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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080533
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ボトムレール及びブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/388 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
E06B9/388
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193829
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 英希
(57)【要約】
【課題】ウエイトに固定するための加工を施すことなく、より容易にウエイトをボトムレールに固定することができる技術を提供する。
【解決手段】ブラインド用のボトムレール3であって、長尺に形成されるとともに、開口された端部と連通する収容空間を画成するウエイト収容部303が形成され、遮蔽材の下端に連結されるレール部材30と、レール部材30に重量を付与する少なくとも1つ以上のウエイト部材50と、少なくとも1つ以上のウエイト部材50を保持可能に構成され、ウエイト収容部303内に収容された場合に少なくとも1つ以上のウエイト部材50をレール部材30に固定する第1保持部材51とを備えた。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインド用のボトムレールであって、
長尺に形成されるとともに、開口された端部と連通する収容空間を画成するウエイト収容部が形成され、遮蔽材の下端に連結されるレール部材と、
前記レール部材に重量を付与する少なくとも1つ以上のウエイト部材と、
前記少なくとも1つ以上のウエイト部材を保持可能に構成され、前記ウエイト収容部内に収容された場合に前記少なくとも1つ以上のウエイト部材を前記レール部材に固定する第1保持部材と
を備えるボトムレール。
【請求項2】
前記第1保持部材は、前記ウエイト収容部に嵌合されることにより前記レール部材に前記少なくとも1つ以上のウエイト部材を固定することを特徴とする請求項1に記載のボトムレール。
【請求項3】
前記第1保持部材は、前記レール部材の延在方向を向く前記第1保持部材の一端側において前記ウエイト収容部内に収容不能に形成され、該第1保持部材が前記ウエイト収容部内に収容された場合に前記レール部材の端面で係止される壁部を有することを特徴とする請求項2に記載のボトムレール。
【請求項4】
前記第1保持部材の壁部が前記レール部材の端面で係止された状態で前記レール部材の端面に固定可能に形成され、前記第1保持部材の前記レール部材の延在方向への移動を規制するサイドキャップを備えることを特徴とする請求項3に記載のボトムレール。
【請求項5】
前記第1保持部材は、
前記少なくとも1つ以上のウエイト部材のそれぞれを該ウエイト部材の側面の少なくとも一部を囲繞して保持する少なくとも1つ以上の保持部と、
前記1つ以上の保持部のそれぞれに対して前記レール部材の延在方向を向く前記第1保持部材の他端側に位置するように設けられる1つ以上の露出保持部とを有し、
前記1つ以上の露出保持部のそれぞれは、前記保持部よりも前記ウエイト部材の側面を外部に露出させるように該ウエイト部材の側面を囲繞して保持することを特徴とする請求項3に記載のボトムレール。
【請求項6】
前記第1保持部材は、前記ウエイト収容部に収容された場合に前記少なくとも1つ以上のウエイト部材を前記ウエイト収容部の内壁に当接させた状態で前記ウエイト収容部に嵌合されることを特徴とする請求項2に記載のボトムレール。
【請求項7】
前記少なくとも1つ以上のウエイト部材は複数であり、該複数のウエイト部材のそれぞれは一方向に延在して長尺に形成され、
前記ボトムレールは、
前記第1保持部材とは前記複数のウエイト部材の延在方向において異なる位置で該複数のウエイト部材を保持する第2保持部材を更に備えることを特徴とする請求項6に記載のボトムレール。
【請求項8】
