IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電子装置 図1
  • 特開-電子装置 図2
  • 特開-電子装置 図3
  • 特開-電子装置 図4
  • 特開-電子装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008038
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240112BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240112BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240112BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240112BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G16Y40/10
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109541
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翼
(72)【発明者】
【氏名】太田 宏樹
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181MB02
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】衝突事故が起きうる領域を事前に予測し、車両を制御する電子装置を提供する。
【解決手段】本発明の電子装置(100)は、自車両(10)の自己位置を取得する位置取得部(114)と、地図情報を取得する地図取得部(113)と、自己位置と地図情報とに基づき注意物件を判定する注意物件判定部(122)と、車両のドライバの視線情報を取得する視線情報取得部(111)と、視線情報に基づき注意物件にドライバが視線を向けているかを判定する視線判定部(121)とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の自己位置を取得する位置取得部と、
地図情報を取得する地図取得部と、
前記自己位置と前記地図情報とに基づき注意物件を判定する注意物件判定部と、
前記車両のドライバの視線情報を取得する視線情報取得部と、
前記視線情報に基づき前記注意物件に前記ドライバが視線を向けているかを判定する視線判定部と、を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記視線判定部が前記注意物件に前記ドライバが視線を向けていないと判定したとき、前記ドライバに対して報知を行うと判定する報知判定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記視線判定部の判定結果に基づき、前記注意物件に対面する危険領域に達する前に前記車両に減速をさせるか否かを判定する減速判定部を備えることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記減速判定部は、前記報知判定部の判定に基づく報知が行われた後、前記視線判定部によって前記注意物件に前記ドライバが視線を向けていないと判定された場合に、前記車両に減速をさせると判定することを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記地図情報は物件情報を含み、
前記物件情報と周辺の人流情報を紐づけて取得する人流情報取得部を備え、
前記注意物件判定部は、前記物件情報と前記人流情報とに基づき前記注意物件の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドライバが介入可能な自動運転や、車両の運転支援等(ADASなどドライバに対し、周辺状況の通知をする技術)の自動運転支援技術が種々提案されて実現化されている。自動運転支援装置が搭載された車両(以降、自動運転車)の場合、緊急ブレーキの対応速度には限界がある。
【0003】
したがって、例えば道路幅が比較的狭く、歩道が整備されていない道路である、いわゆる生活道路において、歩行者などの人物の急な飛び出しによる事故発生の可能性が高い。特に、公園、学校、あるいは高齢者施設等の大人数が集まる場所では、人の流れ(以下、人流ともいう)も多く、飛び出しなどの事故が起きる可能性が高い。
【0004】
