(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080428
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】移載装置および移載システム
(51)【国際特許分類】
B65G 7/04 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
B65G7/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193609
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】前田 尚義
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和正
(57)【要約】
【課題】物品を移載する際の作業性を向上できる移載装置を提供する。
【解決手段】載置面19に載置された物品11を、載置面19上の一側から他側へ向けた方向に移動させて移載する移載装置23である。移載装置23は、本体31、主車輪32、係合部33および補助車輪34を備える。本体31は、アーム部38、およびアーム部38を支える脚部37を有する。主車輪32は、脚部37に配設される。係合部33は、アーム部38の先端側に配設され、載置面19上の物品11の一側に係合する。補助車輪34は、アーム部38の先端側に配設される。主車輪32を支点とした本体31の揺動によって係合部33が係合する物品11の一側を載置面19から持ち上げて補助車輪34が載置面19に載った状態で、補助車輪34が載置面19上を走行可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置された物品を、前記載置面上の一側から他側へ向けた方向に移動させて移載する移載装置であって、
アーム部、およびこのアーム部を支える脚部を有する本体と、
前記脚部に配設された主車輪と、
前記アーム部の先端側に配設され、前記載置面上の前記物品の一側に係合する係合部と、
前記アーム部の先端側に配設された補助車輪とを備え、
前記主車輪を支点とした前記本体の揺動によって前記係合部が係合する前記物品の一側を前記載置面から持ち上げて前記補助車輪が前記載置面に載った状態で、前記補助車輪が前記載置面上を走行可能とする
ことを特徴とする移載装置。
【請求項2】
載置面に載置された物品を、前記載置面上の一側から他側へ向けた方向に移動させて移載する移載装置であって、
アーム部、およびこのアーム部を支える脚部を有する本体と、
前記脚部に配設された主車輪と、
前記アーム部の先端側に配設され、前記載置面上の前記物品の一側に係合する係合部と、
前記アーム部の先端側に配設された補助車輪とを備え、
前記係合部および前記補助車輪は、前記主車輪を支点とした前記本体の揺動によって前記主車輪よりも上方に位置し、
前記脚部は、前記主車輪が配設される主車輪配設部と、前記アーム部に接続される接続部と、前記主車輪配設部と前記接続部との間で前記主車輪配設部および前記接続部よりも前記アーム部の先端側の方向とは反対の方向に屈曲する屈曲部とを有し、前記主車輪配設部と前記接続部と前記屈曲部との間が前記アーム部の先端側の方向へ向けて開口されている
ことを特徴とする移載装置。
【請求項3】
前記主車輪と前記補助車輪によって自立するとともに自立状態で走行可能とする
ことを特徴とする請求項1記載の移載装置。
【請求項4】
前記補助車輪は、前記主車輪よりも小径である
ことを特徴とする請求項1記載の移載装置。
【請求項5】
台車の載置面に載置された物品を、前記載置面上の一側から他側へ向けた方向に移動させて移載する移載システムであって、
前記台車が配置される台車配置部と、
前記台車配置部に配置された前記台車の前記載置面上の前記物品の他側が載る乗移り部材と、
請求項1ないし4いずれか一記載の移載装置とを備え、
前記移載装置の前記主車輪を支点とした前記本体の揺動によって前記係合部が係合する前記物品の一側を前記載置面から持ち上げて前記補助車輪が前記載置面に載った状態で、前記乗移り部材と前記補助車輪で前記物品を支持して前記台車の前記載置面から上方に離反させるとともに、前記補助車輪が前記載置面上を走行可能とする
