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特開2024-80407記録媒体処理装置および画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080407
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】記録媒体処理装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/06 20060101AFI20240606BHJP
   B65H 45/18 20060101ALI20240606BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B65H37/06
B65H45/18
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193572
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】深町 昂志
(72)【発明者】
【氏名】福井 絵理
(72)【発明者】
【氏名】川野 公嗣
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】泉 竜太
(72)【発明者】
【氏名】荻野 孝
(72)【発明者】
【氏名】梁瀬 一梅
(72)【発明者】
【氏名】林 千登
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA01
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA09
3F108BB11
3F108BB17
3F108CD01
3F108EA14
3F108EA17
3F108GA01
3F108GB03
(57)【要約】
【課題】折り処理についての調整を行えない構成や折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成に比べ、折り処理がより精度よく行われるようにする。
【解決手段】移動機構200に設けられたモータ201が駆動すると、このモータ201にて発生した駆動力が、伝達ギア(不図示)、受けギア204、第1回転シャフト205、クラッチ209、第2回転シャフト205、ウォーム206、ウォームホイール207、同軸シャフト208を介して、支持部材444に伝達される。これにより、支持部材444の他端部444B側が上下動し、これに伴い、被押し当て部443の一端部側部分443Aに対して他端部側部分443Bが移動する。これにより、一端部側部分443Aと他端部側部分443Bとの位置の関係が変化する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り処理が行われる記録媒体の一方の端部が押し当てられる被押し当て部を有する移動体であって、当該移動体に対する当該被押し当て部の移動が可能に構成された移動体と、
駆動源を有し、前記移動体に対する前記被押し当て部の移動を行う移動機構と、
を備える記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記被押し当て部の移動の量の設定を行うプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
一方の端部が前記被押し当て部に押し当てられた後に折り処理が行われた記録媒体である処理後記録媒体にて生じている、折りのずれの量に基づき、前記移動の量の設定を行う、
請求項1に記載の記録媒体処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記処理後記録媒体を撮影することにより得られた撮影画像を基に、前記折りのずれの量を特定し、
前記撮影画像を基に特定した、前記折りのずれの量に基づき、前記移動の量の設定を行う、
請求項2に記載の記録媒体処理装置。
【請求項4】
前記被押し当て部の移動の量の設定を行うプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記記録媒体に形成される画像についての情報である画像情報を取得し、
前記画像情報を基に、前記被押し当て部の移動の量の設定を行う、
請求項1に記載の記録媒体処理装置。
【請求項5】
プロセッサは、
前記画像情報により特定される、前記記録媒体上の画像の分布に基づき、前記被押し当て部の移動の量の設定を行う、
請求項4に記載の記録媒体処理装置。
【請求項6】
前記駆動源および前記移動機構は、前記移動体に設けられている請求項1に記載の記録媒体処理装置。
【請求項7】
前記移動体には、前記駆動源からの駆動力を受けて作動し前記記録媒体に接触する作動部材が設けられ、
前記被押し当て部および前記作動部材の両者に対し、共通の前記駆動源から駆動力が供給される請求項6に記載の記録媒体処理装置。
【請求項8】
前記移動機構には、前記駆動源から前記被押し当て部への駆動力の伝達を遮断する遮断機構が設けられている請求項7に記載の記録媒体処理装置。
【請求項9】
前記被押し当て部には、前記記録媒体の前記一方の端部の長手方向における一端部側が押し当てられる一端部側部分と、他端部側が押し当てられる他端部側部分とが設けられ、
前記移動機構は、前記一端部側部分と前記他端部側部分との位置の関係であって、前記長手方向と交差する方向における当該位置の関係が変化するように、前記被押し当て部の移動を行う請求項1に記載の記録媒体処理装置。
【請求項10】
一端部、他端部、および、中央部を有する記録媒体のうちの当該一端部と当該他端部の間に位置する部分に対する折り処理を行い、折り部と、当該折り部と当該一端部との間に位置する一端部側部分と、当該折り部と当該他端部との間に位置する他端部側部分とを有する記録媒体を生成する折り処理手段と、
記録媒体のうちの前記中央部よりも前記他端部側にて前記折り処理が行われるようにし、当該記録媒体のうちの当該折り処理により内側に位置するようになる一方の面の特定箇所が、前記他端部側部分により覆われないようにするプロセッサと、
を備える記録媒体処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記一方の面のうちの画像が形成されている箇所である画像形成箇所が前記他端部側部分により覆われないようにする請求項10に記載の記録媒体処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記一方の面の前記特定箇所が前記他端部側部分により覆われないように且つ前記折り処理により外側に位置するようになる他方の面の特定箇所が当該他端部側部分に位置するように前記折り処理が行われるようにする、
請求項11に記載の記録媒体処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記他方の面のうちの画像が形成されている箇所が前記他端部側部分に位置するように前記折り処理が行われるようにする、
請求項12に記載の記録媒体処理装置。
【請求項14】
記録媒体の搬送方向において、前記折り処理手段よりも上流側には、記録媒体の前記一方の面のうちの予め定められた画像形成領域内に画像を形成する画像形成手段が設けられ、
前記プロセッサは、
前記一方の面の前記画像形成領域の一部が前記他端部側部分により覆われないようにする、
請求項10に記載の記録媒体処理装置。
【請求項15】
前記画像形成手段は、記録媒体の他方の面のうちの予め定められた画像形成領域内に画像を形成し、
前記プロセッサは、
前記一方の面の前記画像形成領域の一部が前記他端部側部分により覆われないように且つ前記折り処理により外側に位置するようになる前記他方の面の前記画像形成領域の一部が当該他端部側部分に位置するように当該折り処理が行われるようにする、
請求項14に記載の記録媒体処理装置。
【請求項16】
記録媒体への画像の形成を行う画像形成装置と、当該画像形成装置による画像の形成が行われた記録媒体に対する処理を行う記録媒体処理装置とを備え、当該記録媒体処理装置が、請求項1に記載された記録媒体処理装置を含んで構成された画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調整パターンが形成された調整シートに対して予め設定された基準折り位置に基づいてその調整パターンを跨ぐように折りを実行する折り部と、折り部で折られた調整シートが広げられた状態で調整シートの調整パターンの画像を読み取る画像読取部とを備える画像処理装置が開示されている。
特許文献2には、シート束を折る際、シート束を形成するシート間の摩擦の大きさに応じて折り手段の折り動作及び突き出し手段の突き出し動作を制御する処理が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-45784号公報
【特許文献2】特開2005-89100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体についての処理を行う装置では、記録媒体の折り処理が行われることがある。
ここで、折り処理についての調整を行えない構成や、折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成の場合、折り処理についての調整を行えず、又は、折り処理についての調整に手間を要し、これに起因して、折り処理の精度の低下を招くおそれがある。
本発明の目的は、折り処理についての調整を行えない構成や折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成に比べ、折り処理がより精度よく行われるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、折り処理が行われる記録媒体の一方の端部が押し当てられる被押し当て部を有する移動体であって、当該移動体に対する当該被押し当て部の移動が可能に構成された移動体と、駆動源を有し、前記移動体に対する前記被押し当て部の移動を行う移動機構と、を備える記録媒体処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記被押し当て部の移動の量の設定を行うプロセッサをさらに備え、前記プロセッサは、一方の端部が前記被押し当て部に押し当てられた後に折り処理が行われた記録媒体である処理後記録媒体にて生じている、折りのずれの量に基づき、前記移動の量の設定を行う、請求項1に記載の記録媒体処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記処理後記録媒体を撮影することにより得られた撮影画像を基に、前記折りのずれの量を特定し、前記撮影画像を基に特定した、前記折りのずれの量に基づき、前記移動の量の設定を行う、請求項2に記載の記録媒体処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記被押し当て部の移動の量の設定を行うプロセッサをさらに備え、前記プロセッサは、前記記録媒体に形成される画像についての情報である画像情報を取得し、前記画像情報を基に、前記被押し当て部の移動の量の設定を行う、請求項1に記載の記録媒体処理装置である。
