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特開2024-80329車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080329
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20240606BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240606BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20240606BHJP
【FI】
B60W30/10
G08G1/16 C
B60W40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193425
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】井上 大地
(72)【発明者】
【氏名】田村 祥
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BB31
3D241BB45
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE06
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DC35Z
3D241DC39Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】カメラ画像に写された道路区画線と地図情報に記憶される道路区画線との間に乖離が発生した場合であっても、車両を適切に走行させること。
【解決手段】車両の周辺状況を撮像したカメラ画像を取得する取得部と、前記カメラ画像に写された道路区画線によって規定される走路形状を含む第1情報と、地図情報に記憶される道路区画線によって規定される走路形状を含む第2情報とに基づいて、前記車両が走行可能な領域である走行可能領域を生成する走行可能領域生成部と、生成された前記走行可能領域を走行するように前記車両の走行を制御する走行制御部と、を備え、前記走行可能領域生成部は、前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標に関する情報に基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された前記優先情報から前記走行可能領域を生成する、車両制御装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺状況を撮像したカメラ画像を取得する取得部と、
前記カメラ画像に写された道路区画線によって規定される走路形状を含む第1情報と、
地図情報に含まれる道路区画線によって規定される走路形状を含む第2情報とに基づいて、前記車両が走行可能な領域である走行可能領域を生成する走行可能領域生成部と、
生成された前記走行可能領域を走行するように前記車両の走行を制御する走行制御部と、を備え、
前記走行可能領域生成部は、前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標に関する情報にさらに基づいて、
前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された前記優先情報から前記走行可能領域を生成する、
車両制御装置。
【請求項2】
前記走行可能領域生成部は、前記第1情報に含まれる走路形状と、前記第2情報に含まれる走路形状と、前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標とを同一の座標系にプロットし、
前記走行可能領域生成部は、前記座標系において、前記静止物標が前記第1情報に含まれる前記走路形状内にある場合には、前記第2情報を前記優先情報として設定する一方、前記静止物標が前記第2情報に含まれる前記走路形状内にある場合には、前記第1情報を前記優先情報として設定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記走行可能領域生成部は、前記第1情報と、前記第2情報と、前記静止物標とを同一の座標系にプロットし、
前記走行可能領域生成部は、前記静止物標を、車両を表す車両静止物標と、非車両を表す非車両静止物標とに分類し、
前記走行可能領域生成部は、前記車両静止物標が、前記第1情報と前記第2情報とのうちの一方に含まれる前記走路形状内にあり、かつ一以上の前記非車両静止物標が前記第1情報と前記第2情報とのうちの他方に含まれる前記走路形状内に配置されている場合、前記第1情報と前記第2情報とのうちの他方を前記優先情報として設定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記走行可能領域生成部は、前記車両が分岐路付近に存在すると判定した場合、前記第1情報と、前記第2情報とに基づいて前記走行可能領域を生成する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記走行可能領域生成部は、前記第1情報および前記第2情報を、前記車両の前方にある左側道路区画線および右側道路区画線によって挟まれる領域として設定し、設定された前記領域内にプロットされた前記一以上の静止物標に関する情報に基づいて、前記走行可能領域を生成する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記走行可能領域生成部は、前記一以上の静止物標の検出サイズに対して余裕サイズを付加することによって得られた前記一以上の静止物標を含む領域に基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、前記走行可能領域を生成する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