前記第1保持部材により保持される前記複数のウエイト部材間の離間距離は、前記第2保持部材により保持される前記複数のウエイト部材間の離間距離よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載のボトムレール。
【請求項9】
前記第1保持部材は、前記複数のウエイト部材のそれぞれに対応して形成され、前記複数のウエイト部材間を離間させるように突出する複数のリブを有することを特徴とする請求項8に記載のボトムレール。
【請求項10】
前記少なくとも1つ以上のウエイト部材よりも比重が小さく、且つ該少なくとも1つ以上のウエイト部材と同様に形成された少なくとも1つ以上の補助ウエイト部材を更に備え、
前記第1保持部材は、前記少なくとも1つ以上のウエイト部材と、前記少なくとも1つ以上の補助ウエイト部材とを保持することを特徴とする請求項1に記載のボトムレール。
【請求項11】
前記第1保持部材は、前記少なくとも1つ以上のウエイト部材を保持した状態において、前記少なくとも1つ以上のウエイト部材の端面に面する壁部を有し、該壁部には、前記少なくとも1つ以上のウエイト部材の延在方向における内方に突出する凸部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のボトムレール。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の前記ボトムレールを備えるブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、ブラインドに備えられるボトムレールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラインドに備えられるボトムレールに関する技術として、少なくとも一端部に端面が開口された挿入孔を設け、挿入孔に棒状のウエイトを嵌挿した後に挿入孔を覆うボトムプレートを取着するように構成されたボトムレールが知られている(特許文献1参照)。棒状のウエイトは、径が挿入孔の径よりも小さく形成されるとともに、挿入孔に嵌挿可能な範囲で湾曲した形状に形成される。
【0003】
このようなボトムレールによれば、美観を損なうことなくボトムレールの重量を調整することができるとともに、ウエイトが挿入孔の内部でがたつくことを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-8745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術によれば、ウエイトは、ボトムレールに固定するために、比重が比較的大きく剛性が高い。したがって、加工が容易ではない素材からなるウエイトを湾曲状に形成又は加工する必要がある、という問題がある
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ウエイトに固定するための加工を施すことなく、より容易にウエイトをボトムレールに固定することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、ブラインド用のボトムレールであって、長尺に形成されるとともに、開口された端部と連通する収容空間を画成するウエイト収容部が形成され、遮蔽材の下端に連結されるレール部材と、前記レール部材に重量を付与する少なくとも1つ以上のウエイト部材と、前記少なくとも1つ以上のウエイト部材を保持可能に構成され、前記ウエイト収容部内に収容された場合に前記少なくとも1つ以上のウエイト部材を前記レール部材に固定する第1保持部材とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウエイトに固定するための加工を施すことなく、より容易にウエイトをボトムレールに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るブラインドの構成を示す正面図である。
図2】第1実施形態に係るブラインドの構成を示す側面図である。
図3】第1実施形態に係るボトムレールの構成を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係るレール部材の構成を示す側面図である。
図5】第1実施形態に係る被収容ウエイトの構成を示す正面図である。
図6】第1実施形態に係る第1保持部材の構成を示す斜視図である。
図7】第1実施形態に係る第2保持部材の構成を示す斜視図である。
図8図5のA-A線断面図である。
