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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080527
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6473 20110101AFI20240606BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20240606BHJP
【FI】
H01R13/6473
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193804
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】木全 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】永井 拓磨
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FB02
5E021FC23
5E223AB26
5E223AB60
5E223AC23
5E223BA07
5E223CB24
5E223CD01
5E223CD04
5E223EA03
5E223EA13
(57)【要約】
【課題】端子の中間部にインピーダンスを調整する部材(調整部材)が設けられるコネクタであって、中間部を覆う樹脂を形成するための金型を用いる必要がなく、かつ調整部材が漏れることのないコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、第一ハウジング20と、第二ハウジング30と、端子40と、を備える。第二ハウジング30は、第一側被保持部42と第二側被保持部44とを繋ぐ変形可能な中間部43と、を有する。更に、コネクタ10は調整部材60を備える。調整部材60は、中間部43に貼り付けられた一又は複数の貼付部材70を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ハウジングと、
前記第一ハウジングに対して移動可能な第二ハウジングと、
前記第一ハウジングに保持される第一側被保持部と、前記第二ハウジングに保持される第二側被保持部と、前記第一側被保持部と前記第二側被保持部とを繋ぐ変形可能な中間部と、を有する端子と、
前記中間部に貼り付けられた一又は複数の貼付部材を有する調整部材と、
を備えるコネクタ。
【請求項2】
前記一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、接着力を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記調整部材は、前記一又は複数の貼付部材とは別に設けられた接着剤を有し、
前記一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、前記接着剤によって前記中間部に貼り付けられる、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記端子が複数設けられ、
前記調整部材は、前記中間部同士の間に進入する端子間進入部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記調整部材は、前記中間部の少なくとも2面を覆う、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記調整部材は、前記中間部を包囲する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、
第一層と、前記第一層とは性質が異なる第二層と、を有し、
前記第一層と前記第二層のうち前記第二層側を前記中間部に向けて貼り付けられる、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第二層は、前記第一層よりも柔らかい、
請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第一層と前記第二層とは、硬さが異なり、
前記第一層及び前記第二層のうち相対的に柔らかい層の厚みは、相対的に硬い層の厚みよりも大きい、
請求項7又は請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記調整部材は、前記貼付部材に貼り付けられた一又は複数の追加貼付部材を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記一又は複数の貼付部材は、第一貼付部材と、前記第一貼付部材と共に前記中間部を挟み込む第二貼付部材と、を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記端子は、複数設けられ、
前記一又は複数の貼付部材は、複数の前記中間部に貼り付けられた貼付部材を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記端子は、複数設けられ、
前記一又は複数の貼付部材は、複数の前記中間部に貼り付けられた貼付部材を有し、
当該貼付部材は、前記中間部同士の間に進入する端子間進入部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記端子は、複数設けられ、
前記一又は複数の貼付部材は、
複数の前記中間部に貼り付けられた第一貼付部材と、
前記複数の中間部に貼り付けられ、前記第一貼付部材と共に前記複数の中間部を挟み込む第二貼付部材と、を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記第一貼付部材と前記第二貼付部材の少なくとも一方は、前記中間部同士の間に進入する端子間進入部を有する、