コンピュータが、
車両の周辺状況を撮像したカメラ画像を取得し、
前記カメラ画像に写された道路区画線によって規定される走路形状を含む第1情報と、地図情報に記憶される道路区画線によって規定される走路形状を含む第2情報とに基づいて、前記車両が走行可能な領域である走行可能領域を生成し、
生成された前記走行可能領域を走行するように前記車両の走行を制御し、
前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標に関する情報にさらに基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された前記優先情報から前記走行可能領域を生成する、
車両制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、
車両の周辺状況を撮像したカメラ画像を取得させ、
前記カメラ画像に写された道路区画線によって規定される走路形状を含む第1情報と、地図情報に記憶される道路区画線によって規定される走路形状を含む第2情報とに基づいて、前記車両が走行可能な領域である走行可能領域を生成させ、
生成された前記走行可能領域を走行するように前記車両の走行を制御させ、
前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標に関する情報にさらに基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された前記優先情報から前記走行可能領域を生成させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が搭載するカメラによって撮像された周辺状況を表すカメラ画像と、地図情報とを照合することによって、当該車両の位置を特定し、特定した位置に基づいて車両を走行させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、デッドレコニングによって車両の移動量を算出し、算出した車両の移動量に基づいて第1自車位置を算出し、撮像装置が撮影した画像と地図とを照合することで第2自車位置を算出し、第1自車位置及び第2自車位置に基づいて地図上の車両の位置を推定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-104150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、車両が道路の分岐部を走行する際に、カメラ画像に写された道路区画線と、地図情報に含まれる道路区画線との間に乖離が発生し、車両を適切に走行させることができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、カメラ画像に写された道路区画線と地図情報に含まれる道路区画線との間に乖離が発生した場合であっても、車両を適切に走行させることができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両制御装置は、車両の周辺状況を撮像したカメラ画像を取得する取得部と、前記カメラ画像に写された道路区画線によって規定される走路形状を含む第1情報と、地図情報に含まれる道路区画線によって規定される走路形状を含む第2情報とに基づいて、前記車両が走行可能な領域である走行可能領域を生成する走行可能領域生成部と、生成された前記走行可能領域を走行するように前記車両の走行を制御する走行制御部と、を備え、前記走行可能領域生成部は、前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標に関する情報にさらに基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された前記優先情報から前記走行可能領域を生成するものである。
【0007】
(2):前記走行可能領域生成部は、前記第1情報に含まれる走路形状と、前記第2情報に含まれる走路形状と、前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標とを同一の座標系にプロットし、前記走行可能領域生成部は、前記座標系において、前記静止物標が前記第1情報に含まれる前記走路形状内にある場合には、前記第2情報を前記優先情報として設定する一方、前記静止物標が前記第2情報に含まれる前記走路形状内にある場合には、前記第1情報を前記優先情報として設定するものである。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記走行可能領域生成部は、前記第1情報と、前記第2情報と、前記静止物標とを同一の座標系にプロットし、前記走行可能領域生成部は、前記静止物標を、車両を表す車両静止物標と、非車両を表す非車両静止物標とに分類し、前記走行可能領域生成部は、前記車両静止物標が、前記第1情報と前記第2情報とのうちの一方に含まれる前記走路形状内にあり、かつ一以上の前記非車両静止物標が前記第1情報と前記第2情報とのうちの他方に含まれる前記走路形状内に配置されている場合、前記第1情報と前記第2情報とのうちの他方を前記優先情報として設定するものである。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記走行可能領域生成部は、前記車両が分岐路付近に存在すると判定した場合、前記第1情報と、前記第2情報とに基づいて前記走行可能領域を生成するものである。
【0010】
(5):上記(1)の態様において、前記走行可能領域生成部は、前記第1情報および前記第2情報を、前記車両の前方にある左側道路区画線および右側道路区画線によって挟まれる領域として設定し、設定された前記領域内にプロットされた前記一以上の静止物標に関する情報に基づいて、前記走行可能領域を生成するものである。
