(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080512
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】レンズ制御装置、レンズシステム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/68 20230101AFI20240606BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20240606BHJP
H04N 23/667 20230101ALI20240606BHJP
G03B 17/00 20210101ALI20240606BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20240606BHJP
【FI】
H04N23/68
H04N23/66
H04N23/667
G03B17/00 B
G03B17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193769
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 智治
【テーマコード(参考)】
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H102AA31
2H102BB22
2H102CA06
5C122EA41
5C122HA35
5C122HA75
5C122HA76
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】手振れを減じる又は回避しつつ、レンズを制御することができる新規なレンズ制御装置及びその関連技術を実現する。
【解決手段】本発明の一態様に係るレンズ制御装置(20)は、被写体(PS)を撮像するためにレンズ(10)を制御するレンズ制御装置であって、前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラ(C)の位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理(S25)と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理(S27)とを実行する少なくとも1つのプロセッサ(22)を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像するためにレンズを制御するレンズ制御装置であって、
前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラの位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理とを実行する少なくとも1つのプロセッサを含んでいる、
ことを特徴とするレンズ制御装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記レンズ又は前記カメラの位置を特定する第1特定処理を実行した後、
前記被写体の位置を特定する第2特定処理、並びに、前記第1特定処理にて特定された前記レンズ又は前記カメラの位置と前記第2特定処理にて特定された前記被写体の位置とを参照して前記算出処理及び前記遠隔制御処理を繰り返し実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ制御装置。
【請求項3】
前記レンズ制御装置は、少なくとも1つのセンサを更に含んでおり、
前記第1特定処理及び前記第2特定処理において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのセンサが測定した、前記レンズ制御装置の位置姿勢、及び前記レンズ若しくは前記カメラ又は前記被写体と前記レンズ制御装置との間の距離を参照し、
前記第1特定処理において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのセンサが指向する物体を前記レンズ又は前記カメラとして、当該レンズ又は当該カメラの位置を特定し、
前記第2特定処理において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのセンサが指向する物体を前記被写体として、当該被写体の位置を特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載のレンズ制御装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサが指向する物体をユーザが識別可能にする機能又は構造を有している、
ことを特徴とする請求項3に記載のレンズ制御装置。
【請求項5】
前記レンズ制御装置は、入力部を含んでおり、
前記少なくとも1つのプロセッサは、ユーザが前記入力部に入力した操作に基づいて決定される現在のモードが、当該少なくとも1つのプロセッサが前記算出処理の後に前記遠隔制御処理を実行する第1モード、及び、当該少なくとも1つのプロセッサが前記算出処理の後に前記遠隔制御処理を実行せずに前記算出処理を繰り返し実行する第2モードのうち何れであるかを判定するモード判定処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のレンズ制御装置。
【請求項6】
被写体を撮像するためにレンズを制御するレンズシステムであって、
前記レンズと、
少なくとも1つのレンズ制御装置と、を含んでおり、
前記少なくとも1つのレンズ制御装置は、
前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラの位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理とを実行する少なくとも1つのプロセッサを含んでいる、
ことを特徴とするレンズシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのレンズ制御装置は、互いに通信可能な第1レンズ制御装置及び第2レンズ制御装置を含んでおり、
前記第1レンズ制御装置は、前記レンズ又は前記カメラの位置を特定する第1特定処理と、前記レンズ又は前記カメラの位置を前記第2レンズ制御装置に送信する位置送信処理とを実行する少なくとも1つのプロセッサを含んでおり、
前記第2レンズ制御装置は、前記被写体の位置を特定する第2特定処理、並びに、前記第1レンズ制御装置から受信した前記レンズ又は前記カメラの位置と前記第2特定処理にて特定された前記被写体の位置とを参照して前記算出処理及び前記遠隔制御処理を繰り返し実行する、少なくとも1つのプロセッサを含んでいる、
ことを特徴とする請求項6に記載のレンズシステム。
【請求項8】
被写体を撮像するためにレンズを制御するレンズ制御装置を制御するためのプログラムであって、
前記レンズ制御装置が含んでいる少なくとも1つのプロセッサに、前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラの位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理とを実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ制御装置、レンズシステム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
TikTok(登録商標)及びYouTube(登録商標)等の動画投稿サービスの普及によって、ミラーレス一眼カメラ等のカメラを用いた動画撮影の技術、及びカメラに装着されたレンズを制御する技術へのニーズが増えてきている。
【0003】
レンズを制御する技術として、フォーカスエリアを用いるか、又は被写体の瞳を検出するオートフォーカス(AF)技術が挙げられる。これらのAF技術には、複数の被写体間でのフォーカスの迷い、及び、フォーカスエリア又は被写体を選択するためのユーザ操作に由来する手振れ等の問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するための技術として、例えば特許文献1には、撮像画像を表示手段に表示する表示制御手段と、表示手段においてユーザが見ている領域である視点領域を検出する検出手段とを有し、視点領域に表示された被写体に合焦するように撮像手段の焦点を制御する撮像制御装置が記載されている。また、特許文献2には、照射光で照射する発光手段と、前記照射光の反射光を受光する受光手段と、前記発光手段が前記照射光を照射してから前記受光手段が前記反射光を受光するまでの時間に基づいて、対象物までの距離を示す距離情報を取得する取得手段と、前記距離情報を通信する通信手段と、を有し、撮像装置が備えるレンズ装置に対し、当該レンズ装置を取り囲む位置に取り付けられることを特徴とする距離検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-180446号公報
【特許文献2】特開2021-026236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術には、撮像映像が表示されたライブビューをユーザが目視しなければ、被写体を選択して焦点を制御することができないという問題がある。また、特許文献2に記載の技術には、被写体が距離検出装置によって検出される位置に置かれる必要があるため、撮像画像の構図に自由度が少ないという問題がある。このように、レンズを制御する技術は、撮影の目的及び環境に応じて、改善の余地がある。
【0007】
本発明の一態様は、手振れを減じる又は回避しつつ、レンズを制御することができる新規なレンズ制御装置及びその関連技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るレンズ制御装置は、被写体を撮像するためにレンズを制御するレンズ制御装置であって、前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラの位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理とを実行する少なくとも1つのプロセッサを含んでいる。
【0009】
また、本発明の一態様に係るレンズシステムは、被写体を撮像するためにレンズを制御するレンズシステムであって、前記レンズと、少なくとも1つのレンズ制御装置と、を含んでおり、前記少なくとも1つのレンズ制御装置は、前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラの位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理とを実行する少なくとも1つのプロセッサを含んでいる。
【0010】