請求項14に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第一ハウジングと、第一ハウジングに対して移動可能な第二ハウジングと、端子と、を備えるコネクタが知られている。端子は、第一ハウジングに保持される第一側被保持部と、第二ハウジングに保持される第二側被保持部と、第一側被保持部と第二側被保持部とを繋ぐ変形可能な中間部と、を有する。端子の中間部が変形することで、第一ハウジングに対する第二ハウジングの移動が許容される。
このようなコネクタには、端子の中間部においてインピーダンスが上がりやすいという問題がある。
【0003】
このようなコネクタにおいてインピーダンスの調整を行うために、特許文献1には、端子の中間部を覆うように絶縁性の樹脂を形成する技術が開示されている。また、特許文献2には、端子の中間部を覆うようにゲルを注入する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-222576号公報
【特許文献2】特開2021-089872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、中間部を覆う樹脂を成形するための金型を用いるので、コネクタの製造工程が複雑である。特許文献2では、注入したゲルが漏れる可能性がある。
【0006】
本開示の目的の1つは、端子の中間部にインピーダンスを調整する部材(以下、調整部材という)が設けられるコネクタであって、中間部を覆う樹脂を形成するための金型を用いる必要がなく、かつ調整部材が漏れることのないコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係るコネクタは、第一ハウジングと、前記第一ハウジングに対して移動可能な第二ハウジングと、前記第一ハウジングに保持される第一側被保持部と、前記第二ハウジングに保持される第二側被保持部と、前記第一側被保持部と前記第二側被保持部とを繋ぐ変形可能な中間部と、を有する端子と、前記中間部に貼り付けられた一又は複数の貼付部材を有する調整部材と、を備える。
【0008】
本態様では、コネクタは、第一ハウジングと、第二ハウジングと、端子と、を備える。第二ハウジングは、第一ハウジングに対して移動可能である。端子は、第一ハウジングに保持される第一側被保持部と、第二ハウジングに保持される第二側被保持部と、第一側被保持部と第二側被保持部とを繋ぐ変形可能な中間部と、を有する。
このため、中間部が変形することで、第一ハウジングに対する第二ハウジングの移動が許容される。
【0009】
また、本態様では、コネクタは調整部材を備える。調整部材は、中間部に貼り付けられた一又は複数の貼付部材を有する。
このため、中間部の周囲が空気層のみで構成される態様と比較して、中間部のインピーダンスを下げることができる。また、調整部材は、中間部に貼り付けられた一又は複数の貼付部材を有するものであるので、中間部を覆う樹脂を形成するための金型を用いる必要がない。また、調整部材がゲルで構成される態様と異なり、調整部材が漏れることがない。
【0010】
第2の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、接着力を有する。
【0011】
例えば、貼付部材を中間部に貼り付けるために、貼付部材とは別に接着剤(液体接着剤、感圧接着剤、ホットメルト等)を使用することが考えられる。しかし、この場合、接着剤の誘電率が中間部のインピーダンスに影響を及ぼしてしまうので、使用する接着剤の量のバラつきによって中間部のインピーダンスが変わってしまう。
そこで、本態様では、一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、接着力を有する。
このため、接着剤を使用しないか、又は接着剤の使用量を減少させることができる。その結果、接着剤の誘電率を考慮する必要がなくなるか、又は接着剤の誘電率の影響が小さくなるので、中間部のインピーダンスを所望する値にしやすくなる。
なお、貼付部材とは別に接着剤を使用しない場合は、貼付部材を中間部に接触させ、又は押圧させるだけで、中間部に貼付部材を貼り付けることができる。つまり、貼付部材に接着剤を塗布する作業などが不要であり、貼付部材を貼り付ける工程が簡易である。
なお、接着力を有する貼付部材としては、片面に粘着性を持たせる処理がされたシリコーンゴム、フッ素樹脂テープ、ポリイミドテープ、フッ素ゴムテープなどが挙げられる。
【0012】
第3の態様に係るコネクタは、第1又は第2の態様において、前記調整部材は、前記一又は複数の貼付部材とは別に設けられた接着剤を有し、前記一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、前記接着剤によって前記中間部に貼り付けられる。
【0013】
本態様では、調整部材は、一又は複数の貼付部材とは別に設けられた接着剤を有する。そして、一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、接着剤によって中間部に貼り付けられる。
このため、当該少なくとも一つの貼付部材自体が接着力を有している必要がないので、貼付部材の選択肢が広がる。
なお、接着剤としては、例えば、液体接着剤、感圧接着剤(粘着剤)、ホットメルト接着剤が挙げられる。
【0014】
第4の態様に係るコネクタは、第1~第3の何れかの態様において、前記端子が複数設けられ、前記調整部材は、前記中間部同士の間に進入する端子間進入部を有する。
【0015】
本態様では、端子が複数設けられ、調整部材は、中間部同士の間に進入する部分(端子間進入部)を有する。
