(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080408
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20240606BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20240606BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240606BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20240606BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240606BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240606BHJP
【FI】
F21V33/00 400
G03B15/05
G03B15/00 S
G03B15/02 K
H04N23/56
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193574
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】320011029
【氏名又は名称】Verbatim Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠倉 暁夫
【テーマコード(参考)】
2H053
3K014
5C122
【Fターム(参考)】
2H053CA02
2H053CA08
2H053CA21
3K014AA01
5C122DA11
5C122EA12
5C122GE06
5C122GE11
5C122GG17
5C122GG19
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】照射光の品質を損ねることなくカメラを設けることができる照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、底部4a、側面部4b、及び底部4aに対向する開口部4eを有する第1反射部4と、第1反射部4の底部4aに設けられた発光モジュール(発光部)3と、発光モジュール3の光軸上に設けられた第2反射部5と、第2反射部5を発光モジュール3から離間して固定する固定部6と第2反射部5上に設けられたカメラモジュール30とを有する。前記光軸に垂直な面で見た場合に、カメラモジュール30の外形が第2反射部5の外形より小さい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部、側面部、及び前記底部に対向する開口部を有する第1反射部と、
前記第1反射部の前記底部に設けられた発光部と、
前記発光部の光軸上に設けられた第2反射部と、
前記第2反射部を前記発光部から離間して固定する固定部と
前記第2反射部上に設けられたカメラモジュールと
を有し、
前記光軸に垂直な面で見た場合に、前記カメラモジュールの外形が前記第2反射部の外形より小さい、
照明装置。
【請求項2】
前記発光部の光軸、前記第1反射部の中心軸、前記第2反射部の中心軸、及び前記カメラモジュールの光軸が共通している
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記固定部は、それぞれ前記第2反射部と前記底部とに接し、前記中心軸に対してn(nは2以上の整数)回対称となる位置に設けられた、複数の柱状の支持部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記固定部は、前記カメラモジュールと、前記第1反射部の縁の少なくとも二か所において前記中心軸に対してn(nは2以上の整数)回対称となる位置に接触する、板状の支持部材を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記固定部を介して、前記発光部の制御部、前記カメラモジュールの制御部、及び前記カメラモジュールにて撮影された画像データを外部の装置に送信する送信部を収容する収容器から前記カメラモジュールへ配線される
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防犯や介護における見守り等に用いる監視カメラの必要性が高まっている。監視カメラの設置は、犯罪を抑止するという観点からは、監視カメラはその存在がはっきりわかるように設置されていることが好ましいが、設置していることがわからないようにすることが好ましい場合もある。
【0003】
例えば、特許文献1には、個人情報の保護を考慮して、監視カメラを設置していることが分からないようにするため、監視カメラを照明装置に設置した監視カメラ付き照明装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、スポット的に被照射物を照らすことができるスポット照明装置が記載されている。このような展示品等をスポット的に照らす照明装置はあるが、展示品等をピンポイントで監視する監視カメラの設置も望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-76872号公報
【特許文献2】特許6544513号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ホテル、レストラン、高級ショップ、ラウンジ、邸宅、美術館等のホスピタリティ市場においては、監視カメラの設置によりデザイン性を損ねることや、監視されていることへの嫌悪感から監視カメラの存在を嫌がる傾向がある。
【0007】
しかしながら、デザイン性やカメラの存在を目立たなくすることを重視して、監視カメラを照明器具の出光面内に設けると、照射光の品質(照度やスポット形状)に悪影響を及ぼす場合がある。
【0008】
上述の背景に鑑み、本発明は、照射光の品質を損ねることなくカメラを設けることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、底部、側面部、及び前記底部に対向する開口部を有する第1反射部と、前記第1反射部の前記底部に設けられた発光部と、前記発光部の光軸上に設けられた第2反射部と、前記第2反射部を前記発光部から離間して固定する固定部と前記第2反射部上に設けられたカメラモジュールとを有し、前記光軸に垂直な面で見た場合に、前記カメラモジュールの外形が前記第2反射部の外形より小さい照明装置を提供する。