本発明の一態様に係るレンズ制御装置は、コンピュータによって実現してもよい。例えば、コンピュータをレンズ制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることによりレンズ制御装置をコンピュータとして実現させる、レンズ制御装置の制御プログラムも、本発明の範疇に入る。また、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、手振れを減じる又は回避しつつ、レンズを制御することができる新規なレンズ制御装置及びその関連技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係るレンズシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すレンズ制御装置のプロセッサが実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図1に示すレンズのプロセッサが実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示すレンズ制御装置のプロセッサが実行する制御処理の概要を示す概念図である。(A)は第1特定処理の概要を示す概念図である。(B)は第2特定処理の概要を示す概念図である。(C)は算出処理の概要を示す概念図である。(D)は遠隔制御処理の概要を示す概念図である。
【
図5】
図1に示すレンズ制御装置のタッチディスプレイに表示されるGUIの一例を示す模式図である。(A)は第1特定処理の前にタッチディスプレイに表示されるGUIである。(B)は現在のモードが第1モードである場合に第1特定処理の後にタッチディスプレイに表示されるGUIである。(C)は現在のモードが第2モードである場合に第1特定処理の後にタッチディスプレイに表示されるGUIである。
【
図6】本発明の実施形態2に係るレンズシステムの構成を示すブロック図である。
【
図7】
図6に示すレンズ制御装置の外観を示す模式図である。(A)は正面図である。(B)は側面図である。
【
図8】本発明の実施形態3に係るレンズシステムの構成を示すブロック図である。
【
図9】
図8に示す第1レンズ制御装置のプロセッサが実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図8に示す第2レンズ制御装置のプロセッサが実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図8に示す第1レンズ制御装置及び第2レンズ制御装置のプロセッサが実行する制御処理の概要を示す概念図である。
【
図12】
図8に示す第1レンズ制御装置及び第2レンズ制御装置のタッチディスプレイに表示されるGUIの一例を示す模式図である。(A)は第1レンズ制御装置のタッチディスプレイに表示されるGUIである。(B)は現在のモードが第1モードである場合に第2レンズ制御装置のタッチディスプレイに表示されるGUIである。(C)は現在のモードが第2モードである場合に第2レンズ制御装置のタッチディスプレイに表示されるGUIである。
【
図13】本発明の実施形態4に係るレンズシステムの構成を示すブロック図である。
【
図14】
図13に示すレンズ制御装置のプロセッサが実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、本発明の一実施形態である実施形態1について、詳細に説明する。
【0014】
(レンズシステム)
本発明の実施形態1に係るレンズシステム200の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るレンズシステム200の構成を示すブロック図である。レンズシステム200は、静止画撮影及び動画撮影のうち少なくとも一方において、被写体PSを撮像するためにレンズを制御するシステムである。なお、本明細書において、「レンズ」とは、少なくとも1枚の単レンズと、当該少なくとも1枚の単レンズを支持する支持部材とを有するレンズユニットを指す。
【0015】
図1に示すように、レンズシステム200は、レンズ10と、レンズ制御装置20と、を含んでいる。レンズ10とレンズ制御装置20とは、通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。本実施形態において、レンズ10とレンズ制御装置20とは、レンズ10に含まれる通信インターフェース11と、レンズ制御装置20に含まれる通信インターフェース21とを介して、無線通信であるBluetooth(登録商標)通信を介して接続されている。
【0016】
なお、本実施形態において、レンズ10とレンズ制御装置20とを接続する通信手段としてBluetooth(登録商標)通信が用いられるが、本発明は、これに限定されない。通信手段は、レンズ10とレンズ制御装置20との間での電子データの送受信を媒介可能な手段であればよく、有線通信手段又は無線通信手段の何れであってもよい。通信手段が有線通信手段である場合には、用いられるケーブルの長さはレンズ制御装置20の振動がレンズ10へと実質的に伝播しない程度の長さであればよい。
【0017】
また、本実施形態において、レンズ10とレンズ制御装置20とは互いに直接的に接続されているが、本発明は、これに限定されない。レンズ10とレンズ制御装置20とは、直接的に接続されてもよいし、間接的に接続されてもよい。間接的に接続されたレンズ10とレンズ制御装置20との間に介在し得るネットワークとして、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、及びカメラのマウント通信が挙げられる。カメラのマウント通信が用いられる一実施形態においては、例えば、一眼レフカメラ等のカメラのマウントにレンズ10が装着されると共に、カメラとレンズ制御装置20とが通信可能に接続されることによって、マウント通信が実現される。
【0018】
本実施形態において、レンズ10は三脚を介して定点に固定されている。レンズ制御装置20はユーザによって手持ちされており、レンズ制御装置20の位置姿勢はユーザの動作に応じて変化する。被写体PSは、レンズ10の画角内で移動する。
【0019】
(レンズ)
レンズ10は、当該レンズ10が装着されているカメラCが備えるイメージセンサ上に被写体PSの像を結像させるための構成である。本実施形態において、レンズ10として、一眼レフカメラ等のカメラCに対して着脱可能に装着される交換レンズが用いられる。
図1に示すように、レンズ10は、通信インターフェース11と、プロセッサ12と、フォーカスレンズ13とを含んでいる。
【0020】
なお、本発明において、レンズ10は、交換レンズに限定されない。レンズ10は、カメラCが備えるイメージセンサ上に被写体PSの像を結像させるための構成を備えていればよい。また、本発明において、レンズ10は、カメラCに対して着脱可能な交換レンズであってもよいし、カメラCに対して一体的に装着され当該カメラCから脱離不可能なレンズであってもよい。カメラCに対して着脱可能に装着される交換レンズの例として、ズームレンズ、及び単焦点レンズが挙げられる。レンズ10がカメラCに対して一体的に装着されているカメラCの例として、スマートフォン又はタブレット型PCに内蔵されたカメラ、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、遠赤外線カメラ、及び顕微鏡用カメラ等が挙げられる。
【0021】
通信インターフェース11は、各種データの、レンズ10からの送信、及びレンズ10による受信を制御するための構成である。本実施形態において、通信インターフェース11として、Bluetooth(登録商標)通信インターフェースが用いられる。
【0022】
プロセッサ12は、レンズ10全体の動作を制御するための構成である。プロセッサ12は、レンズ10のメモリに記憶された制御処理プログラムP10を展開及び実行すると共にレンズ制御装置20のプロセッサ22から命令信号を受信することによって、レンズ10の制御処理S10を主に実行する。本実施形態において、プロセッサ12として、CPU(Central Processing Unit)が用いられる。プロセッサ12が実行する制御処理S10は、参照する図面を代えて後述する。
【0023】
フォーカスレンズ13は、レンズ10のピント位置を変化させるための構成である。本実施形態において、フォーカスレンズ13として、レンズ10を通る光軸に沿って駆動可能な単レンズが用いられる。
【0024】
本実施形態においては、レンズ制御装置20による制御の対象となるレンズ10の部材は、フォーカスレンズ13であるが、本発明は、これに限定されない。レンズ制御装置20による制御の対象は、レンズ10に含まれる部材、及び撮像に係るレンズ10の状態のうち何れであってもよい。制御対象としてレンズ10に含まれる部材の例には、フォーカスレンズ、ズームレンズ、絞り、及び可変ND(Neutral Density)フィルタが含まれる。また、制御対象として撮像に係るレンズ10の状態の例には、デジタルズームの倍率が含まれる。
【0025】
(レンズ制御装置)
レンズ制御装置20は、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御するための構成である。本実施形態において、レンズ制御装置20として、スマートフォンが用いられる。
図1に示すように、レンズ制御装置20は、レンズ10から分離されており、通信インターフェース21と、プロセッサ22と、メモリ23と、カメラ24と、タッチディスプレイ25と、測距センサ26と、位置姿勢センサ27とを含んでいる。
【0026】
本実施形態においてレンズ制御装置20としてスマートフォンが用いられる。しかしながら、本発明は、これに限定されない。本発明において、レンズ制御装置20は、後述する算出処理及び遠隔制御処理を実行するプロセッサ22を備える装置であればよい。レンズ制御装置20の例として、スマートフォン、タブレット型PC、汎用PC、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイス、及びAR(Augmented Reality)/VR(Virtual Reality)ヘッドセットが挙げられる。
【0027】
本実施形態においては、レンズ制御装置20は、レンズ10がフォーカスレンズ13を駆動させて当該レンズ10のピント位置を被写体PSの位置に一致させるように、レンズ10を遠隔制御することによって、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御する。しかしながら、本発明は、これに限定されない。レンズ制御装置20は、レンズ10に含まれる部材、及び撮像に係るレンズ10の状態のうち何れかを駆動又は変化させることによって、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御してもよい。
【0028】
通信インターフェース21は、各種データの、レンズ制御装置20からの送信、及びレンズ制御装置20による受信を制御するための構成である。本実施形態において、通信インターフェース21として、Bluetooth(登録商標)通信インターフェースが用いられる。
