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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080450
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】半導体装置冷却装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20240606BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20240606BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
G06F1/20 D
H01L23/34 Z
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193649
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐貫 朋也
(72)【発明者】
【氏名】吉水 康人
(72)【発明者】
【氏名】東 悠介
(72)【発明者】
【氏名】向田 秀子
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322BC05
5E322EA02
5E322FA04
5F136AA01
5F136DA50
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA82
5F136HA01
5F136JA10
(57)【要約】
【課題】メモリデバイス又はロジックデバイスなどの半導体装置の性能を向上させる半導体装置冷却装置を提供すること。
【解決手段】半導体装置冷却装置は、大気圧よりも低い圧力に保持可能なチャンバと、前記チャンバの内部に設けられ、半導体装置を保持して冷却する冷却部材と、前記チャンバの外部から前記冷却部材を冷却する冷凍機との熱交換を行う伝熱部と、を備える。前記チャンバは、真空ポンプに接続され、前記チャンバの内部の圧力は、前記真空ポンプによって、大気圧よりも低い圧力になってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも低い圧力に保持可能な内部構造を有するチャンバと、
前記チャンバの内部構造内に設けられ、半導体装置を保持して冷却する冷却部材と、
前記冷却部材を冷却する冷凍機との熱交換を行う伝熱部と、を備える半導体装置冷却装置。
【請求項2】
前記チャンバの内部の圧力は、真空ポンプによって、大気圧よりも低い圧力に減圧可能である、請求項1に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項3】
前記チャンバは円筒形であり、
前記伝熱部は前記チャンバの円筒軸方向に長手を有する、請求項1に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項4】
前記冷却部材は、板状である、請求項3に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項5】
前記冷却部材の板厚は1cm以上である、請求項4に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項6】
前記冷却部材の熱伝導率は、100[W/m・K]以上である、請求項4に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項7】
前記冷却部材は、銅及びアルミニウムのいずれかを含む、請求項4に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項8】
前記冷却部材は、
前記円筒軸方向に延びており、
前記伝熱部から前記チャンバの内壁に向かって延びている、請求項4に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項9】
前記冷却部材は複数設けられ、
前記円筒軸方向に見た場合に、複数の前記冷却部材は、前記伝熱部を中心として放射状に延びている、請求項4に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項10】
前記伝熱部は前記円筒軸方向に長手を有する柱状であり、
前記円筒軸方向に直交する方向における前記伝熱部の幅は2cm以上である、請求項5に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項11】
前記冷却部材は、
前記伝熱部に接続された第1板状部材と、
前記半導体装置を保持する第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間の蓄冷部材と、を備える、請求項1に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項12】
前記冷却部材は、温度計及びヒータを備える、請求項1に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項13】
前記温度計及び前記ヒータに接続された制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記温度計によって測定された温度が所定の温度以下である場合に、前記ヒータをオン状態にする、請求項12に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項14】
制御部をさらに備え、
前記冷却部材は、前記制御部に接続された温度計を備え、
前記制御部は、前記温度計によって測定された温度が所定の温度以下である場合に、前記半導体装置を駆動して前記冷却部材の温度を上げる、請求項12に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項15】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記半導体装置が所定の時間以上動作しない場合、前記半導体装置が動作している期間に比べて前記冷却部材を低温に制御する、請求項1に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項16】
制御部をさらに備え、
前記冷却部材は、前記制御部に接続されたヒータを備え、
前記半導体装置の性能が所定の基準より低下した場合、前記ヒータをオン状態にして前記半導体装置を加熱する、請求項1に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項17】
