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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080409
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240606BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240606BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193577
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】三ツ橋 智之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】実施したメンテナンスの全てを均等に正解データとして再学習する場合と比較して、不正解のメンテナンスの情報の提示率を低くするシステムを提供する。
【解決手段】1または複数のプロセッサを備え、1または複数のプロセッサは、トラブルに関する情報と、トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを取得し、トラブルに関する情報を入力、メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成し、新たなトラブルに関する情報と、新たなトラブルに対して出力したメンテナンスの情報とに基づいて学習モデルを再学習し、学習モデルの再学習の際にメンテナンスの情報に対し重みづけを行うことを特徴とするシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のプロセッサを備え、
前記1または複数のプロセッサは、
トラブルに関する情報と、当該トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを取得し、
前記トラブルに関する情報を入力、前記メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成し、
新たな前記トラブルに関する情報と、新たな当該トラブルに対して出力した前記メンテナンスの情報とに基づいて前記学習モデルを再学習し、
前記学習モデルの再学習の際に前記メンテナンスの情報に対し重みづけを行う
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して前記メンテナンスの情報が提示された事実に基づいて、当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行う
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して前記メンテナンスの情報が提示された割合が高いほど、当該メンテナンスの情報に対し小さい重みを付与する
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報に基づき実施された結果に基づいて当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行う
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報に基づき実施された当該メンテナンスにより当該トラブルが解決した場合、および提示された当該メンテナンスの情報とは異なるメンテナンスの実施により当該トラブルが解決した場合の状況により提示された当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行う
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報とは異なるメンテナンスの実施により当該トラブルが解決した場合の割合が高いほど、提示された当該メンテナンスの情報に対し小さい重みを付与する
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トラブルに関する情報は設備の異常に関する情報であり、前記メンテナンスの情報は交換するパーツの情報である
ことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項に記載のシステム。
【請求項8】
1または複数のプロセッサに実現させるプログラムであって、
トラブルに関する情報と、当該トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを取得する機能と、
前記トラブルに関する情報を入力、前記メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成する機能と、
新たな前記トラブルに関する情報と、新たな当該トラブルに対して出力した前記メンテナンスの情報とに基づいて前記学習モデルを再学習する機能と、
前記学習モデルの再学習の際に前記メンテナンスの情報に対し重みづけを行う機能と
を有するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラント又は設備の異常あるいは異常の予兆をセンサデータや稼働データから検知し、過去の同様の異常に対する保守履歴の情報を用いて異常あるいは異常の予兆と過去の対策とを紐付け、紐付けた結果に基づいて対策案を指示し、対策案の的中率に基づいて異常検知の感度を調整する異常検知・診断方法が記載されている。
特許文献2には、通常のデータを用いて学習されたモデルに対し、ユーザが特にモデルが正しい答えを出力することを求めるよう注意データを用いて再学習する場合に、要注意データの重みを大きくして再学習することで汎化性を保ちつつ要注意データを精度よく正解することができる、とする学習装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5808605号