本発明の照明装置によれば、カメラモジュールが設けられていても、照射光の品質(照度やスポット形状)を損ねることがない。
【0010】
好ましい態様において、前記発光部の光軸、前記第1反射部の中心軸、前記第2反射部の中心軸、及び前記カメラモジュールの光軸が共通していることとしてもよい。
本態様の照明装置によれば、照度やスポット形状等の照明機能及びデザイン性を良好に保つことができる。
【0011】
好ましい態様において、前記固定部は、それぞれ前記第2反射部と前記底部とに接し、前記中心軸に対してn(nは2以上の整数)回対称となる位置に設けられた、複数の柱状の支持部を有することとしてもよい。
【0012】
好ましい態様において、前記固定部は、前記カメラモジュールと、前記第1反射部の縁の少なくとも二か所において前記中心軸に対してn(nは2以上の整数)回対称となる位置に接触する、板状の支持部材を含むこととしてもよい。
本態様の照明装置によれば、板状の指示部材にグレア防止機能を兼ねさせることができる。また、固定部を第1反射部の底部に固定する必要がなく、既存の照明装置にカメラモジュールを後付けしやすい。
【0013】
好ましい態様において、前記固定部を介して、前記発光部の制御部、前記カメラモジュールの制御部、及び前記カメラモジュールにて撮影された画像データを外部の装置に送信する送信部を収容する収容器から前記カメラモジュールへ配線されることとしてもよい。
本態様の照明装置によれば、固定部に沿って配線を這わせることで、配線が照明光の出射面内に入ることによる照明機能低下の影響を最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る照明装置の構成を示す斜視図。
【
図2】一実施形態に係る照明装置の構成を示す正面図。
【
図3】一実施形態に係る照明装置の構成を示す側面図。
【
図4】一実施形態に係る照明装置の構成を示す底面図。
【
図5】一実施形態に係る照明装置の構成を示す断面図。
【
図6】一実施形態に係る照明装置の発光モジュールの構成を示す斜視図。
【
図7】一実施形態に係る照明装置の設置例における構成を示すブロック図。
【
図8】一実施形態に係る照明装置の設置例を示す図。
【
図9】一実施形態に係る照明装置の動作を説明するための概略断面図。
【
図10】一実施形態に係る照明装置の出射光の強度分布の測定を説明するための図。
【
図11】一実施形態に係る照明装置の出射光の強度分布を示す図。
【
図12】変形例に係る照明装置の構成を示す斜視図。
【
図13】変形例に係る照明装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に説明する各実施形態の照明装置は、防犯、見守り(介護)、人流把握等の用途に用いることができ、また、ホテル、レストラン、高級ショップ、ラウンジ、邸宅、美術館等のホスピタリティ市場においても適用することができる。
また、以下に説明する各実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
【0016】
[実施形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る照明装置を説明する。
図1は、一実施形態に係る照明装置の斜視図であり、
図2は一実施形態に係る照明装置の正面図であり、
図3は一実施形態に係る照明装置の底面図であり、
図5は、一実施形態に係る照明装置の断面図である。
【0017】
<照明装置の構成>
図1~
図5に示すように、照明装置1は、ドライバ筐体2、光源として機能する発光モジュール(半導体発光装置)3、発光モジュール3が搭載される略椀状の第1反射部4、第1反射部4内であって発光モジュール3の光軸上に設けられた第2反射部5、第2反射部5上に設けられたカメラモジュール30を備えている。
【0018】
さらに、照明装置1は、第2反射部5を発光モジュール3から離間して固定する固定部6、第1反射部4に対する発光モジュール3の位置決めをなす位置決め部材7、ドライバ筐体2に接続された口金8を備えている。本実施形態においては、第1反射部4及び第2反射部5によって、発光モジュール3から出射した光の少なくとも一部を照明装置1の外部に反射して放射するための反射構造体が形成されている。
【0019】
照明装置1において、外部から供給される電力が口金8を介して発光モジュール3、カメラモジュール30に給電されると、発光モジュール3が駆動して光を出射し、カメラモジュール30により光の出射方向にある被写体像を撮像する。発光モジュール3から出射した光は、基本的に、第1反射部4によって1度のみ反射して外部に放射されるか、第2反射部5で反射した後に第1反射部4によって反射(合計2回の反射)して外部に放射される。
【0020】
第1反射部4及び第2反射部5の配置関係等に応じて、第1反射部4及び第2反射部5のいずれによっても反射することなく直接的に外部に放射される場合もある。そして、上述した構成から、照明装置1は、AR111型照明装置として機能することができる。
【0021】
(ドライバ筐体)
照明装置1のドライバ筐体2は、
図3~
図5に示すように、その外形が略円柱状となっており、その内部には種々の部品を内蔵するための空洞2aが形成されている。ここで種々の部品としては、
図5に示すように、発光モジュール3を点灯するためのドライバ回路を含む回路基板9がある。また、ドライバ筐体2は、外力によって破損等が生じることがない、比較的に強固な材料から形成されている。
【0022】
ドライバ筐体2の材料としては、熱伝導性の比較的低い材料を用いることが好ましい。これは、発光モジュール3において生じる熱がドライバ筐体2側に伝導されることを抑制し、ドライバ筐体2内に設けられた部品の故障を防止するためである。ドライバ筐体2の材料として、例えば、樹脂、セラミック、金属等の材料を用いることができるが、特に熱放熱性、熱伝導性、耐久性等の観点から、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン等の樹脂が好ましい。
【0023】
なお、ドライバ筐体2の形状は上述したものに限定されることなく、照明装置1が設置されるべき環境、並びに内蔵する部品の寸法及び数量等の諸条件に応じて適宜変更することができる。例えば、ドライバ筐体2の外形を略角柱状、又は略錐台状にしてもよい。
【0024】
(発光モジュール)