前記チャンバの内部の圧力は、真空ポンプによって、大気圧よりも低い圧力に減圧可能である、請求項12乃至16のいずれか一に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項18】
制御部をさらに備え、
前記半導体装置の性能が所定の基準より低下した場合、性能低下を知らせる通知信号を生成する、請求項1に記載の半導体装置冷却装置。
【請求項19】
開閉可能な扉を介して前記チャンバと隣接するロードロックチャンバをさらに備え、
前記扉が開いた状態で、前記半導体装置が前記チャンバから前記ロードロックチャンバに移動し、
前記扉が閉じた状態で、前記半導体装置が前記ロードロックチャンバから外部に取り出される、請求項1に記載の半導体装置冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一実施形態は半導体装置を冷却する機構を備える半導体装置冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不揮発性メモリを備えるメモリシステム等の半導体装置が広く普及している。このような半導体装置として、NAND型フラッシュメモリを備えるソリッドステートドライブ(SSD)が知られている。
【0003】
上記のフラッシュメモリを低温で動作させることで、データリテンションの向上及びメモリセルトランジスタの特性ばらつき低減などによって、メモリの性能が向上することが知られている。その結果、低温動作によって、1つのメモリセルで複数のビットの情報を保持させることが可能である。フラッシュメモリの他にも、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、及びMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などのメモリデバイス、又は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)などのロジックデバイスを低温に冷却して動作させることで、デバイスの性能が向上することが判っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0170146号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2021/0216117号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0022289号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、メモリデバイス又はロジックデバイスなどの半導体装置の性能を向上させる半導体装置冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る半導体装置冷却装置は、大気圧よりも低い圧力に保持可能なチャンバと、前記チャンバの内部に設けられ、半導体装置を保持して冷却する冷却部材と、前記チャンバの外部から前記冷却部材を冷却する冷凍機との熱交換を行う伝熱部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す上面図である。
図3】一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す断面図である。
図4】一実施形態に係る半導体装置冷却装置において、半導体装置の脱着方法を示す断面図である。
図5】一実施形態に係る半導体装置冷却装置において、冷却部材の温度制御に係るフローチャートである。
図6】一実施形態に係る半導体装置冷却装置における冷却部材の構造を示す図である。
図7】一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す断面図である。
図8】一実施形態に係る半導体装置冷却装置において、チャンバの動作を示す断面図である。
図9】一実施形態に係る半導体装置冷却装置において、チャンバの動作を示す断面図である。
図10】一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す断面図である。
図11】一実施形態に係るメモリシステムの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る半導体装置冷却装置について、図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素に対して同一符号が付されており、重複する説明が省略される場合がある。以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。実施形態の技術思想は、構成要素の材質、形状、構造、配置等を下記のものに限定しない。実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲に対して、種々の変更を加えたものであってもよい。
【0009】
[1.第1実施形態]
[1-1.半導体装置冷却装置100の構成]
図1図4を用いて、第1実施形態に係る半導体装置冷却装置100について説明する。図1は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す斜視図である。図1に示すように、半導体装置冷却装置100は、チャンバ110、冷却部材120、伝熱部130、冷凍機140、及び制御部180(Controller)を有する。
【0010】
チャンバ110は円筒形である。チャンバ110は、第1チャンバ111及び第2チャンバ112を含む。第1チャンバ111と第2チャンバ112とは、チャンバ110の円筒軸方向(D1)に隣接して配置されている。第1チャンバ111と第2チャンバ112との間に間仕切り部113が設けられている。間仕切り部113は、第1チャンバ111の内部空間と第2チャンバ112の内部空間とを分離する。つまり、第1チャンバ111の内部の圧力を第2チャンバ112の内部の圧力と異なる圧力に調整することができる。
【0011】
なお、第1実施形態における第1チャンバ111および第2チャンバ112の高さは20cm以上100cm以下である。また、第1実施形態における第1チャンバ111および第2チャンバ112の直径(対向する内壁間の距離)は20cm以上100cm以下である。
【0012】
チャンバ110は第1フランジ115及び第2フランジ116を含む。第1フランジ115は第1チャンバ111に設けられている。第2フランジ116は第2チャンバ112に設けられている。ただし、第1フランジ115は第2チャンバ112に設けられていてもよい。第2フランジ116は第1チャンバ111に設けられていてもよい。第1フランジ115はチャンバ110の外部に設けられた真空ポンプ(VAC)に接続される。第1フランジ115には真空バルブが設けられており、当該真空バルブによって第1チャンバ111の内部の圧力が制御される。真空ポンプによって、第1チャンバ111の内部の圧力を大気圧よりも低い圧力(減圧雰囲気)に保持することができる。第2フランジ116は、後述する引き出し配線151が通過するフランジである。第2フランジ116は、断熱機能を備えており、第2チャンバ112の内部と外部とを断熱する構成を備えている。
