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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080437
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】接続子及び電子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20240606BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H01L23/48 Q
H01L25/04 C
H01L23/48 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193625
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴司
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 颯人
(57)【要約】
【課題】表面電極と複数個所とを接続する場合でも、部品点数が少なくて済み、かつ、製造が煩雑にならず、かつ、設計自由度を高くすることが可能な接続子を提供する。
【解決手段】一方の端部に形成された電極接続部31と、他方の端部に形成された第1接続部32と、電極接続部31と第1接続部32とを連結する平板状の平坦部33と、平坦部33の一部に平坦部33から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部34とを備えることを特徴とする接続子30。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に形成された電極接続部と、他方の端部に形成された第1接続部と、前記電極接続部と前記第1接続部とを連結する平板状の平坦部と、前記平坦部の一部に前記平坦部から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部とを備えることを特徴とする接続子。
【請求項2】
前記第2接続部は、前記平坦部の外縁部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接続子。
【請求項3】
前記第2接続部は、平坦部をプレスで張り出してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続子。
【請求項4】
前記第2接続部の断面形状は、半円形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の接続子。
【請求項5】
前記第2接続部の断面形状は、前記平坦部側が広い台形形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の接続子。
【請求項6】
前記平坦部の一方面を基準として前記第1接続部の先端までの高さをH1とし、第2接続部の接続面までの高さをH2としたときに、H1>H2を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の接続子。
【請求項7】
前記電極接続部と前記平坦部との間に配置され、前記電極接続部の端部から立ち上がり、立ち上がった頂点から所定の高さ位置まで立ち下がるアーチ状の断面形状を有するアーチ部と、
前記平坦部と前記第1接続部との間に配置され、前記平坦部から立ち下がる立ち下がり部とをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続子。
【請求項8】
電子素子配置部、第1接続配線及び第2接続配線を少なくとも有する基板と、
前記電子素子配置部上に配置され、基板とは反対側の表面に表面電極が形成されている電子素子と
一方の端部に形成され、前記表面電極と接続される電極接続部、他方の端部に形成され、前記第1接続配線と接続される第1接続部、前記電極接続部と前記第1接続部とを連結し、平面的に見て前記第2接続配線と重なる領域を有する平板状の平坦部、及び、平面的に見て前記平坦部と前記第2接続配線とが重なる領域に形成され、前記平坦部から前記基板側に向かって張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部を有する接続子とを備えることを特徴とする電子モジュール。
【請求項9】
前記第2接続配線と前記第2接続部とは導電性接合材を介して接合されていることを特徴とする請求項8に記載の電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続子及び電子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属平板から形成された接続子を用いてチップの表面電極と基板のパターン配線とを接続する電子モジュールが知られている。従来の接続子930(一般的な接続子)は、後述する図6に示すように、一方の端部に形成された電極接続部931と、他方の端部に形成された第1接続部932と、電極接続部931と第1接続部932とを連結する平板状の平坦部933とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、近年、パターン配線とは別に、センシング用の測定器と接続されたセンシング用配線を基板上に設け、チップの表面電極とセンシング用配線とを接続して表面電極に流れる電流を検出すること等が行われている。接続子を用いた電子モジュールにおいて表面電極に流れる電流を検出する方法としては、以下の方法が考えられる。