図9図5のB-B線断面図である。
図10図5のC-C線断面に相当する、被収容ウエイトが収容された状態にあるボトムレールの断面図である。
図11】正常に加工されたウエイト部材の端部を示す斜視図である。
図12】バリが形成されたウエイト部材の端部を示す斜視図である。
図13】第1実施形態に係る、第1ホルダにより保持されるウエイト部材を示す平面図である。
図14A】第1実施形態に係る、レール部材に挿入される被収容ウエイトを示す正面図である。
図14B】第1実施形態に係る、レール部材に圧入される被収容ウエイトを示す正面図である。
図14C】第1実施形態に係る、レール部材に固定された被収容ウエイトを示す正面図である。
図15】第1実施形態に係る、レール部材に固定された被収容ウエイトを示す側面図である。
図16図15のD-D線断面図である。
図17図16のE-E線断面図である。
図18】第2実施形態に係るボトムレールの構成を示す側断面図である。
図19】第3実施形態に係るボトムレールの構成を示す縦断面図である。
図20】第4実施形態に係る被収容ウエイトの構成を示す正面図である。
図21】第5実施形態に係るボトムレールの構成を示す縦断面図である。
図22図21のF-F線断面図である。
図23】第5実施形態に係る、ウエイト部材が上方に位置付けられたボトムレールの構成を示す側断面図である。
図24】第6実施形態に係る被収容ウエイトの構成を示す斜視図である。
図25】第6実施形態に係るボトムレールの構成を示す概略図である。
図26】第6実施形態に係る第1保持部材の構成を示す斜視図である。
図27】第6実施形態に係る、粘着テープが貼着される第1保持部材を示す斜視図である。
図28図25のH-H線断面図である。
図29図25のG-G線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態においては、遮蔽材として、昇降可能なスクリーンを備えるプリーツスクリーンに本発明を適用したブラインドを例にとり説明を行う。なお、以下の実施形態においては、ブラインドが設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、ブラインドの長手方向を左右方向と称して説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<第1実施形態>
(全体構成)
第1実施形態に係るブラインドの全体構成について説明する。図1図2は、それぞれ、本実施形態に係るブラインドの構成を示す正面図、側面図である。なお、図1においてはボトムレールが下端位置まで下降された状態にあるブラインドが示されており、そのヘッドボックスのみ内部が示されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るブラインド1は、ヘッドボックス2と、ボトムレール3と、紐状またはテープ状に形成された少なくとも2本の昇降コード41と、遮蔽材としてのスクリーン4と、操作ユニット22とを備える。
【0013】
ヘッドボックス2は、内部に収容空間を画成する略直方体状に形成され、複数のブラケット21を介して不図示の窓枠等に固定される。ヘッドボックス2内には、駆動軸201と、各昇降コード41に対応して設けられる少なくとも2つの巻取ドラム202と、ストッパ203と、ブレーキ204とが収容される。駆動軸201、2つの巻取ドラム202、ストッパ203、及びブレーキ204は、ボトムレール3を昇降する駆動系を構成する。
【0014】
駆動軸201は、左右方向に延在する角柱状の部材であり、ヘッドボックス2内において軸心方向を左右方向に向けて回転可能に軸支される。各巻取ドラム202は、それぞれ、駆動軸201と一体回転するように駆動軸201に貫通され、各昇降コード41のうち対応する昇降コード41の一端が巻取及び巻解き可能に連結される。
【0015】
ストッパ203は、駆動軸201の巻解き方向の回転を規制し、駆動軸201の回転を規制する状態と許容する状態とに切替可能に構成される。ブレーキ204は、駆動軸201の巻解き方向の回転速度を減速させる。ブレーキ204は、駆動軸201の回転速度を減速させることで、ボトムレール3が下端位置まで下降した際に生じる衝撃力を緩和する。
【0016】
