライド、3,4-フランジカルボン酸クロライド、ピリジン-2,6-ジカルボン酸クロライド、1,3,5-ベンゼンジカルボン酸ジクロライド、2,2’-ビス(5-クロロホルミル 2-フリル)プロパン、2-ピロン-4,6-ジカルボン酸ジクロライド、などが挙げられる。またこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1~3のアルコキシ基、スルホン酸基、スルホン酸ナトリウム基等の置換基を有する誘導体、例えば3-クロロイソフタル酸クロリド、3-メトキシイソフタル酸クロリドなどを用いても構わない。
【0049】
(芳香族アミン成分)
上記全芳香族ポリアミドに使用される芳香族アミン成分としては、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、2,5-ビス(アミノメチル)フラン、1,3,5-ベンゼントリアミン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,5-ジアミノ安息香酸、メチルジバニリルアミン、5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾイミダゾールなどが挙げられる。またこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1~3のアルコキシ基、スルホン酸基、スルホン酸ナトリウム基等の置換基を有する誘導体、例えば2,4-トルイレンジアミン、2,6-トルイレンジアミン、2,4-ジアミノクロロベンゼン、2,6-ジアミノクロロベンゼンなどを用いても構わない。
【0050】
<全芳香族ポリアミドの製造方法>
上記全芳香族ポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、非プロトン性極性アミド系有機溶媒中で、芳香族ジカルボン酸ジクロライド(以下「酸クロライド」ともいう)成分と芳香族ジアミン成分とを溶液重合、または界面重合などにより反応せしめることにより得ることができる。
【0051】
(重合溶媒)
全芳香族ポリアミドの製造において使用される重合溶媒としては、上記の非プロトン性有機溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独もしくは2種以上の混合溶媒でも使用できる。また重合溶媒は動植物由来の有機溶媒も使用できる。
【0052】
溶液重縮合の場合は重合後の全芳香族ポリアミドの溶解性の観点から、非プロトン性有機極性溶媒が好ましく、反応性の観点から、アミド系有機溶媒がより好ましい。例えば、N-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジプロピルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルアセトアミド、N,N-ジブチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアセトアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルオクタンアミド、N、N-ジメチルデカンアミド、N、N-ジエチルヘキサンアミド、N、N-ジエチルベンズアミド、N、N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、マロンアミド、ピロリジン、N-アセチル-2-ピロリジン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-プロピルピロリジンー2-オン、N-イソプロピルー2-ピロリドン、1-ブチルピロリジンー2-オン、N-イソブチルー2-ピロリドン、N-tertブチル-2-ピロリドン、1-シクロヒキシルー2-ピロリドン、1-n-オクチルー2-ピロリドンなどのN-アルキルー2-ピロリドン、N-ビニルピロリドン、3-ブロモーN-メチルピロリドン、3-ヒドロキシ-n-メチルピロリドン、5-ヒドロキシ-N-メチルピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1、5-ジメチル-2-ピロリドン、5-メチル-N-エチルピロリドン、5-メチル-N-ヒドロキシエチルピロリドン、5-メチル-N-プロピルピロリドン、5-メチル-N-イソプロピルピロリドン、5-メチル-N-ブチルピロリドン、5-メチル-N-イソブチルピロリドン、5-メチル-N-シクロヘキチルピロリドン、5-メチル-N-フェニルピロリドン、5-エチル-2-ピロリドン、5-プロピルー2-ピロリドン、ピペリジン、2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、2-ピペリドン、4-ピペリドン、N-メチル-2-ピペリドン、N-メチルー4-ピペリドン、N-エチル-4-ピペリドン、1、3-ジメチル-2-ピペリドン、1、5-ジメチル-2-ピペリドン、1、3-ジメチル-4-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-メチルーε-カプロラクタム、N-ビニルーε-カプロラクタム、1-メチルイミダゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。またDBU、DBNなどの有機強塩基、またはテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランなどの非プロトン性有機溶媒との混合溶媒を使用しても良い。
【0053】
[その他重合条件等]
生成する全芳香族ポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン等を併用することもできる。
【0054】
上記の全芳香族ポリアミドの製造方法により得られたポリマー溶液を、水などの貧溶媒中に浸漬し、凝固させること(湿式凝固)、又は乾燥させ溶媒を飛ばしてポリマーを凝固させること(乾式凝固)で全芳香族ポリアミドが得られる。湿式凝固、乾式凝固させて粉状、フィブリド状、糸状、フィルム状のポリマー組成物にすることも可能である。また上記の全芳香族ポリアミドの製造方法により得られたポリマー溶液そのまま使用することもできる。
【0055】
なお、本発明で使用されるポリマーの分子量は、糸、フィルム、シート、塗工膜、多孔質膜、粒子等のポリマー成型物を形成し得る程度であれば特に限定されるものではないが、1万~100万程度が好ましい。1万未満の場合はポリマー成型物の強度が低くなる為好ましくない。100万以上の場合は、ポリマー溶液の取扱性が低い為好ましくない。
【0056】
また、本発明のポリマー溶液はポリアミド、全芳香族ポリアミドの他に、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリイミド等をブレンドしたポリマーを使用しても良い。
【0057】
<全芳香族ポリアミド溶液の製造方法>