ことを特徴とする移載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を移載する移載装置および移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されているように、台車上に載置された物品を一側から他側へ向けてプッシャーによって押動してコンベヤに移載する移載システムが知られている。
【0003】
このような移載システムを備えない場所では、作業者により、台車上の物品を引っ張り込んだり押し込んだりして台車上から移載場所に移載することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、作業者により物品の移載を行う場合や、物品が重量物であったり、複数段に積み重ねられた物品を一括して移載を行う場合などには、台車上で物品を移動させるのに強い力が必要となり、作業性に問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、物品を移載する際の作業性を向上できる移載装置および移載システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、載置面に載置された物品を、前記載置面上の一側から他側へ向けた方向に移動させて移載する移載装置であって、アーム部、およびこのアーム部を支える脚部を有する本体と、前記脚部に配設された主車輪と、前記アーム部の先端側に配設され、前記載置面上の前記物品の一側に係合する係合部と、前記アーム部の先端側に配設された補助車輪とを備え、前記主車輪を支点とした前記本体の揺動によって前記係合部が係合する前記物品の一側を前記載置面から持ち上げて前記補助車輪が前記載置面に載った状態で、前記補助車輪が前記載置面上を走行可能とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品を移載する際の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す移載装置を用いた移載システムを示し、(a)は側面図、(b)は拡大側面図である。
【
図5】同上移載装置の前面側から見た側面図である。
【
図6】同上移載装置の背面側から見た側面図である。
【
図7】同上移載装置を示し、(a)はアーム部の前端側を拡大した側面図、(b)は
図7(a)のA矢視図である。
【
図8】同上移載システムの移載動作を示す側面図である。
【
図11】
図10の移載動作における載置面への補助車輪の乗り上げ動作の例を示し、(a)は一例を示す側面図、(b)は他の例を示す側面図である。
【
図13】本発明の第2の実施の形態を示す移載装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態を、
図1ないし
図12を参照して説明する。
【0011】
図1ないし
図3に移載システム10を示す。移載システム10では、物品11が積載された台車12上から、物品11を移載先の被移載部であるコンベヤ13上に移載する。
【0012】
物品11は、例えば、折り畳まれたコンテナなどであり、台車12の長手方向に複数個の物品11が並んで載置されるとともに各物品11上に複数段に積み重ねられている。なお、物品11は、段ボール箱などの立方体や直方体の形状のものであってもよい。
【0013】
台車12は、走行面である床面14上を走行可能な例えば6輪型のカートラックなどであり、長尺状の荷台部15と、この荷台部15の下面四隅に配設された旋回キャスター16と、荷台部15の下面の長手方向の中央で長手方向に交差する短手方向である幅方向の両側に配設され、旋回キャスター16よりも大径の固定キャスター17と、荷台部15の長手方向の両端部から立設された棚枠18とを備えている。旋回キャスター16は、荷台部15に旋回可能に取り付けられ、床面14上を走行可能する。固定キャスター17は、荷台部15に固定で取り付けられている。台車12は、これら6つのキャスター16,17により、床面14上を走行可能とする。なお、固定キャスター17がない4輪型のカートラックでもよい。また、対向配置された両棚枠18の間を通って物品11を出し入れできるように荷台部15上の幅方向の両側は解放されている。
【0014】