【0013】
第1チャンバ111の上部には、第1チャンバ111の内部を密閉する蓋部119(図3参照)が配置される。ただし、図1及び図2では、説明の便宜上、蓋部119が省略されている。
【0014】
本実施形態では、チャンバ110の形状が円筒形である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、チャンバ110の形状は、多角柱、多角錐、又は球状であってもよい。本実施形態では、第1チャンバ111が真空ポンプに接続された構成を例示したが、この構成に限定されない。第1チャンバ111の内部を減圧雰囲気に制御することができれば、第1チャンバ111が真空ポンプに接続されていなくてもよい。例えば、減圧雰囲気下にチャンバ110を配置し、その状態で第1チャンバ111の内部に冷却部材120及び伝熱部130を配置し、第1チャンバ111を密閉することで、第1チャンバ111の内部を減圧雰囲気にしてもよい。
【0015】
第1チャンバ111の内部に、冷却部材120及び伝熱部130が設けられている。伝熱部130は、第1チャンバ111の底部に相当する間仕切り部113から上方に延びている。換言すると、伝熱部130は、第1チャンバ111の円筒軸方向(D1)に長手を有している。伝熱部130の材質は、熱伝導率が高い材料が高い材料であり、例えば、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)である。伝熱部130の材料として、熱伝導率が100[W/m・K]以上の材料を用いることができる。伝熱部130の形状は円柱状であり、当該円柱の円の直径は2cm以上である。換言すると、第1チャンバ111の円筒軸方向(D1)に直交する方向(D2)における伝熱部130の幅は2cm以上である。上記のように、伝熱部130として銅又はアルミニウムが用いられ、伝熱部130の直径又は幅が2cm以上であることによって、半導体装置101を十分に冷却することができる。例えば、上記のように、第1チャンバ111及び第2チャンバ112の各々の高さが20cm以上100cm以下であり、第1チャンバ111及び第2チャンバ112の各々の直径が20cm以上100cm以下である場合、上記のように、伝熱部130として銅又はアルミニウムが用いられ、伝熱部130の直径又は幅が2cm以上であることによって、半導体装置101の冷却効率を各段に向上させることができる。
【0016】
伝熱部130は第1チャンバ111の底部に接触している。伝熱部130は、後述する冷凍機140との熱交換を行い、冷却部材120を冷却する。本実施形態では、伝熱部130は第1チャンバ111の底部に固定されている。ただし、この構成に限定されず、伝熱部130は第1チャンバ111に対して脱着可能であってもよい。
【0017】
冷却部材120は伝熱部130に接続されている。冷却部材120は複数設けられている。図1では、複数の冷却部材120のうち、一部の冷却部材120だけが図示されている(図2参照)。冷却部材120の材質は、熱伝導率が高い材料が高い材料であり、例えば、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)である。冷却部材120の材質として、熱伝導率が100[W/m・K]以上の材料を用いることができる。冷却部材120の形状は板状であり、当該板の板厚は1cm以上である。板状の冷却部材120の一辺が伝熱部130に接している。具体的には、冷却部材120の形状は、第1チャンバ111の円筒軸方向(D1)に長手を有する長方形であり、当該長方形の長辺が伝熱部130に接している。上記のように、冷却部材120として銅又はアルミニウムが用いられ、冷却部材120の板厚が1cm以上であることによって、半導体装置101を十分に冷却することができる。例えば、上記のように、第1チャンバ111及び第2チャンバ112の各々の高さが20cm以上100cm以下であり、第1チャンバ111及び第2チャンバ112の各々の直径が20cm以上100cm以下である場合、上記のように、冷却部材120として熱伝導率が100[W/m・K]以上の材料が用いられ、冷却部材120の板厚が1cm以上であることによって、半導体装置101の冷却効率を各段に向上させることができる。
【0018】
冷却部材120は伝熱部130に対して脱着可能である。例えば、上記の円筒軸方向(D1)に沿って延びた溝又は凸部が伝熱部130に形成されており、その溝又は凸部に対して冷却部材120を当該円筒軸方向にスライドさせることで、冷却部材120を伝熱部130に取り付けることができる。ただし、冷却部材120の脱着構造は上記の構造に限定されない。
【0019】
冷却部材120は第1主面121及び第2主面122を含む。第2主面122は第1主面121の反対側の面である。第1主面121及び第2主面122に半導体装置101が配置されている。本実施形態では、半導体装置101はプリント基板102上に設けられているため、第1主面121上及び第2主面122上にプリント基板102が配置されており、プリント基板102上に複数の半導体装置101が設けられている。プリント基板102は、グリス、ピン、又はネジによって、冷却部材120の第1主面121及び第2主面122に取り付けられる。つまり、冷却部材120は半導体装置101を保持する。冷却部材120の第1主面121上に配置されるプリント基板102の数、及びプリント基板102上に配置される半導体装置101の数は図1の例に限定されない。
【0020】
冷却部材120には、コネクタ150、温度計160、及びヒータ170が設けられている。コネクタ150、温度計160、及びヒータ170は、半導体装置101よりも冷凍機140の近くに設けられている。コネクタ150は、プリント基板102上に設けられた複数の半導体装置101と電気的に接続されている。コネクタ150、温度計160、及びヒータ170は、配線151に接続されており、配線151を介して制御部180に接続されている。コネクタ150を介して、制御部180から電源及び駆動用信号が半導体装置101に入力される。温度計160は、冷却部材120の温度を測定し、コネクタ150及び配線151を介して測定した温度に関する情報を制御部180に送信する。ヒータ170は、制御部180からの信号に応じて、冷却部材120の温度を上昇させ、冷却部材120が過冷却されることを抑制する。ヒータ170は、コネクタ150及び配線151を介して制御部180に接続されている。
【0021】
