(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080518
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】固定具および部材の支持方法
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20240606BHJP
E04B 9/00 20060101ALN20240606BHJP
【FI】
E04B9/18 R
E04B9/18 F
E04B9/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193784
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】315007581
【氏名又は名称】BXカネシン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】相馬 智明
(72)【発明者】
【氏名】槙田 剛
(57)【要約】
【課題】重量物を木質部材から安定して強固に吊り下げ支持できる固定具を提供すること。
【解決手段】固定具3は、天井部材2に吊りボルト5を固定する。固定具3は、吊りボルト5が取り付けられる固定具本体10と、固定具本体10を挟んで両側に設けられて天井部材2に対して傾斜した一対の傾斜部20A、20Bと、を備える。一対の傾斜部20A、20Bは、固定具本体10に対して傾斜しており、一対の傾斜部20A、20Bには、それぞれ、ビス4A、4Bが挿通される貫通孔21A、21Bが形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質部材に吊り材を固定するための固定具であって、
前記吊り材が取り付けられる固定具本体と、
前記固定具本体を挟んで両側に設けられて前記木質部材に対して傾斜した一対の傾斜部と、を備え、
前記一対の傾斜部は、前記固定具本体に対して傾斜しており、
前記一対の傾斜部には、それぞれ、接合具が挿通される貫通孔が形成されていることを特徴とする固定具。
【請求項2】
前記固定具本体は、平板状の平板部と、前記平板部に設けられて前記吊り材が接合される吊り材接合部と、を備え、
前記一対の傾斜部に形成された貫通孔は、それぞれ、前記傾斜部から前記平板部まで延びる長孔、または、前記傾斜部に設けられる円形孔であり、平面視で前記吊り材接合部を挟んで互いに反対側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
木質部材から部材を吊り下げ支持する部材の支持方法であって、
前記木質部材上に請求項1または2に記載の固定具を配置する工程と、
前記固定具の一対の傾斜部の貫通孔に接合具を挿通して、前記接合具を前記木質部材に対して傾斜させて打ち込むことで、前記固定具を前記木質部材に取り付ける工程と、
前記吊り材を前記固定具に取り付けて、前記吊り材に前記部材を連結する工程と、を備えることを特徴とする部材の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質部材にボルトを固定するための固定具、および、この固定具を用いた部材の支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木質部材に他部材を取り付ける固定具が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1には、木造建物の上下階間の梁に固着された取付け板と、この取付け板に防振材を介して吊設されて野縁を支持する帯金と、を備える天井吊金具が示されている。取付け板には、長孔又は切込みより成り、しかも、受入部とこれに連通する嵌着部とから成る組付け部が設けられている。防振材には、組付け部の受入部を通じて嵌着部に選択的に嵌着する複数個の嵌入部が縦方向に並べて設けられている。
【0003】
特許文献2には、一側を柱に、他の一側を横架材又は土台にそれぞれ釘やボルトなどの止着杆を用いて止着するようにした平板状のかすがいが示されている。このかすがいの主体板の中間部には、柱と横架材又は土台との間に挟挿する突片が設けられている。