【0029】
プロセッサ22は、レンズ制御装置20全体の動作を制御するための構成である。プロセッサ22は、レンズ制御装置20のメモリ23に記憶された制御処理プログラムP20を展開及び実行する。本実施形態において、プロセッサ22として、CPU(Central Processing Unit)が用いられる。プロセッサ22が実行する制御処理S20は、参照する図面を代えて後述する。
【0030】
メモリ23は、レンズ10の位置を記憶するための構成である。本実施形態において、メモリ23は、一次メモリ及び二次メモリを含んでいる。一次メモリは、レンズ10の位置を揮発的に記憶する機能を有する。二次メモリは、制御処理プログラムP20を不揮発的に記憶する機能を有する。本実施形態において、一次メモリとしてDRAM(Dynamic Random Access Memory)が用いられ、二次メモリとしてフラッシュメモリが用いられる。
【0031】
カメラ24は、測距センサ26が指向する物体をユーザが識別可能にするための撮像画像を撮像するための構成である。本実施形態において、カメラ24として、スマートフォンに内蔵されている背面カメラが用いられる。
【0032】
タッチディスプレイ25は、表示部及び入力部として機能する構成である。本実施形態において、タッチディスプレイ25として、スマートフォンが備えているタッチディスプレイが用いられる。タッチディスプレイ25は、カメラ24によって撮像された撮像画像をライブビューとして表示する表示部として機能すると共に、ユーザがレンズ制御装置20に対する操作を入力する入力部として機能する。また、タッチディスプレイ25は、カメラ24が指向する物体をユーザが識別可能にするように機能する。当該機能は、参照する図面を代えて後述する。
【0033】
測距センサ26は、レンズ制御装置20と、物体との間の距離を測定するための構成である。本実施形態において、測距センサ26は、カメラ24と同一の方向を指向するようにレンズ制御装置20に備えられており、当該方向上にある物体、すなわち測距センサ26が指向する物体とレンズ制御装置20との間の距離を測定する。本実施形態において、測距センサ26として、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサが用いられる。
【0034】
なお、本実施形態において、測距センサ26として、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサが用いられるが、本発明は、これに限定されない。測距センサ26としては、当該測距センサ26が指向する物体とレンズ制御装置20との間の距離を測定できる任意のセンサを用いることができ、例えばToF(Time of Flight)センサ、超音波距離センサ、ステレオカメラ又はミリ波センサを用いてもよい。
【0035】
位置姿勢センサ27は、レンズ制御装置20がレンズ制御装置20自身の位置及び向きを測定するための構成である。本実施形態において、位置姿勢センサ27として、加速度センサとジャイロセンサとの組合せが用いられるが、本発明は、これに限定されない。位置姿勢センサ27としては、レンズ制御装置20がレンズ制御装置20自身の位置及び向きを測定できる任意のセンサを用いることができ、例えば地磁気センサ又はGPS(Global Positioning System)を用いてもよい。
【0036】
(レンズシステムの制御処理)
レンズシステム200の制御処理S200について、以下に説明する。制御処理S200は、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御する処理である。本実施形態において、制御処理S200は、レンズ10の制御処理S10と、レンズ制御装置20の制御処理S20とを含んでいる。レンズ制御装置20のプロセッサ22が制御処理S20を実行し、制御処理S20に連動してレンズ10のプロセッサ12が制御処理S10を実行することによって、制御処理S200が実行される。
【0037】
(レンズ制御装置の制御処理)
レンズ制御装置20の制御処理S20について、
図2を参照して説明する。
図2は、
図1に示すレンズ制御装置20のプロセッサ22が実行する制御処理S20の流れを示すフローチャートである。制御処理S20は、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御する処理である。
【0038】
制御処理S20は、
図2に示すように、生成処理S21と、第1特定処理S22と、レンズ制御装置位置特定処理S23と、第2特定処理S24と、算出処理S25と、モード判定処理S26と、遠隔制御処理S27とを含んでいる。本実施形態において、これらの処理は、レンズ制御装置20のプロセッサ22が処理主体となって実行される。
【0039】
プロセッサ22は、ユーザによる入力操作に応じて制御処理プログラムP20を展開及び実行して制御処理S20を開始する。本実施形態において、制御処理プログラムP20は、公知のARフレームワークを用いて開発されたプログラムである。プロセッサ22は、制御処理S20を開始すると、まず生成処理S21を実行する。プロセッサ22は、次いでユーザによる入力操作に応じて第1特定処理S22を実行した後、続くレンズ制御装置位置特定処理S23、第2特定処理S24、算出処理S25、モード判定処理S26及び遠隔制御処理S27を繰り返し実行する。繰り返し実行される一連の処理は、短い時間間隔で、例えば0.1秒周期で、繰り返し実行される。したがって、一連の処理の一周期分の間はレンズ制御装置20の位置姿勢が実質的に変化しないが、第1特定処理と一連の処理のうち最新の一周期との間ではレンズ制御装置20の位置姿勢は変化しているものと考えることができる。
【0040】
(生成処理)
生成処理S21は、座標系を生成する処理である。ユーザが、プロセッサ22に制御処理S20を実行させるための操作をタッチディスプレイ25に入力すると、プロセッサ22は、制御処理プログラムP20を展開及び実行して、まず生成処理S21を実行する。
【0041】
生成処理S21において、プロセッサ22は、座標系としてXYZ直交ワールド座標系を生成する。ここで、プロセッサ22は、レンズ制御装置20が原点に位置し、カメラ24及び測距センサ26が指向する方向がZ軸負方向に一致し、X軸とY軸とZ軸とが互いに直交するように、座標系を生成する。
【0042】
生成された座標系は、現実空間に紐づけられており、座標系の原点は、現実空間における定点に対応している。したがって、生成処理の後、レンズ制御装置20が現実空間内を移動した場合、座標系におけるレンズ制御装置20の座標は、現実空間内での移動量及び移動方向に応じて、原点から移動する。
【0043】
なお、本発明において、生成される座標系の種類は特に限定されない。例えば、生成処理S21において、XZ平面が、カメラ24が撮像した撮像画像を参照してプロセッサ22によって認識された現実空間の地面と平行であり、Y軸が当該地面に対して鉛直であり、カメラ24及び測距センサ26が指向する方向がYZ平面と平行であるように、座標系が生成されてもよい。また、座標系は、直交ワールド座標系に限定されず、オブジェクト座標系、カメラ座標系又はスクリーン座標系であってもよい。
【0044】
(第1特定処理)
第1特定処理S22は、レンズ10の位置を特定する処理である。プロセッサ22は、ユーザが、プロセッサ22に第1特定処理S22を実行させるための操作をタッチディスプレイ25に入力すると、レンズ10の位置を特定すると共に、特定されたレンズ10の位置をメモリ23に記憶させる。
【0045】
第1特定処理S22において、プロセッサ22は、まず、座標系におけるレンズ制御装置20の位置姿勢を特定する。制御処理S20の間、レンズ制御装置20は、レンズ制御装置20を手持ちするユーザの動作に応じて、その位置姿勢が変化する。第1特定処理S22において、プロセッサ22は、位置姿勢センサ27が測定したレンズ制御装置20の位置姿勢を参照して、生成処理S21の時点で座標系の原点に位置していたレンズ制御装置20の、第1特定処理S22の時点での座標及び向きを特定する。
【0046】
第1特定処理S22において、次いで、プロセッサ22は、測距センサ26が指向する物体をレンズ10として検出し、当該レンズ10とレンズ制御装置20との間の距離を特定する。次いで、プロセッサ22は、生成処理S21において生成された座標系と、第1特定処理において特定されたレンズ制御装置20の座標及び向きと、第1特定処理において特定されたレンズ10とレンズ制御装置20との間の距離とを参照して、座標系におけるレンズ10の座標を決定する。本実施形態において、レンズ10の位置を特定することは、座標系におけるレンズ10の座標を決定することによって、達成される。
【0047】
次いで、プロセッサ22は、決定したレンズ10の座標をメモリ23に記憶させる。
【0048】
本実施形態において、第1特定処理S22におけるレンズ制御装置20の座標及び向きは、ユーザによる入力操作に応じて断続的に特定されるが、本発明はこれに限定されない。レンズ制御装置20の座標及び向きは、生成処理S21の後、第1特定処理S22の前の間に、ユーザによる入力操作に依らずにプロセッサ22によって連続的に実行されてもよく、したがって第1特定処理S22の開始時点でレンズ制御装置20の座標及び向きが特定されていてもよい。
【0049】
(レンズ制御装置位置特定処理)
レンズ制御装置位置特定処理S23は、第2特定処理S24の前に、レンズ制御装置20の位置姿勢を特定する処理である。レンズ制御装置位置特定処理S23において、プロセッサ22は、位置姿勢センサ27が測定したレンズ制御装置20の位置姿勢を参照して、生成処理S21の時点で座標系の原点に位置していたレンズ制御装置20の、レンズ制御装置位置特定処理S23の時点での座標及び向きを特定する。
【0050】
(第2特定処理)
第2特定処理S24は、被写体PSの位置を特定する処理である。
【0051】
第2特定処理S24において、プロセッサ22は、測距センサ26が指向する物体を被写体PSとして検出し、当該被写体PSとレンズ制御装置20との間の距離を特定する。次いで、プロセッサ22は、生成処理S21において生成された座標系と、レンズ制御装置位置特定処理S23において特定されたレンズ制御装置20の座標及び向きと、第2特定処理S24において特定された被写体PS及びレンズ制御装置20の間の距離とを参照して、座標系における被写体PSの座標を決定する。本実施形態において、被写体PSの位置を特定することは、座標系における被写体PSの座標を決定することによって、達成される。
【0052】
(算出処理)
算出処理S25は、レンズ10の位置及び被写体PSの位置に基づいてレンズ10と被写体PSとの間の距離を算出する処理である。算出処理S25において、プロセッサ22は、メモリに記憶されたレンズ10の座標と、第2特定処理において特定された被写体PSの座標とを参照して、レンズ10と被写体PSとの間の距離を算出する。
【0053】
(モード判定処理)