図5に示すように、発光モジュール3は、第1反射部4の底部4aの中央部分に設けられた発光部である。また、発光モジュール3は、モジュール本体3aと、モジュール本体3a内に格納された波長変換部材3bを有している。モジュール本体3aは、外部から加えられる衝撃等から波長変換部材3bを保護するために設けられており、モジュール本体3aの材質は比較的硬い金属等の材料(例えば、鉄、アルミニウム、銅、セラミック)が用いられる。
【0025】
さらに、モジュール本体3aは、位置決め部材7によって第1反射部4の底部4a上に固定されているが、ネジ等の接合部材又は接着材料等を用いて底部4a上に固定されてもよい。接着剤は放熱接着剤を用いることが好ましい。そして、モジュール本体3aには、光が出射するための円形の開口が設けられており、例えば当該開口から内部で白色化を完了した光を取り出すことが可能である。このような発光モジュール3の構成により、発光モジュール3の発光面は、発光モジュール3の光軸に対して略回転対称となっている。
【0026】
また、当該開口にガラス板等が設置され、当該ガラス面のモジュール内部側に蛍光体を塗布し、この部分で白色化を行って光を取り出すようにすることもできる。なお、当該開口は、円形に限られることなく、長方形等の多角形又はその他の形であってもよい。すなわち、当該開口の形状は、要求される発光モジュール3の光出射面の形状に合わせて、適宜変更することができる。
【0027】
図6は、発光モジュール3の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、モジュール本体3aは、配線基板として機能する平板部11と、平板部11のチップ実装面11a上に位置し形状が円筒状の側壁部12とから構成されている。平板部11のチップ実装面11a上であって側壁部12の内側には、12個の半導体発光素子であるLEDチップ13が規則的に配列されている。
【0028】
具体的には、平板部11の中央部に4個のLEDチップ13が等間隔で配置され、当該4個のLEDチップ13の四方を囲むように8個のLEDチップ13が配置されている。そして、中央部に配置された4個のLEDチップ13のそれぞれは、平板部11の中心から等しい距離だけ離間した位置に配置され、同様に、四方を囲むように配置された8個のLEDチップ13のそれぞれは、平板部11の中心から等しい距離だけ離間した位置に配置されている。
【0029】
すなわち、当該4個のLEDチップ13及び当該8個のLEDチップのそれぞれが同心円状に配置され、12個のLEDチップ13全体として、略円形のLEDチップ実装領域を形成している。なお、
図6には示していないが、平板部11には、これらのLEDチップ13のそれぞれに電力を供給するための配線パターンが形成されている。
【0030】
図6に示すように、側壁部12によって囲まれた内部領域には、LEDチップ13から出射した青色光を波長変換する波長変換部材3bが設けられている。本実施形態に係る発光モジュール3においては、LEDチップ13から放射された青色光と、当該青色光が波長変換部材3bによって波長変換されて出射される光とを合成し、当該合成光をモジュール本体3aの開口から出射している。
【0031】
なお、波長変換部材3bは、モジュールの格納ケースの開口にガラス板等が設置され、当該ガラス面のモジュール内部側に塗布され、この部分で白色化を行って光を取り出すようにすることもできる。
【0032】
(第1反射部)
図1~
図5に示すように、第1反射部4は、底部4a、側面部4b、及び縁部4cから構成され、その外形が略椀状となっている。ここで、第1反射部4は対称軸を備えている。また、側面部4bは、当該対称軸を中心として軸対照に形成されるとともに、略回転放物面形状に形成されている。さらに、第1反射部4の対称軸は、発光モジュール3の光軸Z、及びカメラモジュール30のカメラレンズ30aの光軸に一致している。
【0033】
換言すると、発光モジュール3の光軸Z及びカメラモジュール30のカメラレンズ30aの光軸が第1反射部4の当該対称軸に略一致するように、発光モジュール3及びカメラモジュール30が配置されていることになり、第1反射部4の反射面として機能する側面部4bが発光モジュール3及びカメラモジュール30の光軸に対して略回転対称となっている。
【0034】
また、第1反射部4には、発光モジュール3、第2反射部5及びカメラモジュール30を配設することができる空洞4dが形成され、さらには発光モジュール3から出射された光を照明装置1の外部に放射する開口部4eが形成されている。ここで、開口部4eは、底部4aに対向している。すなわち、第1反射部4は、底部4a及び側面部4bによって発光モジュール3、第2反射部5及びカメラモジュール30を囲むように形成され、開口部4eを介して、発光モジュール3、第2反射部5及びカメラモジュール30を視認することができるような構造となっている。例えば、開口部4eの開口径は、103mmである。
【0035】
さらに、第1反射部4は、底部4aの発光モジュール3が搭載された面とは反対側面に、回路基板9が搭載されるとともに、ドライバ筐体2が固着されている。そして、第1反射部4の縁部4cは、側面部4bに向けて折り曲がった形状を有している。このような縁部4cに形状により、天井等の設置場所に設けられた照明装置の取り付け機構部分に照明装置1を引っ掛けることができ、照明装置1を天井等に強固に固定することができる。
【0036】
第1反射部4には、熱伝導率が30W/(m・K)以上の材料が選択されている。例えば、第1反射部4は、好ましくは金属、さらに好ましくはアルミニウム又はアルミニウムの合金から構成されていてもよい。このような材料によって第1反射部4が構成されることにより、第1反射部4は、発光モジュール3から生じる熱を底部4aから側面部4bに向かって放熱するための放熱経路を備えることになる。そして、当該放熱経路が形成されることにより、発光モジュール3から生じた熱を良好に外部へ放熱することができるため、発光モジュール3及びドライバ筐体2内の回路基板9等を当該熱から保護することができ、照明装置1の高寿命化を図ることができる。
【0037】
第1反射部4の側面部4bの内側面4fには所定の表面処理が施されており、内側面4fは、発光モジュール3から出射した光を反射することができる反射面として機能する。表面処理としては、例えば、鏡面加工、ダイヤモンドカット加工、シボ加工、又はファセット加工等の各種の表面加工から選択することができる。また、内側面4fは、完全な曲面ではなく、小さな複数の多角形(ディンプル)から構成されてもよい。すなわち、内側面4fは、半球面、放物面、その他の略椀上になっていればよい。