特許文献1には、自車両の周辺交通における監視対象の接近方向と速度とを検知した周辺情報と、自車両のドライバの視線方向を検知した視線情報と、ドライバによる自車両の操作を検出した操作情報とからドライバの監視レベルを評価し、監視レベルに応じてドライバに注意や制御情報を提供するドライバ監視支援装置の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-012454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動運転車が上記のようなドライバに注意や制御情報を提供する方法では、ドライバへの注意や制御情報の提供のみのため、監視レベルが高い場合でも事前に予測していない状況では死角からの急な飛び出しに対応できず、衝突事故の可能性があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、衝突事故が起きうる領域を事前に予測して車両を制御する電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電子装置は、
車両の自己位置を取得する位置取得部と、
地図情報を取得する地図取得部と、
前記自己位置と前記地図情報とに基づき注意物件を判定する注意物件判定部と、
前記車両のドライバの視線情報を取得する視線情報取得部と、
前記視線情報に基づき前記注意物件に前記ドライバが視線を向けているかを判定する視線判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、衝突事故が起きうる領域を事前に予測して車両を制御する電子装置を提供することができる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の電子装置の概略構成を示す機能ブロック図。
図2】第1実施形態の電子装置におけるドライバ監視制御処理のフローチャート。
図3図1の電子装置における注意物件判定処理と視線判定処理の一例を示す俯瞰図。
図4図1の電子装置における危険領域判定処理の一例を示す俯瞰図。
図5】第2実施形態の電子装置の概略構成を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
なお、以下の各実施形態では、電子装置を左側通行の道路に適用する場合を例に説明するが、電子装置は、右側通行の道路にも適用することができる。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の電子装置の概略構成を示す機能ブロック図、図2は、第1実施形態の電子装置におけるドライバ監視制御処理のフローチャートである。
【0013】
電子装置100は、ドライバに対して運転支援を行う自動運転支援装置を有する車両(自車両)10に搭載される装置である。自動運転支援装置は、例えば、自車両のドライバに対して投影や音で危険を周知させる装置や、自車両の減速に係る装置などを有しており、電子装置100は、これらの自動運転支援装置に対して、後述する視線判定結果を提供する。
【0014】
電子装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力回路、通信回路(いずれも不図示)などを備えたコンピュータシステムで構成される。電子装置100は、RAM、ROMなどに記憶されたコンピュータプログラムをCPUなどが読み込んで実行することにより実現される。
【0015】
電子装置100は、後述する人流情報、地図情報、および位置情報から注意物件を予測し、ドライバの視線に応じてドライバへの報知や自車両を減速させる装置である。電子装置100は、コンピュータプログラムの実行により具現化される機能として、図1に示すように、取得部110と判定部120を有する。
【0016】
取得部110は、視線情報取得部111と、人流情報取得部と112と、地図取得部113と、位置取得部114とを備えている。そして、判定部120は、視線判定部121と、注意物件判定部122と、報知判定部123と、減速判定部124とを備えている。
【0017】
視線情報取得部111は、例えばドライバ監視カメラ131からドライバの視線情報を取得し、注意物件判定部122に提供する。ドライバの視線は、首の角度、目線などを車両内に設置されているドライバ監視カメラ131で監視することにより特定することができる。ドライバの視線情報の取得方法は、例えば、ドライバ監視カメラ131に限らず、ドライバが装着しているジャイロセンサーなどで首の角度を取得し、ドライバがどの方向を向いているかを特定してもよいし、ドライバ監視カメラ131によるドライバの眼球の動きで後述する注意物件度数を特定してもよい。
【0018】
