(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080397
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 9/00 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
G07F9/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193560
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】曽山 和弘
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044DB20
(57)【要約】
【課題】多機能化を図ることが可能であるとともに、自動販売機の電源を入れてから販売を開始するまでの時間が長くなることを抑制することが可能な自動販売機を提供する。
【解決手段】この自動販売機100は、第1オペレーティングシステム21により動作部1を制御する第1制御部2と、第1オペレーティングシステム21よりも起動時間が短いとともに制御周期が短い第2オペレーティングシステム31により動作部1を制御する第2制御部3と、を備え、第2制御部3は、第2オペレーティングシステム31により起動時に動作部1を制御するように構成され、第1制御部2は、起動時以外において、第1オペレーティングシステム21により動作部1を制御するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を搬出するための商品搬出部と、金銭を識別するとともに金銭を管理するための金銭管理部と、決済のために用いられるカード読取部と、庫内温度を調節するための温度調節部と、情報が表示される表示部と、商品の選択を受け付けるための選択部と、自動販売機の設定を入力するための操作用リモコンとのうち少なくとも一つを含む、動作部と、
第1オペレーティングシステムにより前記動作部を制御する第1制御部と、
前記第1オペレーティングシステムよりも起動時間が短いとともに制御周期が短い第2オペレーティングシステムにより前記動作部を制御する第2制御部と、を備え、
前記第2制御部は、前記第2オペレーティングシステムにより起動時に前記動作部を制御するように構成され、
前記第1制御部は、起動時以外において、前記第1オペレーティングシステムにより前記動作部を制御するように構成されている、自動販売機。
【請求項2】
前記第2制御部により、起動時に前記動作部を制御した後、前記第2制御部によって制御された前記動作部の制御主体を前記第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている、請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記第2制御部と前記第1制御部との通信に基づいて、前記第2制御部によって制御された前記動作部の制御主体を前記第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている、請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記第2制御部から前記第1制御部に通知が行われたことに基づいて、前記第2制御部によって制御された前記動作部の制御主体を前記第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている、請求項3に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記第2制御部により前記動作部を制御した後、所定時間の経過後に、前記第2制御部と前記第1制御部との通信に基づいて、前記第2制御部によって制御された前記動作部の制御主体を前記第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている、請求項3に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記第2制御部により、動作試験時に前記第2オペレーティングシステムによって前記動作部を制御した後、前記第2制御部から前記第1制御部に制御主体を切り替える制御を行うように構成されている、請求項2に記載の自動販売機。
【請求項7】
前記動作部の制御主体の一部を前記第2制御部から前記第1制御部に切り替える制御を行うとともに、前記動作部の制御主体の残りの部分は、前記第2制御部により制御するように構成されている、請求項2に記載の自動販売機。
【請求項8】
前記第1制御部が前記動作部を制御する際に、制御対象の前記動作部に応じて、前記第1制御部は、前記第2制御部を介して前記動作部を制御するとともに、前記第2制御部は、前記第2オペレーティングシステムによって前記第1制御部と前記動作部とを中継して信号の変換を行うように構成されている、請求項6に記載の自動販売機。
【請求項9】
映像または音声による情報の出力と、映像と音声と操作とのうち少なくとも一つによる情報の取得とのうち少なくとも一方を行うためのマルチメディア部をさらに備え、