【0038】
このような第1反射部4の構成により、第1反射部4は、発光モジュール3から放出される光の一部及び第2反射部5において反射した光の全部又は一部を受けて、開口部4eに向けて反射することができる。
【0039】
(第2反射部)
図1、
図2、及び
図5に示されるように、第2反射部5は、外形が円錐状であってその内部に空洞5aが形成された形状(いわゆる、中空円錐形状)を有している。ここで、第2反射部5は対称軸を備えており、当該対称軸は発光モジュール3の光軸Zに一致している。第2反射部5は、円錐形状の底面、すなわち頂点と反対側にある上面5cを有している。この上面5cには、カメラモジュール30が取り付けられている。
【0040】
また、第2反射部5の外側面5bには、所望の表面処理が施されており、当該外側面5bは、発光モジュール3から出射した光を反射することができる反射面として機能する。表面処理としては、例えば、鏡面加工等の表面処理を用いることできる。
【0041】
さらに、反射面である外側面5bは、発光モジュール3の光軸Zに対して傾斜しており、外側面5bと光軸Zとのなす角は鈍角となっている。すなわち、第2反射部5は、円錐の頂点が発光モジュール3の搭載側に位置するとともに、発光モジュール3の光軸Z上に位置していることになる。換言すると、発光モジュール3の光軸Zが第2反射部5の当該対称軸に略一致するように、発光モジュール3が配置されていることになり、第2反射部5の反射面として機能する外側面5bが発光モジュール3の光軸Zに対して略回転対称となっている。
【0042】
第2反射部5は、光を透過しない材料(光非透過性の材料)から構成され、発光モジュール3から出射された光であって第2反射部5の外側面5bに到達した光を全反射することが好ましい。すなわち、第2反射部5の反射率は、好ましくは80%以上、85%以上、90%以上、95%以上である。また、第2反射部5の外側面5bは、鏡面反射を行い得ることが好ましい。例えば、第2反射部5の外側面5bは、アルミニウムなどの金属系素材、反射膜コーティングされた樹脂系素材から構成されている。このように、第2反射部5の外側面5bの反射率が高ければ高いほど、照明装置1自体の発光効率が増加して好ましくなる。なお、第2反射部5の外側面5bは、全反射特性を有することが必須ではなく、グレアによる問題が生じない範囲において、少量の光を透過するような光透過性を有していてもよい。
【0043】
このような第2反射部5の構成により、第2反射部5の外側面5bは、発光モジュール3から放出される光の一部を直接受けて(すなわち、レンズ等の光学部材を通さずに受けて)、第1反射部4に向けて反射することができる。
【0044】
(固定部)
図1、
図5に示されるように、固定部6は、発光モジュール3及び位置決め部材7の周囲に位置する環状部6a、及び環状部6aから第2反射部5の外側面5bに向かって延在する柱状の支持部である支柱6bから構成されている。支柱6bは、上端部が第2反射部5の外側面5bと接し、下端部が第1反射部4の底部4aと接している。このような構成により、固定部6は、発光モジュール3の設置領域の周辺から屹立し、発光モジュール3の設置領域の周辺における第1反射部4の底部4aと第2反射部5の外側面5bとを強固に接続している。すなわち、固定部6は、第2反射部5を発光モジュール3から離間して固定している。
【0045】
支柱6bは、本実施形態においては、3本設けられているが、3本に限定されることなく、第2反射部5を支持できるような複数本を設ければよい。支柱6bは、発光モジュール3の光軸Zを中心とする円周上に中心角120度の間隔で3本が設けられるものとする。n本(nは2以上の整数)が設けられる場合、(360/n)度の間隔で設けるものとすればよい。すなわち、支柱6bは、中心軸である光軸Zに対して、n回対称となる位置に設けられる。
【0046】
固定部6は、例えば、光透過性を備える樹脂から構成されている。固定部6が光透過性を備えることにより、発光モジュール3から出射した光の吸収を防止し、照明装置の発光効率の向上及び照明装置1から放射する光の光学的特性を設計通りに維持することができる。なお、固定部6が光透過性を有することなく、光反射性を有していてもよい。
【0047】
このような固定部6を用いて第2反射部5を第1反射部4に固定することにより、照明装置1の製造工程における製品ごとの位置ずれ、すなわち発光モジュール3と第2反射部5との距離が製品ごとに異なること(いわゆる製品ばらつき)を防止することができる。また、このような強固な固定により、物理的又は熱的衝撃に起因する、発光モジュール3と第2反射部5との距離変動を防止することができる。そして、照明装置1は、放射される光の配光性が一定となり、より安定した光を良好に照射することができる。
【0048】
本実施形態において、固定部6が環状部6aを含んでいることにより、環状部6aによって発光モジュール3に対する第2反射部5の設置を容易に行うことができる。すなわち、環状部6aは、第2反射部5の位置決め部材としても機能している。なお、発光モジュール3に対する第2反射部5の設置を的確に行うことができれば、環状部6aを設けることなく、支柱6bを直接的に第1反射部4の底部4aに固着してもよい。
【0049】
(位置決め部材)
図1、
図5に示されるように、位置決め部材7は、略環状に形成されており、発光モジュール3の周囲を囲むように配置されている。また、位置決め部材7は、発光モジュール3の平板部11のチップ実装面11aと部分的に接触し、発光モジュール3を第1反射部4と挟むようにして固定している。すなわち、位置決め部材7は、発光モジュール3を固定する固定部材としても機能している。
【0050】
また、
図1に示すように、位置決め部材7にはネジ穴7aが形成されている。ネジ穴7aは、第1反射部4の底部4aに形成されたネジ穴(図示せず)と連通することとなり、ネジ穴7aにネジ(図示せず)を螺合することにより、位置決め部材7を第1反射部4に強固に固定させつつ、発光モジュール3も同時に第1反射部4に強固に固定することができる。
【0051】
位置決め部材7は、例えば樹脂又は金属等の材料から構成されている。ここで、第1反射部4及び第2反射部5によって反射した光を吸収することなく、第1反射部4又は第2反射部5に向かって光を反射することができる材料又は表面加工が施されていることが好ましい。
【0052】
(口金)
図3~
