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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080529
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】NANDフラッシュメモリ
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/50 20060101AFI20240606BHJP
   G11C 29/02 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G11C29/50 120
G11C29/02 110
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193807
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】高田 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聡治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】宮城 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小倉 理愛
【テーマコード(参考)】
5L206
【Fターム(参考)】
5L206AA10
5L206EE03
5L206GG03
5L206HH05
(57)【要約】
【課題】NANDフラッシュメモリへ送出した信号の観測を適切に行う。
【解決手段】信号取込期間の始まりを指示する信号取込期間スタート情報と、信号取込期間に取り込み選択する対象信号を指示する取込選択対象信号情報を設定しておくための情報保持部310と、NANDコントローラ1から到来する信号を前記信号取込期間に記憶する記憶回路320と、前記記憶回路320に記憶された信号について前記内部コントロール回路10を介して前記NANDコントローラ1へ取り込ませる経路とを具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NANDメモリセルと内部コントロール回路とを備え、NANDコントローラから前記内部コントロール回路へ信号を送って前記NANDメモリセルのアクセスを行うようにしたNANDフラッシュメモリにおいて、
前記NANDコントローラから送られる信号取込期間の始まりを指示する信号取込期間スタート情報と、前記信号取込期間に取り込み選択する対象信号を指示する取込選択対象信号情報を設定しておくための情報保持部と、
前記NANDコントローラから前記信号取込期間に到来する信号を記憶する記憶回路と、
前記記憶回路に記憶された信号について前記内部コントロール回路を介して前記NANDコントローラへ取り込ませる経路と、
前記情報保持部に設定された信号取込期間スタート情報に基づき信号取込期間スタートを検出して前記NANDコントローラからの信号を取込んで前記記憶回路へ記憶し、前記情報保持部に保持されている取込選択対象信号情報に従って前記記憶回路に記憶された信号から取込選択対象信号を取り出して、この信号を前記経路を介して前記NANDコントローラへ与える制御回路と
を具備することを特徴とするNANDフラッシュメモリ。
【請求項2】
前記制御回路は、前記NANDコントローラから波形観測モード時の指示を受けたときに、前記情報保持部に設定された信号取込期間スタート情報に基づき信号取込期間スタートを検出して前記NANDコントローラからの信号を取込んで前記記憶回路へ記憶し、前記情報保持部に保持されている取込選択対象信号情報に従って前記記憶回路に記憶された信号から取込選択対象信号を取り出して、この信号を前記経路を介して前記NANDコントローラへ与える制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のNANDフラッシュメモリ。
【請求項3】
前記情報保持部は、
信号取込期間の始まりを指示する信号取込期間スタート情報が設定されると共に、前記信号取込期間に取り込み選択する対象信号を指示する取込選択対象信号情報が設定される条件設定レジスタ、
により構成されることを特徴とする請求項2に記載のNANDフラッシュメモリ。
【請求項4】
前記記憶回路は、
前記NANDコントローラから到来する信号を一時記憶するラッチ回路と、
前記取込選択対象信号を保持する信号レジスタと、
により構成され、
前記制御回路は、前記信号取込期間に前記NANDコントローラから到来する信号を全て前記ラッチ回路へ記憶する制御を行い、
前記制御回路は、前記ラッチ回路の記憶された信号から前記取込選択対象信号情報に合致した信号を選択して、前記信号レジスタに移して保持する制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のNANDフラッシュメモリ。
【請求項5】
前記記憶回路は、
前記NANDコントローラから到来する信号を一時記憶するラッチ回路と、
前記取込選択対象信号を保持する信号レジスタと、
により構成され、
前記ラッチ回路は、前記信号取込期間に前記NANDコントローラから到来する信号を全てラッチ回路へ記憶する前記制御回路の機能を有し、
