IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社iMAReの特許一覧

特開2024-80404プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
<>
  • 特開-プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 図1
  • 特開-プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 図2
  • 特開-プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 図3
  • 特開-プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 図4
  • 特開-プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 図5
  • 特開-プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 図6
  • 特開-プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 図7
  • 特開-プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080404
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20240606BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193569
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】522471630
【氏名又は名称】株式会社iMARe
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】河岡 辰弥
(72)【発明者】
【氏名】坂山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】船橋 真俊
(72)【発明者】
【氏名】荒山 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】大滝 翔
(72)【発明者】
【氏名】岩館 正了
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】対象者の体質改善の目的をふまえて、対象者の行動を変える支援をすることができるプログラム、情報処理装置および情報処理方法を提供する。
【解決手段】プログラムは、コンピュータに、第1対象者の生体を測定した結果を含む対象者データに基づいて、体質改善の目的それぞれに対応する複数の目的別モデルを含む分類モデルを用いて、第1対象者を、目的ごとに、1以上の第2対象者で構成された1以上の対象者グループのいずれかに分類する分類機能と、分類された対象者グループに属する1以上の第2対象者のそれぞれの行動の履歴を示す行動履歴情報と、行動による1以上の第2対象者のそれぞれの体質の改善の履歴を示す改善履歴情報とに基づいて、ユーザに対して、第1対象者に対する体質を改善するための1以上のアクションプランの候補を提示する提示機能と、を実現させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
第1対象者の生体を測定した結果を含む対象者データに基づいて、体質改善の目的それぞれに対応する複数の目的別モデルを含む分類モデルを用いて、前記第1対象者を、前記目的ごとに、1以上の第2対象者で構成された1以上の対象者グループのいずれかに分類する分類機能と、
前記分類された対象者グループに属する1以上の第2対象者のそれぞれの行動の履歴を示す行動履歴情報と、前記行動による前記1以上の第2対象者のそれぞれの体質の改善の履歴を示す改善履歴情報とに基づいて、ユーザに対して、前記第1対象者に対する体質を改善するための1以上のアクションプランの候補を提示する提示機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項2】
前記分類モデルは、生体の代謝の特徴それぞれに対応する複数の代謝の特徴別モデルを含み、
前記分類機能は、前記代謝の特徴ごとに、前記第1対象者を、前記1以上の対象者グループのいずれかに分類する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、
前記対象者データを入力データとし前記1以上のアクションプランの候補に対するユーザからの選択を正解データとする学習データを用いて、前記分類モデルを学習させる学習機能と、
前記ユーザから、前記提示された1以上のアクションプランの候補の中から前記第1対象者に対して使用するアクションプランの選択を受け付ける受付機能と、
前記受け付けられたアクションプランの選択を前記学習データに反映させる反映機能と、を実現させる、
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記対象者データは、複数種類のデータを含み、
前記分類モデルは、前記対象者データを説明変数とし、前記1以上の対象者グループのいずれかへの分類を目的変数とする多変量解析を用いたモデルである、
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記対象者データは、前記第1対象者の生体を機械により測定した結果を示す第1データと、複数の測定者のそれぞれにより前記第1対象者の生体を測定した結果を示す複数の第2データと、前記複数の第2データ間の共通性の度合いと、を含む、
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項6】
前記対象者データは、複数種類のデータを含み、
前記分類機能は、推定機能を備え、