図5に示されるように、口金8は、天井等の照明装置1の設置場所に設けられた給電機構(図示せず)に嵌挿することができるように、平板状であってL型に形成されている。また、口金8は、ドライバ筐体2に内蔵された回路基板9と配線を介して電気的に接続されている。さらに、口金8は、ネジ20によってドライバ筐体2に固定されている。このような構造から、口金8を給電機構に嵌挿すると、給電機構から口金8及び当該配線を経由して回路基板9に所望の電力が供給されることになる。
【0053】
なお、口金8は、
図1に示されるようなL型の平板状に限定されることなく、給電機構の形状に合わせて適宜変更することができる。例えば、給電ソケットが日本における一般的な螺合型のソケットである場合、口金8の形状は、ドライバ筐体2の略四角柱状の部分と同等の寸法であって、その表面がねじ切られた形状であってもよい。このような場合には、口金8が当該給電ソケットに螺合することによって着脱自在となっている。
【0054】
(カメラモジュール)
図5に示されるように、カメラモジュール30は、第2反射部5の上面5cに接着剤により接着され固定されて取り付けられている。本実施形態においては、カメラモジュール30は例えば円柱形状の外形を有しており、上面側にカメラレンズ30aが設けられている。カメラモジュール30内には撮像素子(不図示)が設けられている。撮像素子は、CMOS、CCD等からなるイメージセンサであり、カメラレンズ30aにより撮像面に結像された被写体像をピクセル毎の電気信号に変換することにより画像を生成し、画像信号として出力する。
【0055】
また、カメラモジュール30は、サーモグラフィ機能を有することが好ましい。さらに、カメラモジュール30は、マイクロフォンを有していてよく、マイクロフォンから入力した音声を音声信号として画像信号とともに出力するものとしてもよい。
図1、
図5に示されるように、カメラレンズ30aは、第1反射部4の開口部4eの方向を向いており、開口部4eの前方からの光が入射する、入射した光束は、カメラレンズ30aにより被写体像として撮像素子の撮像面に結像され、撮像素子により被写体の画像信号が生成される。生成された画像信号は、画像データとしてカメラモジュール30から出力可能である。
【0056】
カメラモジュール30から出力される画像データは、無線通信を利用して外部に送信され、送信先の画像処理装置で解析することにより、カメラモジュール30によって撮影されている被写体の状況を監視することができる。画像データの解析による被写体の監視は、カメラモジュール30内で行う構成としてもよい。以上のようにして、カメラモジュール30は、監視カメラとして機能する。
【0057】
図5に示されるように、本実施形態においては、第1反射部4の中心軸(対称軸)、第2反射部5の中心軸(対称軸)、カメラモジュール30のカメラレンズ30aの光軸は、発光モジュール3の出射光の光軸Zと略一致している。すなわち、発光モジュール3の光軸、第1反射部4の中心軸、第2反射部5の中心軸、カメラモジュール30の光軸が共通している。
【0058】
図1、
図2、
図5に示されるように、照明装置1の開口部4e側から光軸Zに垂直な面で見た場合に、カメラモジュール30の外形は、第2反射部5の外形より小さい。すなわち、カメラモジュール30の幅(あるいは直径)Dcは、第2反射部5の幅(上面5cの直径)Drよりも小さい。
【0059】
図7は、照明装置1の構成を示すブロック図である。照明装置1は、電源部61、発光制御部62、カメラ制御部63、無線通信部64を備えている。電源部61、発光制御部62、カメラ制御部63、無線通信部64は、例えば、ドライバ筐体2内の回路基板9に設けられる。ドライバ筐体2は、各部材を収容する収容器として機能している。
【0060】
電源部61は、電源線55を介して発光モジュール3と接続され、電源線56を介してカメラモジュール30と接続されている。電源部61は、発光モジュール3、カメラモジュール30が動作するために必要な電力を供給する。発光制御部62は、制御線57を介して発光モジュール3と接続されており、発光モジュール3の点灯、消灯、及び調光の制御を行う。
【0061】
カメラ制御部63は、信号線58を介してカメラモジュール30と接続されており、カメラモジュール30による撮影の制御、カメラモジュール30で撮影した画像データの取得、画像データの無線通信部64への受け渡しを行う。無線通信部64は、カメラ制御部63から取得した画像データを無線通信により外部の装置へと送信する制御を行う。
【0062】
無線通信部64は、無線通信ネットワークを介して外部の装置(例えばサーバ装置)と接続されている。無線通信の形態としては、無線LAN(Local area Network)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が用いられる。
【0063】
図5に示されるように、発光モジュール3は、第1反射部4の底部4aを介してドライバ筐体2と隣接して設けられている。そのため、底部4aに例えば開口部である孔を設け、電源線55、制御線57を含む配線を、孔を介して発光モジュール3と回路基板9との間を這わせることにより、発光モジュール3と電源部61、発光制御部62とを接続する。
【0064】
カメラモジュール30は、第1反射部4の底部4aから支柱6bを介して離間して設けられている。そのため、底部4aに例えば開口部である孔を設け、電源線56、信号線58を含む配線を、孔を介して上方まで延ばし、複数の支柱6b(本実施形態では3本)のうちの少なくとも1本に沿って這わせることにより、カメラモジュール30と電源部61、カメラ制御部63(回路基板9)とを接続することができる。
【0065】
図8は、照明装置1の設置例を示す図である。
図8は、ライティングレール52に照明装置1を取り付ける例を示している。ライティングレール52には、電装ボックス50が設けられており、これらにより照明システムを構成している。電装ボックス50内には、
図7においてドライバ筐体2内に設置されるものとした電源部61、発光制御部62、カメラ制御部63、無線通信部64の一部又は全部を設置してもよい。この場合、電装ボックス50は収容器として機能する。
【0066】
電装ボックス50と照明装置1とは、照明装置1のドライバ筐体2に設けられた口金8と電装ボックス50内の回路基板を接続するため、取付器具51を介して照明装置1は電装ボックス50に取り付けられる。
電装ボックス50内に電源部61、発光制御部62、カメラ制御部63、無線通信部64の一部又は全部を設置する場合、電源線55、56、制御線57、信号線58のいずれかを含む配線を取付器具51内に這わせることにより口金8と電装ボックス50内の回路基板とを接続する。