【特許文献2】特開2021-99702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、トラブルが発生した際に、トラブルに関する情報と、該当トラブルにおいてエンジニアが交換したパーツとをトラブル解決に必要なパーツとして紐付けて学習し、トラブルに関する情報を入力すると交換パーツを提示するシステムがある。しかしながら、複数のパーツを交換した場合に交換したパーツの中から本当に必要であったパーツを特定することは難しく、再学習によるシステム更新時に誤ったパーツを正解データとして扱うことでノイズが増幅し続けてしまうことが起こり得る。例えば、パーツ交換以外のメンテナンスにおいても、不要なメンテナンスを正解データとして扱うと、同様にノイズが増幅し続けてしまう。
本発明は、実施したメンテナンスの全てを均等に正解データとして再学習する場合と比較して、不正解のメンテナンスの情報の提示率を低くするシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、1または複数のプロセッサを備え、前記1または複数のプロセッサは、トラブルに関する情報と、当該トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを取得し、前記トラブルに関する情報を入力、前記メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成し、新たな前記トラブルに関する情報と、新たな当該トラブルに対して出力した前記メンテナンスの情報とに基づいて前記学習モデルを再学習し、前記学習モデルの再学習の際に前記メンテナンスの情報に対し重みづけを行うことを特徴とするシステムである。
請求項2に記載の発明は、前記1または複数のプロセッサは、過去の前記トラブルに対して前記メンテナンスの情報が提示された事実に基づいて、当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行うことを特徴とする請求項1に記載のシステムである。
請求項3に記載の発明は、前記1または複数のプロセッサは、過去の前記トラブルに対して前記メンテナンスの情報が提示された割合が高いほど、当該メンテナンスの情報に対し小さい重みを付与することを特徴とする請求項2に記載のシステムである。
請求項4に記載の発明は、前記1または複数のプロセッサは、過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報に基づき実施された結果に基づいて当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行うことを特徴とする請求項1に記載のシステムである。
請求項5に記載の発明は、前記1または複数のプロセッサは、過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報に基づき実施された当該メンテナンスにより当該トラブルが解決した場合、および提示された当該メンテナンスの情報とは異なるメンテナンスの実施により当該トラブルが解決した場合の状況により提示された当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行うことを特徴とする請求項4に記載のシステムである。
請求項6に記載の発明は、前記1または複数のプロセッサは、過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報とは異なるメンテナンスの実施により当該トラブルが解決した場合の割合が高いほど、提示された当該メンテナンスの情報に対し小さい重みを付与することを特徴とする請求項5に記載のシステムである。
請求項7に記載の発明は、前記トラブルに関する情報は設備の異常に関する情報であり、前記メンテナンスの情報は交換するパーツの情報であることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項に記載のシステムである。
請求項8に記載の発明は、1または複数のプロセッサに実現させるプログラムであって、トラブルに関する情報と、当該トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを取得する機能と、前記トラブルに関する情報を入力、前記メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成する機能と、新たな前記トラブルに関する情報と、新たな当該トラブルに対して出力した前記メンテナンスの情報とに基づいて前記学習モデルを再学習する機能と、前記学習モデルの再学習の際に前記メンテナンスの情報に対し重みづけを行う機能とを有するプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、8の発明によれば、実施したメンテナンスの全てを均等に正解データとして再学習する場合と比較して、不正解のメンテナンスの情報の提示率を低くすることができる。
請求項2の発明によれば、重要度の低いメンテナンス情報の提示率を低くすることができる。
請求項3の発明によれば、提示率が高く重要度の低いメンテナンス情報の提示率を低くすることができる。
請求項4の発明によれば、過去のメンテナンスの結果に基づいて重要度の低いメンテナンス情報の提示率を低くすることができる。
請求項5の発明によれば、過去に提示したメンテナンスの情報によりトラブルが解決したか否かに基づいて重要度の低いメンテナンス情報の提示率を低くすることができる。
請求項6の発明によれば、過去に提示したメンテナンスの情報によりトラブルが解決した割合が高いほどメンテナンス情報の提示率を高くすることができる。
請求項7の発明によれば、設備の異常に対し不正解の交換パーツの情報の提示率を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係るシステムの構成を示す図である。
図2】管理サーバおよびエンジニア端末として用いられるコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施の形態に係る管理サーバの機能構成を示す図である。
