(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080496
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】車両用撮影装置および光軸調整方法
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240606BHJP
H04N 23/58 20230101ALI20240606BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240606BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20240606BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240606BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240606BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20240606BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20240606BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20240606BHJP
【FI】
G03B17/56 A
H04N23/58
H04N23/55
H04N23/51
G03B30/00
G03B15/00 P
G03B15/02 V
G03B15/03
G03B15/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193744
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 叡
【テーマコード(参考)】
2H053
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H053CA41
2H053DA00
2H105AA14
5C122DA14
5C122EA58
5C122FA01
5C122FB11
5C122FB17
5C122FH11
5C122GD01
5C122GE01
5C122GE04
5C122GG04
5C122HA76
5C122HA78
5C122HA82
5C122HB01
5C122HB06
(57)【要約】
【課題】車載機器の筐体の角度調整を行った際に、カメラの光軸を適切に調整すること。
【解決手段】車両用撮影装置1は、車両に取り付けられる支柱と、支柱の支持軸を中心にして向きを変更可能な筐体と、筐体に配置されたカメラユニットの一例であるカメラと、カメラの光軸の向きを調整するアクチュエータ17と、支柱に車両のウィンドガラスを向いて配置された発光部15と、アクチュエータ17による調整を制御する調整制御部24とを備え、カメラ16は、発光部15から射出された光が、車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内に投射されて形成された指標を撮影し、調整制御部24は、カメラ16によって撮影された指標に基づいて、筐体の向きの変化に応じて光軸の向きの調整を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる支柱と、
前記支柱の支持軸を中心にして向きを変更可能な筐体と、
前記筐体に配置されたカメラユニットと、
前記カメラユニットの光軸の向きを調整する調整部と、
前記支柱に前記車両のウィンドガラスを向いて配置された発光部と、
前記調整部による調整を制御する調整制御部と、
を備え、
前記カメラユニットは、前記発光部から射出された光が、前記車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内に投射されて形成された指標を撮影し、
前記調整制御部は、前記カメラユニットによって撮影された指標に基づいて、前記筐体の向きの変化に応じて前記光軸の向きの調整を行う、
車両用撮影装置。
【請求項2】
前記筐体に配置され、前記筐体とともに前記支柱の支持軸を中心にして向きを変更可能な反射部、
を備える請求項1に記載の車両用撮影装置。
【請求項3】
前記発光部は、光の射出方向が前記ウィンドガラスに対して全反射の角度以下である、
請求項1に記載の車両用撮影装置。
【請求項4】
前記筐体の向きが変わったか否かを判定する判定部、
を備え、
前記発光部は、前記判定部が前記筐体の向きが変わったと判定する場合、光を射出する、
請求項1に記載の車両用撮影装置。
【請求項5】
車両に取り付けられる支柱と、
前記支柱の支持軸を中心にして向きを変更可能な筐体と、
前記筐体に配置されたカメラユニットと、
