(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080414
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】栓体
(51)【国際特許分類】
B65D 53/02 20060101AFI20240606BHJP
B65D 43/06 20060101ALI20240606BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B65D53/02
B65D43/06 100
A47J41/02 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193586
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】水流 猛志
【テーマコード(参考)】
3E084
4B002
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB03
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB02
3E084FC07
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB04
3E084HC03
3E084HD04
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
4B002AA02
4B002BA13
4B002CA01
4B002CA24
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、従来の栓体に比べて組立部品の数を少なくすることができる栓体を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る栓体100は、上方に開口する容器10に装着される栓体であって、前記容器の開口に嵌め込まれる栓本体120と、前記栓本体の下側に取り付けられるシール部材取付部材130と、前記シール部材取付部材に取り付けられるシール部材PKと、を備え、前記シール部材は、前記容器と前記栓本体との間をシールする第1シール部PK4、および、前記栓本体と前記シール部材取付部材との間をシールする第2シール部PK1,PK2,PK3,PK5,PK6を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する容器に装着される栓体であって、
前記容器の開口に嵌め込まれる栓本体と、
前記栓本体の下側に取り付けられるシール部材取付部材と、
前記シール部材取付部材に取り付けられるシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記容器と前記栓本体との間をシールする第1シール部、および、前記栓本体と前記シール部材取付部材との間をシールする第2シール部を有する
栓体。
【請求項2】
前記シール部材は、前記シール部材取付部材に嵌合して取り付けられ、
前記シール部材取付部材は、前記栓本体と共に前記シール部材の前記第2シール部を挟み込むように前記栓本体に取り付けられる
請求項1に記載の栓体。
【請求項3】
側面視において前記シール部材のうち前記第1シール部だけが露出する
請求項2に記載の栓体。
【請求項4】
前記栓本体は、被係止部を有し、
前記シール部材取付部材は、前記被係止部に係止された状態において前記被係止部の下側から前記被係止部を越えて前記被係止部の上側に位置する係止部を有し、
前記係止部には、前記被係止部を越えるまでに前記被係止部と接触する傾斜面が形成されている
請求項2または3に記載の栓体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栓体に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「上部に開口部が設けられた容器本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備え、前記蓋体は、前記容器本体の外周部に着脱自在に取り付けられる外蓋と、前記外蓋の内側に位置して、前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、前記中栓の外周部に位置して、前記容器本体と前記中栓との間を密閉するシール部材と、前記中栓の下面部に位置して、前記容器本体内の圧力を調整する圧力調整部とを有し、前記圧力調整部は、前記容器本体の内側と連通される脱気孔が設けられた弾性部材と、前記脱気孔の一端側と当接された状態で前記脱気孔を閉塞する当接部とを有することを特徴とする蓋付き容器。」が提案されている(例えば、特開2019-077476号公報等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような蓋付き容器の蓋体(栓体)では、中栓の第1の栓体の下側に取り付けられる中栓の第2の栓体に、第1のシール部材および第2のシール部材が取り付けられる。そして、第1のシール部材は、蓋付き容器と中栓の第1の栓体との間をシールし、第2のシール部材は、中栓の第1の栓体と中栓の第2の栓体との間をシールする。しかし、上述のような蓋付き容器の蓋体では、4つの組立部品(すなわち、中栓の第1の栓体、中栓の第2の栓体、第1のシール部材および第2のシール部材)を組立てる必要がある。このような組立現場では、組立作業をできるだけシンプルにするために組立部品の数を少なくしてほしいとの声が上がっている。