図4】本実施の形態に係るエンジニア端末の機能構成を示す図である。
図5】本実施の形態に係るトラブル対応時の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本実施の形態に係る学習モデルの生成の流れを示すフローチャートである。
図7】深層学習モデルの一例を示す図である。
図8】メンテナンスの情報を表示する画面の一例を示す図である。
図9】本実施の形態に係る重みづけの実施例を示す図であり、(A)は過去のトラブルに対して交換パーツが提示された割合が高いほど、交換パーツに対し小さい重みを付与する例を、(B)は過去のトラブルに対して提示された交換パーツとは異なる交換パーツの交換によりトラブルが解決した場合の割合が高いほど、提示された交換パーツに対し小さい重みを付与する例を示す図である。
図10】トラブルに関する情報の入力により交換パーツを出力する学習モデルを説明するための図である。
図11】学習モデルの学習期間の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態について詳細に説明する。
<学習モデル>
まず、本実施の形態に係る学習モデルについて説明する。本実施の形態に係る学習モデルは、トラブルに関する情報の入力によりメンテナンスの情報を出力する。
図10は、トラブルに関する情報の入力により交換パーツを出力する学習モデルを説明するための図である。
図10に示す例においては、学習モデルはトラブルAに関する情報と交換パーツ1、交換パーツ2および交換パーツ3とを紐付けて学習し、トラブルBに関する情報と交換パーツ1および交換パーツ4とを紐付けて学習し、トラブルCに関する情報と交換パーツ1、交換パーツ3および交換パーツ6とを紐付けて学習する。このようにトラブルに関する情報と、交換したパーツとを紐付けて学習することで、トラブルに関する情報の入力により交換パーツを出力する学習モデルが生成される。
【0009】
学習モデルを運用するにあたり、最新のトラブルや交換パーツの情報を反映するために定期的に再学習を実施し学習モデルを更新することが必要となる。
図10に示す例においては、新たに発生したトラブルDに関する情報が入力され、これに対し交換パーツ1と交換パーツ3とが学習モデルにより提示されている。トラブルDに対処するエンジニアは、学習モデルによる交換パーツの提示を受けて交換パーツ1および交換パーツ3を交換し、さらに図10に示す例においては交換パーツ7を交換している。ここで交換パーツ7は学習モデルから提示されておらず、エンジニアの判断により交換されたものである。
学習モデルの更新は、新たに発生したトラブルに関する情報と、トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを紐付けた再学習により実施される。図10に示す例においては、トラブルDに関する情報とトラブルDに対してエンジニアが交換したパーツとを紐付けて学習することにより、学習モデルが更新される。
【0010】
学習モデルの更新について、学習モデルの学習期間を定めることにより古い学習データを反映しない構成としても良い。学習モデルの学習期間について図11を用いて説明する。図11は学習モデルの学習期間の例を示す図である。
図11に示す例においては、1か月ごとに学習モデルが更新され、学習モデルは直近1年分のデータを学習したものが使用される。より詳しくは、1月に使用される学習モデルは、1年前の1月から直近の12月までの1年の間に発生したトラブルと、各トラブルに対して実施された処置内容とを紐付けて学習させることで生成された学習モデルである。学習モデルを1か月ごとに更新して運用する場合、4月に使用される学習モデルは1月から3月までに使用された学習モデルが提示した交換パーツの情報を基にエンジニアが対応した結果を含んだものとなる。
【0011】
ここで、図10に示す例におけるトラブルDへの対応のように、提示された交換パーツ以外のパーツの交換によってトラブルが解決した場合において、交換したパーツの中から本当に必要であったパーツを特定することは難しい。そのため、学習モデルの更新の際には交換されたパーツの全てを正解のデータとして扱う必要がある。これにより、誤った交換パーツを正解データとして扱うことによる不正解のノイズが発生し、学習モデルの更新の度に不正解のノイズが増幅し続けてしまうことが起こり得る。
【0012】
不正解のノイズの増幅について、図11に示すように直近1年分のデータを学習して学習モデルを作成し、1か月ごとにモデルを更新する場合を例にとって説明する。例えば1月に使用する学習モデルにおいて、図10に示すトラブルDが発生したとする。この場合2月に使用する学習モデルは、トラブルDに対する正解データとして交換パーツ1、交換パーツ3および交換パーツ7を学習したものとなる。
ここで、交換パーツ1および交換パーツ3がトラブルDの解決に全く寄与していなかった場合には、2月に使用する学習モデルはトラブルDに紐付けて交換パーツ1および交換パーツ3という不正解のパーツを学習したものとなり、不正解のノイズを含む。さらに3月に使用する学習モデルは、1月、2月に使用したモデルが含む不正解のノイズを正解データとして学習したモデルとなり、4月に使用する学習モデルは、1月から3月に使用したモデルが含む不正解のノイズを正解データとして学習したモデルとなる。
【0013】
このように学習モデルに不正解のノイズが含まれていた場合に、不正解のノイズを正解データとして扱うことで学習モデルを更新する度に不正解のノイズが増幅され、次の月のモデルに反映する危険性が高くなってしまう。
そこで、本実施の形態においては、学習モデルの更新の際に正解データに対し重みづけを行う。
【0014】
<システムの構成>
図1は、本実施の形態に係るシステム1の構成を示す図である。
本実施の形態に係るシステム1は、管理サーバ10と、エンジニア端末20とを備える。管理サーバ10とエンジニア端末20とは、ネットワーク30を介して接続されている。
【0015】