前記カメラユニットの光軸の向きを調整する調整部と、
前記支柱に前記車両のウィンドガラスを向いて配置された発光部と、
前記調整部による調整を制御する調整制御部と、
を備えた車両用撮影装置の光軸調整方法であって、
前記発光部から射出された光が、前記車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内に投射されて形成された指標を前記カメラユニットによって撮影し、
前記カメラユニットによって撮影された指標に基づいて、前記調整制御部によって、前記筐体の向きの変化に応じて前記光軸の向きの調整を行う、
光軸調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用撮影装置および光軸調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントガラスなどにマ-ク指標を設け、メモリから読み出したマーク指標の画像位置の基準となる画像位置情報と、新たに撮影されたマ-ク指標の画像位置情報とを比較して、車載カメラの光軸ずれを検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、カメラとミラーとが一体となったドライブレコーダのような車載機器がある。このような車載機器では、運転者がミラーの角度調整のために車載機器の筐体の向きを変えた場合、カメラとミラーとが一体であるので、カメラの光軸がずれて撮影範囲がずれる。その際、光軸ずれを調整する必要が生じるが、特許文献1に記載の技術では、フロントガラスの一部にマーク指標が設けられてしまうため、撮影範囲にマーク指標が常時映り込む。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車載機器の筐体の角度調整を行った際に、カメラの光軸を適切に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用撮影装置は、車両に取り付けられる支柱と、前記支柱の支持軸を中心にして向きを変更可能な筐体と、前記筐体に配置されたカメラユニットと、前記カメラユニットの光軸の向きを調整する調整部と、前記支柱に前記車両のウィンドガラスを向いて配置された発光部と、前記調整部による調整を制御する調整制御部と、を備え、前記カメラユニットは、前記発光部から射出された光が、前記車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内に投射されて形成された指標を撮影し、前記調整制御部は、前記カメラユニットによって撮影された指標に基づいて、前記筐体の向きの変化に応じて前記光軸の向きの調整を行う。
【0007】
本発明に係る光軸調整方法は、車両に取り付けられる支柱と、前記支柱の支持軸を中心にして向きを変更可能な筐体と、前記筐体に配置されたカメラユニットと、前記カメラユニットの光軸の向きを調整する調整部と、前記支柱に前記車両のウィンドガラスを向いて配置された発光部と、前記調整部による調整を制御する調整制御部と、を備えた車両用撮影装置の光軸調整方法であって、前記発光部から射出された光が、前記車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内に投射されて形成された指標を前記カメラユニットによって撮影し、前記カメラユニットによって撮影された指標に基づいて、前記調整制御部によって、前記筐体の向きの変化に応じて前記光軸の向きの調整を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車載機器の筐体の角度調整を行った際に、カメラの光軸を適切に調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、反射ミラーの向き、カメラの光軸、および撮影範囲の一例を説明する模式図である。
【
図6】
図6は、反射ミラーの向き、カメラの光軸、および撮影範囲の他の例を説明する模式図である。
【
図7】
図7は、反射ミラーの向き、カメラの光軸、および撮影範囲の他の例を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、指標を用いた補正方法を説明する模式図である。
【
図9】
図9は、第一実施形態に係る車両用撮影装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第二実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第二実施形態に係る車両用撮影装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用撮影装置1および光軸調整方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第一実施形態]
図1ないし