モード判定処理S26は、ユーザがタッチディスプレイ25に入力した操作に基づいて決定されるレンズ制御装置20の現在のモードが、第1モード及び第2モードのうち何れであるかを判定する処理である。メモリ23は、ユーザがタッチディスプレイ25に任意の時点で入力した操作に応じてプロセッサ22が決定するモード情報を記憶している。モード判定処理S26において、プロセッサ22は、メモリ23に記憶されたモード情報を参照して、レンズ制御装置20の現在のモードが、第1モード及び第2モードのうち何れであるかを判定する。
【0054】
第1モードは、プロセッサ22が算出処理S25の後に遠隔制御処理S27を実行するモードである。現在のモードが第1モードであるとプロセッサ22が判定した場合(YES)、プロセッサ22は、モード判定処理S26を実行した後、遠隔制御処理S27を実行する。したがって、第1モードにおいて、レンズ制御装置位置特定処理S23、第2特定処理S24、算出処理S25、モード判定処理S26及び遠隔制御処理S27の一連の処理が連続的に実行される。
【0055】
第2モードは、プロセッサ22が算出処理S25の後に遠隔制御処理S27を実行せずに算出処理S25を繰り返し実行するモードである。本実施形態において、現在のモードが第2モードであるとプロセッサ22が判定した場合(NO)、プロセッサ22は、モード判定処理S26を実行した後、制御処理S20をレンズ制御装置位置特定処理S23に戻す。したがって、第2モードにおいては、遠隔制御処理S27が実行されない。換言すれば、レンズ制御装置20のモードが第2モードである間、レンズ10のフォーカスレンズ13の状態は、レンズ制御装置20のモードが第1モードから第2モードに切り替えられる直前の状態のままで固定される。
【0056】
(遠隔制御処理)
遠隔制御処理S27は、算出処理S25において算出されたレンズ10と被写体PSとの間の距離に基づいて、レンズ10を遠隔制御する処理である。遠隔制御処理S27において、プロセッサ22は、命令信号として算出された距離を表す情報を、通信インターフェース11及び22を介してレンズ10のプロセッサ12に送信する。
【0057】
本実施形態においては、プロセッサ22からプロセッサ12へ送信される命令信号として、算出された距離を表す情報が用いられる。しかしながら、本発明は、これに限定されない。命令信号として、算出された距離とフォーカスレンズ13によって実現されるピント距離とを一致させるための、フォーカスレンズ13の単レンズの位置(フォーカス位置)又は駆動量を表す情報が用いられてもよい。
【0058】
プロセッサ22は、遠隔制御処理S27を実行した後、制御処理S20をレンズ制御装置位置特定処理S23に戻す。
【0059】
(レンズの制御処理)
レンズ10の制御処理S10について、
図3を参照して説明する。
図3は、
図1に示すレンズ10のプロセッサ12が実行する制御処理S10の流れを示すフローチャートである。制御処理S10は、レンズ制御装置20からの命令信号を参照して、レンズ10を制御する処理である。
【0060】
制御処理S10は、
図3に示すように、待機処理S11と、フォーカス位置算出処理S12と、フォーカスレンズ駆動処理S13とを含んでいる。本実施形態において、これらの処理は、レンズ10のプロセッサ12が処理主体となって実行される。
【0061】
(待機処理)
待機処理S11は、レンズ制御装置20からの命令信号を待機する処理である。プロセッサ12は、レンズ制御装置20のプロセッサ22が遠隔制御処理S27において送信した命令信号を受信した場合(YES)、続くフォーカス位置算出処理を実行し、命令信号を受信していない場合(NO)、待機処理S11を繰り返し実行する。
【0062】
(フォーカス位置算出処理)
フォーカス位置算出処理S12は、受信した命令信号を参照して、フォーカス位置を算出する処理である。フォーカス位置算出処理S12において、プロセッサ12は、命令信号として受信した距離を表す情報と、レンズ10からカメラCが備えるイメージセンサまでの距離を表す情報とを参照して、2つの距離の合計とピント距離とが一致するように、フォーカスレンズ13のフォーカス位置を算出する。ここで、ピント距離は、カメラCが備えるイメージセンサから、レンズ10のピント位置までの距離を意味し、フォーカス位置は、フォーカスレンズ13における単レンズの位置を意味する。
【0063】
本実施形態において、ピント距離とフォーカス位置との対応関係は、レンズ10のメモリに記憶された制御処理プログラムP10によって、規定されており、プロセッサ12は、当該対応関係も参照することによって、フォーカス位置を算出する。
【0064】
(フォーカスレンズ駆動処理)
フォーカスレンズ駆動処理S13は、フォーカスレンズ13を駆動させる処理である。プロセッサ12は、フォーカス位置算出処理S12において算出されたフォーカス位置に、フォーカスレンズ13の単レンズの位置が一致するように、フォーカスレンズ13を駆動させる。
【0065】
(レンズ制御装置の制御処理の概要)
レンズ制御装置20の制御処理S20の概要について、
図4を参照して説明する。
図4は、
図1に示すレンズ制御装置20のプロセッサ22が実行する制御処理S20の概要を示す概念図である。
図4(A)は第1特定処理S22の概要を示す概念図である。
図4(B)は第2特定処理S24の概要を示す概念図である。
図4(C)は算出処理S25の概要を示す概念図である。
図4(D)は遠隔制御処理S27の概要を示す概念図である。
図4において、レンズ10、レンズ制御装置20及び被写体PSが図示されるが、レンズ制御装置20を手持ちするユーザは簡単のため図示を省略されている。
【0066】
まず、制御処理S20のために、ユーザが実行する操作の概要を説明する。
図4(A)に示すように、第1特定処理S22において、ユーザは、レンズ制御装置20のカメラ24をレンズ10に向けながら、第1特定処理S22に対応する操作をタッチディスプレイ25に入力する。第1特定処理S22の後、
図4(B)、(C)及び(D)に示すように、ユーザは、レンズ制御装置20のカメラ24を被写体PSに向け続ける。
【0067】
制御処理S20において、レンズ制御装置20が実行する処理の概要を説明する。第1特定処理S22において、レンズ制御装置20は、ユーザがタッチディスプレイ25に入力した操作に応じて、カメラ24及び測距センサ26が指向する物体をレンズ10として検出し、レンズ10の位置を特定する。第1特定処理S22の後、第2特定処理S24において、レンズ制御装置20は、測距センサ26が指向する物体を被写体PSとして検出し、被写体PSの位置を特定する。算出処理S25において、レンズ制御装置20は、レンズ10と被写体PSとの間の距離を算出する。遠隔制御処理S27において、レンズ制御装置20は、算出された距離に基づいて、レンズ10に命令信号を送信し、レンズ10を遠隔制御する。
【0068】
以上のように、第1特定処理S22の後、レンズ制御装置20を手持ちするユーザが、被写体PSとして意図した物体に対してカメラ24を向け続けることによって、レンズ制御装置20は、当該被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御することができる。なお、第1特定処理S22と第2特定処理S24との間でユーザがカメラ24の指向をレンズ10から被写体PSへと切り替えることによって、及び、第2特定処理S24、算出処理S25及び遠隔制御処理S27の間でユーザが被写体PSの移動に追従するようにカメラ24の指向を変化させることによって、レンズ制御装置の位置姿勢は変化する。この変化はレンズ制御装置位置特定処理S23において特定され、算出処理S25に反映されるため、ユーザは制御処理S20の間で自由にレンズ制御装置20の位置姿勢を変化させることができる。
【0069】
上記から理解されるように、ユーザは、レンズ10が装着されているカメラに触れて操作せずとも、レンズ制御装置20のカメラ24をレンズ10又は被写体PSに向けるという単純且つ直感的な操作を行うことによって、レンズ10のピント位置を調整できる。したがって、レンズ制御装置20は、ユーザが手振れを減じる又は回避しつつ、レンズを制御することを可能にする。また、レンズ10のピント位置はユーザがカメラ24を向けた被写体に一致するように制御されるため、従来のAF技術が課題としているフォーカスの迷いが回避される。
【0070】
また、レンズ制御装置20によれば、レンズ10が装着されているカメラが撮像する撮像画像において被写体PSがフォーカスエリア内に写らなくとも、被写体PSにピント位置を一致させることができるため、撮像の構図の自由度が向上される。また、レンズ制御装置20によれば、ユーザは、レンズ10が装着されているカメラのライブビューを見ずとも、撮影を管理することができる。したがって、ユーザは、レンズ10が装着されているカメラの付近にいなくともよく、また、撮影の管理が容易になり、例えば、ワンオペでの撮影も容易になる。
【0071】
また、遠隔制御処理S27が実行されるか否かは、レンズ制御装置20のモードに応じて判定される。したがって、レンズ制御装置20によれば、被写体PSをある物体から別の物体へと切り替える途中で、カメラ24の撮像画像に写り込む被写体PSとして意図されない物体へピント位置が一致することを避けることができる。
【0072】
(レンズ制御装置のGUI)
レンズ制御装置20の制御処理S20が実行されている間にレンズ制御装置20のタッチディスプレイ25に表示されるGUI(graphical user interface)について、
図5を参照して説明する。
図5は、
図1に示すレンズ制御装置20のタッチディスプレイ25に表示されるGUIの一例を示す模式図である。
図5(A)は第1特定処理S22の前にタッチディスプレイ25に表示されるGUIである。
図5(B)は現在のモードが第1モードである場合に第1特定処理S22の後にタッチディスプレイ25に表示されるGUIである。
図5(C)は現在のモードが第2モードである場合に第1特定処理S22の後にタッチディスプレイ25に表示されるGUIである。タッチディスプレイ25は、カメラ24が撮像した撮像画像をライブビューとしてGUIの背景に表示するが、簡潔性のため、
図5(A)~(C)において、背景の図示を省略する。
【0073】
図5(A)に示すように、第1特定処理において、タッチディスプレイ25は、レティクルG1と、レンズ位置登録ボタンG2を表示する。レティクルG1は、カメラ24及び測距センサ26が指向する物体をユーザが識別可能にするGUIであり、カメラ24が撮像した撮像画像と重畳して表示されている。レンズ位置登録ボタンG2は、レンズ制御装置20に第1特定処理S22を実行させるためにユーザがタッチするGUIである。ユーザは、レティクルG1にレンズ10が重畳して表示されている時に、レンズ位置登録ボタンG2をタッチし、レンズ制御装置20に第1特定処理S22を実行させる。
【0074】