前記第1制御部は、起動時以外において、前記第1オペレーティングシステムにより前記マルチメディア部を制御するように構成されている、請求項1に記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機に関し、特に、オペレーティングシステムにより制御する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オペレーティングシステムにより制御する自動販売機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、硬貨検出部と、モニタと、制御部とを備え、制御部がオペレーティングシステムによりハードウェアと共同して各種機能を実行するように構成されている自動販売機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されていないが、商品の販売を含む自動販売機の基本的な機能に加えて、付加的な機能を付けることにより自動販売機の多機能化を図る場合がある。この場合、多機能化を図るために複雑な制御が可能なオペレーティングシステムが実装される場合がある。しかしながら、複雑な制御が可能なオペレーティングシステムは、一般的に起動時間が長くなる傾向にある。そのため、自動販売機の電源を入れてから販売を開始するまでの時間が、従来よりも長くなるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、多機能化を図ることが可能であるとともに、自動販売機の電源を入れてから販売を開始するまでの時間が長くなるのを抑制することが可能な自動販売機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による自動販売機は、商品を搬出するための商品搬出部と、金銭を識別するとともに金銭を管理するための金銭管理部と、決済のために用いられるカード読取部と、庫内温度を調節するための温度調節部と、情報が表示される表示部と、商品の選択を受け付けるための選択部と、自動販売機の設定を入力するための操作用リモコンとのうち少なくとも一つを含む、動作部と、第1オペレーティングシステムにより動作部を制御する第1制御部と、第1オペレーティングシステムよりも起動時間が短いとともに制御周期が短い第2オペレーティングシステムにより動作部を制御する第2制御部と、を備え、第2制御部は、第2オペレーティングシステムにより起動時に動作部を制御するように構成され、第1制御部は、起動時以外において、第1オペレーティングシステムにより動作部を制御するように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による自動販売機では、上記のように、第2制御部は、第1オペレーティングシステムよりも起動時間が短い第2オペレーティングシステムにより起動時に動作部を制御するように構成され、第1制御部は、起動時以外において、第1オペレーティングシステムにより動作部を制御するように構成されている。これにより、起動時は、起動時間が短いとともに制御周期が短い第2オペレーティングシステムにより、商品搬出部、温度調節部、またはカード読取部とのうち少なくとも一つを含む動作部が制御されるため、自動販売機の電源を入れてから販売を開始するまでの時間が長くなることを抑制することができる。また、起動時間が短いとともに制御周期が短い第2オペレーティングシステムが実装されているため、第1オペレーティングシステムとして、起動時間が長くかかるとしても、多機能化を図るための複雑な制御が可能なオペレーティングシステムを実装することができる。この結果、多機能化を図ることができるとともに、自動販売機の電源を入れてから販売を開始するまでの時間が長くなることを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、第2制御部により、起動時に動作部を制御した後、第2制御部によって制御された動作部の制御主体を第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1オペレーティングシステムによりまとめて動作部の制御を行うことができるため、動作部毎に制御部を切り替える場合と比べて、制御が複雑になることを抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、第2制御部と第1制御部との通信に基づいて、第2制御部によって制御された動作部の制御主体を第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第2制御部と第1制御部との通信により自動的に制御主体が切り替わるため、ユーザ(作業者)が制御主体を切り替える操作を行う必要がなくなる。
【0011】
第2制御部によって制御された動作部の制御主体を第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている自動販売機において、好ましくは、第2制御部から第1制御部に通知が行われたことに基づいて、第2制御部によって制御された動作部の制御主体を第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第2制御部から第1制御部に制御主体の切り替えの通知をトリガとして、容易に制御主体を切り替えることができる。