管理サーバ10は、トラブルに関する情報およびそのトラブルに対して実施されたメンテナンスの情報に関する履歴情報等を管理するサーバである。トラブルに関する情報とは例えば設備の異常に関する情報であり、メンテナンスの情報とはトラブルに対してどのようなメンテナンスが実施されたのかを示す情報である。例えばプリンターの故障への対応としてパーツ交換をした場合には、プリンターの故障内容に関する情報がトラブルに関する情報であり、交換したパーツの情報がメンテナンスの情報となる。
また、管理サーバ10は、トラブルに関する情報とそのトラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを紐付けて学習し、トラブルに関する情報を入力、メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成する。そして、生成した学習モデルを、新たなトラブルに関する情報と、新たなトラブルに対して出力したメンテナンスの情報とに基づいて再学習する際に、メンテナンスの情報に対し重みづけを行う。
管理サーバ10は、例えば、コンピュータにより実現される。管理サーバ10は、単一のコンピュータにより構成しても良いし、複数のコンピュータによる分散処理により実現しても良い。
【0016】
エンジニア端末20は、エンジニアがトラブルに関する情報を入力し、またエンジニアに対してメンテナンスの情報を出力する情報処理装置である。エンジニア端末20は、ネットワーク30を介して管理サーバ10に接続する。
エンジニア端末20は、例えば、コンピュータ、タブレット型情報端末、その他の情報処理装置により実現される。
【0017】
ネットワーク30は、管理サーバ10とエンジニア端末20との間の通信を担う情報通信ネットワークである。ネットワーク30は、データの送受信が可能であれば、その種類は特に限定されず、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等として良い。データ通信に用いられる通信回線は、有線であっても無線であっても良い。また、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続する構成としても良い。
【0018】
<コンピュータのハードウェア構成>
図2は、管理サーバ10およびエンジニア端末20として用いられるコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。コンピュータ100は、プロセッサ101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103とを備える。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、RAM103を作業エリアに使用し、ROM102から読み出したプログラムを実行する。また、コンピュータ100は、ネットワークに接続するための通信インターフェイス104と、ディスプレイに表示出力を行うための表示機構105とを備える。また、コンピュータ100は、コンピュータ100の操作者による入力操作が行われる入力デバイス106を備える。なお、図2に示すコンピュータ100の構成は一例にすぎず、本実施形態で用いられるコンピュータは図2の構成例に限定されるものではない。
なお、本実施の形態にて実行される各種処理は、1または複数のプロセッサによって実行される。
【0019】
<管理サーバの機能構成>
次に、管理サーバ10の機能構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る管理サーバ10の機能構成を示す図である。
図3に示すように、管理サーバ10は、発生したトラブルに関する情報を取得するトラブル情報取得部11と、トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報を取得するメンテナンス情報取得部12と、取得したトラブルに関する情報およびメンテナンスの情報の履歴を記憶する履歴情報記憶部13とを備える。また管理サーバ10は、トラブルに関する情報とそのトラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを紐付けて学習し、トラブルに関する情報を入力、メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成する学習部14を備える。さらに管理サーバ10は、取得したトラブルに関する情報に対応するメンテナンスの情報を予測するメンテナンス情報予測部15と、予測したメンテナンスの情報を出力するメンテナンス情報出力部16と、学習モデルの再学習時に出力したメンテナンスの情報に対し付与する重みを決定する重み決定部17とを備える。
【0020】
図3に示した管理サーバ10が図2に示すコンピュータ100により実現される場合、トラブル情報取得部11、メンテナンス情報取得部12、メンテナンス情報出力部16の各機能は、例えば、通信インターフェイス104により実現される。履歴情報記憶部13は、例えば、ROM102により実現される。学習部14、メンテナンス情報予測部15、重み決定部17の各機能は、例えば、プロセッサ101がプログラムを実行することにより実現される。
【0021】
<エンジニア端末の機能構成>
図4は、本実施の形態に係るエンジニア端末20の機能構成を示す図である。図4に示すように、エンジニア端末20は、発生したトラブルに関する情報を取得するトラブル情報取得部21と、トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報を取得するメンテナンス情報取得部22と、取得したトラブルに関する情報およびメンテナンスの情報を管理サーバ10に送信する送信部23と、学習モデルから取得したメンテナンスの情報を表示する表示部24とを備える。
【0022】
図4に示したエンジニア端末20が図2に示すコンピュータ100により実現される場合、トラブル情報取得部21、メンテナンス情報取得部22、送信部23は、例えば、通信インターフェイス104により実現される。表示部24は、例えば、表示機構105により実現される。