前記推定機能は、前記対象者データに基づいて、前記第1対象者における前記目的に関する症状の1以上の原因の特性を推定し、
前記分類機能は、前記複数種類のデータの中から、前記推定された1以上の原因の特性それぞれに関する原因データを抽出し、抽出した原因データに基づいて、前記第1対象者を、前記1以上の対象者グループのいずれかに分類する、
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項7】
第1対象者の生体を測定した結果を示す対象者データに基づいて、体質改善の目的それぞれに対応する複数の目的別モデルを含む分類モデルを用いて、前記第1対象者を、1以上の第2対象者で構成された1以上の対象者グループのいずれかに分類する分類部と、
前記分類された対象者グループに属する1以上の第2対象者のそれぞれの行動の履歴を示す行動履歴情報と、前記行動による前記1以上の第2対象者のそれぞれの体質の改善の履歴を示す改善履歴情報とに基づいて、ユーザに対して、前記第1対象者に対する体質を改善するための1以上のアクションプランの候補を提示する提示部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが、
第1対象者の生体を測定した結果を示す対象者データに基づいて、体質改善の目的それぞれに対応する複数の目的別モデルを含む分類モデルを用いて、前記第1対象者を、前記目的ごとに、1以上の第2対象者で構成された1以上の対象者グループのいずれかに分類し、
前記分類された対象者グループに属する1以上の第2対象者のそれぞれの行動の履歴を示す行動履歴情報と、前記行動による前記1以上の第2対象者のそれぞれの体質の改善の履歴を示す改善履歴情報とに基づいて、ユーザに対して、前記第1対象者に対する体質を改善するための1以上のアクションプランの候補を提示する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生活習慣などの対象者の行動を変えることで対象者の体質改善を図るための技術が存在する。下記特許文献1では、第2の参加者の年齢および性別を含む基本条件に該当する第1の参加者を抽出し、抽出された第1の参加者と第2の参加者との間の生活環境や生活習慣に関する生活情報、および体質に関する体質情報の類似度を演算する生活習慣改善支援システムが開示されている。この生活習慣改善支援システムでは、第2の参加者に対する保険指導にあたって、第1の参加者に対する保険指導が完了したか否か、また、保険指導に成功したか否かを示す履歴情報に基づいて保険指導が完了かつ成功した第1の参加者を、上記演算した類似度に応じて、例えば生活情報や体質情報の一致度が高い順に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-164670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、対象者ごとに、年齢や性別、さらに生活環境や体質などが類似していても、例えば、炎症性疾患全般の改善を目的としている、または、CVA(Cerebral Vascular Accident:脳血管障害)のリハビリテーションを目的としているなど体質改善の目的が異なることが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、このような目的の違いをふまえて、行動を変えるための支援をすることが困難である。
【0005】
そこで、本発明のいくつかの態様は、対象者の体質改善の目的をふまえて、対象者の行動を変える支援をすることができるプログラム、情報処理装置、および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、第1対象者の生体を測定した結果を含む対象者データに基づいて、体質改善の目的それぞれに対応する複数の目的別モデルを含む分類モデルを用いて、第1対象者を、目的ごとに、1以上の第2対象者で構成された1以上の対象者グループのいずれかに分類する分類機能と、分類された対象者グループに属する1以上の第2対象者のそれぞれの行動の履歴を示す行動履歴情報と、行動による1以上の第2対象者のそれぞれの体質の改善の履歴を示す改善履歴情報とに基づいて、ユーザに対して、第1対象者に対する体質を改善するための1以上のアクションプランの候補を提示する提示機能と、を実現させる。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、第1対象者の生体を測定した結果を示す対象者データに基づいて、体質改善の目的それぞれに対応する複数の目的別モデルを含む分類モデルを用いて、第1対象者を、1以上の第2対象者で構成された1以上の対象者グループのいずれかに分類する分類部と、分類された対象者グループに属する1以上の第2対象者のそれぞれの行動の履歴を示す行動履歴情報と、行動による1以上の第2対象者のそれぞれの体質の改善の履歴を示す改善履歴情報とに基づいて、ユーザに対して、第1対象者に対する体質を改善するための1以上のアクションプランの候補を提示する提示部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1対象者の生体を測定した結果を示す対象者データに基づいて、体質改善の目的それぞれに対応する複数の目的別モデルを含む分類モデルを用いて、第1対象者を、目的ごとに、1以上の第2対象者で構成された1以上の対象者グループのいずれかに分類し、分類された対象者グループに属する1以上の第2対象者のそれぞれの行動の履歴を示す行動履歴情報と、行動による1以上の第2対象者のそれぞれの体質の改善の履歴を示す改善履歴情報とに基づいて、ユーザに対して、第1対象者に対する体質を改善するための1以上のアクションプランの候補を提示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のいくつかの態様によれば、対象者の体質改善の目的をふまえて、対象者の行動を変える支援をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るヘルスケアシステムのシステム構成例を説明するための図である。