前記ラッチ回路は、前記ラッチ回路に記憶された信号が前記取込選択対象信号情報に合致すると、当該信号を選択して、前記信号レジスタに移して保持させる前記制御回路の機能を有する、ことを特徴とする請求項4に記載のNANDフラッシュメモリ。
【請求項6】
前記条件設定レジスタは、前記NANDコントローラからのいくつかの所定信号のHレベルとLレベルのパターンが所定パターンとなったときに、波形観測モード時の指示を受け、設定を受け付けることを特徴とする請求項3に記載のNANDフラッシュメモリ。
【請求項7】
前記ラッチ回路に一時記憶された信号と前記条件設定レジスタに設定された情報とを比較する比較回路を具備し、
前記制御回路は、
前記条件設定レジスタに設定された信号取込期間スタート情報に基づき信号取込期間スタートを検出し、前記ラッチ回路への信号取込及び一時記憶を制御し、前記比較回路による比較結果に基づき上記ラッチ回路から取込選択対象信号情報を取り出して前記信号レジスタへ保持させる制御を行うことを特徴とする請求項4に記載のNANDフラッシュメモリ。
【請求項8】
前記信号レジスタは、所定容量の信号を保持できるものであることを特徴とする請求項1に記載のNANDフラッシュメモリ。
【請求項9】
前記信号レジスタに所定量の信号が保持されると、前記経路を介して、前記信号レジスタに保持された信号について前記内部コントロール回路を介して前記NANDコントローラへ取り込ませる波形観測可通知回路、を具備することを特徴とする請求項8に記載のNANDフラッシュメモリ。
【請求項10】
上記ラッチ回路が信号を取り込む場合のクロック周波数を設定可能であることを特徴とする請求項2に記載のNANDフラッシュメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、NANDフラッシュメモリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
Multi Chip Package(以降MCPと記述)製品では、MCPの外で使用される信号に対してのみ、外部端子を用意している。そのため、MCPではコントローラとNAND Flashメモリ間の信号を観測することができない。
【0003】
特許文献1には、パッケージ基板に内部信号観測用の外部接続端子を用いることが開示されている。この特許文献1に記載の技術では外部接続端子による基板面積の増大および配線容量による波形品質の劣化が問題となる。また、コントローラとNAND信号間の経路に故障がある場合、信号を直接観測出来ず、故障箇所を特定することが困難である。
【0004】
特許文献2には、オシロスコープによって信号波形の観測を行うシステムが開示されている。
【0005】
特許文献3には、NANDフラッシュメモリがReady信号を出力するまで、NANDフラッシュメモリのReady/Busy端子に出力される信号を観測することが開示されている。この発明では、不揮発性半導体装置に発生するカラム不良に対応可能な、半導体記憶装置およびシステムを提供するものである。例えば、コントローラは、書き込みエラーのあったカラムアドレスを格納する不良アドレスレジスタを有する。そして、書き込み時や読み出し時にECCエラーが検出されるとエラーのあったカラムアドレスを不良アドレスレジスタに格納する。コントローラは、この不良アドレスレジスタに格納されたカラムアドレスの一致により書き込みや読み出し時のエラーをカラム不良によるものと判断する。
【0006】
特許文献4には、実装基板における任意の信号を観測する実装基板上にモニタポイントを配置することなく、適切な位置で信号を観測することができる半導体パッケージ、半導体装置及び観測信号生成方法を提供することが開示されている。この発明に係る半導体パッケージは、半導体装置に実装され、当該半導体装置に実装された他の半導体パッケージから伝送路を介して入力された入力信号に応じた処理を実行する半導体パッケージである。しかして、半導体パッケージは、入力信号に応じた処理を実行する処理回路と、処理回路の前段から入力信号を取得し、取得した入力信号を、当該入力信号を観測するテスト信号として半導体装置の外部に対して出力する転送回路とを備える。
【0007】
特許文献5の発明は、半導体チップの構造によらず、正確に信号波形を測定可能な構造の半導体装置を提供するものである。この半導体装置は、配線基板と、配線基板の一方の面上に搭載され、第1の電極パッドを有する半導体チップを有する。半導体チップの上方には評価用基板が設けられ、評価用基板には第1の電極パッドと電気的に接続され、半導体チップの入出力信号波形を検査する装置と接続可能な評価用パッドが備えられる。評価用パッド、半導体チップ、評価用基板を覆うように配線基板上封止体が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭56-164593号公報
【特許文献2】特開2014-238670号公報
【特許文献3】特開2006-48777号公報
【特許文献4】特開2011-149798号公報
【特許文献5】特開2016-57116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようにメモリや半導体の信号観測には、様々な工夫がなされているが、外部のNANDコントローラからNANDフラッシュメモリへ送出した信号がどのような状態で伝送されているかを観測できるようにはなっていない。