【0067】
なお、電源部61は外部の給電機構と接続されることにより電力の供給を受ける必要がある。従って、電源部61が照明装置1内、電装ボックス50内のいずれにある場合でも、電源部61を電装ボックス50からライティングレール52内を這っている電源線と接続することになる。そのため、照明装置1の口金8と電装ボックス50とを接続する電源線は取付器具51内に這わせることになる。
【0068】
<照明装置の動作>
次に、照明装置1の動作及び動作時における光の照射について、
図9を参照しつつ説明する。
図9は、照明装置1の動作を説明するための図であって、発光モジュール3、カメラモジュール30、第1反射部4、及び第2反射部5のみを記載した概略断面図である。
【0069】
まず、
図8に示されるような天井等に設置されている照明システム給電機構(図示せず)から照明装置1へと給電を開始させる。そのため、照明システムの給電スイッチをオン状態にし、照明装置1に電力を供給する。当該電力は口金8及び回路基板9等を介して発光モジュール3、カメラモジュール30に供給される。そして、発光モジュール3のLEDチップ13が発光して、発光モジュール3から所望の光が出射される。また、カメラモジュール30の撮像素子が起動して、カメラレンズ30aからの入射光のよる被写体像から画像データが生成される。
【0070】
発光モジュール3から出射した光が、照明装置1の開口部4eから放出される光学経路には、
図9に示すように、主に3つのパターンがある。第1のパターンは、発光モジュール3から放射した光が、第1反射部4及び第2反射部5のいずれによっても反射されることなく、第1反射部4と第2反射部5の隙間を縫って、直接的に開口部4eから放射される光学経路A(破線で示す)である。
【0071】
第2のパターンは、発光モジュール3から放射した光が、先ず第1反射部4の内側面4fによって1回反射し、その後に開口部4eから放射される光学経路B(一点鎖線で示す)である。
【0072】
第3のパターンは、発光モジュール3から放射した光が、直接的に、又は、第1反射部4の内側面4fによって反射した光(図示せず)が、第2反射部5の外側面5bによって反射され、その後に第1反射部4の内側面4fによって反射し、合計2回以上の反射を経て開口部4eから放射される光学経路C(2回反射の場合を二点鎖線で示し、3回以上の反射は図示せず)である。
【0073】
また、発光モジュール3から放射した光の一部については、照明装置1内で反射を繰り返し、開口部4eから放射されずに照明装置1内に閉じ込められる場合もある(図示せず)。
【0074】
図9に示されるように、カメラモジュール30の外径は、第2反射部5の外形より小さいため(すなわち、カメラモジュール30の幅Dcは、第2反射部5の幅Drよりも小さいため)、光学経路A、B、Cのいずれの光も、カメラモジュール30により遮られることはない。また、カメラモジュール30の高さ(第2反射部5から開口部4eへと向かう方向に沿った長さ)は、光学経路A、B、Cのいずれの光も遮らない程度の高さとなるようにしている。
【0075】
本実施形態においては、照明装置1から良好なスポット光を照射するために、第1反射部4において反射されて開口部4eから放射される光を、開口部4eから放射される全放射光の80%以上としている。すなわち、光学経路Bを経て放射される光及び光学経路C(第1反射部4及び第2反射部5によって合計3回以上の反射を経て開口部4eから放射される光を含む)を経て放射される光の合計が、開口部4eから放射される光(光学経路A、光学経路B、光学経路C(第1反射部4及び第2反射部5によって合計3回以上の反射を経て開口部4eから放射される光を含む)の合計)の80%以上となっている。ここで、より良好なスポット光を照射するためには、光学経路B及びC(第1反射部4及び第2反射部5によって合計3回以上の反射を経て開口部4eから放射される光を含む)を経て放射される光の割合(すなわち、上記数値)を、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上としてもよい。
【0076】
本実施形態に係る照明装置1は、光学経路B及びCを経由する光を多くすることでよりスポット的である狭角の光を放射することができる。換言すると、照明装置1によって約50cm以上離間した被照射物に光を照射する場合、当該被照射物に環状の照射面が形成されず、円状の良好な照射面が形成されることになる。
【0077】
本実施形態において、狭角の光とは光の1/2ビーム角が5°以上40°以下であり、より好ましくは5°以上30°以下である。ここで、光の1/2ビーム角とは、照明装置1の最大光度に対し、照明装置1の照度比が50%になる2方向をビームの境としたビームのなす角度である。
【0078】
図10は、照明装置1の出射光の強度分布の測定を説明するための図である。本実施形態において、1/2ビーム角の測定方法は、「JIS C 8105-5」に規定されている「ビームの開きの測定手順」に従って行われる。具体的には、先ず、測定の原点の方向が照明装置1の最大光度を含む方向と一致するように、照明装置1を取り付ける。ただし、配光特性が複雑な場合には、このように取り付ける必要性はない。本実施形態では、測定の原点の方向を照明装置1の光軸Z方向と一致させるものとする。
【0079】
次に、
図10における水平角Φ(光軸Zを中心とした回転方向角)を一定にし、鉛直角θ(水平角Φの位置における光軸Zに対する角度)を変化させて、それぞれのθ方向における光度It(θ,Φ)を測定する。
次に、所定の測定角度範囲及び測定角度間隔に基づいて選択した各測定点(θ,Φ)における受光器の出力を記録する。
【0080】
次に、記録した受光器の出力を用いて、測定点(θ,Φ)における光度It(θ,Φ)を算出する。具体的には、配光測定装置に対して光度の校正を用いた場合には、以下の数式(1)により、光度It(θ,Φ)が算出される。
【0081】
It(θ,Φ)=k×it(θ,Φ)×R1 (1)
ここで、It(θ,Φ)が測定点(θ,Φ)の光度であり、kが色補正係数であり、it(θ,Φ)が測定点(θ,Φ)における受光器の出力であり、R1が受光器の光度の換算係数である。
【0082】
一方、配光測定装置に対して照度の校正を用いた場合には、以下の数式(2)により、光度It(θ,Φ)が算出される。
【0083】
It(θ,Φ)=k×it(θ,Φ)×d2×RE (2)