図2】本実施形態に係るヘルスケアシステムの概要の一例を説明するための図である。
図3】本実施形態に係るヘルスケアシステムの概要の一例を説明するための図である。
図4】本実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係るヘルスケアシステムの画面例を示す図である。
図6】本実施形態に係るヘルスケアシステムの画面例を示す図である。
図7】本実施形態に係るサーバ装置の動作例を示す図である。
図8】本実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
本発明において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【0013】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係るヘルスケアシステム1のシステム構成例を説明する。
【0014】
ヘルスケアシステム1は、第1対象者にヘルスケアを提供するためのシステムであり、第1対象者の体質改善を支援する。ヘルスケアシステム1では、例えば、第1対象者を測定した結果を示すデータ(以下、「測定データ」ともいう)を分析し、この分析の結果に基づいて第1対象者、第1対象者の家族及び/又は第1対象者をケアするセラピスト等(以下、「関係者」ともいう)に、第1対象者の体質を改善するためのアクションプランを提案する。そして、第1対象者は、このアクションプランに基づいて生活習慣等の行動を見直すことで、体質改善を図ることができる。また、第1対象者は、例えば、認知機能が低下していたり認知症を患っていたりする場合には、ヘルスケアシステム1を用いて体質改善を図ることで、認知機能の回復も図ることができる。なお、第1対象者と、後述する第2対象者とについて、特に区別の必要がない場合、総称して「対象者」ともいう。
【0015】
測定データは、例えば、第1対象者の生体を機械により測定した第1データと、複数の測定者のそれぞれにより第1対象者の生体を測定した第2データと、を含んでもよい。言い換えれば、第1データは客観的なデータであり、第2データは測定者による主観的なデータである。また、この測定者は、例えば、第1対象者を担当するセラピスト、介護スタッフ、及び/又は医療従事者等であってもよい。測定データは、対象者データの1つである。主観的なパラメータ及び客観的なパラメータについては、例えば、Funabashi, M. "Citizen Science and Topology of Mind: Complexity, Computation and Criticality in Data-Driven Exploration of Open Complex Systems" Entropy 2017, 19, 181. (https://www.mdpi.com/1099-4300/19/4/181)に記載されている。
【0016】
対象者データは、対象者に関するデータである。対象者データは、例えば、測定データの他に、対象者の個人情報として、氏名、年齢、性別、及び/又は住所等を含んでもよい。また、対象者データは、例えば、対象者の治療の履歴を示す治療履歴情報、及び/又は現病歴を示す現病歴情報含んでもよい。対象者データは、例えば、複数種類のデータを含んでもよい。言い換えれば、対象者データは、複数の変数の値からなる多変量データであってもよい。
【0017】
第1データは、例えば、体内に蓄積している有害な重金属を測定する重金属検査、毛髪や爪、体内等のミネラルを測定するミネラル検査、血中等のビタミンを測定するビタミン検査、血液検査、尿検査、及び/又は代謝系検査等による第1対象者の検査結果を示すデータを含んでもよい。また、第1データは、例えば、対象者の生体をセンシングすることで得られるデータであってもよく、例えば、対象者の睡眠の状態、排泄の状態、脈拍の状態、呼吸の状態、血圧の状態、体重の状態、および/または体温の状態をセンサな等の測定装置(不図示)で測定したものであってもよい。
【0018】
第2データは、例えば、測定者により記録された各種記録(例えば、介護記録、及び/又は診察記録等)を示すデータを含んでもよい。第2データは、例えば、定量的なデータであってもよいし、テキスト(文字列)等による定性的なデータであってもよい。また、第2データは、例えば、対象者又は関係者により記録された、対象者の家族関係、体質又は生活習慣の改善に対する熱心度、対象者のストレスの度合い、食習慣の状態等を示すデータを含んでもよい。
【0019】
対象者データは、例えば、複数の第2データ間の共通性の度合いを含んでもよい。この複数の第2データは、例えば、複数の測定者それぞれが測定した結果を示す2以上のデータであってもよい。この共通性の度合いは、例えば、VAS(Visual Analogue Scale)法により第2データを数値化して、数値化した複数の第2データの一致度であってもよい。
【0020】
上記構成によれば、複数の第2データ間の共通性の度合いを用いることで、測定者に依存し測定者ごとの主観的な思考(特に、その揺らぎ)により変化しうる第2データを収束させた形で用いることができる。このため、精度を向上させた第2データを用いることができる。
【0021】
図1に示すように、ヘルスケアシステム1は、サーバ装置100と、第1対象者又は第1対象者をケアする介護スタッフやセラピスト等のユーザが使用するユーザ装置200と、を含む。サーバ装置100とユーザ装置200とは、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。
【0022】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network、IEEE802.11に準拠する通信(いわゆるWi-Fi(登録商標))を含む)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、可視光通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電力線通信ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0023】