【0011】
(6):上記(1)の態様において、前記走行可能領域生成部は、前記一以上の静止物標の検出サイズに対して余裕サイズを付加することによって得られた前記一以上の静止物標を含む領域に基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、前記走行可能領域を生成するものである。
【0012】
(7):この発明の別の態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、車両の周辺状況を撮像したカメラ画像を取得し、前記カメラ画像に写された道路区画線によって規定される走路形状を含む第1情報と、地図情報に含まれる道路区画線によって規定される走路形状を含む第2情報とに基づいて、前記車両が走行可能な領域である走行可能領域を生成し、生成された前記走行可能領域を走行するように前記車両の走行を制御し、前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標に関する情報に基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された前記優先情報から前記走行可能領域を生成するものである。
【0013】
(8):この発明の別の態様に係るプログラムは、コンピュータに、車両の周辺状況を撮像したカメラ画像を取得させ、前記カメラ画像に写された道路区画線によって規定される走路形状を含む第1情報と、地図情報に含まれる道路区画線によって規定される走路形状を含む第2情報とに基づいて、前記車両が走行可能な領域である走行可能領域を生成させ、生成された前記走行可能領域を走行するように前記車両の走行を制御させ、前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標に関する情報に基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された前記優先情報から前記走行可能領域を生成させるものである。
【発明の効果】
【0014】
(1)~(8)の態様によれば、カメラ画像に写された道路区画線と地図情報に含まれる道路区画線との間に乖離が発生した場合であっても、車両を適切に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。
図2】第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。
図3】静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係に関するパターンの一例を示す図である。
図4】静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係に関するパターンの別の例を示す図である。
図5】静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係に関するパターンの別の例を示す図である。
図6】静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係に関するパターンの別の例を示す図である。
図7】車両制御装置によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0018】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。自動運転制御装置100は、「車両制御装置」の一例である。
【0019】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0020】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0021】
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0022】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。
【0023】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0024】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0025】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0026】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0027】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0028】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0029】
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステアリングホイール、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。
【0030】
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160とを備える。第1制御部120と第2制御部160は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0031】
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
【0032】
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0033】
また、認識部130は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