本発明においては、上記全芳香族ポリアミドを、前述の(a)~(b)に記載の溶媒の少なくとも1種に溶解させることにより、無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量が10000PPM以下の全芳香族ポリアミド溶液を得ることができる。
【0058】
本発明のポリマー溶液におけるポリマー濃度は特に制限されるものではないが、0.01~30質量%が好ましい。更に好ましくは1~15質量%である。該ポリマー濃度が0.01質量%未満の場合には、糸状、フィルム状に成型がしにくくなる為好ましくない。また該ポリマー濃度が30質量%を超える場合、ポリマー溶液の取り扱い性が低くなったり、ポリマーが溶解しきれずに析出するため好ましくない。
また本発明のポリマー溶液には、性能向上の為、難燃剤、着色剤、艶消剤、耐光剤、導電剤などの添加剤が含有されていても良い。
【0059】
全芳香族ポリアミドを溶解させる際のポリマー形状は、ナノファイバー、粒状、フィブリド状、糸状、フィルム状、多孔質膜などを例示できるが、溶解性向上させるために、ナノファイバー、粒状、フィブリド状、最大辺が40mm以下の糸状、フィルム状のポリアミドが好ましい。使用後のポリアミド組成物でも溶解することができる。
【0060】
全芳香族ポリアミドを溶解させる際、溶解性を向上させるため、溶解前又は溶解中に、加熱しても差し支えない。加熱温度は-30~150℃が好ましく、より好ましくは0~120℃である。-30℃未満の場合は溶剤の溶解性が低い為好ましくない。150℃を超える場合は、ポリアミド溶液の安定性が低くなり、取り扱い性も悪くなる為好ましくない。
【0061】
また全芳香族ポリアミドを溶解させる際、溶解性を向上させるとともにポリマー溶液を均一にする為にミキサーを使用する方が好ましい。ミキサーには公知のものが使用できる。例えば、バタフライミキサー、CDM2軸ミキサー、BDM2軸ミキサー、リボンミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザーなどが挙げられる。また、ポリアミドを溶解させる際に振とう機や超音波発生装置を使用してもよい。
【0062】
更に全芳香族ポリアミドを溶解させる際、不活性ガス(窒素、ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドン)、二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素などの0.10MPa以上の高圧ガス下で溶解させても良い。
更に本発明の全芳香族ポリアミド溶液は全芳香族ポリアミド凝固後の凝固液から作成しても良い。
【0063】
ポリアミドの貧溶媒である水、アルコール、カルボン酸の群からから選ばれる少なくともどれか一つ以上を含有するポリアミド凝固液に、有機強塩基を投入し、二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素の群から選ばれる少なくともどれか一つを0.1MPa以上の圧力で加えて製造した溶剤にポリアミドを添加して溶解することもできる。
【0064】
<全芳香族ポリアミド溶液からなる無機粒子含有バインダー液の調整方法>
本発明の全芳香族ポリアミド溶液に無機粒子を混ぜ合わせて、無機粒子含有のポリマー溶液(バインダー液)としても使用できる。無機粒子としては湿式あるいは乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム及びフッ化カルシウムなどが挙げられる。
【0065】
該無機粒子の含有量は、重合体100部に対して150~1900部が好ましい。無機粒子の含有量が150部より少ないと、オレフィン膜が収縮する際の収縮応力に抵抗する粒子間の衝突が起こりにくく好ましくない。一方、無機粒子の含有量が1900部を越える場合には無機粒子に対する重合体の量が少なすぎるため、粒子が担持されずに脱落する、所謂粉落ちが発生する場合があるため、好ましくない。
【0066】
バインダー液のポリマー濃度は0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。ポリマー濃度が0.5質量%未満の場合にはポリマー量が少なく、粉落ちが発生する恐れがあり好ましくない。一方、ポリマー濃度が10質量%以上の場合にはポリマー溶液の粘度が高くなりすぎて、適切な厚みに塗工することが困難となる場合がある為好ましくない。
【0067】
上記全芳香族ポリアミド溶液に疎水系添加剤を加えても良い。疎水系添加剤は公知のフッ素系、有機シリコーン系、オレフィン系の添加剤を使用することができる。これらの内、撥水効果の高いフッ素系の添加剤が好ましい。その添加量は塗工液の溶媒量に対して0.5~10重量パーセントが好ましい。添加量が10重量パーセントを超えると、凝固速度が著しく低下し、生産性が悪化するため好ましくない。一方、添加量が0.5重量パーセントより小さい場合には撥水効果が少なく、塗工層に水が侵入し、塗工層の密度を低下させるため、好ましくない。好ましい添加量は1~9重量パーセント、さらに好ましくは2~8重量パーセントである。
【0068】
<全芳香族ポリアミド溶液からなる繊維の紡糸方法、フィルム成型方法>
本発明における全芳香族ポリアミド溶液を用いて繊維紡糸、フィルム成型することもできる。繊維紡糸、フィルム成型方法は、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、乾式凝固または湿式凝固が挙げられる。
【0069】
湿式凝固の場合、凝固液の液組成としてはポリマー溶液の貧溶媒であることが必要である。凝固液の組成は必ずしも単一である必要はない。特に限定されるものではないが、本発明における具体的な凝固液の組成としては、例えば水、アルコール、カルボン酸、本発明の溶剤と水、アルコール、カルボンのうち少なくともどれか一つ以上を含有する混合溶液などが挙げられる。溶媒回収の効率性の観点から、本発明の溶剤と水、アルコール、カルボンのうち少なくともどれか一つ以上を含有する混合溶液が好ましい。
【0070】
凝固して形成した繊維状ポリマー、フィルム状ポリマーは水洗して残留溶媒などを除去してもよい。また特に限定されるものではないが、水、アルコール、水と本発明の溶剤の混合溶液、又はアルコールと本発明の溶剤の混合溶液などが挙げられる。溶媒回収の効率性の観点から、水と本発明の溶剤の混合溶液、又はアルコールと本発明の溶剤の混合溶液などが挙げられる。
【0071】
水洗後は80℃以上の温度で乾燥する。乾燥温度は80~200℃が好ましい。乾燥後の繊維状ポリマーもしくはフィルム状ポリマーはカットしてもよいし、そのまま使用してもよい。
凝固後の繊維状ポリマー、フィルム状ポリマー、もしくは水洗・乾燥後の繊維状ポリマー、フィルム状ポリマーは延伸、熱処理して使用もできる。
【0072】
<全芳香族ポリアミド凝固後の溶剤回収方法>
本発明における全芳香族ポリアミド溶液は、全芳香族ポリアミド凝固後の、水、アルコール、カルボン酸などの全芳香族ポリアミド貧溶媒からなる凝固液を以下の方法で回収することができる。
【0073】