【0005】
本発明の課題は、従来の栓体に比べて組立部品の数を少なくすることができる栓体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る栓体は、
上方に開口する容器に装着される栓体であって、
前記容器の開口に嵌め込まれる栓本体と、
前記栓本体の下側に取り付けられるシール部材取付部材と、
前記シール部材取付部材に取り付けられるシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記容器と前記栓本体との間をシールする第1シール部、および、前記栓本体と前記シール部材取付部材との間をシールする第2シール部を有する。
【0007】
上記構成によれば、シール部材取付部材に取り付けられる1つのシール部材だけで、容器と栓本体との間、および、栓本体とシール部材取付部材との間をシールすることができる。このため、この栓体では、従来の栓体に比べて組立部品点数を少なくすることができる。
【0008】
本発明では、
前記シール部材は、前記シール部材取付部材に嵌合して取り付けられ、
前記シール部材取付部材は、前記栓本体と共に前記シール部材の前記第2シール部を挟み込むように前記栓本体に取り付けられると好適である。
【0009】
上記構成によれば、使用者に対して、シール部材をシール部材取付部材から簡単に取り外せないようにすることができる。このため、この栓体では、シール部材をシール部材取付部材から簡単に取り外せるためにシール部材を紛失してしまうおそれを低減することができる。
【0010】
本発明では、
側面視において前記シール部材のうち前記第1シール部だけが露出すると好適である。
【0011】
上記構成によれば、シール部材におけるお手入れ(例えば、洗って汚れを落とすこと等)が必要な部分を第1シール部だけにすることができる。このため、この栓体では、シール部材のお手入れの手間をできるだけ省くことができる。
【0012】
本発明では、
前記栓本体は、被係止部を有し、
前記シール部材取付部材は、前記被係止部に係止された状態において前記被係止部の下側から前記被係止部を越えて前記被係止部の上側に位置する係止部を有し、
前記係止部には、前記被係止部を越えるまでに前記被係止部と接触する傾斜面が形成されていると好適である。
【0013】
上記構成によれば、被係止部を傾斜面に接触させて傾斜面を滑らせることで、係止部が被係止部の下側から被係止部を越えて被係止部の上側に位置することをできるだけ容易にすることができると共に、一度係止部が被係止部に係止されると係止状態が簡単に解除されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る飲料容器を真空二重容器の筒軸を含む面で切ったときの断面図である。
【
図2】
図1に示される真空二重容器の上端部および栓体の拡大図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る栓体の下方分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る環状パッキン取付部材の上側フランジ部の外径および自然状態である環状パッキンの側壁部の内径の寸法関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の実施形態に係る飲料容器の構成>
本発明の実施形態に係る飲料容器1は、
図1および
図2に示されるように、主に、真空二重容器10および栓体100から構成されている。なお、この飲料容器1は、栓体100が真空二重容器10に装着されることによって組み立てられている。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0016】
1.真空二重容器
真空二重容器10は、ステンレス鋼等の金属製の容器であって、
図1および
図2に示されるように、上方に開口しており、主に、有底の内筒11および有底の外筒12から形成されている。具体的には、内筒11と外筒12との間に断熱空間が形成されるように内筒11の内筒側壁部11Aの上端部と外筒12の外筒側壁部12Aの上端部とが接合された後、断熱空間が真空状態とされることにより真空二重容器10が形成される。なお、真空二重容器10の筒軸AXは、平面視における内筒11の内筒側壁部11Aの中心(または外筒12の外筒側壁部12Aの中心)から上下方向に延びる仮想線である(
