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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008050
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20240112BHJP
   F23D 14/22 20060101ALI20240112BHJP
   F23L 15/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F23K5/00 303
F23D14/22 D
F23L15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109559
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】河本 祐作
(72)【発明者】
【氏名】田口 脩平
(72)【発明者】
【氏名】仲井 和成
(72)【発明者】
【氏名】大倉 莉奈
【テーマコード(参考)】
3K019
3K023
3K068
【Fターム(参考)】
3K019AA02
3K019BA04
3K019BB01
3K019BD01
3K019BD03
3K019CA00
3K023QA16
3K023QB03
3K023QC01
3K023QC08
3K068AA01
3K068AB19
3K068AB21
3K068BB05
(57)【要約】
【課題】簡単な構成であって、アンモニア燃料などの低発熱量燃料を良好に燃焼させることが可能な燃焼装置を提供する。
【解決手段】予熱された燃焼用空気が供給される燃焼空気管3と、燃焼空気管の内部に設けられ、供給される低発熱量燃料を噴出して燃焼空気管内で燃焼させる燃料ノズル2とを備え、燃料ノズルと燃焼空気管との間に、燃焼用空気で燃料ノズル内の低発熱量燃料を加熱する燃焼空気流路5が区画形成される。燃料ノズルの外周面2bには、燃焼空気流路に位置させて、熱伝達用のフィン2cが設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予熱された燃焼用空気が供給される燃焼空気管と、
該燃焼空気管の内部に設けられ、供給される低発熱量燃料を噴出して該燃焼空気管内で燃焼させる燃料ノズルとを備え、
該燃料ノズルと上記燃焼空気管との間に、燃焼用空気で燃料ノズル内の低発熱量燃料を加熱する燃焼空気流路が区画形成されることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記燃料ノズルの外面には、前記燃焼空気流路に位置させて、熱伝達用のフィンが設けられることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記燃料ノズルの燃料噴出部の近傍には、前記燃焼空気流路を狭めるバッフルプレートが設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記バッフルプレートの外回りに当該バッフルプレートから間隔を隔てて前記燃焼空気流路に設けられ、該燃焼空気流路の燃焼用空気を前記燃焼空気管に沿って直進させるスリーブが設けられることを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記燃焼空気管は、燃焼用空気を予熱するレキュペレータを有するラジアントチューブであることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記低発熱量燃料がアンモニア燃料であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構成であって、アンモニア燃料などの低発熱量燃料を良好に燃焼させることが可能な燃焼装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量を削減するための燃焼燃料として注目されているアンモニアを燃焼させる技術に関し、特許文献1~4が知られている。
【0003】
特許文献1の「低燃焼性燃料燃焼装置」は、低燃焼性燃料を噴出させる噴出口が設けられた燃料供給管の外周側に、一次燃焼用空気を燃料供給管の外周に沿って旋回させながら燃料供給管の送り方向前方に導く一次空気供給管を設けると共に、一次空気供給管の送り方向下流側の外周側に、二次燃焼用空気を一次空気供給管の外周に沿って旋回させながら一次空気供給管の送り方向前方に導く二次空気供給管を設けるようにしている。