【0023】
<トラブル対応時の処理>
次に、トラブル対応時の処理の流れについて図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係るトラブル対応時の処理の流れを示すフローチャートである。
図5にて、まず、トラブルが発生すると、エンジニア端末20のトラブル情報取得部21が発生したトラブルに関する情報を取得する(ステップS201)。トラブル情報取得部21は、例えば入力デバイス106により実現される入力画面からエンジニアが入力したトラブルに関する情報を取得する。トラブル情報取得部21により取得されたトラブルに関する情報は、エンジニア端末20の送信部23により管理サーバ10に対して送信され(ステップS202)、管理サーバ10のトラブル情報取得部11により取得される(ステップS203)。トラブル情報取得部11が取得したトラブルに関する情報は管理サーバ10の履歴情報記憶部13に記憶される(ステップS204)。
【0024】
続いて、管理サーバ10のメンテナンス情報予測部15が、学習モデルに基づいて、メンテナンスの情報を予測する(ステップS205)。そして管理サーバ10のメンテナンス情報出力部が、メンテナンス情報予測部15により予測されたメンテナンスの情報を出力する(ステップS206)。ステップS205において用いられる学習モデルの生成および学習時の処理について、詳細は後述する。
【0025】
続いて、エンジニア端末20のメンテナンス情報取得部22が、学習モデルにより出力されたメンテナンスの情報を取得し(ステップS207)、メンテナンス情報取得部22により取得されたメンテナンスの情報がエンジニア端末20の表示部24に表示される(ステップS208)。メンテナンスの情報の表示形式について、詳細は後述する。
エンジニアはエンジニア端末20の表示部24に表示されたメンテナンスの情報に基づいてトラブルに対処する。
【0026】
<学習モデルの生成>
次に、学習モデルの生成について図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る学習モデルの生成の流れを示すフローチャートである。
学習部14は、履歴情報記憶部13に記憶されたトラブルに関する情報とそのトラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを紐付けて学習し、トラブルに関する情報からメンテナンスの情報を予測し提示する学習モデルを生成する。
【0027】
図6にて、まず、エンジニア端末20のトラブル情報取得部21が発生したトラブルに関する情報を取得する(ステップS301)。トラブル情報取得部21により取得されたトラブルに関する情報はエンジニア端末20の送信部23により管理サーバ10に対して送信され(ステップS302)、管理サーバ10のトラブル情報取得部11により取得される(ステップS303)。トラブル情報取得部11が取得したトラブルに関する情報は管理サーバ10の履歴情報記憶部13に記憶される(ステップS304)。
【0028】
続いて、発生したトラブルに対してエンジニアが実施したメンテナンスの情報をエンジニア端末20のメンテナンス情報取得部22が取得する(ステップS305)。メンテナンス情報取得部22は、例えば入力デバイス106により実現される入力画面からエンジニアが入力したメンテナンスの情報を取得する。メンテナンス情報取得部22により取得されたメンテナンスの情報はエンジニア端末20の送信部23により管理サーバ10に対して送信され(ステップS306)、管理サーバ10のメンテナンス情報取得部12により取得される(ステップS307)。メンテナンス情報取得部12が取得したメンテナンスの情報は管理サーバ10の履歴情報記憶部13に記憶される(ステップS308)。
【0029】
続いて、管理サーバ10の学習部14が、履歴情報記憶部13に記憶されたトラブルに関する情報とそのトラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを紐付けて学習する(ステップS309)。そして、学習部14はトラブルに関する情報を入力、メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成または更新する(ステップS310)。学習モデルの更新について、詳細は後述する。
【0030】
<学習部の処理>
次に、学習部14による、図6のステップS309、ステップS310における処理の一例について説明する。
学習部14は、トラブルに関する情報とそのトラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを紐付けて学習し、トラブルに関する情報を入力、メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成する。学習部14の機能は例えばコンピュータ100のプロセッサ101が機械学習プログラムを実行することにより実現される。
【0031】
機械学習プログラムは、トラブルに関する情報を入力、メンテナンスの情報を出力とする関係を機械学習するプログラムである。
機械学習プログラムは、教師データとしてトラブルに関する情報とそのトラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とが与えられると、この教師データに基づいて、例えば深層学習モデルを構成する各階層の変数を調整する。そして、入力としてトラブルに関する情報が与えられると、トラブルに対するメンテナンスの情報が出力されるように学習を進める。
【0032】
図7は、深層学習モデルの一例を示す図である。図7においては、深層学習モデルの一例として、畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolutional Neural Network)を例示している。
【0033】