【0004】
図6は、従来の第1の電子モジュール900及び接続子930を説明するために示す平面図である。図6図8において、符号910は基板を示し、符号911は絶縁性基板を示し、符号912はダイパッドを示し、符号922はゲート電極を示し、符号950はゲート電極用接続子を示し、符号GL1、GL2、GL3はゲート配線を示し、SL2,SL3はセンシング用配線を示し、符号Sは導電性接合材(例えばはんだ)を示し、符号GLPはゲート配線用パッドを示す。
従来の第1の電子モジュール900においては、図6に示すように、一般的な接続子930を用いて電極接続部931とチップ920の表面電極921を接合するとともに、第1接続部932とパターン配線913とを接合することで電極接続部910とパターン配線913とを接続する。それとは別に、パターン配線913とセンシング用配線パッドSLPとが適宜の部材(例えばジャンパ960)で接続され、センシング用配線パッドSLPを介してセンシング用配線SL1と接続されている。これにより、表面電極921から、接続子930、パターン配線913、ジャンパ960及びセンシング用配線パッドSLPを介してセンシング用配線SL1と接続することができ、表面電極に流れる電流を検出することができる。
【0005】
図7は、従来の第2の電子モジュール901を説明するために示す平面図である。従来の第2の電子モジュール901においては、図7に示すように、接続子930とは別の接続子970を用いてチップ920の表面電極921とセンシング用配線パッドSLPと接続され、センシング用配線パッドSLPを介してセンシング用配線SL1と接続されている。これにより、表面電極に流れる電流を検出することができる。
【0006】
図8は、従来の第3の電子モジュール902を説明するために示す平面図である。従来の第3の電子モジュール902において、接続子930aは、図8に示すように、電極接続部931aとは反対側が平坦部933aの途中から2つに分岐しており、分岐した一方の部分(図8の太い部分)が第1接続部932aとなってパターン配線913と接続する。また、分岐した他方の部分(細い部分)が第2接続部934aとなってセンシング用配線パッドSLPと接続されており、センシング用配線パッドSLPを介してセンシング用配線SL1と接続されている。これにより表面電極921に流れる電流を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-133497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の第1の電子モジュール900や従来の第2の電子モジュール901の場合には、ジャンパ960や別の接続子970等の別の部品が必要となり、部品点数が多くなる、という問題がある。また、従来の第3の電子モジュール902の場合には、金型等を用いて複雑な形状の接続子を形成する必要があり、製造が煩雑になる、という問題や、設計変更をする場合などに、接続子の形状に回路設計が制限されたり、金型等を変更して接続子の形状変更をしなければならなくなる等、設計自由度を高くすることが難しい、という問題がある。
【0009】
なお、この問題は、表面電極とセンシング用配線及びパターン配線とを接続する場合のみならず、表面電極と複数個所を接続する接続子、及び接続子を用いる電子モジュール全般にかかわる問題である。
【0010】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、表面電極と複数個所とを接続する場合でも、部品点数が少なくて済み、かつ、製造が煩雑にならず、かつ、設計自由度を高くすることが可能な接続子を提供することを目的とする。また、そのような接続子を用いた電子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の接続子は、一方の端部に形成された電極接続部と、他方の端部に形成された第1接続部と、前記電極接続部と前記第1接続部とを連結する平板状の平坦部と、前記平坦部の一部に前記平坦部から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の電子モジュールは、電子素子配置部、第1接続配線及び第2接続配線を少なくとも有する基板と、前記電子素子配置部上に配置され、基板とは反対側の表面に表面電極が形成されている電子素子と、一方の端部に形成され、前記表面電極と接続される電極接続部と、他方の端部に形成され、前記第1接続配線と接続される第1接続部と、前記電極接続部と前記第1接続部とを連結し、平面的に見て前記第2接続配線と重なる領域を有する平板状の平坦部と、平面的に見て前記平坦部と前記第2接続配線とが重なる領域に形成され、前記平坦部から前記基板側に向かって張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部を有する接続子とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の接続子及び電子モジュールによれば、第1接続部と、平坦部の一部に平坦部から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部とを備えるため、接続子を配置するだけで表面電極と複数個所とを接続することができる。従って、別の接続子やジャンパ等を用いる必要がなく、部品点数が少なくて済む。