ここで、It(θ,Φ)が測定点(θ,Φ)の光度であり、kが色補正係数であり、it(θ,Φ)が測定点(θ,Φ)における受光器の出力であり、dが照明装置1の測定中心からの測光距離(m)であり、REが受光器の光度の換算係数である。なお、測光距離は、照明装置1の発光面の最大寸法の5倍以上が好ましい。例えば、本実施形態においては、第1反射部4の開口部4eの寸法が103mmであるため、当該測光距離を1mとすれば十分となる。
【0084】
その後、上述した光度測定により得られたIt(θ,Φ)から、水平角φにおける最大光度It,max(Φ)を算出する。そして、算出した各測定点(θ,Φ)の光度の最大光度It,max(Φ)に対する比(照度比)を算出する。
【0085】
図11は、照明装置1の出射光の強度分布を示すグラフである。
図11(A)は、Φ=Φ0°において上述のように測定、算出した各鉛直角θ(横軸の出射角)と照度比(縦軸)との関係を示すラフである。
図11(A)に示すように、照度比が0.5になるθa°が1/2ビーム角となる。
【0086】
図11(B)は、Φ=nΔ°+Φ0°(あるいはΦ=(360/n)°+Φ0°)において上述のように測定、算出した各鉛直角θ(横軸の出射角)と照度比(縦軸)との関係を示すグラフである。本実施形態では、n=3、Δ=120[°]である。
図11(B)に示すように、照度比が0.5になるθb°が1/2ビーム角となる。
【0087】
本実施形態においては、照明装置1の固定部6の支柱6bが発光モジュール3からの出射される光を遮ることとなり、照明装置1からの出射光の強度分布に影響を及ぼす。しかしながら、支柱6bは、光軸Zに対してn回対称(本実施形態では3回対称)の位置に設けられているため、強度分布もn回対称となる。
【0088】
図11(B)は、
図11(A)の強度分布に対してn回対称の位置における強度分布であるため、
図11(A)と
図11(B)の強度分布は略一致する。従って、
図11(A)の強度分布における1/2ビーム角θaと
図11(B)の強度分布における1/2ビーム角θbとは略同一となる。
【0089】
本実施形態においては、カメラモジュール30からドライバ筐体2の回路基板9へと至る配線(電源線、信号線)は、複数本の支柱6bの少なくとも1本に沿って這わせる構成としているため、配線が発光モジュール3からの出射される光を遮ることへの影響は小さく、配線が照明装置1からの出射光の強度分布に及ぼす影響は小さい。
【0090】
[変形例]
上述の実施形態は様々に変形され得る。以下に、それらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0091】
(1)上述の実施形態においては、カメラモジュール30は、第2反射部5の上面5cに固定されるものとしたが、第1反射部4の開口部4eにルーバを設けることにより、カメラモジュール30をルーバに固定するものとしてもよい。ルーバは、照明光による不快なグレアを防止するために設けられるものであり、本変形例では、ルーバをカメラモジュール30の固定に利用する。
【0092】
図12は、変形例に係る照明装置の構成を示す斜視図である。照明装置1aの第1反射部4の開口部側にルーバ70が設けられている。ルーバ70は、本変形例では3つの板状の支持部材70a、70b、70cとから構成されている。これらの支持部材70a、70b、70cは、光透過性を有する素材、アルミニウム等の金属素材、表面にアルミニウム蒸着あるいはコーティングにより反射膜が形成されたプラスチック等の樹脂素材により構成される。
【0093】
支持部材70a、70b、70cの各々の一端側は、カメラモジュール30に接触して固着され、他端側は、第1反射部4の開口部側の内周面あるいは縁部4cに接触して固着される。支持部材70a、70b、70cは、板状の部材であるが、光軸Zを中心とした円周方向に沿った幅は、光軸Z方向に沿った幅に比べて短い形状となっている。このため、照明装置1aの出射光を遮る範囲が狭く、被照射物に対する照射光の品質を下げることがない。
本変形例では、支持部材を3つ設けているが、3つに限定されることなく、グレア防止効果があるような複数個を設ければよい。
【0094】
支持部材70a、70b、70cは、発光モジュール3の光軸Zを中心とする円周上に中心角120度の間隔で3つが設けられるものとする。n個(nは2以上の整数)が設けられる場合、(360/n)度の間隔で設けるものとすればよい。すなわち、ルーバ70の支持部材は、中心軸である光軸Zに対して、n回対称となる位置に設けられる。
【0095】
支持部材70a、70b、70cは、支柱6bが設けられる位置と光軸Zを中心とする円周上の同じ位置に設けることが好ましい。そのように支柱6bと支持部材70a、70b、70cを設けることにより、
図11に示したようなn回対称の位置における強度分布の同一性を維持することができる。
【0096】
本変形例によれば、カメラモジュール30が設けられていない照明装置に対して、例えば、照明装置の設置後に、後付けで、ルーバ70とともにカメラモジュール30を取り付けることを容易に行うことができる。カメラモジュール30を第2反射部5に接着剤で接着させるとともに(あるいは仮に接着させることができなくても)、ルーバ70にカメラモジュール30を接着剤で接着して固定することができ、カメラモジュール30をより強固に固定することができる。
【0097】
なお、上述の実施形態においては、カメラモジュール30からの配線(電源線56、信号線58を含む)は、複数の支柱6bのうちの少なくとも1本に沿って這わせて回路基板9と接続するものとしたが、本変形例においては、カメラモジュール30からの配線は、ルーバ70の支持部材70a、70b、70cの少なくとも1つに沿って這わせて回路基板9まで延ばして接続してもよい。
【0098】
(2)上述の実施形態においては、第2反射部5は、第1反射部4の底部4aに固定部6を介して固定され、カメラモジュール30は、第2反射部5の上面5cに固定されるものとしたが、第1反射部4の開口部4eにルーバを設けることにより、カメラモジュール30と第2反射部5とをルーバに固定するものとしてもよい。
【0099】
図13は、変形例に係る照明装置の構成を示す斜視図である。照明装置1bの第1反射部4の開口部側にルーバ70が設けられている。ルーバ70は、本変形例では3つの板状の支持部材70a、70b、70cとから構成されている。ルーバ70の構成は、
図12に示した変形例(1)と同様である。
【0100】