ボトムレール3は、各昇降コード41の他端が接続され、ブラインド1において最下端に位置するようにヘッドボックス2から吊り下げ支持されており、スクリーン4は、上端がヘッドボックス2の下面に連結されるとともに下端がボトムレール3の上面に連結され、上下方向に折りたたみ可能なプリーツ状に形成され、昇降コード41が部分的に上下方向に挿通される遮蔽部材である。
【0017】
操作ユニット22は、例えばボールチェーンとして構成される無端状の操作コード23を有し、ユーザの操作コード23に対する昇降操作に応じて、ボトムレール3を昇降させるように駆動軸201を回転させる。
【0018】
(ボトムレールの構成)
第1実施形態に係るボトムレールの構成について説明する。図3は、本実施形態に係るボトムレールの構成を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係るレール部材の構成を示す側面図である。
【0019】
図1図3に示すように、ボトムレール3は、レール部材30、2つの被収容ウエイト5、2つのサイドキャップ6を備える。レール部材30は、全体として、両端が開口された左右方向に長尺な略筒状に形成された部材である。図4に示すように、レール部材30には、スクリーン連結空間301、コード連結空間302、ウエイト収容部303が形成される。
【0020】
スクリーン連結空間301は、レール部材30の外壁の前方側(図4中左側)において、スクリーン4の下端が不図示のスクリーン止めプレートを介して収容可能に形成される。コード連結空間302は、レール部材30の外壁の上方側において、2本の昇降コード41及びスクリーン4のプリーツを一定間隔で保持するための2本のピッチ保持コード42が不図示のコード止めプレートを介して収容可能に形成される。
【0021】
2つの被収容ウエイト5は、後に詳述するように、それぞれ、全体として一方向に延在する柱状に構成される。ウエイト収容部303は、レール部材30の内部空間の後方側(図4中右側)において、レール部材30の両端部のそれぞれから挿入される2つの被収容ウエイト5を収容するとともに、左右方向に直交する方向から囲繞することによって、2つの被収容ウエイト5を保持する。
【0022】
本実施形態において、ウエイト収容部303は、レール部材30の内壁における後方側の一部分と、内壁から突出するように形成される突出部とによって、左右方向から見て略C字状に形成される。ウエイト収容部303は、延在方向が左右方向を向く状態でウエイト収容部303に挿入された2つの被収容ウエイト5のそれぞれに対して、その外周の少なくとも半分以上を囲繞して前後方向及び上下方向に移動不能に保持する。
【0023】
なお、2つの被収容ウエイト5の外周を全域に亘って囲繞するためには、レール部材30の内部空間を2つに区分する必要があるが、このようにレール部材30を形成することは困難であり、多くのコストが掛かる。本実施形態のようにウエイト収容部303が構成されることによって、より容易に、より低コストで2つの被収容ウエイト5をレール部材30に保持させることができる。
【0024】
2つのサイドキャップ6は、レール部材30の両端部に形成された2つの開口を閉塞可能に形成される部材である。2つのサイドキャップ6は、2つの被収容ウエイト5の全体がウエイト収容部303に挿入された後、レール部材30の両端部に取り付けられる。
【0025】
(被収容ウエイトの構成)
第1実施形態に係る被収容ウエイトの構成について説明する。図5は、本実施形態に係る被収容ウエイトの構成を示す正面図である。図6図7は、それぞれ、第1保持部材、第2保持部材の構成を示す斜視図である。図8図9は、それぞれ、図5のA-A線断面図、B-B線断面図である。図10は、図5のC-C線断面に相当する、被収容ウエイトが収容された状態にあるボトムレールの断面図である。図11図12は、それぞれ、正常に加工されたウエイト部材、バリが形成されたウエイト部材の端部を示す斜視図である。図13は、本実施形態に係る、第1ホルダにより保持されるウエイト部材を示す平面図である。
【0026】
図5図8図10に示すように、被収容ウエイト5は、3つのウエイト部材50と、第1保持部材51と、第2保持部材52とを備える。3つのウエイト部材50は、それぞれ、レール部材30に重量を付与するために比重が比較的高い素材からなる部材であり、一方向に延在する長尺な略円柱状に形成される。第1保持部材51は、3つのウエイト部材50をこれらの延在方向における一方側(図5中右側)で保持する。第2保持部材52は、3つのウエイト部材をこれらの延在方向における他方側(図5中左側)で保持する。