台車12の荷台部15の上面には、物品11が載置される平面状の載置面19が形成されている。載置面19は、床面14よりも上方にあり、載置面19の長手方向には複数個であって例えば3個の物品11が並んで載置される。載置面19に載置される物品11の幅方向における寸法は載置面19の幅方向の寸法よりも広く、この載置面19の幅方向の両側から物品11の両側が突出された状態で載置される(
図8参照)。
【0015】
コンベヤ13は、例えばローラコンベヤなどであり、複数の搬送ローラ上に物品11を載せて搬送する。複数の搬送ローラの上面側が、物品11を移載する移載先の被移載面として構成されている。この被移載面は、幅方向の一側に配置された台車12の載置面19よりも低い位置に配設されている。コンベヤ13上で、台車12が配置される一側に対して反対の他側に、台車12から移載さる物品11がコンベヤ13の他側に倒れたり位置ずれするのを防止してコンベヤ13上に受け取るための受取部材20が配設されている。受取部材20の物品11を受取る面は、物品11への衝撃を緩和するように緩衝性を有していることが好ましい。
【0016】
そして、移載システム10は、コンベヤ13の搬送方向に交差する幅方向の一側に配設される台車配置部21と、コンベヤ13と台車配置部21との間に配設される乗移り部材としての乗移りローラ22と、台車12上の物品11を幅方向の一側から他側へ向けた移載方向に移動させてコンベヤ13に移載するための移載装置23とを備えている。
【0017】
台車配置部21は、床面14に配置され、台車12の長手方向の両端の旋回キャスター16が乗り上がる一対の台部25と、コンベヤ13側へ幅寄せされる台車12の幅方向他側面の長手方向両端位置を位置決めする一対の第1の位置決め部26と、台車12の長手方向一端面を位置決めする第2の位置決め部27と、コンベヤ13側へ幅寄せされる台車12の長手方向両端面をガイドする一対の位置決めガイド28とを備えている。
【0018】
一対の台部25は、コンベヤ13の幅方向の一側に向けて長尺状に設けられている。この一対の台部25に床面14上を長手方向に走行する台車12の旋回キャスター16が乗り上げることで、固定キャスター17が床面14から浮き上がるため、台車12を旋回キャスター16によって任意の方向に移動可能となり、台車12を一対の位置決めガイド28間に進入させて第1の位置決め部26および第2の位置決め部27に位置決めできる。
【0019】
一対の第1の位置決め部26は、台車配置部21に配置された台車12の載置面19よりも低い位置で台車12が当接可能とし、載置面19上の物品11と干渉することがない。
【0020】
なお、コンベヤ13に対する台車12の停車位置の位置決めは、コンベヤ13の搬送方向に直交する方向に移動させて行う以外に、コンベヤ13の搬送方向に沿って台車12を移動させて位置決めしてもよい。この場合、台部25などは不要で、コンベヤ13の搬送方向に沿って移動するように台車12をガイドするガイド部材が床面14に立設される。
【0021】
乗移りローラ22は、コンベヤ13と台車配置部21との間で、かつ一対の第1の位置決め部26の間に配設されている。乗移りローラ22は、軸方向がコンベヤ13と台車配置部21との間に沿って水平状に配置され、台車12上の物品11がコンベヤ13へ向けて移動する乗移り方向に回転可能とする。乗移りローラ22の上面側は、コンテナ13の搬送ローラの上面側よりも高い位置に配置されるとともに、台車配置部21に配置された台車12の載置面19よりも高い位置に配置される。乗移りローラ22は、台車配置部21に接近した位置であって、台車12が台車配置部21に配置された際に載置面19に載置されている物品11の幅方向の他側下面が乗り上がる位置に配置されている。なお、乗移り部材としては、ローラの他に、例えばポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHMW)などの樹脂部材(低摩擦部材)でもよい。
【0022】
次に、
図4ないし
図7に移載装置23を示す。移載装置23は、台車12上の物品11をコンベヤ13に移載する移載作業に用いられる。移載装置23は、本体31と、第1車輪である主車輪32と、係合部33と、第2車輪である補助車輪34とを備えている。
【0023】
本体31は、例えば、金属製のパイプによって形成されている。本体31は、本体部36と、この本体部36を支える脚部37とを備えている。
【0024】
