(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080448
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】首掛けラベル及び箸置き
(51)【国際特許分類】
G09F 1/08 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
G09F1/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193647
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小池 庸介
(72)【発明者】
【氏名】尾俣 慶
(57)【要約】
【課題】首掛けラベルに新たな利用価値を付加することが可能な首掛けラベル及び箸置きを提供する。
【解決手段】首部31を有する装着対象物30の首部31に装着される首掛けラベル1であって、第1主面10aと第1主面10aに対向する第2主面10bを有するシート状基材10を備え、第1主面10a又は第2主面10bの少なくとも一方の面に、首掛けラベル1を折り畳んで使用するための折り畳み方法を表した表示層11を備えることを特徴とする首掛けラベル1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
首部を有する装着対象物の前記首部に装着される首掛けラベルであって、
第1主面と該第1主面に対向する第2主面を有するシート状基材を備え、前記第1主面又は前記第2主面の少なくとも一方の面に、前記首掛けラベルを折り畳んで使用するための折り畳み方法を表した表示層を備えることを特徴とする首掛けラベル。
【請求項2】
前記シート状基材が、
前記第1主面及び前記第2主面を貫通する切込線によって形作られた差し込み部と、
前記折り畳み方法に従って前記首掛けラベルが折り畳まれるときに、前記差し込み部を差し込んで受け入れるように、前記第1主面及び前記第2主面において前記差し込み部と離間して形成され、前記第1主面及び前記第2主面を貫通する切込線によって形作られた受け部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の首掛けラベル。
【請求項3】
前記シート状基材が、
前記装着対象物に装着された際に前記首部を挟むように前記シート状基材の中心部に配置された第1の係止部分及び第2の係止部分と、
前記装着対象物に装着された際に前記首部を取り囲むように配置された周縁部分と、
前記第1の係止部分及び前記第2の係止部分にそれぞれ前記装着の前後を通して前記周縁部分と接続し続ける根元接続部位と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の首掛けラベル。
【請求項4】
前記シート状基材が、前記第1の係止部分と前記第2の係止部分との間に、前記装着対象物の前記首部を挿入するための挿入孔を有することを特徴とする請求項3に記載の首掛けラベル。
【請求項5】
前記シート状基材が、前記第1の係止部分と前記第2の係止部分との境界部から前記周縁部分へと延びる延長部分と、前記根元接続部位とに、前記首掛けラベルを折り畳む際の山折り線又は谷折り線として機能する凹溝状の筋押し線が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の首掛けラベル。
【請求項6】
前記差し込み部が、
前記シート状基材の中心部側から前記シート状基材の周縁部分側に向けて延伸する基端部と、
前記基端部の先端から前記基端部と交差する方向に延びる係止部とを備え、
前記受け部が、前記係止部の両端をそれぞれ差し込んで受け入れるように形成された一対の切込線によって形作られていることを特徴とする請求項2に記載の首掛けラベル。
【請求項7】
第1主面及び該第1主面に対向する第2主面を有し、首部を有する装着対象物の前記首部に装着された際に前記首部を挟むように中心部に配置された第1の係止部分及び第2の係止部分、前記装着対象物に装着された際に前記首部を取り囲むように配置された周縁部分、及び前記第1の係止部分及び前記第2の係止部分にそれぞれ前記装着の前後を通して前記周縁部分と接続し続ける根元接続部位を有し、前記第1主面又は前記第2主面の少なくとも一方の面に首掛けラベルを取りはずして折り畳んで使用するための折り畳み方法を表した表示層を備えるシート状基材を備える首掛けラベルを用いた箸置きであって、