【0027】
第1保持部材51は、図6図9に示すように、3つの保持部511と、壁部512とを有し、全体として一方向に延在する略柱状に形成される。また、第2保持部材52は、図7図8に示すように、3つの保持部521を有し、全体として一方向に延在する略柱状に形成される。
【0028】
図6図9に示すように、第1保持部材51の3つの保持部511は、それぞれ、一方向に延在するとともに、延在方向から見て略C字状に、換言すれば、側壁の一部が開放された略円筒状に形成される。ここで、3つの保持部511のそれぞれは、ウエイト部材50を挿入可能且つウエイト部材50の周壁の一部を囲繞可能に形成される。また、3つの保持部511のそれぞれには、その内周壁における開放部分と対向する位置において、開放部分に向けて突出するリブ511Rが形成される。3つの保持部511は、これらの延在方向を向く第1保持部材51の中心軸C1(図9参照)回りにそれぞれの開放部分が等間隔に離間されて中心軸C1周回りに3回対称な形状となるように一体化される。3つのリブ511Rは、それぞれ、第1保持部材51の径外側に突出する。
【0029】
第1保持部材51の壁部512は、3つの保持部511の一端側に設けられ、略円柱状に形成された3つの保持部511のそれぞれの底面をなすように形成された略板状の部材である。壁部512における3つの保持部511側を向く面には、図10に示すように、3つの凸部512Cが形成される。3つの凸部512Cは、それぞれ、3つの保持部511のそれぞれに対応して形成され、対応する保持部511にウエイト部材50が保持された状態において、ウエイト部材50を壁部512から離間させるように保持部511の延在方向内方側に突出する。
【0030】
図11に示すように、正常に製造されたウエイト部材50Nの端面は平面状に形成されるが、図12に示すように、端面にバリBRが形成されたウエイト部材50Bが意図せず製造されることがある。3つの凸部512Cによれば、図13に示すように、ウエイト部材50Nの端面が面する壁部512においてバリBRが当接する箇所の厚みを大きくすることによって、バリBRによる壁部512の破損を防止することができる。
【0031】
図7図8に示すように、第2保持部材52の3つの保持部521は、それぞれ、一方向に延在するとともに、延在方向から見て略C字状に、換言すれば、側壁の一部が開放された略円筒状に形成される。ここで、3つの保持部521のそれぞれは、ウエイト部材50を挿入可能且つウエイト部材50の周壁の一部を囲繞可能に形成される。また、3つの保持部511のそれぞれには、リブ521Rと、2つの爪部521H(図7図8参照)とが形成される。
【0032】
リブ521Rは、保持部521の内周壁における開放部分と対向する位置において、開放部分に向けて突出するように形成される。3つの保持部511は、これらの延在方向を向く第2保持部材52の中心軸C2(図8参照)回りにそれぞれの開放部分が等間隔に離間されて中心軸C2回りに3回対称な形状となるように一体化される。3つのリブ521Rは、それぞれ、第2保持部材52の径外側に突出する。
【0033】
2つの爪部521Hは、それぞれ、保持部521の開放部分をなす2つの縁部において延在方向全域にわたって形成され、保持部521の径内方向に突出する。第2保持部材52は、可撓性を有する素材からなり、3つの保持部521の開放部分は、ウエイト部材50の直径よりも狭くなっている。即ち、2つの爪部521Hの離間距離は、ウエイト部材50の直径よりも短い。保持部521に外部からウエイト部材50が挿入される際、2つの爪部521Hが離間されるように保持部521が変形し、ウエイト部材50が保持部521内に保持されると、2つの爪部521Hとリブ521Rとによって第2保持部材52の径方向に移動不能にウエイト部材50が保持される。
【0034】
第2保持部材52の3つのリブ521Rが3つのウエイト部材50を固定するために形成されるのに対して、第1保持部材51の3つのリブ511Rは、3つのウエイト部材50を固定しつつ径外方向側に突出させるために形成される。3つのウエイト部材50は、それぞれ、その側面部が中心軸C1,C2から最も離間するように第1保持部材51及び第2保持部材52に保持される。第1保持部材51の3つのリブ511Rは、いずれも、3つのウエイト部材50を含む第1保持部材51の半径L1(図9参照)が3つのウエイト部材50を含む第2保持部材52の半径L2よりも大きくなるように形成される。これによって、被収容ウエイト5は、第1保持部材51側の径が第2保持部材52側の径よりも大きくなるように構成される。即ち、第1保持部材51は、第2保持部材52と比較して、3つのウエイト部材50をこれらの延在方向に直交する方向に離間させて保持する。
