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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080484
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】印刷物及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/00 20060101AFI20240606BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20240606BHJP
   G09F 13/12 20060101ALI20240606BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240606BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240606BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B41M3/00 Z
G09F13/04 J
G09F13/12
G09F9/00 313
B32B27/00 E
B32B27/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193720
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】舩木 速人
(72)【発明者】
【氏名】武田 忠
【テーマコード(参考)】
2H113
4F100
5C096
5G435
【Fターム(参考)】
2H113AA06
2H113BA03
2H113BA05
2H113BA09
2H113BB07
2H113BB09
2H113BB22
2H113CA05
2H113CA33
2H113CA36
2H113CA46
2H113DA03
2H113DA15
2H113DA53
2H113DA57
2H113DA58
2H113DA62
2H113EA07
2H113EA10
4F100AA21B
4F100AA37C
4F100AC05B
4F100AK01B
4F100AK01E
4F100AK42A
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CA13B
4F100CA13E
4F100GB41
4F100HB00B
4F100HB00E
4F100HB31
4F100JL10B
4F100JL10D
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN01D
4F100JN08C
4F100YY00B
4F100YY00E
5C096AA01
5C096BA01
5C096CA02
5C096CB07
5C096FA05
5G435AA01
5G435BB12
5G435EE03
5G435HH01
(57)【要約】
【課題】絵柄の解像度の低下を抑制しつつ、絵柄印刷層の塗膜性能の低下を抑制する印刷物を提供する。
【解決手段】印刷物2は、第1透光性基材4と第1絵柄印刷層10とを備える。第1絵柄印刷層10は、第1透光性基材4の一方の面上に形成され、第1バインダー11と第1バインダー11の内部に分散された第1干渉顔料12とを含む。第1干渉顔料12は、5μm~60μmの粒径範囲を含み、第1干渉顔料12の含有率は、第1バインダー11を100重量部とした場合、0.05重量部~20重量部の範囲内である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基材と第1絵柄印刷層とを備える印刷物であって、
前記第1絵柄印刷層は、前記透光性基材の一方の面上に形成され、第1バインダーと前記第1バインダーの内部に分散された第1干渉顔料とを含み、
前記第1干渉顔料は、5μm~60μmの粒径範囲を含み、
前記第1干渉顔料の含有率は、前記第1バインダーを100重量部とした場合、0.05重量部~20重量部の範囲内である、印刷物。
【請求項2】
前記第1干渉顔料は、二酸化チタン被覆雲母を含む干渉顔料である、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記第1干渉顔料の含有率は、前記第1バインダーを100重量部とした場合、0.05重量部~10重量部の範囲内である、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項4】
前記第1絵柄印刷層の上に設けられた透過率調整層を更に備える、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項5】
前記第1絵柄印刷層は、前記第1バインダーの内部に分散された着色材を更に含み、
前記着色材の含有率は、前記第1バインダーを100重量部とした場合、0.01重量部~1重量部の範囲内である、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項6】
前記第1絵柄印刷層の面上に形成され、干渉顔料を含まず、可視光透過性を有する着色層を更に備える、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項7】