【0012】
上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、第2制御部により動作部を制御した後、所定時間の経過後に、第2制御部と第1制御部との通信に基づいて、第2制御部によって制御された動作部の制御主体を第1制御部に切り替える制御を行うように構成されている。このように構成すれば、所定時間として第1制御部が起動するために必要な時間を設定することにより、第1制御部が起動した状態において、第2制御部から第1制御部に制御主体を切り替えることができるため、制御主体をタイミングよく切り替えることができる。
【0013】
上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、第2制御部により、動作試験時に第2オペレーティングシステムによって動作部を制御した後、第2制御部から第1制御部に制御主体を切り替える制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御周期が短い第2制御部により動作試験が行われることにより、動作部が動作を完了するまでの時間を短くすることができるため、迅速に試験結果を得ることができる。また、第2制御部から第1制御部に制御主体を切り替える制御を行うことにより、第1オペレーティングシステムによりまとめて動作部の制御を行うことができるため、動作部毎に制御部を切り替える場合と比べて、制御が複雑になることを抑制することができる。
【0014】
上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、動作部の制御主体の一部を第2制御部から第1制御部に切り替える制御を行うとともに、動作部の制御主体の残りの部分は、第2制御部により制御するように構成されている。このように構成すれば、迅速な制御が必要な動作部の動作を短い制御周期で制御する第2制御部により制御させることができるため、たとえば、故障時の対応に関する制御を迅速に行うことができる。
【0015】
上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、第1制御部が動作部を制御する際に、制御対象の動作部に応じて、第1制御部は、第2制御部を介して動作部を制御するとともに、第2制御部は、第2オペレーティングシステムによって第1制御部と動作部とを中継して信号の変換を行うように構成されている。このように構成すれば、第1制御部の通信手段と、動作部との通信手段が異なる場合でも、第2制御部を介して、動作部を制御することができる。これにより、たとえば、第1制御部が、自動販売機に追加で組み込まれた制御部であり、第2制御部が自動販売機の備え付けの制御部である場合に、自動販売機の通信手段を再設定しなくとも第2制御部を介して通信することができる。
【0016】
上記一の局面による自動販売機において、好ましくは、映像または音声による情報の出力と、映像と音声と操作とのうち少なくとも一つによる情報の取得とのうち少なくとも一方を行うためのマルチメディア部をさらに備え、第1制御部は、起動時以外において、第1オペレーティングシステムによりマルチメディア部を制御するように構成されている。このように構成すれば、起動時以外において、第1制御部により、動作部とマルチメディア部とを制御することにより、商品の販売に加えて、映像または音声による情報の出力または情報の取得もできるため、自動販売機の多機能化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、多機能化を図ることが可能であるとともに、自動販売機の電源を入れてから販売を開始するまでの時間が長くなることを抑制することが可能な自動販売機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態による自動販売機の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態による自動販売機の構成を示すブロック図である。
【
図3】起動時の制御の流れを説明するための図である。
【
図4】起動時以外の制御の流れを説明するための図である。
【
図5】第1制御部と第2制御部との制御主体の切り替えを説明するための図である。
【
図7】制御主体の切り替えの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[実施形態]
図1~
図7を参照して、一実施形態による自動販売機100の構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、自動販売機100は、商品を取り出すための取出口50と、金銭を投入するための投入口60と、釣銭または釣銭以外の金銭(たとえば、識別不能な金銭)を返却するための返却口70とが設けられている。投入口60は、硬貨投入口と紙幣投入口とを含む。また、硬貨を返却する場合は、返却口70が用いられるとともに、紙幣を返却する場合は、紙幣投入口が用いられてもよい。