図3を用いて、本実施形態に係る車両用撮影装置1について説明する。
図1は、第一実施形態に係る車両用撮影装置1の構成例を示す概略図である。
図2は、
図1の部分拡大図である。
図3は、第一実施形態に係る車両用撮影装置1の構成例を示すブロック図である。車両用撮影装置1は、後方を光学的な反射により確認する光学式ミラーと一体化された撮影装置である。本実施形態では、車両用撮影装置1は、車両に搭載された、いわゆる光学式ルームミラーと一体化されたドライブレコーダである。このような車両用撮影装置1は、運転前に、運転者ごとに後方を視認しやすくなるように向きが調整される。
【0012】
なお、以下の説明では、車両用撮影装置1の使用時における上側を、車両用撮影装置1の上側とし、車両用撮影装置1の使用時における下側を、車両用撮影装置1の下側として説明する。運転席に向かう側を、車両用撮影装置1の後側とし、ウィンドガラスの一例であるウィンドシールドS(
図4参照)に向かう側を、車両用撮影装置1の前側として説明する。車両用撮影装置1を運転席側から見た際における左右方向を、車両用撮影装置1の左右方向として説明する。左右方向は、X軸方向である。前後方向は、Y軸方向である。上下方向は、Z軸方向である。
【0013】
<車両用撮影装置>
図1ないし
図3に示すように、車両用撮影装置1は、筐体11と、支柱12と、反射ミラー(反射部)13と、ジャイロセンサ14と、発光部15と、カメラユニットの一例であるカメラ16と、アクチュエータ17と、制御装置20とを有する。筐体11には、少なくとも反射ミラー13と、カメラ16と、アクチュエータ(調整部)17とが配置されている。
【0014】
筐体11は、車両の車室内に配置される。本実施形態では、筐体11は、Y軸方向視において、X軸方向に長い矩形状である。筐体11は、運転者から視認容易な位置に配置される。筐体11には、反射ミラー13と、カメラ16とが配置されている。筐体11は、支柱12を介して車両に取り付けられている。筐体11は、支柱12の図示しない支持軸を中心にして向きを調整可能である。本実施形態では、筐体11は、車両の前方の中央上方に配置される。
【0015】
支柱12は、車両の車室内に取り付けられる。本実施形態では、支柱12は、車両の前方の中央上方に固定される。支柱12は、少なくとも発光部15が配置される部分が中空形状である。支柱12には、スリット121が形成されている。
【0016】
スリット121は、発光部15から射出され車両のウィンドガラスに投射される光を部分的に遮って指標を形成する。スリット121は、支柱12を板厚方向に中空部まで貫通している。スリット121は、指標の形状に合わせて形成されている。スリット121は、指標がカメラユニットによって撮影可能な位置に形成されるように配置されている。本実施形態では、スリット121は、指標がカメラ16によって撮影可能な位置に形成されるように配置されている。
【0017】
本実施形態では、指標は、カメラ16の光軸を水平および垂直の位置合わせ可能な形状である。指標は、例えば、車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内のダッシュボードに投射されて形成された場合、X軸方向及びY軸方向に延びる線が交差した十字形状である。指標は、例えば、基準となる1点と、X軸方向及びY軸方向に離間して配置された各1点の計3点であってもよい。このような3点は、基準となる1点と、残りの2点とがそれぞれ結ばれてX軸方向及びY軸方向を示す。
【0018】
本実施形態では、スリット121は、X軸方向及びZ軸方向に延びる線が交差した十字形状である。スリット121は、例えば、X軸方向及びZ軸方向に離間して配置された3つの孔であってもよい。
【0019】
反射ミラー13は、支柱12を介して車両に取り付けられている。反射ミラー13は、支柱12の支持軸を中心にして向きを変更可能である。本実施形態では、反射ミラー13は、車両の前方の中央上方に配置される。本実施形態では、反射ミラー13は、車両の後方を視認するための、光学式の後方ミラーである。本実施形態では、反射ミラー13の反射面13aは、車両の後方を向いている。本実施形態では、反射ミラー13は、表面である反射面13aが車両の運転者と対面する。反射ミラー13は、反射面13aにおいて可視光を反射する。
【0020】
ジャイロセンサ14は、筐体11の支柱12に対する姿勢を検出可能な3軸ジャイロセンサである。ジャイロセンサ14は、筐体11に配置されている。ジャイロセンサ14は、筐体11の傾きを検出するセンサである。ジャイロセンサ14は、筐体11が
図5に示す基本姿勢から動かされた角度を検出する。ジャイロセンサ14は、筐体11のX軸方向を軸とした回転の角速度と、筐体11のY軸方向を軸とした回転の角速度と、筐体11のZ軸方向を軸とした回転の角速度とを検出する。ジャイロセンサ14は、検出した角速度を角速度信号として姿勢取得部29へ出力する。
