(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080315
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】リクライニング機構、シートリクライニングチェアー、シート、ソファー、ベッド、およびソファーベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 1/031 20060101AFI20240606BHJP
A47C 17/04 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A47C1/031
A47C17/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193402
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】522207051
【氏名又は名称】久保田 了
(74)【代理人】
【識別番号】100169188
【弁理士】
【氏名又は名称】寺岡 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】久保田 了
【テーマコード(参考)】
3B099
【Fターム(参考)】
3B099AA03
3B099CA36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】座り心地および寝心地を良好とすることが可能な、シートリクライニング機構およびシートリクライニングチェアー、シート、ソファー、ベッド、およびソファーベッドを提供する。
【解決手段】シートリクライニングチェアー1は、座面10の第1の端部11と、背もたれ20の第2の端部21に、第1の回転軸30を有し、座面10と、背もたれ20とが、回転可能に連結している。そして、座面20の裏側から、第2の回転軸31で、リンク40の一端41と回転可能に連結する。そして、背もたれの第2の端部21側から背もたれの第4の端部22側に寄った位置と、フレーム50の一端51とを、第1の回転軸30と平行な第3の回転軸32で、回転可能に連結する。そして、他端52と、他端42とを、第4の回転軸33で、回転可能に連結している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面の第1の端部と、背もたれの第2の端部とに、共通する第1の回転軸を有し、
当該第1の回転軸で前記座面と、前記背もたれとが、回転可能に連結し、
前記座面の前記第1の端部とは反対側の第3の端部と、前記背もたれの前記第2の端部とは反対側の第4の端部とを有し、
前記座面の裏側から、前記座面の第3の端部から前記座面の第1の端部側へと寄った位置を、前記第1の回転軸と平行な第2の回転軸で、リンクの一端と回転可能に連結し、
前記背もたれの第2の端部側から前記背もたれの第4の端部側に寄った位置と、フレームの一端とを、それらに共通する、前記第1の回転軸と平行な第3の回転軸で、回転可能に連結し、
前記フレームの一端とは反対側の他端と、前記リンクの一端とは反対側の他端とを、それらに共通する、前記第1の回転軸と平行な第4の回転軸で、回転可能に連結した、
リクライニング機構。
【請求項2】
座面の第1の端部と、背もたれの第2の端部とに、共通する第1の回転軸を有し、
当該第1の回転軸で前記座面と、前記背もたれとが、回転可能に連結し、
前記座面の前記第1の端部とは反対側の第3の端部と、前記背もたれの前記第2の端部とは反対側の第4の端部とを有し、
前記座面の裏側から、前記座面の第3の端部から前記座面の第1の端部側へと寄った位置を、前記第1の回転軸と平行な第2の回転軸で、リンクの一端と回転可能に連結し、
前記背もたれの第2の端部側から前記背もたれの第4の端部側に寄った位置と、フレームの一端とを、それらに共通する、前記第1の回転軸と平行な第3の回転軸で、回転可能に連結し、
前記フレームの一端とは反対側の他端と、前記リンクの一端とは反対側の他端とを、それらに共通する、前記第1の回転軸と平行な第4の回転軸で、回転可能に連結した、
シートリクライニングチェアー、シート、ソファー、ベッド、およびソファーベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リクライニング機構、シートリクライニングチェアー、シート、ソファー、ベッド、およびソファーベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