前記シート状基材の略中央部で前記第2主面を内側にして2つ折りした後、前記第1の係止部分及び前記第2の係止部分を前記第1主面の一方の面に対して起立させるように前記根元接続部位から折り曲げることによって形成される起立部を備えることを特徴とする箸置き。
【請求項8】
前記シート状基材が、前記第1主面及び前記第2主面を貫通する切込線によって形作られた差し込み部と、前記折り畳み方法に従って前記首掛けラベルが折り畳まれるときに、前記差し込み部を差し込んで受け入れるように前記第1主面及び前記第2主面において前記差し込み部と離間して形成され、前記第1主面及び前記第2主面を貫通する切込線によって形作られた受け部とを備え、
前記シート状基材の略中央部で前記第2主面を内側にして2つ折りする際に、前記差し込み部が前記受け部に差し込まれて固定されることを特徴とする請求項7に記載の箸置き。
【請求項9】
前記シート状基材の前記第1の係止部分と前記第2の係止部分との境界部から前記周縁部分へと延びる延長部分と、前記根元接続部位とに凹溝状の筋押し線が形成されており、前記延長部分に形成された前記筋押し線に沿って、前記シート状基材の略中央部で前記第2主面を内側にして2つ折りされており、前記根元接続部位に形成された前記筋押し線に沿って前記第1の係止部分及び前記第2の係止部分を前記第1主面の一方の面に対して起立させるように折り曲げられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の箸置き。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首掛けラベル及びこれを用いた箸置きに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンビニエンスストアやスーパー等の陳列棚に並べる清涼飲料水や酒類、調味料等の各種商品の販売促進用として、販促情報を表示したキャンペーンシールやポップラベルなどがその容器に使用されている。特に、ポップラベルについては、ビンやボトル等の容器の首部に使用されることが多く、ラベルのシート片に挿入孔を形成し容器の首部を嵌入させて係止するようにしたものや、首部を嵌入させる切れ目を形成した首掛けラベルが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2018-146793号公報)には、首部を有する装着対象物に対して装着するための、単層のシート状基材からなるネックPOPラベルであって、装着対象物に装着された際に、力を受けて開いて、嵌入した首部を挟むように構成される、第一の係止部分および第二の係止部分と、装着対象物に装着された際に首部を取り囲むように配置するように構成される、周縁部分とを含むネックPOPラベルが開示されている。
【0004】
特許文献2(特開2020-095158号公報)には、首部を有する装着対象物の首部に装着される首掛けラベルであって、長辺と短辺とを有する略長方形状を有し、装着対象物の首部が挿入される挿入孔が中心部に形成されたシート基材と、装着対象物に装着された際に、首部を挟み込むように挿入孔の縁部に形成された第一の係止部分及び第二の係止部分と、装着対象物に装着された際に、首部を取り囲むように配置される周縁部分と、を含む首掛けラベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-146793号公報
【特許文献2】特開2020-095158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載されるような首掛けラベルは、コンビニエンスストアやスーパー等の陳列棚に並べられる清涼飲料水や酒類、調味料等の各種商品の販売促進用としての情報(以下「販促情報」ともいう)が表示されることも多い。しかしながら、販促情報の提示には有用な首掛けラベルも、商品の使用時には不要となり、一旦消費者に購入された後は、ゴミとして捨てられてしまうことが殆どである。
【0007】
