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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080339
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】空気回路及び工作機械
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/16 20060101AFI20240606BHJP
   B23Q 1/72 20060101ALI20240606BHJP
   B23Q 5/26 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G05D16/16 J
B23Q1/72 A
B23Q5/26 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193442
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】391003668
【氏名又は名称】トーヨーエイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 省二
(72)【発明者】
【氏名】宮島 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】森分 勇磨
(72)【発明者】
【氏名】谷川 恵太
(72)【発明者】
【氏名】木邑 達男
【テーマコード(参考)】
3C048
5H316
【Fターム(参考)】
3C048BC03
3C048DD01
3C048EE10
5H316AA18
5H316BB02
5H316CC04
5H316DD17
5H316EE12
5H316GG01
5H316JJ01
5H316LL01
5H316LL03
(57)【要約】
【課題】1次側を流れているエアに、変化を生じさせることなく、レギュレータからリリーフするエアを1次側に戻す。
【解決手段】空圧源から空圧シリンダ10に高圧エアを送り込むメイン配管20中に設けられた、空圧レギュレータ30からリリーフされるエアを、逆止弁22を有する戻し配管21内へ溜めることで、1次圧よりも高い圧力が形成された後、逆止弁22が開き、空圧レギュレータ30の1次側31に戻す空気回路50において、戻し配管21からメイン配管20との交わる合流部及び合流部から空圧レギュレータの1次側に戻す配管で、メイン配管20中の空圧レギュレータ30の1次側31へ向かうエアの流れに意図的に圧力損失を生じさせ、空圧レギュレータ30に高圧のエアが流れ込むのを防止する、圧力損失部51を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧源から空圧シリンダに高圧エアを送り込むメイン配管中に設けられた、空圧レギュレータからリリーフされるエアを、逆止弁を有する戻し配管内へ溜めることで、1次圧よりも高い圧力が形成された後、前記逆止弁が開き、前記空圧レギュレータの1次側に戻す空気回路であって、
前記戻し配管から前記メイン配管との交わる合流部及び前記合流部から前記空圧レギュレータの1次側に戻す配管において、前記メイン配管中の前記空圧レギュレータの1次側へ向かうエアの流れに意図的に圧力損失を生じさせ、前記空圧レギュレータに高圧のエアが流れ込むのを防止する、圧力損失部が設けられている
ことを特徴とする空気回路。
【請求項2】
前記圧力損失部が、
前記戻し配管と前記メイン配管との交わる部分に設けた折れ曲がり継手と、
前記戻し配管と前記メイン配管との交わる部分よりも前記空圧レギュレータ側に設けた前記メイン配管の内径よりも内径が小さく、部分的に前記メイン配管の内径を小さくする縮径継手と、
を有し、
前記折れ曲がり継手は、T型継手の対向する開口の一方が閉鎖されたT型継手又は、L型継手である
ことを特徴とする請求項1に記載の空気回路。
【請求項3】
前記圧力損失部が、
前記折れ曲がり継手と前記縮径継手の間に、前記メイン配管から分岐する少なくとも1つの分岐継手を含み、
前記分岐継手は、前記メイン配管と反対側が閉鎖されている
ことを特徴とする請求項2に記載の空気回路。
【請求項4】
前記メイン配管が、上下作動軸の中立を保つ前記空圧シリンダの上昇側にエアを送り込む配管である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の空気回路。