【0014】
また、本発明の接続子及び電子モジュールにおいては、第2接続部は、平坦部の一部に平坦部から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有するため、全体の形状は大きく変更することなく、平坦部から一方面側に張り出した凸形状を形成すれば第2接続部を形成することができる(例えば、従来用いていた接続子の平坦部の一部をプレス加工等によって一方面側に張り出させて凸状形状を形成することで第2接続部とすることができる。)。従って、複雑な形状の接続子を製造するための金型を新たに製造しなくてもよく、従来の一般的な接続子を製造するための金型をそのまま活用することができることから、製造が煩雑にならない。また、プレス加工を施す位置を変更して凸状形状を形成する位置を変更することで第2接続部の形成位置を容易に変更することができるため、設計変更をする場合等でも金型変更をしなくても対応でき、設計自由度を高くすることができる。
【0015】
また、本発明の接続子及び電子モジュールによれば、平坦部の一部に平坦部から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部を備えるため、第2接続部を通過する電流の大部分は再び平坦部に戻り、第1接続部に流れることとなる。従って、従来の第3の電子モジュール902の場合と異なり、第2接続部に向かう電流が無駄にならず、第2接続部でセンシングに用いた電流を主電流としても用いることができる。
【0016】
また、本発明の接続子及び電子モジュールによれば、第1接続部と、平坦部の一部に平坦部から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部とを備えるため、製造時において、平坦部の上側から第2接続部を視認することができ、第2接続部を製造時(接続子を載置する工程時)のアライメントマークとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る電子モジュール1を説明するために示す斜視図である。
図2】実施形態に係る電子モジュール1及び接続子30を説明するために示す図である。
図3】第2接続部34がセンシング用配線パッドSLPと接続されていない場合の様子を示す断面図である。
図4】変形例1~3に係る接続子30a,30b,30cを示す断面図である。
図5】変形例4~6に係る接続子30d,30e,30fを示す平面図である。
図6】従来の第1の電子モジュール900を説明するために示す平面図である。
図7】従来の第2の電子モジュール901を説明するために示す平面図である。
図8】従来の第3の電子モジュール902を説明するために示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の接続子及び電子モジュールについて、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
[実施形態]
1.実施形態に係る電子モジュール1の構成
図1は、実施形態に係る電子モジュール1を説明するために示す斜視図である。図2は、実施形態に係る電子モジュール1及び接続子30を説明するために示す図である。図2(a)は電子モジュール1の要部拡大平面図であり、図2(b)は接続子30の断面図である。なお、説明を簡便なものとするために、接続子30において第1接続部32から電極接続部31へ向かう方向(パターン配線13における接続子30と接続されている箇所からチップ20に向かう方向)をy方向(図2における上方向)とし、水平面においてy方向と垂直な方向(図2における右方向)をx方向とする。
【0020】
実施形態に係る電子モジュール1は、図1及び図2に示すように、基板10と、チップ(電子素子)20と、接続子30と、ゲート電極用接続子50とを備える。実施形態に係る電子モジュール1は、三相になっており、基板10上においてx方向に沿って3つのチップ20が並んで配置されている。なお、各チップ20及び各接続子30の特徴は共通しているため、最も-x方向側のチップ20及び接続子30についてのみ説明し、他のチップ及び接続子については説明を省略する。
【0021】
基板10は、絶縁性基板11の表面上に各配線が配置されたものである。基板10としては、プリント基板でもよいし、DCB(Direct Cupper Bonding)基板でもよいし、そのほか適宜の基板を用いることができる。また、リードフレームから形成された部材その他適宜のものを基板として用いることができる。
【0022】