【0021】
発光部15は、支柱12の内部に配置されている。発光部15は、スリット121に向かい合う位置に配置されている。発光部15は、車両のウィンドガラスを向いている。本実施形態では、発光部15は、車両の前方を向いている。本実施形態では、発光部15は、車両のウィンドシールドSを向いている。本実施形態では、発光部15は、支柱12に反射ミラー13の反射面13aと反対側を向いて配置される。
【0022】
発光部15は、支柱12に配置されているので、筐体11の向きが変わっても光の射出する方向が変わらない。言い換えると、本実施形態では、発光部15は、光の射出方向が車両のウィンドシールドS側で固定されている。本実施形態では、発光部15は、光の射出方向が車両の前方で固定されている。本実施形態では、発光部15は、スリット121を介して光を前方へ射出する。発光部15から射出された光は、スリット121から外部に射出する。発光部15から射出された光は、スリット121からウィンドガラスに向かって射出する。本実施形態では、発光部15から射出された光は、スリット121からウィンドシールドSに向かって射出する。発光部15は、制御装置20の発光制御部21によって発光が制御される。
【0023】
図4を用いて、発光部15から射出された光の光路を説明する。
図4は、指標を説明する図である。Dは、車両のダッシュボードであり、Bは、車両のボンネットであり、Sは、ウィンドシールドである。発光部15から射出された光は光路A1を通ってウィンドシールドSに点Pで入射する。点Pにおいて反射した光は、光路A2を通ってダッシュボードDにおいて指標100を形成する。
【0024】
発光部15は、車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内に投射されて指標を形成する光を射出する。本実施形態では、発光部15は、車両のウィンドシールドSにおいて反射して車室内の一例であるダッシュボードDに投射されて指標を形成する光を射出する。発光部15は、可視光を照射する。
【0025】
発光部15は、光の射出方向がウィンドガラスに対して全反射の角度以下である。本実施形態では、発光部15は、光の射出方向がウィンドシールドSに対して全反射の角度以下である。
【0026】
本実施形態では、発光部15は、常時、または、所定時間間隔で光を射出してもよい。本実施形態では、発光部15は、車両の起動時に光を射出してもよい。本実施形態では、発光部15は、運転者などのユーザによる筐体11の向きの調整の開始操作が検出された任意のタイミングで、光を射出してもよい。
【0027】
カメラユニットは、1つまたは複数のカメラである。本実施形態では、カメラユニットが、1つのカメラ16である場合について説明する。
【0028】
カメラ16は、車両の周辺を撮影するカメラである。本実施形態では、カメラ16は、車両の前方を撮影するカメラである。カメラ16は、反射ミラー13の反射面13aと反対側の面に配置される。本実施形態では、カメラ16は、車両の前方を向いている。カメラ16は、筐体11に配置されているので、筐体11の向きおよび回転方向に連動して後述する光軸L16の向きおよび画角の回転方向が変わり、撮影範囲がずれる。そこで、カメラ16は、筐体11の向きおよび回転方向の変化に応じて、アクチュエータ17によって光軸L16の向きおよび画角の回転方向が調整される。
【0029】
カメラ16は、例えば、筐体11の向きおよびカメラ16の光軸L16の向きによらず、指標を撮影可能な広角カメラである。本実施形態では、カメラ16は、カメラ16の光軸L16の向きに関わらず、少なくとも指標が形成されるダッシュボードDを撮影可能である。より詳しくは、カメラ16は、発光部15から射出された光が、車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内に投射されて形成された指標を撮影する。本実施形態では、カメラ16は、発光部15から射出された光が、車両のウィンドシールドSにおいて反射してダッシュボードDに投射されて形成された指標を撮影する。
【0030】
アクチュエータ17は、カメラユニットの光軸L16の向きおよび画角の回転方向を調整する。アクチュエータ17は、カメラユニットのうち、筐体11の向きによらず、所定の撮影範囲を撮影するカメラの光軸L16と所定の撮影範囲に該当する画角の回転方向を調整する。本実施形態では、アクチュエータ17は、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向を調整する。アクチュエータ17は、制御装置20の調整制御部24からの制御信号に基づいてカメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向を調整する。
【0031】
<制御装置>