温度計160は、半導体装置101よりも冷凍機140の遠くに設けられてもよく、伝熱部130に設けられてもよく、冷却部材120及び伝熱部130の両方に設けられてもよい。温度計160は、冷却部材120の複数の位置に設けられていてもよい。ヒータ170は、伝熱部130に設けられてもよく、冷却部材120及び伝熱部130の両方に設けられてもよい。
【0022】
配線151として有線LAN又は光インターコネクトが用いられてもよい。光インターコネクトが用いられた場合、配線151の代わりに光を伝達することができる光ファイバーを介して第2チャンバ112の内外が接続される。
【0023】
冷凍機140又は冷凍機140の一部は、第2チャンバ112の内部に設けられている。冷凍機140の一部が第2チャンバ112の内部に設けられるとは、例えば、冷凍機140の冷却部材が第2チャンバ112の内部に設けられ、冷凍機140の電源部分が第2チャンバ112の外部に設けられる構成である。冷凍機140の上部には天板141が設けられている。天板141は、第2チャンバ112の天井部、つまり、間仕切り部113に接している。冷凍機140は、配線151を介して制御部180に接続されている。冷凍機140は、例えばヘリウム4(He-4)を循環することで冷却する冷凍機である。つまり、冷凍機140は、液体窒素などの冷媒を用いる必要なく、電力によって冷却することができる。冷凍機140の出力は約100Wである。冷凍機140の電力効率は1/50である。冷凍機140による冷却温度は、例えば30K以上100K以下の範囲で可変である。冷凍機140の高さは20cm以上100cm以下である。
【0024】
図2は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す上面図である。図2は、図1と同様に蓋部119(図3参照)が取り外された状態を示している。図2に示すように、第1チャンバ111の円筒軸方向(D1)に見た場合に、複数の冷却部材120は、伝熱部130を中心に第1チャンバ111の内壁に向かって放射状に延びている。冷却部材120の数は図2の例に限定されない。冷却部材120の第1主面121及び第2主面122の両方にプリント基板102が配置されている。
【0025】
図3は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す断面図である。図3は、図2のA-A’線に沿った断面図である。図3に示すように、第1チャンバ111の上部に蓋部119が設けられている。蓋部119によって第1チャンバ111が密閉されることで、第1チャンバ111の内部が減圧雰囲気に制御される。冷却部材120及び伝熱部130は、第1チャンバ111の底部である間仕切り部113と接している。冷凍機140の天板141は、第2チャンバ112の天井部である間仕切り部113と接している。この構成によって、効率良く冷却部材120及び伝熱部130を冷却することができる。図3では、第2チャンバ112の底部が第2チャンバ112の側部と一体化した構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、当該底部が当該側部から脱着可能であってもよい。
【0026】
図4は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置において、半導体装置の脱着方法を示す断面図である。図4に示すように、蓋部119が取り外された状態で冷却部材120が上方に移動することによって、冷却部材120が伝熱部130から脱離する。同様に、蓋部119が取り外された状態で、上記のように伝熱部130に形成された溝又は凸部に沿って冷却部材120が下方に移動することによって、冷却部材120が伝熱部130に装着される。
【0027】
[1-2.半導体装置冷却装置100の温度制御方法]
図5を用いて、第1実施形態に係る半導体装置冷却装置100の温度制御方法について説明する。図5は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置において、冷却部材120の温度制御に係るフローチャートである。以下のフローチャートに示す温度制御は、制御部180によって実行される。
【0028】
図5を参照して、冷却部材の温度制御について説明を行う。まず、当該真空ポンプによって第1チャンバ111の内部の圧力が大気圧よりも低い圧力(減圧雰囲気)に減圧される。減圧後、第1チャンバ111内の圧は大気圧よりも低い圧力(減圧雰囲気)に保持される。第1チャンバ111内の圧は大気圧よりも低い圧力(減圧雰囲気)に保持された状態で、制御部180は、半導体装置101の動作状況を判断する(ステップS501;Operating)。半導体装置101が所定の時間以上動作しない休止期間である場合(S501の「No」)、制御部180は継続して冷凍機140を稼働させ、半導体装置101を休止温度に冷却する(ステップS502;Cooling)。一方、半導体装置101が動作している又は動作期間である場合(S501の「Yes」)、制御部180は、現在の冷却部材120の温度が駆動温度として適正か否かの判断を行う(ステップS503;Temp.)。休止温度は駆動温度よりも低い温度である。上記の動作期間は、現在は半導体装置101が動作していないが、動作する予定があること又は動作する可能性があることを意味する。S502の動作を換言すると、制御部180は、S502において半導体装置101が動作している期間に比べて冷却部材120を低温に制御する。
【0029】
例えば、半導体装置101がメモリシステムである場合、S501において、制御部180は、ホストから送信されたコマンド又はメモリシステムの動作履歴に基づいて、メモリシステムが休止期間であるか動作期間であるかを判断する。半導体装置101の駆動温度とは、半導体装置101が動作期間である場合における冷却部材120の温度を意味する。半導体装置101の休止温度とは、半導体装置101が休止期間である場合における冷却部材120の温度を意味する。例えば、上記のように半導体装置101がメモリシステムである場合、駆動温度は70K~90Kであり、休止温度は約30Kである。メモリシステムが動作期間である場合、メモリセルトランジスタが所定の性能で安定した動作をするために、上記の駆動温度が適用される。一方、メモリシステムが休止期間である場合、メモリセルトランジスタの保持特性を向上させるために、上記の休止温度が適用される。
【0030】
S503において、現在の冷却部材120の温度が適正な駆動温度の範囲内ではない場合(S503の「No」)、制御部180は温度調整を行う(ステップS504;Adjustment(heating/cooling))。具体的には、温度計160によって測定された冷却部材120の温度が適正な駆動温度の範囲における下限未満である場合、制御部180は、冷却部材120の温度が上昇するように、半導体装置101、冷凍機140、及びヒータ170の少なくともいずれかの動作を制御する。
【0031】