絶縁性基板11上には、ダイパッド(電子素子配置部)12、パターン配線13(第1接続配線)、第1ゲート配線GL1、第1センシング用配線SL1(第2接続配線)、第2ゲート配線GL2、第2センシング用配線SL2、第3ゲート配線GL3、第3センシング用配線SL3、ゲート電極用パッドGLP及びセンシング用配線パッドSLPが形成されている。
【0023】
ダイパッド12は、チップ20を配置するための領域で平面的に見て矩形形状をしている。パターン配線13は、ダイパッド12とは離隔した位置に配置されている。第1ゲート配線GL1、第2ゲート配線GL2及び第3ゲート配線GL3は、各チップのゲート電極に制御信号を送信するための配線である。第1ゲート配線GL1、第2ゲート配線GL2及び第3ゲート配線GL3は、先端にゲート電極用パッドGLPが形成されており、3つのチップのそれぞれのゲート電極とそれぞれゲート電極用接続子50を介して接続されている。第1センシング用配線SL1、第2センシング用配線SL2及び第3センシング用配線SL3は、各チップの表面電極(ソース電極)に流れる電流を検出するための配線である。センシング用配線SL1、SL2,SL3のチップ20側の端部にはセンシング用配線パッドSLPが形成されており、反対側の端部は検出器(図示せず)と接続されている。実施形態1においては、第1ゲート配線GL1、第1センシング用配線SL1、第2ゲート配線GL2、第2センシング用配線SL2、第3ゲート配線GL3及び第3センシング用配線SL3は、チップ20に近い側からこの順で並んで配線されている。
【0024】
センシング用配線パッドSLPは、平面的に見て+x方向の半分以上の領域で接続子30と重なっており、-x方向側の領域は接続子30と重なっていない。従って、樹脂封止をする前の状態においては、センシング用配線パッドSLPの-x方向側が上側から視認できる状態であり、はんだを溶融して第2接続部34とセンシング用配線パッドSLPとを接合する際に、はんだを溶融して形成されるはんだフィレットを確認することができる。
【0025】
チップ20は、ダイパッド12上に導電性接合材(はんだS)を介して配置されている。チップ20の表面側には、中央に形成された表面電極21、及び、角部に形成されたゲート電極22を有し、裏面側には、裏面電極(図示せず)を有する半導体素子である。表面電極21は、接続子30を介してパターン配線13と接続されており、ゲート電極22はゲート電極用接続子50を介して第1ゲート配線GL1と接続されている。チップ20としては、MOSFETやIGBT等の適宜の3端子の半導体素子を用いることができるし、ダイオードやサイリスタ等の3端子以外の半導体素子を用いてもよい。
【0026】
接続子30及びゲート電極用接続子50は、金属製(例えば、アルミニウムや銅)の平板を打ち抜き加工や折り曲げ加工、絞り加工等を施すことによって形成されたものであり、リード、クリップリード等ともよばれる部材である。接続子30は、チップ20の表面電極21とパターン配線13とを接続する。接続子30についての詳細は、後述する。ゲート電極用接続子50は、ゲート電極22とゲート電極用パッドGLPとを接続する。
【0027】
2.実施形態に係る接続子30の構成
実施形態に係る接続子30は、図2に示すように、電極接続部31、第1接続部32、平坦部33、第2接続部34、アーチ部35及び立ち下がり部36を有する。
【0028】
接続子30は、チップ20の表面電極21とパターン配線13との間を電気的に接続するとともに、第2接続部34によって導電性接合材(はんだ)を介してセンシング用配線パッドSLPと接続し、チップ20とパターン配線13との間に流れる電流を検出する。
【0029】
接続子30は、第2接続部34を形成していない一般的な接続子(従来の接続子を製造する金型を用いた接続子。例えば、図6の接続子930を参照)の平坦部の所定の位置をプレスし、下側に張り出させて第2接続部34を形成することにより製造することができる。このようにすることで、従来の接続子を製造する金型を変更する必要がなく、簡便に実施形態1に係る接続子30を製造することができる。
【0030】
電極接続部31は、接続子30の一方の端部に形成されており、導電性接合材(はんだS)を介してチップ20の表面電極21と接合されている。電極接続部31は、表面電極21と対応した略矩形の平板形状をしており、平面的に見て角部が丸くなっている。
【0031】
アーチ部35は、電極接続部31の-y方向の端部と連結されており、当該端部から上方へ立ち上がり、立ち上がった頂点から水平方向に所定の長さで伸び、水平方向に延びた端部で所定の高さ位置まで下方に立ち下がるアーチ状の断面形状を有する。アーチ部35においては、チップ20の-y方向の端部から上方へ急激に立ち上がってアーチ部35の頂点となっており、チップの周辺部(電極接続部31と接合されていない部分)と間隔が長くなっており、チップ20の端部からの沿面距離が長くなるように配置されている。
【0032】
平坦部33は、電極接続部31と第1接続部32とを連結する平板状の部位である。平坦部33は、アーチ部35の-y方向の端部と連結されており、所定の高さで-y方向に延在している。
【0033】
立ち下り部36は、平坦部33の-y方向の端部に連結されており、斜めに立ち下っている。
【0034】