上記課題を鑑み、本発明は、首掛けラベルに新たな利用価値を付加することが可能な首掛けラベル及び箸置きを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る首掛けラベルは一側面において、首部を有する装着対象物の首部に装着される首掛けラベルであって、第1主面と該第1主面に対向する第2主面を有するシート状基材を備え、第1主面又は第2主面の少なくとも一方の面に、首掛けラベルを折り畳んで使用するための折り畳み方法を表した表示層を備える首掛けラベルである。
【0009】
本発明に係る首掛けラベルは一実施態様において、シート状基材が、第1主面及び第2主面を貫通する切込線によって形作られた差し込み部と、折り畳み方法に従って首掛けラベルが折り畳まれるときに、差し込み部を差し込んで受け入れるように、第1主面及び第2主面において差し込み部と離間して形成され、第1主面及び第2主面を貫通する切込線によって形作られた受け部とを備える。
【0010】
本発明に係る首掛けラベルは別の一実施態様において、シート状基材が、装着対象物に装着された際に首部を挟むようにシート状基材の中心部に配置された第1の係止部分及び第2の係止部分と、装着対象物に装着された際に首部を取り囲むように配置された周縁部分と、第1の係止部分及び第2の係止部分にそれぞれ装着の前後を通して周縁部分と接続し続ける根元接続部位とを備える。
【0011】
本発明に係る首掛けラベルは更に別の一実施態様において、シート状基材が、第1の係止部分と第2の係止部分との間に、装着対象物の首部を挿入するための挿入孔を有する。
【0012】
本発明に係る首掛けラベルは更に別の一実施態様において、シート状基材が、第1の係止部分と第2の係止部分との境界部から周縁部分へと延びる延長部分と、根元接続部位とに、首掛けラベルを折り畳む際の山折り線又は谷折り線として機能する凹溝状の筋押し線が設けられている。
【0013】
本発明に係る首掛けラベルは更に別の一実施態様において、差し込み部が、シート状基材の中心部側からシート状基材の周縁部分側に向けて延伸する基端部と、基端部の先端から基端部と交差する方向に延びる係止部とを備え、受け部が、係止部の両端をそれぞれ差し込んで受け入れるように形成された一対の切込線によって形作られている。
【0014】
本発明は別の一側面において、第1主面及び該第1主面に対向する第2主面を有し、首部を有する装着対象物の首部に装着された際に首部を挟むように中心部に配置された第1の係止部分及び第2の係止部分、装着対象物に装着された際に首部を取り囲むように配置された周縁部分、及び第1の係止部分及び第2の係止部分にそれぞれ装着の前後を通して周縁部分と接続し続ける根元接続部位を有し、第1主面又は第2主面の少なくとも一方の面に首掛けラベルを取りはずして折り畳んで使用するための折り畳み方法を表した表示層を備えるシート状基材を備える首掛けラベルを用いた箸置きであって、シート状基材の略中央部で第2主面を内側にして2つ折りした後、第1の係止部分及び第2の係止部分を第1主面の一方の面に対して起立させるように根元接続部位から折り曲げることによって形成される起立部を備える箸置きである。
【0015】
本発明に係る箸置きは一実施態様において、シート状基材が、第1主面及び第2主面を貫通する切込線によって形作られた差し込み部と、折り畳み方法に従って首掛けラベルが折り畳まれるときに、差し込み部を差し込んで受け入れるように第1主面及び第2主面において差し込み部と離間して形成され、第1主面及び第2主面を貫通する切込線によって形作られた受け部とを備え、シート状基材の略中央部で第2主面を内側にして2つ折りする際に、差し込み部が受け部に差し込まれて固定される。
【0016】
本発明に係る箸置きは別の一実施態様において、シート状基材の第1の係止部分と第2の係止部分との境界部から周縁部分へと延びる延長部分と、根元接続部位とに凹溝状の筋押し線が形成されており、延長部分に形成された筋押し線に沿って、シート状基材の略中央部で第2主面を内側にして2つ折りされており、根元接続部位に形成された筋押し線に沿って第1の係止部分及び第2の係止部分を第1主面の一方の面に対して起立させるように折り曲げられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、首掛けラベルに新たな利用価値を付加することが可能な首掛けラベル及び箸置きが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る首掛けラベルの一例を示す平面図であり、