図1および
図2参照)。
【0017】
内筒11は、
図1および
図2に示されるように、主に、内筒側壁部11A、内筒底壁部11Bおよび雌ネジ部11C等から形成されている。内筒側壁部11Aは、略円筒形状を呈している(
図1および
図2参照)。内筒底壁部11Bは、
図1に示されるように、内筒側壁部11Aの下端から内方(真空二重容器10の筒軸AX側)に延びており、中央部が上側に向かって略半球状に盛り上がっている。雌ネジ部11Cは、
図1および
図2に示されるように、内筒側壁部11Aの上端部の内周面に形成されている。この雌ネジ部11Cは、栓体100が真空二重容器10に装着される時に、栓体100の栓本体120の雄ネジ部123と螺合することができる(
図1および
図2参照)。
【0018】
外筒12は、
図1および
図2に示されるように、主に、外筒側壁部12Aおよび外筒底壁部12B等から形成されている。外筒側壁部12Aは、略円筒形状を呈している(
図1および
図2参照)。
図1および
図2に示されるように、栓体100が真空二重容器10に装着されている時、外筒側壁部12Aの上端部の周囲には栓体100の蓋体110の側壁部111が位置する。外筒底壁部12Bは、略円盤形状を呈しており、
図1に示されるように、外筒側壁部12Aの下端部に接合されている。
【0019】
2.栓体
栓体100は、
図1~
図3に示されるように、主に、蓋体110、栓本体120、環状パッキン取付部材130および環状パッキンPK等から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0020】
(1)蓋体
蓋体110は、樹脂等から形成されており、
図1~
図3に示されるように、栓本体120の上側に配設されており、主に、側壁部111および天壁部112等から形成されている。側壁部111は、
図2および
図3に示されるように、略円筒形状を呈している。天壁部112は、略円盤形状を呈しており、
図2および
図3に示されるように、側壁部111の上端から内方に延びている。
【0021】
(2)栓本体
栓本体120は、樹脂等から形成されており、
図2および
図3に示されるように、主に、側壁部121、底壁部122および雄ネジ部123等から形成されている。なお、栓本体120は、
図1および
図2に示されるように、栓体100が真空二重容器10に装着される時に、真空二重容器10の開口(言い換えれば、内筒11の内筒側壁部11Aの内側)に嵌め込まれる。側壁部121は、
図2および
図3に示されるように、略円筒形状を呈している。なお、側壁部121の上端が、超音波溶着等によって蓋体110の天壁部112の下面に接合されることで、栓本体120および蓋体110が一体化される。底壁部122は、
図2および
図3に示されるように、略円盤形状を呈しており、側壁部121の下部から内方に延びている。なお、
図2および
図3に示されるように、底壁部122の中央部には、上側に凹んだ凹部122aが形成されている。また、
図2および
図3に示されるように、底壁部122のうち凹部122aの周囲には、環状パッキン取付部材130の延設壁部135および係止部136が挿通される挿通口122bが円周上に等間隔に6つ形成されている。また、
図2に示されるように、底壁部122のうち挿通口122bの縁部には、上方に向かうに従って内方に傾斜する下側傾斜面122c、および、上方に向かうに従って外方に傾斜する上側傾斜面122dが形成されている。雄ネジ部123は、
図2および
図3に示されるように、側壁部121の下端部から上下方向中央部までの外周面に形成されている。この雄ネジ部123は、栓体100が真空二重容器10に装着される時に、真空二重容器10の内筒11の雌ネジ部11Cと螺合することができる(
図1および
図2参照)。
【0022】
(3)環状パッキン取付部材
環状パッキン取付部材130は、環状パッキンPKを取り付けるための部材であって、樹脂等から形成されており、
図2~
図4に示されるように、主に、側壁部131、天壁部132、上側フランジ部133、下側フランジ部134、延設壁部135および係止部136等から形成されている。側壁部131は、
図2~
図4に示されるように、略円筒形状を呈している。天壁部132は、
図2~
図4に示されるように、略円盤形状を呈しており、側壁部131の上端から内方に延びている。上側フランジ部133は、
図2~
図4に示されるように、側壁部131の上端から外方に延びている。下側フランジ部134は、
図2~
図4に示されるように、側壁部131の下端から外方に延びている。なお、
図2および
図4に示されるように、下側フランジ部134の外周面134aは、下方に向かうに従って外方に傾斜している。延設壁部135は、側壁部131の上端のうち円周上に等間隔な6箇所から上方に延びている(