【0010】
本発明はこのような現状に鑑みなされたもので、その目的は、NANDコントローラからNANDフラッシュメモリへ送出した信号の観測を適切に行うことができるNANDフラッシュメモリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリは、NANDメモリセルと内部コントロール回路とを備え、NANDコントローラから前記内部コントロール回路へ信号を送って前記NANDメモリセルのアクセスを行うようにしたNANDフラッシュメモリにおいて、前記NANDコントローラから送られる信号取込期間の始まりを指示する信号取込期間スタート情報と、前記信号取込期間に取り込み選択する対象信号を指示する取込選択対象信号情報を設定しておくための情報保持部と、前記NANDコントローラから到来する信号を前記信号取込期間に記憶する記憶回路と、前記記憶回路に記憶された信号について前記内部コントロール回路を介して前記NANDコントローラへ取り込ませる経路と、前記情報保持部に設定された信号取込期間スタート情報に基づき信号取込期間スタートを検出して前記NANDコントローラからの信号を取込んで前記記憶回路へ記憶し、前記情報保持部に保持されている取込選択対象信号情報に従って前記記憶回路に記憶された信号から取込選択対象信号を取り出して、この信号を前記経路を介して前記NANDコントローラへ与える制御回路とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、前記制御回路は、前記NANDコントローラから波形観測モード時の指示を受けたときに、前記情報保持部に設定された信号取込期間スタート情報に基づき信号取込期間スタートを検出して前記NANDコントローラからの信号を取込んで前記記憶回路へ記憶し、前記情報保持部に保持されている取込選択対象信号情報に従って前記記憶回路に記憶された信号から取込選択対象信号を取り出して、この信号を前記経路を介して前記NANDコントローラへ与える制御を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、前記情報保持部は、信号取込期間の始まりを指示する信号取込期間スタート情報が設定されると共に、前記信号取込期間に取り込み選択する対象信号を指示する取込選択対象信号情報が設定される条件設定レジスタ、により構成されることを特徴とする。
【0014】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、前記記憶回路は、前記NANDコントローラから到来する信号を一時記憶するラッチ回路と、前記取込選択対象信号を保持する信号レジスタと、により構成され、前記制御回路は、前記信号取込期間に前記NANDコントローラから到来する信号を全て前記ラッチ回路へ記憶する制御を行い、前記制御回路は、前記ラッチ回路の記憶された信号から前記取込選択対象信号情報に合致した信号を選択して、前記信号レジスタに移して保持する制御を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、前記記憶回路は、前記NANDコントローラから到来する信号を一時記憶するラッチ回路と、前記取込選択対象信号を保持する信号レジスタと、により構成され、前記ラッチ回路は、前記信号取込期間に前記NANDコントローラから到来する信号を全てラッチ回路へ記憶する前記制御回路の機能を有し、前記ラッチ回路は、前記ラッチ回路に記憶された信号が前記取込選択対象信号情報に合致した信号を選択して、前記信号レジスタに移して保持する前記制御回路の機能を有する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、前記条件設定レジスタは、前記NANDコントローラからのいくつかの所定信号のHレベルとLレベルのパターンが所定パターンとなったときに、設定を受け付けることを特徴とする。
【0017】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、前記ラッチ回路に一時記憶された信号と前記条件設定レジスタに設定された情報とを比較する比較回路を具備し、前記制御回路は、前記条件設定レジスタに設定された信号取込期間スタート情報に基づき信号取込期間スタートを検出し、前記ラッチ回路への信号取込及び一時記憶を制御し、前記比較回路による比較結果に基づき上記ラッチ回路から取込選択対象信号情報を取り出して前記信号レジスタへ保持させる制御を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、前記信号レジスタは、所定容量の信号を保持できるものであることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、前記信号レジスタに所定量の信号が保持されると、前記経路を介して、前記信号レジスタに保持された信号について前記内部コントロール回路を介して前記NANDコントローラへ取り込ませる波形観測可通知回路、を具備することを特徴とする。
【0020】
本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリでは、上記ラッチ回路が信号を取り込む場合のクロック周波数を設定可能であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】NANDフラッシュメモリを用いた一般的なMCPの構成を示す図。