畳み込みニューラルネットワークは入力層、出力層、そしてその間にある多くの隠れ層で構成される。隠れ層の代表的な例である畳み込み層は、トラブルに関する情報の特徴を抽出し、続いてプーリング層が抽出された特徴の平均や最大値を抽出する。畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み層とプーリング層とで構成される単位構造を多段階に接続した多層構造を有し、これらの作業が繰り返し行われ、層毎に異なる特徴を識別して学習が進められる。
【0034】
学習モデルは、例えば候補として保持している複数のメンテナンスの情報が正解である確率をそれぞれ算出しており、そのうち予め定められた閾値以上のものを出力し、または確率の高いものを上位から予め定められた個数出力する。
図7に示す例では、トラブルに関する情報の入力に対し、候補として保持しているメンテナンスの情報のうちから1つまたは複数のメンテナンスの情報が出力される。
<表示形式>
【0035】
次に、図5のステップS208における表示形式について、図8を参照して説明する。図8はメンテナンスの情報を表示する画面の一例を示す図である。
エンジニア端末20の表示部24は、メンテナンスの情報を表示する際に、メンテナンスの情報を表示する。また、表示部24は、メンテナンスの情報とともに、提示したメンテナンスを実施したか、および提示したメンテナンスの実施によりトラブルが解決したかについてエンジニアの入力を受け付ける画面を表示しても良い。
【0036】
図8に示すように、エンジニア端末20の表示部24は、トラブル名401、メンテナンス内容402を表示する。また、表示部24は、実施有無403、解決404を表示し、エンジニアの入力を受け付ける。さらに、表示部24は、追加ボタン406、登録ボタン407を表示する。
図8において、エンジニア端末20の表示部24は、トラブル名401にトラブルAを表示している。また、表示部24は、トラブルAに対するメンテナンス内容402にメンテナンス1、メンテナンス2、メンテナンス3を表示している。さらに、表示部24は、実施有無403、解決404にチェックボックス405を表示し、エンジニアに対して各メンテナンスを実施したか、および提示したメンテナンスの実施によりトラブルが解決したかについて入力を受け付ける。
【0037】
エンジニアは、チェックボックス405にチェックを付ける形式で入力を行う。図8に示す例では、エンジニアはメンテナンス1、メンテナンス2、メンテナンス3全てのメンテナンスを実施している。また、トラブルAはメンテナンス1、メンテナンス2の実施によっては解決せず、メンテナンス3の実施によりトラブルAが解決したことを示す。
提示されたメンテナンスの実施ではトラブルが解決せず、エンジニアが自身の判断で他のメンテナンスを実施した場合、エンジニアは追加ボタン406から実施したメンテナンスの情報を追加することができる。エンジニアが登録ボタン407を押すことで入力が完了する。
【0038】
<学習モデルの更新>
学習モデルの運用において、最新のトラブルや交換パーツの情報を反映するために定期的に再学習を実施し学習モデルを更新することが必要となる。学習モデルの更新の際には、管理サーバ10は新たなトラブルに関する情報およびそのトラブルに対して実施されたメンテナンスの情報を取得し、学習モデルに再学習させることで学習モデルの更新を行う。
新たなトラブルが発生した際に、エンジニアは図7に示すようにトラブルに関する情報をエンジニア端末20のトラブル情報取得部21に入力し、エンジニア端末20の表示部24に表示されたメンテナンスの情報に基づいてトラブルに対処する。そしてエンジニアは実施したメンテナンスの情報をエンジニア端末20のメンテナンス情報取得部22に入力する。
【0039】
本実施の形態において、管理サーバ10は学習モデルの更新時に、エンジニアが実施したメンテナンスの情報を全て正解データとして扱い再学習を行う。しかしながら、例えば学習モデルが提示したメンテナンスの情報以外のメンテナンスの実施によりトラブルが解決した場合には、学習モデルが提示したメンテナンスの情報は不正解のノイズでありうる。
そこで、本実施の形態において、管理サーバ10は学習モデルの更新時に正解データに対して重みづけを行うことで、学習モデルの不正解のノイズの増幅を抑制する。重みづけは、メンテナンスの情報に紐付けられた正解ラベルに対して行われる。正解データについて再学習を行う際に、重みづけがされない場合には正解ラベルを1とし、重みづけを行う場合には正解ラベルの値を下げて再学習を行う。
【0040】
本実施の形態に係る学習モデルは、例えば候補として保持しているメンテナンスの情報が正解である確率を算出しており、学習モデルの更新により深層学習モデルを構成する各階層の変数が変動し、正解である確率が変動していく。再学習の際に正解データに重みづけをすることで、小さい重みが付与されたメンテナンスの情報の正解である確率が下がり、提示される確率が低くなる。これにより、学習モデルの不正解のノイズの増幅を抑制することができる。
【0041】
本実施の形態に係る重みづけの実施例について図9を用いて説明する。図9は本実施の形態に係る重みづけの実施例を示す図である。図9では、トラブルに対するメンテナンスの情報として交換パーツが提示される場合における例を示す。
【0042】
<再学習時の重みづけの実施例1>
再学習時の重みづけの実施例1において、管理サーバ10の重み決定部17は、過去のトラブルに対してメンテナンスの情報が提示された事実に基づいて、提示されたメンテナンスの情報に対し重みづけを行う。
【0043】
例えば、重み決定部17は過去のトラブルに対してメンテナンスの情報が提示された割合が高いほど、提示されたメンテナンスの情報に対し小さい重みを付与する。
学習モデルはトラブルの内容を解析して対応するメンテナンスの情報を予測し提示するが、過去に提示された割合が高く実施率の高いメンテナンスの情報は、不正解の場合にも提示されることが起こり得る。そのため、過去のトラブルに対して提示された割合が高いメンテナンスの情報が提示された場合は、どのようなトラブルであるかに関わらず提示されている可能性が高く、小さい重みを付与する。
【0044】