請求項5に記載の発明は、プロセッサは、前記画像情報により特定される、前記記録媒体上の画像の分布に基づき、前記被押し当て部の移動の量の設定を行う、請求項4に記載の記録媒体処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記駆動源および前記移動機構は、前記移動体に設けられている請求項1に記載の記録媒体処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記移動体には、前記駆動源からの駆動力を受けて作動し前記記録媒体に接触する作動部材が設けられ、前記被押し当て部および前記作動部材の両者に対し、共通の前記駆動源から駆動力が供給される請求項6に記載の記録媒体処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記移動機構には、前記駆動源から前記被押し当て部への駆動力の伝達を遮断する遮断機構が設けられている請求項7に記載の記録媒体処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記被押し当て部には、前記記録媒体の前記一方の端部の長手方向における一端部側が押し当てられる一端部側部分と、他端部側が押し当てられる他端部側部分とが設けられ、前記移動機構は、前記一端部側部分と前記他端部側部分との位置の関係であって、前記長手方向と交差する方向における当該位置の関係が変化するように、前記被押し当て部の移動を行う請求項1に記載の記録媒体処理装置である。
請求項10に記載の発明は、一端部、他端部、および、中央部を有する記録媒体のうちの当該一端部と当該他端部の間に位置する部分に対する折り処理を行い、折り部と、当該折り部と当該一端部との間に位置する一端部側部分と、当該折り部と当該他端部との間に位置する他端部側部分とを有する記録媒体を生成する折り処理手段と、記録媒体のうちの前記中央部よりも前記他端部側にて前記折り処理が行われるようにし、当該記録媒体のうちの当該折り処理により内側に位置するようになる一方の面の特定箇所が、前記他端部側部分により覆われないようにするプロセッサと、を備える記録媒体処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、前記一方の面のうちの画像が形成されている箇所である画像形成箇所が前記他端部側部分により覆われないようにする請求項10に記載の記録媒体処理装置である。
請求項12に記載の発明は、前記プロセッサは、前記一方の面の前記特定箇所が前記他端部側部分により覆われないように且つ前記折り処理により外側に位置するようになる他方の面の特定箇所が当該他端部側部分に位置するように前記折り処理が行われるようにする、請求項11に記載の記録媒体処理装置である。
請求項13に記載の発明は、前記プロセッサは、前記他方の面のうちの画像が形成されている箇所が前記他端部側部分に位置するように前記折り処理が行われるようにする、請求項12に記載の記録媒体処理装置である。
請求項14に記載の発明は、記録媒体の搬送方向において、前記折り処理手段よりも上流側には、記録媒体の前記一方の面のうちの予め定められた画像形成領域内に画像を形成する画像形成手段が設けられ、前記プロセッサは、前記一方の面の前記画像形成領域の一部が前記他端部側部分により覆われないようにする、請求項10に記載の記録媒体処理装置である。
請求項15に記載の発明は、前記画像形成手段は、記録媒体の他方の面のうちの予め定められた画像形成領域内に画像を形成し、前記プロセッサは、前記一方の面の前記画像形成領域の一部が前記他端部側部分により覆われないように且つ前記折り処理により外側に位置するようになる前記他方の面の前記画像形成領域の一部が当該他端部側部分に位置するように当該折り処理が行われるようにする、請求項14に記載の記録媒体処理装置である。
請求項16に記載の発明は、記録媒体への画像の形成を行う画像形成装置と、当該画像形成装置による画像の形成が行われた記録媒体に対する処理を行う記録媒体処理装置とを備え、当該記録媒体処理装置が、請求項1に記載された記録媒体処理装置を含んで構成された画像形成システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、折り処理についての調整を行えない構成や折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成に比べ、折り処理がより精度よく行われるようにすることができる。
請求項2の発明によれば、折り処理が行われた記録媒体である処理後記録媒体にて生じている、折りのずれの量に応じて、被押し当て部の移動の量の設定を行うことが可能になる。
請求項3の発明によれば、折りのずれの量をユーザが手動で入力する場合に比べ、折りのずれの量に基づき被押し当て部の移動の量の設定を行う際のユーザの負担を軽減できる。
請求項4の発明によれば、記録媒体に形成される画像についての情報である画像情報を考慮せずに、被押し当て部の移動の量の設定を行う場合に比べ、記録媒体に形成される画像に起因する折りのずれを低減できる。
請求項5の発明によれば、記録媒体に形成される画像の分布を考慮せずに、被押し当て部の移動の量の設定を行う場合に比べ、記録媒体に形成される画像に起因する折りのずれを低減できる。
請求項6の発明によれば、駆動源および移動機構が移動体とは別に設けられる場合に比べ、装置の構成の簡素化を図れる。
請求項7の発明によれば、被押し当て部を移動させるための駆動源、作動部材を作動させるための駆動源がそれぞれ個別に設けられる場合に比べ、駆動源の削減を図れる。
請求項8の発明によれば、共通の駆動源を用いつつ、駆動源から被押し当て部への駆動力の伝達を遮断することができる。
請求項9の発明によれば、被押し当て部の一端部側部分と他端部側部分との位置の関係であって、記録媒体の一方の端部の長手方向と交差する方向における位置の関係を変化させることができる。
請求項10の発明によれば、折り処理についての調整を行えない構成や折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成に比べ、折り処理がより精度よく行われるようにすることができる。
請求項11の発明によれば、記録媒体のうちの折り処理により内側に位置するようになる一方の面のうちの画像が形成されている箇所である画像形成箇所を露出させることができる。
請求項12の発明によれば、折り処理により外側に位置するようになる面の特定箇所を、折り部と一端部との間に位置する一端部側部分および折り部と他端部との間に位置する他端部側部分のうちの、この他端部側部分に位置させることが可能となる。
請求項13の発明によれば、折り処理により外側に位置するようになる面のうちの画像が形成されている箇所を、折り部と一端部との間に位置する一端部側部分および折り部と他端部との間に位置する他端部側部分のうちの、この他端部側部分に位置させることが可能となる。
請求項14の発明によれば、記録媒体のうちの折り処理により内側に位置するようになる一方の面の画像形成領域の一部を露出させることができる。
請求項15の発明によれば、折り処理により外側に位置するようになる面の画像形成領域の一部を、折り部と一端部との間に位置する一端部側部分および折り部と他端部との間に位置する他端部側部分のうちの、この他端部側部分に位置させることが可能となる。
請求項16の発明によれば、折り処理についての調整を行えない構成や折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成に比べ、折り処理がより精度よく行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成システムの全体構成を示した図である。
図2】制御部の構成を示した図である。
図3】第1後処理装置に設けられた中綴じユニットの構成を説明する図である。
図4】(A)、(B)は、進出部材および折りロールを上方から見た場合の図である。
図5】(A)~(C)は、進出部材および折りロールによる折り処理が行われる際の各部の動きを示した図である。
図6図3の矢印VIで示す方向から移動体を見た場合の斜視図である。
図7】(A)、(B)は、移動体に設けられたモータと、作動部材、被押し当て部との関係を説明する図である。
図8】被押し当て部の位置の調整が行われる際に実行される処理の流れの一例を示したフローチャートである。
図9】画像形成システムの他の構成例を示した図である。
図10】専用受付部が操作されて被押し当て部の位置の調整が行われる際に実行される処理の流れを示したフローチャートである。
図11】移動体の他の構成例を示した図である。
図12】折りのずれが生じている試験用冊子をスキャナ装置で読み取ることにより得られた撮影画像の一例を示した図である。
図13】(A)、(B)は、試験用冊子に生じる折りのずれの他の一例を示した図である。
図14】(A)、(B)は、試験用冊子を生成する際における折り処理を説明する図である。
図15】試験用冊子の他の一例を示した図である。
図16】試験用冊子の他の一例を示した図である。
図17】試験用冊子の他の一例を示した図である。
図18】折り処理の対処となる用紙束に含まれる1枚の用紙であって、図5(A)にて示す用紙束に含まれる用紙のうちの折りロールに最も近い側に位置する1枚の用紙の状態を示した図である。
図19】(A)、(B)は、対象用紙が折りロールにより搬送される際の状態、および、折り処理後の対象用紙の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示した図である。図1は、画像形成システム1の正面側からこの画像形成システム1を見た場合の状態を示している。
同図に示す画像形成システム1は、記録媒体の一例である用紙Pに対して画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに対する処理を行う用紙処理装置3とを備える。
【0009】
画像形成装置2には、用紙Pへの画像の形成を行う画像形成部22が設けられている。画像形成部22における画像の形成方式は、特に制限されず、画像形成部22では、例えば、電子写真方式やインクジェット方式などが用いられて、用紙Pへの画像の形成が行われる。
さらに、本実施形態では、画像形成部22により画像が形成された用紙Pの表裏を反転させて、この用紙Pを画像形成部22へ再度供給する反転機構23が設けられている。これにより、本実施形態では、用紙Pの両面への画像の形成を行える。この反転機構23は、公知の既存の機構により構成される。
【0010】
また、本実施形態では、画像形成装置2の上部に、ユーザの操作を受け付ける操作受付部24が設けられており、操作受付部24は、ユーザが入力する情報を受け付ける。
操作受付部24は、例えば、タッチパネルにより構成されるが、これに限定されず、物理的なボタンなどの他の既存の技術により構成してもよい。
【0011】
記録媒体処理装置の一例としての用紙処理装置3は、画像形成装置2から出力された用紙Pを下流側に搬送する搬送装置10、搬送装置10により搬送される用紙Pに対して厚紙や窓空き用紙P等の合紙を供給する合紙供給装置20を備える。
また、用紙処理装置3は、搬送装置10から搬送された用紙Pに対して内三折り(C折り)や外三折り(Z折り)等の折り処理を施す折り装置30、折り装置30の下流側に設けられ用紙束に対して綴じ処理や折り処理を行う第1後処理装置40を備える。
【0012】
また、用紙処理装置3には、第1後処理装置40の下流側に設けられ、綴じ処理や折り処理が行われた用紙束に対する処理を行う第2後処理装置50が設けられている。
本実施形態では、第1後処理装置40にて、綴じ処理や折り処理が行われた用紙束よりなる冊子が生成され、第2後処理装置50は、この冊子に対する処理を行う。
また、用紙処理装置3には、用紙処理装置3の各部の制御を行う制御部100が設けられている。
【0013】
第1後処理装置40には、図1に示すように、用紙Pに穴あけ(パンチ)を施す穿孔ユニット41、用紙束の端を綴じる端綴じステープラユニット42が設けられている。
また、第1後処理装置40には、端綴じされた用紙束が積載される第1積載部43が設けられている。また、第1後処理装置40には、第1後処理装置40での処理が行われない用紙Pまたは穴あけだけが施された用紙Pが積載される第2積載部45が設けられている。