前記第1絵柄印刷層の上に設けられた少なくとも1層の第2絵柄印刷層を更に備え、
前記第2絵柄印刷層は、第2バインダーと前記第2バインダーの内部に分散された第2干渉顔料とを含み、
前記第2干渉顔料の粒径範囲は、5μm~60μmの粒径範囲を含み、
前記第2干渉顔料の含有率は、前記第2バインダーを100重量部とした場合、0.05重量部~20重量部の範囲内である、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項8】
全光線透過率が30%~70%の範囲内である、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の印刷物と、
光源と、を備える、表示装置。
【請求項10】
前記光源は、ディスプレイ装置である、
請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁等の装飾用シートとして、基材と、基材の表面に設けられた印刷層とを備え、印刷層が木目柄や抽象柄などの絵柄を有する印刷物が知られている。この印刷物が設けられた壁面においては、常時、上記絵柄が視認される。一方、印刷物の裏面側に設置された光源の使用の有無によって、視認される柄が変化することが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1は、印刷層の下に光源を備えた印刷物であって、光源が消灯しているとき、RGB干渉顔料で構成された印刷層の反射光による図柄が視認され、他方、光源が点灯しているとき、CMY印刷層の透過光による図柄が視認される印刷物を開示している(特許文献1の図11参照)。また、特許文献2は、干渉顔料を使用した二つの図柄を有し、裏面側の画像が表示されていないとき、図柄が視認され、裏面側の画像が表示されているとき、当該画像が視認される加飾シートを開示している(特許文献2の図1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5725581号公報
【特許文献2】特許第6839319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の印刷物は、第1色パターン層、第2色パターン層、及び第3色パターン層を備えており、各パターン層(絵柄印刷層)がバインダーとバインダーの内部に分散された干渉顔料とによって構成されている。この印刷物等において、干渉顔料の粒径によっては、図柄(絵柄)の解像度が低下して、絵柄の階調表現が悪化するおそれがある。さらに、この印刷物等において、バインダーの内部には干渉顔料が分散されているため、干渉顔料が絵柄印刷層の塗膜性能を劣化させるおそれがある。この場合、絵柄印刷層の密着性や成形性が低下する。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、絵柄の解像度の低下を抑制しつつ、絵柄印刷層の塗膜性能の低下を抑制する印刷物及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、一側面として、透光性基材と第1絵柄印刷層とを備える印刷物に関する。この印刷物では、第1絵柄印刷層は、透光性基材の一方の面上に形成され、第1バインダーと第1バインダーの内部に分散された第1干渉顔料とを含み、第1干渉顔料は、5μm~60μmの粒径範囲を含み、第1干渉顔料の含有率は、第1バインダーを100重量部とした場合、0.05重量部~20重量部の範囲内である。
【0008】
この印刷物では、第1干渉顔料が60μm以下の粒径範囲を含むため、第1絵柄印刷層における絵柄の解像度が低下することを抑制できる。さらに、この印刷物では、第1干渉顔料の含有率が20重量部以下の範囲内であるため、第1絵柄印刷層の塗膜性能が低下することを抑制できる。したがって、この印刷物によれば、第1絵柄印刷層における絵柄の解像度の低下を抑制しつつ、第1絵柄印刷層の塗膜性能の低下を抑制できる。
【0009】
[2]上記[1]の印刷物では、第1干渉顔料は、二酸化チタン被覆雲母を含む干渉顔料であってもよい。この場合、二酸化チタン膜の膜厚及び透過率を調整することにより、干渉光の波長を調整することができる。また、雲母表面の平滑性を高めることによって、輝度感を向上させることができる。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]の印刷物では、第1干渉顔料の含有率は、第1バインダーを100重量部とした場合、0.05重量部~10重量部の範囲内であってもよい。第1干渉顔料の含有率が10重量部以下の範囲内である場合、第1絵柄印刷層の塗膜性能が低下することをより抑制できる。
【0011】
[4]上記[1]~[3]のいずれかの印刷物は、第1絵柄印刷層の上に設けられた透過率調整層を更に備えてもよい。この場合、第1絵柄印刷層の発色性がより優れる。
【0012】
[5]上記[1]~[4]のいずれかの印刷物では、第1絵柄印刷層は、第1バインダーの内部に分散された着色材を更に含み、着色材の含有率は、第1バインダーを100重量部とした場合、0.01重量部~1重量部の範囲内であってもよい。第1絵柄印刷層が着色材を含む場合、第1絵柄印刷層における絵柄の色域を所望の色域へ変更することができる。着色材の含有率が1重量部以下の範囲内である場合、第1絵柄印刷層の透過性が低下することを抑制できる。
【0013】