【0034】
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0035】
走行可能領域生成部132は、カメラ10によって撮像された画像から認識された道路区画線によって規定される走路形状(例えば、認識された両側の道路区画線に挟まれる領域であり、「第1情報」の一例である)と、第2地図情報62に含まれる道路区画線によって規定される走路形状(例えば、第2地図情報62に含まれる両側の道路区画線に挟まれる領域であり、「第2情報」の一例である)とに基づいて、自車両Mが走行可能な領域である走行可能領域を生成する。走行可能領域生成部132は、例えば、カメラ10によって撮像された画像から認識された道路区画線(以下、「カメラ道路区画線」と称する)と、第2地図情報62に含まれる道路区画線(以下、「地図道路区画線」と称する)とが乖離しているか否かを判定し、カメラ道路区画線と地図道路区画線とが乖離していない場合には、これら道路区画線によって規定される走路形状を走行可能領域として生成する。カメラ道路区画線と地図道路区画線とが乖離した場合の処理については後述する。
【0036】
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自車両Mが自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する目標軌道を、走行可能領域生成部132によって生成された走行可能領域を通過するように生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0037】
行動計画生成部140は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、低速追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント、テイクオーバーイベントなどがある。行動計画生成部140は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。
【0038】
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0039】
図2に戻り、第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0040】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0041】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0042】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0043】
[走行可能領域生成部の動作]
上述した通り、走行可能領域生成部132は、カメラ道路区画線によって規定される走路形状(以下、「カメラ走路形状」と称する)と、地図道路区画線によって規定される走路形状(以下、「地図走路形状」と称する)とに基づいて、自車両Mの走行可能領域を生成し、行動計画生成部140は、生成された走行可能領域を通過するように自車両Mの目標軌道を生成する。しかしながら、例えば、自車両Mが分岐路付近を走行する場合、カメラ道路区画線と地図道路区画線とに乖離が発生し、走行可能領域を適切に認識できない場合がある。
【0044】
本発明は、このような事情を背景にして、分岐路付近において、カメラ道路区画線と地図道路区画線とに乖離が発生した場合であっても、カメラ画像に写された静止物標に関するパターンに基づいて、自車両Mの走行可能領域を適切に生成可能とするものである。より具体的には、走行可能領域生成部132は、カメラ画像に写された静止物標を、任意の画像処理によって、車両を表す車両静止物標と、非車両を表す非車両静止物標とのいずれかに分類し、分類された車両静止物標および非車両静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係のパターンに基づいて、カメラ走路形状と地図走路形状のいずれかを優先情報として設定する。走行可能領域生成部132は、優先情報として設定されたカメラ走路形状と地図走路形状のいずれかを走行可能領域として生成する。
【0045】
以下、静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係のパターンと、当該パターンにおいて設定される優先情報について説明する。なお、以下で説明する処理は、走行可能領域生成部132が、分岐路において、カメラ道路区画線と地図道路区画線との間の乖離を検知した場合(例えば、カメラ道路区画線を構成する点群と地図道路区画線を構成する点群との間の距離の和が閾値以上となった場合)に実行するものとする。自車両Mが分岐路にいるか否かは、例えば、カメラ画像に基づいて判定してもよいし、第2地図情報62に基づいて判定してもよい。
【0046】
図3は、静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係に関するパターンの一例を示す図である。図3において、符号MLは地図道路区画線を表し、符号CLはカメラ道路区画線を表し、符号ALは実際の道路区画線を表し、符号TTは生成された目標軌道を表し、符号M1は、検出された静止車両を表す。すなわち、両側のカメラ道路区画線CLによって規定される走路形状がカメラ走路形状を表し、両側の地図道路区画線MLによって規定される走路形状が地図走路形状を表す。走行可能領域生成部132は、カメラ画像に含まれるカメラ走路形状および静止物標と、第2地図情報62に含まれる地図走路形状とを同一の座標系(図3では、xy平面)に統合してプロットすることにより、相互の比較を可能とする。例えば、走行可能領域生成部132は、カメラ10が設置された自車両Mの位置と、第2地図情報62における自車両Mの位置とをマッチングすることにより、カメラ走路形状および静止物標と、地図走路形状とを同一の座標系に統合してプロットすることができる。