図2】本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリの構成図。
図3】本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリの動作を示すフローチャート。
図4】本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリの動作を示すタイミングチャート。
図5】本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリの動作を示すタイミングチャート。
図6】本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリの波形観測モード時に用いられる取込選択対象信号情報のデータ例を示す図。
図7】本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリの波形観測モード時に用いられるクロック周波数選択データの一例を示す図。
図8】本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリの波形観測モード時に観測可能な信号の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係るNANDフラッシュメモリを説明する。各図において、同一の構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1にMCPの一例のブロック図を示す。MCPは、NANDフラッシュメモリ200とNANDコントローラ1を備え、ホスト装置から上記NANDコントローラ1へ信号を送って上記NANDフラッシュメモリ200の制御を行うように構成されている。図1のMCPでは、NANDコントローラ1が2チャネル分の制御を行い、1チャネルにバンクAとバンクBを備え、各バンクに4ブロックのNANDフラッシュメモリ200を有している。
【0023】
本実施形態では、図2に示すように、NANDフラッシュメモリ200において、1つの内部コントロール回路10が1ブロックのメモリセル20を制御する構成として説明を行うが、これは1バンク分の構成である。本実施形態では、ホスト装置側のNANDコントローラ1からNANDフラッシュメモリ200を制御する構成である。通常の動作では、図示しないホスト装置の制御下でNANDコントローラ1が、NANDフラッシュメモリ200へ制御信号を送出してメモリセル20をアクセスしてデータの書き込みや読出しを行うことができる。このとき、NANDフラッシュメモリ200内においては、内部コントロール回路10がNANDコントローラ1の指示を受けて、メモリセル20からデータを読み出し、或いはメモリセル20へデータを書き込む。このとき、データレジスタ21が読み出したデータの一時格納場所として用いられる。
【0024】
本実施形態では、上記構成に対しデータ観測制御部300が追加される。データ観測制御部300には、情報保持部310と、記憶回路320と、経路330と、制御回路340とが備えられている。情報保持部310は、上記NANDコントローラ1から送られる信号取込期間の始まりを指示する信号取込期間スタート情報と、上記信号取込期間に取り込み選択する対象信号を指示する取込選択対象信号情報を設定しておくためのものである。情報保持部310は、信号取込期間の始まりを指示する信号取込期間スタート情報が設定されると共に、前記信号取込期間に取り込み選択する対象信号を指示する取込選択対象信号情報が設定される条件設定レジスタ311により構成することができる。
【0025】
記憶回路320は、上記NANDコントローラ1から前記信号取込期間に到来する信号を記憶するものである。上記記憶回路320は、上記NANDコントローラ1から到来する信号を一時記憶するラッチ回路321と、上記取込選択対象信号を保持する信号レジスタ322と、により構成される。
【0026】
経路330は、上記記憶回路320に記憶された信号について上記内部コントロール回路10を介して上記NANDコントローラ1へ取り込ませる信号路である。制御回路340は、上記情報保持部310に設定された信号取込期間スタート情報に基づき信号取込期間スタートを検出して上記NANDコントローラ1からの信号を取込んで上記記憶回路320へ記憶する制御を行い、上記情報保持部310に保持されている取込選択対象信号情報に従って上記記憶回路320に記憶された信号から取込選択対象信号を取り出して、この信号を上記経路330を介して上記NANDコントローラ1へ与える制御を行うものである。この制御回路340による制御は、上記NANDコントローラ1から波形観測モード時の指示を受けたときに行われる。本実施形態では、この波形観測モード時の指示は、NANDコントローラ1から出力されているチップイネーブル信号(/CE)が0であり、コマンドラッチイネーブル信号(CLE)が1であり、アドレスラッチイネーブル信号(ALE)が1であることにより出力される。これにより、上記条件設定レジスタ311は、上記NANDコントローラ1からのいくつかの所定信号のHレベルとLレベルのパターンが所定パターンとなったものとして、波形観測モード時の指示を受け、設定を受け付ける。
【0027】