リクライニングチェアーについては、種々の提案がある。(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の発明は、バックレストの傾倒・起立動作を緩やかに行うことができ、かつ快適な使用感が得られるアームレスト操作式のリクライニングチェアーを提供することを目的としている。リクライニングチェアーの構成は、
図8に示すように、アームレスト240の操作によりバックレスト210を傾倒・起立させるようにしたリクライニングチェアであって、バックレスト210と、水平方向に延設された座部フレーム221にクッション部材を装着してなる座部220と、前方脚部フレーム231と後方脚部フレーム232の左右上方端部を傾倒位置決め用のピンP1により枢支してなる脚部230と、肘側をピンP2によりバックレストフレーム211に枢支して指先側を上方に回動可能とし、指先側内部又は外部にピンP1を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームを備えるアームレスト240とを具備し、ピンP1とピンP2との間に引張りコイルバネを懸架してリクライニングチェアを構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のリクライニングチェアー80は、
図5に示す座面81に座る使用者82(人間)にかかるαの力がある。そして、背もたれ83を起こすことで、
図6に示すように、αの力が、使用者82の上半身が背もたれ83に沿って滑り落ちる力(α’)となり、座面81でベクトル分解(β+γ)が起きる。そして、下半身がシート前方に滑る分力(γ)が働くため、座り心地が悪い。なお、背もたれ83を起こすことは、座面81と背もたれ83とを両方貫通する、回転軸84を回転中心とした背もたれ83の回転動作によって実現する(以下、同じ。)。
【0006】
さらに、特許文献1のリクライニングチェアーには当てはまらないかも知れないが、
図7に示すように、背もたれ83をさらに起こすと、シート前方に向かう分力(γ)がなくなるものの、背もたれ83と座面81に段差(S)ができるため寝心地が悪いリクライニングチェアー80がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、座り心地および寝心地を良好とすることが可能な、シートリクライニング機構およびシートリクライニングチェアー、シート、ソファー、ベッド、およびソファーベッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のリクライニング機構は、座面の第1の端部と、背もたれの第2の端部とに、共通する第1の回転軸を有し、第1の回転軸で座面と、背もたれとが、回転可能に連結し、座面の前記第1の端部とは反対側の第3の端部と、背もたれの第2の端部とは反対側の第4の端部とを有し、座面の裏側から、座面の第3の端部側から座面の第1の端部側へと寄った位置を、第1の回転軸と平行な第2の回転軸で、リンクの一端と回転可能に連結し、背もたれの第2の端部側から背もたれの第4の端部側に寄った位置と、フレームの一端とを、それらに共通する、第1の回転軸と平行な第3の回転軸で、回転可能に連結し、フレームの一端とは反対側の他端と、リンクの一端とは反対側の他端とを、それらに共通する、第1の回転軸と平行な第4の回転軸で、回転可能に連結した。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のシートリクライニングチェアー、シート、ソファー、ベッド、およびソファーベッドは、座面の第1の端部と、背もたれの第2の端部とに、共通する第1の回転軸を有し、第1の回転軸で座面と、背もたれとが、回転可能に連結し、座面の前記第1の端部とは反対側の第3の端部と、背もたれの第2の端部とは反対側の第4の端部とを有し、座面の裏側から、座面の第3の端部側から座面の第1の端部側へと寄った位置を、第1の回転軸と平行な第2の回転軸で、リンクの一端と回転可能に連結し、背もたれの第2の端部側から背もたれの第4の端部側に寄った位置と、フレームの一端とを、それらに共通する、第1の回転軸と平行な第3の回転軸で、回転可能に連結し、フレームの一端とは反対側の他端と、リンクの一端とは反対側の他端とを、それらに共通する、第1の回転軸と平行な第4の回転軸で、回転可能に連結した。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、座り心地および寝心地を良好とすることが可能な、シートリクライニング機構およびシートリクライニングチェアー、シート、ソファー、ベッド、およびソファーベッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態のシートリクライニングチェアーを、最もコンパクトに折り畳んだ状態、すなわち背もたれを畳んだ状態を示す側面図である。