【0022】
また、
図2に示すように、自動販売機100は、動作部1と、第1制御部2と、第2制御部3と、マルチメディア部4とを備える。
【0023】
動作部1は、自動販売機100の各動作を行うために用いられる機器類である。動作部1は、商品搬出部11と、金銭管理部12と、カード読取部13と、温度調節部14と、インジケータ15と、選択部16と、操作用リモコン17と、人感センサ18と、照明19と、通信部20とを含んでいる。なお、インジケータ15は、特許請求の範囲に記載した「表示部」の一例である。
【0024】
商品搬出部11は、商品を搬出するために用いられる。商品搬出部11は、たとえば、収納庫から商品を繰り出すための機構部と、機構部により繰り出された商品を取出口50まで導くための搬出シュータとを有している。
【0025】
金銭管理部12は、金銭を識別するとともに金銭を管理するために用いられる。金銭管理部12は、金銭を収納する金銭収納部を含む。金銭の管理とは、投入口60から自動販売機100内に投入された金銭を金銭収納部に収納することと、金銭収納部から返却口70に金銭を繰り出すこととを含む。金銭管理部12は、硬貨を識別するとともに金銭を管理する硬貨処理装置(コインメック)と、紙幣を識別するとともに管理する紙幣処理装置(ビルバリ)とを含む。
【0026】
カード読取部13は、決済のために用いられる。カード読取部13は、電子マネー機能付きカードの読み取りと、電子マネー機能付きカードへの書き込みとを行う。
【0027】
温度調節部14は、自動販売機100の庫内温度を調節するために用いられる。温度調節部14は、庫内温度を調節することにより商品を加熱または冷却する。温度調節部14は、たとえば、圧縮機、膨張部、凝縮器および蒸発器を備え、冷媒を循環させて庫内温度を加熱または冷却する冷凍サイクルを含む。また、温度調節部14は、庫内温度センサを含んでいてもよく、庫内温度センサにより庫内温度情報を制御部にフィードバックする。
【0028】
インジケータ15は、金銭に関する情報を文字で表示するために用いられる。インジケータ15に表示される情報とは、たとえば、投入された金銭の額および釣銭の額を含む金額に関する情報と、売り切れ、冷却中または加熱中を表すエラー情報とを含む。
【0029】
選択部16は、商品の選択を受け付けるために用いられる。選択部16は、たとえば、操作ボタンである。
【0030】
操作用リモコン17は、自動販売機100の運転に関する設定を入力するために用いられるか、売り上げを管理するために用いられる。
【0031】
人感センサ18は、自動販売機100から所定の範囲内に人がいる場合に検知する。人感センサ18は、たとえば、赤外線により人の有無を検知する。
【0032】
照明19は、自動販売機100の周囲を照らすために用いられる。照明19は、蛍光灯およびLEDを含む。
【0033】
通信部20は、外部と通信するために用いられる。通信部20は、サーバまたは携帯端末と、自動販売機100とが通信する際に用いられる。通信部20は、近距離通信方法により通信する。
【0034】
第1制御部2は、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)と、基板と、メモリとを含む。第1制御部2は、ソフトウェアとして第1オペレーティングシステム21が、基板に実装されている。第1制御部2は、第1オペレーティングシステム21により動作部1を動作する、具体的には、第1制御部2は、第1オペレーティングシステム21上にプログラムされているアプリケーションを用いて各動作部1の制御を行う。第1制御部2は、起動時以外において、第1オペレーティングシステム21により動作部1を制御するように構成されている。第1制御部2は、第1オペレーティングシステム21によりマルチメディア部4を制御するように構成されている。
【0035】
第2制御部3は、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)と、基板と、メモリとを含む。第2制御部3は、ソフトウェアとして第2オペレーティングシステム31が、基板に実装されている。第2制御部3は、第2オペレーティングシステム31により動作部1を動作する。具体的には、第2制御部3は、第2オペレーティングシステム31上にプログラムされているアプリケーションを用いて各動作部1の制御を行う。第2制御部3は、第2オペレーティングシステム31により起動時に動作部1を制御するように構成されている。
【0036】
第1オペレーティングシステム21は、第2オペレーティングシステム31に加えて、自動販売機100に追加された汎用のオペレーティングシステムである。第1オペレーティングシステム21は、たとえば、Windows(登録商標)またはLinux(登録商標)である。第1オペレーティングシステム21は、第2オペレーティングシステム31と比べて、複雑な動作処理を行うことが可能である。第1オペレーティングシステム21は、マルチメディア部4を制御するように構成されている。
【0037】