冷却部材120の温度を上昇させるために、制御部180は、ヒータ170をオン状態にしてもよい。又は、制御部180は、冷凍機140の動作における冷却能力を下げるか、動作を停止してもよい。又は、制御部180は、半導体装置101を駆動して冷却部材120の温度を上げてもよい。この場合における半導体装置101の駆動は、例えば、半導体装置101がホストから受信したコマンドに基づいて動作する場合、当該コマンドによって指定されたアドレスとは無関係の回路に対して行われる。
【0032】
温度計160によって測定された冷却部材120の温度が適正な駆動温度の範囲における上限を超える場合、制御部180は、冷却部材120の温度が低下するように、半導体装置101、冷凍機140、及びヒータ170の少なくともいずれかの動作を制御する。
【0033】
冷却部材120の温度を低下させるために、ヒータ170がオン状態であれば、制御部180はヒータ170をオフ状態にしてもよい。又は、冷凍機140の出力が最大でなければ、制御部180は冷凍機140の出力を上げてもよい。又は、制御部180は、半導体装置101の動作を抑制してもよい。
【0034】
一方、現在の冷却部材120の温度が適正な駆動温度の範囲内である場合(S503の「Yes」)、制御部180は、現在の半導体装置101の性能が所定の基準以上であるか否かの判断を行う(ステップS505;Performance)。S505における性能の評価は、例えば、書き込み動作若しくは読み出し動作におけるビットのエラー率、又は、メモリセルあたりの書き込み動作が行われた累積回数の確認などによって行われる。
【0035】
S505において、半導体装置101の性能が所定の基準より低下した場合(S505の「No」)、制御部180は、半導体装置101の回復処理を行う(ステップS506;Recovery)。具体的には、第1チャンバ111の内部の圧力を常圧に戻して第1チャンバ111の冷却を停止し、第1チャンバ111を開けて半導体装置101を外に出し、はんだの融点より低い温度で半導体装置101を加熱することによって、半導体装置101の回復処理を行うことができる。半導体装置101の性能の低下は、半導体装置101に含まれるゲート絶縁層の劣化に起因することが知られており、このゲート絶縁層の劣化は上記の加熱処理によって修復することが知られている。具体的には、上記の熱処理は、125℃で1日以上、若しくは250℃で3時間以上などの条件で行われる。
【0036】
上記の回復処理は、第1チャンバ111の外に出さずに、例えば、制御部180がヒータ170をオン状態にすることで実現することもできる。この場合、制御部180は、冷凍機140の動作を停止する。又は、上記の回復処理として、制御部180は、半導体装置101のゲート絶縁層の劣化などに関する性能低下の通知信号を生成し、当該通知信号を外部機器に送信してもよい。
【0037】
S506における回復処理が終了することで、図5に示すプロセスフローが終了する。又は、S505において、半導体装置101の性能が所定の基準以上である場合(S505の「Yes」)、図5に示すプロセスフローが終了する。
【0038】
図5の例では、S501~S506のステップが一連の動作である構成が記載されているが、この構成に限定されない。例えば、S501及びS502のステップのみで構成され、S503~S506のステップが省略されていてもよい。又は、S503及びS504のステップのみで構成され、S501、S502、S505、及びS506のステップが省略されていてもよい。又は、S505及びS506のステップのみで構成され、S501~S504のステップが省略されていてもよい。又は、図5の構成から、S501及びS502のステップのみが省略されてもよく、S503及びS504のステップのみが省略されてもよく、S505及びS506のステップのみが省略されてもよい。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置冷却装置によると、冷却された状態で半導体装置101を駆動することができるため半導体装置101の性能を向上させることができる。例えば、半導体装置101がフラッシュメモリであった場合、冷却部材120の温度を極低温の77Kに維持した状態で当該フラッシュメモリを動作させることで、メモリセルトランジスタの電気特性のばらつきを低減することができる。そのため、1つのメモリセルトランジスタに複数ビットの情報、例えば7ビット分の情報などを保持させることができる。
【0040】
[2.第2実施形態]
第2実施形態に係る半導体装置冷却装置について説明する。第2実施形態に係る半導体装置冷却装置100は、冷却部材120の構成において、第1実施形態に係る半導体装置冷却装置100と相違する。それ以外の構成は、第1実施形態の構成と同様なので、説明を省略する。
【0041】
[2-1.冷却部材120の構成]
図6は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置における冷却部材の構造を示す図である。図6は、図2と同様に半導体装置冷却装置100を上方から(D1の逆方向に)見た場合における冷却部材120の構成を示す図である。図6に示すように、冷却部材120は、第1板状部材123、第2板状部材124、及び蓄冷部材125を含む。第1板状部材123は、例えば、第1板状部材123のD2方向の端部で伝熱部130に接続される。第2板状部材124は、プリント基板102を介して半導体装置101を保持する。蓄冷部材125は、第1板状部材123と第2板状部材124との間に設けられている。図6に示すように、蓄冷部材125及び第2板状部材124は、第1板状部材123の第1面127及び第2面128の両方に設けられている。
【0042】
第1板状部材123及び第2板状部材124の材料として、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)が用いられる。第1板状部材123及び第2板状部材124の板厚は1cm以上である。第1板状部材123の材料は、第2板状部材124の材料と同じであってもよく、異なってもよい。第1板状部材123の板厚は、第2板状部材124の板厚と同じであってもよく、異なってもよい。
【0043】
蓄冷部材125として、例えば、駆動温度又は休止温度のような低温で潜熱を持ち、外から与えられた熱を蓄熱することができる部材、若しくは板状部材123及び板状部材124より熱容量が大きい部材が用いられる。半導体装置101と第1板状部材123との間に蓄冷部材125が設けられていることによって、冷凍機140、伝熱部130、及び第1板状部材123による冷却能力を超える早さで半導体装置101が急速に発熱した場合であっても、蓄冷部材125によって第1板状部材123の温度が上昇する速度が緩和されるため、半導体装置101の温度上昇を抑制することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置冷却装置によると、半導体装置101が急速に発熱した場合であっても、冷却部材120全体の温度上昇を抑制することができるため、半導体装置101の温度上昇を抑制することができる。