【
図2】
図1の状態から、背もたれを約90°起こした状態を示す側面図である。
【
図3】
図2の状態から、背もたれを、約45°さらに起こした状態を示す側面図である。
【
図4】
図3の状態から、背もたれを、約45°さらに起こした状態を示す側面図である。
【
図5】従来技術のリクライニングチェアーに人間が座った状態を示す側面図である。
【
図6】従来技術のリクライニングチェアーに人間が座った状態から背もたれを起こした状態を示す側面図である。
【
図7】
図6の状態から、さらに背もたれを起こした状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(シートリクライニングチェアーの構成および動作)
以下、本実施の形態のシートリクライニングチェアー1の構成および動作について、
図1、
図2、
図3、および
図4に基づいて説明する。シートリクライニングチェアー1は、座面10の第1の端部11と、背もたれ20の第2の端部21とに、共通する第1の回転軸30を有している。そして、第1の回転軸30で座面10と、背もたれ20とが、回転可能に連結している。そして、座面10の第1の端部11とは反対側の第3の端部12と、背もたれ20の第2の端部21とは反対側の第4の端部22とを有している。そして、座面10の裏側から、座面10の第3の端部12側から座面10の第1の端部11側へと寄った位置を、第1の回転軸30と平行な第2の回転軸31で、リンク40の一端41と回転可能に連結する。そして、背もたれの第2の端部21側から背もたれの第4の端部22側に寄った位置と、フレーム50の一端51とを、それらに共通する、第1の回転軸30と平行な第3の回転軸32で、回転可能に連結する。そして、フレーム50の一端51とは反対側の他端52と、リンク40の一端41とは反対側の他端42とを、それらに共通する、第1の回転軸30と平行な第4の回転軸33で、回転可能に連結している。
【0013】
まず、
図1に示すシートリクライニングチェアー1の状態から、背もたれ20を、
図2の矢印Aの方向に起こし、座面10と背もたれ20が、約90°をなすようにする。このとき、座面10に取り付けられた、第1の回転軸30に、背もたれ20の、かぎ状の最深部の第2の端部21が、係合する。なお、第1の回転軸30は、棒状のものが、
図2、
図3および
図4の紙面奥から紙面手前に向かって突出している(第2の回転軸31、第3の回転軸32、第4の回転軸33も同様)。
【0014】
次に、
図2に示すシートリクライニングチェアー1の状態から、背もたれ20を、
図3の矢印Bの方向に背もたれ20を、約45°さらに起こす。すると、座面10に取り付けられた、第1の回転軸30に、背もたれ20の、かぎ状の最深部の第2の端部21が係合した状態を保ちつつ、第3の回転軸32を軸として、背もたれ20が、矢印Cの方向へゆりかごのように移動する。
【0015】
すると、そのゆりかごのような移動の動作に伴って、座面10の第3の端部12側が、矢印Dの方向に動く。それに伴ってリンク40の一端41が、矢印Eの方向に動く。その際、リンク40が、第2の回転軸31と第4の回転軸33の回転によって、矢印DとEの方向への動きを実現する。
【0016】
次に、
図3に示すシートリクライニングチェアー1の状態から、背もたれ20を、
図4の矢印Fの方向に背もたれ20を、約45°さらに起こす。すると、座面10に取り付けられた、第1の回転軸30と、背もたれ20の、かぎ状の最深部の第2の端部21が係合の角度を変えて、その係合部が、矢印Gの方向、つまり、
図4の上方に動く。そして、座面10と背もたれ20の背もたれ面とが、略同一平面になる。
【0017】
また、その動きに連動して、リンク40が矢印Hの方向に、第2の回転軸31と第4の回転軸33の回転により動き、リンク40を直立するに近い状態にしている。
【0018】
以上に説明をしたような、シートリクライニングチェアー1の各動作を実現するのが、本実施の形態のリクライニング機構である。
【0019】
(本実施の形態によって得られる主な効果)
本実施の形態では、
図1の状態から背もたれ20を約135°起こした、
図3に示す、座面10の第3の端部12側から第1の端部11側の傾斜、すなわち座面10後方に滑る傾斜を有している。それにより、