図2~
図4参照)。延設壁部135は、環状パッキン取付部材130が栓本体120の下側に取り付けられる際に、栓本体120の底壁部122の挿通口122bに挿通される。係止部136は、
図2~
図4に示されるように、延設壁部135の上端に形成されている。
図2に示されるように、係止部136が栓本体120の底壁部122に係止されることで、環状パッキン取付部材130が栓本体120の下側に取り付けられる。なお、
図2および
図4に示されるように、係止部136には、下方に向かうに従って外方に傾斜する上側傾斜面136a、および、下方に向かうに従って内方に傾斜する下側傾斜面136bが形成されている。
【0023】
(4)環状パッキン
環状パッキンPKは、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、
図2~
図4に示されるように、主に、側壁部PK1、上側環状壁部PK2、下側環状壁部PK3、下側シール部PK4、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6等から形成されている。側壁部PK1は、略円筒形状を呈している(
図2および
図4参照)。なお、
図2および
図4に示されるように、側壁部PK1の下端部(下側環状壁部PK3より下側の部分)の内周面PK1aは、下方に向かうに従って外方に傾斜している。上側環状壁部PK2は、
図2~
図4に示されるように、側壁部PK1の上端から内方に延びており、略円環形状を呈している。下側環状壁部PK3は、
図2~
図4に示されるように、側壁部PK1の上下方向中央部から内方に延びており、略円環形状を呈している。なお、下側環状壁部PK3は、
図2および
図4に示されるように、上側環状壁部PK2よりも内方に延びている。下側シール部PK4は、
図2~
図4に示されるように、側壁部PK1の下端から外方に延びた後に環状パッキンPKの筒軸側(すなわち、平面視における環状パッキンPKの中心から上下方向に延びる仮想線側)に斜め下方向に延びており、略円環形状を呈している。なお、下側シール部PK4は、
図2に示されるように、栓体100が真空二重容器10に装着されている時に、真空二重容器10の内筒11の内筒側壁部11Aと栓本体120との間をシールする役割を果たす。上側環状突起部PK5は、
図2~
図4に示されるように、側壁部PK1の上端部の外周面側に形成されており、略円環形状を呈している。なお、上側環状突起部PK5の内端から外端までの長さは、
図2に示されるように、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6が変形して外端が下方を向いている時に下側環状突起部PK6に上側環状突起部PK5が接触しないように調整される。下側環状突起部PK6は、
図2~
図4に示されるように、側壁部PK1の上下方向中央部の外周面側に形成されており、略円環形状を呈している。なお、下側環状突起部PK6の内端から外端までの長さは、
図2に示されるように、下側環状突起部PK6が変形して外端が下方を向いている時に側壁部PK1のうち外方に僅かに延びている部分に下側環状突起部PK6が接触しないように調整される。
【0024】
ここで、栓本体120、環状パッキン取付部材130および環状パッキンPKの組立方法について説明する。まず、環状パッキンPKが環状パッキン取付部材130に取り付けられる。より詳細には、環状パッキンPKの下側環状壁部PK3が、環状パッキン取付部材130の側壁部131、上側フランジ部133および下側フランジ部134によって形成される凹部に嵌め込まれ、環状パッキン取付部材130の上側フランジ部133が、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2および下側環状壁部PK3によって形成される凹部に嵌め込まれるようにして、環状パッキンPKが、環状パッキン取付部材130に嵌合して取り付けられる(
図2参照)。このとき、下側フランジ部134の外周面134aは、環状パッキンPKの側壁部PK1の下端部の内周面PK1aに接触した状態となる(
図2参照)。次に、環状パッキンPKが取り付けられた環状パッキン取付部材130が、栓本体120の下側に取り付けられる。より詳細には、環状パッキン取付部材130の延設壁部135および係止部136が、栓本体120の底壁部122の挿通口122bに下側から上側に向かって挿通される。これにより、環状パッキン取付部材130の係止部136が栓本体120の底壁部122の下側に位置すると共に環状パッキン取付部材130の係止部136の上側傾斜面136aが栓本体120の底壁部122の下側傾斜面122cに接触する状態が、環状パッキン取付部材130の係止部136が栓本体120の底壁部122を超えて栓本体120の底壁部122の上側に位置すると共に環状パッキン取付部材130の係止部136の下側傾斜面136bが栓本体120の底壁部122の上側傾斜面122dに接触した状態(