【0047】
走行可能領域生成部132は、検出された静止車両M1がカメラ走路形状と地図走路形状のいずれに位置するかを判定し、静止車両M1がカメラ走路形状内にある場合には、地図走路形状を優先情報として設定する。一方、走行可能領域生成部132は、静止車両M1が地図走路形状内にある場合には、地図走路形状を優先情報として設定する。図3のパターン(a)は、静止車両M1がカメラ走路形状内に位置すると判定されて地図走路形状が優先情報として設定された場合を表し、図3のパターン(b)は、静止車両M1が地図走路形状内に位置すると判定されてカメラ走路形状が優先情報として設定された場合を表す。そのため、図3のパターン(a)において、走行可能領域生成部132は、地図走路形状を走行可能領域として生成して、行動計画生成部140は、生成された走行可能領域を通過するように自車両Mの目標軌道TTを生成する。一方、図3のパターン(b)において、走行可能領域生成部132は、カメラ走路形状を走行可能領域として生成して、行動計画生成部140は、生成された走行可能領域を通過するように自車両Mの目標軌道TTを生成する。なお、本発明において、「走路形状内に位置する」とは、検出した静止物標が走路形状に完全に包含されることであってもよいし、又は走路形状に部分的に(例えば、所定面積以上)含まれることであってもよい。また、例えば、検出した静止物標の少なくとも一部が走路形状内に位置し、かつ自車両Mが走行可能な空間が走路形状内に存在しない場合に、「走路形状内に位置する」と判定されてもよい。本実施形態では、走行可能領域生成部132は、静止物標のうちの所定面積以上が走路形状に包含される場合、当該静止物標が走路形状内に位置するものと判定するものとする。
【0048】
図4は、静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係に関するパターンの別の例を示す図である。図4に示すパターン(c)は、検出された静止車両M1がカメラ走路形状と地図走路形状の双方に跨っている状況を表している。走行可能領域生成部132は、検出された静止車両M1がカメラ走路形状と地図走路形状の双方に跨っていると判定された場合、地図走路形状を優先情報として設定して、地図走路形状を走行可能領域として生成する。行動計画生成部140は、生成された走行可能領域を通過するように自車両Mの目標軌道TTを生成する。すなわち、このとき、走行可能領域生成部132は、分岐路の存在によって、カメラ道路区画線が本線から分岐路の方向に乖離したと判断して、地図走路形状を優先情報として設定する。
【0049】
このとき図4に示す通り、行動計画生成部140は、地図走路形状を通過するように自車両Mの目標軌道TTを生成しているが、地図走路形状には静止車両M1が存在するため、第2制御部160は、自車両Mを目標軌道TTに沿って走行させるにあたり、減速制御を行う。以下の説明においても同様に、優先情報として設定されたカメラ走路形状又は地図走路形状に静止物標が存在する場合には、第2制御部160は、少なくとも、当該静止物標の近傍において自車両Mの減速制御を行うものとする。
【0050】
図5は、静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係に関するパターンの別の例を示す図である。図5において、符号O1および符号O2は、カメラ画像から検知された非車両静止物標を表す。走行可能領域生成部132は、検出された静止車両M1がカメラ走路形状と地図走路形状のいずれかに位置し、かつ一以上の非車両静止物標がカメラ走路形状と地図走路形状のうちの他方によって表される走路形状に配置されている場合、当該他方の走路形状を優先情報として設定する。すなわち、走行可能領域生成部132は、非車両静止物標に比して、車両静止物標が存在する方の走路形状がより信頼性が高いものと評価する。図5のパターン(d)は、静止車両M1が地図走路形状内に位置し、かつ非車両静止物標O1およびO2がカメラ走路形状内に位置すると判定されて地図走路形状が優先情報として設定された場合を表し、図5のパターン(e)は、静止車両M1がカメラ走路形状内に位置し、かつ非車両静止物標O1およびO2が地図走路形状内に位置すると判定されてカメラ走路形状が優先情報として設定された場合を表す。そのため、図5のパターン(d)において、走行可能領域生成部132は、地図走路形状を走行可能領域として生成して、行動計画生成部140は、生成された走行可能領域を通過するように自車両Mの目標軌道TTを生成する。一方、図5のパターン(e)において、走行可能領域生成部132は、カメラ走路形状を走行可能領域として生成して、行動計画生成部140は、生成された走行可能領域を通過するように自車両Mの目標軌道TTを生成する。
【0051】
さらに、走行可能領域生成部132は、検出された静止物標の検出サイズに対して、余裕サイズ(マージン)を付加することによって得られた領域に基づいて、走行可能領域を生成してもよい。図6は、静止物標と、カメラ走路形状および地図走路形状との位置関係に関するパターンの別の例を示す図である。図6に示すパターン(f)は、検出された静止車両M1が地図走路形状に含まれる面積が小さい(すなわち、所定面積以下である)状況を表している。このとき、走行可能領域生成部132は、検出された静止車両M1が地図走路形状に含まれる面積が小さい場合であっても、検出された静止車両M1の検出サイズに対して余裕サイズ(図6の斜線部)を付加することによって得られた領域の面積が所定面積以上である場合には、検出された静止車両M1が地図走路形状に含まれるものと判定してもよい。その場合、図3のパターン(b)と同様に、走行可能領域生成部132は、カメラ走路形状を走行可能領域として生成して、行動計画生成部140は、生成された走行可能領域を通過するように自車両Mの目標軌道TTを生成する。同様に、走行可能領域生成部132は、検出された静止車両M1がカメラ走路形状に含まれる面積が小さい場合であっても、検出された静止車両M1の検出サイズに対して余裕サイズを付加することによって得られた領域の面積が所定面積以上である場合には、検出された静止車両M1がカメラ走路形状に含まれるものと判定し、地図走路形状を走行可能領域として生成してもよい。