図5(B)に示すように、現在のモードが第1モードである場合、タッチディスプレイ25は、算出距離情報G3と、レンズ位置消去ボタンG4と、モード切替ボタンG5とを表示する。算出距離情報G3は、算出処理S25において算出されたレンズ10と被写体PSとの間の距離を表す情報を表示するGUIである。レンズ位置消去ボタンG4は、第1特定処理S22においてメモリ23に記憶されたレンズ10の位置を表す情報をレンズ制御装置20に消去させるためにユーザがタッチするGUIである。ユーザがレンズ位置消去ボタンG4をタッチすると、レンズ制御装置20は制御処理S20を第1特定処理S22に戻し、タッチディスプレイ25は表示するGUIを
図5(B)に示すGUIから
図5(A)に示すGUIへと切り替える。モード切替ボタンG5は、モードを切り替えるためにユーザがタッチするGUIである。現在のモードが第1モードである時にユーザがモード切替ボタンG5をタッチすると、レンズ制御装置20はモードを第2モードへと切り替え、タッチディスプレイ25は表示するGUIを
図5(B)に示すGUIから
図5(C)に示すGUIへと切り替える。
【0075】
図5(C)に示すように、現在のモードが第2モードである場合、タッチディスプレイ25は、算出距離情報G3と、モード切替ボタンG5とを表示する。現在のモードが、遠隔制御処理S27が実行されない第2モードである場合、算出距離情報G3は距離を表す情報を表示しない。また、現在のモードが第2モードである時にユーザがモード切替ボタンG5をタッチすると、レンズ制御装置20はモードを第1モードへと切り替え、タッチディスプレイ25は表示するGUIを
図5(C)に示すGUIから
図5(B)に示すGUIへと切り替える。
【0076】
(実施形態1の変形例)
本実施形態において、第1特定処理S22におけるレンズ10の位置の特定、及び第2特定処理S24における被写体PSの位置の特定は、位置姿勢センサ27が測定したレンズ制御装置20の位置姿勢、及び測距センサ26が測定したレンズ10又は被写体PSとレンズ制御装置20との間の距離を参照して実行される。しかしながら、本発明は、これに限定されない。これらの処理は、物体の検出、並びに物体の位置及び向きの特定を行うことができる任意の技術を用いて実行することができる。例えば、プロセッサ22は、カメラ24が撮像した撮像画像を参照して、カメラ24が指向する物体をレンズ10若しくはレンズ10が装着されているカメラC又は被写体PSとして検出し、レンズ10又はカメラC、及び被写体PSの位置を特定してもよい。このように撮像画像を参照する変形例においては、マーカ形式又はマーカレス形式のビジュアルベースARフレームワークを用いることができる。ビジュアルベースARフレームワークを利用する変形例としては、例えばレンズ10が備えるAR用マーカが利用される変形例、並びに、被写体PSの顔及び身体の特徴点を検索する技術(フェイストラッキング等)が利用される変形例が挙げられる。
【0077】
本実施形態において、第1特定処理S22において、プロセッサ22はレンズ10の位置を特定するが、本発明はこれに限定されない。第1特定処理S22において、プロセッサ22は、レンズ10の代わりに当該レンズ10が装着されているカメラCの位置を特定してもよい。ここで、カメラCの位置には、カメラCが含む任意の部材の位置が含まれる。例えば、プロセッサ22は、第1特定処理S22において、カメラCが備えるイメージセンサの位置を特定し、算出処理S25において、当該イメージセンサと被写体PSとの距離を算出し、遠隔制御処理S27において、算出された距離を参照してレンズ10を遠隔制御してもよい。
【0078】
本実施形態において、タッチディスプレイ25は、カメラ24が撮像した撮像画像をライブビューとして表示する。しかしながら、本発明は、これに限定されない。本発明において、レンズ制御装置20は、レンズ10が装着されているカメラから、当該カメラが撮像した撮像画像を受信し、当該撮像画像を、カメラ24が撮像した撮像画像と並列して、ライブビューとして表示してもよい。
【0079】
また、本実施形態において、タッチディスプレイ25は、レンズ10と被写体PSとの間の距離を算出距離情報G3として表示する。しかしながら、本発明は、これに限定されない。本発明において、タッチディスプレイ25は、レンズ10と被写体PSとの間の距離の代わりに、又はこれに加えて、プロセッサ22が算出するレンズ制御装置20と被写体PSとの間の距離を表示してもよい。例えば、レンズ制御装置20と被写体PSとの間の距離を表示する形式は、数値であってもよいし、タッチディスプレイ25にライブビューとして表示される撮像画像に対して拡張現実画像として重畳して表示される仮想オブジェクトであってもよい。仮想オブジェクトが用いられる変形例において、プロセッサ22は、第1特定処理S22において座標系を生成すると共に当該座標系に対応した仮想空間を生成し、第2特定処理S24において被写体PSの位置を特定すると共に当該位置に対応する仮想空間の座標に固定されたサイズの仮想オブジェクトを配置してもよい。プロセッサ22は、レンズ制御装置位置特定処理S23において特定されたレンズ制御装置20の座標と、仮想オブジェクトの座標とを参照して、仮想オブジェクトとライブビューとを含む拡張現実画像を表示してもよい。ユーザは、拡張現実画像における仮想オブジェクトの大きさを見て、レンズ制御装置20と被写体PSとの間の距離を認識することができる。
【0080】
(実施形態2)
本発明の他の実施形態である実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0081】
(レンズシステム)
本発明の実施形態2に係るレンズシステム300の構成について、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態2に係るレンズシステム300の構成を示すブロック図である。
【0082】
図6に示すように、レンズシステム300は、レンズ10と、レンズ制御装置30と、を含んでいる。レンズ10とレンズ制御装置30とは、通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。
【0083】
(レンズ制御装置)
レンズ制御装置30は、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御するための構成である。本実施形態において、レンズ制御装置30として、専用のリモートコントローラが用いられる。リモートコントローラの外観は、参照する図面を代えて説明する。
図6に示すように、レンズ制御装置30は、レンズ10から分離されており、通信インターフェース21と、プロセッサ22と、メモリ23と、ガイド34と、測距センサ35と、位置姿勢センサ36と、ボタン37とを含んでいる。
【0084】
ガイド34は、測距センサ35が指向する物体をユーザが識別可能にするための構成である。本実施形態において、ガイド34として、十字形のレティクルが印刷された透明ガラスが用いられる。ユーザがガイド34の透明ガラスを通して物体を見た時に、印刷されたレティクルと重畳する物体が、測距センサ35が指向する物体となるように、ガイド34はレンズ制御装置30に備えられている。したがって、ガイド34は、測距センサ35が指向する物体をユーザが識別可能にする構造である。
【0085】
測距センサ35及び位置姿勢センサ36はそれぞれ、上述した測距センサ26及び位置姿勢センサ27と同一の構成を有するため、その説明を繰り返さない。
【0086】
ボタン37は、レンズ制御装置30に対する操作をユーザが入力するための構成である。本実施形態において、ボタン37として、押下可能な物理ボタンが用いられる。
【0087】
(レンズ制御装置の外観)
レンズ制御装置30の外観について、
図7を参照して説明する。
図7は、
図6に示すレンズ制御装置30の外観を示す模式図である。
図7(A)は正面図である。
図7(B)は側面図である。
図7に示すように、レンズ制御装置30は、ガイド34と、ボタン37として2つのボタン37A及び37Bとを含んでいる。なお、レンズ制御装置30が含んでいる通信インターフェース21、プロセッサ22、メモリ23、測距センサ35及び位置姿勢センサ36は、レンズ制御装置30に内蔵されているため、
図7において図示されていない。
【0088】
測距センサ35は、Z軸負方向を指向するようにレンズ制御装置30に備えられている。したがって、ユーザは、Z軸負方向に向かってガイド34を通して物体を見た時に、十字形のレティクルと重畳する物体が、測距センサ35が指向する物体であって、測距対象であることを把握することができる。
【0089】
ボタン37Aは、第1特定処理S22に対応する入力部である。ユーザがボタン37Aを押下すると、プロセッサ22は第1特定処理S22を実行する。ボタン37Bは、モードの切替に対応する入力部である。ユーザがボタン37Bを押下すると、プロセッサ22は、モード判定処理S26においてプロセッサ22によって判定される、第1モード及び第2モードの間でレンズの制御処理S20のモードを切り替える。
【0090】
(レンズシステムの制御処理)
レンズシステム300の制御処理S300は、上述したレンズシステム200の制御処理S200と同様である。制御処理S200において、プロセッサ22は、第1特定処理S22、レンズ制御装置位置特定処理S23及び第2特定処理S24を、制御処理プログラムP20が基づくARフレームワークを介して実行する。対して、制御処理S300において、プロセッサ22は、これらの処理を、ARフレームワークを介さずに、位置姿勢センサ36が測定したレンズ制御装置30の位置姿勢、及び、測距センサ35が測定したレンズ10又は被写体PSとレンズ制御装置30との間の距離を参照して、実行する。この点を除いて、制御処理S300は制御処理S200と同一である。そのため、制御処理S300に含まれる各処理については、その説明を繰り返さない。
【0091】
(実施形態2の変形例)
本実施形態において、測距センサ35及び位置姿勢センサ36を含むレンズ制御装置30は
図7に示される装置である。しかしながら、本発明は、これに限定されない。本発明において、レンズ制御装置30として、レンズ制御装置30の位置姿勢、及びレンズ及び被写体とレンズ制御装置との間の距離を測定可能な少なくとも1つのセンサ、並びに少なくとも1つのプロセッサを含む任意の装置を用いることができる。レンズ制御装置30はとして、例えばスマートグラスを挙げることができる。
【0092】
また、本実施形態において、ガイド34として透明ガラスが用いられるが、本発明は、これに限定されない。ガイド34は、測距センサ35が指向する物体をユーザが識別可能にするものであればよく、例えばスマートグラスのレンズに投影されたドット型の指標であってもよいし、網膜投影型レーザー・プロジェクタを用いて網膜に投影されたドット型の指標でもよい。
【0093】
(実施形態3)
本発明のさらなる他の実施形態である実施形態3について、以下に説明する。
【0094】
(レンズシステム)
本発明の実施形態3に係るレンズシステム400の構成について、
図8を参照して説明する。
図8は、本発明の実施形態3に係るレンズシステム400の構成を示すブロック図である。
【0095】