第2オペレーティングシステム31は、自動販売機100に予め組み込まれたオペレーティングシステムである。第1オペレーティングシステム21は、たとえば、T-Kernelである。第2オペレーティングシステム31は、第1オペレーティングシステム21と比べて、起動時間が短いとともに制御周期が短い。たとえば、第1オペレーティングシステム21の起動時間が1分から数分かかるのに対して、第2オペレーティングシステム31は、数秒程度で起動する。また、たとえば、第1オペレーティングシステム21の制御周期が数十ミリ秒単位であるのに対して、第2オペレーティングシステム31は、数ミリ秒単位である。
【0038】
マルチメディア部4は、映像または音声による情報の出力と、映像と音声と操作とのうち少なくとも一つによる情報の取得とのうち少なくとも一方を行うために用いられる。マルチメディア部4は、スピーカと、液晶ディスプレイと、カメラと、タッチパネルと、マイクとのうち少なくとも1つ以上を含む。スピーカは、商品または販売に関する情報を音声で通知するために用いられる。液晶ディスプレイは、インジケータ15とは異なり、広告などの映像を表示し、情報を映像により出力するために用いられる。カメラは、自動販売機100の購入者または周囲の状況を撮影し、情報を映像により取得するために用いられる。また、カメラは、購入者を撮影し、購入者の性別および年齢を判断するために用いられる。タッチパネルは、商品を表示することにより情報を出力するとともに、商品の選択を受け付けて情報を取得するために用いられる。マイクは、音声により商品を選択するために用いられる。
【0039】
(起動時の制御主体)
図3に示すように、起動時は、第2制御部3が制御主体を有する。そのため、第2制御部3が第2オペレーティングシステム31を介して動作部1を制御して、自動販売機100の動作に関する制御を行う。自動販売機100の動作に関する制御とは、商品の販売に関する制御と、商品の加熱または冷却に関する制御と、故障に対応する制御とを含む。なお、
図3では、実線の矢印で制御主体を表している。
【0040】
(商品の販売に関する制御)
商品の販売に関する制御の一例について説明する。人感センサ18が、購入者を検知したことによる検知信号を受け取ることにより、第2制御部3は、照明19を点灯させる。
【0041】
購入者により投入口60から金銭が投入されたときに、第2制御部3は、金銭管理部12から投入された金銭が、正貨か否かに関する信号と、正貨の場合に投入された金銭の額に関する信号を受け取る。第2制御部3は、受け取った金銭の額に関する信号に基づいて、インジケータ15を制御して投入された金額を表示させる。また、選択部16が、操作ボタンの場合、第2制御部3は、商品が選択可能なことを示すために選択部16を点灯させてもよい。
【0042】
購入者が、電子マネー機能付きカードをカード読取部13にかざした場合、第2制御部3は、カード読取部13から電子マネー機能付きカード内に記憶されている電子マネーの額に関する信号を受け取る。また、第2制御部3は、カード読取部13を制御して、電子マネー機能付きカードに購入した商品の金額を引いた残額を書き込む。
【0043】
購入者が、携帯端末を通信部20にかざした場合、第2制御部3は、携帯端末内の決済アプリケーションまたはサーバから電子マネーの額に関する信号を受け取る。また、第2制御部3は、携帯端末内の決済アプリケーションまたはサーバに商品の金額を送信する。
【0044】
購入者が選択部16を操作することにより、第2制御部3は、選択部16を介した商品選択を受け付ける。また、選択部16を介した商品の選択を受け付けた後、第2制御部3は、商品搬出部11を制御して選択された商品を棚から取出口50に搬出させる。商品が搬出されたときに、第2制御部3は、商品搬出部11により検出した商品の有無に関する信号を受け取る制御を行う。商品が売り切れている場合で、かつ、選択部16が操作ボタンの場合、第2制御部3は、商品が選択可能なことを示すように選択部16を点灯させてもよい。
【0045】
第2制御部3は、投入された商品と購入された商品との差額を算出し、釣銭がある場合は、金銭管理部12を制御して、返却口70に釣銭を繰り出させる。
【0046】
(商品の加熱または冷却に関する制御)
商品の加熱または冷却に関する制御では、第2制御部3は、温度調節部14の圧縮機の駆動または停止と、膨張弁の開度の調節とを行う。たとえば、庫内温度が設定温度よりも低い場合に、圧縮機の駆動を停止して、冷媒の循環を停止させてもよい。庫内温度が設定温度よりも高い場合に、膨張弁を開いて冷媒の流量を増やしてもよい。
【0047】
(故障に対応する制御)
故障に対応する制御は、第2制御部3と動作部1との間で通信データ異常が起きた場合に、再度通信を行う制御である。たとえば、第2制御部3は、ノイズにより動作部1に信号が送れない、または信号が受け取れない場合に、所定の時間後に再度動作部1に通信を行う。
【0048】
また、故障に対応する制御は、第2制御部3と動作部1との接続状態を確認する制御とを含む。第2制御部3と動作部1との接続状態を確認する制御とは、自動販売機100の電源がON状態になった後、動作部1の各々と接続されているか否かを確認する制御である。また、第2制御部3は、接続されていると判断した動作部1からの応答がなくなった場合に、切断されたと判断し、第1制御部2に通知する制御を行う。さらに第2制御部3は、接続されていないと判断した動作部1が接続された場合に、接続されたと判断し、第1制御部2に通知する制御を行う。