支持部材70a、70b、70cの各々の一端側は、カメラモジュール30に接触して固着され、他端側は、第1反射部4の開口部側の内周面あるいは縁部4cに接触して固着される。
本変形例では、第1反射部4の底部4aに設けられた固定部6には、上述の実施形態及び上述の変形例(1)のように、支柱6bは設けられていない。すなわち、第2反射部5は、支柱6bによって固定されていない。
【0101】
第2反射部5は、上面5cがカメラモジュール30の底面に接着剤により接着されることにより固定されている。カメラモジュール30がルーバ70を介して第1反射部4の開口部側に固定されているので、第2反射部5も、カメラモジュール30,ルーバ70を介して、第1反射部4の開口部側縁部に固定されることになる。このように、本変形例では、上述の変形例(1)と比べて、支柱6bが不要となり、部品数を減らすことができる。
上述の変形例(1)と同様に、支持部材は3つに限定されず、グレア防止効果があるような複数個を設ければよい。
【0102】
支持部材70a、70b、70cは、発光モジュール3の光軸Zを中心とする円周上に中心角120度の間隔で設けられるものとする。n本(nは2以上の整数)が設けられる場合、(360/n)度の間隔で設けるものとすればよい。すなわち、支持部材は、中心軸である光軸Zに対して、n回対称となる位置に設けられる。支持部材70a、70b、70cをこのようにn回対称となる位置に設けることにより、
図11に示したようなn回対称の位置における強度分布の同一性を維持することができる。
【0103】
(3)上述の本実施形態においては、第1反射部4は1つの材料から一体的に形成されているが、底部4a、側面部4b及び縁部4cを別々な材料から形成し、接着材等を用いて各部を接続して第1反射部4を形成してもよい。このような場合には、照明装置1の要求仕様等の条件に応じて、底部4a、側面部4b及び縁部4cを構成する材料の熱伝導率を適宜変更することができ、照明装置1のより最適化(軽量化や放熱性の向上)及びコスト低減を図ることができる。
【0104】
また、第1反射部4の側面部4bの形状は、上述した実施形態の形状に限定されることなく、照明装置1に要求される光学特性を満足することができれば、適宜変更することができる。すなわち、第1反射部4の側面部4bの形状は、要求される光の配光形状に合わせて、適宜変更することができる。より具体的には、第1反射部4の側面部4bにおける放物曲面の曲率を適宜変更することができ、又は側面部4bを湾曲させることなく平坦にしてもよい。
【0105】
さらに、発光モジュール3の設置領域の周辺に対応する第1反射部4の底部4a(すなわち、底部4aの縁部分)を、発光モジュール3の設置領域に対応する第1反射部4の底部4a(すなわち、底部4aの中央部分)に対してドライバ筐体2側に下げてもよい。すなわち、底部4aにおいて、発光モジュール3が設置される領域を開口部4e側に突出させ、発光モジュール3が設置されない領域を凹ませてもよい。例えば、底部4aをその中央部が突出するように湾曲させてもよく、その中央部が突出するように段差を設けてもよい。このような底部4aの形状の調整により、発光モジュール3の設置領域の周辺における光の反射に起因する、照明装置1の配光分布の劣化(具体的には、当該反射による光が配光分布の裾に現れてビーム角が広がること)を防止することができる。
【0106】
(4)上述の実施形態においては、第2反射部5の形状は中空円錐形状であるものとしたが、これに限定されることはなく、照明装置1に要求される光学特性を満足することができれば、種々の形状とすることができる。すなわち、第2反射部5の形状は、要求される光の配光形状に合わせて、適宜変更することができる。より具体的には、外側面5bが凸状又は凹状に湾曲していてもよく、或いは空洞5aを有さない単なる円錐であってもよい。さらには、第2反射部5の形状は、角錐状、又は角錐の内部に空洞が形成された形状(いわゆる、中空角錐状)であってもよい。
【0107】
(5)固定部6の構成は、上述の実施形態に示した構成に限定されることなく、円筒状又は多角形の筒状の外形を備えていてもよい。このような場合には、固定部6は、光透過性を備える材料から構成されることになり、当該筒状に形成された固定部6の一端を発光モジュール3の外周を囲むように配置し、他端を第2反射部5の外側面5bに接続してもよい。
【0108】
(6)上述の実施形態においては、同一部材からなる環状部6a及び支柱6bを一体的に成形して固定部6を構成しているが、環状部6aと支柱6bとを異なる材料から構成し、接着剤等によって接合してもよい。このような場合には、照明装置1の要求仕様等の条件に応じて、環状部6a及び支柱6bを構成する材料を適宜変更することができ、照明装置1のより最適化及びコスト低減を図ることができる。
【0109】
(7)上述の実施形態においては、固定部6によって第1反射部4の底部4aと第2反射部5の外側面5bとを接続しているが、第1反射部4の側面部4bの内側面4fと第2反射部5の外側面5bとを接続してもよい。このような接続方法は、第1反射部4の底部4aにおける固定部6との接触スペースを確保できない場合に、第2反射部5を第1反射部4に対して確実に固定することができる。
【0110】
(8)上述の実施形態においては、カメラモジュール30の外形は円柱形状であるものとしたが、これに限定されることなく、照明装置1からの出射光の強度分布に影響を与えない範囲であれば、種々の形状とすることができる。具体的には、多角柱形状、角錐形状等であってもよい。また、ルーバ70の形状は、板状に限定されず、棒状、柱状等であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1、1a、1b…照明装置、2…ドライバ筐体、2a…空洞、3…発光モジュール(半導体発光装置)、3a…モジュール本体、3b…波長変換部材、4…第1反射部、4a…底部、4b…側面部、4c…縁部、4d…空洞、4e…開口部、4f…内側面(反射面)、5…第2反射部、5a…空洞、5b…外側面(反射面)、5c…上面、6…固定部、6a…環状部、6b…支柱、7…位置決め部材、7a…ネジ穴、8…口金、9…回路基板、11…平板部、11a…チップ実装面、12…側壁部、13…LEDチップ、20…ネジ、30…カメラモジュール、30a…カメラレンズ、50…電装ボックス、51…取付器具、52…ライティングレール、55、56…電源線、57…制御線、58…信号線、61…電源部、62…発光制御部、63…カメラ制御部、64…無線通信部、70…ルーバ、70a、70b、70c…支持部材、Z…光軸。