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  • 特開-プラント操業支援装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080495
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】プラント操業支援装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
G05B23/02 301Q
G05B23/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193736
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 時則
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA05
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF05
3C223FF09
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】
【課題】オペレータの経験や技量に関わらず手動介入の精度を向上させることが可能なプラント操業支援装置を提供する。
【解決手段】プラント操業支援装置は、プラントのプロセスに対応するプロセスモデルを用いて、プロセスのプロセス値の変化を予測する予測処理部を備える。予測処理部は、プロセス値が予め設定した閾値を超過すると予測された後、プラントのオペレータにより手動介入が実施された場合に、実施された手動介入を加味したプロセス値の変化を予測すると共に、実施された手動介入とは異なる手動介入を想定し、想定した手動介入を加味したプロセス値の変化も予測する。プラント操業支援装置は、実施された手動介入を加味したプロセス値の第1トレンドグラフと共に、想定した手動介入を加味したプロセス値の第2トレンドグラフを重畳表示する表示処理部を更に備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの操業を支援するプラント操業支援装置において、
前記プラントのプロセスに対応するプロセスモデルを用いて、前記プロセスのプロセス値の変化を予測する予測処理部を備え、
前記予測処理部は、前記プロセス値が予め設定した閾値を超過すると予測された後、前記プラントのオペレータにより手動介入が実施された場合に、実施された前記手動介入を加味した前記プロセス値の変化を予測すると共に、実施された前記手動介入とは異なる手動介入を想定し、想定した前記手動介入を加味した前記プロセス値の変化も予測し、
実施された前記手動介入を加味した前記プロセス値の第1トレンドグラフと共に、想定した前記手動介入を加味した前記プロセス値の第2トレンドグラフを重畳表示する表示処理部を更に備えるプラント操業支援装置。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記第1トレンドグラフ及び前記第2トレンドグラフが重畳表示されるトレンド画面とは異なる画面に、前記実施された前記手動介入の内容と、想定した前記手動介入の内容とを対比表示する請求項1に記載のプラント操業支援装置。
【請求項3】
前記予測処理部は、前記プロセス値が前記閾値を超過する始点を予測した後、前記手動介入の実施により前記閾値を超過しない終点を予測し、
前記表示処理部は、前記始点から前記終点までの区間における前記第1トレンドグラフ及び前記第2トレンドグラフを重畳表示する請求項1または請求項2に記載のプラント操業支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラントの操業を支援するプラント操業支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された運転支援装置は、火力発電プラント等のプラントから得られるプラントデータと、プラントシミュレータを用いて計算したシュミレータデータとを入力とし、所定のプロセス値とその目標値との偏差を指標として制御パラメータの値を修正するパラメータ修正手段を備える。
【0003】
プラントシミュレータの1つであるダイナミックシミュレータは、プロセスモデルを用いてプロセス値の動的挙動予測を行う機能を持つ。運転支援装置は、プロセス値が目標値になるように、制御パラメータをフィードバック制御(例えばPID制御)している。
【0004】