本実施形態では、上記ラッチ回路321は、上記信号取込期間に上記NANDコントローラ1から到来する信号を全てラッチ回路321へ記憶制御する上記制御回路340の機能を有し、更に、上記ラッチ回路321は、上記ラッチ回路321に記憶された信号が上記取込選択対象信号情報に合致すると、当該信号を選択して、上記信号レジスタ322に移して保持させる制御を行う上記制御回路340の機能を有する。
【0028】
本実施形態では、上記ラッチ回路321に一時記憶された信号と上記条件設定レジスタ311に設定された取込選択対象情報とを比較する比較回路312を具備している。この構成を有することにより、上記制御回路340は、上記条件設定レジスタ311に設定された信号取込期間スタート情報に基づき信号取込期間スタートを検出し、上記ラッチ回路321への信号取込及び一時記憶を制御し、上記比較回路312による比較結果に基づき上記ラッチ回路321から取込選択対象データを取り出して上記信号レジスタ322へ保持させる制御を行う。
【0029】
上記信号レジスタ322は、所定容量の信号を保持できるものである。本実施形態では、上記信号レジスタ322に所定量の信号が保持されると、上記経路330を介して、上記信号レジスタ322に保持された信号について上記内部コントロール回路10を介して上記NANDコントローラ1へ取り込ませる波形観測可通知回路331を具備する。
【0030】
更に、本実施形態では、上記ラッチ回路321が信号を取り込む場合のクロック周波数を設定可能である。この場合のクロックは、サンプリングクロック回路323からラッチ回路321へ出力される。取込選択対象信号情報に対応する取込選択対象データがラッチされたときに、サンプリングクロック回路323からレジスタアドレスデコーダ324に対して通知がなされ、信号レジスタ322のデータ格納先のアドレスが歩進されて信号レジスタ322へ取込選択対象データが出力され記憶されることになる。
【0031】
以上のように構成された本実施形態に係るNANDフラッシュメモリの動作を、図3のフローチャートと、図4及び図5においてのタイミングチャートを参照して説明する。この図4図5は一連の連続するタイミングチャートであるが、図示の関係上、一部をダブらせて2つに分割したものである。なお、本実施形態では、実際的には制御回路340の機能を各回路が実行するので、制御回路340の動作は入らない。まず、波形観測モードへ移行させると共に、条件設定レジスタ311へ必要条件情報を設定する(S11)。具体的には、波形観測モード時の指示を出すために、NANDコントローラ1からチップイネーブル信号(/CE)を0とし、コマンドラッチイネーブル信号(CLE)を1とし、アドレスラッチイネーブル信号(ALE)を1とした信号を出力する(図4のタイミングチャートの最初の部分)。また、NANDコントローラ1から送られる信号取込期間の始まりを指示する信号取込期間スタート情報と、上記信号取込期間に取り込み選択する対象信号を指示する取込選択対象信号情報を設定する(図4の「設定101」)。
【0032】
「設定101」を行うために、ライトイネーブル信号(/WE)を7回トグルしたときに図4のSPL_CLKの発振をスタートさせる指示を設定するデータは図6(c)の矢印により示すようにビット7で7回トグルを示し、トリガレジスタデータ(Trigger Reg.)は、図6(a)に示し、トリガマスクレジスタデータ(Trigger Mask Reg.)は、図6(b)に示し、クロック周波数選択データは図6(c)のアドレス0のビット0~2を用いて示される。トリガレジスタデータ(Trigger Reg.)、トリガマスクレジスタデータ(Trigger Mask Reg.)、クロック周波数選択データは、それぞれ、図6(a)、図6(b)、図6(c)に示すように1クロック分のデータで3アドレスを使用する。また、クロック周波数選択データは、図6(c)に示すようにアドレス0だけに値が設定されるもので、図7に示すようにCLK2、CLK1、CLK0の0と1の組み合わせで、A~Eの5通りの周波数を選択することができる。
【0033】
以上のような条件設定レジスタ311へ設定される図4の「設定101」に係るデータを説明すると、トリガレジスタデータ(Trigger Reg.)は、アドレス0において05h、アドレス1において00h、アドレス2において02hである。アドレス0における05hの内容は、WP=0,RE=0,/RE=0,/CE=0,/WE=1,ALE=0,CLE=1である。アドレス1における00hの内容は、R/B=0,/DQS=0,DQS=0である。アドレス2における02hの内容は、DQ7~DQ0=02hである。
【0034】
また、トリガマスクレジスタデータ(Trigger Mask Reg.)は、アドレス0においてF0h、アドレス1においてFFh、アドレス2において00hである。アドレス0におけるF0hの内容は、WP,RE,/REはマスクするである。このため、波形取得対象は、トリガレジスタデータ(Trigger Reg.)の/CE=0,/WE=1,ALE=0,CLE=1の4ピンである。アドレス1におけるFFhの内容は、R/B,/DQS,DQSをマスクするである。このため、波形取得対象は無いことになる。アドレス2における00hの内容は、マスク無しである。このため、DQ7~DQ0のデータを取得することになる。
【0035】
クロック周波数選択データは、80hである。このため、クロック周波数は周波数Aが選択される。