[6]上記[1]~[5]のいずれかの印刷物は、第1絵柄印刷層の面上に形成され、干渉顔料を含まず、可視光透過性を有する着色層を更に備えてもよい。この場合、第1絵柄印刷層における絵柄の色域を所望の色域へ変更することができる。
【0014】
[7]上記[1]~[6]のいずれかの印刷物は、第1絵柄印刷層の上に設けられた少なくとも1層の第2絵柄印刷層を更に備え、第2絵柄印刷層は、第2バインダーと第2バインダーの内部に分散された第2干渉顔料とを含み、第2干渉顔料の粒径範囲は、5μm~60μmの粒径範囲を含み、第2干渉顔料の含有率は、第2バインダーを100重量部とした場合、0.05重量部~20重量部の範囲内であってもよい。この場合、第1絵柄印刷層の絵柄と第2絵柄印刷層の絵柄とを組み合わせることにより、多様な絵柄を表現することができる。また、第2干渉顔料が60μm以下の粒径範囲を含む場合、第2絵柄印刷層における絵柄の解像度が低下することを抑制できる。さらに、第2干渉顔料の含有率が20重量部以下の範囲内である場合、第2絵柄印刷層の塗膜性能が低下することを抑制できる。
【0015】
[8]上記[1]~[7]のいずれかの印刷物では、全光線透過率が30%~70%の範囲内であってもよい。全光線透過率が30%以上である場合、印刷物が画面の前方に置かれた際、画面の画像の光によって第1絵柄印刷層が視認しにくくなり、画像がより鮮明に視認される。全光線透過率が70%以下である場合、画面が黒色であっても、第1絵柄印刷層の絵柄が暗く見えることを抑制できる。
【0016】
[9]本発明は、別の側面として、表示装置に関する。この表示装置は、上記[1]~[8]のいずれかの印刷物と、光源と、を備える。この表示装置によれば、光源が点灯していない場合は、第1絵柄印刷層の絵柄が視認され、光源が点灯している場合は、光源からの透過光(パターン表示、映像表示等)が視認される。
【0017】
[10]上記[9]の表示装置では、光源は、ディスプレイ装置であってもよい。この表示装置によれば、ディスプレイが点灯していない場合は、第1絵柄印刷層の絵柄が視認され、ディスプレイが点灯している場合は、ディスプレイからの透過光(パターン表示、映像表示等)が視認される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、絵柄の解像度の低下を抑制しつつ、絵柄印刷層の塗膜性能の低下を抑制する印刷物及び表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、図1に示す表示装置が備える第1絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。
図3図3は、第2実施形態に係る印刷物が備える第1絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。
図4図4は、第3実施形態に係る印刷物が備える第1絵柄印刷層及び着色層を模式的に示す断面図である。
図5図5は、第4実施形態に係る印刷物が備える第1絵柄印刷層及び第2絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。
図6図6は、第5実施形態に係る印刷物を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る表示装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す表示装置が備える第1絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。表示装置1は、図1に示すように、印刷物2と、光源3とを備える。印刷物2は、絵柄を表現するためのシートであり、第1透光性基材4(透光性基材)と、第1絵柄印刷層10と、透過率調整層20と、を備える。印刷物2は、光源3の前方(視認者と光源3との間)に設けられる。印刷物2は、全光線透過性を有する。このため、光源3の電源がONの際は、視認者は、印刷物2を透過した光源3からの光を視認でき、光源3の電源がOFFの際は、視認者は、印刷物2が表現する絵柄を視認することができる。光源3は、例えば、ディスプレイ装置である。
【0022】
第1透光性基材4は、可視光透過性を有する基材である。第1透光性基材4は、例えば、透明性を有する樹脂製である。透明性を有する樹脂としてPET、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。第1透光性基材4は、ガラス基材であってもよい。第1透光性基材4の厚さは、例えば、25μm~250μmである。ガラス基材の場合は、例えば、数mm~10mm程度である。なお、必要に応じて、第1透光性基材4の表面側(第1絵柄印刷層10とは反対側)に表面保護層を設けていてもよい。
【0023】
第1絵柄印刷層10は、印刷物2の絵柄を表現する層である。第1絵柄印刷層10は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第1透光性基材4の一方の面4a上に設けられる。第1絵柄印刷層10は、第1バインダー11と第1バインダー11の内部に分散された第1干渉顔料12とを含んでいる。第1干渉顔料12の含有率は、第1バインダー11を100重量部とした場合、例えば、0.05重量部~20重量部の範囲内である。第1干渉顔料12の含有率は、0.05重量部~10重量部の範囲内であることが好ましい。