ところで、上記フィードバック制御を実行しても、予測したプロセス値が予め決められた許容値を超えると予測される場合がある。この場合、アラームを発生し、プラントのオペレータに対してマニュアル制御の対応を促すことがある。マニュアル制御は、オペレータが制御パラメータを手動で操作する所謂手動介入である。手動介入は、下記特許文献2に開示された操作・監視手段を用いて行うことができる。手動介入を実施した後、オペレータは予測したプロセス値が許容した許容値を超えないことを確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4546332号
【特許文献2】特開2002-92584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、手動介入はオペレータの経験や技量に依存する部分が多いため、手動介入による制御パラメータの操作量やタイミングのような操作内容は必ずしも適切ではない。このため、操作内容の妥当性を評価し、次回の手動介入に反映させることで、オペレータの経験や技量に関わらず手動介入の精度を向上させることが望まれる。
【0007】
そこで、本開示は、オペレータの経験や技量に関わらず手動介入の精度を向上させることが可能なプラント操業支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の観点は、プラントの操業を支援するプラント操業支援装置に関連する。前記プラント操業支援装置は、前記プラントのプロセスに対応するプロセスモデルを用いて、前記プロセスのプロセス値の変化を予測する予測処理部を備える。前記予測処理部は、前記プロセス値が予め設定した閾値を超過すると予測された後、前記プラントのオペレータにより手動介入が実施された場合に、実施された前記手動介入を加味した前記プロセス値の変化を予測すると共に、実施された前記手動介入とは異なる手動介入を想定し、想定した前記手動介入を加味した前記プロセス値の変化も予測する。前記プラント操業支援装置は、実施された前記手動介入を加味した前記プロセス値の第1トレンドグラフと共に、想定した前記手動介入を加味した前記プロセス値の第2トレンドグラフを重畳表示する表示処理部を更に備える。
【0009】
第2の観点は、第1の観点に加えて次の特徴を更に有する。前記表示処理部は、前記第1トレンドグラフ及び前記第2トレンドグラフが重畳表示されるトレンド画面とは異なる画面に、前記前記実施された前記手動介入の内容と、想定した前記手動介入の内容とを対比表示する。
【0010】
第3の観点は、第1の観点または第2の観点に加えて次の特徴を更に有する。前記予測処理部は、前記プロセス値が前記閾値を超過する始点を予測した後、前記手動介入の実施により前記閾値を超過しない終点を予測する。前記表示処理部は、前記始点から前記終点までの区間における前記第1トレンドグラフ及び前記第2トレンドグラフを重畳表示する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、実際に実施された手動介入での第1トレンドグラフと、想定した手動介入での第2トレンドグラフとを重畳することにより、実施された手動介入の妥当性を評価することができる。オペレータは、手動介入の評価結果を次回の手動介入に反映させることができる。従って、オペレータの経験や技量に関わらず手動介入の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態によるプラント操業支援装置の構成例を示すブロック図である。
図2】プラントのオペレータにより実施される手動介入を説明する図である。
図3】手動介入の妥当性評価を説明する図である。
図4】プラント操業支援装置が有する処理回路のハードウェア構成例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。
【0014】
図1は、実施の形態によるプラント操業支援装置1の構成例を示すブロック図である。
【0015】
プラント操業支援装置1は、図示省略のプラントの操業を支援する。プラントは、例えば、公知のプロセスモデルを用いてプロセス値の動的挙動予測を行うことが可能な化学プラントである。化学プラントとしては、例えば、エチレン製造プラント、石油精製プラント、ポリマー製造プラント、ビール製造プラント等を例示することができる。
【0016】
プラント操業支援装置1は、実プロセス情報収集部2と、制御機器3と、センサ4と、HMI5と、表示処理部6と、予測処理部7と、プロセス予測情報収集部8を備える。
【0017】