また、第1後処理装置40には、用紙束に対する綴じ処理や折り処理を行って見開き状の冊子を作製する中綴じユニット44が設けられている。
【0014】
図2は、制御部100の構成を示した図である。
制御部100には、プログラムに従ってデジタル演算処理を実行する演算処理部120と、プログラムなどの情報が記録される2次記憶部129と、外部装置との間における情報の送受信を行う通信部130とを有する。
2次記憶部129は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ、磁気テープ等、既存の情報記憶装置により実現される。
【0015】
演算処理部120には、プロセッサの一例としてのCPU11aが設けられている。
また、演算処理部120には、CPU11aの作業用メモリ等として用いられるRAM11b、CPU11aにより実行されるプログラム等が格納されるROM11cが設けられている。
また、演算処理部120には、書き換え可能に構成され電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる不揮発性メモリ11dが設けられている。
【0016】
不揮発性メモリ11dは、例えば、電池によりバックアップされたSRAMやフラッシュメモリ等で構成される。
本実施形態では、CPU11aが、2次記憶部129やROM11cに記憶されたプログラムを読み込むことによって各処理が実行される。
演算処理部120と、2次記憶部129と、通信部130とは、バスや信号線を通じて接続されている。
【0017】
CPU11aによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、制御部100へ提供しうる。また、CPU11aによって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、制御部100へ提供してもよい。
【0018】
本明細書において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0019】
図3は、第1後処理装置40に設けられた中綴じユニット44の構成を説明する図である。
中綴じユニット44には、用紙Pが集積される用紙集積部440が設けられている。この用紙集積部440には、順次搬送されてくる用紙Pを支持する用紙支持部材441が設けられている。用紙支持部材441は、板状の部材により構成されている。
用紙支持部材441は、水平方向および鉛直方向に対して傾斜した状態で設けられている。用紙支持部材441は、下方に向かうに従い、折りロール448(詳細は後述)が設けられている側とは反対側に向かうように配置されている。また、用紙支持部材441は、用紙Pを下方から支持する支持面441Aを有する。
【0020】
支持面441Aの対向位置には、下方に向かって移動する用紙Pの案内を行う案内部材450が設けられている。案内部材450は、用紙支持部材441との間に間隙を有した状態で配置されるともに、用紙支持部材441に沿うように配置されている。
また、中綴じユニット44には、用紙Pを下方に向けて送り出す送り出しロール442が設けられている。また、中綴じユニット44には、用紙Pの一方の端部である下端部が押し当てられる被押し当て部443が設けられている。
【0021】
本実施形態では、用紙Pのこの一方の端部が、被押し当て部443に押し当てられる。これにより、送り出しロール442による用紙Pの送り出し方向における用紙Pの位置決めが行われる。
本実施形態では、送り出しロール442により送り出された用紙Pは、用紙支持部材441に沿って且つ下方に向かって移動する。そして、本実施形態では、用紙Pの一方の端部である下端部が、被押し当て部443に突き当たる。
【0022】
また、中綴じユニット44には、被押し当て部443を支持する移動体90が設けられている。本実施形態では、被押し当て部443が、移動体90に設けられた構成となっている。
移動体90は、用紙支持部材441の延び方向に沿って移動する。言い換えると、移動体90は、上下方向へ移動する。これに伴い、本実施形態では、被押し当て部443も、用紙支持部材441の延び方向に沿って移動する。
さらに、本実施形態では、移動体90に対する被押し当て部443の移動が可能な構成となっており、被押し当て部443の位置の調整が可能となっている。
【0023】
また、本実施形態では、用紙支持部材441に沿って移動体90を移動させる移動機構950が設けられている。
この移動機構950は、例えば、ラックアンドピニオン機構により構成される。なお、移動機構950は、ラックアンドピニオン機構に限定されず、循環移動するベルト部材を用いる機構など、公知の他の機構を用いてもよい。
【0024】
また、中綴じユニット44には、回転を行って、用紙支持部材441上に集積される用紙Pを被押し当て部443に向けて付勢する回転部材(後述)が設けられている。この回転部材は、弾性片が外周部に設けられた回転体により構成されている。
また、中綴じユニット44には、用紙Pの側辺に向かって進出しこの側辺を押圧する押圧部材445が設けられている。
【0025】
また、中綴じユニット44には、用紙支持部材441に集積された用紙Pによって構成された用紙束の綴じ処理を行う綴じ手段の一例としてのステープラ446が設けられている。
なお、本実施形態では、綴じ針を用いて用紙束の綴じを行う場合を説明するが、綴じ針は用いずに、用紙P同士を圧着させて綴じを行う形態としてもよい。
【0026】
また、中綴じユニット44には、記録媒体束の一例であるこの用紙束の一方の面側からこの用紙束に向かって進出してこの用紙束を押圧する進出部材447が設けられている。
さらに、本実施形態では、搬送手段および押圧手段として機能する折りロール448が設けられている。
折りロール448は、進出部材447によって押圧されてこの折りロール448へ送り込まれる用紙束を挟み込む一対のロールにより構成されている。
【0027】
本実施形態では、この一対のロールとして、上側に位置する第1折りロール448Aと、下側に位置する第2折りロール448Bとが設けられている。折りロール448は、用紙束を押圧しながら下流側へこの用紙束を搬送する。
さらに、本実施形態では、折りロール448による搬送が行われた用紙束を第2後処理装置50へ搬送する搬送ロール449が設けられている。
【0028】
図4(A)、(B)は、進出部材447および折りロール448を上方から見た場合の図である。
図4(A)に示すように、折りロール448を構成する第1折りロール448A、第2折りロール448B(図4では不図示)の各々には、円柱状の回転軸448Nと、この回転軸448Nの外周面に取り付けられた円筒状の弾性体448Cとが設けられている。この弾性体448Cは、例えば、ゴムや、軟質の樹脂により構成される。
弾性体448Cは、複数設けられ、また、回転軸448Nの軸方向に並んだ状態で設けられている。互いに隣接する弾性体448Cの間には、間隙448Eが設けられている。
【0029】
本実施形態では、駆動装置500からの駆動力を折りロール448が受け、折りロール448が回転する。
より具体的には、本実施形態では、第1折りロール448Aが駆動装置500からの駆動力を受けて回転する。そして、第2折りロール448B(図3参照)が、第1折りロール448Aからの駆動力を受けて回転する。
【0030】
第1折りロール448Aと第2折りロール448Bとは、接触部448G(図4(A)参照)にて接触しており、第2折りロール448Bは、この接触部448Gにて、第1折りロール448Aからの駆動力を受ける。
なお、第1折りロール448Aおよび第2折りロール448Bの各々に個別に駆動力を供給して、第1折りロール448Aおよび第2折りロール448Bの各々を個別に回転させてもよい。
【0031】
進出部材447(図4(A)参照)には、折りロール448の軸方向に沿って延びる基部447Aと、この基部447Aから折りロール448側に向かって突出する突出部447Cとが設けられている。
突出部447Cは、複数設けられ、また、折りロール448の軸方向に並んでいる。
本実施形態では、進出部材447が折りロール448に向かって進出すると、図4(B)に示すように、折りロール448に設けられた間隙448Eの間に、進出部材447の突出部447Cが入りこむ。
【0032】
さらに、本実施形態では、進出部材447が進出すると、突出部447Cの先端部447Eが、第1折りロール448A(図4(B)参照)の回転軸448Nと、第2折りロール448B(図4(B)では不図示)の回転軸448Nとの間を通る。
また、進出部材447が進出すると、突出部447Cの先端部447Eが、第1折りロール448Aと第2折りロール448Bとの接触部448Gを超える箇所まで移動する。
【0033】
図3を参照し、折り処理や綴じ処理が行われる場合における各部の動きを説明する。
折り処理や綴じ処理が行われる場合、まず、中綴じユニット44の送りロール442が、上流側から送られてきた用紙P(図3では不図示)を用紙支持部材441へ送り出す。
複数枚の用紙Pに対する処理が行われる場合、送りロール442は、用紙支持部材441への用紙Pの送り出しを複数回行う。
これにより、予め設定された枚数の用紙Pが、この用紙支持部材441上に集積され、用紙支持部材441上には用紙束が生成される。
【0034】
本実施形態では、この用紙束に作用する重力によって、この用紙束の一方の端部である下端部が、被押し当て部443に押し当てられる状態となる。より具体的には、用紙束は、矩形状に形成され下辺を有するが、本実施形態では、この下辺が、被押し当て部443に押し当てられる状態となる。
なお、用紙束が1枚の用紙Pにより構成される場合は、1枚の用紙Pが用紙支持部材441に集積される。本明細書において、「用紙束」には、1枚の用紙Pにより構成されるものも含まれる。
【0035】
用紙支持部材441に用紙Pが集積される際、用紙Pを下方から支持する被押し当て部443は、例えば用紙Pの中央部分がステープラ446によるステープル位置に位置するように停止している。また、このとき、回転部材(図3では不図示)が、回転し、集積される用紙Pを被押し当て部443に向けて付勢する。
また、用紙支持部材441に用紙Pが集積される際、押圧部材445が、用紙支持部材441上に用紙Pが搬送されてくる度にこの用紙Pの側辺を押圧する。
【0036】
用紙支持部材441に予め定められた枚数の用紙Pが集積されて用紙束が生成された後、ステープラ446によって、用紙束の例えば中央部分に対する綴じ処理が行われる。
なお、綴じ処理が実行されずに、折り処理のみが行われる場合は、ステープラ446による綴じ処理は行われない。
【0037】
次いで、移動体90が上方へ移動し、これに伴い、用紙束を支持する被押し当て部443が上方へ移動する。
これにより、折り処理が行われる部分である折り部分が、進出部材447の先端部447Eの対向位置に配置される。より具体的には、例えば、用紙束の中央部分が、進出部材447の先端部447Eの対向位置に配置される。
【0038】
なお、上記では、用紙支持部材441に用紙Pが集積される際に、用紙Pの中央部分がステープラ446によるステープル位置に位置するように、被押し当て部443が配置される場合を説明したが、被押し当て部443の配置位置はこれに限られない。
ステープラ446による綴じ処理は行われない場合には、用紙Pの中央部分が進出部材447の先端部447Eの対向位置に位置するように、被押し当て部443が配置されるようにしてもよい。
より具体的には、移動体90を図3に示す位置よりも上方に配置して、用紙Pの中央部分が、進出部材447の先端部447Eの対向位置に位置するように、被押し当て部443が配置されるようにしてもよい。
【0039】
用紙束の中央部分が、進出部材447の先端部447Eの対向位置へ移動した後、進出部材447が、この用紙束の一方の面側からこの用紙束に向かって進出し、この用紙束を押圧する。