人流情報取得部112は、自車両10の前方にいる歩行者や自転車などの人物を特定し、人流情報として電子装置100で保有する。人物の特定は、自車両10に搭載されている走行周辺を監視する車両前方監視カメラ132やドライブレコーダなどから取得した画像や動画などを用いて行う。なお、人物の特定方法は、人物の属性を特定し、車両前方に飛び出してくる可能性が高い人物をレベルで評価してもよい。人流情報取得部112は、車両前方監視カメラ132で撮像した画像から人流情報を取得し、電子装置100に保有する。人流情報取得部112は、他車両が取得した人流情報をサーバ経由で取得してもよい。
【0019】
地図取得部113は、公園、学校、高齢者施設などの注意物件の物件情報を含んだ高精度地図の地図情報を取得する。地図情報は、自車両10に搭載されたカーナビの地図DB133から取得することができる。高精度地図は、物件情報と人流情報を紐づけることができる。地図取得部113は、電子装置100の外部から通信ネットワークを介して地図情報を受信してもよい。
【0020】
位置取得部114は、自車両10の現在走行している位置を座標によって取得する。自車両10の現在位置の座標は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)134やGPS(Global Positioning System)によって取得することができる。そして、さらにIMU(Inertial Measurement Unit)のようなジャイロセンサーによって自車両10の方位を特定することにより、より高精度な現在位置の判定を行うことができる。なお、位置取得部114は、自ら車両の現在位置を判定してもよいし、電子装置100の外部から車両の現在位置の座標を受信してもよい。
【0021】
視線判定部121は、視線情報取得部111により取得した視線情報と、注意物件判定部122で判定した判定結果とを紐づけて、ドライバが注意物件Aの方向を注視しているかを判定し、報知判定部123と減速判定部124に判定結果を提供する。視線判定部121は、例えば、過去α秒間におけるドライバの視線方向の情報を蓄積して、注意物件A方向への視線がβ秒以上であった回数がγ回以上あった場合、ドライバが注意物件Aの方向を注視していると判定する。α、β、γの値は、過去のドライバの視線情報を蓄積したデータから定めてもよいし、外部から取得した視線情報に関したデータから定めてもよい。
【0022】
注意物件判定部122は、自車両10の現在位置(自己位置)と地図情報とに基づき現在走行中の自車両10の前方に注意物件Aが存在するか否かを判定し、視線判定部121と減速判定部124に判定結果を提供する。地図情報には物件情報が含まれており、注意物件判定部122は、この物件情報に基づいて、自車両10の前方に存在する物件が注意物件Aであるか否かを判定することができる。そして、注意物件判定部122は、さらに人流情報を追加して用いることによって物件が注意物件Aであるか否かについてより高度な判定を行うことができる。
【0023】
報知判定部123は、注意物件Aにドライバが視線を向けていないと視線判定部121によって判定されたときに、ドライバに対して報知を行うと判定する。例えば、自車両10に搭載された報知装置141である車内モニターなどに外界情報を表示することや、警報音などでドライバに報知すること、あるいは、振動装置によってハンドルなどを振動させることにより、ドライバに対して報知を行う。
【0024】
減速判定部124は、視線判定部121、注意物件判定部122、報知判定部123の判定結果に基づいて自車両10を減速させるか否かの判定を行う。減速判定部124は、報知装置141によってドライバに対して報知が行われたにもかかわらず、依然としてドライバが注意物件Aに視線を向けていないと視線判定部121によって判定されたときに、注意物件Aが対面する道路の領域(以下、危険領域)Bに自車両10が達する前に制動装置142により自車両10を減速させる判定を行う。
【0025】
電子装置100には、例えばドライバ監視カメラ131、車両前方監視カメラ132、地図データベース(地図DB)133、GNSS134、報知装置141、制動装置142が接続されている。ドライバ監視カメラ131は、自車両10を運転しているドライバの視線を検知する。車両前方監視カメラ132は、自車両10の前方を撮像する装置であり、単眼カメラやステレオカメラの他、LiDARやミリ波レーダでもよい。
【0026】
次に図2を参照して、ドライバ監視制御処理について説明する。
S201において、位置取得部114は、自車両10が走行している現在位置の座標等を取得する。S202において、地図取得部113は、物件情報を含む、自車両10の周辺の地図情報を取得する。地図取得部113は、地図メッシュ(例えば2km×2km)単位で地図の情報を取得する。S203において、人流情報取得部112は、人流情報を取得する。なお、人流情報をまだ保有していない場所については、S203の処理はスキップして、S204の処理に移行する。