サーバ装置100は、対象者の体質改善を支援するためのサービスを提供するための情報処理装置である。サーバ装置100は、所定のプログラムを実行することにより、測定装置又はユーザ装置200等から測定データを取得したり、取得した測定データを対象者データとして分析したり、分析の結果に基づいて第1対象者を1以上の対象者グループに分類したりする(言い換えれば、クラスタリングする)。
【0024】
ユーザ装置200は、ユーザが使用する情報処理装置であり、例えば、スマートフォンやラップトップ等の端末である。ユーザ装置200は、所定のプログラムを実行することにより、サーバ装置100と連携して上記分析の結果やアクションプランを出力するための画面に関する情報(以下、「出力情報」ともいう)を送受信したり、この画面を表示したり、ユーザからのアクションプランを選択するための入力を受け付けたりする。
【0025】
<2.概要>
図2を参照して、ヘルスケアシステム1の概要の一例を説明する。図2に示すように、ヘルスケアシステム1では、サーバ装置100が、複数の目的別モデルとして、(A)炎症性疾患全般向けの炎症性疾患全般モデル、(B)CVA(Cerebral Vascular Accident:脳血管障害)を有する対象者に特化したCVA特化モデル、(C)ストレスによる症状(例えば、副腎疲労等)を有する対象者に特化したストレス性特化モデルを記憶する。
【0026】
目的別モデルとは、体質改善の目的(以下、「改善目的」ともいう)それぞれに対応するモデルである。炎症性疾患全般モデルは、例えば、炎症性疾患を有する対象者向けに最適な改善プランを提示することを目的としたモデルであってもよい。また、CVA特化モデルは、例えば、CVAのリハビリテーションを改善目的としたモデルであってもよい。ストレス性特化モデルは、例えば、ストレス性の症状の原因が飲酒によるものなのか、家族関係によるものなのか原因別の改善を目的とするモデルであってもよい。また、目的別モデル及び後述する代謝の特徴別モデルは、例えば、AI技術を用いたモデル、具体的には、学習データを用いて機械学習により学習されたモデルであってもよい。
【0027】
(1)ヘルスケアシステム1では、各種検査や測定者による観察により第1対象者を測定した測定データを取得して、サーバ装置100が記憶する複数の目的別モデルそれぞれにこの測定データを入力する。
【0028】
目的別モデルに入力する対象者データは、例えば、それぞれのモデルに応じた異なるデータであってもよい。具体的には、CVA特化モデルの入力データは、第1対象者における身体の麻痺の状態(言い換えれば、身体の硬直の状態等)を測定した測定データを含み、他方、炎症性疾患全般モデルの入力データは、この測定データを含まなくてもよい。
【0029】
(2)サーバ装置100は、上記対象者データを目的別モデルに入力して、第1対象者を、改善目的ごとに、1以上の対象者グループのいずれかに分類する。対象者グループは、1以上の第2対象者で構成された群(言い換えれば、クラスタ)である。例えば、サーバ装置100は、上記麻痺の状態を示す測定データをCVA特化モデルに入力して、CVA特化モデルを用いて、第1対象者と同じような麻痺の状態にあった第2対象者で構成された対象者グループに第1対象者を分類してもよい。本例では、第1対象者は、炎症性疾患全般モデルでは対象者グループGp-A1~A3のうち対象者グループGp-A1(糖毒性が炎症の主因(言い換えると、糖毒性が最も大きい健康上の課題)と推定されるグループ)に分類されたものとする。
【0030】
(3)サーバ装置100は、上記(2)で分類した対象者グループに属する第2対象者の行動履歴情報と改善履歴情報とに基づいて、ユーザ装置200に対して、第1対象者のアクションプランの候補を提示する。サーバ装置100は、例えば、上記(2)で分類した対象者グループGP-A1に属する、第1対象者と同様に糖毒性が主因である第2対象者の行動履歴情報および改善履歴情報に基づいて、第1対象者のアクションプランの候補を特定する。行動履歴情報は、所定期間内における対象者の行動の履歴を示す情報である。また、改善履歴情報は、所定期間内における対象者のそれぞれの体質の改善の履歴を示す情報である。行動履歴情報及び/又は改善履歴情報は、例えば、それぞれ対応付けられて記憶部130に記憶されてもよい。サーバ装置100は、例えば、行動の履歴と改善の履歴との間の相関度が所定の閾値を超える場合に、これらの履歴情報を対応付けてもよい。また、行動履歴情報及び/又は改善履歴情報は、例えば、対象者データに含まれてもよい。
【0031】
例えば、第2対象者が、菓子パン等のグルコースが多い食品の摂取を控えたという行動の履歴があり、かつこの行動の履歴に対応付けられた改善の履歴において糖毒性が軽減したことが示されていた場合、サーバ装置100は、グルコースの多い食品を控えることをアクションプランの候補(「候補プランA」ともいう)として特定し、セラピスト等のユーザに、提示してもよい。また、本例では、CVA特化モデルにより分類された対象グループにより特定されたアクションプランの候補を候補プランB、ストレス性特化モデルにより分類された対象グループにより特定されたアクションプランの候補を候補プランCとする。
【0032】
(4)セラピスト等のユーザは、ユーザ装置200に提示された候補プランA~Cのうち、第1対象者のアクションプランとして採用するものを選択する。
【0033】
(5)サーバ装置100は、上記(4)でのアクションプランの選択の結果を、ユーザからのフィードバックとして、ユーザ装置200から取得する。サーバ装置100は、目的別モデルが学習データにより学習されたモデルの場合、この取得されたアクションプランの選択を目的別モデルの学習データに反映する。
【0034】
図3を参照して、ヘルスケアシステム1における第1対象者の検査からアクションプラの候補の提案までの処理の流れの一例を説明する。