【0036】
上記データが条件設定レジスタ311にセットされると、条件設定レジスタ311はサンプリングクロック回路323に指示を与えてクロック周波数Aによりクロックが出力されるようにセットすると共に、サンプリングクロックの発振スタート条件が到来したかを検出する(S12)。即ち、ライトイネーブル信号(/WE)が7回トグルしたかを検出する。
【0037】
上記ステップS12においてYESとなると、条件設定レジスタ311の出力によりサンプリングクロック回路323は発振を開始し(図4の「発振スタート102」)、レジスタアドレスデコーダ324が初期化され、上記ラッチ回路321にNANDコントローラ1から到来する信号が一時記憶される(S13)。次に、上記ラッチ回路321に一時記憶された信号と上記条件設定レジスタ311に設定された取込選択対象情報との比較が比較回路312により行われる(S14)。比較回路312が一致を検出した場合に信号レジスタ322のアドレスを歩進しながら取込選択対象信号を信号レジスタ322にセットする(S15、S16)。図4においては、「対象信号保持103」と表示されている。
【0038】
上記ステップS15、ステップS16に続いてレジスタアドレスデコーダ324のアドレス値が上限を超えているかが検出される(S17)。即ち、上記信号レジスタ322は、所定容量の信号(データ)を保持できるものである(容量に限界がある)ことから、このステップS17が実行される。
上記ステップS17においてYESへ分岐した場合には、信号レジスタ322から波形観測可通知回路331へ蓄積完了の通知が出力される。これを受けて波形観測可通知回路331は、波形観測可通知信号を内部コントロール回路10へ出力する。波形観測可通知信号を受けた内部コントロール回路10では、レディービジィー信号R/Bなどを使用してデータレジスタ21に観測すべき信号が格納されたことなど、波形観測可となったことをNANDコントローラ1へ出力し、データレジスタ21からの信号の取出しを促す。これにより、ラッチ回路321にラッチされ、選択されて信号レジスタ322へ格納された取込選択対象信号をホスト装置が観測できることになる。
【0039】
上記ステップS17においてYESへ分岐すると、サンプリングクロック回路323が停止する(S18)。図4図5においては、「クロック停止104」と表示されている。このとき、図4図5のPL_CLKの発振が停止し、CLK_Stop=1となる。
【0040】
ステップS18に続いて、信号レジスタ322のデータを経路330を介してデータレジスタ21へ転送し、内部コントロール回路10を介してNANDコントローラ1へ与える(S19)。データレジスタ21への転送に際し、波形観測可通知回路331から信号レジスタ322へ読出クロックRE_CLKが出力され、信号の読み出しが行われる。データ転送が行われた後には、読出クロックRE_CLKがLレベルとなる。また、データレジスタ21→内部コントロール回路→NANDコントローラ1というデータ転送がなされる。図5では、「観測用信号転送105」と表示されている。
【0041】
本実施形態では、取込選択対象信号(トリガレジスタデータ(Trigger Reg.))は、「WP,RE,/RE,/CE,/WE,ALE,CLE,R/B,/DQS,DQS,DQ7,DQ6,DQ5,DQ4,DQ3,DQ2,DQ1,DQ0」である。これらを適宜所望のクロック周波数に選択して取り込んで観測することにより、期待通りに動作してないタイミングやコマンド等を容易に特定できることになる。
【0042】
例えば、図8に示すように、基準信号DQS,/DQSが観測できた場合に、データバスの信号DQが適正なタイミングとなっているかを観測できる。即ち、NANDフラッシュメモリでは、DQをセットアップし、DQSのエッジで処理を行うことになるが、システムの時間制約(セットアップ時間、ホールド時間)とICの内部動作遅延を引いた時間がタイミングマージンとなることから、データバスの配線遅延のバラツキを、このタイミングマージン以下に抑える必要性を満たす場合に役立つものである。
【0043】
また、本実施形態の信号観測によって、場合によっては故障原因の想定ないしは特定にも繋がることになり、本実施形態による効果は極めて大きい。
【0044】
図4図5では、以上のように第1回目の波形観測モード時の処理として、「設定101」、「発振スタート102」、「対象信号保持103」、「クロック停止104」、「観測用信号転送105」が行われることが表示され、更に、取込選択対象情報「05h」に対する信号が選択保持された場面を示す「対象信号保持103その2」以降の第2回目の波形観測モード時の処理が行われることが表示されている。本実施形態のNANDフラッシュメモリでは、必要に応じてこのようにして波形観測モード時の処理が進行して行く。
【符号の説明】
【0045】
10 内部コントロール回路 20 メモリセル
21 データレジスタ 200 NANDフラッシュメモリ
300 データ観測制御部 310 情報保持部
311 条件設定レジスタ 312 比較回路
320 記憶回路 321 ラッチ回路
322 信号レジスタ 323 サンプリングクロック回路
324 レジスタアドレスデコーダ 330 経路
331 波形観測可通知回路 340 制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8