【0004】
特許文献2の「低燃焼性燃料燃焼装置」は、燃焼用空気を導く空気案内管の中央部に、低燃焼性燃料を供給する燃料供給管を設け、この燃料供給管の先端部の外周に前記の低燃焼燃料を外周側に噴出させる放射状噴出口を設け、この放射噴出口よりも燃料供給管の下流側の外周に一次燃焼管を設け、燃料供給管の先端部の外周と一次燃焼管の内周との間に旋回用内羽根を設け、さらに一次燃焼管の下流側の先端部の外周と前記の空気案内管の内周との間に旋回用外羽根を設けて構成されている。
【0005】
特許文献3の「低発熱量ガス燃料用予混合バーナー装置」は、低発熱量高発熱量ガス燃料の一方又は双方を燃焼させる予混合バーナー装置であって、高発熱量ガスと低発熱量ガスとを供給するガス供給装置と、上記ガスを所定流速で受け一次空気を導入してガス流と混合させるバーナー管と、長い狭い長方形梯形断面で狭い巾を下流側としたバーナーヘッドと、バーナーヘッドの寸法より大きな巾としてバーナーヘッドと同じ方向にテーパした側壁を有する開口を形成した炉と、バーナーヘッドを上記開口に挿入して炉床より下方にバーナー装置を支持する手段と、上記開口内のバーナーヘッドの垂直相対位置調整手段とを備えて構成されている。
【0006】
特許文献4の「超低発熱量ガス燃焼装置」は、蓄熱体を通して燃焼用空気又は処理ガスもしくは予混合ガスの供給及び燃焼ガスの排出を行い蓄熱体に対する燃焼排ガス及び燃焼用空気や処理ガスなどの流れを相対的に切り替えて燃焼排ガスで加熱された蓄熱体を通して高温の燃焼用空気や処理ガスなどを供給する1組の蓄熱型バーナシステムを炉体に設置し、燃焼用空気や処理ガス又は燃焼用空気と処理ガスの双方の、予混合ガスを、蓄熱体との短時間の直接熱交換により高い温度効率で高温に予熱してから供給し、高温の燃焼用空気や処理ガス若しくは燃焼用空気と処理ガスの双方か予混合ガスが保有するエンタルピーによって火炎を維持するために必要な熱量を補って、400Kcal/Nm3以下の低い発熱量の処理ガス中の可燃性物質の燃焼あるいは有臭成分を安定燃焼させるようにしている。
【0007】
燃焼用空気を予熱する技術として、特許文献5が知られている。特許文献1の「ラジアントチューブ式加熱装置のレキュペレータ保護方法」は、ラジアントチューブ式加熱装置において、レキュペレータを、ラジアントチューブ内において該レキュペレータの先端部が炉壁の炉内側の面から突出しない位置まで該ラジアントチューブに挿入すると共に、ラジアントチューブ内おけるレキュペレータの先端部よりも炉内側に、ラジアントチューブからの輻射熱を遮る遮断部とバーナーの排ガスを流通させる流通部とを有する耐火部材を、該レキュペレータの先端部に接触しない程度に近接させて配設するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-12927号公報
【特許文献2】特許第6906881号公報
【特許文献3】特開昭55-134214号公報
【特許文献4】特開平6-241431号公報
【特許文献5】特開2011-94900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アンモニア燃料などの低発熱量燃料は、で大変燃えにくい。その対応策として、特許文献1では、低燃焼性燃料を噴出させる噴出口が設けられた燃料供給管の外周側に、燃焼用空気を燃料供給管の外周に沿って旋回させながら燃料供給管の送り方向前方に導くようにしている。
【0010】
特許文献2では、燃料供給管の放射状噴出口よりも下流側の外周に一次燃焼管を設け、燃料供給管の先端部と一次燃焼管の内周との間、及び、一次燃焼管の下流側の先端部との空気案内管の内周との間にそれぞれ旋回用の羽根を設けている。
【0011】
特許文献3では、低発熱量ガス燃料を燃焼させるバーナー装置に予熱された燃焼用空気を導入するようにし、また、特許文献4では、超低発熱量ガス燃焼装置が備えるバーナーに燃焼用空気を予熱してから供給するようにしている。
【0012】
燃料供給管の外周に沿って燃焼用空気を旋回させながら導入する、あるいは旋回用の羽根を設けて低発熱量燃料と燃焼用空気とを攪拌すると、燃焼用空気の旋回により火炎が広がってしまい、遠くまで届きにくい。
【0013】
また、バーナー構造が複雑になって製造が困難であり、コストも嵩むという課題があった。
【0014】
燃焼用空気を予熱し、燃料供給管の外周に沿って旋回させながら導入すると、燃料と激しく反応して、過剰な燃焼となってしまうという課題があった。