一方で過去のトラブルに対して提示された割合の低いメンテナンスの情報が提示された場合は、珍しいトラブルに対して提示された正解の情報である可能性が高いため、提示率の高いメンテナンスの情報よりも重みを大きくするように設計する。
なお、重みの付与の形式はこの例に限られず、例えば過去のトラブルに対してメンテナンスの情報が予め定められた回数以上提示されていれば小さい重みを付与する、というように割合によらずに重みを付与しても良い。
【0045】
重みづけの一例について図9(A)を用いて説明する。図9(A)は、過去のトラブルに対して交換パーツが提示された割合が高いほど、交換パーツに対し小さい重みを付与する例を示す図である。
図9(A)に示す例において、トラブルの発生時に学習モデルにより提示されたパーツは、それがトラブルに対する正解のパーツであるか否かに関わらず、過去のトラブルに対して提示された提示率に基づいて、交換パーツの正解ラベルに対して重みづけがなされる。
【0046】
図9(A)は、交換パーツ501、モデル提示502、提示率503、正解ラベル504を示す。交換パーツ501は発生したトラブルへの対応として交換されたパーツを示す。モデル提示502は、交換パーツがモデルから提示されたか否かを示す。提示率503は、交換パーツ501がモデルから提示されたものである場合に、過去のトラブルに対して提示された提示率を示す。正解ラベル504は、交換パーツ501を正解データとして学習モデルに学習させる際に交換パーツ501に紐づいた正解ラベルに対して付与される重みを示す。
【0047】
図9(A)に示す例において、管理サーバ10の重み決定部17は、提示された交換パーツ501に対して、過去のトラブルに対する交換パーツ501の提示率503が1%未満の場合には0.8に、1%以上10%未満の場合には0.5に、10%以上の場合には0.1にそれぞれ重みづけする。また、モデルから提示されていない交換パーツ501は、エンジニアの判断で交換された正解のパーツであると考えられるため、重みづけはなされず正解ラベル504は1となる。
【0048】
例えばパーツ1はメンテナンスの情報としてモデルから提示されていないため、重みづけはなされず正解ラベル504は1である。パーツ2はモデルから提示されており、過去のトラブルに対する提示率503が20%のため、正解ラベル504は0.1に重みづけされる。パーツ3はモデルから提示されており、過去のトラブルに対する提示率503が1%のため、正解ラベル504は0.5に重みづけされる。
なお、図9(A)に示す重みづけの方法は重みづけの一例であり、この形式に限定されるものではない。
【0049】
<再学習時の重みづけの実施例2>
再学習時の重みづけの実施例2において、管理サーバ10の重み決定部17は、過去のトラブルに対して提示されたメンテナンスの情報に基づき実施された結果に基づいて、提示されたメンテナンスの情報に対し重みづけを行う。
過去のトラブルに対して提示されたメンテナンスの情報に基づき実施された結果として二つの場合がある。一つが提示されたメンテナンスの情報によりトラブルが解決する場合、もう一つが提示されたメンテナンスの情報によってはトラブルが解決せず、エンジニアの判断で実施された他のメンテナンスによりトラブルが解決する場合である。管理サーバ10の重み決定部17は、例えば、これら二つの場合の割合に応じて提示されたメンテナンスの情報に対し重みづけを行う。
【0050】
例えば、重み決定部17は過去のトラブルに対して提示されたメンテナンスの情報とは異なるメンテナンスの実施によりトラブルが解決した場合の割合が高いほど、提示されたメンテナンスの情報に対し小さい重みを付与する。
提示されたメンテナンスの情報とは異なるメンテナンスの実施によりトラブルが解決した場合、提示されたメンテナンスの情報が不正解の情報であったと断定することはできない。しかしながら提示されたメンテナンスの情報によってはトラブルが解決しなかったことから、提示されたメンテナンスの情報は正解の情報である可能性が低い。そのため、このように提示されていないメンテナンスの実施によりトラブルが解決する場合の割合が高いほど、提示されたメンテナンスの情報に対し小さい重みを付与する。
【0051】
重みづけの一例について図9(B)を用いて説明する。図9(B)は、過去のトラブルに対して提示された交換パーツとは異なる交換パーツの交換によりトラブルが解決した場合の割合が高いほど、提示された交換パーツに対し小さい重みを付与する例を示す図である。
図9(B)において、過去のトラブルに対して提示されたメンテナンスの情報によりトラブルが解決した場合をAケース、過去のトラブルに対して提示されたメンテナンスの情報によってはトラブルが解決せず、エンジニアの判断で実施された他のメンテナンスによりトラブルが解決した場合をBケースとする。例えば、「パーツ1のAケース数が100である」とは、過去のトラブルにおいて学習モデルが交換パーツ1を提示し、交換パーツ1の交換によりそのトラブルが解決した場合が100回あったということである。
【0052】
図9(B)は、交換パーツ505、モデル提示506、Aケース数507、Bケース数508、Aケース率509、正解ラベル510を示す。交換パーツ505は発生したトラブルへの対応として交換されたパーツを示す。モデル提示506は、交換パーツがモデルから提示されたか否かを示す。Aケース数507は、交換パーツ501がモデルから提示されたものである場合に、過去のトラブルにおけるAケース数を示す。Bケース数508は、交換パーツ505がモデルから提示されたものである場合に、過去のトラブルにおけるBケース数を示す。Aケース率509は、交換パーツ505がモデルから提示されたものである場合に、過去のトラブルにおけるAケース率を示す。正解ラベル510は、交換パーツ501を正解データとして学習モデルに学習させる際に交換パーツ505に紐づいた正解ラベルに対して付与される重みを示す。
【0053】