有機強塩基と水、アルコールから選ばれる少なくともどちらか一つ以上と二酸化炭素と、を含有する塩及びイオン液体を含有する凝固液に、窒素、アルゴンなどの不活性気体の圧力下に置き、有機強塩基と、水又はアルコールの少なくともどちらか一つ以上を含有する共溶媒に変化させた後、水又はアルコールの少なくともどちらか一つ以上を分離すること、を特徴とする溶剤回収方法、及び、有機強塩基とカルボン酸を含有する塩及びイオン液体を含有する凝固液を、減圧、又は真空下で蒸留し、有機強塩基とカルボン酸に変化させることでカルボン酸を分離することを特徴とする溶剤回収方法である。
【実施例0074】
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。また、実施例中の各物性は以下の方法により測定した。
【0075】
(1)重量平均分子量(Mw)
分子量分布(重量平均分子量(Mw)および分子量多分散度(Mw/Mn)など)測定を、以下の測定条件によりゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
装置名 :高速液体クロマトグラフ LC-20Aシリーズ (株式会社島津製作所)
カラムオーブン :CTO-20A
移動相 :NMP
オートサンプラ :SIL-20AHT
LCワークステーション:LC solution
流量 :0.3ml/分
示差屈折計検出器 :RID-10A
オーブン温度 :60℃
分子量標準試料 :ポリスチレン
【0076】
(2)溶媒への繊維の溶解性
繊維を溶媒中に投入し、マグネットスターラーを用いて120℃で約3時間攪拌した後の溶液の透明性や均一性について目視で判断した。
【0077】
(3)全芳香族ポリアミド溶液中の、無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量
全芳香族ポリアミド溶液を精密測りで1.000gに計量し、るつぼに入れた。るつぼに入れた全芳香族ポリアミド溶液を100℃の真空乾燥機で5h加熱した後、電気炉にて750℃で3時間加熱した。るつぼ内の残渣量を測定して、これを無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量とした。
【0078】
<比較例1>
[全芳香族ポリアミド(コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド)の重合]
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)94.0g、パラフェニレンジアミン1.081g、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル2.002gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド4.060gを添加した。引き続き、60℃で重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を6.586g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド(重量平均分子量59万)溶液を得た。
【0079】
[全芳香族ポリアミド(コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド)繊維の製造]
重合で得られたコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド(重量平均分子量59万)溶液を1000ホールの繊維紡糸用ノズルから吐出させ、エアーギャップ約4mmを介してNMP濃度30wt%の水溶液中に紡出させ凝固させた後(半乾半湿式紡糸法)、水で十分に水洗し、乾燥し、次いで、温度500℃下で10倍に延伸された後、巻き取ることにより、単糸繊度が1、67dtex、フィラメント数1000のコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維を得た。
【0080】
[コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の溶解]
ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に、ギロチンカッターで長さ3mmにカットしたコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維を0.030g投入した後、マグネットスターラーを用いて120℃で約3時間攪拌した。
撹拌後の混合液は不透明でコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維は溶解しなかった。
【0081】
<比較例2>
比較例1において、溶媒をジアザビシクロウンデセン(DBU)1.5g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
攪拌後の混合液は不透明でコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維は溶解しなかった。
【0082】
<比較例3>
比較例1において、溶媒を1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
攪拌後の混合液は不透明でコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維は溶解しなかった。
【0083】
<比較例4>
比較例1において、溶媒を1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)1.1g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
攪拌後の混合液は不透明でコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維は溶解しなかった。
【0084】
<実施例1>
比較例1において、溶媒を酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)にジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)を混合して得られたイオン液体に変更し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.100gとした以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0085】
また、得られたコポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液を1.000gに計量し、るつぼに入れ、100℃の真空乾燥機で5h加熱した後、電気炉にて750℃、3hで加熱した。るつぼ内に残渣を計量すると、0.002g(2000PPM)であり、無機化合物由来のイオンを含有する塩の含有量は10000PPM以下であることが確認できた。
【0086】
<実施例2>