実プロセス情報収集部2は、プロセス実測値データベース21と操作情報データベース22を有する。実プロセス情報収集部2は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)や分散型制御システム(DCS)に代表される制御機器3からプロセス値の実測値と制御機器3が制御対象に出力する制御値や制御パラメータを取得し、取得したプロセス実測値及び制御値や制御パラメータをプロセス実測値データベース21に格納する。制御機器3には、プラントに設置されたセンサ4により測定されたプロセス値の実測値を取得する。
【0018】
また、実プロセス情報収集部2は、プラントのオペレータによりHMI5を介して制御機器3に対する手動介入が行われた際に、その手動介入の操作内容(操作時刻を含む)を収集して操作情報データベース22に格納する。
【0019】
表示処理部6は、オペレータがプロセス実測値や制御値や制御パラメータの時系列変化を確認するために、トレンドグラフをHMI5に表示させることが可能である。HMI5は、後述するトレンド画面S1及び履歴画面S2を有する。
【0020】
予測処理部7は、プロセス実測値データベース21からプロセス実測値を取得し、取得したプロセス実測値を使用して、プロセスモデル71を基に予測機能72を実行する。プロセスモデル71は、プロセス値の動的挙動の予測に用いられる公知のものである。プロセス値は、例えば化学プラントにおける反応槽の原料入り口温度である。原料入り口温度としては、例えば、エチレン製造プラントにおける熱分解管の原料入り口温度、石油精製プラントにおける蒸留塔の原料入り口温度、ポリマー製造プラントにおける反応槽加熱用蒸気の入り口温度、ビール製造プラントにおける仕込み湯タンク用蒸気の入り口温度等を例示することができる。制御値は例えばプラントにおける各種のバルブの開度やヒータ等の出力等である。予測機能72は、予測値EVが予め設定した下限値LMを超過すると予測した時刻を、予測アラーム発生時刻taとする。予測アラーム発生時刻taは、プロセス予測値データベース81に格納される。
【0021】
また、予測アラームの発生後、実際のオペレータによる手動介入(図3に示す「MV+1.0%」参照)が実施されると、予測処理部7は、実施された手動介入を加味した予測値EVのパターンを予測する。予測した予測値EVのパターンは、手動介入の内容(図3に示す実施時刻「11:08,09,10,11」を含む)と併せて想定操作情報データベース82に格納される。ここで、手動介入とは制御値の変更や制御ゲイン、時定数等の制御パラメータの変更を含む。
【0022】
このとき、予測処理部7は、実際に実施された手動介入(MV+1.0%)とは異なる手動介入(図3に示す「MV+2.0」参照)が実施されると想定する。想定する手動介入は、例えば、実施された手動介入に、予め定めた係数(例えば、200%、50%等)を乗算することにより決定することができる。予測処理部7は、想定した手動介入を加味した予測値EVsのパターンを更に予測する。予測した予測値EVsのパターンを手動介入の内容(図3に示す実施時刻「11:08,09,10,11」を含む)と併せて、想定操作情報データベース82に格納する。なお、後述する処理回路10の性能に応じて、異なる手動介入を複数想定してもよい。例えば、2種の手動介入(MV+2.0,MV+0.5)を想定し、予測値EVsのパターンを夫々予測することもできる
【0023】
プロセス予測情報収集部8は、プロセス予測値データベース81と想定操作情報データベース82を有する。プロセス予測情報収集部8は、予測処理部7が予測したプロセス予測値や予測に使用した制御値や制御パラメータ等を収集してプロセス予測値データベース81に格納する。想定操作情報データベース82は、実施された手動介入の内容、想定された手動介入の内容、予測した予測値EVのパターン、予測した予測値EVsのパターンを格納する。
【0024】
次に、上記プラント操業支援装置1の動作について、プロセス値を設定値SVに制御する場合を例に説明する。
【0025】
図2は、プラントのオペレータにより実施される手動介入を説明する模式図である。図2は、プロセス値の推移を予測アラームの発生時点ta及び復帰時点trと共に示すグラフである。図2において、実線で示すPVは、プロセス値の実測値であり、二点鎖線で示すEVは、プロセス値の予測値である。また、LMは、プラントの品質を管理する上で許容されるプロセス値の下限値である。
【0026】
図2に示すように、実測値PVが制御目標値SVから下限値LMに向かって推移し、予測値EVが時刻tbで下限値LMよりも低くなると予測した時刻taにて、HMI5上で予測アラームを発生する。予測アラームを確認したオペレータは、予測値EVが下限値LMに到達しないように、制御値や制御パラメータ等を手動操作する手動加入を実施する。本実施の形態では、制御値や制御パラメータ等を反応槽に設けられたバルブMVの開度とし、手動介入はバルブMVの開度を+1.0%とする場合を例に説明する。