【0024】
第1バインダー11としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。第1絵柄印刷層10の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、第1絵柄印刷層10には硬化剤を含有させてもよい。この場合、第1絵柄印刷層10の耐熱性、及び、第1絵柄印刷層10の第1透光性基材4への密着性を向上させることができる。
【0025】
第1干渉顔料12は、可視光透過性を有する薄片(不図示)と、当該薄片を被覆する金属酸化膜(不図示)とから構成される。第1透光性基材4側から第1絵柄印刷層10への入射光のうち金属酸化膜の表面において反射される光と、金属酸化膜内を通過し、薄片の表面において反射される光とが干渉し、干渉光が生成される。金属酸化膜の膜厚と金属酸化膜の屈折率とを調整することにより、所望の波長を有する干渉光を生成できる。
【0026】
第1干渉顔料12は、例えば、二酸化チタン被覆雲母である。第1干渉顔料12を構成する薄片は、雲母以外であってもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、ポリケイ酸塩であってもよい。第1干渉顔料12を構成する金属酸化膜は、二酸化チタン以外であってもよく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズであってもよい。
【0027】
第1干渉顔料12は、5μm~60μmの粒径範囲を含んでいる。第1干渉顔料12の粒径が5μm以上である場合、第1絵柄印刷層10における絵柄を良好にすることができる。第1干渉顔料12の粒径が60μm以下である場合、第1絵柄印刷層10における絵柄の解像度が低下することを抑制できる。第1干渉顔料12の粒径範囲は、5μm~40μmであってもよく、5μm~25μmであってもよい。この場合、第1絵柄印刷層10における絵柄の解像度が低下することをより抑制できる。ここで、「粒径」とは、粒子断面の最長径を意味する。
【0028】
第1干渉顔料12からは、第1絵柄印刷層10へ入射光Lが入射することにより、第1干渉光13が生成される。第1干渉顔料12は、例えば、白色干渉顔料(ホワイトパール顔料)であってもよい。この場合、第1干渉光13は、白色を示す。第1干渉顔料12は、他の色の干渉顔料、例えば、赤色干渉顔料、緑色干渉顔料、又は、青色干渉顔料であってもよい。
【0029】
透過率調整層20は、印刷物2を透過する視点手前側からの光を減衰させる機能を有している。透過率調整層20は、図1に示すように、第1絵柄印刷層10上に設けられる。透過率調整層20は、所望の透過率に調整することができれば、種々の色インキを使用した印刷層として形成されてもよく、もしくは、金属蒸着層として形成されてもよい。透過率調整層20を印刷層として形成する場合、透過率調整層20は、ビニル系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系等の樹脂バインダーにカーボンブラックを少量分散させたインキを用いて、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第1絵柄印刷層10上に設けることができる。透過率調整層20を金属蒸着層として形成する場合、透過率調整層20に使用する金属は、蒸着層として形成した際に光透過性を有し、かつ、第1絵柄印刷層10の下地としても機能するものであればよい。透過率調整層20に使用する金属としては、アルミ系、スズ系、クロム系、金系、白金系、イリジウム系、ロジウム系、パラジウム系、銀系等の金属材料が挙げられる。また、金属酸化物を使用することもできる。透過率調整層20の厚さは、スクリーン印刷等の印刷方式により設ける場合、例えば、1μm~10μmである。
【0030】
印刷物2の全光線透過率は、例えば、30%~70%である。ここでいう全光線透過率は分光光度計(例えば、(株)島津製作所製、分光光度計UV-2100)を使用して全光線透過率を測定した値を意味する。
【0031】
以上に説明した第1実施形態に係る印刷物2では、第1干渉顔料12が60μm以下の粒径範囲を含んでいる。このため、第1絵柄印刷層10における絵柄の解像度が低下することを抑制できる。さらに、印刷物2では、第1干渉顔料12の含有率が20重量部以下の範囲内であるため、第1絵柄印刷層10の塗膜性能が低下することを抑制できる。したがって、印刷物2によれば、第1絵柄印刷層10における絵柄の解像度の低下を抑制しつつ、第1絵柄印刷層10の塗膜性能の低下を抑制できる。
【0032】
第1実施形態では、第1干渉顔料12は、二酸化チタン被覆雲母を含む干渉顔料である。これにより、二酸化チタン膜の膜厚及び透過率を調整することにより、干渉光の波長を調整することができる。また、雲母表面の平滑性を高めることによって、輝度感を向上させることができる。
【0033】
第1実施形態では、第1干渉顔料12の含有率は、第1バインダー11を100重量部とした場合、0.05重量部~10重量部の範囲内であってもよい。第1干渉顔料12の含有率が10重量部以下の範囲内である場合、第1絵柄印刷層の塗膜性能が低下することをより抑制できる。
【0034】
第1実施形態では、第1絵柄印刷層10の上に設けられた透過率調整層20を備えている。このため、第1絵柄印刷層10の発色性がより優れる。