制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御装置20は、発光制御部21と、撮影制御部22と、映像取得部23と、調整制御部24と、姿勢取得部29とを含む。制御装置20は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。制御装置20には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは制御装置20におけるデータの一時記憶などに用いられる。
【0032】
姿勢取得部29は、筐体11の角度を取得する。姿勢取得部29は、筐体11の支柱12に対する傾きを検出する。本実施形態では、姿勢取得部29は、ジャイロセンサ14から出力された角速度信号を取得する。姿勢取得部29は、角速度信号から、筐体11の傾きを示す、ロール角とピッチ角とヨー角とを算出する。姿勢取得部29は、算出したロール角とピッチ角とヨー角とから筐体11の姿勢を取得する。
【0033】
発光制御部21は、発光部15からの光の射出を制御する。発光制御部21は、例えば、常時、または、所定時間間隔で発光部15から光を射出させてもよい。発光制御部21は、例えば、車両の走行開始時に発光部15から光を射出させてもよい。発光制御部21は、例えば、ユーザの操作に基づいて、任意のタイミングで発光部15から光を射出させてもよい。発光制御部21は、例えば、筐体11の向きが変えられたときに発光部15から光を射出させてもよい。
【0034】
撮影制御部22は、カメラユニットによる撮影を制御する。本実施形態では、撮影制御部22は、カメラ16による撮影を制御する。撮影制御部22は、例えば、ユーザの操作または加速度検知に基づいて、任意のタイミングでカメラ16による撮影を行ってもよい。撮影制御部22は、例えば、発光部15の発光に連動してカメラ16による撮影を行ってもよい。撮影制御部22は、例えば、筐体11の向きが変えられたときにカメラ16による撮影を行ってもよい。
【0035】
映像取得部23は、カメラユニットが撮影した映像を取得する。本実施形態では、映像取得部23は、カメラ16が撮影した映像を取得する。本実施形態では、映像取得部23は、カメラ16が指標を撮影した映像を取得する。
【0036】
調整制御部24は、アクチュエータ17を制御する制御信号を出力する。より詳しくは、調整制御部24は、映像取得部23によって取得された、カメラユニットの少なくとも1つのカメラにより撮影された映像を画像処理して、車両のウィンドガラスにおいて反射して車室内に投射されて形成された指標を検出する。本実施形態では、調整制御部24は、映像取得部23によって取得された、カメラ16により撮影された映像を画像処理して、車両のウィンドシールドSにおいて反射してダッシュボードDに投射されて形成された指標を検出する。調整制御部24は、カメラ16によって撮影された指標に基づいて、カメラ16の光軸L16の向きの調整を行うようにアクチュエータ17に対する制御信号を出力する。
【0037】
図5ないし
図8を用いて、調整制御部24によるカメラ16の光軸L16の向きの調整について詳しく説明する。まず、
図5ないし
図7を用いて、反射ミラー13の向き、カメラ16の光軸L16、および撮影範囲の一例を説明する。
図5は、反射ミラー13の向き、カメラ16の光軸L16、および撮影範囲の一例を説明する模式図である。
図6、
図7は、反射ミラー13の向き、カメラ16の光軸L16、および撮影範囲の他の例を説明する模式図である。Dは、車両のダッシュボードであり、Bは、車両のボンネットであり、Sは、ウィンドシールドである。発光部15から射出された光と、ウィンドシールドSとの交点をPとし、ウィンドシールドSで反射されダッシュボードDに形成された指標を100とする。カメラ16の撮影範囲Aは、扇形状とする。カメラ16の撮影範囲Aの扇形の中心角を二等分する直線は、カメラ16の光軸L16と一致する。撮影範囲Aは、扇形の中心角を二等分する直線と、発光部15から射出された光の光軸L15とがZ軸方向視で平行である。発光部15から射出された光の光軸L15は、筐体11および反射ミラー13の向きに関わらず前後方向とZ軸方向視で平行に延びている。
【0038】
図5は、筐体11が左右方向と平行に位置する基本姿勢を示す。
図5では、筐体11は、Y軸方向視において、長手方向がX軸方向と平行であり、短手方向がZ軸方向と平行である。カメラ16の光軸L16と、発光部15から射出された光の光軸L15とがZ軸方向視で平行である。
図5において、発光部15から射出された光により形成された指標100と、カメラ16の光軸L16とのX軸方向視の間隔は、X1である。カメラ16の光軸L16はカメラ16の所定の撮影範囲に該当する画角の中心であるので、言い換えると、指標100と画角の中心とのX軸方向視の間隔はX1である。便宜上、X1と後述するX2とも撮影範囲に該当する画角内の距離として説明する。
【0039】
図6、