図8に示すように、レンズシステム400は、レンズ10と、第1レンズ制御装置20Aと、第2レンズ制御装置20Bとを含んでいる。レンズ10と第2レンズ制御装置20Bとは、通信手段としてWifi(登録商標)通信を介して互いに通信可能に接続されており、第2レンズ制御装置20Bと第1レンズ制御装置20Aとは、通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。
【0096】
(レンズ制御装置)
第1レンズ制御装置20Aは、レンズ10から分離されており、通信インターフェース21Aと、プロセッサ22Aと、メモリ23Aと、カメラ24Aと、タッチディスプレイ25Aと、測距センサ26Aと、位置姿勢センサ27Aとを含んでいる。また、第2レンズ制御装置20Bは、レンズ10から分離されており、通信インターフェース21Bと、プロセッサ22Bと、メモリ23Bと、カメラ24Bと、タッチディスプレイ25Bと、測距センサ26Bと、位置姿勢センサ27Bとを含んでいる。第1レンズ制御装置20A及び第2レンズ制御装置20Bに含まれる各部材は、レンズ制御装置20に含まれる同一の部材名で記載される各部材と、同じ機能を有する。そのため、第1レンズ制御装置20A及び第2レンズ制御装置20Bに含まれる各部材については、その説明を繰り返さない。
【0097】
レンズ10、第1レンズ制御装置20A、第2レンズ制御装置20B及び被写体PSは、1つの部屋内に配置されている。レンズ10はカメラマンによって手持ちされており、部屋内を移動する。第1レンズ制御装置20Aは第1ユーザによって手持ちされており、第1レンズ制御装置20Aの位置姿勢は第1ユーザの動作に応じて変化する。第2レンズ制御装置20Bは第2ユーザによって手持ちされており、第2レンズ制御装置20Bの位置姿勢は第2ユーザの動作に応じて変化する。被写体PSは、部屋内を移動する。
【0098】
(レンズシステムの制御処理)
レンズシステム400の制御処理S400について、以下に説明する。制御処理S400は、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御する処理である。本実施形態において、制御処理S400は、レンズ10の制御処理S10と、第1レンズ制御装置20Aの制御処理S40と、第2レンズ制御装置20Bの制御処理S50とを含んでいる。第1レンズ制御装置20Aのプロセッサ22Aが制御処理S40を実行し、第2レンズ制御装置20Bのプロセッサ22Bが制御処理S50を実行し、レンズ10のプロセッサ12が制御処理S10を実行することによって、制御処理S400が実行される。第1レンズ制御装置20Aの制御処理S40及び第2レンズ制御装置20Bの制御処理S50それぞれは、プロセッサ22A及びプロセッサ22Bによって並行して実行される。
【0099】
(第1レンズ制御装置の制御処理)
第1レンズ制御装置20Aの制御処理S40について、
図9を参照して説明する。
図9は、
図8に示す第1レンズ制御装置20Aのプロセッサ22Aが実行する制御処理S40の流れを示すフローチャートである。制御処理S40は、被写体PSを撮像するためにレンズ10の位置を特定し、第2レンズ制御装置20Bに送信する処理である。
【0100】
制御処理S40は、
図9に示すように、第1生成処理S41と、第1レンズ制御装置位置特定処理S42と、第1特定処理S43と、第1モード判定処理S44と、位置送信処理S45とを含んでいる。本実施形態において、これらの処理は、第1レンズ制御装置20Aのプロセッサ22Aが処理主体となって実行される。
【0101】
プロセッサ22Aは、第1ユーザによる入力操作に応じて制御処理S40を開始し、まず第1生成処理S41を実行する。プロセッサ22Aは、第1生成処理S41を実行した後、続く第1レンズ制御装置位置特定処理S42、第1特定処理S43、第1モード判定処理S44及び位置送信処理S45を繰り返し実行する。
【0102】
(第1生成処理)
第1生成処理S41は、座標系を生成する処理である。プロセッサ22Aは、ユーザが、プロセッサ22Aに第1生成処理S41を実行させるための操作をタッチディスプレイ25Aに入力すると、第1生成処理S41を実行する。簡潔性のため、以下では、第1生成処理S41において生成される座標系を第1座標系と記載し、後述する第2生成処理S51において生成される座標系を第2座標系と記載する。
【0103】
第1生成処理S41において、プロセッサ22Aは、まず測距センサ26Aが指向する第1の物体の位置を特定する。次いで第1ユーザが第1レンズ制御装置20Aの向きを変えることにより測距センサ26Aが指向するようになる、第1の物体とは別の第2の物体の位置を、プロセッサ22Aは特定する。次いで、プロセッサ22Aは、第1座標系をXYZ直交ワールド座標系として生成する。ここで、プロセッサ22Aは、特定された第1の物体及び第2の物体の位置を参照して、第1の物体が原点に位置し、第2の物体がZ軸負方向に一致するように、第1座標系を生成する。
【0104】
(第1レンズ制御装置位置特定処理)
第1レンズ制御装置位置特定処理S42は、第1特定処理S43の前に、第1レンズ制御装置20Aの位置姿勢を特定する処理である。第1レンズ制御装置位置特定処理S42は、上述したレンズ制御装置位置特定処理S23と同様の処理であるため、その説明を繰り返さない。
【0105】
(第1特定処理)
第1特定処理S43は、レンズ10の位置を特定する処理である。第1特定処理S43において、プロセッサ22Aは、測距センサ26Aが指向する物体をレンズ10として検出し、当該レンズ10と第1レンズ制御装置20Aとの間の距離を特定する。次いで、プロセッサ22Aは、第1生成処理S41において生成された第1座標系と、第1レンズ制御装置位置特定処理S42において特定された第1レンズ制御装置20Aの位置及び向きと、第1特定処理S43において特定されたレンズ10及び第1レンズ制御装置20Aの間の距離とを参照して、第1座標系におけるレンズ10の座標を決定する。
【0106】
(第1モード判定処理)
第1モード判定処理S44は、第1ユーザがタッチディスプレイ25Aに入力した操作に基づいて決定される第1レンズ制御装置20Aの現在のモードが、第1モード及び第2モードのうち何れであるかを判定する処理である。本実施形態における第1モード及び第2モードは、上述した実施形態における第1モード及び第2モードと同様であるため、その説明を繰り返さない。
【0107】
第1モード判定処理S44において、現在のモードが第1モードであるとプロセッサ22Aが判定した場合(YES)、プロセッサ22Aは、第1モード判定処理S44を実行した後、位置送信処理S45を実行する。現在のモードが第2モードであるとプロセッサ22Aが判定した場合(NO)、プロセッサ22Aは、第1モード判定処理S44を実行した後、制御処理S40を第1レンズ制御装置位置特定処理S42に戻す。
【0108】
(位置送信処理)
位置送信処理S45は、レンズ10の位置を第2レンズ制御装置20Bに送信する処理である。位置送信処理S45において、プロセッサ22Aは、第1特定処理S43において特定された、第1座標系におけるレンズ10の座標を、通信インターフェース21A及び21Bを介して、第2レンズ制御装置20Bのプロセッサ22Bに送信する。
【0109】
プロセッサ22Aは、位置送信処理S45を実行した後、制御処理S40を第1レンズ制御装置位置特定処理S42に戻す。
【0110】
(第2レンズ制御装置の制御処理)
第2レンズ制御装置20Bの制御処理S50について、
図10を参照して説明する。
図10は、
図8に示す第2レンズ制御装置20Bのプロセッサ22Bが実行する制御処理S50の流れを示すフローチャートである。制御処理S50は、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御する処理である。
【0111】
制御処理S50は、
図10に示すように、第2生成処理S51と、第2レンズ制御装置位置特定処理S52と、位置受信処理S53と、第2特定処理S54と、算出処理S55と、第2モード判定処理S56と、遠隔制御処理S57とを含んでいる。本実施形態において、これらの処理は、第2レンズ制御装置20Bのプロセッサ22Bが処理主体となって実行される。
【0112】
プロセッサ22Bは、第2ユーザによる入力操作に応じて制御処理S50を開始し、まず第2生成処理S51を実行する。プロセッサ22Bは、第2生成処理S51を実行した後、続く第2レンズ制御装置位置特定処理S52、位置受信処理S53、第2特定処理S54、算出処理S55、第2モード判定処理S56及び遠隔制御処理S57を繰り返し実行する。
【0113】
(第2生成処理)
第2生成処理S51は、座標系を生成する処理である。プロセッサ22Bは、第2ユーザが、プロセッサ22Bに第2生成処理S51を実行させるための操作をタッチディスプレイ25Bに入力すると、第2生成処理S51を実行する。
【0114】
第2生成処理S51において、プロセッサ22Bは、まず測距センサ26Bが指向する第3の物体の位置を特定する。次いで第2ユーザが第2レンズ制御装置20Bの向きを変えることにより測距センサ26Bが指向するようになる、第3の物体とは別の第4の物体の位置を、プロセッサ22Bは特定する。次いで、プロセッサ22Bは、第2座標系をXYZ直交ワールド座標系として生成する。ここで、プロセッサ22Bは、特定された第3の物体及び第4の物体の位置を参照して、第3の物体が原点に位置し、第4の物体がZ軸負方向に一致するように、第2座標系を生成する。第2ユーザは、第1生成処理S41においてその位置が特定される第1の物体及び第2の物体それぞれが第3の物体及び第4の物体と同一であるように、第2レンズ制御装置20Bを操作する。したがって、第1生成処理S41において生成される第1座標系と、第2生成処理S51において生成される第2座標系とは、互いに一致する。
【0115】
(第2レンズ制御装置位置特定処理)
第2レンズ制御装置位置特定処理S52は、位置受信処理S53の前に、第2レンズ制御装置20Bの位置姿勢を特定する処理である。第2レンズ制御装置位置特定処理S52は、上述したレンズ制御装置位置特定処理S23と同様の処理であるため、その説明を繰り返さない。
【0116】
(位置受信処理)
位置受信処理S53は、位置送信処理S45においてプロセッサ22Aが送信した、第1座標系におけるレンズ10の座標を受信する処理である。ここで、第1座標系と第2座標系とは互いに一致するため、第1座標系におけるレンズ10の座標と、第2座標系におけるレンズ10の座標とは同一である。プロセッサ22Bは、第1座標系におけるレンズ10の座標を受信すると共に、受信したレンズ10の座標を第2座標系におけるレンズ10の座標としてメモリ23Bに記憶させる。本実施形態において、レンズ10の位置を特定することは、プロセッサ22Aから第1座標系におけるレンズ10の座標を受信することによって、達成される。
【0117】
第1レンズ制御装置20Aのモードが第2モードであり、プロセッサ22Aが位置送信処理S45を実行しない場合、プロセッサ22Bは、レンズ10の座標の受信を待機せず、位置受信処理S53をスキップする。