図9(B)に示す例において、管理サーバ10の重み決定部17は、交換パーツ505が提示された過去のトラブル全体におけるAケースとBケースの割合に基づいて重みづけする。重み決定部17は、Aケース率509が10%未満の場合には0.8に、10%以上50%未満の場合には0.5に、50%以上の場合には0.1にそれぞれ重みづけする。また、モデルから提示されていない交換パーツ505は、エンジニアの判断で交換された正解のパーツであると考えられるため、重みづけはなされず正解ラベル510は1となる。
【0054】
例えばパーツ1はメンテナンスの情報としてモデルから提示されていないため、重みづけはなされず正解ラベル510は1である。パーツ2はモデルから提示されており、Aケース率509が20%のため、正解ラベル510は0.5に重みづけされる。パーツ3はモデルから提示されており、Aケース率509が75%のため、正解ラベル510は0.5に重みづけされる。
なお、図9(B)に示す重みづけの方法は重みづけの一例であり、この形式に限定されるものではない。
【0055】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施の形態に種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記においてエンジニアがトラブルに対応する例を用いて説明したが、この形式に限定されるものではない。ユーザが家庭等で発生したトラブルについてトラブルの内容を入力したものに対して対応指示を与える、という形式としても良い。
【0056】
(付記)
(((1)))
1または複数のプロセッサを備え、
前記1または複数のプロセッサは、
トラブルに関する情報と、当該トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを取得し、
前記トラブルに関する情報を入力、前記メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成し、
新たな前記トラブルに関する情報と、新たな当該トラブルに対して出力した前記メンテナンスの情報とに基づいて前記学習モデルを再学習し、
前記学習モデルの再学習の際に前記メンテナンスの情報に対し重みづけを行う
ことを特徴とするシステム。
(((2)))
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して前記メンテナンスの情報が提示された事実に基づいて、当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行う
ことを特徴とする(((1)))に記載のシステム。
(((3)))
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して前記メンテナンスの情報が提示された割合が高いほど、当該メンテナンスの情報に対し小さい重みを付与する
ことを特徴とする(((2)))に記載のシステム。
(((4)))
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報に基づき実施された結果に基づいて当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行う
ことを特徴とする(((1)))に記載のシステム。
(((5)))
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報に基づき実施された当該メンテナンスにより当該トラブルが解決した場合、および提示された当該メンテナンスの情報とは異なるメンテナンスの実施により当該トラブルが解決した場合の状況により提示された当該メンテナンスの情報に対し重みづけを行う
ことを特徴とする(((4)))に記載のシステム。
(((6)))
前記1または複数のプロセッサは、
過去の前記トラブルに対して提示された前記メンテナンスの情報とは異なるメンテナンスの実施により当該トラブルが解決した場合の割合が高いほど、提示された当該メンテナンスの情報に対し小さい重みを付与する
ことを特徴とする(((5)))に記載のシステム。
(((7)))
前記トラブルに関する情報は設備の異常に関する情報であり、前記メンテナンスの情報は交換するパーツの情報である
ことを特徴とする(((1)))乃至(((6)))何れか1項に記載のシステム。
(((8)))
1または複数のプロセッサに実現させるプログラムであって、
トラブルに関する情報と、当該トラブルに対して実施されたメンテナンスの情報とを取得する機能と、
前記トラブルに関する情報を入力、前記メンテナンスの情報を出力とする学習モデルを生成する機能と、
新たな前記トラブルに関する情報と、新たな当該トラブルに対して出力した前記メンテナンスの情報とに基づいて前記学習モデルを再学習する機能と、
前記学習モデルの再学習の際に前記メンテナンスの情報に対し重みづけを行う機能と
を有するプログラム。
【0057】
(((1)))、(((8)))の発明によれば、実施したメンテナンスの全てを均等に正解データとして再学習する場合と比較して、不正解のメンテナンスの情報の提示率を低くすることができる。
(((2)))の発明によれば、重要度の低いメンテナンス情報の提示率を低くすることができる。
(((3)))の発明によれば、提示率が高く重要度の低いメンテナンス情報の提示率を低くすることができる。
(((4)))の発明によれば、過去のメンテナンスの結果に基づいて重要度の低いメンテナンス情報の提示率を低くすることができる。
(((5)))の発明によれば、過去に提示したメンテナンスの情報によりトラブルが解決したか否かに基づいて重要度の低いメンテナンス情報の提示率を低くすることができる。
(((6)))の発明によれば、過去に提示したメンテナンスの情報によりトラブルが解決した割合が高いほどメンテナンス情報の提示率を高くすることができる。
(((7)))の発明によれば、設備の異常に対し不正解の交換パーツの情報の提示率を低くすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…システム、10…管理サーバ、20…エンジニア端末、30…ネットワーク、100…コンピュータ
図1
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