このため、調整部材が中間部同士の間に侵入する部分を有しない態様と比較して、中間部のインピーダンスを効果的に下げることができる。
【0016】
第5の態様に係るコネクタは、第1~第4の何れかの態様において、前記調整部材は、前記中間部の少なくとも2面を覆う。
【0017】
本態様では、調整部材は、中間部の少なくとも2面を覆う。
このため、中間部の1面のみが覆われる態様と比較して、中間部のインピーダンスを下げることができる。
【0018】
第6の態様に係るコネクタは、第1~第5の何れかの態様において、前記調整部材は、前記中間部を包囲する。
【0019】
本態様では、調整部材は、中間部を包囲する。
このため、中間部のインピーダンスをより一層下げることができる。
【0020】
第7の態様に係るコネクタは、第1~第6の何れかの態様において、前記一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、第一層と、前記第一層とは性質が異なる第二層と、を有し、前記第一層と前記第二層のうち前記第二層側を前記中間部に向けて貼り付けられる。
【0021】
本態様では、一又は複数の貼付部材の少なくとも一つは、第一層と、第一層とは性質が異なる第二層と、を有する。そして、当該貼付部材は、第一層と第二層のうち第二層側を中間部に向けて貼り付けられる。
このため、第一層及び第二層の厚み、材質などを変更することで、インピーダンスを調整することができる。
【0022】
第8の態様に係るコネクタは、第7の態様において、前記第二層は、前記第一層よりも柔らかい。
【0023】
この態様では、第二層は、第一層よりも柔らかい。
このため、第一層が比較的硬いので調整部材を中間部に向けて押圧しやすくなると共に、第二層が比較的柔らかいので当該第二層が中間部の形状に追従して変形しやすくなる。
【0024】
第9の態様に係るコネクタは、第7又は第8の態様において、前記第一層と前記第二層とは、硬さが異なり、前記第一層及び前記第二層のうち相対的に柔らかい層の厚みは、相対的に硬い層の厚みよりも大きい。
【0025】
本態様では、第一層と第二層とは、硬さが異なり、第一層及び第二層のうち相対的に柔らかい層の厚みは、相対的に硬い層の厚みよりも大きい。
このため、調整部材全体を硬さを柔らかくでき、その結果、調整部材の硬さを原因として中間部が変形しにくくなることが抑制される。
【0026】
第10の態様に係るコネクタは、第1~第9の何れかの態様において、前記調整部材は、前記貼付部材に貼り付けられた追加貼付部材を有する。
【0027】
本態様では、調整部材は、貼付部材に貼り付けられた追加貼付部材を有する。
このため、追加貼付部材によって中間部のインピーダンスを調整することができる。
なお、追加貼付部材の構成は、貼付部材の構成と同じでもよい。この場合、部材の調達が容易である。また、追加貼付部材に対して更に追加貼付部材を貼り付けてもよい。
【0028】
第11の態様に係るコネクタは、第1~第10の何れかの態様において、前記一又は複数の貼付部材は、第一貼付部材と、前記第一貼付部材と共に前記中間部を挟み込む第二貼付部材と、を有する。
【0029】
本態様では、調整部材は、第一貼付部材と、第一貼付部材と共に前記中間部を挟み込む第二貼付部材と、を有する。
このため、中間部が第一貼付部材と第二貼付部材とによって挟み込まれるので、中間部のインピーダンスを効果的に下げることができる。
【0030】
第12の態様に係るコネクタは、第1~第11の何れかの態様において、前記端子は、複数設けられ、前記一又は複数の貼付部材は、複数の前記中間部に貼り付けられた貼付部材を有する。
【0031】
本態様では、一又は複数の貼付部材は、複数の中間部に貼り付けられた貼付部材を有する。
つまり、複数の中間部に対して1個(1枚)の貼付部材を貼り付けることとなるので、1個の中間部に対して1個(又は2個以上)の貼付部材を貼り付ける態様と比べて、貼付作業の効率が良い。
【0032】
第13の態様に係るコネクタは、第1~第12の何れかの態様において、前記端子は、複数設けられ、前記一又は複数の貼付部材は、複数の前記中間部に貼り付けられた貼付部材を有し、当該貼付部材は、前記中間部同士の間に進入する端子間進入部を有する。
【0033】
本態様では、一又は複数の貼付部材は、複数の中間部に貼り付けられた貼付部材を有する。そして、当該貼付部材は、中間部同士の間に進入する端子間進入部を有する。
このため、貼付作業の効率が良く、かつ貼付部材が中間部同士の間に侵入する部分を有しない態様と比較して、中間部のインピーダンスを効果的に下げることができる。
【0034】
第14の態様に係るコネクタは、第1~第13の何れかの態様において、前記端子は、複数設けられ、前記一又は複数の貼付部材は、複数の前記中間部に貼り付けられた第一貼付部材と、前記複数の中間部に貼り付けられ、前記第一貼付部材と共に前記複数の中間部を挟み込む第二貼付部材と、を有する。
【0035】
本態様では、一又は複数の貼付部材は、複数の中間部に貼り付けられた第一貼付部材と、当該複数の中間部に貼り付けられ第二貼付部材と、を有する。第二貼付部材は、第一貼付部材と共に複数の中間部を挟み込む。
このため、貼付作業の効率が良く、かつインピーダンスを効果的に下げることができる。
【0036】
第15の態様に係るコネクタは、第14の態様において、前記第一貼付部材と前記第二貼付部材の少なくとも一方は、前記中間部同士の間に進入する端子間進入部を有する。
【0037】
本態様では、第一貼付部材と第二貼付部材の少なくとも一方は、中間部同士の間に進入する端子間進入部を有する。
このため、第一貼付部材と第二貼付部材の何れもが端子間進入部を有しない態様と比較して、インピーダンスを効果的に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】第1実施形態のコネクタの斜視図である。