図6に示す、座り心地が悪くなる原因の、下半身がシート前方に滑る分力(γ)が生じない。そのため、座り心地が良好とすることが可能な、シートリクライニング機構およびシートリクライニングチェアー1を提供することができる。
【0020】
本実施の形態では、背もたれ20を約180°起こしたとき、
図4に示す、座面10と背もたれ20の上面が略同一平面となる。この状態は、
図7に示すように、背もたれ83と座面81に段差(S)ができるため寝心地が悪くなる不都合を解消している。つまり、本実施の形態では、寝心地を良好とすることが可能な、シートリクライニング機構およびシートリクライニングチェアー1を提供することができる。
【0021】
本実施の形態のシートリクライニング機構およびシートリクライニングチェアー1は、背もたれ20を起こすだけで、
図2、
図3および
図4に示す状態を形成することができる。たとえば、回転リクライニングチェアのように回転部材を要することもない。すなわち、非常に簡単で単純な構成で、リクライニング機構を形成できている。
【0022】
(他の形態)
上述した本実施の形態に係るシートリクライニング機構およびシートリクライニングチェアー1は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0023】
たとえば、本実施の形態のシートリクライニングチェアー1は、
図2に示す状態、
図3に示す状態、および
図4に示す状態を維持すなわち固定的にし、それらの間の背もたれ20等の動作をスムーズに行うようにしても良い。そのためには、たとえば、背もたれ20の動きだけを、
図2に示す状態、
図3に示す状態、および
図4に示す状態のときだけ固定的にすれば良い。
【0024】
また、本実施の形態のシートリクライニングチェアー1は、フレーム50の側面形状が、Cの字状となっている。しかし、フレーム50の形状は、これに限らず種々の形状とすることができる。
【0025】
また、本実施の形態のシートリクライニングチェアー1は、座面10が第1の端部11と第3の端部12を有し、背もたれ20が第2の端部21と第4の端部22とを有している。これらの各端部は、厳密な意味での「端」を指さなくとも、「端」に近い位置を称して「端部」と言っている場合があり、「端部」の意味する範囲は広い。
【0026】
また、本実施の形態のシートリクライニングチェアー1は、座面10の裏側から、座面10の第3の端部12側から座面10の第1の端部11側へと寄った位置を、第1の回転軸30と平行な第2の回転軸31で、リンク40の一端41と回転可能に連結することとしている。この「座面10の第3の端部12側から座面10の第1の端部11側へと寄った位置」は、
図2、
図3、および
図4に示した位置に限定されず、他の位置であっても良い。
【0027】
また、本実施の形態のシートリクライニングチェアー1は、背もたれの第2の端部21側から背もたれの第4の端部22側に寄った位置と、フレーム50の一端51とを、それらに共通する、第1の回転軸30と平行な第3の回転軸32で、回転可能に連結することとしている。この「背もたれの第2の端部21側から背もたれの第4の端部22側に寄った位置」は、
図2、
図3、および
図4に示した位置に限定されず、他の位置であっても良い。
【0028】
また、本実施の形態のシートリクライニングチェアー1は、リンク40を機械式リンクとしている。しかしながらリンク40は、ギヤ連結、ベルト連結、または電気式リンクとしても良い。
【0029】
また、本実施の形態のシートリクライニングチェアー1は、そのリクライニング機構を有する、シート、ソファー、ベッド、およびソファーベッド等に転用できる。その際、ベッドに関しては、座面10および背もたれ20がない。しかし、ベッドの上面のうち、人間の背中を支える部分が背もたれ20、人間のお尻を支えるのが座面10と考えるのが妥当である。
【0030】
さらに、本実施の形態、のシートリクライニングチェアー1は、そのリクライニング機構を有する、チルトアップ機能付きシート、チェアー、ベッド、ならびにソファーベッド等にも転用できる。ここで、チルトアップ機能とは、背もたれ20、座面10、およびフットレストが、機械的または電気的に連動するリクライニング機構である。
【符号の説明】
【0031】
1 シートリクライニングチェアー
10 座面
11 第1の端部
12 第3の端部
20 背もたれ
21 第2の端部
22 第4の端部
30 第1の回転軸
31 第2の回転軸
32 第3の回転軸
33 第4の回転軸
40 リンク
41 一端(リンクの)
42 他端(リンクの)
50 フレーム
51 一端(フレームの)
52 他端(フレームの)