特許文献3には、埋設プレート部とハンガー部とを備えた木質系材料用の吊り用固定具が示されている。埋設プレート部とハンガー部とは、直線ないしは屈曲している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-170311号公報
【特許文献2】特開2003-166512号公報
【特許文献3】特開2022-077458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重量物を木質部材から安定して強固に吊り下げ支持できる固定具および部材の支持方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の固定具(例えば、後述の固定具3)は、木質部材(例えば、後述の天井部材2)に吊り材(例えば、後述の吊りボルト5)を固定するための固定具であって、前記吊り材が取り付けられる固定具本体(例えば、後述の固定具本体10)と、前記固定具本体を挟んで両側に設けられて前記木質部材に対して傾斜した一対の傾斜部(例えば、後述の傾斜部20A、20B)と、を備え、前記一対の傾斜部は、前記固定具本体に対して傾斜しており、前記一対の傾斜部には、それぞれ、接合具が挿通される貫通孔(例えば、後述の貫通孔21A、21B)が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、貫通孔が設けられた傾斜部を木質部材に対して傾斜させたので、この傾斜部の表面に対して略垂直に接合具を打ち込むことで、別途補助具を用いることなく、接合具を木質部材の表面に対して斜めに容易に打ち込むことができる。
よって、天井などの木質部材の下面に本発明の固定具を取り付けて、この固定具に吊り材を介して重量物を吊り下げた場合、固定具に鉛直方向の力が作用するが、この鉛直方向の力の分力として、接合具には、接合具の軸方向の引き抜き力と、接合具の軸方向に直交する方向に接合具を曲げようとする力と、が作用する。よって、接合具が曲げ抵抗するため、接合具の脆性的な破壊モードを防止でき、重量物を木質部材から安定して強固に吊り下げ支持できる。
【0008】
第2の発明の固定具は、前記固定具本体は、平板状の平板部(例えば、後述の平板部11)と、前記平板部に設けられて前記吊り材が接合される吊り材接合部(例えば、後述の雌ねじ部13)と、を備え、前記一対の傾斜部に形成された貫通孔は、それぞれ、前記傾斜部から前記平板部まで延びる長孔、または、前記傾斜部に設けられる円形の孔であり、平面視で前記吊り材接合部を挟んで互いに反対側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、固定具の傾斜部に形成する貫通孔を長孔とした場合には、接合具を貫通孔に挿通して打ち込む際に、打込み位置を適宜調整できる。具体的には、貫通孔の形状を長孔とすることで、貫通孔に接合具を挿通した後、この接合具を比較的容易に傾けることが可能で、接合具を容易に木質部材に対して斜めに打ち込むことができる。
また、一対の貫通孔を平面視で吊り材接合部を挟んで互いに反対側に配置し、貫通孔に挿通した複数の接合具を木質部材に打ち込むことで、固定具の移動を防止できる。
【0010】
第3の発明の部材の支持方法は、木質部材から部材(例えば、後述の部材6)を吊り下げ支持する部材の支持方法であって、前記木質部材上に上述の固定具を配置する工程(例えば、後述のステップS1、S2)と、前記固定具の一対の傾斜部の貫通孔に接合具を挿通して、前記接合具を前記木質部材に対して傾斜させて打ち込むことで、前記固定具を前記木質部材に取り付ける工程(例えば、後述のステップS3)と、前記吊り材を前記固定具に取り付けて、前記吊り材に前記部材を連結する工程(例えば、後述のステップS4)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、部材としては、天井仕上材、ブレース、CLT板、設備機器などが挙げられる。
この発明によれば、貫通孔が設けられた傾斜部を木質部材に対して傾斜させたので、この傾斜部の表面に対して略垂直に接合具を打ち込むことで、別途補助具を用いることなく、接合具を木質部材の表面に対して斜めに容易に打ち込むことができる。