【0035】
第1実施形態では、印刷物2の全光線透過率が30%~70%である。全光線透過率が30%以上であるため、印刷物2が画面の前方に置かれた際、画面の画像の光によって第1絵柄印刷層10が視認しにくくなり、画像がより鮮明に視認される。全光線透過率が70%以下であるため、画面が黒色であっても、第1絵柄印刷層10の絵柄が暗く見えることを抑制できる。
【0036】
第1実施形態では、表示装置1は、印刷物2と、光源3と、を備える。表示装置1によれば、光源3が点灯していない場合は、第1絵柄印刷層10の絵柄が視認され、光源3が点灯している場合は、光源3からの透過光(パターン表示、映像表示等)が視認される。
【0037】
第1実施形態では、光源3は、ディスプレイ装置であってもよい。この場合、ディスプレイが点灯していない場合は、第1絵柄印刷層10の絵柄が視認され、ディスプレイが点灯している場合は、ディスプレイからの透過光(パターン表示、映像表示等)が視認される。
【0038】
[第2実施形態]
以下では、図3を参照しながら、第2実施形態に係る印刷物2Aを説明する。なお、第2実施形態の説明において上記第1実施形態と重複する記載は省略し、上記第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に上記第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0039】
図3は、第2実施形態に係る印刷物が備える第1絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。印刷物2Aは、第1透光性基材4と、第1透光性基材4の面4a上に設けられた第1絵柄印刷層10Aと、第1絵柄印刷層10Aの上に設けられた透過率調整層20とを備える。なお、図3において、第1透光性基材4及び透過率調整層20の図示を省略している。
【0040】
第1絵柄印刷層10Aは、第1バインダー11と、第1バインダー11の内部に分散された第1干渉顔料12と、第1バインダー11の内部に分散された着色材14とを含んでいる。着色材14の含有率は、第1バインダー11を100重量部とした場合、例えば、0.01重量部~1重量部の範囲内である。着色材14としては、例えば、公知の有機顔料や無機顔料、染料を使用することができる。有機顔料としては、例えば、溶性・不溶性アゾ顔料、高分子量アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、メチン・アゾメチン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、弁柄、バーミリオンレッド、カドミウムレッド、チタンイエロー、黄鉛、鉄黄、群青、紺青、コバルトブルー、緑青、鉄黒、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、アンチモン白等が挙げられる。染料としては、例えば、天然染料、油溶染料、酸性染料、塩基性染料等が挙げられる。
【0041】
以上に説明した印刷物2Aの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。さらに、第2実施形態では、第1絵柄印刷層10Aは、第1バインダー11の内部に分散された着色材14を含み、着色材14の含有率は、第1バインダー11を100重量部とした場合、0.01重量部~1重量部の範囲内である。第1絵柄印刷層10Aが着色材14を含むため、第1絵柄印刷層10Aにおける絵柄の色域を所望の色域へ変更することができる。着色材14の含有率が1重量部以下の範囲内であるため、第1絵柄印刷層10Aの透過性が低下することを抑制できる。
【0042】
[第3実施形態]
以下では、図4を参照しながら、第3実施形態に係る印刷物2Bを説明する。なお、第3実施形態の説明において上記第1、第2実施形態と重複する記載は省略し、上記第1、第2実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第3実施形態に上記第1、第2実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0043】
図4は、第2実施形態に係る印刷物が備える第1絵柄印刷層及び着色層を模式的に示す断面図である。印刷物2Bは、第1透光性基材4と、第1透光性基材4の面4a上に設けられた第1絵柄印刷層10と、第1絵柄印刷層10の上に設けられた着色層25と、着色層25の上に設けられた透過率調整層20とを備える。なお、図4において、第1透光性基材4及び透過率調整層20の図示を省略している。
【0044】