【0035】
(被収容ウエイトの固定方法)
被収容ウエイトのレール部材に対する固定方法について説明する。図14A図14Cは、それぞれ、本実施形態に係る、レール部材に挿入、圧入、固定された被収容ウエイトを示す正面図である。図15は、本実施形態に係る、レール部材に固定された被収容ウエイトを示す側面図である。図16は、図15のD-D線断面図である。図17は、図16のE-E線断面図である。
【0036】
被収容ウエイト5をレール部材30に取り付ける作業者は、まず、図14Aに示すように、第1保持部材51側よりも径が小さく構成された第2保持部材52側からレール部材30のウエイト収容部303に被収容ウエイト5を挿入する。ウエイト収容部303は、左右方向から見て、被収容ウエイト5の第1保持部材51の外郭形状に合致した形状に形成される。そのため、第1保持部材51により保持される部分まで被収容ウエイト5がウエイト収容部303に挿入されると、作業者は、図14Bに示すように、左右方向外方側から力を加えて被収容ウエイト5をウエイト収容部303に圧入する。図14C図15に示すように、被収容ウエイト5の左右方向外方側(図14C中右側)の端部がレール部材30の左右方向外方側端部に達するまで被収容ウエイト5が圧入されることによって、レール部材30への被収容ウエイト5の取付作業が完了する。
【0037】
図16図17に示すように、第1保持部材51により3つのウエイト部材50が保持される部分がウエイト収容部303に嵌合することによって、被収容ウエイト5がレール部材30に固定される。この際、3つのウエイト部材50の側面がウエイト収容部303の内周壁に当接する。このような構成によれば、第1保持部材51が全周を囲繞して3つのウエイト部材50のそれぞれを保持する場合と比較して、被収容ウエイト5の径を小さくすることができる。
【0038】
第1保持部材51、第2保持部材52は、レール部材30に重量を付与するものである必要はないため、3つのウエイト部材50と比較して、より比重が小さく、より剛性が低く、より加工が容易な素材により製造することができる。よって、本実施形態に係るボトムレール3によれば、ウエイト部材50にレール部材30に固定させるための加工をすることなく、より容易にウエイト部材50をレール部材30に固定させることができる。
【0039】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る被収容ウエイトの構成について説明する。図18は、本実施形態に係るボトムレールの構成を示す側断面図である。
【0040】
図18に示すように、本実施形態に係る被収容ウエイト5Aは、3つのウエイト部材50に代えて、1つのウエイト部材50と2つの補助ウエイト部材50Aとを備える点において、第1実施形態に係る被収容ウエイト5とは異なる。2つの補助ウエイト部材50Aは、それぞれ、ウエイト部材50よりも比重が低い素材がウエイト部材50と略同形状に形成されたものである。
【0041】
このような被収容ウエイト5Aによれば、レール部材30に付与する重量を容易に調整することができる。また、上述したように第1保持部材51、第2保持部材52は、いずれも、これらの延在方向から見て回転対称に形成されているため、被収容ウエイト5Aの延在方向を向く軸回りに回転させることによって、ウエイト部材50の前後方向位置を変更してボトムレール3の重心位置を変更することができる。なお、2つの補助ウエイト部材50Aは互いに比重が異なる素材が形成されたものであってもよく、被収容ウエイト5Aは、2つのウエイト部材50と1つの補助ウエイト部材50Aとを備えるものであってもよい。
【0042】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る被収容ウエイトの構成について説明する、図19は、本実施形態に係るボトムレールの構成を示す縦断面図である。
【0043】
図19に示すように、本実施形態に係る被収容ウエイト5Bは、3つのウエイト部材50に代えて3つのウエイト部材50Sを備える点、及び第2保持部材52を備えない点において、第1実施形態に係る被収容ウエイト5とは異なる。