【0049】
また、自動販売機100の起動時に第2制御部3は、起動時に動作試験のために動作部1を制御する。動作試験とは、たとえば、販売時の動作を行うことができるか否かの試験である。そのため、第2制御部3は、動作部1の各々と接続されている場合は、販売時の制御と同じような制御を行う。
【0050】
図3に示すように、第2制御部3は、マルチメディア部4を制御するようには構成されていない。
【0051】
図4に示すように、起動時以外は、第1制御部2が一部の制御主体を有する。この場合、実線の矢印で示すように、第1制御部2が直接動作部1を制御するか、破線で示すように第2制御部3を介して動作部1を制御する。また、第1制御部2は、マルチメディア部4の制御を行う。また、起動時以外も、第2制御部3には、一部の制御主体が残っている。
【0052】
第1制御部2は、起動時の第2制御部3と同じように商品の販売に関する制御と、商品の加熱または冷却に関する制御とを含む自動販売機100の動作に関する制御を行う。また、第1制御部2に制御主体が切り替わることにより、動作部1の動作とマルチメディア部4の動作とを関連付けることができる。たとえば、第1制御部2は、マルチメディア部4のうちカメラで撮影された状況に応じて、照明19を点灯させる制御を行ってもよい。また、第1制御部2は、人感センサ18により人を検知した場合に、マルチメディア部4の液晶ディスプレイに広告を表示させる制御またはスピーカにより音声を流す制御を行ってもよい。また、第1制御部2は、マルチメディア部4のマイクを介して商品の選択を音声で受け付けた場合に、商品搬出部11を制御して商品を搬出する制御を行ってもよい。第2制御部3に残す制御は、故障に対応する制御である。
【0053】
第1制御部2が動作部1を制御する際に、制御対象の動作部1に応じて、第1制御部2は、第2制御部3を介して動作部1を制御する。この場合、第2制御部3は、第2オペレーティングシステム31によって第1制御部2と動作部1とを中継して信号の変換を行うように構成されている。たとえば、金銭管理部12から投入された金銭に関する信号を第2制御部3が受け取り、第2制御部3で信号を変換した後に第1制御部2に信号が送信される。第1制御部2は、第2制御部3から受け取った信号に基づいて、販売に関する制御を行う。
【0054】
また、温度調節部14から、受け取った庫内温度に関する信号を第2制御部3が受け取り、第2制御部3で信号を変換した後に第1制御部2に信号が送信される。また、第1制御部2は、第2制御部3に温度調節に関する信号を送り、第2制御部3で信号が変換されたのちに温度調節部14が制御されて庫内温度が調節される。
【0055】
照明19を点灯または消灯する制御は、第2制御部3を介して第1制御部2が行う。具体的には、第1制御部2は、第2制御部3を介して人感センサ18の検知結果を受け取り、照明19を点灯または消灯させる制御を行う。
【0056】
第1制御部2は、動作部1を直接制御する例の一例を述べる。たとえば、第1制御部2は、電子マネー機能付きカードの読み取りと、電子マネー機能付きカードへの書き込みとを行うようにカード読取部13を直接制御する。また、操作用リモコン17を介した自動販売機100の運転に関する設定の入力を受け付けて、第1制御部2は設定を記憶する。また、第1制御部2は、通信部20を介して、携帯端末との間で信号の送受信を行う。
【0057】
(制御主体の切替)
図5に示すように、自動販売機100は、第2制御部3により、起動時に動作部1を制御した後、第2制御部3によって制御された動作部1の制御主体を第1制御部2に切り替える制御を行うように構成されている。具体的には、自動販売機100の電源がONになった後、動作部1と第2制御部3(第2オペレーティングシステム31)とは、数秒程度で起動する。しかしながら、第1制御部2(第1オペレーティングシステム21)は、数分かかるため、動作部1が起動した時点では、第1制御部2(第1オペレーティングシステム21)は、起動が完了していない。そのため、第2制御部3と動作部1とを接続する接続処理が行われる。これにより、第2制御部3の制御により動作部1を動作させることが可能となる。その後、第1制御部2(第1オペレーティングシステム21)が起動した場合に、制御主体の一部を第2制御部3から第1制御部2に切り替えるとともに、残りの部分の制御主体を第2制御部3に残す制御が行われる。
【0058】
図6に示すように、制御主体を第2制御部3から第1制御部2に切り替える制御が行われる場合、第2制御部3から第1制御部2に通信が行われることにより制御主体が切り替わる。また、この場合、所定時間の経過後に、第2制御部3と第1制御部2との通信に基づいて、第2制御部3によって制御された動作部1の制御主体が第1制御部2に切り替わる。所定時間とは、たとえば、第1制御部2が起動するために必要な時間である。第2制御部3と第1制御部2との通信とは、たとえば、第2制御部3から第1制御部2に制御主体の切替の通知がなされることである。
【0059】