これにより、用紙束は、用紙支持部材441に設けられた開口(図3では不図示)を通って、用紙支持部材441の裏側にある折りロール448に向かう。
【0040】
そして、用紙束が、折りロール448によって両側から押圧される。また、折りロール448による用紙束の搬送が開始される。
本実施形態の進出部材447は、折りロール448の設置箇所まで移動する。より具体的には、本実施形態では、図4(B)に示した通り、進出部材447の先端部447Eが、折りロール448の接触部448Gよりも下流側まで移動する。
【0041】
このようにして、ステープラ446による綴じ処理、および、進出部材447および折りロール448による折り処理が行われた用紙束が生成される。
あるいは、ステープラ446による綴じ処理は行われず、進出部材447および折りロール448による折り処理のみが行われた用紙束が生成される。
その後、用紙束は、搬送ロール449によって第2後処理装置50へ搬送される。
【0042】
図5(A)~(C)は、進出部材447および折りロール448による折り処理が行われる際の各部の動きを示した図である。
折り処理が行われる際には、まず、図5(A)に示すように、進出部材447が、用紙束の一方の面410側からこの用紙束に向かって進出する。
このとき、本実施形態では、用紙束の一方の端部471が下方に位置し、他方の端部472が上方に位置する。言い換えると、用紙束の下辺が下方に位置し、用紙束の上辺が上方に位置する。
【0043】
また、このとき、用紙束に作用する重力によって、用紙束の一方の端部471が被押し当て部443(図5では不図示、図3参照)に押し当てられた状態となっている。言い換えると、用紙束の下辺が被押し当て部443に押し当てられた状態となっている。
その後、図5(B)に示すように、用紙束の中央部分が、折りロール448へ達する。言い換えると、用紙束のうちの進出部材447により押圧されている部分が、折りロール448へ達する。
【0044】
用紙束の中央部分は、用紙束のうち、進出部材447により押圧されている部分である被押圧部分26であり、本実施形態では、この被押圧部分26が先頭となって移動し、この被押圧部分26が、折りロール448に達する。
そして、図5(C)に示すように、折りロール448によって、この用紙束の押圧が行われる。
本実施形態では、用紙束のうちの折り処理により外側となる面27(図5(C)参照)に、折りロール448が接触して、用紙束の押圧が行われる。
【0045】
より具体的には、本実施形態では、外側となる面27のうち、被押圧部分26と一方の端部471との間に位置する部分に第2折りロール448Bが接触する。また、外側となる面27のうち、被押圧部分26と他方の端部472との間に位置する部分に第1折りロール448Aが接触する。
また、本実施形態では、用紙束のうちの外側となる面27に、折りロール448が接触すると、用紙束の移動方向における下流側へのこの用紙束の搬送が開始される。
【0046】
図6は、図3の矢印VIで示す方向から移動体90を見た場合の斜視図である。
本実施形態では、被押し当て部443として、矩形状の用紙束の下辺の長手方向における一端部側が押し当てられる一端部側部分443Aと、この用紙束の下辺の長手方向における他端部側が押し当てられる他端部側部分443Bとが設けられている。
用紙束の下辺は、用紙束の一方の端部と捉えることもでき、本実施形態では、被押し当て部443として、この一方の端部の長手方向における一端部側が押し当てられる一端部側部分443Aと、他端部側が押し当てられる他端部側部分443Bとが設けられている。
【0047】
被押し当て部443の一端部側部分443Aおよび他端部側部分443Bは、図中左右方向に沿って延びる共通の支持部材444により支持されている。この支持部材444は、図中左側に位置する回転軸444Aを中心に回転可能となっている。
言い換えると、支持部材444は、被押し当て部443の一端部側部分443Aに近い側に設けられた回転軸444Aを中心に回転可能となっている。
【0048】
また、本実施形態の移動体90には、移動体90に対する被押し当て部443の移動を行う移動機構200が設けられている。
移動機構200には、駆動源の一例としてのモータ201が設けられ、移動機構200は、このモータ201にて発生する駆動力を用いて、被押し当て部443を移動させる。
本実施形態では、モータ201を備えるこの移動機構200は、移動体90に設けられており、移動体90とともに移動する。
【0049】
また、本実施形態では、移動体90に、モータ201からの駆動力を受けて作動する作動部材202が設けられている。
作動部材202は、モータ201からの駆動力を受けて、回転や移動を行う。また、作動部材202は、用紙束を構成する用紙Pに接触する。
具体的には、本実施形態では、2種類の作動部材202が設けられており、作動部材202の一例としての2つの回転部材202Aと、作動部材202の他の一例としての2つの押圧部材202Bとが設けられている。
【0050】
回転部材202Aの各々は、矢印202Cで示す方向への回転を行って、折り処理の対象となる用紙Pを被押し当て部443に向けて付勢する。
本実施形態では、回転部材202Aの外周部に設けられた弾性片が用紙Pに接触して、用紙Pが被押し当て部443に向けて付勢される。
押圧部材202Bは、この押圧部材202Bの対向位置に配置されている対向部材(不図示)に向かって進出し、押圧部材202Bと対向部材との間に配置される用紙束を対向部材に向けて付勢する。
【0051】
本実施形態では、上記の通り、送り出しロール442(図3参照)による用紙Pの送り出しが行われて被押し当て部443の上に用紙束が生成された後、移動体90が上方へ移動する。
移動体90の上方への移動の際、押圧部材202B(図6参照)が対向部材に向かって進出し、生成された用紙束が、押圧部材202Bと対向部材とにより挟まれる。これにより、用紙束の位置ずれが抑制される。
本実施形態では、回転部材202A、押圧部材202B、被押し当て部443に対して、共通の駆動源であるモータ201から、駆動力が供給される。
【0052】
移動機構200には、モータ201からの駆動力を受ける受けギア204と、モータ201からの駆動力をこの受けギア204へ伝達する伝達ギア(不図示)と、受けギア204と同軸上に配置された回転シャフト205とが設けられている。
また、移動機構200には、この回転シャフト205からの駆動力を受けて回転するウォーム206と、ウォーム206からの駆動力を受けて回転するウォームホイール207と、ウォームホイール207と同軸上に配置された同軸シャフト208とが設けられている。
さらに、移動機構200には、駆動源であるモータ201から被押し当て部443への駆動力の伝達を遮断する遮断機構の一例してのクラッチ209が設けられている。
【0053】
本実施形態の移動機構200には、モータ201から被押し当て部443への駆動力の伝達経路を通って伝わる駆動力の伝達の遮断および接続を行うクラッチ209が設けられている。
本実施形態のクラッチ209は、電磁クラッチにより構成され、CPU11a(図2参照)から指示に応じて作動する。
クラッチ209は、回転シャフト205上に設けられ、この回転シャフト205を介して被押し当て部443へ伝わる駆動力の伝達および遮断を行う。
【0054】
回転シャフト205は、第1回転シャフト205Aと、この第1回転シャフト205Aと同軸上に配置された第2回転シャフト205Bとにより構成され、本実施形態では、第1回転シャフト205Aと第2回転シャフト205Bとの間に、クラッチ209が設けられている。
クラッチ209は、第1回転シャフト205Aと第2回転シャフト205Bとを接続し、また、第1回転シャフト205Aと第2回転シャフト205Bとの接続を解除する。
【0055】
移動機構200は、被押し当て部443の一端部側部分443Aに対して他端部側部分443Bを移動させ、一端部側部分443Aと他端部側部分443Bとの位置の関係を変化させる。
より具体的には、移動機構200は、モータ201からの駆動力を用い、回転軸444Aを中心に支持部材444を回転させて、被押し当て部443の他端部側部分443Bを上下動させる。
これにより、一端部側部分443Aに対して他端部側部分443Bが移動し、一端部側部分443Aと他端部側部分443Bとの位置の関係が変化する。
【0056】
より具体的には、本実施形態では、移動機構200に設けられたモータ201が駆動すると、このモータ201にて発生した駆動力が、伝達ギア(不図示)、受けギア204、第1回転シャフト205A、クラッチ209、第2回転シャフト205B、ウォーム206、ウォームホイール207、同軸シャフト208を介して、支持部材444に伝達される。
これにより、支持部材444の他端部444B側が上下動し、これに伴い、被押し当て部443の一端部側部分443Aに対して他端部側部分443Bが移動する。これにより、一端部側部分443Aと他端部側部分443Bとの位置の関係が変化する。
【0057】
同軸シャフト208の外周部には、雄ねじが形成され、支持部材444には、この同軸シャフト208が通される貫通孔(不図示)が形成されている。さらに、この貫通孔の内周面には、同軸シャフト208の外周部に形成された雄ねじに噛み合う雌ねじが形成されている。
本実施形態では、同軸シャフト208の回転に伴い、支持部材444の他端部444B側が、この同軸シャフト208の軸方向へ移動する。これにより、被押し当て部443の一端部側部分443Aに対して他端部側部分443Bが移動する。
【0058】
本実施形態の移動機構200は、被押し当て部443の一端部側部分443Aと他端部側部分443Bとの位置の関係であって、用紙束の下辺の長手方向と交差する方向におけるこの位置の関係が変化するように、被押し当て部443を移動させる。
より具体的には、移動機構200は、用紙束の下辺の長手方向と直交する方向における、一端部側部分443Aの位置と他端部側部分443Bの位置との関係を変化させる。
【0059】
なお、本実施形態では、被押し当て部443の他端部側部分443Bが移動する構成を一例に説明したが、一端部側部分443Aが移動する構成としてもよいし、一端部側部分443Aおよび他端部側部分443Bの両方が移動する構成としてもよい。
一端部側部分443Aおよび他端部側部分443Bの両方が移動する構成とする場合は、一端部側部分443Aおよび他端部側部分443Bの各々が個別に移動する構成としてもよい。
また、その他に、被押し当て部443の他端部側部分443Bを移動させる駆動源とは別の駆動源を設け、この別の駆動源で、被押し当て部443の一端部側部分443Aを移動させてもよい。
【0060】
図7(A)、(B)は、移動体90に設けられたモータ201と、作動部材202、被押し当て部443との関係を説明する図である。
本実施形態では、上記の通り、また、図7(A)に示すように、共通の駆動源であるモータ201が設けられ、さらに、このモータ201に対して、作動部材202および被押し当て部443が接続されている。
遮断機構であるクラッチ209は、モータ201と被押し当て部443との間に設けられ、図7(A)に示す状態では、クラッチ209によって、モータ201と被押し当て部443とが接続されている。
この状態では、モータ201からの駆動力が、作動部材202および被押し当て部443の両者に伝達される。この場合、作動部材202の作動、被押し当て部443の移動が行われる。被押し当て部443の移動では、上記の通り、被押し当て部443の他端部側部分443Bが移動する。
【0061】
図7(B)は、クラッチ209が作動し、モータ201と被押し当て部443との接続が解除された状態を示している。言い換えると、図7(B)は、モータ201と被押し当て部443とを結ぶ、駆動力の伝達経路が切られた状態を示している。
この場合、モータ201によって、作動部材202のみが作動する。