【請求項5】
請求項1に記載の圧力損失部と、メイン配管と、前記メイン配管に接続される空圧レギュレータと、前記空圧レギュレータから前記メイン配管にエアを戻す戻し配管と、
上下作動軸とを備え、
前記メイン配管が、前記上下作動軸の中立を保つ空圧シリンダに接続されている
ことを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空圧レギュレータを有する空気回路及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械における主軸などの、上下を移動する上下作動軸は、その重さが動作に影響を及ぼすため、上下移動時に同等の力になるように中立の力を得た上で、作動させるようにしている。この力を得る手段に空圧シリンダを用い、バランスさせる空圧回路が知られている。このような空圧回路において、圧力を調整可能な空圧レギュレータが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図4に示すような空圧レギュレータ30により必要な圧力(上下動するユニットの重さ)を空圧シリンダ片側に供給し、上下動ユニットの上下作動時に、空圧シリンダが動作に追従していくことで、工作機械のモータ負荷をバランスさせた動作を行っている。
【0004】
そして、上下作動軸が動作する度に下記(1)、(2)のエア供給と排気が行われる。
【0005】
(1)空圧シリンダの供給側に上下作動軸が動作する場合、空圧レギュレータ30の1次側31から2次側32へのエアの流れが起こる。
【0006】
(2)空圧シリンダの排出側に上下作動軸が動作する場合、空圧レギュレータ30の2次側32からエアが戻り、2次側32の圧力が高まるため、空圧レギュレータ30内部のダイヤフラム34を作動させ、ダイヤフラム34を通し、空圧シリンダから戻ってきたエアをリリーフポート33から大気へ逃がしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平5-35887号公報
【特許文献2】実開昭63-1041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(1)の動作時は、空圧レギュレータ30の1次側31から2次側32、空圧シリンダ内にエアが充満し、圧力変動がなければ、動作への影響は少ない。しかし、1次側31で圧力変動が起こると、空圧レギュレータ30の応答により、2次側32に圧力変動が起こる。
【0009】
(2)の動作時は、空圧レギュレータ30の弁体37とダイヤフラム34の開度に変化を生じることで、
・加減速時に空圧レギュレータ30のダイヤフラム34を押す力が変化し、ダイヤフラム34の変動が影響し、軸とエア圧に応差(ヒステリシス)が発生する。これにより、軸動作に影響する。
・ダイヤフラム34から大気開放するため、圧力降下が大きくなる。ダイヤフラム34への力が変動し、エア圧が変化し、振動変動する。これにより、軸動作に影響する。
・ダイヤフラム34から開放に入るため、異音を伴う。管路がラッパ状であることが多く、このために音が増幅されやすい。
・圧縮エアが消滅する。
というような問題が発生し、このような問題を解決するために、ダイヤフラム34からのエアを1次側へ戻すことが考えられる。
【0010】
しかしながら、1次側31にエアを戻すことで、
・1次側31から逆流する。
・空圧レギュレータ30の1次側31の圧力が高まると、空圧レギュレータ30は、2つのバネ力の差でリリーフ量を定めていることから、小さな変動(例えば、0.01MPa程度)であれば、2次圧には変化はないが、大きめの変動(例えば、0.02MPaを超える変動)が起きた場合は、1次圧の高まりにより、比例ほどではないが、2次圧も高まってしまう。さらに、2次側32がリリーフ中にある場合、流量は、重み変動が加算され、さらに大きな変動を起こす。
・動作速度が速くなると配管だけでは対処できない。
というような新たな問題が発生する。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1次側を流れているエアに、変化を生じさせることなく、空圧レギュレータからリリーフするエアを1次側に戻すことを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、この発明では、空圧レギュレータから1次側に戻す配管構造に工夫を加えた。
【0013】