図2】コネクタの断面図である。
図3】コネクタの分解斜視図である。
図4】コネクタにおいて固定ハウジング、可動ハウジング及び第二端子を省略した斜視図である。
図5図4を異なる方向から見た図である。
図6図5における6-6線断面図である。
図7】一対の端子を示す斜視図である。
図8】(A)は第1実施形態の調整部材の形成前を示し、(B)は調整部材の形成後を示す模式図(ハッチングを省略した断面図、以下同じ。)である。
図9】(A)は第2実施形態の調整部材の形成前を示し、(B)は調整部材の形成後を示す模式図である。
図10】(A)は第3実施形態の調整部材の形成前を示し、(B)は調整部材の形成後を示す模式図である。
図11】(A)は第4実施形態の調整部材の形成前を示し、(B)は調整部材の形成後を示す模式図である。
図12】(A)は第5実施形態の調整部材の形成前を示し、(B)は調整部材の形成後を示す模式図である。
図13】(A)は第6実施形態の調整部材の形成前を示し、(B)は調整部材の形成後を示す模式図である。
図14】(A)は第7実施形態の調整部材の形成前を示し、(B)は調整部材の形成後を示す模式図である。
図15】変形例に係るコネクタを示す図2に対応する断面図である。
図16】他の実施形態に係る第一端子と貼付部材とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本開示のコネクタの実施形態について説明する。
【0040】
なお、各図に示す矢印X,Y,Zは、コネクタ10及びその構成部品を基準とした方向概念である。X方向をコネクタ前後方向(端子配列方向)、Y方向をコネクタ幅方向(列間方向)、+Z方向をコネクタ上方向という。単に、前後方向、幅方向、上下方向をいうときは、コネクタ前後方向、コネクタ幅方向、コネクタ上下方向を意味する。
【0041】
<コネクタ10の概略構成>
図1は、本実施形態に係るコネクタ10の斜視図であり、図2は、コネクタ10の断面図であり、図3は、コネクタ10の分解斜視図である。
【0042】
コネクタ10は、「第一ハウジング」としての固定ハウジング20と、「第二ハウジング」としての可動ハウジング30と、複数の第一端子40と、複数の第二端子50と、を備える。また、コネクタ10は、複数の第一端子40のインピーダンスを調整する調整部材60を備える。
【0043】
固定ハウジング20及び可動ハウジング30は、合成樹脂などの絶縁体で形成される。
【0044】
固定ハウジング20は、第一端子40及び第二端子50の一部(固定側被保持部42、固定側被保持部52)を保持する。固定ハウジング20は、第一端子40及び第二端子50を介して基板(図示省略)に固定され、基板に対して移動不能となる。
【0045】
可動ハウジング30は、第一端子40及び第二端子50の一部(可動側被保持部44、可動側被保持部54)を保持する。可動ハウジング30は、枠状の固定ハウジング20の内側の空間(内部空間21)に配置され、基板及び固定ハウジング20に対して移動可能となる。可動ハウジング30は、上方に向けて開口する挿入空間31(図2参照)を有する。挿入空間31には、「接続対象物」としての相手コネクタの一部が挿入される。
【0046】
各第一端子40は、固定ハウジング20に保持される固定側被保持部42(第一側被保持部)と、可動ハウジング30に保持される可動側被保持部44(第二側被保持部)と、固定側被保持部42と可動側被保持部44とを繋ぐ弾性変形可能な中間部43と、を有する。中間部43が弾性変形することで、固定ハウジング20に対する可動ハウジング30の移動が許容される。
【0047】
各第二端子50は、固定ハウジング20に保持される固定側被保持部52と、可動ハウジング30に保持される可動側被保持部54と、固定側被保持部52と可動側被保持部54とを繋ぐ弾性変形可能な中間部53と、を有する。中間部53が弾性変形することで、固定ハウジング20に対する可動ハウジング30の移動が許容される。
【0048】
<コネクタ10の詳細構成>
次に、コネクタ10の詳細構成について説明する。
【0049】
≪第一端子40≫
複数の第一端子40は、それぞれ同一形状である。第一端子40は、板材に対し、打ち抜き加工及び曲げ加工等を施すことで作られる。
複数の第一端子40は、幅方向一方側で前後方向に配列された複数の第一端子40と、幅方向他方側で前後方向に配列された複数の第一端子40と、から構成される。幅方向一方側の第一端子40及び幅方向他方側の第一端子40は、互いの接触部46同士を対向させるように配置される。
【0050】
図7に示すように、第一端子40は、一端から他端に向けて、基板固定部41と、固定側被保持部42と、中間部43と、可動側被保持部44と、先端弾性部45と、接触部46と、を一体に有する。
【0051】
基板固定部41は、基板に対して固定される。
【0052】
固定側被保持部42は、固定ハウジング20に保持される。固定側被保持部42は、上方に向けて延びると共に板幅方向である前後方向の両方の外側に圧入突起を有する。
【0053】
中間部43は、弾性変形可能に構成される。中間部43は、第一曲部43Aと、直線部43Bと、第二曲部43Cと、を有する。
直線部43Bは、下方向に向かって幅方向内側に傾斜した方向に直線状に延びる。
直線部43Bは、幅拡大部43B1を有する。幅拡大部43B1の幅寸法(コネクタ前後方向の寸法)は、第一曲部43A及び第二曲部43C(後述の幅拡大部43C1以外の部分)の幅寸法よりも大きい。
第二曲部43Cは、幅拡大部43C1を有する。幅拡大部43C1の幅寸法は、第一曲部43A及び第二曲部43C(後述の幅拡大部43C1以外の部分)の幅寸法よりも大きい。
【0054】
可動側被保持部44は、可動ハウジング30に保持される。可動側被保持部44は、上方へ向けて延びると共に板幅方向である前後方向の両方の外側に圧入突起を有する。