図2参照)になる。なお、環状パッキン取付部材130の係止部136が栓本体120の底壁部122を超えるまで、栓本体120の底壁部122の下側傾斜面122cは、環状パッキン取付部材130の係止部136の上側傾斜面136aに接触して環状パッキン取付部材130の係止部136の上側傾斜面136aを滑ることになる。最終的に、環状パッキン取付部材130の係止部136が栓本体120の底壁部122に係止された状態となり、環状パッキン取付部材130が栓本体120の下側に取り付けられる。また、環状パッキンPKが取り付けられた環状パッキン取付部材130が、栓本体120の下側に取り付けられる時、環状パッキンPKの上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6が、外端が下方を向くように変形する(
図2参照)。以上のように栓本体120、環状パッキン取付部材130および環状パッキンPKが組立てられると、
図2に示されるように、環状パッキンPKのうち下側シール部PK4だけが側面視において露出するように、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2、下側環状壁部PK3、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6が、栓本体120と環状パッキン取付部材130とに挟み込まれることになる。このとき、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2、下側環状壁部PK3、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6が、栓本体120と環状パッキン取付部材130との間をシールする役割を果たす。
【0025】
なお、
図4に示されるように、環状パッキンPKが環状パッキン取付部材130に取り付けられる前においては、環状パッキン取付部材130の上側フランジ部133の外径L1は、自然状態(環状パッキンPKが伸縮していない状態)の環状パッキンPKの側壁部PK1の内径L2よりも大きい。しかし、環状パッキンPKは弾性材料から形成されているため、環状パッキンPKを引っ張って伸ばした状態にすることで、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2および下側環状壁部PK3によって形成される凹部に環状パッキン取付部材130の上側フランジ部133を嵌め込むようにして環状パッキンPKを環状パッキン取付部材130に取り付けることができる。そして、環状パッキンPKは、環状パッキン取付部材130に取り付けられた後においては自然状態に戻ろうとするため、環状パッキン取付部材130の上側フランジ部133の外径L1が自然状態の環状パッキンPKの側壁部PK1の内径L2と同じである場合に比べて、環状パッキンPKと環状パッキン取付部材130とが接する部分におけるシール性を高めることができる。
【0026】
なお、栓本体120、環状パッキン取付部材130および環状パッキンPKが一度組立てられると、係止部136が栓本体120の底壁部122に係止された状態を簡単には解除することができなくなる(例えば、一方の手で栓本体120を掴み、もう一方の手で環状パッキン取付部材130を掴んで引っ張る程度では、係止状態を解除することができなくなる。)。係止部136が栓本体120の底壁部122に係止された状態を解除するためには、例えば、環状パッキンPKが破損することにはなるが、栓本体120の側壁部121の下端部と環状パッキン取付部材130の下側フランジ部134との間にマイナスドライバーを差し込み、環状パッキン取付部材130の側壁部131、上側フランジ部133および下側フランジ部134によって形成される凹部内にマイナスドライバーの先端部を到達させた上で、てこの原理を利用すること等が考えられる。この栓体100では、係止部136が栓本体120の底壁部122に係止された状態を簡単ではないが解除することができるので、栓体100の各構成部品を材料別に分別して廃棄またはリサイクルすることができる。
【0027】
<本発明の実施形態に係る栓体の特徴>
(1)
本発明の実施形態にかかる栓体100では、環状パッキンPKの下側シール部PK4は、真空二重容器10の内筒11の内筒側壁部11Aと栓本体120との間をシールし、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2、下側環状壁部PK3、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6は、栓本体120と環状パッキン取付部材130との間をシールする。このため、この栓体100では、1つの環状パッキンPKだけで、真空二重容器10の内筒11の内筒側壁部11Aと栓本体120との間、および、栓本体120と環状パッキン取付部材130との間をシールすることができる。したがって、この栓体100では、2つのシール部材を用いる従来の栓体に比べて組立部品点数を少なくすることができる。