【0015】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、簡単な構成であって、アンモニア燃料などの低発熱量燃料を良好に燃焼させることが可能な燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明にかかる燃焼装置は、予熱された燃焼用空気が供給される燃焼空気管と、該燃焼空気管の内部に設けられ、供給される低発熱量燃料を噴出して該燃焼空気管内で燃焼させる燃料ノズルとを備え、該燃料ノズルと上記燃焼空気管との間に、燃焼用空気で燃料ノズル内の低発熱量燃料を加熱する燃焼空気流路が区画形成されることを特徴とする。
【0017】
前記燃料ノズルの外面には、前記燃焼空気流路に位置させて、熱伝達用のフィンが設けられることを特徴とする。
【0018】
前記燃料ノズルの燃料噴出部の近傍には、前記燃焼空気流路を狭めるバッフルプレートが設けられることを特徴とする。
【0019】
前記バッフルプレートの外回りに当該バッフルプレートから間隔を隔てて前記燃焼空気流路に設けられ、該燃焼空気流路の燃焼用空気を前記燃焼空気管に沿って直進させるスリーブが設けられることを特徴とする。
【0020】
前記燃焼空気管は、燃焼用空気を予熱するレキュペレータを有するラジアントチューブであることを特徴とする。
【0021】
前記低発熱量燃料がアンモニア燃料であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる燃焼装置にあっては、予熱された燃焼用空気で低発熱量燃料を加熱する燃料ノズルを備えるという簡単な構成であって、アンモニア燃料などの低発熱量燃料を良好に燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明にかかる燃焼装置の第1実施形態を示す側断面図である。
図2】本発明にかかる燃焼装置の第2実施形態を示す断面図である。
図3図2に示した燃焼装置を正面方向から見た断面図である。
図4】本発明にかかる燃焼装置の第3実施形態を示す断面図である。
図5図4に示した燃焼装置を正面方向から見た断面図である。
図6図4に示した燃焼装置を組み込んだラジアントチューブバーナの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る燃焼装置の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
第1実施形態に係る燃焼装置1は、図1に示すように、アンモニア燃料などの低発熱量燃料を供給する燃料ノズル2と、燃料ノズル2の外側に、燃料ノズル2と同軸に配置されて設けられ、予熱された燃焼用空気が供給される燃焼空気管3とを備えている。
【0026】
すなわち、この燃焼装置1は、予熱された燃焼用空気が供給される燃焼空気管3と、燃焼空気管3の内部に設けられ、供給される低発熱量燃料を噴出して燃焼空気管3内で燃焼させる、管状の燃料ノズル2とを備え、燃料ノズル2と燃焼空気管3との間には、燃焼用空気で燃料ノズル2内の低発熱量燃料を加熱する燃焼空気流路5が区画形成される。
【0027】
燃料ノズル2は、例えばステンレスなどの耐熱金属のような熱伝導性が良好な材質で形成される。
【0028】
燃料ノズル2には、低発熱量燃料及び燃焼用空気の流通方向(以下、流通方向という)における下流側の先端に、低発熱量燃料を燃焼空気管3の内部に噴出する燃料噴出部2aが設けられている。
【0029】
燃料ノズル2の外周面2bには、放射状もしくは環状に突出する熱伝達用のフィン2cが、燃料ノズル2の長さ方向(流通方向)に適宜間隔を空けて、かつ燃焼空気流路5に位置させて、複数設けられる。尚、フィン2cは、必ずしも設けなくてもよい。
【0030】
燃焼空気管3は、内周面3aが燃料ノズル2の外周面2bから間隔を空けて配置されており、これら燃焼空気管3の内周面3aと燃料ノズル2の外周面2bとの間の、燃料ノズル2の先端である燃料噴出部2aから反対側の基端である燃焼空気管3への取付基部2dまでの区間に、燃焼空気流路5が区画される。
【0031】
燃焼空気管3は、流通方向において、燃料ノズル2よりも下流側へ延出されている。
【0032】
燃焼空気管3からは、上流側において、燃料ノズル2が外部へ突出され、燃料ノズル2への低発熱量燃料の流量を調整する流量調整弁4が設けられる。
【0033】