【0044】
3つのウエイト部材50Sは、それぞれ、ウエイト部材50と同様の径に形成されるが、ウエイト部材50よりも延在方向長さが短く形成される点においてウエイト部材50とは異なる。このような被収容ウエイト5Bによれば、3つのウエイト部材50Sを、第1保持部材51のみによってレール部材30に固定することができる。
【0045】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る被収容ウエイトの構成について説明する。図20は、第4実施形態に係る被収容ウエイトの構成を示す正面図である。
【0046】
図20に示すように、本実施形態に係る被収容ウエイト5Cは、互いに異なる位置で3つのウエイト部材50を保持する第2保持部材52を2つ備える点において、第1実施形態に係る被収容ウエイト5とは異なる。このような被収容ウエイト5Cによれば、1つの第1保持部材51と複数の第2保持部材52とにより3つのウエイト部材50が保持されることによって、3つのウエイト部材50をより安定してレール部材30に固定することができ、特に3つのウエイト部材50がより長尺の場合に安定した状態で保持することができる。
【0047】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る被収容ウエイトの構成について説明する。図21は、本実施形態に係るボトムレールの構成を示す縦断面図である。図22は、図21のF-F線断面図である。図23は、本実施形態に係る、ウエイト部材が上方に位置付けられたボトムレールの構成を示す側断面図である。
【0048】
図21図22に示すように、本実施形態に係る被収容ウエイト5Dは、3つのウエイト部材50に代えて1つのウエイト部材50のみを備える点、第1保持部材51及び第2保持部材52に代えて1つのウエイト部材50のみを保持する第1保持部材51Dを備える点において第1実施形態に係る被収容ウエイト5とは異なる。
【0049】
第1保持部材51Dは、保持部511以外の部分、即ち、第1保持部材51における他の2つの保持部511に相当する部分が、ウエイト部材50を保持する保持部511と中心軸C1回りに回転対称に形成される。よって、被収容ウエイト5Dの延在方向から見た外郭形状は、被収容ウエイト5と略同様である。
【0050】
このような被収容ウエイト5Dによれば、第2実施形態に係る被収容ウエイト5Aと同様に、被収容ウエイト5Dの延在方向を向く軸回りに回転させることによって、ウエイト部材50の前後方向位置を変更してボトムレール3の重心位置を変更することができる。
【0051】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る被収容ウエイトの構成について説明する。図24は、本第6実施形態に係る被収容ウエイトの構成を示す斜視図である。図25は、本実施形態に係るボトムレールの構成を示す概略図である。図26図27は、それぞれ、本実施形態に係る第1保持部材の構成、粘着テープが貼着される第1保持部材を示す斜視図である。図28図29は、それぞれ、図25のH-H線断面図、G-G線断面図である。なお、図25は、ボトムレールが透過され、サイドキャップが切断されたボトムレールの一端部を示す。
【0052】
図24図26に示すように、本実施形態に係るボトムレール3Eは、2つのサイドキャップ6に代えて2つのサイドキャップ6Eを備える点、被収容ウエイト5に代えて被収容ウエイト5Eを備える点において、第1実施形態に係るボトムレール3とは異なる。
【0053】
第1保持部材51Eは、3つの保持部511に代えて3つの保持部511Aを備える点、壁部512に代えて壁部513を備える点、3つの保持部511Aのそれぞれに対応して設けられる3つの露出保持部514を備える点において、第1実施形態に係る第1保持部材51とは異なる。
【0054】
3つの保持部511Aは、それぞれ、第2保持部材52の3つの保持部521と略同様に形成される。具体的には、図28に示すように、保持部511Aは、ウエイト部材50を挿入可能且つウエイト部材50の周壁の一部を囲繞可能に側壁の一部が開放された略円筒状に形成され、1つのリブ511R2と、2つの爪部511Hとが形成される。
【0055】