本体部36は、互いに平行に配置される長尺な一対のアーム部38と、一対のアーム部38の一方の端部側である後端部間を連結する連結部であるハンドル部39とを有している。一対のアーム部38の長手方向の中間部に脚部37が連結されている。一対のアーム部38は、アーム部38の先端側である前端側に脚部37より前方に延びるアーム先端部40と、アーム部38の後端側に脚部37より後方に延びるレバー部41とを備えている。なお、移載装置23においては、アーム先端部40が延びる方向を前、レバー部41が延びる方向を後、これら前後と上下に交差した一対のアーム部38が並ぶ方向を左右として説明する。
【0025】
脚部37は、一対で互いに平行に配置され、一対のアーム部38に例えば溶接などによって固定されている。脚部37は、主車輪32が配設される主車輪配設部42と、アーム部38に接続(固定)される接続部43と、これら主車輪配設部42と接続部43との間で主車輪配設部42および接続部43よりもアーム部38の先端側の方向とは反対の後方向に突出するように屈曲する屈曲部44とを有し、主車輪配設部42と接続部43と屈曲部44との間にアーム部38の先端側の方向である前方向へ向けて開口する開口部45が形成されている。
【0026】
主車輪配設部42は、本体31の左右方向に軸方向を向けて取り付けられた主車輪軸受部46を備えている。この主車輪軸受部46の外側端に主車輪32が回転可能に取り付けられている。
【0027】
屈曲部44は、前部側に主車輪配設部42が配設される下側屈曲部47と、前部側に接続部43が配設される上側屈曲部48と、これら下側屈曲部47の後部側と上側屈曲部48の後部側とを連結する外側屈曲部49とを有し、略コの字形(略Uの字形または略Vの字形などを含む)の屈曲した形状に形成されている。下側屈曲部47と上側屈曲部48とは略平行に配置され、下側屈曲部47と上側屈曲部48と外側屈曲部49との間にアーム部38の先端側の方向である前方向へ向けて開口する開口部45が形成されている。
【0028】
屈曲部44の上側屈曲部48とアーム部38との間に脚連結部50が接続され、この脚連結部50が接続された上側屈曲部48の位置において一対の脚部37間を連結する脚間連結部51が接続されている。そして、例えば、上側屈曲部48と脚連結部50との成す角度は90°、上側屈曲部48および脚連結部50とアーム部38との成す角度はそれぞれ45°となる関係にある。
【0029】
なお、脚部37は、屈曲部44の上側屈曲部48の後部側から脚連結部50に亘って一体に設けられ、上側屈曲部48の前部側を脚連結部50のように別の部材で構成してもよい。
【0030】
アーム先端部40には、所定の角度で上方に向けて曲げられたアーム曲げ部52が設けられている。アーム曲げ部52は、例えば、アーム部38の先端側を脚部37の下側屈曲部47および上側屈曲部48の長手方向に平行な方向に向けて円弧状に曲げられている。アーム先端部40の先端側は、一対のアーム先端部40を連結するように左右方向に軸方向を向けて配置されるアーム連結軸部53(
図5、
図7(b)参照)に溶接などによって固定されている。アーム連結軸部53は、一対のアーム先端部40の外側間の間隔よりも長い長さ寸法の円筒状に形成され、その両端部が一対のアーム先端部40よりも外側方に突出されている。
【0031】
レバー部41の中間部には、後端側が所定の角度で下方に向けて曲げられたレバー曲げ部54が設けられている。レバー部41の後端側には、ハンドル部39が設けられている。ハンドル部39は、主車輪32および補助車輪34が床面14に接地した状態で、主車輪32の回転中心よりも後方に位置されている。
【0032】
また、主車輪32は、各脚部37の下端側の主車輪配設部42に取り付けられている。主車輪32は、主車輪配設部42の主車輪軸受部46の外側端に回転可能に取り付けられ、床面14上を移載装置23の前後方向に走行可能とする。一対の主車輪32の外側間の間隔は、台車配置部21の一対の台部25の内側間の間隔よりも小さく、移載動作の際に、主車輪32が床面14上を走行して一対の台部25間に進退可能とする。
【0033】