図1(a)は首掛けラベルの第1主面側からみた平面図、
図1(b)は首掛けラベルの第2主面側からみた平面図の例を示す。
【
図2】本発明の実施の形態に係る首掛けラベルの一例を示す平面図であり、第1及び第2の係止部分と周縁部分と根元接続部位との位置関係を示す。
【
図3】装着対象物となる容器に本発明の実施の形態に係る首掛けラベルを装着した状態を示した模式図である。
【
図4】
図4(a)は、本発明の実施の形態に係る筋押し線を備える首掛けラベルの一例を表す平面図を示し、
図4(b)は、
図4(a)の首掛けラベルの断面図を示す。
【
図5】
図5(a)~
図5(c)は、首掛けラベルの筋押し線の作製方法を示す説明図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(c)は、首掛けラベルの筋押し線の別の作製方法を示す説明図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(c)は、本発明の実施の形態に係る首掛けラベルを折り畳んで箸置きを形成するための説明図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る首掛けラベルを用いた箸置きの使い方を説明する説明図である。
【
図9】
図9(a)は、差し込み部と受け部とを備える首掛けラベルの例を示す平面図であり、
図9(b)は、差し込み部と受け部とを備える首掛けラベルの更に別の例を示す平面図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る首掛けラベルの表示層に表示される首掛けラベルの折り畳み方法及び箸置きの使用方法の例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
【0020】
本発明の実施の形態に係る首掛けラベル(ネックPOPラベル)1は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、首部31を有する装着対象物30の首部31(
図3参照)に装着される首掛けラベル1であって、第1主面10aと第1主面10aに対向する第2主面10bとを有するシート状基材10を備え、第1主面10a又は第2主面10bの少なくとも一方の面に表示層11を備える。
【0021】
シート状基材10は、
図2に示すようにそれぞれ平面状の第1主面10aと第2主面10bとを有する。シート状基材10は、
図3に示すような装着対象物30に装着された際に、装着対象物30の首部31を挟むように、シート状基材10の中心部に配置された第1の係止部分20a及び第2の係止部分20bと、装着対象物30に装着された際に首部31を取り囲むように、第1の係止部分20a及び第2の係止部分20bの周縁部に配置された周縁部分22と、第1の係止部分20a及び第2の係止部分20bに、それぞれ装着の前後を通して周縁部分22と接続し続ける根元接続部位21a、21bとを備える。
【0022】
一実施態様においては、首掛けラベル1が備えるシート状基材10の略中央部に、第1の係止部分20aと第2の係止部分20bとの間に装着対象物30の首部31を挿入するための挿入孔23を備えることが好ましい。挿入孔23を備えることにより、装着対象物30に対して首掛けラベル1を所定の位置に安定して保持しやすくなる。また、首掛けラベル1を折り畳んで箸置き7として使用する際に、挿入孔23が箸を保持するための凹状の溝として働くため、箸を安定して保持することができる。挿入孔23の形状は、
図2に示すように典型的には楕円形であるが、円形、四角形、菱形、多角形、星形等、求められる用途に応じて種々の形態を採り得ることは勿論である。
【0023】
図3に示すように、装着対象物30の首部31に装着される首掛けラベル1は、装着対象物30に装着される際には、第1の係止部分20aおよび第2の係止部分20bがそれぞれ根元接続部位21a、21bを根元として、第1の係止部分20aおよび第2の係止部分20bの先端が、周縁部分22から距離的に離れて立ち上がるように折れ曲がり、装着対象物30の首部31を挟むように配置される。
【0024】
図3の例では、第1主面10a側が外部から視認できるように、首掛けラベル1が装着された例を示している。シート状基材10の第1主面10a側には、
図1(a)に示すような、装着対象物30の商品の説明或いは販売促進用としての販促情報を表示するための表示層11が設けられている。