第1接続部32は、接続子30の他方の端部に形成されている。第1接続部32は、立ち下り部36の-y方向の端部に連結されており、パターン配線13と導電性接合材(はんだS)を介して接続されている。
【0035】
第2接続部34は、平坦部33の一部に平坦部33から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する。第2接続部34は、平坦部33をプレスによってチップ側に張り出させた形状を有しており、平坦部33の他方面側には凹部が形成されている。第2接続部34は、平坦部33の外縁部(平坦部の中間位置における-x方向側の側部)に形成されており、平面的に見て平坦部33と第1センシング用配線SL1(センシング用配線パッドSLP)とが重なる領域に形成され、はんだSを介してセンシング用配線パッドSLPと接合されている。第2接続部34は、平面的に見て外縁部から略垂直に内側に延び、内側の端部が丸くなっている形状をしている。
【0036】
平坦部33の一方面を基準として第1接続部の先端までの高さをH1とし、第2接続部の接続面までの高さをH2としたときに、H1>H2を満たす。
【0037】
3.実施形態に係る電子モジュール1の製造方法について
実施形態に係る電子モジュール1は、以下の手順を実施することで製造することができる。すなわち、基板10のダイパッド12上に導電性接合材としてのはんだSを介してチップ20を配置する工程と、チップ20の表面電極21上、基板10上のパターン配線13上、及び、センシング用配線パッドSLP上に、例えばディスペンサではんだSを配置する工程と、表面電極21上にはんだSを介して電極接続部31が位置し、パターン配線13上にはんだSを介して第1接続部32が位置し、センシング用配線パッドSLP上にはんだSを介して第2接続部34が位置するように接続子30を配置する工程と、リフローによって基板10とチップ20との間、チップ20と接続子30との間、及び、基板10と接続子30との間を接合する工程と、樹脂(図示せず)で樹脂封止する工程とを含む。
【0038】
なお、はんだSを配置する工程においては、表面電極21上、パターン配線13上、及び、センシング用配線パッドSLP上のはんだSの厚さは、ほぼ一定である。後の接続子を配置する工程において、接続子30の重みによって電極接続部31上及びパターン配線13上のはんだSが広がり、はんだSの厚みが薄くなっているが、接続子30の重量の大部分は電極接続部31及び第1接続部32にかかっており、第2接続部34上のはんだSにはあまり重量がかかっていないため、はんだSが重みで薄くなり難く、比較的厚い状態で第2接続部34と接合されている。
【0039】
また、樹脂封止する工程において、接続子30は、表面電極21上、パターン配線13上、及び、センシング用配線パッドSLP上の3点ではんだSを介して接合されているため、溶融された樹脂を流して樹脂封止する際に、接続子30を安定して固定することができる。
【0040】
4.実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1の効果
実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、第1接続部32と、平坦部33の一部に平坦部33から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部34とを備えるため、接続子30を配置するだけで表面電極と複数個所とを接続することができる。従って、別の接続子やジャンパ等を用いる必要がなく、部品点数が少なくて済む。
【0041】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、第2接続部34は、平坦部33の一部に平坦部33から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する。このため、全体の形状を大きく変更することなく、平坦部33から一方面側に張り出した凸形状を形成すれば第2接続部を形成することができる(例えば、従来用いていた接続子の平坦部の一部をプレス加工等によって一方面側に張り出させて凸状形状を形成することで第2接続部とすることができる。)。従って、複雑な形状の接続子を製造するための金型を新たに製造しなくてもよく、従来の一般的な接続子を製造するための金型をそのまま活用することができることから、製造が煩雑にならない。また、プレス加工を施す位置を変更して凸状形状を形成する位置を変更することで第2接続部の形成位置を容易に変更することができるため、設計変更をする場合等でも金型変更をしなくても対応でき、設計自由度を高くすることができる。
【0042】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、平坦部33の一部に平坦部33から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部34を備えるため、第2接続部34を通過する電流の大部分は再び平坦部33に戻り、第1接続部32に流れることとなる。従って、従来の第3の電子モジュール902の場合と異なり、第2接続部34に向かう電流が無駄にならず、第2接続部34でセンシングに用いた電流を主電流としても用いることができる。