また、固定具に取り付けられた吊り材に部材を取り付けることで、天井構造やブレース構造を実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、重量物を木質部材から安定して強固に吊り下げ支持できる固定具および部材の支持方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る天井構造の縦断面図である。
【
図5】固定具に作用する力を説明するための模式図である。
【
図6】天井部材から部材を吊り下げる手順のフローチャートである。
【
図7】固定具の引張り試験に用いる試験体および試験結果の一覧を示す図である。
【
図8】固定具の引張り試験の試験結果を示す図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る固定具の縦断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る固定具の平面図である。
【
図11】第3実施形態に係る固定具を天井部材に取り付ける手順のフロ-チャートである。
【
図12】第3実施形態に係る固定具を天井部材に取り付ける手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
本発明は、木質部材(例えば、天井部材、CLT板)に吊り材を固定するための固定具、および、その固定具を用いた部材(例えば、天井部材、ブレース、CLT板、設備機器)の支持方法である。固定具は、吊り材が取り付けられる固定具本体と、固定具本体を挟んで両側に設けられて木質部材に対して傾斜した一対の傾斜部と、を備える。
図1は、本発明の第1実施形態に係る天井構造1の縦断面図である。
天井構造1は、木質部材としての天井部材2の下面に配置された固定具3と、固定具3を天井部材2に固定する接合具としての一対のビス4A、4Bと、固定具3に取り付けられた吊り材としての吊りボルト5と、吊りボルト5の下端に取り付けられた部材6と、を備える。部材6は、例えば、天井仕上材、ブレース、CLT板、設備機器である。
【0015】
図2は、固定具3の平面図である。
図3は、
図2の固定具3のA-A矢視図である。
図4は、
図2の固定具3の斜視図である。
固定具3は、木製の天井部材2の下面に吊りボルト5を固定するためのものである。この固定具3は、吊りボルト5が螺合される固定具本体10と、固定具本体10を挟んで両側に設けられて天井部材2にビス4A、4Bで固定された一対の傾斜部20A、20Bと、を備える。
【0016】
固定具本体10は、天井部材2の表面に対して略平行に配置されて中央部に貫通孔12が形成された平板部11と、平板部11の貫通孔12に取り付けられた吊り材接合部としての雌ねじ部13と、を備える。雌ねじ部13には、吊りボルト5が螺合可能となっている。
図4および
図5に示すように、一対の傾斜部20A、20Bは、固定具本体10の平板部11に対して所定角度θ
1で傾斜して延びている。よって、一対の傾斜部20A、20Bは、天井部材2の表面に対して所定角度θ
1で傾斜している。この一対の傾斜部20A、20Bには、それぞれ、ビス4A、4Bが挿通される貫通孔21A、21Bが形成されている。一対の貫通孔21A、21Bは、長孔であり、傾斜部20A、20Bから固定具本体10の平板部11まで延びている。これら一対の貫通孔21A、21Bは、平面視で、固定具本体10の雌ねじ部13に対して対称に配置されている。
固定具本体10の平板部11および一対の傾斜部20A、20Bは、一枚の鋼製またはステンレス製の板材を折り曲げて形成されており、側面視で、中央部が突出した凸形状となっている。
【0017】
ビス4A、4Bは、貫通孔21A、21Bに挿通されて、傾斜部20A、20Bの表面に略垂直に打ち込まれている。これにより、ビス4A、4Bのねじ込み角度はθ2となっている。このねじ込み角度θ2と、傾斜部20A、20Bの固定具本体10の平板部11に対する角度θ1と、の和は、90°となっている。
ビス4Aとビス4Bとは、平面視で、雌ねじ部13に対して対称に配置されて、互いに対向する向きとなっている。
【0018】
吊りボルト5に部材6を吊り下げると、固定具3には、鉛直荷重が作用する。すると、
図5に示すように、2本のビス4A、4Bのそれぞれには、引抜き力と曲げ力の2つの分力が作用する。
【0019】