本実施形態では、被押し当て部443の位置の調整が行われる際には、図7(A)に示す状態とされる。
また、本実施形態では、被押し当て部443の位置の調整が行われない場合には、移動機構200が図7(B)に示す状態とされる。言い換えると、通常の折り処理が行われる際には、移動機構200が図7(B)に示す状態とされる。
【0062】
図8は、被押し当て部443の位置の調整が行われる際に実行される処理の流れの一例を示したフローチャートである。
被押し当て部443の位置の調整が行われる際には、まず、中綴じユニット44に対し、矩形状の試験用の用紙P(以下、「試験用用紙PS」と称する)の供給が行われる。この試験用用紙PSは、特別な用紙Pではなく、画像形成装置2(図1参照)に収容されている用紙Pである。
【0063】
中綴じユニット44へ試験用用紙PSが供給されると、この試験用用紙PSに対する折り処理が行われ、折り処理が行われた後のこの試験用用紙PSにより構成される冊子(以下、「試験用冊子」と称する)が生成される(ステップS101)。
なお、被押し当て部443の位置の調整の際には、ステープラ446(図3参照)による試験用用紙PSの綴じ処理は行われず、進出部材447による折り処理のみが行われる。
【0064】
試験用冊子の生成後、ユーザが、生成されたこの試験用冊子を目視で確認し、試験用冊子に折りのずれが生じているかを判断する(ステップS102)。
本実施形態では、被押し当て部443が傾いている場合、この傾きに起因して、試験用冊子に折りのずれが生じる。言い換えると、高さ方向において、被押し当て部443の一端部側部分443Aの位置と、他端部側部分443Bの位置とが異なっている場合、試験用冊子に折りのずれが生じる。
そして、ユーザは、試験用冊子に折りのずれが生じていると判断した場合、被押し当て部443の位置の調整を行うかを判断する(ステップS103)。
【0065】
そして、ステップS103にて、ユーザが、被押し当て部443の位置の調整を行うと判断した場合、ユーザは、操作受付部24(図1参照)に対する操作を行って、被押し当て部443の位置の調整を行うことを示す情報を入力する。
これにより、本実施形態では、CPU11aが、制御信号を出力してクラッチ209(図6参照)を作動させ、モータ201に対して被押し当て部443を接続する(ステップS104)。
なお、ステップS102にて、試験用冊子に折りのずれが生じているとユーザが判断しなかった場合、また、ステップS103にて、被押し当て部443の位置の調整を行うとユーザが判断しなかった場合、そのまま処理を終了する。
【0066】
次いで、ユーザが、操作受付部24に対する操作を行って、被押し当て部443の位置の調整を行うにあたっての調整量を入力する(ステップS105)。より具体的には、ユーザは、被押し当て部443の移動量を入力する。
これに応じ、CPU11aが、駆動源であるモータ201を作動させる(ステップS106)。これにより、被押し当て部443が移動し、被押し当て部443の位置の調整が行われる。具体的には、本実施形態では、被押し当て部443の他端部側部分443Bが上下動し、被押し当て部443の位置の調整が行われる。
その後、CPU11aは、クラッチ209へ制御信号を出力し、モータ201と被押し当て部443との接続を解除する(ステップS107)。
【0067】
図9は、画像形成システム1の他の構成例を示した図である。この図9では、画像形成システム1の外観を示している。
上記では、ユーザが被押し当て部443の位置の調整を行うにあたり、ユーザが操作受付部24に対する操作を行った。
これに対し、この構成例では、第1後処理装置40に、被押し当て部443の位置の調整のための専用の操作受付部29(以下、「専用受付部29」と称する)が設けられている。
【0068】
この構成例では、ユーザは、被押し当て部443の位置の調整を行うにあたり、この専用受付部29に対する操作を行う。専用受付部29には、ユーザが触れる操作ボタン29Aが設けられている。
図9に示すこの構成例のように、第1後処理装置40に、ユーザの操作を受け付ける専用受付部29が設けられていると、ユーザは、画像形成装置2の上部に設けられた操作受付部24の設置箇所まで移動せずに、被押し当て部443の位置の調整を行える。
【0069】
図10は、専用受付部29が操作されて被押し当て部443の位置の調整が行われる際に実行される処理の流れを示したフローチャートである。
図10に示すこの処理でも、まず、上記と同様、中綴じユニット44に対し、試験用用紙PSの供給が行われるとともに、この試験用用紙PSへの折り処理が行われる。これにより、折り処理が行われた後のこの試験用用紙PSにより構成される試験用冊子が生成される(ステップS201)。
【0070】
そして、ユーザが、生成された試験用冊子を目視で確認し、試験用冊子に折りのずれが生じているかを判断する(ステップS202)。上記と同様、被押し当て部443が傾いている場合、この傾きに起因して、試験用冊子に折りのずれが生じる。
そして、ユーザは、折りのずれが生じていると判断した場合、専用受付部29に対する操作を行うかを判断する(ステップS203)。
【0071】
そして、ユーザが、専用受付部29に対する操作を行うと判断した場合、このユーザにより、専用受付部29に対する操作が行われる。
専用受付部29に対する操作が行われると、CPU11aが、上記と同様、制御信号をクラッチ209へ出力して、モータ201に対して被押し当て部443を接続する(ステップS204)。
なお、ステップS202にて、試験用冊子に折りのずれが生じているとユーザが判断しなかった場合、また、ステップS203にて、専用受付部29に対する操作を行うとユーザが判断しなかった場合、そのまま処理を終了する。
【0072】
次いで、ユーザが、専用受付部29に設けられた、操作ボタン29Aを押圧する(ステップS205)。この際、ユーザは、折りのずれの量の大きさに応じた時間、操作ボタン29Aを押圧する。
ユーザが、操作ボタン29Aを押圧すると、モータ201が作動して、被押し当て部443が移動する(ステップS206)。本実施形態では、操作ボタン29Aがユーザにより押圧されている間、モータ201が作動し、被押し当て部443が移動する。
その後、ユーザが、専用受付部29の予め定められた箇所に対する操作を行う。これにより、クラッチ209が再び作動して、モータ201と被押し当て部443との接続が解除される(ステップS207)。
【0073】
図11は、移動体90の他の構成例を示した図である。
上記では、共通の駆動源である1つのモータ201を用いて、被押し当て部443の移動、および、作動部材202の作動を行う場合を説明した。
図11に示すこの構成例では、作動部材202に接続されたモータ201である第1モータ201とは別に、被押し当て部443を移動させるための専用の駆動源である第2モータ302が設けられている。
本実施形態では、不図示の伝達機構によって、この専用の第2モータ302からの駆動力が、支持部材444の他端部444B側へ伝達される。これにより、支持部材444の他端部444B側が上下動し、これに伴い、被押し当て部443の他端部側部分443Bが上下動する。
【0074】
なお、図11に示すこの構成例では、支持部材444の一端部444Cと他端部444Bとの間に回転軸444Aが設けられており、支持部材444の他端部444B側が上下動すると、支持部材444の一端部444C側も上下動する。
この構成例では、被押し当て部443の他端部側部分443Bが上方へ移動すると、被押し当て部443の一端部側部分443Aは下方へ移動し、被押し当て部443の他端部側部分443Bが下方へ移動すると、被押し当て部443の一端部側部分443Aは上方へ移動する。
この構成例では、第1モータ201によって作動部材202の作動が行われ、第2モータ302によって被押し当て部443の移動が行われる。この構成例では、クラッチ209は設けられていない。
【0075】
〔被押し当て部443の移動の量の設定〕
上記では、ユーザが、自身で、被押し当て部443の移動の量を決める場合を説明したが、これに限らず、プロセッサの一例としてのCPU11aが、被押し当て部443の移動の量の設定を行ってもよい。
CPU11aが、被押し当て部443の移動の量の設定を行う場合は、生成された試験用冊子にて生じている、折りのずれの量に基づき、移動の量の設定を行う。
そして、本実施形態では、CPU11aは、被押し当て部443の移動の量の設定を行うと、移動機構200を作動させ、設定した移動の量だけ、被押し当て部443を移動させる。
【0076】
本実施形態では、下辺が被押し当て部443に押し当てられて被押し当て部443による位置決めが行われた後の試験用用紙PSに対する折り処理が行われる。
CPU11aは、この位置決めが行われた後の試験用用紙PSであってその後に折り処理が行われたこの試験用用紙PSにより構成される試験用冊子にて生じている、折りのずれの量に基づき、移動の量の設定を行う。
【0077】
ここで、CPU11aは、例えば、ユーザが、操作受付部24を介して入力した、試験用冊子にて生じている折りのずれの量に基づき、折りのずれの量を特定する。
また、その他に、CPU11aは、例えば、試験用冊子を撮影することにより得られた撮影画像を基に、折りのずれの量を特定する。
撮影画像を基に折りのずれの量を特定する場合、ユーザの負担が軽減され、また、ユーザが折りのずれの量の特定を行う場合に比べ、折りのずれの量の特定の精度が向上する。
【0078】
ユーザが、操作受付部24を介してずれの量を入力する場合、手動で、ずれの量の測定を行い、また、手動で、ずれの量についての情報の入力が必要になる。
これに対し、撮影画像を基に、折りのずれの量を特定する場合、ユーザが行う必要があるこれらの作業が不要となる。
CPU11aは、折りのずれの量を特定した後、特定したこの折りのずれの量に基づき、被押し当て部443の移動の量の設定を行う。
【0079】
撮影画像を基に折りのずれの量を特定する場合は、例えば、まず、ユーザが、試験用冊子をスキャナ装置(不図示)に設置して、このスキャナ装置によるこの試験用冊子の読み取りを行う。
より具体的には、スキャナ装置に設けられた、開閉可能な開閉部材で、スキャナ装置の原稿台の上に置かれた試験用冊子を押さえたうえで、試験用冊子の読み取りを行う。
次いで、CPU11aが、スキャナ装置による試験用冊子の読み取りにより得られた撮影画像を解析して、試験用冊子における折りのずれの量を特定する。
そして、CPU11aは、特定したこのずれの量に基づき、被押し当て部443の移動の量を設定する。
【0080】
図12は、折りのずれが生じている試験用冊子をスキャナ装置で読み取ることにより得られた撮影画像の一例を示した図である。
試験用冊子600にて、折りのずれが生じている場合、試験用冊子600は、図12に示す状態となる。
CPU11aは、試験用冊子600における折りのずれの量を特定する場合、例えば、符号600A、600Bで示す部分の寸法を取得し、この寸法を、折りのずれの量として特定する。
そして、CPU11aは、特定したこのずれの量に基づき、移動機構200を作動させて、被押し当て部443を移動させる。
【0081】
なお、上記では、被押し当て部443の移動の基本的な態様として、被押し当て部443の他端部側部分443Bを上下動させる態様を説明した。
ところで、被押し当て部443の移動の態様はこれに限らず、一端部側部分443A、他端部側部分443Bの両者が、例えば、上方向へ且つ同じ量だけ移動するように、被押し当て部443の移動を行うようにしてもよい。
また、例えば、一端部側部分443A、他端部側部分443Bの両者が、例えば、下方向へ且つ同じ量だけ移動するように、被押し当て部443の移動を行うようにしてもよい。
この場合も、用紙束に生じる折りのずれの量の低減を行える。
【0082】