着色層25は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第1絵柄印刷層10の上に設けられる。着色層25は、バインダー26とバインダー26の内部に分散された着色材27とを含んでいる。着色材27の含有率は、バインダー26を100重量部とした場合、例えば、0.01重量部~1重量部の範囲内である。バインダー26としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。着色材27としては、例えば、公知の有機顔料や無機顔料、染料を使用することができる。有機顔料としては、例えば、溶性・不溶性アゾ顔料、高分子量アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、メチン・アゾメチン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、弁柄、バーミリオンレッド、カドミウムレッド、チタンイエロー、黄鉛、鉄黄、群青、紺青、コバルトブルー、緑青、鉄黒、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、アンチモン白等が挙げられる。染料としては、例えば、天然染料、油溶染料、酸性染料、塩基性染料等が挙げられる。着色層25は、干渉顔料を含んでいない。このような材料構成とすることにより、着色層25が可視光透過性を有する。着色層25の厚さは、例えば、1μm~10μmである。
【0045】
以上に説明した印刷物2Bの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。さらに、第3実施形態では、印刷物2Bは、第1絵柄印刷層10の面上に形成され、干渉顔料を含まず、可視光透過性を有する着色層25を備えている。このため、第1絵柄印刷層10における絵柄の色域を所望の色域へ変更することができる。
【0046】
[第4実施形態]
以下では、図5を参照しながら、第4実施形態に係る印刷物2Cを説明する。なお、第4実施形態の説明において上記第1~第3実施形態と重複する記載は省略し、上記第1~第3実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第4実施形態に上記第1~第3実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0047】
図5は、第4実施形態に係る印刷物が備える第1絵柄印刷層及び第2絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。印刷物2Cは、第1透光性基材4と、第1透光性基材4の面4a上に設けられた第1絵柄印刷層10と、第1絵柄印刷層10の上に設けられた第2絵柄印刷層30と、第2絵柄印刷層30の上に設けられた透過率調整層20とを備える。なお、図5において、第1透光性基材4及び透過率調整層20の図示を省略している。
【0048】
第2絵柄印刷層30は、第1絵柄印刷層10と共に印刷物2Cの絵柄を表現する層である。第2絵柄印刷層30は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第1絵柄印刷層10の上に設けられる。第2絵柄印刷層30は、第2バインダー31と第2バインダー31の内部に分散された第2干渉顔料32とを含んでいる。第2干渉顔料32の含有率は、第2バインダー31を100重量部とした場合、例えば、0.05重量部~20重量部の範囲内である。第2干渉顔料32の含有率は、0.05重量部~10重量部の範囲内であってもよい。
【0049】
第2バインダー31としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。第2絵柄印刷層30の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、第2絵柄印刷層30には硬化剤を含有させてもよい。この場合、第2絵柄印刷層30の耐熱性、及び、第2絵柄印刷層30の第1絵柄印刷層10への密着性を向上させることができる。
【0050】
第4実施形態では、第2干渉顔料32は、可視光透過性を有する薄片(不図示)と、当該薄片を被覆する金属酸化膜(不図示)とから構成される。第1透光性基材4側から第2絵柄印刷層30への入射光のうち金属酸化膜の表面において反射される光と、金属酸化膜内を通過し、薄片の表面において反射される光とが干渉し、干渉光が生成される。金属酸化膜の膜厚と金属酸化膜の屈折率とを調整することにより、所望の波長を有する干渉光を生成できる。
【0051】
第4実施形態では、第2干渉顔料32は、例えば、二酸化チタン被覆雲母である。第2干渉顔料32を構成する薄片は、雲母以外であってもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、ポリケイ酸塩であってもよい。第2干渉顔料32を構成する金属酸化膜は、二酸化チタン以外であってもよく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズであってもよい。
【0052】
第2干渉顔料32は、5μm~60μmの粒径範囲を含んでいる。第2干渉顔料32の粒径が5μm以上である場合、第2絵柄印刷層30における絵柄を良好にすることができる。第2干渉顔料32の粒径が60μm以下である場合、第2絵柄印刷層30における絵柄の解像度が低下することを抑制できる。第2干渉顔料32の粒径範囲は、5μm~40μmであってもよく、5μm~25μmであってもよい。この場合、第2絵柄印刷層30における絵柄の解像度が低下することをより抑制できる。ここで、「粒径」とは、粒子断面の最長径を意味する。
【0053】
第2干渉顔料32からは、第2絵柄印刷層30へ入射光Lが入射することにより、第2干渉光33が生成される。第2干渉顔料32は、例えば、赤色干渉顔料(赤色パール顔料)であってもよい。この場合、第2干渉光33は、赤色を示す。
【0054】