リブ511R2は、保持部511Aの内周壁における開放部分と対向する位置において、開放部分に向けて突出するように形成される。2つの爪部511Hは、それぞれ、保持部511Aの開放部分をなす2つの縁部において延在方向全域にわたって形成され、保持部511Aの径内方向に突出する。保持部511Aに外部からウエイト部材50が挿入される際、2つの爪部511Hが離間されるように保持部511Aが変形し、ウエイト部材50が保持部511A内に保持されると、2つの爪部511Hとリブ511Rとによって第1保持部材51Eの径方向に移動不能にウエイト部材50が保持される。
【0056】
第1保持部材51Eは、3つのウエイト部材50を保持した状態でボトムレール3Eのウエイト収容部303に収容された際、図28に示すように、3つのウエイト部材50がウエイト収容部303の内周壁に当接されず、第1保持部材51Eのみがウエイト収容部303の内周壁に当接されるようにウエイト収容部303に嵌合される。これによって、3つのウエイト部材50の加工精度に依存することなく、3つのウエイト部材50をボトムレール3Eに固定することができる。
【0057】
3つの露出保持部514は、それぞれ、対応する保持部511Aの延在方向一端部、具体的には、壁部513とは逆側の端部に形成される。露出保持部514は、保持部511Aと同様にウエイト部材50を挿入可能且つウエイト部材50の周壁の一部を囲繞可能に側壁の一部が開放された略円筒状に形成される。また、露出保持部514は、図29に示すように、開放部分をなす2つの縁部間の距離が保持部511Aよりも大きくなるように形成されており、これによって、ウエイト部材50は、露出保持部514に保持される部分が対応する保持部511Aに保持される部分よりも外部に露出される面積が大きい。
【0058】
被収容ウエイト5Eにおいては、図24図25図27に示すように、3つのウエイト部材50を第1保持部材51Eにより強固に固定するために粘着テープATが用いられても良い。この際、粘着テープATは、3つのウエイト部材50をそれぞれ保持する3つの露出保持部514に対して周方向に巻き付くように貼着される。露出保持部514によれば、保持するウエイト部材50の露出面積が大きくなっているため、粘着テープATによるウエイト部材50に対する貼着面積が大きくなり、これによって、ウエイト部材50がより強固に第1保持部材51Eに対して固定される。
【0059】
壁部513は、図25に示すように、第1保持部51Eがボトムレール3Eのウエイト収容部303内に挿入された際に、ボトムレール3Eの端面で係止されるように形成される。即ち、壁部513は、ウエイト収容部303内に挿入不能に形成される。また、壁部513は、3つの保持部511A側を向く面に3つの凸部513Cが形成される点において、壁部512と同様である。
【0060】
図25に示すように、2つのサイドキャップ6Eは、それぞれ、2つの被収容ウエイト5Eのそれぞれの壁部513以外の部分がウエイト収容部303に挿入された後、レール部材30の両端部に取り付けられ、ネジSCにネジ止めされることによりレール部材30に固定される。サイドキャップ6Eには、レール部材30に取り付けられた際に壁部513を収容可能に形成された壁部収容部601が形成される。壁部513とサイドキャップ6Eとによれば、第1保持部51Eがボトムレール3Eの延在方向に移動することがより強固に規制される。
【0061】
以上に説明したように、少なくとも第1保持部材51,51D,51Eを用いることによって、加工を施すことなく、少なとも1つ以上のウエイト部材50,50Sをレール部材30に固定することができる。なお、ここで、固定とは、1つ以上のウエイト部材50,50Sをレール部材30に対して、前後方向及び上下方向への移動を規制すること、望ましくは、更に左右方向への移動を規制することを意味する。なお、ボトムレール3を備えるブラインド1としてプリーツスクリーンを例に挙げて説明したが、本発明は、横型ブラインド、ハニカムスクリーンなどの遮蔽材を垂下するあらゆるブラインドに適用することができる。
【0062】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0063】
1 ブラインド
3 ボトムレール
30 レール部材
50 ウエイト部材
51 第1保持部材
52 第2保持部材
303 ウエイト収容部
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