【0045】
[3.第3実施形態]
第3実施形態に係る半導体装置冷却装置について説明する。第3実施形態に係る半導体装置冷却装置100は、チャンバ110の構成において、第1実施形態に係る半導体装置冷却装置100と相違する。それ以外の構成は、第1実施形態の構成と同様なので、説明を省略する。
【0046】
[3-1.半導体装置冷却装置100の構成]
図7は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す断面図である。図7に示すように、第1チャンバ111の上方に隣接するロードロックチャンバ200が設けられている。第1チャンバ111とロードロックチャンバ200との間にロードロックドア210が設けられている。ロードロックドア210は開閉可能な扉である。ロードロックドア210の開閉によって、第1チャンバ111とロードロックチャンバ200との間の開通又は遮蔽が制御される。つまり、ロードロックドア210が閉じた状態で第1チャンバ111の内部の圧力とロードロックチャンバ200の内部の圧力とを異なる圧力に設定することができる。図示を省略するが、第1チャンバ111と同様に、ロードロックチャンバ200に第1フランジ115(図1参照)と同様のフランジが設けられており、当該フランジは真空ポンプに接続されている。
【0047】
ロードロックチャンバ200の高さは、第1チャンバ111の高さと同様に、20cm以上100cm以下である。ロードロックチャンバ200の直径は、第1チャンバ111の直径と同様に、20cm以上100cm以下である。ロードロックチャンバ200の上部には、ロードロックチャンバ200の内部を密閉する蓋部119が配置される。
【0048】
[3-2.チャンバ110の動作]
図8及び図9は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置において、チャンバの動作を示す断面図である。図8及び図9を用いて、第1チャンバ111に設けられた冷却部材120を取り外す場合におけるチャンバ110の動作について説明する。まず、ロードロックチャンバ200の真空引きが行われ、ロードロックチャンバ200の内部の圧力が第1チャンバ111の内部の圧力と同程度に調整される。
【0049】
ロードロックチャンバ200の真空引きの後に、図8に示すように、ロードロックドア210が開き、第1チャンバ111とロードロックチャンバ200とが開通する。ロードロックドア210が開いた状態で、半導体装置101が取り付けられた冷却部材120が第1チャンバ111からロードロックチャンバ200に移動する。冷却部材120の移動は、第1チャンバ111又はロードロックチャンバ200の内部に設けられた移動機構によって行われる。
【0050】
冷却部材120がロードロックチャンバ200に移動した後に、ロードロックドア210が閉じ、第1チャンバ111とロードロックチャンバ200とが遮蔽される。ロードロックドア210が閉じた状態で、ロードロックチャンバ200の内部の圧力が大気圧に調整される。当該圧力が大気圧になった後に、図9に示すように、蓋部119が外されて、半導体装置101が取り付けられた冷却部材120がロードロックチャンバ200から外部に取り出される。
【0051】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置冷却装置によると、ロードロックチャンバ200を介して半導体装置101が配置された冷却部材120の脱着が行われるため、第1チャンバ111が直接外部雰囲気に曝されることがなくなるため、第1チャンバ111の内部が外部雰囲気によって汚染されることを抑制できる。また、冷却装置を稼働させたままで半導体装置の交換をすることができる。
【0052】
[4.第4実施形態]
第4実施形態に係る半導体装置冷却装置について説明する。第4実施形態に係る半導体装置冷却装置100は、冷却部材120及び伝熱部130の構成において、第1実施形態に係る半導体装置冷却装置100と相違する。それ以外の構成は、第1実施形態の構成と同様なので、説明を省略する。
【0053】
[4-1.冷却部材120及び伝熱部130の構成]
図10は、一実施形態に係る半導体装置冷却装置の構成を示す断面図である。図10には、図3と同様の断面図に加えて、冷却部材120を第1主面121と第2主面122との間の側面126の形状が示されている。図10に示すように、冷却部材120の側面126は、チャンバ110の円筒軸方向(D1)における位置によって幅(第1主面121と第2主面122との間の距離)が異なる。具体的には、側面126の幅は、冷凍機140に近いほど大きく、冷凍機140から離れるほど小さい。つまり、冷却部材120の上端における側面126の幅T1は、冷却部材120の下端における側面126の幅T2より小さい。冷却部材120の側面126の幅と同様に、伝熱部130の直径も、冷凍機140に近いほど大きく、冷凍機140から離れるほど小さい。つまり、伝熱部130の上端における幅T3は、伝熱部130の下端における幅T4より小さい。
【0054】
冷却部材120及び伝熱部130は、いずれも半導体装置101によって発生した熱を冷凍機140に伝達する。この構成によって半導体装置101の温度上昇が抑制される。図1に示すように、半導体装置101がD1方向に複数配置されているため、冷却部材120及び伝熱部130は、冷凍機140に近い部分ほど、半導体装置101によって発生した熱が多く伝達される。したがって、冷却部材120及び伝熱部130において、冷凍機140から遠い部分に比べて冷凍機140に近い部分の幅及び直径を大きくすることで、冷凍機140付近で熱が停滞することを抑制することができ、冷凍機140による冷却効率を向上させることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置冷却装置によると、効率良く半導体装置101を冷却することができる。
【0056】
[5.第5実施形態]
第5実施形態は、上記の第1実施形態~第4実施形態に係る半導体装置101の一例を示すメモリシステム1である。第5実施形態に係るメモリシステムは、例えば、半導体記憶装置としてのNAND型フラッシュメモリと、当該NAND型フラッシュメモリを制御するメモリコントローラと、を含む。
【0057】
[5-1.メモリシステム1の全体構成]
図11は、一実施形態に係るメモリシステムの構成を説明するためのブロック図である。図11に示すように、メモリシステム1は、メモリコントローラ10と、複数のメモリセルを含む不揮発性メモリ20とを備える。メモリシステム1は、ホスト30(Host)と接続可能である。図11では、メモリシステム1とホスト30とが接続された状態が示されている。ホスト30は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。