【0027】
手動介入を実施した後、予測値EVが下限値LMよりも低くならないことがオペレータにより確認された時刻trにて、HMI5上で予測アラームから通常状態に復帰される。ここで、前述したように、手動介入は、オペレータの経験や技量に依存する部分が多いため、操作内容の妥当性を評価し、次回の手動介入に反映させることが望ましい。
【0028】
上記プラント操業支援装置1は、手動介入の実施により予測アラームから復帰した後に、即ち、予測アラーム復帰時刻trが経過した後、実施した手動介入の妥当性を評価できる機能を有する。図3は、手動介入の妥当性評価を説明する図である。
【0029】
先ず、予測処理部7は、プロセス実測値データベース21から取得したプロセス値や制御値や制御パラメータを使用して、プロセスモデル71を基に予測機能72を実行する。これにより得られたプロセス値の予測値EVや予測に使用した制御値や制御パラメータは、プロセス予測情報収集部8のプロセス予測値データベース81に格納される。予測機能72は、管理対象のプロセス値について、予測値EVが予め設定した下限値LMを超過すると予測した時刻を、予測アラーム発生時刻taとしてプロセス予測値データベース81に格納する。
【0030】
予測アラーム発生時刻ta以降、オペレータによる手動介入(MV+1.0%)が実施されると、予測処理部7は、実施された手動介入を加味した予測値EVのパターンを予測し、予測した予測値EVのパターンを手動介入の内容(実施時刻「11:08,09,10,11」を含む)と併せて想定操作情報データベース82に格納する。
【0031】
このとき、予測処理部7は、実際に実施された手動介入(MV+1.0%)とは異なる手動介入(MV+2.0)が実施されると想定し、この想定した手動介入を加味した予測値EVsのパターンを予測し、予測した予測値EVsのパターンを手動介入の内容(実施時刻「11:08,09,10,11」を含む)と併せて想定操作情報データベース82にさらに格納する。なお、後述する処理回路10の性能に応じて、異なる手動介入を複数想定してもよい。例えば、2値の手動介入(MV+2.0,MV+0.5)を想定し、予測値EVsのパターンを夫々予測することもできる。これにより、妥当性評価の精度を高めることができる。また、複数の手動介入の想定とは、異なる種類の制御値や制御パラメータを選択可能にしてもよい。例えば、異なるバルブの開度の選択や、ゲインあるいは時定数の選択が可能としてもよいし、あるいは複数の種類の組み合わせが選択できるようにしてもよい。
【0032】
また、予測処理部7は、時刻ta以降で予測値EVが下限値LMを超過しないと予測した時刻を、予測アラーム復帰時刻trとしてプロセス予測値データベース81に格納する。
【0033】
オペレータは、プロセス実測値PVの時系列変化を確認するためトレンドグラフとしてHMI5に表示させることができる。
【0034】
初期表示状態としては、実プロセス情報収集部2に格納されたに格納されたプロセス実測値PVを基にトレンドグラフを表示する。このとき、予測アラーム発生時刻taから予測アラーム復帰時刻trまでの予測アラーム発生区間Opを囲んで表示する。オペレータが例えばカーソル操作により予測アラーム発生区間Opを選択すると、予測アラーム発生区間Opにおける実測値PVをハイライト表示し得る。なお、複数の予測アラーム発生区間Opが表示されてもよい。この場合、オペレータにより1つの予測アラーム発生区間Opを選択可能にすることで、各予測アラーム発生区間Opにおける手動介入評価が可能となる。
【0035】
表示処理部6は、選択された予測アラーム発生区間Opについて、図3に示すトレンド画面S1に、実測値PVの第1トレンドグラフGf1と予測値EVsの第2トレンドグラフGf2とを重畳表示する。このとき、手動介入を行わない場合の他のトレンドグラフGf3を併せて表示してもよい。第1トレンドグラフGf1及び第2トレンドグラフGf2における丸印及び三角印は、手動介入のタイミングを示している。
【0036】
尚、手動介入タイミングは、他の表示方法(例えば赤色で表示する等)で示すこともできる。また、2つのトレンドグラフGf1,Gf2は、手動介入タイミングが異なっているが、同一のタイミングとしてもよい。これによれば、手動介入のタイミングの評価を精度良く行うことができる。但し、予測値EVsの手動介入タイミングを減らすことで、格納するデータ量を減らすことができる。
【0037】