【0027】
S204において、注意物件判定部122は、S201からの座標等の情報とS202からの地図情報から自車両10の現在走行している自己位置と、自車両10周辺の物件情報を特定する。次に、S201~S203において取得した自己位置と地図情報(物件情報)と人流情報に基づいて、人が飛び出してくる可能性がある注意物件Aを判定する。例えば、道路脇の施設に大人数の人が集まっているという人流情報を事前に取得している場合には、その施設は注意物件Aであると判定される。一方、その施設は無人であるという人流情報を事前に取得している場合には、その施設は注意物件Aではないと判定される。S201~S203は例えば100ms周期で行う。ただし、100ms周期は一例であり、周期時間は適宜変更され得るものである。
【0028】
現在走行している自車両10の前方に注意物件Aが無い場合には、ドライバ監視制御処理を継続するか否かを判断すべく、S210の処理に移行する。一方、注意物件Aが自車両10の前方、すなわち進行方向前側に有ると判定した場合、S205に移行する。S205では、視線情報取得部111でドライバの視線情報を取得し、取得した情報を視線判定部121に提供する処理が行われる。そして、S206において、視線判定部121は、視線情報から注意物件Aの方向にドライバの視線が向いているか、つまりドライバが注意物件Aの方向を注視しているかどうかを判定する。
【0029】
図3は、図1の電子装置における注意物件判定処理と視線判定処理の一例を説明する俯瞰図であり、図4は、図1の電子装置における危険領域判定処理の一例を説明する俯瞰図である。
【0030】
図3および図4に示す道路20は、一方通行の道路または車両が相互通行可能な比較的狭い道路幅W1を有する生活道路である。道路20の側方には、道路20に沿って施設が存在しており、注意物件判定部122によってその施設は注意物件Aであると判定されている。自車両10の車内には、ドライバを撮像するドライバ監視カメラ131が搭載されている。本実施形態では、ドライバ監視カメラ131が一つである場合について示しているが、カメラは複数台でもよく、その場合のカメラの設置位置は、任意に定めることができる。
【0031】
視線判定部121は、注意物件Aと道路20との境界のうち、自車両10から見て進行方向手前側の境界点A1と、進行方向奥側の境界点A2を特定する。そして、ドライバ監視カメラ131から境界点A1、A2までそれぞれ直線L1、L2で結んだときに、直線L1、L2の間に挟まれる角度範囲(以下、注意物件度数)θを算出する。視線判定処理では、注意物件度数θ内を自車両10のドライバが注視している場合に、注意物件Aの方向にドライバの視線が向いていると判定する(S206でYes)。視線判定部121は、注意物件Aの方向にドライバの視線が向いていると判定した場合には、本フローの処理を終了する。
【0032】
視線判定部121は、注意物件Aの方向にドライバの視線が向いていないと判定した場合には(S206でNo)、S207に移行する。
【0033】
S207において、注意物件判定部122は、自車両10が注意物件Aの前の道路領域である危険領域Bに到達しているか否かを判定する。注意物件判定部122は、道路20上に設定された境界線B1を自車両10が越えている場合に、自車両10が危険領域Bに進入していると判定する(S207でYes)。
【0034】
注意物件判定部122は、自車両10から見て進行方向手前側に位置する注意物件Aの境界点A1から道路20の幅方向に沿って仮想直線を引いたものを境界線B1として設定する。なお、注意物件判定部122による境界線B1の設定方法は一例であり、適宜変更され得るものである。
【0035】
注意物件判定部122は、自車両10が道路20を進行方向に沿って図4の下方向から上方向に進行した場合に、自車両10の先端部分が境界線B1を越えた地点から自車両10が危険領域Bに進入したと判定する。視線判定部121では、自車両10が既に危険領域B内に進入していると判定した場合は、本フローの処理を終了する。一方、自車両10が危険領域B内に未だ進入していない場合、つまり、危険領域Bに進入する前である場合は、ドライバに報知を行うべく、S208に進む。S208において、報知判定部123は、報知装置141に対して報知指示を送信し、報知装置141によってドライバに危険領域に接近していることを知らせるための報知を行う。報知装置141による報知後に、S209に進む。
【0036】
S209において、減速判定部124は、注意物件Aから道路20に人物が飛び出しても自車両10が接触する可能性が低くなる速度まで自車両10を減速させる。減速の方法は一例であって例えば、減速に限らず徐行や一時停止をしてもよい。