【0058】
不揮発性メモリ20は、複数のメモリチップ21を含む。メモリコントローラ10は複数のメモリチップ21の各々を制御する。具体的には、メモリコントローラ10は、メモリチップ21の各々に対してデータの書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作を実行する。複数のメモリチップ21の各々は、NANDバスを介してメモリコントローラ10に接続されている。
【0059】
各々のメモリチップ21は、複数のダイ22を含む。ダイ22は、メモリセルが形成されたウェハ単位を意味する。複数のダイ22が積層されることでメモリチップ21が構成されている。
【0060】
各々のダイ22には、複数のメモリブロック23が設けられている。メモリブロック23は一括消去が可能な単位である。メモリブロック23に設けられた全てのメモリセルトランジスタは同じソース線に接続されている。メモリブロック23の1つの単位を「物理ブロック」という場合がある。
【0061】
メモリブロック23は複数のページで構成されている。書き込み動作及び読み出し動作はページ単位で実行される。メモリ素子の最小単位であるメモリセルトランジスタを単に「メモリセル」という場合がある。物理ブロック中におけるメモリセルの位置を「物理アドレス」という場合がある。
【0062】
不揮発性メモリ20は、データを不揮発に記憶する不揮発性メモリであり、例えば、NAND型フラッシュメモリ(以下、単にNANDメモリという)である。以下の説明では、不揮発性メモリ20としてNANDメモリが用いられた場合を例示するが、不揮発性メモリ20として3次元構造フラッシュメモリ、ReRAM(Resistance Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等のNANDメモリ以外の半導体記憶装置を用いることができる。不揮発性メモリ20が半導体記憶装置であることは必須ではない。半導体記憶装置以外の種々の記憶媒体に対して本実施形態を適用することができる。
【0063】
メモリシステム1は、メモリコントローラ10と不揮発性メモリ20とが1つのパッケージとして構成されるメモリカード等であってもよく、SSD(Solid State Drive)等であってもよい。
【0064】
メモリコントローラ10は、例えばSoC(System On a Chip)として構成される半導体集積回路である。以下で説明するメモリコントローラ10の各構成要素の動作の一部又は全部はハードウェアによって実現されるが、CPU(Central Processing Unit)がファームウェアを実行することによって実現されてもよい。
【0065】
メモリコントローラ10は、ホスト30からの書き込み要求(ライトコマンド)に従って不揮発性メモリ20への書き込み動作を制御し、ホスト30からの読み出し要求(リードコマンド)に従って不揮発性メモリ20からの読み出し動作を制御し、ホスト30からの消去要求(イレースコマンド)に従って不揮発性メモリ20への消去動作を制御する。メモリコントローラ10は、プロセッサ11(Processor)、RAM12(Random Access Memory)、ROM13(Read Only Memory)、ランダマイザ14(Randomizer)、ECC回路15(ECC)、圧縮・伸張回路16(Compression/Decompression)、ホストインタフェース17(Host I/F)、及びメモリインタフェース18(Memory I/F)を備える。これらの機能ブロックは内部バス19で相互に接続されている。
【0066】
プロセッサ11は、メモリシステム1の各機能ブロックを統括的に制御する制御部である。プロセッサ11は、ホスト30からの要求(コマンド)をホストインタフェース17経由で受け付けた場合に、そのコマンドに応じた制御を行う。例えば、プロセッサ11は、ホスト30からのライトコマンドに応じて、不揮発性メモリ20へのデータの書き込み動作をメモリインタフェース18へ指示する。プロセッサ11は、ホスト30からのリードコマンドに応じて、不揮発性メモリ20からのデータの読み出し動作をメモリインタフェース18へ指示する。プロセッサ11は、ホスト30からのイレースコマンドに応じて、不揮発性メモリ20へのデータの消去動作をメモリインタフェース18へ指示する。
【0067】
プロセッサ11は、ホスト30からライトコマンドを受信した場合、RAM12に一時的に保持されている書き込み対象のデータに対して、不揮発性メモリ20上の記憶領域(メモリ領域)を決定する。すなわち、プロセッサ11は、データの書き込み先を管理する。ホスト30から受信したデータの論理アドレスと、当該データが格納された不揮発性メモリ20上のメモリ領域を示す物理アドレスと、の対応はアドレス変換テーブルに格納される。プロセッサ11は、ライトコマンドに応じた書き込み動作を実行する際に、書き込み動作が行われた時刻又はある基準時からの時間をRAM12に保持することができる。
【0068】
プロセッサ11は、ホスト30からリードコマンドを受信した場合、リードコマンドによって指定された論理アドレスを、上述のアドレス変換テーブルを用いて物理アドレスに変換し、当該物理アドレスからの読み出し動作をメモリインタフェース18へ指示する。プロセッサ11は、リードコマンドに応じた読み出し動作を実行する際に、読み出し動作が行われた時刻又はある基準時からの時間をRAM12に保持することができる。
【0069】
プロセッサ11は、ホスト30からイレースコマンドを受信した場合、イレースコマンドによって指定された論理アドレスを、上述のアドレス変換テーブルを用いて物理アドレスに変換し、当該物理アドレスに対する消去動作をメモリインタフェース18へ指示する。プロセッサ11は、イレースコマンドに応じた消去動作を実行する際に、消去動作が行われた時刻又はある基準時からの時間をRAM12に保持することができる。
【0070】
NANDメモリでは、一般に、「ページ」と呼ばれるデータ単位で書き込み動作及び読み出し動作が実行され、上記の物理ブロックのデータ単位で消去が実行される。以下の説明において、「ページ」は書き込み動作における最小単位を意味する。同一のワード線に接続される複数のメモリセルを「メモリセルグループ」という。メモリセルがSLC(Single Level Cell)である場合は、1つのメモリセルグループによって1ページが構成される。1つのメモリセルグループによって2ページが構成されるMLC(Multi Level Cell)、1つのメモリセルグループによって3ページが構成されるTLC(Triple Level Cell)、又は1つのメモリセルグループによって4ページが構成されるQLC(Quad Level Cell)などの多ビットセルである場合、1つのメモリセルグループが複数ページに対応する。各メモリセルはワード線及びビット線の両方に接続される。したがって、ワード線を識別するアドレスとビット線を識別するアドレスとを用いて各メモリセルを識別することが可能である。