【0055】
先端弾性部45は、接触部46が可動ハウジング30に対して変位可能となるように接触部46を弾性支持する。
【0056】
接触部46は、「接続対象物」としての相手コネクタの端子(図示省略)と接触する。接触部46は、幅方向内側に向けて凸となるように湾曲する。
【0057】
≪第二端子50≫
第二端子50は、板材に対し、打ち抜き加工及び曲げ加工等を施すことで製造される。
複数の第二端子50は、前後方向一方側の一対の第二端子50と、前後方向他方側の一対の第二端子50と、から構成される。第二端子50は、電源用の端子として用いられる。
【0058】
図3に示すように、第二端子50は、基板固定部51と、固定側被保持部52と、中間部53と、可動側被保持部54と、先端弾性部55と、接触部56と、を一体に有する。
【0059】
≪固定ハウジング20≫
固定ハウジング20は、内部空間21を挟んで前後方向に対向する一対の前後方向部22と、内部空間21を挟んで幅方向に対向する一対の幅方向部23と、を備える。一対の前後方向部22と一対の幅方向部23とによって、枠状の固定ハウジング20が形成される。
【0060】
固定ハウジング20は、第一端子40の固定側被保持部42を保持する。
具体的には、固定ハウジング20は、一対の幅方向部23の幅方向内側面に形成された上下方向に延びる溝において、第一端子40の固定側被保持部42を保持する。
【0061】
固定ハウジング20は、第二端子50の固定側被保持部52を保持する。
具体的には、固定ハウジング20は、一対の幅方向部23に形成された上下方向に延びる貫通孔を有する。当該貫通孔に、第二端子50の固定側被保持部52が圧入される。
【0062】
固定ハウジング20は、端子の中間部を保護する保護壁26を有する。
保護壁26は、第一端子40の中間部43及び第二端子50の中間部53を幅方向外側から保護する側壁26Aと、第一端子40の中間部43及び第二端子50の中間部53を上側から保護する天壁26Bと、を有する。
【0063】
≪可動ハウジング30≫
可動ハウジング30は、第一端子40の可動側被保持部44を保持すると共に、第二端子50の可動側被保持部54を保持する。
【0064】
可動ハウジング30は、相手コネクタとの接続をガイドする突出ガイド部35を有する。突出ガイド部35は、上方へ突出する。突出ガイド部35は、前後に一対形成される。
【0065】
可動ハウジング30は、当該可動ハウジング30の上方向の移動範囲を規制するための前後突出部36(被拘束部)を有する。前後突出部36は、可動ハウジング30の下端部に形成される。前後突出部36は、前後方向外側に向けて突出する。前後突出部36は、固定ハウジング20の前後方向部22の下側に拘束される。
【0066】
可動ハウジング30は、第二端子50の中間部53が収容される収容凹部39を有する。収容凹部39は、可動ハウジング30の幅方向外側面に対し、幅方向内側へ凹むように形成される。収容凹部39は、可動ハウジング30の幅方向外側面において、前後方向両側に形成される。
【0067】
≪調整部材60≫
調整部材60は、第一端子40の中間部43のインピーダンスを調整するための部材である。
【0068】
図4図5に示すように、コネクタ10は、幅方向一方側の調整部材60と、幅方向他方側の調整部材60と、を備える。
幅方向一方側の調整部材60は、幅方向一方側の複数の第一端子40の中間部43に設けられる。
幅方向他方側の調整部材60は、幅方向他方側の複数の第一端子40の中間部43に設けられる。
幅方向一方側の調整部材60と、幅方向他方側の調整部材60とは、同様の構造を有する。以下、両者を区別しないときは、単に調整部材60という。
【0069】
調整部材60は、第一貼付部材70Aと、第二貼付部材70Bと、を備える。
第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bは、共に、矩形のシート状部材である。シート状とは、平面状に延びる形状を意味する。
第一貼付部材70Aは、前後方向に並ぶ複数(15個)の第一端子40の中間部43に対して幅方向外側から貼り付けられる。
第二貼付部材70Bは、前後方向に並ぶ複数(15個)の第一端子40の中間部43に対して幅方向内側から貼り付けられる。
【0070】
第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bは、シリコーンゴムの片面を処理して当該片面のみに粘着力を持たせたシートであり、絶縁性及び柔軟性を有する。このため、調整部材60全体としても、絶縁性及び柔軟性を有することとなる。調整部材60が柔軟性を有することで、第一端子40の中間部43の変形又は変位が阻害されることを抑制することができる。
以下、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bを区別しないときは、単に貼付部材70という。
【0071】
図8に示すように、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bが複数の中間部43に対して押圧されることで、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bは形状が変化し、その一部62は隣り合う中間部43の間に入り込む。
以下、貼付部材70のうち隣り合う中間部43の間に入り込んだ部分を端子間進入部62という。
【0072】
また、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとは、隣り合う中間部43の間の位置において、互いに接触した状態になっており、互いの接着力により当該接触した部分で互いに接着している。
【0073】