また、
図7に示すように、第1制御部2から第2制御部3に起動完了の通知がされることにより、所定時間の経過後に、第2制御部3と第1制御部2との通信に基づいて、第2制御部3によって制御された動作部1の制御主体が第1制御部2に切り替わってもよい。
【0060】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
本実施形態では、上記のように、第2制御部3は、第1オペレーティングシステム21よりも起動時間が短い第2オペレーティングシステム31により起動時に動作部1を制御するように構成され、第1制御部2は、起動時以外において、第1オペレーティングシステム21により動作部1を制御するように構成されている。これにより、起動時は、起動時間が短いとともに制御周期が短い第2オペレーティングシステム31により、商品搬出部11、温度調節部14、またはカード読取部13とのうち少なくとも一つを含む動作部1が制御されるため、自動販売機100の電源を入れてから販売を開始するまでの時間が長くなることを抑制することができる。また、起動時間が短いとともに制御周期が短い第2オペレーティングシステム31が実装されているため、第1オペレーティングシステム21として、起動時間が長くかかるとしても、多機能化を図るための複雑な制御が可能なオペレーティングシステムを実装することができる。この結果、多機能化を図ることができるとともに、自動販売機100の電源を入れてから販売を開始するまでの時間が長くなることを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、第2制御部3により、起動時に動作部1を制御した後、第2制御部3によって制御された動作部1の制御主体を第1制御部2に切り替える制御を行うように構成されている。これにより、第1オペレーティングシステム21によりまとめて動作部1の制御を行うことができるため、動作部1毎に制御部を切り替える場合と比べて、制御が複雑になることを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、第2制御部3と第1制御部2との通信に基づいて、第2制御部3によって制御された動作部1の制御主体を第1制御部2に切り替える制御を行うように構成されている。これにより、第2制御部3と第1制御部2との通信により自動的に制御主体が切り替わるため、ユーザが制御主体を切り替える操作を行う必要がなくなる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、第2制御部3から第1制御部2に通知が行われたことに基づいて、第2制御部3によって制御された動作部1の制御主体を第1制御部2に切り替える制御を行うように構成されている。これにより、第2制御部3から第1制御部2に制御主体の切り替えの通知をきっかけとして、制御主体を切り替えることができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、第2制御部3により動作部1を制御した後、所定時間の経過後に、第2制御部3と第1制御部2との通信に基づいて、第2制御部3によって制御された動作部1の制御主体を第1制御部2に切り替える制御を行うように構成されている。これにより、所定時間として第1制御部2が起動するために必要な時間を設定することにより、第1制御部2が起動した状態において、第2制御部3から第1制御部2に制御主体を切り替えることができるため、制御主体をタイミングよく切り替えることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、第2制御部3により、動作試験時に第2オペレーティングシステム31によって動作部1を制御した後、第2制御部3から第1制御部2に制御主体を切り替える制御を行うように構成されている。これにより、制御周期が短い第2制御部3により動作試験が行われることにより、動作部1が動作を完了するまでの時間を短くすることができるため、迅速に試験結果を得ることができる。また、第2制御部3から第1制御部2に制御主体を切り替える制御を行うことにより、第1オペレーティングシステム21によりまとめて動作部1の制御を行うことができるため、動作部1毎に制御部を切り替える場合と比べて、制御が複雑になることを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、動作部1の制御主体の一部を第2制御部3から第1制御部2に切り替える制御を行うとともに、動作部1の制御主体の残りの部分は、第2制御部3により制御するように構成されている。これにより、迅速な制御が必要な動作部1の動作を短い制御周期で制御する第2制御部3により制御させることができるため、たとえば、故障時の対応に関する制御を迅速に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、第1制御部2が動作部1を制御する際に、制御対象の動作部1に応じて、第1制御部2は、第2制御部3を介して動作部1を制御するとともに、第2制御部3は、第2オペレーティングシステム31によって第1制御部2と動作部1とを中継して信号の変換を行うように構成されている。これにより、第1制御部2の通信手段と、動作部1との通信手段が異なる場合でも、第2制御部3を介して、動作部1を制御することができる。この結果、たとえば、第1制御部2が、自動販売機100に追加で組み込まれた制御部であり、第2制御部3が自動販売機100の備え付けの制御部である場合に、自動販売機100の通信手段を再設定しなくとも第2制御部3を介して通信することができる。