【0118】
(第2特定処理)
第2特定処理S54は、被写体PSの位置を特定する処理である。第2特定処理S54は、上述した第2特定処理S24と同様の処理であるため、その説明を繰り返さない。
【0119】
(算出処理)
算出処理S55は、レンズ10の位置及び被写体PSの位置に基づいてレンズ10と被写体PSとの間の距離を算出する処理である。算出処理S55は、上述した算出処理S25と同様の処理であるため、その説明を繰り返さない。
【0120】
なお、第1レンズ制御装置20Aのモードが第2モードであり、位置受信処理S53においてプロセッサ22Bがレンズ10の座標を受信していなかった場合、プロセッサ22Bは、第1レンズ制御装置20Aのモードが第1モードから第2モードに切り替えられる直前にプロセッサ22Bが受信してメモリ23Bに記憶させたレンズ10の座標を参照し、算出処理S55を実行する。
【0121】
(第2モード判定処理)
第2モード判定処理S56は、第2ユーザがタッチディスプレイ25Bに入力した操作に基づいて決定される第2レンズ制御装置20Bの現在のモードが、第1モード及び第2モードのうち何れであるかを判定する処理である。本実施形態における第1モード及び第2モードは、上述した実施形態における第1モード及び第2モードと同様であるため、その説明を繰り返さない。
【0122】
第2モード判定処理S56において、現在のモードが第1モードであるとプロセッサ22Bが判定した場合(YES)、プロセッサ22Bは、第2モード判定処理S56を実行した後、遠隔制御処理S57を実行する。現在のモードが第2モードであるとプロセッサ22Bが判定した場合(NO)、プロセッサ22Bは、第2モード判定処理S56を実行した後、制御処理S50を第2レンズ制御装置位置特定処理S52に戻す。
【0123】
(遠隔制御処理)
遠隔制御処理S57は、算出処理S55において算出されたレンズ10と被写体PSとの間の距離に基づいて、レンズ10を遠隔制御する処理である。遠隔制御処理S57は、上述した遠隔制御処理S27と同様の処理であるため、その説明を繰り返さない。
【0124】
(レンズの制御処理)
本実施形態におけるレンズ10の制御処理S10は、上述した実施形態におけるレンズ10の制御処理S10と同一であるため、その説明を繰り返さない。
【0125】
(レンズ制御装置の制御処理の概要)
第1レンズ制御装置20Aの制御処理S40及び第2レンズ制御装置20Bの制御処理S50の概要について、
図11を参照して説明する。
図11は、
図8に示す第1レンズ制御装置20A及び第2レンズ制御装置20Bのプロセッサ22A及び22Bが実行する制御処理の概要を示す概念図である。
図11において、レンズ10、第1レンズ制御装置20A、第2レンズ制御装置20B及び被写体PSが図示されるが、第1レンズ制御装置20A及び第2レンズ制御装置20Bそれぞれを手持ちする第1ユーザ及び第2ユーザは簡単のため図示を省略されている。
【0126】
まず、制御処理S40及び制御処理S50のために、第1ユーザ及び第2ユーザそれぞれが実行する操作の概要を説明する。
図11(A)及び(B)に示すように、第1特定処理S43及び位置送信処理S45の間、第1ユーザは、第1レンズ制御装置20Aのカメラ24Aをレンズ10に向け続ける。また、
図11(C)~(E)に示すように、第2特定処理S54、算出処理S55及び遠隔制御処理S57の間、第2ユーザは、第2レンズ制御装置20Bのカメラ24Bを被写体PSに向け続ける。
【0127】
制御処理S40において、第1レンズ制御装置20Aが実行する処理の概要を説明する。
図11(A)に示すように、第1特定処理S43において、第1レンズ制御装置20Aは、カメラ24A及び測距センサ26Aが指向する物体をレンズ10として検出し、第1座標系におけるレンズ10の座標を特定する。次いで、
図11(B)に示すように、第1レンズ制御装置20Aは、第1座標系における座標に変換されたレンズ10の座標を、第2レンズ制御装置20Bに送信する。
【0128】
制御処理S50において、第2レンズ制御装置20Bが実行する処理の概要を説明する。位置受信処理S53において、第2レンズ制御装置20Bは、第1レンズ制御装置20Aからレンズ10の座標を受信し、レンズ10の位置を特定する。次いで、
図11(C)に示すように、第2特定処理S54において、第2レンズ制御装置20Bは、カメラ24B及び測距センサ26Bが指向する物体を被写体PSとして検出し、被写体PSの位置を特定する。
図11(D)に示すように、算出処理S55において、第2レンズ制御装置20Bは、レンズ10と被写体PSとの間の距離を算出する。
図11(E)に示すように、遠隔制御処理S57において、第2レンズ制御装置20Bは、算出された距離に基づいて、レンズ10に命令信号を送信し、レンズ10を遠隔制御する。
【0129】
以上のように、本実施形態において、第1ユーザが、レンズ10として意図した物体に対してカメラ24Aを向け続け、第2ユーザが、被写体PSとして意図した物体に対してカメラ24Bを向け続けることによって、レンズシステム400は、当該被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御することができる。したがって、本実施形態において、レンズ10及び被写体PSの両方が移動する場合であっても、レンズ10は被写体PSにピントを合わせることができる。
【0130】
(第1レンズ制御装置及び第2レンズ制御装置のGUI)
第1レンズ制御装置20Aの制御処理S40が実行されている間にタッチディスプレイ25Aに表示されるGUI、及び第2レンズ制御装置20Bの制御処理S50が実行されている間にタッチディスプレイ25Bに表示されるGUIについて、
図12を参照して説明する。
図12は、
図8に示す第1レンズ制御装置20A及び第2レンズ制御装置20Bのタッチディスプレイ25A及び25Bに表示されるGUIの一例を示す模式図である。
図12(A)は第1レンズ制御装置20Aのタッチディスプレイ25Aに表示されるGUIである。(B)は現在のモードが第1モードである場合に第2レンズ制御装置20Bのタッチディスプレイ25Bに表示されるGUIである。(C)は現在のモードが第2モードである場合に第2レンズ制御装置20Bのタッチディスプレイ25Bに表示されるGUIである。タッチディスプレイ25A及び25Bそれぞれは、カメラ24A及び24Bが撮像した撮像画像をライブビューとしてGUIの背景に表示するが、簡潔性のため、
図12(A)~(C)において、背景の図示を省略する。
【0131】
図12(A)に示すように、タッチディスプレイ25Aは、レティクルG1と、レンズ距離情報G3Aと、モード切替ボタンG5Aと、機能交換ボタンG6Aとを表示する。レティクルG1は、測距センサ26Aが指向する物体を第1ユーザが識別可能にするGUIである。レンズ距離情報G3Aは、レンズ10と第1レンズ制御装置20Aとの間の距離を表す情報を表示するGUIである。モード切替ボタンG5Aは、モードを切り替えるために第1ユーザがタッチするGUIである。機能交換ボタンG6Aは、第1ユーザが手持ちする装置が、第1レンズ制御装置20A及び第2レンズ制御装置20Bのうち何れとして機能しているかを第1ユーザが識別可能にするとともに、第1レンズ制御装置20Aの機能を第2レンズ制御装置20Bの機能と交換するためにユーザがタッチするGUIである。
図12(A)において、機能交換ボタンG6Aは、第1ユーザが手持ちする装置が第1レンズ制御装置20Aとして機能していることを第1ユーザに対して表示している。また、第1ユーザは、機能交換ボタンG6Aをタッチすることによって、第1ユーザが手持ちしている装置の機能を、第2ユーザが手持ちしている装置の機能と交換し、当該装置を第2レンズ制御装置20Bとして機能するようにさせることができる。
【0132】
図12(B)に示すように、現在のモードが第1モードである場合、タッチディスプレイ25Bは、レティクルG1と、算出距離情報G3Bと、モード切替ボタンG5Bと、機能交換ボタンG6Bとを表示する。レティクルG1は、測距センサ26Bが指向する物体を第2ユーザが識別可能にするGUIである。算出距離情報G3Bは、算出処理S55において算出されたレンズ10と被写体PSとの間の距離を表す情報を表示するGUIである。モード切替ボタンG5Bは、モードを切り替えるために第1ユーザがタッチするGUIである。機能交換ボタンG6Bは、第2ユーザが手持ちする装置が、第1レンズ制御装置20A及び第2レンズ制御装置20Bのうち何れとして機能しているかを第2ユーザが識別可能にするとともに、第2レンズ制御装置20Bの機能を第1レンズ制御装置20Aの機能と交換するためにユーザがタッチするGUIである。
【0133】
図12(C)に示すように、現在のモードが第2モードである場合、タッチディスプレイ25Bは、算出距離情報G3Bと、モード切替ボタンG5Bとを表示する。
【0134】
(実施形態4)
本発明のさらなる他の実施形態である実施形態4について、以下に説明する。
【0135】
(レンズシステム)
本発明の実施形態4に係るレンズシステム600の構成について、
図13を参照して説明する。
図13は、本発明の実施形態4に係るレンズシステム600の構成を示すブロック図である。
【0136】
図13に示すように、レンズシステム600は、レンズ10と、レンズ制御装置60とを含んでいる。レンズ10とレンズ制御装置60とは、通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。本実施形態において、レンズ10及び被写体PSそれぞれは屋外の定点に配置されており、レンズ制御装置60は屋内に配置されている。
【0137】
(レンズ制御装置)
レンズ制御装置60は、レンズ10から分離されており、通信インターフェース21と、プロセッサ22と、メモリ23と、タッチディスプレイ25を含んでいる。本実施形態において、レンズ制御装置60として、汎用パーソナルコンピュータが用いられる。レンズ制御装置60に含まれる各部材は、レンズ制御装置20に含まれる同一の部材名で記載される各部材と、同様の機能を有する。そのため、レンズ制御装置60に含まれる各部材については、その説明を繰り返さない。なお、本発明において、レンズ制御装置60は汎用パーソナルコンピュータに限定されない。本発明において、レンズ制御装置60は、後述する算出処理及び遠隔制御処理を実行する少なくとも1つのプロセッサを備える装置であればよい。なお、本実施形態においては、通信インターフェース21として、Wifi(登録商標)インターフェースが用いられる。
【0138】
(レンズシステムの制御処理)
レンズシステム600の制御処理S600について、以下に説明する。制御処理S600は、被写体PSを撮像するためにレンズ10を制御する処理である。本実施形態において、制御処理S600は、レンズ10の制御処理S10と、レンズ制御装置60の制御処理S60とを含んでいる。レンズ制御装置60のプロセッサ22が制御処理S60を実行し、制御処理S60に連動してレンズ10のプロセッサ12が制御処理S10を実行することによって、制御処理S600が実行される。なお、本実施形態におけるレンズ10の制御処理S10は、上述した実施形態におけるレンズ10の制御処理S10と同一であるため、その説明を繰り返さない。