具体的には、第1の発明では、空圧源から空圧シリンダに高圧エアを送り込むメイン配管中に設けられた、空圧レギュレータからリリーフされるエアを、逆止弁を有する戻し配管内へ溜めることで、1次圧よりも高い圧力が形成された後、前記逆止弁が開き、前記空圧レギュレータの1次側に戻す空気回路を対象とし、
前記空気回路では、前記戻し配管から前記メイン配管との交わる合流部及び前記合流部から前記空圧レギュレータの1次側に戻す配管において、前記メイン配管中の前記空圧レギュレータの1次側へ向かうエアの流れに意図的に圧力損失を生じさせ、前記空圧レギュレータに高圧のエアが流れ込むのを防止する、圧力損失部が設けられている。
【0014】
上記の構成によると、空圧レギュラーを介してエアを送り込む場合、空圧レギュレータからリリーフされるエアを、逆止弁を有する戻し配管内へ溜めることで、1次圧よりも高い圧力が形成された後、逆止弁が開き、空圧レギュレータの1次側に戻すことで、空圧シリンダの動作を安定させることができる。このリリーフされるエアを1次側へ戻した点で、レギュレータ側へ続く配管内の圧力変動を防ぐことが必要となる。圧力損失部により、メイン配管中の空圧レギュレータの1次側へ向かうエアの流れに意図的に圧力損失を生じさせ、空圧レギュレータに高圧のエアが流れ込むのを防止する。これにより、空圧シリンダの動作が安定する。
【0015】
第2の発明では、第1の発明において、
前記圧力損失部が、
前記戻し配管と前記メイン配管との交わる部分に設けた折れ曲がり継手と、
前記戻し配管と前記メイン配管との交わる部分よりも前記空圧レギュレータ側に設けた前記メイン配管の内径よりも内径が小さく、部分的に前記メイン配管の内径を小さくする縮径継手と、
を有し、
前記折れ曲がり継手は、T型継手の対向する開口の一方が閉鎖されたT型継手又は、L型継手である。
【0016】
上記の構成によると、少なくとも2種類の異なる継手を接続するという簡単な構成で、空圧レギュレータからリリーフされたエアの流れる方向を変えたり、衝突させたりすることにより、容易に意図的に圧力損失が生じる。
【0017】
第3の発明では、第2の発明において、
前記圧力損失部が、
前記折れ曲がり継手と前記縮径継手の間に、前記メイン配管から分岐する少なくとも1つの分岐継手を含み、
前記分岐継手は、前記メイン配管と反対側が閉鎖されている。
【0018】
上記の構成によると、閉鎖された部分が行き止まりとなり、簡単で接続しやすい圧力損失部が得られる。
【0019】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
前記メイン配管が、上下作動軸の中立を保つ前記空圧シリンダの上昇側にエアを送り込む配管である。
【0020】
上記の構成によると、空圧レギュレータに向かうメイン配管内に圧力変動を生じさせないので、空圧レギュレータの1次側が変動せず、安定した圧力供給を続けることができるため、空圧シリンダの動作が安定する。
【0021】
第5の発明の工作機械は、
第1から第4のいずれか1つの発明の圧力損失部と、メイン配管と、前記メイン配管に接続される空圧レギュレータと、前記空圧レギュレータから前記メイン配管にエアを戻す戻し配管と、
上下作動軸とを備え、
前記メイン配管が、前記上下作動軸の中立を保つ空圧シリンダに接続されている。
【0022】
上記の構成によると、空圧シリンダの動作が安定するので、上下作動軸の中立を安定して達成でき、機械加工を安定して高精度で行える。例えば、空圧シリンダの加減速時のエアの速度が低速となると、排出圧力も下がる。これにより、空圧レギュレータの位置に近い側へ排気する流れ(位置)を変えることが可能となる。このことは、空圧シリンダの反転時に起こる、排気から供給形態の変化に伴い起こる、空圧レギュレータから空圧シリンダへの供給動作に対し、空圧レギュレータに、より高い圧力でのエア供給を可能としており、動作に対する空圧シリンダの応答性が向上する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、圧力損失部を設け、メイン配管中の空圧レギュレータの1次側へ向かうエアの流れに意図的に圧力損失を生じさせ、空圧レギュレータに高圧のエアが流れ込むのを防止することにより、1次側を流れているエアに、変化を生じさせることなく、レギュレータからリリーフするエアを1次側に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る空気回路を有する工作機械の概略を示す斜視図である。
図2】工作機械の上下作動軸及びその周辺を拡大して示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気回路図である。