燃焼空気管3には、予め加熱された燃焼用空気が供給される。燃焼用空気は、燃料ノズル2の外側の燃焼空気流路5を流通して、燃料噴出部2aよりも下流側に向かって流通される。
【0034】
第1実施形態に係る燃焼装置1にあっては、低発熱量燃料の燃料ノズル2が熱伝導性の良好な材質で形成され、燃焼空気管3内には、予熱された燃焼用空気が供給され、この燃焼用空気が燃焼空気流路5に流通されるので、燃料ノズル2内の低発熱量燃料は、燃料ノズル2を介して、加熱された燃焼用空気によって昇温され、これにより燃焼しやすくなる。
【0035】
特に、アンモニア(NH3)の場合は、窒素と水素に分解され、水素によって非常に燃焼しやすくなる。
【0036】
すなわち、燃料ノズル2内の低発熱量燃料であるアンモニアが水素と窒素とに分解され易くなって、良好に燃焼させることができる。
【0037】
燃焼空気管3は、燃料ノズル2よりも下流側に延出されているので、燃料噴出部2aから噴出される昇温された低発熱量燃料は、予熱されている燃焼用空気と混合される。これにより、低発熱量燃料による火炎Fを生じさせることができる。
【0038】
燃焼空気管3は、燃料ノズル2の外周側に、当該燃料ノズル2の外周面2bと間隔を空けて配置されているので、低発熱量燃料の噴出方向と同一方向に燃焼用空気が流通される。
【0039】
これにより、燃焼による火炎Fの広がる方向は、低発熱量燃料及び燃焼用空気の流通方向とが同じ向きとなり、例えば、燃焼用空気を旋回させて供給する場合よりも、火炎Fを直進方向へ、より遠くまで到達させることができる。
【0040】
燃料ノズル2の外周面2bには、燃焼空気流路5に位置するフィン2cが設けられているので、フィン2cにより、燃料ノズル2の表面積を増やして伝熱性能を向上することができて、低発熱量燃料を効率よく昇温し、そしてまたアンモニアであればその分解を促進することができる。
【0041】
第2実施形態に係る燃焼装置1は、図2及び図3に示されている。図2は、図3中、A-A線に沿う断面図である。
【0042】
図示するように、第2実施形態にかかる燃焼装置1は、第1実施形態に係る燃焼装置1の燃料ノズル2の燃料噴出部2aの近傍に位置させて、外周面2bの全周に亘って設けられ、燃焼空気流路5を狭めるバッフルプレート7と、バッフルプレート7の外回りに、当該バッフルプレート7から燃焼空気管3側へ間隔を隔てて燃焼空気流路5に設けられ、燃焼空気流路5の燃焼用空気を燃焼空気管3に沿って直進させるスリーブ8とを備えている。
【0043】
スリーブ8は、燃料ノズル2の外周面2b及び燃焼空気管3の内周面3aのいずれとも間隔を空けて、燃焼空気管3及び燃料ノズル2の長さ方向に設けられる。
【0044】
スリーブ8は、流通方向における上流側の一端部8aが燃料ノズル2に設けられたバッフルプレート7の外周面7aに、スペーサー9を介して設けられる。
【0045】
スリーブ8の下流側の他端部8bは、燃料ノズル2の燃料噴出部2aよりも下流側へ延出される。
【0046】
スリーブ8の内周面8cとバッフルプレート7の外周面7aとの間に介在されるスペーサー9は、図示例では、バッフルプレート7の周方向における4か所に、等間隔で配置される。
【0047】
バッフルプレート7とスリーブ8との間であって、周方向に隣り合うスペーサー9同士の間には、燃焼空気流路5をスリーブ8の内方へ連通させる空隙Sが形成される。
【0048】
また、スリーブ8と燃焼空気管3との間には、燃焼空気流路5から燃焼空気管3の長さ方向に燃焼用空気が流れる流路6が形成される。
【0049】
燃焼空気流路5を流通する燃焼用空気は、燃料ノズル2の外側を流通し、バッフルプレート7によって、当該バッフルプレート7から取付基部2dまで区画された範囲で、燃焼用空気の流速が抑えられる。
【0050】
これにより、低発熱量燃料を加熱する時間を長く得ることができ、さらに高い温度に昇温することができて,低発熱量燃料が燃えやすくなる。
【0051】
また、燃焼用空気は、空隙S及び流路6とに分かれて、燃料噴出部2aよりも下流側に向かって流通される。
【0052】
バッフルプレート7には、スリーブ8の内方へ向けて、燃料に着火するためのスパークプラグ10が設けられる。
【0053】
第2実施形態に係る燃焼装置1にあっては、燃料ノズル2の先端(燃料噴出部2a)側に、燃料ノズル2の外周面2bから突出させてバッフルプレート7を設けているので、バッフルプレート7によって、燃焼空気管3(燃焼空気流路5)内を流れる燃焼用空気による低発熱量燃料の加熱時間を長くして、低発熱量燃料を燃えやすくすることができる。
【0054】