図13(A)、(B)は、試験用冊子600に生じる折りのずれの他の一例を示した図である。図13(A)は、試験用冊子600の正面図であり、図13(B)は、図13(A)の矢印XIIIBで示す方向から試験用冊子600を見た場合の側面図である。
試験用冊子600に折りのずれが生じる場合、図13(A)に示すように、試験用冊子600を構成する試験用用紙PSの一端部91と他端部92とが平行となる状態で、折りのずれが生じることがある。
【0083】
言い換えると、試験用用紙PSの一方の側辺と他方の側辺とが平行にある状態で、折りのずれが生じることもある。
この状況において、被押し当て部443の位置の調整を行う場合は、上記の通り、被押し当て部443の一端部側部分443A、他端部側部分443Bの両者を、上方向は又は下方向へ且つ同じ量だけ移動させる。これにより、用紙束に生じる折りのずれの量が低減する。
【0084】
試験用用紙PSに対する折り処理を行うことにより得られる試験用冊子600は、図13(B)に示すように、一方の面93および他方の面94を有する。
試験用冊子600をスキャナ装置で読み取る場合は、試験用冊子600の一方の面93および他方の面94のうちの片方の面が、スキャナ装置に設けられた原稿台に対向するように、この原稿台上にこの試験用冊子600が置かれる。
【0085】
折りのずれが生じると、試験用冊子600の一方の面93側や他方の面94側からこの試験用冊子600を見た場合に、本来ならば試験用冊子600の内面となる部分が露出し、図13(A)に示すように、露出部95が存在する状態となる。
試験用冊子600をスキャナ装置で読み取る場合は、試験用冊子600が有する一方の面93および他方の面94のうちの、露出部95が見える側の片方の面を、スキャナ装置に設けられた原稿台に対向させて、この原稿台の上にこの試験用冊子600を置く。
そして、スキャナ装置は、この露出部95が見える側の片方の面側から試験用冊子600の読み取りを行う。
【0086】
ここで、折りのずれが生じている試験用冊子600をスキャナ装置に設置する場合において、折りのずれの量が小さいと、上記の露出部95が目立たない。
この場合、ユーザが、この露出部95が見える側の上記の片方の面とは反対側の面である反対面側が、スキャナ装置を向いた状態で、スキャナ装置へ試験用冊子600を設置することが起こりうる。この場合、折りのずれの量の特定を行えなくなる。
【0087】
CPU11aは、試験用冊子600における折りのずれの量の特定を行う場合、例えば、試験用冊子600をスキャナ装置で読み取ることにより得られた撮影画像の中から、試験用冊子600を構成する試験用用紙PSが有する一端部91、他端部92の2つの端部を特定する。
そして、CPU11aは、特定したこの2つの端部のそれぞれの位置に基づき、ずれの量の特定を行う。
この場合において、上記の反対面がスキャナ装置を向いた状態で、試験用冊子600がスキャナ装置に設置される場合、2つの端部の特定を行えず、折りのずれの量の特定を行えない。
【0088】
また、詳細は後述するが、試験用冊子600を構成する試験用用紙PSが有する2つの面のうちの少なくとも一方に画像を形成し、この画像を利用して、折りのずれの量の特定を行う態様も考えらえる。
この場合において、折りのずれの量が小さいと、この画像が隠れ、折りのずれの量の特定を行えなくなる。この場合、折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃わないことなり、折り処理についての調整を行えないことになる。
このため、試験用冊子600の生成にあたっては、次に説明するように、試験用用紙PSのうちの折り処理が行われる部分である折り部の位置をずらすようにして、ずれの量を敢えて大きくするようにすることが好ましい。
【0089】
本実施形態では、通常時、折り処理手段として機能する中綴じユニット44では、図5に示した通り、一方の端部471、他方の端部472、および、中央部を有する用紙束のうちのこの一方の端部471と他方の端部472との間に位置する部分に対する折り処理が行われる。具体的には、用紙束の中央部に対する折り処理が行われる。
これにより、折り部である被押圧部分26(図5(C)参照)と、一方の端部471との間に位置する一端部側部分481と、被押圧部分26と他方の端部472との間に位置する他端部側部分482とを有する用紙束が生成される。
用紙束の中央部に対する折り処理が行われると、折り部である被押圧部分26と一方の端部471との間の長さと、被押圧部分26と他方の端部472との間の長さとが等しくなる。
【0090】
図14(A)、(B)は、試験用冊子600を生成する際における折り処理を説明する図である。
試験用冊子600を生成する際には、図14(A)に示すように、CPU11aは、例えば、試験用用紙PSのうちの中央部よりも他端部92側にて折り処理が行われるようにする。
具体的には、この場合、CPU11aは、移動体90(図3参照)の停止位置を、通常時における停止位置よりも下方にして、試験用用紙PSのうち、中央部よりも他端部92側にて折り処理が行われるようにする。
この場合、図14(B)に示すように、折り処理により内側に位置するようになる一方の面101の特定箇所101Aが、他端部側部分482により覆われないようになる。
試験用用紙PSは、一方の面101および他方の面103を有するが、本実施形態では、この一方の面101の特定箇所101Aが、他端部側部分482により覆われないようになる。
【0091】
具体的には、この例では、試験用用紙PSが有する一方の面101の端部が、特定箇所101Aに該当し、一方の面101のこの端部が、他端部側部分482により覆われずに露出する。
この場合、折りのずれが生じていることがより明確となる。そして、この場合、ユーザは、折りのずれが生じている側をより認識しやすくなり、上記の反対面がスキャナ装置を向いた状態で、試験用冊子600がスキャナ装置に設置される事態が生じにくくなる。
【0092】
図14(B)に示す試験用冊子600が得られた場合、CPU11aは、折りのずれの量の特定にあたり、この試験用冊子600を構成している試験用用紙PSが有する一端部91と他端部92との離間距離を取得する。そして、CPU11aは、この離間距離から、予め定められた基準値を減じて、折りのずれの量を特定する。
この基準値は、一端部91と他端部92との間に本来的に生じるずれの量であり、本実施形態では、この離間距離から、本来的に生じるこのずれの量を減じて、折りのずれの量を特定する。
【0093】
より具体的には、CPU11aは、試験用冊子600をスキャナ装置が読み取ることにより得られた撮影画像である読み取り画像を解析して、試験用冊子600を構成している試験用用紙PSが有する一端部91と他端部92との離間距離を特定する。
そして、CPU11aは、特定したこの離間距離から、予め定められた基準値を減じて、折りのずれの量を特定する。
【0094】
上記では、試験用冊子600を構成する試験用用紙PSが有する2つの端部のそれぞれの位置に基づき、折りのずれの量を特定する場合を説明した。
折りのずれの量を特定する態様はこれに限らず、例えば、図15(試験用冊子600の他の一例を示した図)に示すように、試験用用紙PSの一方の面101および他方の面103のそれぞれに、折りのずれの量の特定に用いる画像である特定用画像105を形成し、この特定用画像105の位置に基づき、折りのずれの量を特定してもよい。
【0095】
言い換えると、試験用用紙PSの両面に、特定用画像105を形成し、この特定用画像105の位置に基づき、折りのずれの量を特定してもよい。
より具体的には、試験用冊子600が有する一方の面93(図13(B)参照)および他方の面94のうちの片方の面側に現れるようになる2つのこの特定用画像105(図15参照)の位置に基づき、折りのずれの量を特定してもよい。
【0096】
折りのずれの量の特定は、試験用用紙PSが有する一端部91、他端部92の位置に基づかずに、試験用用紙PSの一方の面101、他方の面103のそれぞれに形成した特定用画像105を基に行ってもよい。
特定用画像105を基に、折りのずれの量を特定する場合は、画像形成装置2(図1参照)にて、試験用用紙PSの一方の面101、および、他方の面103のそれぞれに、特定用画像105を形成する。
【0097】
より具体的には、画像形成装置2では、試験用用紙PSの一方の面101のうちの、予め定められた矩形状の画像形成領域101X(図15参照)内に、特定用画像105を形成する。
また、画像形成装置2では、試験用用紙PSの表裏を反転させ、試験用用紙PSの他方の面103のうちの、予め定められた矩形状の画像形成領域103X内に、特定用画像105を形成する。
【0098】
画像形成装置2の構造上、画像形成部22(図1参照)は、試験用用紙PSの一方の面101の全面、他方の面103の全面への画像の形成を行えず、試験用用紙PSのサイズよりも小さい矩形状の画像形成領域101X、画像形成領域103Xの内側に、特定用画像105を形成する。
折りのずれの量の特定にあたっては、上記と同様、例えば、試験用用紙PS(図14(A)参照)の他端部92側へ、折りの位置をずらすようにして、試験用用紙PSの一方の面101(図15参照)の画像形成領域101Xが露出するようにする。
【0099】
これにより、図15に示すように、この画像形成領域101X内に形成された特定用画像105が、他端部側部分482により覆われずに露出する。
この場合、試験用冊子600の片方の面側からこの試験用冊子600をみた場合に、露出した状態にあるこの特定用画像105の視認を行える。
この場合、スキャナ装置を用い、試験用冊子600の片方の面側からこの試験用冊子600の読み取りを行うと、この読み取りにより得られた撮影画像内に、この特定用画像105が含まれる。
【0100】
また、折りの位置をずらすにあたっては、試験用用紙PSの他方の面103の画像形成領域103Xの少なくとも一部が、試験用冊子600の上記の片方の面側に位置するように、試験用用紙PSの折り処理が行われるようにする。
これより、図15に示すように、試験用用紙PSの他方の面103に形成される特定用画像105が、試験用冊子600の上記の片方の面側に位置するようになる。
【0101】
この場合、スキャナ装置を用い、試験用冊子600のこの片方の面側からこの試験用冊子600の読み取りを行った場合に、この読み取りにより得られた撮影画像内に、試験用用紙PSの他方の面103に形成された特定用画像105が含まれる。
なお、上記の通り、この撮影画像内には、試験用用紙PSの一方の面101に形成された特定用画像105も含まれる。
【0102】
極端な例ではあるが、試験用用紙PSに対する折り処理を、例えば、図15の符号104で示す箇所で行うと、試験用用紙PSの他方の面103の画像形成領域103Xが、試験用冊子600の上記の片方の面側に位置しない状態となる。
具体的には、試験用用紙PSに対する折り処理を、他方の面103の画像形成領域103Xの端部103Cよりも、試験用用紙PSの他端部92側にて行うと、この画像形成領域103Xが、試験用冊子600の上記の片方の面側に位置しない状態となる。
この場合、試験用用紙PSの他方の面103に形成される特定用画像105が、試験用冊子600の上記の片方の面側に位置せず、スキャナ装置によるこの特定用画像105の読み取りを行えなくなる。
【0103】
試験用冊子600の生成にあたっては、上記の通り、折り位置を試験用用紙PSの中央部からずらすことが好ましく、これにより、試験用用紙PSの一方の面101の画像形成領域101Xが、他端部側部分482により覆われずに、画像形成領域101Xの一部が露出する。
この場合、この画像形成領域101Xに画像が形成されている場合には、この画像が形成されている箇所である画像形成箇所が、他端部側部分482により覆われずに露出する。
【0104】
この場合、この画像形成箇所に、特定用画像105が存在すると、この特定用画像105が他端部側部分482により覆われず、スキャナ装置によるこの特定用画像105の読み取りを行える。