また、係合部33は、アーム部38の先端側に取り付けられ、台車12の載置面19の幅方向の一側から突出する物品11の一側の下面側および側面側に係合可能とする。係合部33は、物品11の下面側に係合する下面係合部60と、物品11の側面に係合する側面係合部61とを有する断面略Lの字形で、台車12の載置面19上に長手方向に並ぶ複数個の物品11に一度に係合可能とする長さ寸法に形成されている。下面係合部60の下面側には、アーム連結軸部53の両端に回動可能に取り付けられる一対の連結部材63が取り付けられている。したがって、係合部33は、アーム部38の先端側に対して、アーム連結軸部53を中心として揺動可能とされているものであって、主車輪32を支点として本体31が揺動する軸と平行な軸を中心として揺動可能とされている。
【0034】
また、補助車輪34は、主車輪32よりも小径である。補助車輪34は、係合部33を介してアーム部38の先端側に取り付けられている。補助車輪34は断面略Lの字形の取付部材64の一端側に回転可能に取り付けられ、この取付部材64の他端側が係合部33の下面係合部60の下面に取り付けられている。補助車輪34は、主車輪32の回転軸と平行な回転軸を中心として回転可能とし、床面14上を移載装置23の前後方向に走行可能とする。補助車輪34は、主車輪32とは接地した状態で、補助車輪34と主車輪32とが協働して移載装置23を自立させ、自立状態で走行可能とする。
【0035】
補助車輪34は、一対で、係合部33に取り付けられた一対の連結部材63よりも係合部33の長手方向の外側に配置される。一対の補助車輪34の外側間の間隔は、台車配置部21の一対の台部25の内側間の間隔よりも小さく、移載動作の際に、補助車輪34が床面14上を走行して一対の台部25間に進退可能とする。
【0036】
補助車輪34は、主車輪32を支点とした本体31の揺動によって係合部33が係合する物品11の一側を台車12の載置面19から持ち上げた状態で、台車12の載置面19に載って走行可能とする。なお、補助車輪34が台車12の荷台部15の側面の上側部に当接した後に補助車輪34を斜め上に押し込むようにすることで、補助車輪34を荷台部15の側面上部を滑らせて載置面19に乗り上げるように走行させてもよい。
【0037】
補助車輪34が床面14または台車12の載置面19に載った状態で、アーム部38、およびこのアーム部38の先端側に配設される係合部33、アーム連結軸部53および連結部材63は床面14または台車12の載置面19よりも上方に配置され、補助車輪34が床面14または台車12の載置面19を走行可能とする。
【0038】
次に、台車12に搭載された物品11の移載動作を説明する。
【0039】
物品11を搭載した台車12を台車配置部21に配置する。このとき、
図2の矢印に示すように、台車11を長手方向に走行させて、長手方向の両端の旋回キャスター16を台車配置部21の各台部25に乗り上げさせることにより、
図3に示すように、中央の固定キャスター17を床面14から浮かせた状態とする。これにより、旋回キャスター16によって台車12を任意の方向に移動させることが可能となり、
図2に示すように、一対の位置決めガイド28間に台車12を進入させるとともに、第1の位置決め部26および第2の位置決め部27に台車12の幅方向他側面および長手方向一端面を幅寄せして位置決め配置する。
【0040】
第1の位置決め部26に台車12の幅方向他側面を幅寄せする際には、
図8に示すように、台車12の幅方向他側面から突出する物品11の他側を乗移りローラ22に乗り上げさせる。乗移りローラ22に乗り上げた物品11の他側は、台車12の載置面19から浮き上がる。
【0041】
図8に示すように、移載装置23を台車配置部21の台車12に近付くように前進させる。移載装置23は、主車輪32と補助車輪34によって自立して走行可能とするため、自立状態で待機させておき、自立状態のまま移動させて使用することができる。
【0042】
移載装置23を前進させながら、または停止状態で、主車輪32を支点としてアーム部38の先端側が上昇し、ハンドル部39が下降するように、第1揺動方向であるアーム先端側上昇揺動方向に揺動させる。
【0043】
図9に示すように、移載装置23の前進および揺動により、アーム部38の先端側の係合部33を台車12の幅方向一側面から突出する物品11の一側に係合させる。係合部33は、下面係合部60が物品11の下面側に係合し、側面係合部61が物品11の一側面に係合する。係合部33は、台車12の載置面19上に長手方向に並ぶ複数個の物品11に一度に係合する。
【0044】