【0035】
1)検査
図3に示すように、ヘルスケアシステム1では、測定装置を用いて、第1対象者の生体を測定するための検査を実施する。この検査は、例えば、重金属検査、ビタミン検査、ミネラル検査、及び/又は血液検査等であってもよい。
【0036】
2)特性の分析
ヘルスケアシステム1では、サーバ装置100の後述する推定部112bが、例えば、上記1)の測定の結果を示す第1データを含む対象者データに基づいて、第1対象者における認知症等の症状について、その原因の特性(以下、単に「原因特性」ともいう)を推定する。サーバ装置100の後述する分類部112は、第1対象者を、この推定した原因特性と同一又は類似する原因特性を有する第2対象者が属する1以上の対象者グループに分類する。
【0037】
原因特性は、例えば、炎症性、糖毒性、ストレス性、萎縮性、毒物性、血管性、及び/又は外傷性等を含んでもよい。また、原因特性の種類は、例えば、症状や疾患の種類に応じて設定されてもよい。具体的には、第1対象者が軽度認知障害や神経変性疾患を有する場合、推定部112bは、第1対象者の原因特性として、炎症性、糖毒性、ストレス性、萎縮性、及び毒物性の5種類の中から、少なくともいずれかを推定してもよい。また、第1対象者が脳血管系疾患を有する場合、推定部112bは、第1対象者の原因特性を、炎症性、糖毒性、ストレス性、萎縮性、毒物性、血管性、及び外傷性の7種類の中から、少なくともいずれかを推定してもよい。
【0038】
3)アクションプランの提案
ヘルスケアシステム1では、サーバ装置100の後述する提示部113が、上記2)の分析結果により分類された対象者グループと同一グループに属する第2対象者の行動履歴情報及び改善履歴情報に基づいて、ユーザに、アクションプランを提案してもよい。具体的には、提示部113は、同一の対象者グループに属する第2対象者の行動履歴情報及び改善履歴情報を参照し、同一又は類似する原因特性を有する人が過去にどのような行動をした結果、どのように体質を改善したのか等について該当する履歴を抽出する。提示部113は、この抽出した履歴に基づいて、アクションプランの候補を特定する。提示部113は、この特定したアクションプランの候補を、アクションプランの提案として、医療スタッフや介護スタッフ等のユーザに提示する。具体的には、提示部113は、後述する図5~6の例で示すような検査レポートとして、上記1)の検査結果、上記2)の原因特性の分析結果、及びこのアクションプランの提案をまとめて画面やファイルに出力してもよい。
【0039】
4)提案に対するユーザの評価
ヘルスケアシステム1では、ユーザが、上記3)のアクションプランの提案に対して、実際に第1対象者の体質改善に効果的だったのか等の評価をする。サーバ装置100の後述する受付部114は、この提案に対する評価を受け付ける。この評価は、例えば、2値による評価(例えば、「0:良い」又は「1:悪い」等)、複数の段階別の評価(例えば、1~5の5段階評価等)、及び/又はテキストによる定性的な評価等であってもよい。サーバ装置100の後述する反映部115は、この評価を分類モデルの学習データや分類モデルの選択条件等に反映する。
【0040】
上記構成のもと、ヘルスケアシステム1は、体質改善の目的別のモデルを用いて、第1対象者を1以上の対象者グループに分類できる。そして、分類された対象者グループに属する過去に体質が改善された第2対象者の行動に基づいてアクションプランを提案することができる。このため、ヘルスケアシステム1は、対象者の体質改善の目的をふまえて、対象者の行動を変える支援をすることができる。
【0041】
上記構成のもと、ヘルスケアシステム1は、アクションプランの提案に対するユーザからのフィードバックを受けて、分類モデルを改善していくことができる。このため、より精度の高い体質改善を支援するためのサービスを第1対象者や関係者に提供することができる。
【0042】
<3.機能構成>
図4を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成を説明する。図4に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130と、を備える。
【0043】
[制御部]
制御部110は、取得部111と、分類部112と、提示部113と、を備える。また、制御部110は、例えば、受付部114、及び/又は反映部115を備えてもよい。
【0044】
[取得部]
取得部111は、ユーザ装置200、第1対象者の生体を測定する測定装置、サードパーティシステムの装置等から、対象者データを取得する。取得部111は、この取得した対象者データを記憶部130に記憶させる。
【0045】
[分類部]
分類部112は、モデル記憶部131及びデータ記憶部132を参照して、第1対象者の1以上の対象者データに基づいて、分類モデルを用いて、第1対象者を、改善目的ごとに、1以上の対象者グループのいずれかに分類する。
【0046】
分類モデルは、第1対象者を1以上の対象者グループに分類するためのモデルである。この対象者グループは、1以上の第2対象者で構成されたグループである。分類モデルは、改善目的それぞれに対応する複数の目的別モデルを含む。また、分類モデルは、例えば、学習データを用いて機械学習の手法により学習されたモデルであってもよい。
【0047】
分類モデルは、例えば、第1対象者の対象者データを説明変数とし、1以上の対象者グループのいずれかへの分類を目的変数とする多変量解析を用いたモデルであってもよい。
【0048】
分類部112は、例えば、血液検査、尿検査、重金属検査等による測定の結果を示す第1データ、ストレスの度合い、運動の頻度、及び/若しくは食生活の良さ等の測定者による測定の結果を示す第2データ、並びに/又は複数の第2データの共通性の度合いの標準化を行ってもよい。次に、分類部112は、分類モデルが主成分分析及びクラスター分析の手法によるモデルの場合、この分類モデルを用いて、標準化した第1データ、第2データ及び/又は上記共通性の度合いに基づいて、主成分分析を行ってもよい。そして、分類部112は、この分類モデルを用いて、主成分分析した結果に基づいて、クラスター分析を行い、第1対象者を1以上の対象者グループに分類してもよい。