以上に説明した印刷物2Cの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。さらに、第4実施形態では、印刷物2Cは、第1絵柄印刷層10の上に設けられた第2絵柄印刷層30を備え、第2絵柄印刷層30は、第2バインダー31と第2バインダー31の内部に分散された第2干渉顔料32とを含む。また、印刷物2Cでは、第2干渉顔料32の粒径範囲は、5μm~60μmの粒径範囲を含み、第2干渉顔料32の含有率は、第2バインダー31を100重量部とした場合、0.05重量部~20重量部の範囲内である。第1絵柄印刷層10の絵柄と第2絵柄印刷層30の絵柄とを組み合わせることにより、多様な絵柄を表現することができる。また、第2干渉顔料32が60μm以下の粒径範囲を含むため、第2絵柄印刷層30における絵柄の解像度が低下することを抑制できる。さらに、第2干渉顔料32の含有率が20重量部以下の範囲内であるため、第2絵柄印刷層30の塗膜性能が低下することを抑制できる。
【0055】
印刷物2Cでは、第2干渉顔料32の含有率は、第2バインダー31を100重量部とした場合、0.05重量部~10重量部の範囲内であってもよい。第2干渉顔料32の含有率が10重量部以下の範囲内である場合、第2絵柄印刷層30の塗膜性能が低下することをより抑制できる。
【0056】
[第5実施形態]
以下では、図6を参照しながら、第5実施形態に係る印刷物2Dを説明する。なお、第5実施形態の説明において上記第1~第4実施形態と重複する記載は省略し、上記第1~第4実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第5実施形態に上記第1~第4実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0057】
図6は、第5実施形態に係る印刷物を模式的に示す断面図である。印刷物2Dは、第1透光性基材4と、第1透光性基材4の面4a上に設けられた第1絵柄印刷層10と、第1絵柄印刷層10の上に設けられた透過率調整層20と、透過率調整層20の上に設けられた第2透光性基材40とを備える。
【0058】
第2透光性基材40は、可視光透過性を有する基材である。第2透光性基材40は、例えば、透明性を有する樹脂製である。透明性を有する樹脂としてPET、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。第2透光性基材40は、ガラス基材であってもよい。第2透光性基材40の厚さは、例えば、25μm~250μmである。ガラス基材の場合は、例えば、数mm~10mm程度である。
【0059】
以上に説明した印刷物2Dの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。さらに、第5実施形態では、印刷物2Dは、透過率調整層20の上に設けられた第2透光性基材40を備える。このため、第2透光性基材40により、透過率調整層20を保護することができる。
【0060】
本発明による表示装置及び印刷物は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記第4実施形態では、1層の第2絵柄印刷層が設けられていたが、複数の第2絵柄印刷層が設けられてもよい。この場合、複数の第2絵柄印刷層のそれぞれが含む第2干渉顔料のそれぞれは、互いに異なる色の干渉顔料であってもよい。
【0061】
[実施例]
以下、上記実施形態に係る印刷物の構成、及び、当該印刷物の構成による効果について、実施例に基づき説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
第1透光性基材として透明PETを使用し、第1透光性基材の一方の面に第1絵柄印刷層(木目柄)をスクリーン印刷により形成した。第1絵柄印刷層は、第1バインダー(ビニル系樹脂)と、第1バインダーの内部に分散された第1干渉顔料とにより構成されたインキを用いて形成した。第1干渉顔料として、粒径範囲が5μm~25μmである平板状のホワイトパール顔料を用いた。ホワイトパール顔料の含有率は、第1バインダーを100重量部とした場合、3重量部とした。さらに、第1絵柄印刷層の上に透過率調整層をスクリーン印刷により形成した。透過率調整層は、ビニル系樹脂バインダーと、当該バインダーの内部に少量分散されたカーボンブラックとにより構成されたインキを用いて形成した。この実施例に係る印刷物によれば、木目柄が高精細に表現されており、透明PETへの密着性も問題なかった。次に、この印刷物の裏面側(透過率調整層側)に液晶モニターを設置し、液晶モニターの電源がオンの状態とオフの状態の視認性を評価した。この時、印刷物と液晶モニターとの間の距離は2mmとした。結果としては、液晶モニターの電源をオンとした際は、液晶モニターに表示されている映像及び文字に対して絵柄の存在感が弱まり、映像及び文字を視認することができた。一方、液晶モニターの電源をオフとした際は、絵柄に対する黒色の液晶モニターの影響は低く、絵柄を視認することができた。
【符号の説明】
【0063】
1…表示装置、2,2A,2B,2C,2D…印刷物、3…光源、4…第1透光性基材(透光性基材)、10,10A…第1絵柄印刷層、11…第1バインダー、12…第1干渉顔料、14…着色材、20…透過率調整層、25…着色層、30…第2絵柄印刷層、31…第2バインダー、32…第2干渉顔料。
図1
図2
図3
図4
図5
図6