また、本実施形態では、折りのずれの程度を大きくする場合であっても、試験用用紙PSの他方の面103の特定箇所の一部が、他端部側部分482に位置するように、折り処理が行われる。
より具体的には、試験用用紙PSの他方の面103のうちの、画像が形成されている箇所である画像形成箇所が、他端部側部分482に位置するように、折り処理が行われる。これにより、試験用冊子600の上記の片方の面側に、この特定箇所である画像形成箇所が位置する。
【0105】
本実施形態では、折り位置を試験用用紙PSの中央部からずらし、折りのずれの程度を大きくする場合であっても、折り処理により試験用冊子600の外側の面側に位置するようになる、試験用用紙PSの他方の面103の一部が、他端部側部分482に位置する。
より具体的には、本実施形態では、試験用用紙PSの他方の面103の画像形成領域103Xの一部が、他端部側部分482に位置する。
【0106】
ここで、画像形成領域103Xは、画像が形成される画像形成箇所として捉えることができる。
本実施形態では、折り処理により試験用冊子600の外側に位置するようになる他方の面103のこの画像形成箇所の一部が、他端部側部分482に位置する。
これにより、この他方の面103のこの画像形成箇所のこの一部に、特定用画像105が存在すると、この特定用画像105が、他端部側部分482に位置する。
【0107】
本実施形態では、試験用用紙PSの一方の面101の特定箇所の一例である画像形成箇所が、他端部側部分482により覆われないように、さらに、試験用用紙PSの他方の面103の特定箇所の一例である画像形成箇所が、他端部側部分482に位置するように、折り処理が行われる。
この場合、試験用冊子600の上記の片方の面側に、試験用用紙PSの一方の面101に存在する画像形成箇所、試験用用紙PSの他方の面103に存在する画像形成箇所の両方が位置する。
なお、本実施形態では、図15に示すように、特定用画像105が、直線状の画像により形成されている場合を説明したが、特定用画像105は、その位置を検知できる形状であればその形状を問わず、直線以外の他の形状としてもよい。
【0108】
本実施形態では、図1に示すように、用紙Pの搬送方向において、折り処理手段の一例である中綴じユニット44よりも上流側に、画像形成手段の一例としての画像形成部22が設けられている。
本実施形態では、画像形成部22は、試験用用紙PS(図15参照)の一方の面101のうちの画像形成領域101X内への画像の形成を行う。
【0109】
画像形成部22は、上記の通り、試験用用紙PSの一方の面101の全面への画像の形成を行えず、試験用用紙PSのサイズよりも小さい矩形状の画像形成領域101Xに対し、画像の形成を行う。
本実施形態では、試験用用紙PSの一方の面101のうちの、画像形成領域101Xの周囲に、画像が形成されない環状の領域である非形成領域106が設けられた形となり、この非形成領域106には、画像の形成が行われない。
【0110】
試験用用紙PSの中央部にて折り処理を行うと、試験用用紙PSの一方の面101の画像形成領域101Xの全てが、折り処理により生成される試験用冊子600の内側に位置し隠れてしまう。
そこで、本実施形態では、CPU11aは、上記の通り、試験用用紙PSのうちの中央部よりも他端部92側にて折り処理が行われるようにして、試験用用紙PSが有する一方の面101の画像形成領域101Xの一部が他端部側部分482により覆われないようにする。
【0111】
これにより、この画像形成領域101X内に形成される画像が露出するようになる。画像形成領域101X内に、特定用画像105が形成されている場合には、この特定用画像105が露出する。
また、本実施形態では、画像形成部22は、一方の面101と同様、試験用用紙PSの他方の面103のうち、予め定められた矩形状の画像形成領域103X内に画像を形成する。画像形成部22は、特定用画像105の形成にあたり、この画像形成領域103X内に、特定用画像105を形成する。
【0112】
CPU11aは、試験用用紙PSの折り処理が行われるにあたり、試験用用紙PSの一方の面101の画像形成領域101Xの一部が他端部側部分482により覆われないようにし、さらに、試験用用紙PSの他方の面103の画像形成領域103Xの一部が他端部側部分482に位置するようにする。
これにより、この場合、上記の通り、試験用冊子600が有する2つの面うちの上記の片方の面側に、試験用用紙PSの一方の面101に形成された特定用画像105が位置し、また、この片方の面側に、試験用用紙PSの他方の面103に形成された特定用画像105が位置する。
この場合、試験用冊子600のこの片方の面側をスキャナ装置に向けてこの試験用冊子600を設置したうえで、スキャナ装置による試験用冊子600の読み取りを行うと、2つの特定用画像105の読み取りが行われる。
【0113】
この場合、スキャナ装置により得られる撮影画像に、試験用用紙PSの一方の面101に形成された特定用画像105と、試験用用紙PSの他方の面103に形成された特定用画像105とが含まれる。
この場合、CPU11aは、読み取り画像であるこの撮影画像に含まれる、この2つの特定用画像105の離間距離に基づき、折りのずれの量の特定を行う。
より具体的には、この場合、CPU11aは、撮影画像に含まれる、この2つの特定用画像105の離間距離から、予め定められた基準のずれ量を減じることで、折りのずれの量を特定する。
【0114】
なお、折りの位置を、試験用用紙PSの中央部からずらす場合、このずらしの程度が小さいと、図16(試験用冊子の他の一例を示した図)の(A)、(B)の符号109に示すように、試験用用紙PSの一方の面101に形成された特定用画像105が、露出しない状態が生じうる。
このため、折りの位置を、試験用用紙PSの中央部からずらす場合は、ずれの量を、予め定められた特定の値を超えるようにする必要がある。
ずれの量を、予め定められた特定の値を超えるようにすると、図16(A)、(B)に示す状態が生じず、図15にて示した試験用冊子600が生成される。
【0115】
なお、上記では、試験用用紙PSが有する2つの端部である一端部91、他端部92の各々の位置に基づき、あるいは、試験用用紙PSに形成された2つの特定用画像105の各々の位置に基づき、折りのずれの量の特定を行う場合を一例に説明した。
ところで、折りのずれの量の特定の態様は、これに限らず、試験用用紙PSが有する2つの端部のうちの一方の端部の位置と、試験用用紙PSに形成された1つの特定用画像105の位置とに基づき、折りのずれの量の特定を行ってもよい。
【0116】
より具体的には、例えば、試験用用紙PSの一端部91(図15参照)の位置と、試験用冊子600の外側の面側に位置し且つ他端部側部分482に位置する特定用画像105の位置とに基づき、折りのずれ量の特定を行ってもよい。
また、例えば、試験用用紙PSの他端部92の位置と、試験用冊子600の内側の面側に位置し且つ一端部側部分481に位置する特定用画像105の位置とに基づき、折りのずれ量の特定を行ってもよい。
【0117】
図17は、試験用冊子600の他の一例を示した図である。
この試験用冊子600においても、上記と同様、折り位置が試験用用紙PSの中央部からずれており、試験用用紙PSの一方の面101の画像形成領域101Xの一部が、他端部側部分482により覆われていない状態となっている。
さらに、この構成例では、画像形成領域101X内であって、試験用用紙PSの他端部92の背後に位置する部分に、白色以外の色の画像111が形成されている。より具体的には、白色以外の色のベタの画像111が形成されている。
【0118】
この例では、試験用用紙PSが有する一端部91、他端部92のそれぞれの位置を基に、折りのずれの量を特定する。
この場合に、試験用用紙PSの一方の面101のうち、他端部92の背後に位置する部分に、白色以外の色の有色の画像111(以下、「有色画像111」と称する)を形成すると、この他端部92の位置の検知の精度が上がる。この場合、折りのずれの量の特定精度が向上する。
【0119】
なお、ここでは、2つの端部の位置の特定を行うにあたり、試験用用紙PSの一方の端部である他端部92の背後に有色画像111を形成する場合を説明した。
ところで、有色画像111の形成はこれに限らず、1つの端部の位置および1つの特定用画像105(図17では不図示)の位置に基づき、折りのずれの量を特定する場合においても、この1つの端部の背後に、有色画像111を形成してもよい。
【0120】
〔他の情報による被押し当て部443の移動量の設定〕
上記では、折りのずれの量に基づき、被押し当て部443の移動の量の設定を行ったが、プロセッサの一例としてのCPU11aは、他の情報に基づき、被押し当て部443の移動の量の設定を行ってもよい。
具体的には、CPU11aは、例えば、用紙束を構成する用紙Pに形成される画像についての情報である画像情報を特定し、この画像情報を基に、被押し当て部443の移動の量の設定を行ってもよい。
より具体的には、CPU11aは、画像情報により特定される、用紙P上の画像の分布に基づき、被押し当て部443の移動の量の設定を行ってもよい。
【0121】
図18は、折り処理の対処となる用紙束に含まれる1枚の用紙Pであって、図5(A)にて示す用紙束に含まれる用紙Pのうちの折りロール448に最も近い側に位置する1枚の用紙Pの状態を示した図である。
図18では、図5(A)の矢印XVIIIで示す方向から、折りロール448に最も近い側の位置する用紙Pを見た場合の状態を示している。
この例では、用紙束を構成するこの1枚の用紙P(以下、「対象用紙PX」と称する)において、この対象用紙PXが有する4つの角部121のうちの対角関係にある2つの角部121の各々と、この対象用紙PXの中央部Cとの間に、トナーにより形成された画像122が形成される場合を例示している。
【0122】
図19(A)、(B)は、図18に示した対象用紙PXが折りロール448(図5(A)参照)により搬送される際の状態、および、折り処理後の対象用紙PXの状態を示した図である。
具体的には、図19(A)は、図18に示した対象用紙PXが折りロール448(図5(A)参照)により搬送される際の状態を示した図であり、図19(B)は、折り処理後の対象用紙PXの状態を示した図である。
なお、実際の用紙Pの搬送にあたっては、この対象用紙PXの他に、2枚目以降の用紙Pも存在するが、図19(A)、(B)では、この2枚目以降の用紙Pの図示を省略している。
【0123】
図18に示したように、対象用紙PXの2つの角部121の各々と、対象用紙PXの中央部Cとの間に、トナーにより形成される画像122が形成されていると、対象用紙PXと、この対象用紙PXの隣に位置する2枚目の用紙P(不図示)との間にて発生する、用紙P間の摩擦力に偏りが生じる。
具体的には、この場合、対象用紙PXのうち、画像122(図18参照)が形成されている2つの部分と、2枚目の用紙Pとの間に作用する摩擦力は小さくなる。
その一方で、対象用紙PXのうちの符号123で示す2つの部分と、2枚目の用紙Pとの間に作用する摩擦力は大きくなる。
【0124】
この場合、図19(A)に示すように、対象用紙PXの一端部側部分481には、矢印116で示す方向の回転モーメントが作用し、対象用紙PXの他端部側部分482には、矢印117で示す方向の回転モーメントが作用する。
この場合、折り処理後の対象用紙PXでは、図19(B)に示す、折りのずれが生じる。
具体的には、対象用紙PXの一端部91と他端部92とが非平行となる形での折りのずれが生じる。
【0125】
この処理例では、この折りのずれの発生を抑制するため、上記の通り、用紙束を構成する用紙Pに形成される画像についての情報である画像情報を特定し、この画像情報を基に、被押し当て部443の移動の量の設定を行う。