図3からは見えないが、シート状基材10の第2主面10b側には、
図1(b)に示すような、装着対象物30から首掛けラベル1を取りはずした後に、首掛けラベル1を折り畳んで箸置き7の用途として使用するための折り畳み方法及び折り畳み後の使用方法を表した表示層11が設けられている。
【0025】
シート状基材10は、典型的には、単層のシート状基材で構成されている。シート状基材10の材質としては特に限定されることはなく、当該技術分野において首掛けラベル1に用いられるものであれば任意の材料を使用することができる。シート状基材10の材質の例としては、例えば、洋紙や和紙等の紙、もしくはPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエステル)などのポリオレフィン系、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系、PS(ポリスチレン)やPA(ポリアミド)などの合成樹脂製シート等を好ましく使用することができる。シート状基材10の厚みとしては50μm~300μmの範囲が好ましく、より好ましくは100μm~200μmである。
【0026】
シート状基材10の形状は、典型的には、向かい合う長辺と短辺とを有する略長方形状を有するが、求められる用途に応じて種々の形状を取り得る。本実施形態において「略長方形状」とは、厳格な長方形だけでなく、少なくとも互いに向かい合う一対の長辺と一対の短辺を備えた長方形に類似した形状であればよく、
図1(a)及び
図1(b)に例示するような、4つの角部が円弧状を有するような形状、或いは4つの角部に所定の形状加工や装飾等が施されている場合等も含み得る。
【0027】
表示層11には、所定の情報を商品の消費者などに伝達するための絵柄や文字等の印刷が施される。
図1(a)、
図1(b)、
図3の例では、シート状基材10の第1主面10a側に、装着対象物30の商品の説明或いは販促情報を表示するための表示層11が形成されており、シート状基材10の第2主面10b側に、首掛けラベル1の折り畳み方法及び使用方法を表した表示層11が形成されている。しかしながら本態様は一例であり、首掛けラベル1の折り畳み方法を第1主面10a側に表示してもよく、本態様に限定されないことは勿論である。
【0028】
表示層11の印刷方式としては、当該技術分野で使用される方式であれば特に限定されないが、例えば平版式印刷法(オフセット印刷等)、凹版式印刷法(彫刻凹版印刷やグラビア印刷等)、孔版式印刷法(シルクスクリーン印刷等)を使用できる。印刷に用いられるインキとしては、アクリルやセルロースといった樹脂等に着色剤を分散したインキが挙げられる。着色剤としては、無機顔料(酸化チタン、カーボンブラック、銅など)、パール顔料、アルミ粉などが使用可能である。表示層11の印刷層の厚さは本発明の効果を発揮できる限り制限はされないが、例えば0.5μm~10μmの範囲が好ましく、1μm~3μmの範囲がより好ましい。印刷層上に所定の被覆層を形成してもよい。
【0029】
図4(a)に示すように、シート状基材10は、その中央部において第1の係止部分20aと第2の係止部分20bとの境界を規定するシート状基材10の短手方向に沿って延びる境界部40からシート状基材10の周縁部分22へと延びる延長部分R1、R2と、根元接続部位21a、21bとに、それぞれ首掛けラベル1を折り畳む際の山折り線又は谷折り線として機能する凹溝状の筋押し線40a、40b、41a、41bが設けられていてもよい。筋押し線40a、40bは、境界部40の外端から周縁部分22へ向けて境界部40の延伸方向に沿って延びるように形成されている。
【0030】
これら筋押し線40a、40b、41a、41bは、
図4(b)に示すように、シート状基材10の第1主面10aから第2主面10bに向かって凹状の窪み(溝)を形成している。シート状基材10に筋押し線40a、40b、41a、41bが設けられることによって、首掛けラベル1を折り畳む際の山折り線及び谷折り線の起点となるため、折りズレを防止することができ、これにより、表示層11に表示された折り畳み方法の指示に従って折り畳んだ際の形状の外観が良好な形状となるように折り畳むことができる。
【0031】