比較例1において、溶媒を酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)にジアザビシクロノネン(DBN)2.5g(0.020mol)を混合して得られたイオン液体に変更し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.100gとした以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0087】
<実施例3>
比較例1において、溶媒を酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)にジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)を混合して得られたイオン液体とジメチルスルホキシド(DMSO)7.6gに変更し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.600gとした以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0088】
<実施例4>
比較例1において、溶媒を酢酸(AcOH)3.0g(0.050mol)にジアザビシクロウンデセン(DBU)7.6g(0.050mol)を混合して得られたイオン液体に変更し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.700gとした以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0089】
<実施例5>
比較例1において、溶媒を酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)に1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)1.2g(0.010mol)を混合して得られたイオン液体に変更し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.100gとした以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0090】
<実施例6>
比較例1において、溶媒を酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)に1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)1.1g(0.010mol)を混合して得られたイオン液体に変更し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.100gとした以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0091】
<実施例7>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.100gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0092】
<実施例8>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)とメタノール(MeOH)0.3g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.100gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0093】
<実施例9>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)とエタノール(EtOH)0.5g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.100gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0094】
<実施例10>
高圧反応装置オートクレーブに水(HO)0.2g(0.010mol)とジアザビシクロウンデセン(DBU)1.5g(0.010mol)を投入して攪拌翼で攪拌して得られた共溶媒を、25℃でオートクレーブ内に0.5MPaの二酸化炭素を封入して30分放置した。水とDBUと二酸化炭素が反応して塩2.1g(0.010mol)が生成した。生成した塩を2.1gと、ジアザビシクロウンデセン(DBU)7.6g(0.050mol)を混合した後、比較例1と同様に実施してコポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維0.200gを添加し、120℃で約1時間攪拌した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0095】
<実施例11>
高圧反応装置オートクレーブに水(HO)とジアザビシクロウンデセン(DBU)をモル当量づつ投入して攪拌翼で攪拌して得られた共溶媒を、25℃でオートクレーブ内に0.5MPaの二酸化炭素を封入して30分放置した。水とDBUと二酸化炭素が反応して塩が生成した。生成した塩を2.1gと、ジメチルスルホキシド(DMSO)3.9g(0.050mol)を混合した後、比較例1と同様に実施してコポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維0.200gを添加し、120℃で約1時間攪拌した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0096】
<実施例12>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、ジアザビシクロウンデセン(DBU)7.6g(0.050mol)とメタノール(MeOH)1.6g(0.050mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.200gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0097】
<実施例13>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、ジアザビシクロウンデセン(DBU)7.6g(0.050mol)とエタノール(EtOH)2.3g(0.050mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.200gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0098】
<実施例14>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.030gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0099】