特に、アンモニア燃料の場合は、水素と窒素に分解する作用を促進することができる。
【0055】
従って、低発熱量燃料をより確実に、急速燃焼ではなく緩慢燃焼させて、良好に燃焼させることができる。
【0056】
バッフルプレート7の外回りにスリーブ8を備え、このスリーブ8の内側の空隙Sと外側の流路6双方に燃焼空気流路5から燃焼用空気を流通させることができ、空隙Sを流通する燃焼用空気によって低発熱量を燃焼させ、かつ流路6を流通してスリーブ8の下流側へ流出する燃焼用空気の流れによって、火炎Fを直進させて、より遠くまで到達させることができる。
【0057】
第3実施形態に係る燃焼装置1は、図4及び図5に示されている。図4は、図5中、B-B線に沿う断面図である。
【0058】
第2実施形態の燃焼装置1では、バッフルプレート7にスパークプラグ10だけが設けられてる例について説明したが、第3実施形態にかかる燃焼装置1では、バッフルプレート7には、燃焼空気流路5からスリーブ8内方へ向けて燃焼用空気を流出させる通孔7bが設けられる。
【0059】
通孔7bを設けることにより、低発熱量燃料に与える燃焼用空気の量を増やしたり、また、通孔7bの大きさによって、流量を調節することができる。
【0060】
第3実施形態にかかる燃焼装置1では、燃焼用空気の予熱を簡易な構造で確保することができる。
【0061】
予熱された燃焼用空気を燃焼装置1に供給する方法の一例が図6に示されている。
【0062】
図6では、例えば第3実施形態の燃焼装置1に対して、燃焼用空気を高温の燃焼排ガスで予熱するレキュペレータ11を有するラジアントチューブバーナ12に用いた場合が示されている。
【0063】
ラジアントチューブバーナ12では、ラジアントチューブ12aを燃焼空気管3として、燃焼装置1が組み込まれる。
【0064】
ラジアントチューブ12aの排気側には、ラジアントチューブ12a内に熱交換用のチャンバ13が設けられ、チャンバ13内には、燃焼用空気供給管14が設けられる。
【0065】
燃焼用空気供給管14から供給される燃焼用空気は、チャンバ13で予熱され、当該チャンバ13の先端で折り返して流れ、流路16を流通して、燃焼装置1に向かって流れる。
【0066】
そして、燃焼装置1において、低発熱量燃料との燃焼反応で火炎Fを生成し、燃焼排ガスとなってレキュペレータ11へ向けて流れていく。
【0067】
燃焼排ガスは、チャンバ13の外側を流通する際に、燃焼用空気供給管14からの燃焼用空気と熱交換して、燃焼用空気を予熱する。
【0068】
ラジアントチューブバーナ12は起動時、ラジアントチューブ12a内の温度が低く、レキュペレータ11で燃焼用空気を十分に予熱することが難しい。
【0069】
そこで、ラジアントチューブバーナ12の起動時には、都市ガスなどの炭化水素系の化石燃料を用いて火炎Fを生成してラジアントチューブ12a内の温度を高め、高温の燃焼排ガスを得た後、低発熱量燃料に切り替えることが好ましい。
【0070】
このため、図示例では、燃焼装置1の燃料ノズル2には、最初、化石燃料を供給し、その後、低発熱量燃料に切り替えるために、切替用バルブ15a,15bが備えられている。
【0071】
図6は、第3実施形態にかかる燃焼装置1を適用した場合を示しているが、第1及び第2実施形態にかかる燃焼装置1を適用して、ラジアントチューブバーナ12を構成してもよいことはもちろんである。
【0072】
上述したように、本発明では、燃えにくい低発熱量燃料を簡単な構造で燃えやすくすることができる。
【0073】
アンモニア燃料の場合には、高温で分解した水素を得ることができ、低発熱量の燃料であっても、燃えやすくすることができる。
【0074】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0075】
1 燃焼装置
2 燃料ノズル
2a 燃料噴出部
2b 外周面
2c フィン
2d 取付基部
3 燃焼空気管
3a 内周面
4 流量調整弁
5 燃焼空気流路
6 流路
7 バッフルプレート
7a 外周面
7b 通孔
8 スリーブ
8a スリーブの一端部(上流側)
8b スリーブの他端部(下流側)
8c 内周面
9 スペーサー
10 スパークプラグ
11 レキュペレータ
12 ラジアントチューブバーナ
12a ラジアントチューブ
13 チャンバ
14 燃焼用空気供給管
15a,15b 切替用バルブ
16 流路
F 火炎
S 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6