【0071】
RAM12は、例えばデータバッファとして使用され、メモリコントローラ10がホスト30から受信したデータを不揮発性メモリ20へ格納させるまでに一時的に保持する。RAM12は、不揮発性メモリ20から読み出したデータをホスト30へ送信するまでの間に一時的に保持する。RAM12として、例えば、SRAM又はDRAMなどの汎用メモリを用いることができる。
【0072】
ROM13は、メモリコントローラ10を動作させるための種々のプログラムやパラメータ等を格納する。ROM13に格納されているプログラムやパラメータ等は、必要に応じてプロセッサ11に読み出されて実行される。
【0073】
ランダマイザ14は、例えば線形帰還シフトレジスタ等を含み、入力されたシード値に対して一義的に求められる擬似乱数を生成する。ランダマイザ14によって生成された擬似乱数は、例えばプロセッサ11において書き込みデータとの排他的論理和が計算された値である。これにより、不揮発性メモリ20に書き込まれる書き込みデータがランダマイズされる。ランダマイザ14は不揮発性メモリ20から読み出されたデータに対するランダマイズの解除を実行する。ランダマイズの解除とは、ランダマイズされたデータからランダマイズ前の元のデータを得ることである。
【0074】
ECC回路15は、プロセッサ11からの指示に基づいて、書き込み動作時のECC符号化(誤り訂正符号化)及び読み出し動作時のECC復号(誤り訂正復号)を実行する。ECC回路15の符号化方式として、例えば、LDPC(Low-Density Parity-Check)符号、BCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号、又はRS(Reed-Solomon)符号を用いた符号化方式を採用することができる。
【0075】
圧縮・伸張回路16は、不揮発性メモリ20へ書き込むデータを圧縮する符号化部として動作する。圧縮・伸張回路16は、不揮発性メモリ20から読み出されたデータを伸張する復号部としても動作する。
【0076】
ホストインタフェース17は、ホスト30とホストインタフェース17との間のインタフェース規格に従った処理を実行する。ホストインタフェース17は、ホスト30から受信したコマンド及び書き込み対象のデータなどを内部バス19に出力する。ホストインタフェース17は、不揮発性メモリ20から読み出され、圧縮・伸張回路16によって伸張されたデータをホスト30へ送信する。ホストインタフェース17は、プロセッサ11からの応答などをホスト30へ送信する。
【0077】
メモリインタフェース18は、プロセッサ11の指示に基づいて、不揮発性メモリ20への書き込み動作及び消去動作を実行する。メモリインタフェース18は、プロセッサ11の指示に基づいて、不揮発性メモリ20からの読み出し動作を実行する。
【0078】
[5-2.メモリシステム1の動作]
以上のような構成を備えるメモリシステム1では、プロセッサ11は、不揮発性メモリ20への書き込み動作実行時に、圧縮・伸張回路16に対してデータの圧縮を指示する。その際、プロセッサ11は、不揮発性メモリ20における書き込みデータの記憶場所(記憶アドレス)を決定し、決定した記憶アドレスをメモリインタフェース18へ指示する。圧縮・伸張回路16は、プロセッサ11からの指示に基づいて、RAM12上のデータを圧縮する。ランダマイザ14は、プロセッサ11からの指示に基づいて、RAM12上の圧縮されたデータをランダマイズする。ECC回路15は、プロセッサ11からの指示に基づいて、ランダマイズされたデータをさらにECC符号化する。これにより生成された書き込みデータは、メモリインタフェース18を介して不揮発性メモリ20の指定された記憶アドレスに書き込まれる。
【0079】
一方、プロセッサ11は、不揮発性メモリ20に対する読み出し動作時に、不揮発性メモリ20上のアドレスを指定し、指定されたアドレスに応じてメモリセルの読み出し動作の条件を決定してメモリインタフェース18へ読み出し動作の実行を指示する。プロセッサ11は、ECC回路15へECC復号の開始を指示するとともに、ランダマイザ14へランダマイズの解除の開始を指示し、圧縮・伸張回路16へ伸張の開始を指示する。メモリインタフェース18は、プロセッサ11の指示に従って、不揮発性メモリ20の指定されたアドレスに対する読み出し動作を実行し、この読み出し動作によって得られた読み出しデータをECC回路15に入力する。ECC回路15は入力された読み出しデータをECC復号する。ランダマイザ14はECC復号されたデータに対してランダマイズの解除を実行する。圧縮・伸張回路16はランダマイズの解除が実行されたデータを伸張する。この伸張に成功した場合、プロセッサ11は、伸張されたオリジナルのデータをRAM12に格納する。一方、ECC復号またはランダマイズの解除または伸張に失敗した場合、プロセッサ11は、例えば、ホスト30へリードエラーを通知する。
【0080】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の半導体装置冷却装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0081】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0082】
1:メモリシステム、 10:メモリコントローラ、 11:プロセッサ、 12:RAM、 13:ROM、 14:ランダマイザ、 15:ECC回路、 16:圧縮・伸張回路、 17:ホストインタフェース、 18:メモリインタフェース、 19:内部バス、 20:不揮発性メモリ、 21:メモリチップ、 22:ダイ、 23:メモリブロック、 30:ホスト、 100:半導体装置冷却装置、 101:半導体装置、 102:プリント基板、 110:チャンバ、 111:第1チャンバ、 112:第2チャンバ、 113:間仕切り部、 115:第1フランジ、 116:第2フランジ、 119:蓋部、 120:冷却部材、 121:第1主面、 122:第2主面、 123:第1板状部材、 124:第2板状部材、 125:蓄冷部材、 126:側面、 127:第1面、 128:第2面、 130:伝熱部、 140:冷凍機、 141:天板、 150:コネクタ、 151:配線、 160:温度計、 170:ヒータ、 180:制御部、 200:ロードロックチャンバ、 210:ロードロックドア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11