【0028】
(2)
本発明の実施形態にかかる栓体100では、環状パッキンPKの下側環状壁部PK3が、環状パッキン取付部材130の側壁部131、上側フランジ部133および下側フランジ部134によって形成される凹部に嵌め込まれ、環状パッキン取付部材130の上側フランジ部133が、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2および下側環状壁部PK3によって形成される凹部に嵌め込まれるようにして、環状パッキンPKが、環状パッキン取付部材130に嵌合して取り付けられる。また、環状パッキンPKが取り付けられた環状パッキン取付部材130が、栓本体120の下側に取り付けられると、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2、下側環状壁部PK3、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6は、栓本体120と環状パッキン取付部材130とに挟み込まれる。このため、この栓体100では、使用者に対して、環状パッキンPKを環状パッキン取付部材130から簡単に取り外せないようにすることができる。したがって、この栓体100では、環状パッキンPKを環状パッキン取付部材130から簡単に取り外せるために環状パッキンPKを紛失してしまうおそれを低減することができる。
【0029】
(3)
本発明の実施形態にかかる栓体100では、栓本体120、環状パッキン取付部材130および環状パッキンPKが組立てられると、環状パッキンPKについては下側シール部PK4だけが側面視において露出する。このため、この栓体100では、環状パッキンPKにおけるお手入れ(例えば、洗って汚れを落とすこと等)が必要な部分を下側シール部PK4だけにすることができる。したがって、この栓体100では、環状パッキンPKのお手入れの手間をできるだけ省くことができる。
【0030】
(4)
本発明の実施形態にかかる栓体100では、環状パッキン取付部材130の係止部136は、栓本体120の底壁部122に係止された状態において、栓本体120の底壁部122の下側から栓本体120の底壁部122を超えて栓本体120の底壁部122の上側に位置する。また、環状パッキン取付部材130の係止部136には、栓本体120の底壁部122を超えるまでに栓本体120の底壁部122の下側傾斜面122cと接触する上側傾斜面136aが形成されている。このため、この栓体100では、栓本体120の底壁部122の下側傾斜面122cが環状パッキン取付部材130の係止部136の上側傾斜面136aを滑ることで、環状パッキン取付部材130の係止部136が栓本体120の底壁部122の下側から栓本体120の底壁部122を越えて栓本体120の底壁部122の上側に位置することをできるだけ容易にすることができると共に、環状パッキン取付部材130の係止部136が栓本体120の底壁部122に一度係止されると係止状態が簡単に解除されることを防止することができる。
【0031】
<変形例>
(A)
先の実施形態に係る栓体100では、環状パッキンPKが取り付けられた環状パッキン取付部材130が、栓本体120の下側に取り付けられると、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2、下側環状壁部PK3、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6は、栓本体120と環状パッキン取付部材130とに挟み込まれていた。しかし、環状パッキンPKが取り付けられた環状パッキン取付部材130が、栓本体120の下側に取り付けられても、環状パッキンPKの側壁部PK1、上側環状壁部PK2、下側環状壁部PK3、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6の全部が、栓本体120と環状パッキン取付部材130とに挟み込まれなくてもよい。
【0032】
(B)
先の実施形態に係る栓体100では、栓本体120、環状パッキン取付部材130および環状パッキンPKが組立てられると、環状パッキンPKについては下側シール部PK4だけが側面視において露出していた。しかし、環状パッキンPKのうち下側シール部PK4以外の部分も側面視において露出してもよい。
【0033】
(C)