図4】空圧レギュレータを拡大して示す断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る圧力損失部としてのT型継手、閉鎖分岐継手部及びその周辺を示す。
図6】本発明の実施形態に係る圧力損失部としての縮径継手及びその周辺を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に本発明の実施形態に係る、NC工作機械よりなる工作機械1を示す。例えば、この工作機械1は、ベッド2と、コラム3と、テーブル4と、ワークWを掴むチャック5と、主軸モータ6と、これらを制御する制御部7とを備えている。そして図2にも示すように、本実施形態のチャック5の回転軸である上下作動軸8は、上下(Y軸方向)に移動可能にコラム3に設けられており、ワークWの位置を上下に微調整可能となっている。そして、コラム3には、上下作動軸8の中立を保つ空圧シリンダ10が、例えば4本並べられている。なお、工作機械1の構成はこれに限定されず、ワーク形状、工具種類など特に限定されない。
【0027】
そして、図3に示すように、これらの空圧シリンダ10には、元圧(空圧源P)からのメイン配管20が接続されている。メイン配管20は、例えば、内径10mmの配管が使用されているが、内径などの構成は、それに限定されない。
【0028】
本実施形態の工作機械1では、コラム3のチャック5に掴んだワークWを回転させながら、上下にワークWの位置を微調整すると共に、テーブル4上の主軸モータ6の位置を微調整して工具(図示せず)の位置を移動させながら機械加工が行えるようになっている。なお、上下作動軸8は、工具が設けられる軸でもよい。
【0029】
そして、本実施形態の空気回路50は、コンプレッサなどの元圧である空圧源Pからメイン配管20が延びており、このメイン配管20は、工作機械1の他系統にも分岐している。そのうちの1つの分岐が、空圧レギュレータ30を介して空圧シリンダ10の上下作動軸8を上昇させる空圧シリンダ10の上昇側圧力室11に接続されている。
【0030】
図4に拡大して示すように、詳しい説明は省略するが、空圧レギュレータ30には、1次側31のポートと、2次側32のポートと、リリーフポート33とを有し、内部にダイヤフラム34と、調圧バネ35と、調圧ハンドル36と、弁体37と、弁バネ38とが設けられている。
【0031】
そして、本実施形態では、図3に示すように、リリーフポート33からの戻し配管21が逆止弁22を介してメイン配管20における空圧レギュレータ30の1次側31に接続されている。逆止弁22は、この1次側31からの逆流を防ぐ役割を果たす。
【0032】
このようにして、空圧源Pから空圧シリンダ10に高圧エアを送り込むメイン配管20中に設けられた、空圧レギュレータ30からリリーフされるエアを、逆止弁22を有する戻し配管21内へ溜めることで、1次圧よりも高い圧力が形成された後、逆止弁22が開き、空圧レギュレータ30の1次側31に戻す空気回路50が得られる。
【0033】
そして、本実施形態の特徴として、図5に示すように、メイン配管20中の1次側から2次側へ流れるエアの流れに逆らう流れを生じさせ、空圧レギュレータ30に高圧のエアが流れ込むのを防止する、圧力損失部51が設けられている。
【0034】
図5に示すように、本実施形態の圧力損失部51は、戻し配管21とメイン配管20との交わる部分に設けた、折れ曲がり継手としてのT型継手40と、図6に示すように、戻し配管21とメイン配管20との交わる部分よりも空圧レギュレータ30側に設けたメイン配管20の内径よりも内径が小さく、部分的にメイン配管20の内径を小さくする縮径継手41とを有する。
【0035】
T型継手40の直管の一方40aに戻し配管21が接続され、T型継手40の直管の他方40bは塞がれ、直管に直行する直交管40cにはメイン配管20が接続されている。なお、この折れ曲がり継手としてのT型継手40は、L型継手(エルボー)で構成してもよい。その場合には、他方40bでの対面に衝突する効果はないが、適度な圧力損失効果はある。
【0036】
本実施形態では、さらに、T型継手40と縮径継手41の間に、メイン配管20から分岐する2つの分岐継手42,43を含む。これらの分岐継手42,43は、メイン配管20と反対側が閉鎖されている。具体的には、T型継手の直交管を塞いで直管部分をメイン配管20に直列に接続するような簡易な構造が考えられる。
【0037】