図7では、カメラ16の光軸L16を調整しない場合の撮影範囲A´を破線で示す。
図6では、筐体11は、
図5に示す基本姿勢から、図示しない支柱12の支持軸を中心にして、筐体11を反時計回りに向きを変えた状態を示す。
図7は、
図5に示す基本姿勢から、図示しない支柱12の支持軸を中心にして、筐体11を時計回りに向きを変えた状態を示す。
図6、
図7では、筐体11の向きの変化に連動して、撮影範囲A´も向きが変化する。
図6、
図7のいずれにおいても、撮影範囲A´に対応するカメラ16の図示しない光軸L16と、発光部15から射出された光の光軸L15とがX軸方向視で平行ではない。
図6において、発光部15から射出された光により形成された指標100と、正面を向くように向きが調整されたカメラ16の光軸L16との間隔は、X2(X2<X1)である。
図5に示すX1と、
図6に示すX2とでは、筐体11が傾いた分だけX2が短くなる。
【0040】
図8は、指標を用いたカメラ16の光軸L16の補正方法を説明する模式図で、カメラ16の所定の撮影範囲に該当する画角を示している。
図8は、カメラ16が広角カメラであるので、指標についてはZ軸方向視、レンズについてはY軸方向視で模式的に図示している。カメラ16のレンズ16aの中心が光軸L16であり画角の中心である。レンズ16aの光軸L16は、レンズ16aから前方に向かって延びている。発光部15から射出された光が、ウィンドシールドSに当たり、ダッシュボードDに形成された指標を100で示す。
図8では、射出された光が十字形状なので、ダッシュボードD上においても指標100は十字形状である。十字形状の指標100のX軸方向に延びる方向をLx、Y軸方向に延びる方向をLyと図示する。レンズ16aの光軸L16から鉛直下方へ延びる垂線を破線で示す。その垂線とLxが交わる点と指標100との距離は、
図5のX1であり、
図6のX2である。
【0041】
調整制御部24は、
図8に示す垂線とLxが交わる点と指標100との距離が、筐体11が支柱12に対して角度を変えることで増減するので、正面を向くように向きが調整された光軸L16と指標100までの計算上の距離X2と一致するようにレンズを駆動させる。
【0042】
調整制御部24は、ジャイロセンサ14で検出された筐体11の角度から、レンズ16aの光軸L16が指標100に対してどの位置にあればカメラ16が正面を向くかを算出して、レンズ16aの向きを調整する。より詳しくは、
図5に示すX1と、
図6に示すX2とでは、筐体11が傾いた分だけX2の方が短くなる。調整制御部24は、筐体11が傾いた角度をジャイロセンサ14から読み取り、三角関数を用いてX2を求め、
図6に破線で示す方向(正面)を向くようにレンズ16aの向きを調整する。
【0043】
調整制御部24は、例えば、筐体11が傾いた角度から求められるカメラ16の光軸L16の位置に基づいて、十字形状の指標100が示すX軸方向とY軸方向(レンズの動きとしてはZ軸方向)の指標からの調整量を決定する。また、調整制御部24は、カメラ16によって撮影された、十字形状の指標100が示すX軸方向とY軸方向とが、水平方向と前後方向に対して回転している場合、回転量の調整量も決定する
【0044】
調整制御部24は、例えば、筐体11が傾いた角度から求められるカメラ16の光軸L16の位置に基づいて、指標である3点により示されるX軸方向とY(レンズの動きとしてはZ)軸方向の指標からの調整量を決定する。また、調整制御部24は、カメラ16によって撮影された、3点の指標100が示すX軸方向とY軸方向とが、水平方向と前後方向に対して回転している場合、回転量の調整量も決定する。
【0045】
<制御部における処理>
次に、
図9を用いて、制御装置20による処理の流れについて説明する。
図9は、第一実施形態に係る車両用撮影装置1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9に示すフローチャートの処理は、例えば、ユーザの操作など任意のタイミングで実行される。
【0046】
制御装置20は、光を射出する(ステップS101)。より詳しくは、制御装置20は、発光制御部21によって、発光部15からウィンドシールドSへ光を射出するよう制御する。制御装置20は、ステップS102へ進む。
【0047】
制御装置20は、指標をカメラ16で撮影する(ステップS102)。より詳しくは、制御装置20は、撮影制御部22によって、車両のウィンドシールドSにおいて反射してダッシュボードDに投射されて形成された指標を撮影する。制御装置20は、映像取得部23によって、撮影した映像を取得する。制御装置20は、ステップS103へ進む。
【0048】