【0049】
分類部112は、例えば、複数の第2データの共通性の度合いとして、VAS法により第2データを数値化して、数値化した複数の第2データの一致度を算出してもよい。
【0050】
上記構成によれば、第1対象者から得られた関連のある多種類のデータ(言い換えれば、多変量データ)から構成されている対象者データを総合的に要約したり、多種類のデータ間(言い換えれば、変数間)の関連性を明確にしたりすることができる。
【0051】
分類部112は、例えば、学習部112aを備えてもよい。学習部112aは、例えば、対象者データを用いて分類モデルを学習させてもよい。学習部112aは、例えば、教師なし学習として、主成分分析、敵対的生成ネットワーク、及び/又はクラスター分析(言い換えれば、クラスタリング)等の手法を用いてもよい。学習部112aは、例えば、教師あり学習として、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)、ロジスティック回帰等の手法、強化学習、及び/又は深層強化学習等を用いてもよい。
【0052】
分類部112は、例えば、1以上の分類モデルそれぞれを選択するための選択条件に基づいて、第1対象者に適用する分類モデルを選択してもよい。選択条件は、第1対象者の改善目的及び/又は代謝の特徴に応じた条件であってもよい。例えば、CVA特化モデルの選択条件が「改善目的がCVAのリハビリテーションであること」という条件を含む場合、第1対象者の改善目的がCVAのリハビリテーションの場合は、分類部112は、CVA特化モデルを第1対象者に適用するモデルとして選択してもよい。
【0053】
学習部112aは、例えば、対象者データを入力データとし1以上のアクションプランの候補に対するユーザからの選択を正解データとする学習データを用いて、分類モデルを学習させてもよい。
【0054】
分類モデルは、例えば、複数の代謝の特徴別モデルを含んでもよい。代謝の特徴別モデルとは、生体の代謝の特徴(以下、単に「代謝の特徴」ともいう)それぞれに対応するモデルである。分類部112は、複数の代謝の特徴別モデルを用いて、代謝の特徴ごとに、第1対象者を、1以上の対象者グループのいずれかに分類してもよい。具体的には、分類部112は、代謝の特徴として推定部112bにより推定された原因特性「ストレス性」を第1対象者が有するとする場合、ストレス性特化モデルを用いて、ストレス性を過去に有していた第2対象者で構成された対象者グループに分類してもよい。このような構成によれば、対象者の代謝の特徴をふまえて、対象者の行動を変える支援をすることができる。
【0055】
分類部112は、例えば、分類モデルごとに、第1対象者を分類した対象者グループごとの確信度を算出してもよい。分類部112は、例えば、この算出した確信度を、対象者グループそれぞれに基づいて特定されたアクションプランの候補における推奨度としてもよい。
【0056】
学習部112aは、目的別モデルごと、又は代謝の特徴別モデルごとに学習の手法を適用してもよい。言い換えれば、学習部112aは、目的別モデルごと、又は代謝の特徴別モデルごとに適用する学習の手法を変えてもよい。
【0057】
学習部112aは、例えば、前処理として、目的別モデル及び/又は代謝の特徴別モデルごとに、学習データの加工及び/又は重み付け等を行ってもよい。学習部112aは、例えば、改善目的別、及び/代謝の特徴別に対象者データを重み付けしてもよい。例えば、改善目的をCVAのリハビリテーションとする場合、CVAに関係するデータに重み付けをしてもよい。
【0058】
分類部112は、推定部112bを備える。推定部112bは、第1対象者の対象者データに基づいて、第1対象者における改善目的に関する症状の1以上の原因特性を推定する。分類部112は、例えば、第1対象者の対象者データの中から、この推定された1以上の原因特性それぞれに関する原因データを抽出してもよい。分類部112は、この抽出した原因データに基づいて、第1対象者を、1以上の対象者グループのいずれかに分類してもよい。
【0059】
推定部112bは、例えば、第1データが示す炎症性のマーカであるホモシステインの値や血中のCRP(C-reactive protein)の値が所定の閾値を超える場合、このようなホモシステインの値及び/又は血中のCRPに基づいて、原因特性を炎症性と推定してもよい。また、推定部112bは、例えば、第1データが示す副腎から分泌されるホルモンの傾向を表すTSH(甲状腺刺激ホルモン)の値やテストステロンの値が所定の閾値を超える場合、原因特性をストレス性と推定してもよい。
【0060】
上記構成によれば、対象者データのうち第1対象者の原因特性に応じた原因データに絞って分類モデルに入力させることができる。例えば、分類モデルをCVA特化モデルとする場合、対象者データの中には、CVAにほとんど関連性のないデータも含まれうることが考えられる。このため、CVAに関連性のないデータは排除するよう、CVAと因果関係のある原因データを抽出してこの抽出したデータに基づいて分類することができる。よって精度よく、かつ効率的に第1対象者を1以上の対象者グループに分類することができる。
【0061】
推定部112bは、例えば、1以上の原因特性の度合い及び/又は割合いを推定してもよい。推定部112bは、例えば、1以上の対象者データそれぞれの重み付けに基づいて、1以上の原因特性の度合いを推定してもよい(言い換えれば、1以上の原因特性の度合いを算出してもよい)。推定部112bは、例えば、ポイント制を採用する場合、第1データが示すTSHの値が所定の閾値を超える場合はストレス性の度合いを5ポイントとしてもよい。さらに、推定部112bは、この第1データの他に第2データが第1対象者のストレスの度合いが「高」を示す場合は5ポイントを加点して、合計6ポイントを原因特性の度合いとしてもよい。
【0062】