また、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとは、隣り合う中間部43の間の位置だけでなく、配列方向で最も外側に位置する中間部43に対して配列方向外側の位置においても、互いに接触した状態になっており、互いの接着力により当該接触した部分で互いに接着している。
【0074】
また、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bにおいて、複数の中間部43に対応していない位置には、凹部63が形成される。但し、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bの機能、性質によっては、凹部63が形成されない場合もある。
【0075】
なお、図6図8に示すように、隣り合う中間部43同士の間の空間が、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bの一部62(端子間進入部62)によって完全に埋まっている。
しかし、隣り合う中間部43同士の間の空間に、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bが配置されない空隙部が存在してもよい(図12参照)。
【0076】
(作用効果)
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0077】
本実施形態では、図2に示すように、コネクタ10は、第一ハウジング20と、第二ハウジング30と、端子40と、を備える。
第二ハウジング30は、第一ハウジング20に対して移動可能である。端子40は、第一ハウジング20に保持される第一側被保持部42と、第二ハウジング30に保持される第二側被保持部44と、第一側被保持部42と第二側被保持部44とを繋ぐ変形可能な中間部43と、を有する。
このため、中間部43が変形することで、第一ハウジング20に対する第二ハウジング30の移動が許容される。
【0078】
また、本実施形態では、コネクタ10は調整部材60を備える。調整部材60は、中間部43に貼り付けられた一又は複数の貼付部材70を有する。
このため、中間部43の周囲が空気層のみで構成される態様と比較して、中間部43のインピーダンスを下げることができる。また、調整部材60は、中間部43に貼り付けられた一又は複数の貼付部材70を有するものであるので、中間部43を覆う樹脂を形成するための金型を用いる必要がない。また、調整部材60がゲルで構成される態様と異なり、調整部材60が漏れることがない。
【0079】
ところで、例えば、貼付部材70を中間部43に貼り付けるために、貼付部材とは別に接着剤80(液体接着剤、感圧接着剤、ホットメルト等)を使用することが考えられる(図10参照)。しかし、この場合、接着剤80の誘電率が中間部43のインピーダンスに影響を及ぼしてしまうので、使用する接着剤の量のバラつきによって中間部43のインピーダンスが変わってしまう。
そこで、本実施形態では、一又は複数の貼付部材70の少なくとも一つは、接着力を有する。
このため、接着剤を使用しないか、又は接着剤の使用量を減少させることができる。その結果、接着剤の誘電率を考慮する必要がなくなるか、又は接着剤の誘電率の影響が小さくなるので、中間部のインピーダンスを所望する値にしやすくなる。
特に、本実施形態では、接着剤を使用しないので、貼付部材70を中間部43に接触させ、又は押圧させるだけで、中間部43に貼付部材70を貼り付けることができる。つまり、貼付部材70に接着剤を塗布する作業などが不要であり、貼付部材70を貼り付ける工程が簡易である。
【0080】
また、本実施形態では、端子40が複数設けられ、図6に示すように、調整部材60は、中間部43同士の間に進入する部分(端子間進入部62)を有する。
このため、調整部材60が中間部43同士の間に侵入する部分を有しない態様と比較して、中間部43のインピーダンスを効果的に下げることができる。
【0081】
また、本実施形態では、図6に示すように、調整部材60は、各中間部43を包囲する。
このため、中間部43のインピーダンスをより一層下げることができる。
【0082】
また、本実施形態では、図6に示すように、調整部材60は、第一貼付部材70Aと、第一貼付部材70Aと共に中間部43を挟み込む第二貼付部材70Bと、を有する。
このため、中間部43が第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとによって挟み込まれるので、中間部43のインピーダンスを効果的に下げることができる。
【0083】
また、本実施形態では、一又は複数の貼付部材70は、複数の中間部43に貼り付けられた貼付部材70を有する。
つまり、複数の中間部43に対して1個(1枚)の貼付部材70を貼り付けることとなるので、1個の中間部43に対して1個の貼付部材70を貼り付ける態様と比べて、貼付作業の効率が良い。
【0084】
また、本実施形態では、一又は複数の貼付部材70は、複数の中間部43に貼り付けられた第一貼付部材70Aと、当該複数の中間部43に貼り付けられ第二貼付部材70Bと、を有する。第二貼付部材70Bは、第一貼付部材70Aと共に複数の中間部43を挟み込む。
このため、貼付作業の効率が良く、かつインピーダンスを効果的に下げることができる。
【0085】
また、本実施形態では、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bの少なくとも一方は、中間部43同士の間に進入する端子間進入部62を有する。
このため、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bの何れもが端子間進入部62を有しない態様と比較して、インピーダンスを効果的に下げることができる。
【0086】