制御装置20は、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向を調整する(ステップS103)。より詳しくは、制御装置20は、調整制御部24によって、カメラ16によって撮影された指標に基づいて、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向の調整を行う。制御装置20は、調整制御部24によって、カメラ16により撮影された映像を画像処理して、車両のウィンドシールドSにおいて反射してダッシュボードDに投射されて形成された指標を検出する。制御装置20は、調整制御部24によって、カメラ16によって撮影された指標に基づいて、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向の調整を行うようにアクチュエータ17に対する制御信号を出力する。制御装置20は、処理を終了する。
【0049】
このようにして、車両のウィンドシールドSにおいて反射してダッシュボードDに投射されて形成された指標を用いて、筐体11の向きおよび回転方向の変化に応じて、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向が調整される。
【0050】
<効果>
上述したように、本実施形態では、車両のウィンドシールドSにおいて反射してダッシュボードDに投射されて形成された指標を用いて、筐体11の向きおよび回転方向の変化に応じて、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向を調整することができる。本実施形態によれば、ウィンドシールドS上に指標を設けなくてよいので、ウィンドシールドS越しに撮影する車両の前方の撮影範囲に指標が映り込むことを抑えることができる。
【0051】
本実施形態では、指標は、水平および垂直の位置合わせ可能な形状である。本実施形態によれば、ダッシュボードDに投影された指標を用いて、カメラ16の光軸L16の水平および垂直の向きを適切に調整することができる。
【0052】
本実施形態によれば、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向が適切に調整されるので、筐体11の向きまたは回転方向によらず撮影範囲を一定にして画角を保つことができる。本実施形態によれば、例えば、レンタカーのように運転者が高い頻度で変わる場合でも、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向を容易かつ適切に調整することができる。
【0053】
[第二実施形態]
図10、
図11を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置1Aについて説明する。
図10は、第二実施形態に係る車両用撮影装置1Aの構成例を示すブロック図である。
図11は、第二実施形態に係る車両用撮影装置1Aにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。車両用撮影装置1Aは、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置1と同様である。以下の説明においては、車両用撮影装置1と同様の構成要素は、その詳細な説明を省略する。車両用撮影装置1Aは、判定部25Aを備える点と、発光部15Aと、カメラ16Aと、発光制御部21A、撮影制御部22A、調整制御部24Aにおける処理とが、第一実施形態と異なる。
【0054】
発光部15Aは、判定部25Aが筐体11の支柱12に対する向きが変わったと判定する場合、光を射出する。本実施形態では、発光部15Aは、判定部25Aが筐体11および反射ミラー13の向きが変わったと判定する場合、光を射出する。
【0055】
カメラ16Aは、車両用撮影装置1Aが起動している間、常時映像を撮影する。カメラ16Aは、筐体11および反射ミラー13の向きが変わったことを判定可能な映像を常時撮影する。
【0056】
判定部25Aは、アクチュエータ17によるカメラ16の光軸L16の向きの調整の要否を判定する。判定部25Aは、筐体11の支柱12に対する向きが変わったか否かを判定する。本実施形態では、判定部25Aは、反射ミラー13の支柱12に対する向きが変わったか否かを判定する。より詳しくは、判定部25Aは、映像取得部23によって取得された映像に基づいて、筐体11および反射ミラー13の向きが変わったか否かを判定する。判定部25Aは、例えば、フレームごとに、映像における指標の位置、大きさおよび形状の少なくともいずれかを比較して、差異がある場合、筐体11および反射ミラー13の向きが変わったと判定してもよい。判定部25Aは、例えば、車両の停止時では、映像データにおけるピクセル単位、または、数ピクセル四方のブロック単位などでの、輝度や色情報がフレームごとに変化している領域を検出することにより、筐体11および反射ミラー13の向きが変わったと判定してもよい。
【0057】
発光制御部21Aは、判定部25Aが筐体11および反射ミラー13の向きが変わったと判定する場合、発光部15Aを発光させるよう制御する。