推定部112bは、例えば、代謝の特徴を、推定した1以上の原因特性の度合い及び/又は割合いに基づいて推定してもよい。推定部112bは、例えば、ストレス性の度合いが所定の閾値を超えていた場合は、代謝の特徴として、ストレス性に課題があると推定してもよい。この推定の結果に基づいて、例えば、分類部112は、図2の例で示したストレス性特化モデルを用いて第1対象者を1以上の対象者グループに分類してもよい。
【0063】
[提示部]
提示部113は、各種情報・各種データを、ユーザに提示する。提示部113が各種情報を提示する態様はどのような態様でもよく、例えば、アクションプランの候補を画面又はファイルに出力するための出力情報を生成し、この出力情報を提示先のユーザが使用するユーザ装置200に送信してもよい。
【0064】
提示部113は、例えば、1以上の第2対象者の行動履歴情報と改善履歴情報とに基づいて、ユーザに対して、第1対象者に対する体質を改善するための1以上のアクションプランの候補を提示する。提示部113は、例えば、改善履歴情報に基づいて、体質が改善されたとみなせる第2対象者を特定する。次に、提示部113は、この特定した第2対象者の行動履歴情報に基づいて、体質の改善と所定の相関関係がある第2対象者の過去の行動を特定する。そして、提示部113は、この特定した過去の行動をアクションプランの候補として特定してもよい。
【0065】
上記構成によれば、提示部113は、体質改善の目的別のモデルを用いて分類された対象者グループに属する過去に体質が改善された第2対象者の行動に基づいてアクションプランを提示することができる。このため、対象者の体質改善の目的をふまえて、対象者の行動を変える支援をすることができる。
【0066】
ここで、図5~6を参照して、提示部113による画面又はファイルによる出力例について説明する。図5に示すように、提示部113が出力させるレポート画面A1は、第1対象者の第1データとして、各種検査による測定結果を示す検査結果領域a11を含んでもよい。また、検査結果領域a11は、例えば、重金属検査の結果を示す領域a11a、ビタミン・ミネラル検査の結果を示すa11b、血液検査の結果を示す領域a11cを含んでもよい。
【0067】
図6に示すように、レポート画面A1は、図5で示した領域に加え、原因特性の推定の結果を示す分析結果領域a12と、アクションプランの提案を示す提案領域a13を含んでもよい。提案領域a13は、例えば、アクションプランの候補のリストを示す領域a13aと、推定された原因特性それぞれに対応するアクションプランをテキストで示す領域a13bと、を含む。提示部113は、例えば、領域a13aにおいて、NO.1~3の3つのアクションプラン(図5では、「ケアプラン」と表記)の候補と、候補それぞれの推奨度とを含むリストを出力してもよい。
【0068】
[受付部]
図4に戻って説明を続ける。受付部114は、ユーザから、提示部113により提示された1以上のアクションプランの候補の中から第1対象者に対して使用するアクションプランの選択を受け付ける。
【0069】
受付部114は、例えば、ユーザから、1以上のアクションプランに対する評価を受け付けてもよい。このユーザからの評価は、例えば、日常生活動作の指標であるFIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価法)やQOLの指標の一つであるPGCモラルスケールを用いたものであってもよい。また、このユーザからの評価は、例えば、対象者の状態を評価するために設定された質問項目であって対象者ごとの質問項目への回答であってもよい。
【0070】
[反映部]
反映部115は、受付部114により受け付けられたアクションプランの選択を学習データに反映させる。また、反映部115は、例えば、受付部114により受け付けられたアクションプランの選択及び/又は選択されたアクションプラン、ひいてはこのアクションプランの基となる分類モデルに対するユーザの評価を、分類モデルの選択条件に反映させてもよい。反映部115は、例えば、クラスター分析の分類モデルを用いて提示したアクションプランに対するユーザの評価の所定期間における統計値が所定の閾値を超える場合、このクラスター分析のアルゴリズムの成績が良いとして、この分類モデルを選択するよう選択条件を変更してもよい。
【0071】
上記構成によれば、ユーザによる選択やアクションプランに対する評価を分類モデルの選択にフィードバックすることができる。このため、精度よく、第1対象者を1以上の対象者グループに分類することができる。
【0072】
[通信部]
通信部120は、ネットワークNを介して、対象者データや出力情報を含む各種情報をユーザ装置200や測定装置等と送受信する。
【0073】
[記憶部]
記憶部130は、分類モデルや対象者データ、出力情報等を記憶する。記憶部130は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブルを設けて、このテーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0074】
記憶部130は、例えば、モデル記憶部131を備えてもよい。モデル記憶部131は、分類モデルを記憶する。また、記憶部130は、例えば、データ記憶部132を備えてもよい。データ記憶部132は、対象者データを記憶する。
【0075】
<4.動作例>
図7を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の動作例を説明する。なお、以下に示すフロー図の処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0076】
図7に示すように、サーバ装置100の受付部114は、ユーザから、ユーザ装置200を介して、アクションプランの候補を含むレポートの提示要求を受け付ける(ステップS10)。次に、サーバ装置100の取得部111は、第1対象者の対象者データを取得する(ステップS11)。
【0077】