【0037】
S210において、注意物件判定部122は、自車両10の状態を判定する。自車両10の電源がONされている(走行可能な状態)場合、S201、S202、S203の処理を再度行う。車両の電源がOFFされている(走行不可能な状態)場合、本フローを終了する。
【0038】
本実施形態の電子装置100は、人の飛び出しが起こる可能性が高い危険領域Bを事前に予測し、危険領域Bの手前においてドライバが注意物件Aの方向を注視していない場合に、ドライバに対して報知を行う。そして、ドライバに対して報知が行われた後もなお注意物件Aの方向を注視していない場合に減速させるかの判定、制御を行ってもよい。本実施形態の電子装置100によれば、自己位置情報と、注意物件情報と、視線情報とから、事前に人物が飛び出す確率が高い危険領域を予測することができる。したがって、人物の死角からの急な飛び出しにも対応することができ、より安全な自動運転支援を行うことができる。さらに本実施形態では、報知処理や減速処理を行うか否かの判断を注意物件Aに絞り込むことにより、減速による交通渋滞やドライバが体感する煩わしさをより軽減することができる。
【0039】
本実施形態の電子装置100は、自己位置と地図情報から衝突事故が起きうる領域を事前に予測し、ドライバが注意物件Aの方向を注視していない場合、報知と減速を行い衝突事故の可能性を低くする効果を高める。また、注意物件Aという限定された領域に絞り込むことにより減速精度が向上し、交通渋滞やドライバが体感する煩わしさをより軽減することができる。
【0040】
<第2実施形態>
次いで、本発明の第2実施形態について図5に基づいて説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る電子装置100Aの概略構成を示す機能ブロック図である。第1実施形態と同様の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
本実施形態において特徴的なことは、複数の車両との間で情報の送受信を行うサーバ500を有し、サーバ500において、複数の車両から人流情報を取得して集約し、地図情報に紐付けて情報群とし、その情報群を電子装置100Aに提供することである。本実施形態に係る電子装置100Aは、第1実施形態に係る電子装置100に対して、サーバ500との間で情報の送受信を行う通信部200を有する点で異なる。
【0042】
通信部200は、例えば、携帯電話網(3G、4G、5G等)やWiFiなどの無線通信回線によって車両外部と情報を送受信可能とする通信装置である。通信部200は、バス400を介して電子装置100Aと接続して情報の送受信を行う。通信部200は、車両前方監視カメラ132によって取得した人流情報をサーバ500へ送信し、サーバ500から情報群を受信する。通信300Aは、通信部200とサーバ500との通信を図示したものである。
【0043】
サーバ500は、通信300Aによって自車両を含む複数の車両と接続されている。サーバ500は、人流情報501と地図情報502を保持している。サーバ500は、複数の車両から送信された人流情報を集約し、地図情報に紐付けて情報群とし、各車両へ送信を行う。
【0044】
通信300Bは、サーバ500と防犯カメラ800との通信を図示したものである。サーバ500は、外部との通信可能な固定カメラや防犯カメラ(防犯カメラ800)といった街中に複数あるカメラから人物を特定し、送信された人流情報をサーバ500で集約する機能を持つ。
【0045】
本実施形態の電子装置100Aとサーバ500を有するシステムによれば、サーバ500において複数の車両から人流情報を取得して集約し、地図情報に紐付けた情報群とし、電子装置100Aにおいてその情報群の提供を受けることができる。したがって、他車両が取得した人流情報を利用することができ、例えば自車両10が初めて走行する場所であっても人流情報を用いた報知処理や減速処理を行うことができ、より安全な自動運転支援を行うことができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10:自車両、20:道路、100、100A:電子装置、111:視線情報取得部、112:人流情報取得部、113:地図取得部、114:位置取得部、121:視線判定部、122:注意物件判定部、123:報知判定部、124:減速判定部、131:ドライバ監視カメラ、132:車両前方監視カメラ、133:地図DB、134:GNSS、141:報知装置、142:制動装置、200:通信部、300A、300B:通信、400:バス、501:人流情報、502:地図情報、800:防犯カメラ、θ:注意物件度数、A:注意物件、A1、A2:境界点、B:危険領域、B1:境界線
図1
図2
図3
図4
図5