以下、天井部材2から天井仕上材、ブレース、設備機器などの部材6を支持する手順について、
図6のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、天井部材2の下面にビス4A、4Bを打ち込むために先孔を形成する。この先孔をガイドとすることでビス4A、4Bを容易に天井部材2の下面に対して傾けて、ビス4A、4Bを打ち込み易くする。
ステップS2では、天井部材2の下面に固定具3を配置する。
ステップS3では、固定具3の一対の傾斜部20A、20Bの貫通孔21A、21Bにビス4A、4Bを挿通して、既に形成した先孔をガイドとして、ビス4A、4Bを天井部材2に対して傾斜させて打ち込むことで、固定具3を天井部材2に取り付ける
ステップS4では、固定具3の雌ねじ部13に吊りボルト5を取り付けて、吊りボルト5に部材6を連結して、部材6を天井部材2から吊り下げ支持する。
【0020】
〔固定具の引張り試験〕
以下、上述の固定具と同じ形状の試験体を製作し、引張力を加える引張り試験を行った。試験体としては、
図7に示すように、固定具本体の平板部および一対の傾斜部を1.6mmの鋼板で形成したものを2体と、2.3mmの鋼板で形成したものを2体製作した。
これらの試験体をビスで固定するとともに、雌ねじ部に吊りボルトを取り付けて、この吊りボルトに引張り荷重を加えて、その鉛直変位を記録した。
【0021】
その結果、
図7および
図8に示すようになった。
図7には、各試験体の実験値が示されている。実験値とは、具体的には、降伏強度Py、降伏強度時の鉛直変位量δy、最大耐力Pmax、最大耐力時の鉛直変位量δ(Pmax)である。
図8の縦軸は、試験体に取り付けた吊りボルトを引っ張ることで試験体に加えた引張荷重であり、横軸は、試験体の鉛直変位である。
図8より、本体を1.6mmの鋼板で製作した場合、本体を2.3mmの鋼板で製作した場合に比べて、剛性は下がるが、最大変位が大きくなることが確認できた。
【0022】
各固定具に必要な強度は1.2kNであるが、
図7および
図8より、1.6mmの鋼板からなるNo.1、No.2試験体では、最大耐力Pmaxはこの必要強度に対して、3.3倍程度高い強度を示した。また、2.3mmの鋼板からなるNo.3、No.4試験体は、1.6mmの鋼板からなるNo.1、No.2試験体に比べて、最大耐力が高くなった。したがって、今回の試験結果により、本発明の固定具によれば重量物を木質部材から安定して吊り下げ支持できることが判った。
【0023】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)貫通孔21A、21Bが設けられた傾斜部20A、20Bを天井部材2に対して傾斜させたので、この傾斜部20A、20Bの表面に対して略垂直にビス4A、4Bを打ち込むことで、別途補助具を用いることなく、ビス4A、4Bを天井部材2の表面に対して斜めに容易に打ち込むことができる。
よって、天井部材2の下面に固定具3を取り付けて、この固定具3に吊りボルト5を介して重量物を吊り下げた場合、固定具3に鉛直方向の力が作用するが、この鉛直方向の力の分力として、ビス4A、4Bには、ビス4A、4Bの軸方向の引き抜き力と、ビス4A、4Bの軸方向に直交する方向にビス4A、4Bを曲げようとする力と、が作用する。よって、ビス4A、4Bが曲げ抵抗するため、ビス4A、4Bの脆性的な破壊モードを防止でき、重量物を天井部材2から安定して強固に吊り下げ支持できる。
具体的には、固定具3の傾斜部20A,20Bに設けた貫通孔21A、21Bを通してビス4A、4Bを天井部材2に打ち込むことで、ビス4A、4Bに長期応力として引張軸力を負担させず、ビス4A、4Bが曲げ変形して曲げ抵抗するため、固定具3の脆性的な破壊を防止することができる。
【0024】
(2)傾斜部20A、20Bを鋼製またはステンレス製としたので、傾斜部20A、20Bは木質系の天井部材2よりも高剛性となり、傾斜部20A、20Bの先端部分が天井部材2に食い込むことで、傾斜部20A、20Bの移動を抑制することができる。
(3)固定具3の傾斜部20A、20Bに形成する貫通孔21A、21Bを長孔としたので、ビス4A、4Bを貫通孔21A、21Bに挿通して打ち込む際に、打込み位置を適宜調整できる。具体的には、貫通孔21A、21Bの形状を長孔とすることで、貫通孔21A、21Bにビス4A、4Bを挿通した後、このビス4A、4Bを比較的容易に傾けることが可能で、ビス4A、4Bを容易に天井部材2に対して斜めに打ち込むことができる。