係合部33が物品11の一側に係合した移載装置23の揺動状態では、レバー部41のハンドル部39が主車輪32やアーム部38に連結される脚部37の接続部43および脚連結部50よりも後方にあって、レバー部41の後端側の傾斜角度が床面14に対して垂直方向よりも水平方向に近くなり、ハンドル部39に対して上方から力を加えた際にアーム部38の先端側が上昇するように移載装置23を揺動させやすい状態となる。
【0045】
図10に示すように、移載装置23のハンドル部39を押し下げるにより、てこの原理により、主車輪32を支点として、アーム部38の先端側が上昇し、物品11の一側を台車12の載置面19から持ち上げる。このとき、係合部33は物品11との係合状態を維持し、主車輪32が台車配置部21に近付くように床面14上を前方に走行する。係合部33は、アーム部38の先端側に対してアーム連結軸部53を中心として揺動可能とするため、移載装置23が揺動しても、物品11との係合状態を維持する。
【0046】
移載装置23により物品11の一側を台車12の載置面19から持ち上げることにより、物品11を乗移りローラ22と移載装置23とで支持して台車12の載置面19から上方に離反させる。
【0047】
図11(a)に示すように、アーム部38の先端側を上昇させ、補助車輪34が台車12の載置面19よりも上方に移動した状態で、主車輪32を走行させて移載装置23を前方に押し込み、補助車輪34を台車12の載置面19の上方域に移動させ、補助車輪34を台車12の載置面19に載せる。
【0048】
あるいは、
図11(b)に示すように、アーム部38の先端側を上昇させながら、主車輪32を走行させて移載装置23を前方に押し込むことで、補助車輪34を台車12の荷台部15の側面の上側部に当接させた後に荷台部15の側面の上方に移動させて載置面19に載り上げさせる。
【0049】
このようにして、補助車輪34が台車12の載置面19に載ると、補助車輪34により物品11を載置面19上に支持する。したがって、ハンドル部39の押し下げを解除しても、物品11を乗移りローラ22と補助車輪34とで支持することになる。乗移りローラ22と補助車輪34とで支持された物品11は、補助車輪34で支持される一側の支持位置が高く、コンベヤ13の方向に傾くが、補助車輪34が主車輪32よりも小径であるため、台車12の載置面19に載った状態で支持する物品11の傾きが小さくてすみ、物品11が傾いて倒れたり、位置ずれするのが防止される。
【0050】
図1に示すように、移載装置23を前方に押し込むことにより、物品11をコンベヤ13上に押し込む。このとき、物品11の移動に伴って、乗移りローラ22が回転し、補助車輪34が載置面19を走行するため、物品11が重量物の場合でも、移載装置23を押し込む力が軽減される。移載装置23の補助車輪34が載置面19に載ることで、ハンドル部39を押し下げておく必要がなく、移載装置23には押し込み力のみを加えればよい。
【0051】
図12に示すように、移載装置23を前方に押し込んでいくと、主車輪32および屈曲部44の下側屈曲部47が台車12の荷台部15の下方域に進入し、屈曲部44の上側屈曲部48が台車12の荷台部15の上方域に進入するが、屈曲部44の開口部45に荷台部15が相対的に進入することで、脚部37が荷台部15に接触することなく、移載装置23の前方への押し込みが許容される。これにより、アーム部38の先端側が荷台部15の上方域を通り越してコンベヤ13の上方域まで移動し、物品11をコンベヤ13上に確実に押し込むことができる。
図12は、補助車輪34が乗移りローラ22に載り上げる位置まで、移載装置23を押し込んだ状態を示し、この位置から補助車輪34が乗移りローラ22を乗り越える位置まで移載装置23を押し込むことで、物品11をコンベヤ13上に押し込む。
【0052】
コンベヤ13上に押し込まれる物品11の押し込み方向先端側の下面は、乗移りローラ22から外れてコンベヤ13上に載り、コンベヤ13のローラ上を軸方向に摺動する。
【0053】
物品11をコンベヤ13の上方域に押し込んだら、移載装置23の押し込みを止め、反対の後方に引き込む。物品11は、押し込み方向先端側の下面がコンベヤ13上に載り、かつ押し込み方向後端側が移載装置23で支えられているために押し込み方向に傾斜していて重心が押し込み方向先端側に寄っている。そのため、移載装置23を後方に引き込むことで、係合部33が物品11から外れ、物品11がコンベヤ13上に載り移る。このとき、係合部33とともに物品11が後方に移動する場合には、移載装置23の前方への押し込みと後方への引き込みとを繰り返すことで、係合部33を物品11から外すことができる。