筋押し線40a、40b、41a、41bの太さ、即ち、シート状基材10の上面から見た場合の窪みの最大幅Wとしては、0.1~1.0mmが好ましく、0.1~0.5mmがより好ましい。筋押し線40a、40b、41a、41bの深さ、即ち、シート状基材10の第1主面10aから最も深い窪みの位置である最大深さは、以下に限定されないが、シート状基材10の厚みに対し、30%以内の深さとすることが好ましい。筋押し線の幅及び深さが適切でないと、シート状基材10を折り畳む際に破断等が生じる恐れがある。筋押し線40a、40b、41a、41bの断面形状は、特に限定されない。折り畳み易さを考慮すると、典型的にはV字状である。折り畳み形状に立体感を持たせるような場合は、第2主面10bに向けて凸となる弧状(曲面状)を有していてもよい。
【0032】
シート状基材10に筋押し線40aを形成する方法としては、例えば、
図5(a)に示すように、下方に向かって凸形状を有する上型51と、上型51の凸形状を受けるための凹形状を有する下型52の間にシート状基材10を配置し、シート状基材10の第1主面10aが上型51と対向し、シート状基材10の第2主面10bが下型52と対向するようにシート状基材10の位置を調整する。そして、
図5(b)に示すように上型51及び下型52をシート状基材10に押し付けた後、
図5(c)に示すように、シート状基材10を上型51及び下型52から取り外すことにより、筋押し線40aを形成することができる。或いは、
図6(a)~
図6(c)に示すように、ペン型ヘッド61をシート状基材10の第1主面10a上に押しつけて、筋押し線40aの窪みを形成することもできる。筋押し線40b、41a、41bも同様の手順で作製する。
【0033】
本発明の実施の形態に係る首掛けラベル1を箸置き7として用いる場合には、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、シート状基材10の略中央部で第2主面10bを内側にして2つ折りした後、
図7(c)に示すように、第1の係止部分20a及び第2の係止部分20bを重ね合わせてこれらを第1主面10aの一方の面に対して起立させるように根元接続部位21a、21bから折り曲げることによって、箸を置くための起立部25を形成する。このようにして折り畳んだ首掛けラベル1は、箸8を一時的に置くための箸置き7として利用可能となる。
【0034】
図8に示すように、本発明の実施の形態に係る箸置き7は、シート状基材10の周縁部分22が台座となり、それぞれ重ね合わせて周縁部分22に対して起立させるように折り曲げた第1の係止部分20a及び第2の係止部分20bで構成される起立部25に、箸8の箸先を置くことができる。
図8に示す箸置き7によれば、起立部25が、シート状基材10の第1の係止部分20aと第2の係止部分20bとの間に形成された挿入孔23によってできた上方に向かって凹形状に湾曲する湾曲部分26が形成されているため、箸8が起立部25からズレ落ちるのを防ぎながら箸8を適切に保持することができる。
【0035】
このように本発明の実施の形態に係る首掛けラベル1によれば、首掛けラベル1に対し、箸置き7としての新たな利用価値を付加することが可能となる。これにより、首掛けラベル1を、装着対象物30から取り外した後も、首掛けラベル1を、販促情報の表示とは別の用途に有効活用できる。
【0036】
図7(a)及び
図7(b)には図示していないが、
図4(a)に示すように、シート状基材10の第1の係止部分20aと第2の係止部分20bとの境界部40から周縁部分22へと延びる延長部分R1、R2と、根元接続部位21a、21bとに凹溝状の筋押し線40a、40b、41a、41bが形成された首掛けラベル1を用いて、延長部分R1、R2に形成された筋押し線40a、40bに沿ってシート状基材10の略中央部で第2主面10bを内側にして2つ折りする。そして、根元接続部位21a、21bに形成された筋押し線41a、41bに沿って、第1の係止部分20a及び第2の係止部分20bを第1主面10aの一方の面に対して起立させるように折り曲げて、箸置き7の起立部25を形成してもよい。このような筋押し線40a、40b、41a、41bが形成された首掛けラベル1を用いることにより、折り畳む際の折りズレを防止することができる。
【0037】