図3に示すように、トレンドグラフGf1,Gf2を重畳して表示するトレンド画面S1とは異なる履歴画面S2に、実際に実施された手動介入の履歴と、想定した手動介入の履歴とを対比表示する。これにより、オペレータは、手動介入の内容とトレンドグラフGf1,Gf2とを容易に関連付けることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、実際に実施した手動介入(MV+1.0%)での第1トレンドグラフと、想定した手動介入(MV+2.0%)での第2トレンドグラフとを重畳することにより、実施した手動介入(MV+1.0%)の妥当性を評価することができる。図3に示す例では、実施した手動介入(MV+1.0%)よりも想定した手動介入(MV+2.0%)の方が、より安定なプラント操業に繋がることが判る。オペレータは、手動介入の評価結果を次回の手動介入に反映させることができる。従って、オペレータの経験や技量に関わらず手動介入の精度を向上させることが可能となる。
【0039】
また、トレンドグラフGf1,Gf2の重畳表示に加えて、手動介入の履歴を対比表示することで、オペレータは、手動介入の内容とトレンドグラフGf1,Gf2とを容易に対応させることができる。その結果、手動介入の評価を短時間で行うことができる。
【0040】
また、選択された予測アラーム発生区間Opをハイライト表示することで、手動介入の評価を行う箇所を明確にすることができ、特に、予測アラーム発生区間Opが存在する場合に有利である。
【0041】
なお、上記プラント操業支援装置1の具体的構造に限定はないが、一例として次のようなものであってもよい。図4は、プラント操業支援装置1が有する処理回路10のハードウェア構成の一例を示す図である。張力制御装置11の機能は、図4に示す処理回路10により実現することができる。この処理回路10は、専用ハードウェア10aであってもよい。この処理回路10は、プロセッサ10b及びメモリ10cを備えていてもよい。この処理回路10は、一部が専用ハードウェア10aとして形成され、更にプロセッサ10b及びメモリ10cを備えていてもよい。図4の例は、処理回路10の一部が専用ハードウェア10aとして形成されると共に、処理回路10がプロセッサ10b及びメモリ10cをも備えている。このメモリ10cが、各データベース21,22,81,82を兼用することもできる。
【0042】
処理回路10の少なくとも一部が、少なくとも1つの専用ハードウェア10aであってもよい。この場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0043】
処理回路10が、少なくとも1つのプロセッサ10b及び少なくとも1つのメモリ10cを備えてもよい。この場合、張力制御装置11の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ10cに格納される。プロセッサ10bは、メモリ10cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
【0044】
プロセッサ10bは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPとも呼ばれる。メモリ10cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ等が該当する。このように、処理回路10は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、張力制御装置11の各機能を実現することができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。プラントは、化学プラントに限定されず、プロセスモデルを用いてプロセス値の動的挙動を予測できるプラントに本発明を適用することができる。
【0046】
また、上記実施の形態では、予測アラームから復帰した後に、手動介入の妥当性を評価する場合を例に説明したが、手動介入を実施した後であれば、予測アラームから復帰する前であっても妥当性評価が可能である。これによれば、速やかに評価結果を手動介入に反映させることができ、特に手動介入回数が比較的多い場合に有利である。
【0047】
また、上記実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、上述した実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【符号の説明】
【0048】
1…プラント操業支援装置、6…表示処理部、7…予測処理部、71…プロセスモデル、Gf1…第1トレンドグラフ、Gf2…第3トレンドグラフ、S1…トレンド画面、S2…履歴画面
図1
図2
図3
図4