また、本実施形態では、予め作られて厚み等の形状が定まった貼付部材70(図8(A)参照)を中間部43に貼り付けることで調整部材60が形成されるので、調整部材60の構成の再現性が高く、狙い通りのインピーダンスを実現しやすい。
【0087】
また、本実施形態では、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bは、共に、接着力を有する。
このため、隣り合う中間部43の間の位置において、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとが互いに接触した状態になっており、当該接触した部分で互いに離れないようになっている。
但し、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bのうち何れか一方のみが接着力を有し、他方は有しなくてもよい。
【0088】
(第2実施形態)
図9は、本開示の第2実施形態を示す。
【0089】
第2実施形態に係る貼付部材70は、2層構造である。つまり、貼付部材70は、第一層71と、第二層72と、を有する。
【0090】
第一層71は支持層として機能し、第二層72は接着層として機能する。貼付部材70は、接着層である第二層72側を中間部43に向けて当該中間部43に貼り付けられる。
【0091】
貼付部材70は、例えば、フッ素樹脂テープである。本開示でフッ素樹脂テープとは、フッ素樹脂のテープの片面にシリコーン系粘着剤が塗布されたものである。つまり、第一層71は、フッ素樹脂であり、第二層72は、シリコーン系粘着剤である。
【0092】
以上説明したとおり、本実施形態では、貼付部材70は、第一層71と、第一層71とは性質が異なる第二層72と、を有する。そして、当該貼付部材70は、第一層71と第二層72のうち第二層72側を中間部43に向けて貼り付けられる。
このため、第一層71及び第二層72の厚み、材質などを変更することで、インピーダンスを調整することができる。
【0093】
また、本実施形態では、第二層72は、第一層71よりも柔らかい。
このため、第一層71が比較的硬いので調整部材60を中間部43に向けて押圧しやすくなると共に、第二層72が比較的柔らかいので当該第二層72が中間部43の形状に追従して変形しやすくなる。
【0094】
また、本実施形態では、第二層72の厚みは、第一層71の厚みよりも大きい。
つまり、第一層71と第二層72とは、硬さが異なり、第一層71及び第二層72のうち相対的に柔らかい層(第二層72)の厚みは、相対的に硬い層(第一層71)の厚みよりも大きい。
このため、調整部材60全体を硬さを柔らかくでき、その結果、調整部材60の硬さを原因として中間部43が変形しにくくなることが抑制される。
【0095】
(第3実施形態)
図10は、本開示の第3実施形態を示す。
【0096】
本実施形態では、図10(B)に示すように、調整部材60は、2個の貼付部材70とは別に設けられた接着剤80を有する。そして、2個の貼付部材70は、接着剤80によって中間部43に貼り付けられる。
このため、貼付部材70自体が接着力を有している必要がないので、貼付部材70の選択肢が広がる。
なお、接着剤80としては、例えば、液体接着剤、感圧接着剤(粘着剤)、ホットメルト接着剤が挙げられる。
【0097】
(第4実施形態)
図11は、本開示の第4実施形態を示す。
【0098】
本実施形態では、調整部材60は、貼付部材70に貼り付けられた追加貼付部材170を有する。
このため、追加貼付部材170によって中間部43のインピーダンスを調整することができる。
なお、追加貼付部材170の構成は、貼付部材70の構成と同じでもよい。この場合、部材の調達が容易である。また、追加貼付部材170に対して更に追加貼付部材を貼り付けてもよい。
【0099】
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、本開示は上記実施形態に限定されない。以下念のため補足する。
【0100】
上記実施形態では、コネクタ10がソケットである例を説明したが、本開示はこれに限定されない。コネクタは、プラグであってもよい。
【0101】
上記実施形態では、第一ハウジングが固定ハウジング20であり、第二ハウジングが可動ハウジング30である例を説明したが、本開示はこれに限定されない。
第一ハウジング及び第二ハウジングは、共に、コネクタが取り付けられる取付対象物(例えば基板)に対して移動可能に構成されていてもよい。また、コネクタが取り付けられる取付対象物は、基板に限られない。
【0102】
上記実施形態では、端子に対するハウジングの保持が、圧入による保持である例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、インサート成形によって、端子がハウジングに保持されてもよい。
【0103】
上記実施形態では、中間部43を挟み込む第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとが、互いに同じ構成を備える例を説明したが、本開示はこれに限定されない。第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとは、互いに異なる構成を備えていてもよい。
【0104】
上記実施形態では、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bの両方が、中間部43同士の間に進入する端子間進入部62を有する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。
例えば、図12(第5実施形態)に示すように、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bのうち一方のみが、中間部43同士の間に進入する端子間進入部62を有していてもよい。