【0043】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、平坦部33の一部に平坦部33から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部34を備えるため、製造時において、平坦部33の上側から第2接続部34を上方から視認することができ、第2接続部34を製造時(接続子を載置する工程など)のアライメントマークとして使用することができる。
【0044】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、第2接続部34は、平坦部33の外縁部に形成されているため、製造過程において、はんだSをリフローする際に、接続子30の上方からはんだフィレットの形状やはんだSの濡れ具合を確かめることができる。
【0045】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、第2接続部34は、平坦部33をプレスによって張り出させてなるため、一般的な接続子にプレス加工を施すことによって、簡便に実施形態に係る接続子30を製造することができる。
【0046】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、第2接続部34の断面形状は、半円形状を有するため、センシング用配線パッドSLP上のはんだSとの接触しやすく、はんだSの這い上がりによって第2接続部34とはんだSとの接触面積を高くすることができる。その結果、第2接続部34とセンシング用配線SLと確実に接合することができる。
【0047】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、平坦部33の一方面を基準として第1接続部32の先端までの高さをH1とし、第2接続部34の接続面までの高さをH2としたときに、H1>H2を満たすため、接続子30を基板10及びチップ20上に配置する際に、第2接続部34が邪魔にならなくて済む。また、電極接続部31及び第1接続部32で接続子30を支えることができ、第2接続部34が浮いた状態となっているので、センシング用配線パッドSLP上にはんだSを配置することで、表面電極21とセンシング用配線SLとを接続することができる。また、センシング用配線パッドSLP上にはんだSを配置しない場合には、表面電極21とセンシング用配線SL1とを接続しない状態とすることができる(図3参照)。従って、接続子30の構成を変更することなく、センシング用配線パッドSLP上にはんだSを配置するかしないかによって第2接続部34とセンシング用配線SL1と接続するか否かを選択することができる。
【0048】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、電極接続部31と平坦部33との間に配置され、電極接続部31の端部から立ち上がり、立ち上がった頂点から所定の高さ位置まで立ち下がるアーチ状の断面形状を有するアーチ部35と、平坦部33と第1接続部32との間に配置され、平坦部33から立ち下がる立ち下がり部36とを備えるため、平坦部33を水平な状態を保ったまま、所定の高さ位置に保つことができる。従って、第2接続部34の先端の高さ位置を基板10から所定の間隔を保った状態で維持することができる。その結果、センシング用配線パッドSLP上にはんだSを配置していないときに基板10と接触したり、センシング用配線パッドSLP上にはんだSを配置しているときに第2接続部34とはんだSとを十分接触させて確実に接続することができる。
【0049】
また、実施形態に係る接続子30及び電子モジュール1によれば、センシング用配線(第2接続配線)SLと第2接続部34とははんだSを介して接合されているため、センシング用配線SLと第2接続部34とを接続することができる。また、はんだSを配置しないときには接続子の形状を変更することなくセンシング用配線SLと第2接続部34とを接続しない状態とすることもできる。
【0050】
[変形例]
図4は、変形例1~3に係る接続子30a,30b,30cを示す断面図である。図4(a)は変形例1に係る接続子30aを示す断面図であり、図4(b)は変形例2に係る接続子30bを示す断面図であり、図4(c)は変形例3に係る接続子30cを示す断面図である。
【0051】
変形例1及び2に係る接続子30a及び30bは、基本的には実施形態1に係る接続子30と同様の構成を有するが、第2接続部の形状が異なる点で実施形態1に係る接続子30と異なる。
【0052】
変形例1に係る接続子30aにおいて、第2接続部34aの断面形状は、平坦部33側が広い台形形状を有する。これにより、台形形状の脚(側部)に沿ってはんだが這い上がりやすくなり、第2接続部34aとはんだとの接合面積が大きくなり、接続不良が起こりにくくなる。また、リフロー時にはんだがパッド以外の場所に流れ出し難くなる、という効果もある。
【0053】
変形例2に係る接続子30bにおいて、第2接続部34bの断面形状は、基板側に向かって頂点を有する三角形状を有する。このような形状を有することにより、三角形上の斜面をはんだがはい上がりやすくなる。
【0054】