より具体的には、上記の通り、画像情報により特定される、対象用紙PX上の画像122の分布に基づき、被押し当て部443の移動の量の設定を行う。
【0126】
より具体的には、画像122の分布に基づき、被押し当て部443の移動の量の設定を行って、被押し当て部443を移動させる。具体的には、高さ方向において、一端部側部分443A(図6参照)と他端部側部分443Bとの位置関係を変化させる。
より具体的には、画像122に起因して生じる折りのずれの方向とは逆方向の折りのずれが生じるように、被押し当て部443の一端部側部分443Aと他端部側部分443Bとの位置関係を変化させる。
これにより、画像122に起因して生じる折りのずれと、被押し当て部443に起因して生じる折りのずれとが、互いに打ち消し合う形となり、冊子に生じる折りのずれが低減する。
【0127】
CPU11aは、画像情報により特定される、画像122の分布が、対象用紙PXの一端部側部分481を上記のように一方向へ回転させ、対象用紙PXの他端部側部分482を反対方向へ回転させる回転モーメントが発生するような分布である場合、この回転モーメントに起因して生じるずれの向きとは逆の向きの折りのずれを生じるように、被押し当て部443の移動の量の設定を行う。
これにより、冊子に最終的に生じる折りのずれが低減する。
【0128】
より具体的に説明すると、CPU11aは、図18に示したように、対象用紙PXの左上の角部121と中央部Cとの間、および、対象用紙PXの右下の角部121と中央部Cとの間に、画像122が形成される場合、被押し当て部443(図6参照)の一端部側部分443Aが他端部側部分443Bよりも上方に位置するように、被押し当て部443の移動の量の設定を行う。
これにより、この場合、画像122に起因して生じる折りのずれと、被押し当て部443に起因して生じる折りのずれとが、互いに打ち消し合う形となり、冊子に生じる折りのずれが低減する。
【0129】
(付記)
(((1)))
折り処理が行われる記録媒体の一方の端部が押し当てられる被押し当て部を有する移動体であって、当該移動体に対する当該被押し当て部の移動が可能に構成された移動体と、
駆動源を有し、前記移動体に対する前記被押し当て部の移動を行う移動機構と、
を備える記録媒体処理装置。
(((2)))
前記被押し当て部の移動の量の設定を行うプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
一方の端部が前記被押し当て部に押し当てられた後に折り処理が行われた記録媒体である処理後記録媒体にて生じている、折りのずれの量に基づき、前記移動の量の設定を行う、
(((1)))に記載の記録媒体処理装置。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記処理後記録媒体を撮影することにより得られた撮影画像を基に、前記折りのずれの量を特定し、
前記撮影画像を基に特定した、前記折りのずれの量に基づき、前記移動の量の設定を行う、
(((2)))に記載の記録媒体処理装置。
(((4)))
前記被押し当て部の移動の量の設定を行うプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記記録媒体に形成される画像についての情報である画像情報を取得し、
前記画像情報を基に、前記被押し当て部の移動の量の設定を行う、
(((1)))に記載の記録媒体処理装置。
(((5)))
プロセッサは、
前記画像情報により特定される、前記記録媒体上の画像の分布に基づき、前記被押し当て部の移動の量の設定を行う、
(((4)))に記載の記録媒体処理装置。
(((6)))
前記駆動源および前記移動機構は、前記移動体に設けられている(((1)))乃至(((5)))の何れかに記載の記録媒体処理装置。
(((7)))
前記移動体には、前記駆動源からの駆動力を受けて作動し前記記録媒体に接触する作動部材が設けられ、
前記被押し当て部および前記作動部材の両者に対し、共通の前記駆動源から駆動力が供給される(((6)))に記載の記録媒体処理装置。
(((8)))
前記移動機構には、前記駆動源から前記被押し当て部への駆動力の伝達を遮断する遮断機構が設けられている(((7)))に記載の記録媒体処理装置。
(((9)))
前記被押し当て部には、前記記録媒体の前記一方の端部の長手方向における一端部側が押し当てられる一端部側部分と、他端部側が押し当てられる他端部側部分とが設けられ、
前記移動機構は、前記一端部側部分と前記他端部側部分との位置の関係であって、前記長手方向と交差する方向における当該位置の関係が変化するように、前記被押し当て部の移動を行う(((1)))乃至(((8)))の何れかに記載の記録媒体処理装置。
(((10)))
一端部、他端部、および、中央部を有する記録媒体のうちの当該一端部と当該他端部の間に位置する部分に対する折り処理を行い、折り部と、当該折り部と当該一端部との間に位置する一端部側部分と、当該折り部と当該他端部との間に位置する他端部側部分とを有する記録媒体を生成する折り処理手段と、
記録媒体のうちの前記中央部よりも前記他端部側にて前記折り処理が行われるようにし、当該記録媒体のうちの当該折り処理により内側に位置するようになる一方の面の特定箇所が、前記他端部側部分により覆われないようにするプロセッサと、
を備える記録媒体処理装置。
(((11)))
前記プロセッサは、
前記一方の面のうちの画像が形成されている箇所である画像形成箇所が前記他端部側部分により覆われないようにする(((10)))に記載の記録媒体処理装置。
(((12)))
前記プロセッサは、
前記一方の面の前記特定箇所が前記他端部側部分により覆われないように且つ前記折り処理により外側に位置するようになる他方の面の特定箇所が当該他端部側部分に位置するように前記折り処理が行われるようにする、
(((11)))に記載の記録媒体処理装置。
(((13)))
前記プロセッサは、
前記他方の面のうちの画像が形成されている箇所が前記他端部側部分に位置するように前記折り処理が行われるようにする、
(((12)))に記載の記録媒体処理装置。
(((14)))
記録媒体の搬送方向において、前記折り処理手段よりも上流側には、記録媒体の前記一方の面のうちの予め定められた画像形成領域内に画像を形成する画像形成手段が設けられ、
前記プロセッサは、
前記一方の面の前記画像形成領域の一部が前記他端部側部分により覆われないようにする、
(((10)))に記載の記録媒体処理装置。
(((15)))
前記画像形成手段は、記録媒体の他方の面のうちの予め定められた画像形成領域内に画像を形成し、
前記プロセッサは、
前記一方の面の前記画像形成領域の一部が前記他端部側部分により覆われないように且つ前記折り処理により外側に位置するようになる前記他方の面の前記画像形成領域の一部が当該他端部側部分に位置するように当該折り処理が行われるようにする、
(((14)))に記載の記録媒体処理装置。
(((16)))
記録媒体への画像の形成を行う画像形成装置と、当該画像形成装置による画像の形成が行われた記録媒体に対する処理を行う記録媒体処理装置とを備え、当該記録媒体処理装置が、(((1)))乃至(((15)))の何れかに記載された記録媒体処理装置を含んで構成された画像形成システム。
【0130】
(((1)))に係る記録媒体処理装置によれば、折り処理についての調整を行えない構成や折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成に比べ、折り処理がより精度よく行われるようにすることができる。
(((2)))に係る記録媒体処理装置によれば、折り処理が行われた記録媒体である処理後記録媒体にて生じている、折りのずれの量に応じて、被押し当て部の移動の量の設定を行うことが可能になる。
(((3)))に係る記録媒体処理装置によれば、折りのずれの量をユーザが手動で入力する場合に比べ、折りのずれの量に基づき被押し当て部の移動の量の設定を行う際のユーザの負担を軽減できる。
(((4)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体に形成される画像についての情報である画像情報を考慮せずに、被押し当て部の移動の量の設定を行う場合に比べ、記録媒体に形成される画像に起因する折りのずれを低減できる。
(((5)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体に形成される画像の分布を考慮せずに、被押し当て部の移動の量の設定を行う場合に比べ、記録媒体に形成される画像に起因する折りのずれを低減できる。
(((6)))に係る記録媒体処理装置によれば、駆動源および移動機構が移動体とは別に設けられる場合に比べ、装置の構成の簡素化を図れる。
(((7)))に係る記録媒体処理装置によれば、被押し当て部を移動させるための駆動源、作動部材を作動させるための駆動源がそれぞれ個別に設けられる場合に比べ、駆動源の削減を図れる。
(((8)))に係る記録媒体処理装置によれば、共通の駆動源を用いつつ、駆動源から被押し当て部への駆動力の伝達を遮断することができる。
(((9)))に係る記録媒体処理装置によれば、被押し当て部の一端部側部分と他端部側部分との位置の関係であって、記録媒体の一方の端部の長手方向と交差する方向における位置の関係を変化させることができる。
(((10)))に係る記録媒体処理装置によれば、折り処理についての調整を行えない構成や折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成に比べ、折り処理がより精度よく行われるようにすることができる。
(((11)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体のうちの折り処理により内側に位置するようになる一方の面のうちの画像が形成されている箇所である画像形成箇所を露出させることができる。
(((12)))に係る記録媒体処理装置によれば、折り処理により外側に位置するようになる面の特定箇所を、折り部と一端部との間に位置する一端部側部分および折り部と他端部との間に位置する他端部側部分のうちの、この他端部側部分に位置させることが可能となる。
(((13)))に係る記録媒体処理装置によれば、折り処理により外側に位置するようになる面のうちの画像が形成されている箇所を、折り部と一端部との間に位置する一端部側部分および折り部と他端部との間に位置する他端部側部分のうちの、この他端部側部分に位置させることが可能となる。
(((14)))に係る記録媒体処理装置によれば、記録媒体のうちの折り処理により内側に位置するようになる一方の面の画像形成領域の一部を露出させることができる。
(((15)))に係る記録媒体処理装置によれば、折り処理により外側に位置するようになる面の画像形成領域の一部を、折り部と一端部との間に位置する一端部側部分および折り部と他端部との間に位置する他端部側部分のうちの、この他端部側部分に位置させることが可能となる。
(((16)))に係る画像形成システムによれば、折り処理についての調整を行えない構成や折り処理についての調整を行うにあたって必要となる条件が揃いにくい構成に比べ、折り処理がより精度よく行われるようにすることができる。
【符号の説明】
【0131】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…用紙処理装置、11a…CPU、22…画像形成部、44…中綴じユニット、90…移動体、101…一方の面、103…他方の面、200…移動機構、201…モータ、202…作動部材、209…クラッチ、443…被押し当て部、443A…一端部側部分、443B…他端部側部分、482…他端部側部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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