【0054】
物品11がコンベヤ13に載り移る際、受取部材20により物品11を受け取り、物品11が倒れたり行き過ぎたりすることなくコンベヤ13上に移載される。
【0055】
そして、台車12の物品11の移載後は、移載装置23を後退させ、アーム部38の先端側の係合部33および補助車輪34が台車12の載置面19上から外れた後、補助車輪34を床面14に接地させて移載装置23を自立させ、次の移載動作に待機させる。
【0056】
さらに、空の台車12を台車配置部21から
図2に示す矢印とは反対方向に移動させる。すなわち、空の台車12は、一対の位置決めガイド28間から退避移動させた後、台車12を長手方向に移動させる。
【0057】
このように、移載装置23では、主車輪32を支点とした本体31の揺動によって係合部33が係合する物品11の一側を台車12の載置面19から持ち上げた状態で、補助車輪34が台車12の載置面19に載って走行可能とするため、移載が完了するまで物品11を持ち上げ続ける必要がなく、物品11の移載に必要な力も軽減され、物品11を移載する際の作業性を向上できる。
【0058】
さらに、移載装置23の脚部37は、主車輪32が配設される主車輪配設部42と、アーム部38に接続される接続部43と、主車輪配設部42と接続部43との間で主車輪配設部42および接続部43よりもアーム部38の先端側の方向とは反対の方向に屈曲する屈曲部44とを有し、主車輪配設部42と接続部43と屈曲部44との間がアーム部38の先端側の方向へ向けて開口されているため、台車12の荷台部15を開口部45に受け入れることで、アーム部38の先端側をコンベヤ13側まで移動させることが可能となり、物品11を台車12からコンベヤ13に確実に移載できる。
【0059】
さらに、移載装置23は、主車輪32と補助車輪34によって自立するとともに自立状態で走行可能とするため、自立状態で待機させたり、自立状態のまま移動させて使用することができ、作業性を向上できる。
【0060】
さらに、補助車輪34は、主車輪32よりも小径であるため、台車12の載置面19に載った状態で支持する物品11の傾きを小さくし、物品11が傾いて倒れたり、位置ずれするのを防止できる。
【0061】
また、移載システム10では、移載装置23の主車輪32を支点とした本体31の揺動によって係合部33が係合する物品11の一側を台車12の載置面19から持ち上げて補助車輪34が載置面19に載った状態で、乗移りローラ22と補助車輪34で物品11を支持して台車12の載置面19から上方に離反させるとともに、補助車輪34が載置面19上を走行可能とするため、移載装置23による物品11の移載に必要な力が軽減され、物品11を移載する際の作業性を向上できる。
【0062】
次に、
図13に第2の実施の形態の移載装置23を示す。
【0063】
移載装置23は、第1の実施の形態に対して脚部37の構成が異なる。脚部37は、直線状に形成され、上端側がアーム部38に固定され、下端側に主車輪32が回転可能に配設されている。脚部37とアーム部38の間は、脚連結部50で連結されている。
【0064】
この移載装置23においても、第1の実施の形態と同様に台車12上の物品11をコンベヤ13に移載することができ、第1の実施の形態に比べて脚部37の構造を簡略化できる。
【0065】
なお、移載装置23は、台車12の載置面19に載置された物品11の移載に限らず、例えば、パレットなどの載置面に載置された物品11の移載や、コンベヤの載置面に載置された物品11の移載などにも適用できる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、種々の構成の組み合わせ、一部の省略、置き換えおよび変更も可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 移載システム
11 物品
12 台車
19 載置面
21 台車配置部
22 乗移り部材としての乗移りローラ
23 移載装置
31 本体
32 主車輪
33 係合部
34 補助車輪
37 脚部
38 アーム部
42 主車輪配設部
43 接続部
44 屈曲部