【0052】
また、例えば、図6のパターン(f)において、走行可能領域生成部132は、静止物標の検出サイズに対して余裕サイズを付加した領域の端部と地図道路区画線MLとの間の距離dを計測し、計測された距離dが閾値Th(例えば、自車両Mの横幅)以上である場合には、地図走路形状を走行可能領域として生成してもよい。この場合、走行可能領域生成部132は、自車両Mの速度や他車両M1との間の距離に応じて、当該余裕サイズを可変にしてもよい。例えば、走行可能領域生成部132は、自車両Mの速度が大きくなればなるほど、余裕サイズを大きく設定してもよいし、他車両M1との間の前方距離が小さくなればなるほど、余裕サイズを大きく設定してもよい。
【0053】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る車両制御装置によって実行される処理の流れについて説明する。図7は、車両制御装置によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートの処理は、例えば、自車両Mが走行中、繰り返し実行されるものである。
【0054】
まず、認識部130は、分岐路を検知したか否かを判定する(ステップS100)。分岐路を検知していないと判定された場合、認識部130は、本フローチャートの処理を終了する。一方、分岐路を検知したと判定された場合、認識部130は、カメラ道路区画線CLと地図道路区画線MLとの間に乖離が発生しているか否かを判定する(ステップS102)。カメラ道路区画線CLと地図道路区画線MLとの間に乖離が発生していないと判定された場合、認識部130は、本フローチャートの処理を終了する。一方、カメラ道路区画線CLと地図道路区画線MLとの間に乖離が発生していると判定された場合、次に、認識部130は、カメラ画像から静止物標を検出したか否かを判定する(ステップS104)。カメラ画像から静止物標を検出していないと判定された場合、認識部130は、本フローチャートの処理を終了する。
【0055】
カメラ画像から静止物標を検出したと判定された場合、走行可能領域生成部132は、カメラ画像からカメラ道路区画線CLによって規定されるカメラ走路形状を取得するとともに、第2地図情報62から地図走路形状を取得する(ステップS106)。次に、走行可能領域生成部132は、取得したカメラ走路形状と、地図走路形状と、静止物標とを同一の座標系にプロットする(ステップS108)。次に、走行可能領域生成部132は、プロットされた情報に基づいて、パターン(a)からパターン(f)のいずれかが成立するか否かを判定する(ステップS110)。
【0056】
パターン(a)からパターン(f)のいずれも成立しないと判定された場合、走行可能領域生成部132は、成立したパターンに従って、上述した方法により、走行可能領域を生成する(ステップS112)。次に、行動計画生成部140は、生成された走行可能領域を通過するように自車両Mの目標軌道TTを生成し、第2制御部160は、生成された目標軌道TTに沿って自車両Mを走行させる。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0057】
なお、上記のフローチャートのステップS110において、走行可能領域生成部132は、パターン(a)からパターン(f)のいずれかが成立するか否かを判定しているが、本発明はそのような構成に限定されず、パターン(a)からパターン(f)の一部(例えば、パターン(a)からパターン(c))のうちのいずれかが成立するか否かを判定してもよい。
【0058】
以上の通り説明した本実施形態によれば、自車両Mが分岐路付近を走行中、カメラ画像に写された道路区画線によって規定されるカメラ走路形状と、地図情報に含まれる道路区画線によって規定される地図走路形状と、検出された静止物標とに基づいて、カメラ走路形状と地図走路形状とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された優先情報から走行可能領域を生成する。これにより、カメラ画像に写された道路区画線と地図情報に含まれる道路区画線との間に乖離が発生した場合であっても、車両を適切に走行させることができる。
【0059】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
車両の周辺状況を撮像したカメラ画像を取得し、
前記カメラ画像に写された道路区画線によって規定される走路形状を含む第1情報と、地図情報に含まれる道路区画線によって規定される走路形状を含む第2情報とに基づいて、前記車両が走行可能な領域である走行可能領域を生成し、
生成された前記走行可能領域を走行するように前記車両の走行を制御し、
前記第1情報又は前記第2情報に含まれる一以上の静止物標に関する情報に基づいて、前記第1情報と前記第2情報とのうちのいずれか一方を優先情報として設定し、設定された前記優先情報から前記走行可能領域を生成する、
ように構成されている、車両制御装置。
【0060】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 カメラ
12 レーダ装置
14 LIDAR
16 物体認識装置
100 自動運転制御装置
120 第1制御部
130 認識部
132 走行可能領域生成部
140 行動計画生成部
160 第2制御部
162 取得部
164 速度制御部
166 操舵制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7