図9(a)は、シート状基材10が、第1主面10a及び第2主面10bを貫通する切込線CL1によって形作られた差し込み部12と、表示層11に表示された折り畳み方法に従って首掛けラベル1が折り畳まれるときに、差し込み部12を差し込んで受け入れるように、第1主面10a及び第2主面10bにおいて差し込み部12と離間して形成され、且つ、第1主面10a及び第2主面10bを貫通する切込線CL2によって形作られた受け部13とを備える首掛けラベル1の例を示している。
【0038】
差し込み部12は、受け部13に差し込み可能な形状であれば特に限定されず、抜き型やレーザーカッターなどで、根元部分を残して任意の形状に切り込むことで形成される。受け部13は、典型的にはスリット形状でよく、差し込み部12と同様に抜き型やレーザーカッターなどで切り込むことで形成される。受け部13はスリット形状の他に四角形や円形、楕円形、菱形などに切り抜いた形状にしてもよく、差し込み部12の差し込み易さや安定性を考慮した任意の形状であってもよい。差し込み部12を受け部13に差し込むことで、シート状基材10を折り畳んだ後の形状が崩れるのを防止できる。
【0039】
図9(b)は、本発明の実施の形態に係る首掛けラベル1の別の例を示す平面図である。
図9(b)の例では、シート状基材10の差し込み部12が、シート状基材10の中心部側からシート状基材10の周縁部分22側に向けて延伸する基端部12aと、基端部12aの先端から基端部12aと交差する方向に延びる係止部12bとを備え、受け部13が、係止部12bの端部121、122をそれぞれ差し込んで受け入れるように形成された一対の切込線CL4、CL5によって形成されている。一対の切込線CL4、CL5は、基端部12aの延伸方向(シート状基材10の長手方向)に沿って延びるように切り込まれている。
【0040】
図9(a)及び
図9(b)に示す首掛けラベル1は、シート状基材10の略中央部で第2主面10bを内側にして2つ折りする際に、差し込み部12が受け部13に差し込まれて固定されることにより、首掛けラベル1を折り畳んだ後においても所定の形状に保持されるように構成されている。
【0041】
図9(a)及び
図9(b)に示す首掛けラベル1を、箸置き7として利用する場合、シート状基材10の略中央部で第2主面10bを内側にして2つ折りした後、第1の係止部分20a及び第2の係止部分20bを、第1主面10aの一方の面に対して起立させるように、根元接続部位21a、21bから折り曲げ、差し込み部12を受け部13に差し込むことで利用できる。差し込み部12を受け部13に差し込む手順は、シート状基材10を略中央部で2つ折りしたときでもよく、第1の係止部分20a及び第2の係止部分20bを起立させたときでもよい。
【0042】
本発明の実施の形態に係る首掛けラベル1によれば、シート状基材10に差し込み部12及び受け部13を備えることにより、箸置き7として利用した場合に、折り畳んだシート状基材10の形状を安定して保持できるため、箸置き7に置いた箸8をより安定的に保持できる。
【0043】
図10は、首掛けラベル1を箸置き7の用途として使用するための折り畳み方法を表した表示層11の例を示す平面図である。本実施形態では、表示層11は周縁部分22に配置される例を典型例として示しているが、第1の係止部分20a又は第2の係止部分20bに配置されてもよいことは勿論である。
図8は、本発明の実施の形態に係る箸置き7に箸8を配置する例を示しているが、箸8以外に、フォーク、スプーン、ナイフ等のカトラリを配置することも本発明に包含され得ることは勿論である。
【0044】
また、本実施形態ではいずれも挿入孔23を備えるシート状基材10を例に用いて説明しているが、第1の係止部分20aと第2の係止部分20bとの間に挿入孔23を有さない首掛けラベル1においても、本実施形態で説明した折り畳み方法と同等の折り畳み方法を用いて箸置き7を作製することによって、箸置き7として十分利用可能であることは勿論である。
【0045】
本実施形態では、表示層11に表示される情報として、首掛けラベル1を折り畳んで箸置き7として使用する場合の折り畳み方法及び箸置き7としての使用方法が記載される例を示す。しかしながら、表示層11に表示される折り畳み方法は、箸置き7のみに特定されるものではなく、別の用途に使用することも可能である。別の用途としては、例えば、食品を挟んで掴むためのトング、食品をすくうためのおたま又はスプーン等のカトラリ、ストローなどのテーブルや地面に触れさせたくない道具類等が挙げられる。あるいは、本実施形態に係る首掛けラベル1は、習字ペン、万年筆、シャープペン、ボールペン等の筒形状の物の回転及び転がりを防止するための文房具置きとして利用することもまた可能である。