次に、サーバ装置100の分類部112は、複数の目的別モデルを含む分類モデルを用いて、第1対象者を、改善目的ごとに、1以上の対象者グループのいずれかに分類する(ステップS12)。次に、提示部113は、分類された1以上の対象者グループに属する第2対象者の行動履歴情報及び改善履歴情報を抽出する(ステップS13)。次に、提示部113は、この抽出された行動履歴情報及び改善履歴情報に基づいて、1以上のアクションプランの候補を特定する(ステップS14)。次に、提示部113は、この特定した1以上のアクションプランの候補を、ユーザに提示する(ステップS15)。
【0078】
受付部114は、ユーザから、上記提示された1以上のアクションプランの候補の中から第1対象者に対して使用するアクションプランの選択を受け付ける(ステップS16)。反映部115は、この受け付けられたアクションプランの選択を分類モデルの学習データに反映させる(ステップS17)。
【0079】
<5.ハードウェア構成>
図8を参照して、上述してきたサーバ装置100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0080】
図8に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811と、表示装置813とを含む。
【0081】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置100の制御部110が備える各機能部等は、メモリ803に一時記憶されたプログラムをプロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0082】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0083】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種モデルや各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、対象者データを登録するテーブルと、このテーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0084】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0085】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0086】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0087】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0088】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、上記に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0089】
上記実施形態で記載されたサーバ装置が備える構成要素は、記憶装置805に格納されたプログラムがプロセッサ801によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。また、言い換えれば、これらの構成要素は、ソフトウェア又はファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、「機能」、「手段」、「部」、「処理回路」、「ユニット」、又は「モジュール」等とも記載され、またそれぞれに読み替えることができる。
【0090】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0091】
[変形例1]
上記実施形態に係るサーバ装置100における各構成の少なくとも一部は、ユーザ装置200が備えていてもよい。例えば、サーバ装置100における制御部110の提示部113の機能をユーザ装置200に実装させてもよい。具体的には、ユーザ装置200は、例えば、ヘルスケアシステム1専用のアプリケーションプログラムをインストールしてこのプログラムを実行することで、これらの構成を実現させてもよい。
【0092】
[変形例2]
上記実施形態では、分類モデルを記憶する場所としてモデル記憶部131をサーバ装置100の記憶部130が備える例を説明したが、分類モデルが記憶される場所はこれに限定されない。分類モデルは、例えば、外部装置の記憶部に記憶されていてもよい。サーバ装置100の分類部112は、例えば、この外部装置が提供するAPIであって分類モデルの機能を利用するためのAPIに対して、分類モデルを用いて第1対象者を1以上の対象者グループに分類するよう指示してもよい。分類部112は、この指示に対する応答として、この外部装置から、通信部120を通じて分類の結果(例えば、第1対象者がどの対象者グループに属するかを示す)を示す分類情報を取得してもよい。
【0093】
[変形例3]
上記実施形態では、サーバ装置100の制御部110が分類モデルを学習させる学習部112aを備える例を説明したが、本発明に係る学習部はこれに限定されない。本発明に係る学習部は、例えば、分類モデルを用いて第1対象者を1以上の対象者グループに分類する分類部を備える装置とは異なる装置が備えてもよい。この異なる装置は、例えば、ヘルスケアシステム1とは異なるサードパーティシステムにおける外部装置であってもよい。例えば、サーバ装置100の制御部110が備える取得部111は、学習された分類モデル(言い換えれば、学習済みの分類モデル)を外部装置から取得して、この取得した分類モデルをモデル記憶部131に記憶させてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…ヘルスケアシステム、100…サーバ装置、110…制御部、111…取得部、112…分類部、113…提示部、114…受付部、115…反映部、120…通信部、130…記憶部、200…ユーザ装置、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8