【0069】
また、本実施形態では、映像または音声による情報の出力と、映像と音声と操作とのうち少なくとも一つによる情報の取得とのうち少なくとも一方を行うためのマルチメディア部4をさらに備え、第1制御部2は、起動時以外において、第1オペレーティングシステム21によりマルチメディア部4を制御するように構成されている。これにより、起動時以外において、第1制御部2により、動作部1とマルチメディア部4とを制御することにより、商品の販売に加えて、映像または音声による情報の出力または情報の取得もできるため、自動販売機100の多機能化を図ることができる。
【0070】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0071】
たとえば、上記実施形態では、動作主体を切り替える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、動作主体を切り替えない構成であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、動作部は、商品搬出部と、金銭管理部と、カード読取部と、温度調節部と、インジケータと、選択部と、操作用リモコンと、人感センサと、照明と、通信部とを含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、動作部は、商品搬出部と、金銭管理部と、カード読取部と、温度調節部と、インジケータと、選択部と、操作用リモコンと、人感センサと、照明と、通信部とのうち少なくとも一つを含んでいてもよい。この場合、たとえば、商品搬出部と、他の動作部のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。また、この場合、金銭管理部と、カード読取部とのうちいずれか一方を含んでいてもよい。また、商品を加熱または冷却する必要がなければ、温度調節部を設ける必要はない。さらに、マルチメディア部が、インジケータと選択部とを兼ね備えている場合は、インジケータと選択部とを設けなくてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、動作部は、商品搬出部と、金銭管理部と、カード読取部と、温度調節部と、インジケータと、選択部と、操作用リモコンと、人感センサと、照明と、通信部とを含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、商品搬出部11は、たとえば、商品が配置された棚から商品を押し出すためのスパイラルと、スパイラルにより押し出された商品を受け取り、取出口50に搬出するためのバケットとを含む。また、商品搬出部11は、商品の有無を判断するように構成されていてもよく、たとえば、棚に設けられているスイッチがON状態か否かで商品の売り切れを検知するように構成される。
【0074】
また、上記実施形態では、選択部は、操作ボタンである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、選択部は、キーパッド、またはタッチパネルであってもよい。なお、選択部が、タッチパネルの場合は、マルチメディア部が選択部としても機能してもよく、マルチメディア部と選択部とが各々タッチパネルを含んでいてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、第2制御部と第1制御部との通信に基づいて動作主体を切り替える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、ユーザが操作することにより動作主体が切り替わるように構成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、所定時間は、第1制御部の起動に必要な時間である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、電源入力後から操作が行われなかった時間であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、第1制御部が動作部を制御する際に、制御対象の動作部に応じて、第1制御部は、第2制御部を介して制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、第1制御部が、制御対象の動作部に関わらず、直接または間接的にすべての動作部を制御するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 動作部
2 第1制御部
3 第2制御部
4 マルチメディア部
21 第1オペレーティングシステム
22 第2オペレーティングシステム
100 自動販売機