【0046】
或いは、本実施形態に係る首掛けラベル1は、表示層11に表示される情報に沿って折り曲げることにより置物や玩具としても利用できる。例えば、上述の起立部25にテレビアニメのキャラクターやスポーツ選手等の絵柄を備え、キャラクターやスポーツ選手を並べて遊ぶこともまた可能である。また、季節ごとの催しとして、例えば、ひな人形や五月人形などの絵柄を起立部25に備え、人形や道具類を並べて飾ることができる。所定の絵柄をシリーズ化することで、首掛けラベル1の収集意欲を高め、販売促進効果を高めることで、首掛けラベル1に新たな利用価値を付加することが可能となる。
【実施例0047】
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
【0048】
(実施例1)
上質紙の四六4切(サイズ:545mm×349mm、厚み:170μm、重量:約100g/m
2)を用意し、上質紙の一方の面(第1主面)に絵柄や文字等の販促情報の印刷をオフセット印刷装置を用いて行った印刷層を形成した。印刷インキとして、株式会社T&K TOKA製オフセット用UVインキ(プロセスインキ)を用い、第1主面の印刷を厚さ約1.5μmで形成した。その後、表面ニスとして東洋インキ株式会社製FDカルトンを用い、印刷層上に厚さ約2μmで被覆して被覆層を形成することにより、表示層を形成した。同様に、上質紙の他方面(第2主面)に絵柄や文字等を含む箸置きとして利用する際の折り畳み方法及び使用方法を表示した印刷層を厚さ約1.5μmとなるように設け、裏面ニスとして東洋インキ株式会社製FLASH DRY(登録商標)を用い、第2主面の印刷層上に第1平面と同様の厚さ約2μmで被覆層を形成することにより表示層を形成した。この上質紙をフレキシブルピナクルダイで切り抜き、
図1(a)及び
図1(b)に示す形状のラベルを作製した。ラベルサイズは115mm(長辺)×60mm(短辺)とした。挿入孔の寸法は、長径を40mm、短怪を20mmの楕円形状とした。
【0049】
実施例1のシート状基材の表示層に記載された折り畳み方法に従ってシート状基材を略中央部で第2主面を内側にして2つ折りした後、第1の係止部分及び第2の係止部分を第1主面の一方の面に対して起立させるように根元接続部位から折り曲げることによって起立部を形成することにより箸置きが作製できた。
【0050】
(実施例2)
実施例1と同様にラベルを作製した。
図4(a)に示すような筋押し線を作製するための上型と下型を備えた筋押し機を用い、第1の係止部分及び第2の係止部分と周縁部分とを接続する根元接続部位と、第1及び第2の係止部分の境界部から周縁部分へ延伸する延長部位とにそれぞれ筋押し線を設けた。筋押し線の太さは0.2mmとし、また、筋押しの断面形状は
図4(b)に示すようにV字とし、第1主面からの最大深さを0.05mmとした。
【0051】
実施例2のシート状基材の表示層に記載された折り畳み方法に従ってシート状基材を略中央部で第2主面を内側にして2つ折りした後、第1の係止部分及び第2の係止部分を第1主面の一方の面に対して起立させるように根元接続部位から折り曲げることによって起立部を形成することにより箸置きが作製できた。筋押し線を備えるシート状基材を用いることにより、実施例1よりも型崩れが少なく、形状が安定した。
【0052】
(実施例3)
実施例1と同様にラベルを作製した。その際、周縁部分に
図9(a)に示すような差し込み部および受け部の切り込みを形成した。差し込み部は、シート状基材の短径方向に沿った幅w1が10mm、シート状基材の長径方向に沿った長さL1が20mmの先端円弧状の舌形状とし、受け部はシート状基材の短径方向に沿った長さL2が15mmのスリット形状とした。
【0053】
実施例3のシート状基材の表示層に記載された折り畳み方法に従ってシート状基材を略中央部で第2主面を内側にして2つ折りした後、第1の係止部分及び第2の係止部分を第1主面の一方の面に対して起立させるように根元接続部位から折り曲げることによって起立部を形成することにより箸置きが作製できた。受け部に差し込み部の先端を差し込んで固定することにより、箸置きとしての形状安定性が更に増した。