先の実施形態に係る栓体100では、環状パッキン取付部材130の係止部136が、栓本体120の底壁部122の下側から栓本体120の底壁部122を超えて栓本体120の底壁部122の上側に位置して栓本体120の底壁部122に係止されることで、環状パッキン取付部材130が栓本体120の下側に取り付けられていた。しかし、環状パッキン取付部材130を栓本体120の下側に取り付ける方法はこれに限られない。例えば、ネジ止めによって、環状パッキン取付部材130が栓本体120の下側に取り付けられてもよい。また、先の実施形態に係る栓体100では、下方に向かうに従って外方に傾斜する上側傾斜面136aが、環状パッキン取付部材130の係止部136に形成されていた。しかし、上側傾斜面136aは、環状パッキン取付部材130の係止部136に形成されなくてもよい。
【0034】
(D)
先の実施形態に係る栓体100では、上方に向かうに従って内方に傾斜する下側傾斜面122c、および、上方に向かうに従って外方に傾斜する上側傾斜面122dが、栓本体120の底壁部122に形成されていた。しかし、下側傾斜面122cおよび上側傾斜面122dは、栓本体120の底壁部122に形成されなくてもよいし、下側傾斜面122cおよび上側傾斜面122dのいずれか一方が、栓本体120の底壁部122に形成されてもよい。また、先の実施形態に係る栓体100では、下方に向かうに従って内方に傾斜する下側傾斜面136bが、環状パッキン取付部材130の係止部136に形成されていた。しかし、下側傾斜面136bは、環状パッキン取付部材130の係止部136に形成されなくてもよい。
【0035】
(E)
先の実施形態に係る栓体100では、環状パッキン取付部材130の下側フランジ部134の外周面134aは、下方に向かうに従って外方に傾斜し、環状パッキンPKの側壁部PK1の下端部の内周面PK1aは、下方に向かうに従って外方に傾斜していた。しかし、環状パッキン取付部材130の下側フランジ部134の外周面134aおよび環状パッキンPKの側壁部PK1の下端部の内周面PK1aは、傾斜しなくてもよい(言い換えれば、上下方向に沿っていればよい。)。
【0036】
(F)
先の実施形態に係る栓体100では、栓本体120の底壁部122には挿通口122bが円周上に等間隔に6つ形成されていた。しかし、挿通口122bの数は6つに限定されず、1~5個であってもよいし、7個以上であってもよい。挿通口122bの数が1個である場合、挿通口122bは、例えば、栓本体120の底壁部122のうち凹部122aの周囲において全周に亘って形成される。また、挿通口122bは、栓本体120の底壁部122において円周上に形成されなくてもよいし等間隔に形成されなくてもよい。なお、環状パッキン取付部材130が栓本体120の下側に取り付けられる際に環状パッキン取付部材130の延設壁部135が挿通口122bを通ることができるように、挿通口122bの数や位置に応じて、環状パッキン取付部材130の延設壁部135の数や位置も調整されるとよい。
【0037】
(G)
先の実施形態に係る栓体100では、栓体100に蓋体110が構成されていたが、栓体100に蓋体110が構成されなくてもよい。
【0038】
(H)
先の実施形態に係る栓体100では、環状パッキンPKの下側環状壁部PK3は、環状パッキンPKの上側環状壁部PK2よりも内方に延びていた。しかし、環状パッキンPKの上側環状壁部PK2が、環状パッキンPKの下側環状壁部PK3よりも内方に延びてもよい。また、環状パッキンPKの下側環状壁部PK3の内端から真空二重容器10の筒軸AXまでの距離と、環状パッキンPKの上側環状壁部PK2の内端から真空二重容器10の筒軸AXまでの距離とが同じになってもよい。
【0039】
(I)
先の実施形態に係る栓体100では、上側環状突起部PK5の内端から外端までの長さは、上側環状突起部PK5および下側環状突起部PK6が変形して外端が下方を向いている時に下側環状突起部PK6に上側環状突起部PK5が接触しないように調整されていた。しかし、環状パッキンPKの上側環状突起部PK5の内端から外端までの長さは、その時に下側環状突起部PK6に上側環状突起部PK5が接触するように調整されてもよい。また、先の実施形態に係る栓体100では、下側環状突起部PK6の内端から外端までの長さは、下側環状突起部PK6が変形して外端が下方を向いている時に側壁部PK1のうち外方に僅かに延びている部分に下側環状突起部PK6が接触しないように調整されていた。しかし、下側環状突起部PK6の内端から外端までの長さは、その時に側壁部PK1のうち外方に僅かに延びている部分に下側環状突起部PK6が接触するように調整されてもよい。
【0040】
なお、上記変形例は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 真空二重容器(容器)
100 栓体
120 栓本体
122 底壁部(被係止部)
130 環状パッキン取付部材(シール部材取付部材)
136 係止部
136a 上側傾斜面(傾斜面)
PK 環状パッキン(シール部材)
PK1 側壁部(第2シール部)
PK2 上側環状壁部(第2シール部)
PK3 下側環状壁部(第2シール部)
PK4 下側シール部(第1シール部)
PK5 上側環状突起部(第2シール部)
PK6 下側環状突起部(第2シール部)