【0058】
撮影制御部22Aは、車両用撮影装置1Aが起動している間、カメラ16Aが常時映像を撮影するよう制御する。撮影制御部22Aは、筐体11および反射ミラー13の向きが変わったことを判定可能な映像をカメラ16Aが常時撮影するよう制御する。
【0059】
調整制御部24Aは、判定部25Aが筐体11および反射ミラー13の向きが変わったと判定する場合、カメラ16Aの光軸L16の向きおよび画角の回転方向の調整を行うようにアクチュエータ17に対する制御信号を出力する。
【0060】
<制御部における処理>
次に、
図11を用いて、制御装置20Aによる処理の流れについて説明する。ステップS112ないしステップS114の処理は、
図9に示すフローチャートのステップS101ないしステップS103と同様の処理を行う。
【0061】
制御装置20Aは、反射ミラー13の向きが変わったか否かを判定する(ステップS111)。より詳しくは、制御装置20Aは、判定部25Aによって、筐体11および反射ミラー13の向きが変わったか否かを判定する。制御装置20Aは、判定部25Aによって、筐体11および反射ミラー13の向きが変わったと判定する場合(ステップS111でYes)、ステップS112へ進む。判定部25Aによって、筐体11および反射ミラー13の向きが変わったと判定しない場合(ステップS111でNo)、ステップS111の処理を再度実行する。
【0062】
<効果>
上述したように、本実施形態では、反射ミラー13の向きが変わったと判定する場合、発光部15Aから光を射出する。本実施形態によれば、筐体11の向きの変化を判定して、カメラ16の光軸L16の向きおよび画角の回転方向を適切に調整することができる。
【0063】
図示した車両用撮影装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0064】
制御装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0065】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0066】
[変形例1]
上記の実施形態のカメラユニットは、カメラ16に加えて、図示しない指標用カメラを備えていてもよい。指標用カメラは、筐体11の向きおよびカメラ16の光軸L16の向きによらず、指標が撮影可能となるような光軸の向きのカメラである。指標用カメラの光軸の向きは、カメラ16の光軸L16の向きと異なる。そして、指標用カメラが指標を撮影した後、調整制御部24の制御によって、カメラ16の光軸L16の向きが調整される。
【0067】
[変形例2]
上記では、車両用撮影装置1は、車室内の前方の中央上方に配置されるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、車両用撮影装置1は、車室内の運転席の側方に配置されてもよい。この場合における指標は、車両のウィンドガラスの一例であるサイドウィンドにおいて反射して車室内のいずれかに投射されて形成される。
【0068】
[変形例3]
上記では、調整制御部24は、カメラ16の光軸L16の向きを調整したが、それに加えて、撮影制御部22が、カメラ16の倍率を調整してもよい。例えば、撮影制御部22は、指標である十字形状のX軸方向およびZ軸方向の長さが、あらかじめ記憶部に記憶されている基準となる十字形状のX軸方向およびZ軸方向の長さと同じになるようにカメラ16の倍率を調整する。例えば、撮影制御部22は、指標である3点により形成される三角形の面積が、あらかじめ記憶部に記憶されている基準となる三角形の面積と同じになるようにカメラ16の倍率を調整する。
【0069】
[変形例4]
上記の車両用撮影装置1を、運転を支援するために運転者の視線を検出する視線検出装置に適用する場合について説明する。視線検出装置では、反射ミラーは必須の構成ではない。視線検出装置は、筐体11に、カメラユニットが配置されている。カメラユニットは、運転者の顔を向いた運転者用カメラと、運転者用カメラと反対側、言い換えると、ウィンドシールドS側を向いたカメラ16とを備える。カメラ16が指標を撮影した後、調整制御部24の制御によって、運転者用カメラの光軸の向きが調整される。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用撮影装置
11 筐体
12 支柱
121 スリット
13 反射ミラー(反射部)
13a 反射面
15 発光部
16 カメラ(カメラユニット)
17 アクチュエータ(調整部)
20 制御装置
21 発光制御部
22 撮影制御部
23 映像取得部
24 調整制御部
100 指標
A 撮影範囲
A´ 撮影範囲
A1 光路
A2 光路
B ボンネット
D ダッシュボード
L15 光の光軸
L16 カメラの光軸
P 点
S ウィンドシールド(ウィンドガラス)