【0139】
(レンズ制御装置の制御処理)
レンズ制御装置60の制御処理S60について、
図14を参照して説明する。
図14は、
図13に示すレンズ制御装置60のプロセッサ22が実行する制御処理S60の流れを示すフローチャートである。
【0140】
制御処理S60は、
図14に示すように、第1特定処理S61と、第2特定処理S62と、算出処理S63と、遠隔制御処理S64とを含んでいる。本実施形態において、これらの処理は、レンズ制御装置60のプロセッサ22が処理主体となって実行される。
【0141】
(第1特定処理)
第1特定処理S61は、レンズ10の位置を特定する処理である。第1特定処理S61において、プロセッサ22は、タッチディスプレイ25に地図情報を表示させる。ユーザは、タッチディスプレイ25に表示された地図情報を参照して、タッチディスプレイ25をタッチすることによって、レンズ10の位置に対応する地図上の位置を入力する。プロセッサ22は、入力された地図上の位置を参照して、地図上のレンズ10の位置を特定する。
【0142】
(第2特定処理)
第2特定処理S62は、被写体PSの位置を特定する処理である。第2特定処理S62において、プロセッサ22は、タッチディスプレイ25に地図情報を表示させる。ユーザは、タッチディスプレイ25に表示された地図情報を参照して、タッチディスプレイ25をタッチすることによって、被写体PSの位置に対応する地図上の位置を入力する。プロセッサ22は、入力された地図上の位置を参照して、地図上の被写体PSの位置を特定する。
【0143】
本実施形態において、ユーザがタッチディスプレイ25をタッチした位置に表示されている地図上の位置が、被写体PSの位置として特定される。しかしながら、本発明は、これに限定されない。例えば、タッチディスプレイ25は、その画面上の定点にレティクルを表示すると共に、スクロール表示可能な地図情報を表示し、当該レティクルと重畳して表示される地図上の位置が被写体PSの位置として特定されてもよい。この場合、ユーザはタッチディスプレイ25をスクロール操作してレティクルに被写体PSの位置を重畳させる。
【0144】
(算出処理)
算出処理S63は、レンズ10の位置及び被写体PSの位置に基づいてレンズ10と被写体PSとの間の距離を算出する処理である。算出処理S63において、プロセッサ22は、第1特定処理において特定された地図上のレンズ10の位置と、第2特定処理において特定された地図上の被写体PSの位置とを参照して、レンズ10と被写体PSとの間の距離を算出する。
【0145】
(遠隔制御処理)
遠隔制御処理S64は、算出処理S63において算出されたレンズ10と被写体PSとの間の距離に基づいて、レンズ10を遠隔制御する処理である。遠隔制御処理S64において、プロセッサ22は、命令信号として算出された距離を表す情報を、通信インターフェース11及び22を介してレンズ10のプロセッサ12に送信する。
【0146】
プロセッサ22は、遠隔制御処理S64の後、制御処理S60を第2特定処理S62に戻し、したがって第2特定処理S62、算出処理S63及び遠隔制御処理S64を繰り返し実行する。繰り返し実行される一連の処理は、ユーザがタッチディスプレイ25をタッチする度に、プロセッサ22によって実行される。
【0147】
(実施形態4の変形例)
本実施形態において、第1特定処理S61は、ユーザが入力した地図上の位置を参照して実行される。しかしながら、本発明は、これに限定されない。本発明において、第1特定処理S61は、レンズ10のプロセッサ12が、測位システムを用いてレンズ10の位置を特定し、特定したレンズ10の位置をレンズ制御装置60のプロセッサ22が受信することによって、達成されてもよい。
【0148】
また、本実施形態において、レンズ制御装置60のプロセッサ22は、第1特定処理S61及び第2特定処理S62を実行する。しかしながら、本発明は、これに限定されない。本発明において、プロセッサ22は、レンズ制御装置60のメモリ23に記憶されたレンズ10の位置及び被写体PSの位置を表す情報を読み込み、読み込んだ情報を参照して算出処理S63及び遠隔制御処理S64を実行してもよい。
【0149】
(ソフトウェアによる実現例)
レンズ制御装置20、30及び60、並びに第1レンズ制御装置20A及び第2レンズ制御装置20B(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置のプロセッサとしてコンピュータのプロセッサを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0150】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0151】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0152】
(まとめ)
上記から理解されるように、本発明の第1の態様に係るレンズ制御装置(レンズ制御装置20、30、60、第1レンズ制御装置20A、第2レンズ制御装置20B)は、被写体(PS)を撮像するためにレンズ(10)を制御するレンズ制御装置であって、前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラ(C)の位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理(S25、S55、S63)と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理(S27、S57、S64)とを実行する少なくとも1つのプロセッサ(22、22A、22B)を含んでいる。
【0153】
本発明の第2の態様に係るレンズ制御装置において、第1の態様に係るレンズ制御装置が備える構成に加えて、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記レンズ又は前記カメラの位置を特定する第1特定処理(S22、S43、S61)を実行した後、前記被写体の位置を特定する第2特定処理(S24、S54、S62)、並びに、前記第1特定処理にて特定された前記レンズ又は前記カメラの位置と前記第2特定処理にて特定された前記被写体の位置とを参照して前記算出処理及び前記遠隔制御処理を繰り返し実行する。
【0154】
本発明の第3の態様に係るレンズ制御装置において、第2の態様に係るレンズ制御装置が備える構成に加えて、前記レンズ制御装置は、少なくとも1つのセンサ(測距センサ35、位置姿勢センサ36)を更に含んでおり、前記第1特定処理及び前記第2特定処理において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのセンサが測定した、前記レンズ制御装置の位置姿勢、及び前記レンズ若しくは前記カメラ又は前記被写体と前記レンズ制御装置との間の距離を参照し、前記第1特定処理において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのセンサが指向する物体を前記レンズ又は前記カメラとして、当該レンズ又は当該カメラの位置を特定し、前記第2特定処理において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのセンサが指向する物体を前記被写体として、当該被写体の位置を特定する。
【0155】
本発明の第4の態様に係るレンズ制御装置は、第3の態様に係るレンズ制御装置が備える構成に加えて、前記少なくとも1つのセンサが指向する物体をユーザが識別可能にする機能(レティクルG1)又は構造(ガイド34)を有している。
【0156】
本発明の第5の態様に係るレンズ制御装置において、第1~第4の態様の何れか一態様に係るレンズ制御装置が備える構成に加えて、前記レンズ制御装置は、入力部(タッチディスプレイ25、25A、25B、ボタン37、37A、37B)を含んでおり、前記少なくとも1つのプロセッサは、ユーザが前記入力部に入力した操作に基づいて決定される現在のモードが、当該少なくとも1つのプロセッサが前記算出処理の後に前記遠隔制御処理を実行する第1モード、及び、当該少なくとも1つのプロセッサが前記算出処理の後に前記遠隔制御処理を実行せずに前記算出処理を繰り返し実行する第2モードのうち何れであるかを判定するモード判定処理を実行する。
【0157】
本発明の第6の態様に係るレンズシステム(200、300、400、600)は、被写体を撮像するためにレンズを制御するレンズシステムであって、前記レンズと、少なくとも1つのレンズ制御装置と、を含んでおり、前記少なくとも1つのレンズ制御装置は、前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラの位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理とを実行する少なくとも1つのプロセッサを含んでいる。
【0158】
本発明の第7の態様に係るレンズ制御装置において、第6の態様に係るレンズシステムが備える構成に加えて、前記少なくとも1つのレンズ制御装置は、互いに通信可能な第1レンズ制御装置(20A)及び第2レンズ制御装置(20B)を含んでおり、前記第1レンズ制御装置は、前記レンズ又は前記カメラの位置を特定する第1特定処理と、前記レンズ又は前記カメラの位置を前記第2レンズ制御装置に送信する位置送信処理(S45)とを実行する少なくとも1つのプロセッサ(22A)を含んでおり、前記第2レンズ制御装置は、前記被写体の位置を特定する第2特定処理、並びに、前記第1レンズ制御装置から受信した前記レンズ又は前記カメラの位置と前記第2特定処理にて特定された前記被写体の位置とを参照して前記算出処理及び前記遠隔制御処理を繰り返し実行する、少なくとも1つのプロセッサを含んでいる。
【0159】
本発明の第8の態様に係るプログラム(制御処理プログラムP20)は、被写体を撮像するためにレンズを制御するレンズ制御装置を制御するためのプログラムであって、前記レンズ制御装置が含んでいる少なくとも1つのプロセッサに、前記レンズ又は前記レンズが装着されているカメラの位置及び前記被写体の位置に基づいて前記レンズ又は前記カメラと前記被写体との間の距離を算出する算出処理と、前記距離に基づいて前記レンズを遠隔制御する遠隔制御処理とを実行させる。
【0160】
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0161】
10 レンズ
20,30,60 レンズ制御装置
20A 第1レンズ制御装置
20B 第2レンズ制御装置
22,22A,22B プロセッサ
24,24A,24B カメラ
25,25A,25B タッチディスプレイ
26,35 測距センサ
27,36 位置姿勢センサ
37,37A,37B ボタン
200,300,400,600 レンズシステム
C カメラ
PS 被写体