このように、変形例1及び2に係る接続子30a及び30bは、第2接続部の形状が異なる点で実施形態1に係る接続子30の場合とは異なるが、実施形態1に係る接続子30の場合と同様に、第1接続部と、平坦部の一部に平坦部から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有する第2接続部とを備えるため、接続子を配置するだけで表面電極と複数個所とを接続することができる。従って、別の接続子やジャンパ等を用いる必要がなく、部品点数が少なくて済む。また、第2接続部は、平坦部の一部に平坦部から一方面側に張り出した凸状の断面形状を有するものであり、例えば、一般的な接続子の平坦部の一部をプレス加工等によって一方面側に張り出させて凸状形状を形成することで第2接続部とすることができる。従って、従来の一般的な接続子を製造するための金型をそのまま活用することができ、複雑な形状の接続子を製造するための金型を新たに製造しなくてもよいことから、製造が煩雑にならない。また、プレス加工等を施す位置を変更して凸状形状を形成する位置を変更することで第2接続部の形成位置を容易に変更することができるため、設計変更をする場合等でも金型変更をしなくても対応できる場合が多く、設計自由度を高くすることができる。
【0055】
なお、変形例1及び2に係る接続子30a及び30bは、第2接続部の形状が異なる点以外の点においては実施形態1に係る接続子30と同様の構成を有するため、実施形態1に係る接続子30が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0056】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0057】
(1)上記実施形態(各変形例も含む。以下同じ。)において記載した位置、接続、個数等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0058】
(2)上記実施形態においては、接続子としてアーチ部を有する接続子を用いたが、本発明はこれに限定するものではない。接続子として、アーチ部を有しない接続子を用いてもよい(変形例3に係る接続子30c、図4(c)参照)。この場合には、電極接続部31の端部から緩やかに立ち上がり、所定の高さ位置で平坦部33と接続されている。
【0059】
図5は、変形例4~6に係る接続子30d,30e,30fを示す平面図である。図5(a)は、変形例4に係る接続子30dを示す平面図であり、図5(b)は、変形例5に係る接続子30eを示す平面図であり、図5(c)は、変形例6に係る接続子30fを示す平面図である。
(3)上記実施形態において、第2接続部34は、平面的に見て平坦部33の外縁部から略垂直に内側に延び、内側の端部が丸くなっている形状をしている接続子を用いたが、本発明はこれに限定するものではない。接続子として、平坦部33を横断するように凸部(上面から見ると溝)が形成された接続子を用いてもよいし(変形例4に係る接続子30d、図5(a)参照)、平坦部33の外縁部のみに半円状に凸部(上側から見ると溝)が形成された接続子を用いてもよい(変形例5に係る接続子30e、図5(b)参照)。
【0060】
(4)上記実施形態において、平坦部33の-x側の外縁部に第2接続部34が形成された接続子を用いたが、本発明はこれに限定するものではない。平坦部33の+x側の外縁部に第2接続部34が形成されている接続子を用いてもよいし、平坦部33の中央部に第2接続部34が形成されている接続子を用いてもよい(平坦部33の中央に形成された変形例6に係る接続子30fとしては図5(c)参照)し、その他適宜の位置に第2接続部34が形成された接続子を用いてもよい。いずれの場合においても、センシング用配線パッドSLPが第2接続部34と重なる領域に形成されており、第2接続部34が、はんだSを介してセンシング用配線パッドSLPに接続されたり、図3のようにセンシング用配線パッドSLPにはんだを形成しないことにより、第2接続部34が、センシング用配線パッドSLPに接続しない状態にしたりすることができる。
【0061】
(5)上記実施形態において、電子モジュールは、チップを3つ備えるが、本発明はこれに限定するものではない。チップを1つ又は2つ備えていてもよいし、チップを4つ以上備えてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…電子モジュール、10…基板、11…絶縁性基板、12…ダイパッド、13…パターン配線、20…チップ、21…表面電極、22…ゲート電極、30…接続子、30a,30b,30c,30d,30e,30f、31…電極接続部、32…第1接続部、33…平坦部、34,34a,34b…第2接続部、35…アーチ部、36…立ち下がり部、50…ゲート電極用接続子、GL1…第1ゲート配線、GL2…第2ゲート配線、GL3…第3ゲート配線、GLP…ゲート電極用パッド、S…はんだ(導電性接合材)、SL1…第1センシング用配線、SL2…第2センシング用配線、SL3…第3センシング用配線、SLP…センシング用配線パッド
図1
図2
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図8