<実施例15>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)1.2g(0.010mol)とメタノール(MeOH)0.3g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.030gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0100】
<実施例16>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)1.1g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.030gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0101】
<実施例17>
比較例1において、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)との溶媒に代えて、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)1.1g(0.010mol)とメタノール(MeOH)0.3g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用し、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維の投入量を0.030gに変更した以外は、比較例1と同様に実施した。
攪拌後の混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・3.4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維が溶解された溶液が得られた。
【0102】
<実施例18>
[全芳香族ポリアミド(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)の製造]
メタフェニレンジアミンとイソフタル酸クロライドを公知の方法(界面重合、特公昭47-10863号公報)で重合後、粒状に凝固させて、ポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末(重量平均分子量70万)を得た。
【0103】
[ポリメタフェニレンイソフタルアミドの溶解]
酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)にジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)を混合して得られたイオン液体に、上記ポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末を0.200g投入した後、マグネットスターラーを用いて120℃で約3時間攪拌した。
攪拌後の混合液は透明になり、ポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末が溶解された溶液が得られた。
【0104】
<実施例19>
実施例18において、酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)にジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)を混合して得られたイオン液体に代えて、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用した以外は、実施例18と同様に実施した。
攪拌後の混合液は透明になり、ポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末が溶解された溶液が得られた。
【0105】
<実施例20>
[全芳香族ポリアミド(コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド)の製造]
水分率が100ppm以下のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)94.0g、パラフェニレンジアミン1.081g、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル2.002gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロライド4.060gを添加した。引き続き、60℃で重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を6.586g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド(重量平均分子量23万)溶液を得た。
【0106】
得られたコポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液をNMP濃度30wt%の水溶液中にて粒状に凝固した。凝固後の水で3回洗浄し、コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド粉末を得た。
【0107】
[全芳香族ポリアミド(コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド)の溶解]
酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)にジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)を混合して得られたイオン液体に、上記コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド粉末を0.100g投入した後、マグネットスターラーを用いて120℃で約3時間攪拌した。
攪拌後の混合液は透明になり、混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド粉末が溶解された溶液が得られた。
【0108】
<実施例21>
実施例20において、酢酸(AcOH)0.6g(0.010mol)にジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)を混合して得られたイオン液体に代えて、ジアザビシクロノネン(DBN)1.2g(0.010mol)と水(HO)0.2g(0.010mol)が混合した溶媒に、二酸化炭素によるバブリングを1分間実施した溶媒を使用した以外は、実施例20と同様に実施した。
攪拌後の混合液は透明になり、混合溶液は透明になり、コポリパラフェニレン・4,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド粉末が溶解された溶液が得られた。
上記の結果をまとめて表1~5に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明によれば、無機化合物由来のイオンを含有する塩を併用しないで全芳香族ポリアミド溶液が提供できるので、全芳香族ポリアミド溶液と貧溶媒を含有する凝固液をハロゲン系溶媒で抽出する工程、該ハロゲン系溶媒を蒸留する工程などの回収工程が簡素化できる。