また、一対の貫通孔21A、21Bを平面視で雌ねじ部13を挟んで互いに反対側に配置したので、貫通孔21A、21Bに挿通したビス4A、4Bを天井部材2に打ち込むことで、吊りボルト5に重量物が吊り下げられて固定具3にねじり力が作用しても、このねじり力に抵抗できる。また、天井部材2に打ち込んだ複数のビス4A、4Bにより、固定具3の移動を防止できる。
【0025】
〔第2実施形態〕
図9は、本発明の第2実施形態に係る固定具3Aの縦断面図である。
本実施形態では、傾斜部20A、20Bに折り返し部22A、22Bを設けた点が、第1実施形態と異なる。具体的には、一枚の鋼板を折り曲げることで、固定具本体10の平板部11および一対の傾斜部20A、20Bに加えて、さらに、折り返し部22A、22Bを形成する。
本実施形態によれば、上述の(1)~(3)と同様の効果がある。
【0026】
〔第3実施形態〕
図10は、本発明の第3実施形態に係る固定具3Bの平面図である。
本実施形態では、傾斜部20A、20Bに設けた貫通孔21A、21Bを円形とするとともに、固定具本体10の平板部11に一対の仮固定用の貫通孔23A、23Bを設けた点が、第1実施形態と異なる。貫通孔23Aは、貫通孔21Aの近傍に設けられ、貫通孔23Bは、貫通孔21Bの近傍に設けられている。また、これら仮固定用の貫通孔23A、23Bは、平面視で、固定具本体10の雌ねじ部13に対して対称に配置されている。
【0027】
以上の固定具3Bを天井部材2に取り付ける手順について、
図11のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS11では、
図12に示すように、固定具3Bの平板部11に設けた仮固定用の貫通孔23Aに仮固定用のビス24を挿通して、この仮固定用のビス24を天井部材2の下面に垂直に打ち込む。これにより、固定具3Bは、天井部材2の下面に仮固定される。
ステップS12では、
図12に示すように、固定具3Bの傾斜部20Bに設けた貫通孔21Bに本固定用のビス4Bを挿通して、ビス4Bを天井部材2の下面に対して斜めに打ち込む。このとき、固定具3Bは、仮固定用のビス24により天井部材2の下面に仮固定されているので、ビス4Bの角度や位置がずれるのを防止できる。
ステップS13では、仮固定用のビス24を取り外す。
ステップS14では、固定具3Bの傾斜部20Aに設けた貫通孔21Aに本固定用のビス4Aを挿通して、ビス4Aを天井部材2の下面に対して斜めに打ち込む。このとき、固定具3Bは、ビス4Bにより既に天井部材2の下面に固定されているので、ビス4Aの角度や位置がずれるのを防止できる。
本実施形態によれば、上述の(1)~(3)と同様の効果がある。
【0028】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0029】
また、上述の実施形態では、木質部材としての天井部材2に、直接、固定具3を取り付けたが、これに限らず、天井部材2の下面に天井仕上材(例えば、石膏ボード、天井用パネル)を取り付けて、この状態で、天井仕上材の下面に固定具3を配置し、この固定具3を天井部材2に固定してもよい。
また、上述の実施形態では、木質部材としての天井部材2に固定具3を取り付けたが、これに限らず、木質部材としてのCLT板に固定具を取り付けてもよい。また、固定具3を用いて、部材6としてブレースやCLT板を支持してもよい。
また、上述の実施形態では、傾斜部20A、20Bのそれぞれに、固定具本体10の雌ねじ部13に対して対称に、単一の貫通孔21A、21Bを設けたが、これに限らず、傾斜部のそれぞれに、複数の貫通孔を設けてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…天井構造 2…天井部材(木質部材) 3、3A、3B…固定具
4A、4B…ビス(接合具) 5…吊りボルト(吊り材) 6…部材
10…固定具本体 11…平板部 12…貫通孔 13…雌ねじ部(吊り材接合部)
20A、20B…傾斜部 21A、21B…貫通孔 22A、22B…折り返し部
23A、23B…貫通孔 24…仮固定用のビス