【0105】
上記実施形態では、調整部材60が、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとを有する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。
例えば、図13図14(第6実施形態、第7実施形態)に示すように、調整部材60は、中間部43に対して片面側から貼り付けられる貼付部材70Aを有し、もう片面側から貼り付けられる貼付部材を有しなくてもよい。
この場合、貼付部材70は、図13(B)に示すように端子間進入部62を有してもよいし、図14(B)に示すように端子間進入部62を有しなくてもよい。
【0106】
上記実施形態では、貼付部材70が、端子40の中間部43における直線部43Bにのみ貼り付けられる例を説明したが、本開示はこれに限定されない。
図15に示すように、貼付部材70は、端子40の中間部43における直線部43Bだけでなく、当該直線部43Bに隣り合う曲部43A,43Cの一部又は全部を含む範囲に貼り付けられてもよい。
また、図15とは異なり、端子の中間部における曲部にのみ貼付部材が貼り付けられてもよい。
【0107】
上記実施形態では、端子40の板厚方向が、コネクタ前後方向(端子配列方向)に直交する平面(YZ平面)に平行であり、中間部43の板厚方向も、端子配列方向に直交する平面に平行である例を説明したが、本開示はこれに限定されない。
例えば、端子は、図16に示す端子140のような端子であってもよい。この場合、端子40及びその中間部43の板厚方向は、コネクタ前後方向(端子配列方向)に平行である。
【0108】
更に、上記の端子140の中間部43に貼り付けられる貼付部材70は、図16に示す二点鎖線70のような形状及び位置であってもよい。この貼付部材70は、シート状であり、その厚み方向を端子配列方向(図16の紙面に直交する方向)に向ける。
この例では、中間部43が有する複数(2つ)の直線部に対して一個(一枚)の貼付部材70が貼り付けられる。貼付部材70を柔軟性の高い部材とすることで、中間部43の変形が抑制されるのを防止することができる。
なお、端子140のような端子がコネクタ前後方向(X方向)に複数配列されているコネクタにおいて、当該複数の端子に対して1個(1枚)の貼付部材を貼り付けてもよい。
【0109】
上記実施形態では、調整部材60が、中間部43に貼り付けられた2個(2枚)の貼付部材70を有する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。
本開示の調整部材60が有する貼付部材70は1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0110】
上記実施形態では、中間部43が、幅拡大部43B1を有する例を説明したが、本開示の中間部はこれに限定されない。
【0111】
上記実施形態では、一又は複数の貼付部材70が、複数の中間部43に貼り付けられた貼付部材70を有する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示のコネクタは、1個の中間部に対して1個(又は2個以上)の貼付部材を貼り付けるものであってもよい。
【0112】
上記実施形態では、第一貼付部材70Aと、第一貼付部材70Aと共に中間部43を挟み込む第二貼付部材70Bとが別体として形成される例を説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示の第一貼付部材及び第二貼付部材は、一体に形成されていてもよい。一例として図8(B)を用いて説明すると、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとが端子配列方向の一方側の部分で繋がっていてもよい。また、第一貼付部材70Aと第二貼付部材70Bとが端子配列方向の一方側及び他方側の両方の部分で繋がっていてもよい。
また、上記実施形態では、第一貼付部材70A及び第二貼付部材70Bが、中間部43をコネクタ幅方向(端子配列方向に垂直な方向)で挟み込むように当該中間部43に貼り付けられる例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、第一貼付部材及び第二貼付部材は、中間部をコネクタ前後方向(端子配列方向)で挟み込むように当該中間部に貼り付けられてもよい。
【0113】
上記実施形態では、貼付部材70が、片面のみに接着力を持たせたシートである例を説明したが、本開示の貼付部材は、これに限定されず、両面に接着力を持たせたシートであってもよい。この場合、端子の中間部に対して貼り付けられる側とは反対側の面に設けられた剥離ライナー(剥離紙、剥離フィルム等)を剥がさずに残しておいてもよい。
また、上述した以外にも、本開示の貼付部材としては、ポリイミド、フッ素ゴムなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0114】
10 コネクタ
20 固定ハウジング(第一ハウジング)
30 可動ハウジング(第二ハウジング)
40 第一端子(端子)
41 基板固定部
42 固定側被保持部(第一側被保持部)
43 中間部
43A,43C 曲部
43A 第一曲部
43B 直線部
43C 第二曲部
44 可動側被保持部(第二側被保持部)
45 先端弾性部
46 接触部
50 第二端子
60 調整部材
62 端子間進入部
63 凹部
70 貼付部材
70A 第一貼付部材(貼付部材)
70B 第二貼付部材(貼付部材)
71 第一層
72 第二層
80 接着剤
140 端子
170 追加貼付部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16