図5に示すように、T型継手40では、対面側でエアが一杯となり開口部側へ流れ込む、開口部では、流速を伴うため、矢印の傾斜した流れが形成される。壁40dに当たったエアは、その反動で反対側へ矢印で示すような流れを作る。
【0038】
また、図6に示すように、縮径継手41では、縮径部を構成する縮径壁41aに当たった部分で、渦流41bを形成する。この渦流41bは管中央の流れの速い高流速部分20aと干渉し、逆側へ作用する。このように管路の内径を意図的に縮小することで、配管内端面にある抵抗渦流と合わさり、流れを逆向きにする構成ができる。
【0039】
意図的に配置したこれらの継手40,41,42,43により、空圧レギュレータ30側への供給が滞る現象が起き、意図的な圧力損失が生じる。
【0040】
このように、複数の継手の配置と、空圧レギュレータ30の1次側への管路長さとの組み合わせで、リリーフポート33から出たエアを1次側31へ戻すことが可能となる。
【0041】
本実施形態の構成で、1次側31へのエアの戻しを行った場合、送り速度4000mm/minまで、問題なく1次側31へエアを戻すことができた。
【0042】
送り速度4000mm/min動作時の流量は、
4×4×π×(4000/60/10)=334.77cm/sec
である。
【0043】
このような継手と管路長さの組み合わせだけで、実使用範囲の送り速度において、1次側を流れているエアに、変化を生じさせることなく、レギュレータからリリーフするエアを1次側に戻すことができることが分かった。
【0044】
また、メイン配管20や戻し配管21の管路長さを適切に設定することにより、圧力損失の度合いを調整することもできる。
【0045】
-実施例-
本実施例では、上述した実施形態の構成において、圧力差により1次側へ戻ったエアを空圧レギュレータ30に到達するまでの間で、配管形態の損失を利用して空圧レギュレータ30の供給圧力を安定させるようにした。
【0046】
流入する流量は、ダイヤフラム34から逆止弁22までの管容積に対し、流入前後の圧力差により、流入した量を特定し定めた。
【0047】
ダイヤフラム34から逆止弁22までの管容積が0.00862mの場合、圧力降下27.1%にある圧力比より、0.00862×0.271とし、0.42MPaで吐出1回当たりの流量Q=0.002336mとする。開放時ゲージ圧は0.02MPaを示すことから、開放時の大気圧換算値圧力は、0.002336×0.42/0.02より流れる流量を0.049056mと定義する。
【0048】
上記実施形態におけるT型継手40、縮径継手41、分岐継手42,43及び管路長さで圧力損失が生じると仮定した場合、それぞれの揚程損失がT型継手40の他方40bで0.1062m、直交管40cとメイン配管20の合流部で0.675m、縮径継手41の縮径部で0.2145m、出口側の拡径部で0.2145m、管路全町損失で0.001469m、分岐継手42,43で0.1416mとなった。
【0049】
これらの揚程損失を圧力損失に換算すると、およそ0.021MPaとなった。すなわち、本実施例では、逆止弁22から吐出されるエアに対して0.021MPaの圧力損失を意図的に発生できることが分かった。このため、リリーフポート33から出た0.42MPaのエアは、0.42-0.021=0.39MPaとなるが、メイン配管20には、0.4MPaのエアが供給されるので、空圧レギュレータ30の1次側31は、0.4MPaに保たれる。これにより、空圧レギュレータ30の1次側31の圧力を安定した圧力に保つことができることが分かった。
【0050】
したがって、本実施形態に係る空気回路50において、1次側を流れているエアに、変化を生じさせることなく、空圧レギュレータ30からリリーフするエアを1次側に戻すことができる。
【0051】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 工作機械
2 ベッド
3 コラム
4 テーブル
5 チャック
6 軸モータ
7 制御部
8 作動軸
10 空圧シリンダ
11 昇側圧力室
20 メイン配管
20a 高流速部分
21 戻し配管
22 逆止弁
30 空圧レギュレータ
31 1次側
32 2次側
33 リリーフポート
34 ダイヤフラム
35 調圧バネ
36 調圧ハンドル
37 弁体
38 弁バネ
40 T型継手
40a 一方
40b 他方
40c 直交管
40d 壁
41 縮径継手
41a 縮径壁
41b 渦流
42,43 分岐継手
50 空気回路
51 圧力損失部
図1
図2
図3
図4
図5
図6