(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080546
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】羽織
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A47G33/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193853
(22)【出願日】2022-12-03
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】519377060
【氏名又は名称】株式会社丹澤紙業
(74)【代理人】
【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
(72)【発明者】
【氏名】丹沢 英仁
(57)【要約】
【課題】 売り上げの伸長に寄与することができる授与品の羽織を提供する。
【解決手段】 第4および第6の面14,16に、両面に跨って切欠き窓1Aを有する第1の模様1の複数個を配設する一方、第1の模様1は、中心線CLに平行な第1の対称線LS1に対して線対称とし、第1の対称線LS1は第5の折り返し線L5よりも第6の面16側に位置し、かつ第4の面14における第1の模様1の外縁部には第1の模様1の外縁よりも大きい切欠き1Bを形成する一方、第5および第7の面15,17を中心線CLに対し第4および第6の面14,16と線対称となるように形成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形部材または先端部が剣先形状の五角形状部材である本体に纏わせる羽織であって、
前記本体の一方の面である裏面に当接させる面である第1の面、
前記裏面に当接させた状態で前記本体の左右両側から、前記本体の長手方向に沿う第1および第2の折り返し線に沿い折り返して前記本体の左右両端面にそれぞれ当接させる面である第2および第3の面、
前記左右両端面に当接させた状態で前記本体の他方の面である表面に向かって、前記長手方向に沿う第3および第4の折り返し線に沿いそれぞれ折り返して形成する第4および第5の面、
前記第4および第5の面をそれぞれ前記本体の外側に向かって、前記長手方向に沿う第5および第6の折り返し線に沿い谷折りして形成した第6および第7の面を有するとともに、
前記第4および第6の面にはこれら第4および第6の面に跨って形成した第1の模様の複数個を前記長手方向に沿って配設する一方、
前記第1の模様は、切欠き窓を有するとともに、前記本体の長手方向の中心線に平行な第1の対称線に対して線対称となっており、
前記第1の対称線は前記第5の折り返し線よりも前記第6の面側に位置し、かつ前記第4の面における前記模様の外縁部には前記模様の外縁よりも大きい切欠きを形成し、
前記第5および第7の面にはこれら第5および第7の面に跨って形成した第2の模様の複数個を前記長手方向に沿って配設する一方、
前記第2の模様は、切欠き窓を有するとともに、前記中心線に平行な第2の対称線に対して線対称となっており、
前記第2の対称線は前記第6の折り返し線よりも前記第7の面側に位置し、かつ前記第5の面における前記模様の外縁部には前記模様の外縁よりも大きい切欠きを形成したことを特徴とする羽織。
【請求項2】
矩形部材または先端部が剣先形状の五角形状部材である本体に纏わせる羽織であって、
前記本体の一方の面である裏面に当接させる面である第1の面、
前記裏面に当接させた状態で前記本体の左右両側から、前記本体の長手方向に沿う第1および第2の折り返し線に沿い折り返して前記本体の左右両端面にそれぞれ当接させる面である第2および第3の面、
前記左右両端面に当接させた状態で前記本体の他方の面である表面に向かって、前記長手方向に沿う第3および第4の折り返し線に沿いそれぞれ折り返して形成する第4および第5の面、
前記第4および第5の面をそれぞれ前記本体の外側に向かって、前記長手方向に沿う第5および第6の折り返し線に沿い谷折りして形成した第6および第7の面を有するとともに、
前記第4および第6の面にはこれら第4および第6の面に跨って形成した第3の模様の複数個を前記長手方向に沿って配設する一方、
前記第3の模様は、切欠き窓を有するとともに、前記本体の長手方向の中心線に平行な第3の対称線に対して線対称となっており、
前記第3の対称線は前記第5の折り返し線よりも前記第4の面側に位置し、かつ前記第6の面における前記模様の外縁部には前記模様の外縁よりも大きい切欠きを形成し、
前記第5および第7の面にはこれら第5および第7の面に跨って形成した第4の模様の複数個を前記長手方向に沿って配設する一方、
前記第4の模様は、切欠き窓を有するとともに、前記中心線に平行な第4の対称線に対して線対称となっており、
前記第4の対称線は前記第6の折り返し線よりも前記第5の面側に位置し、かつ前記第7の面における前記模様の外縁部には前記模様の外縁よりも大きい切欠きを形成したことを特徴とする羽織。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する羽織において、
前記第1の模様と第3の模様とが、前記本体の長手方向に沿い交互に並んで、前記第6および第4の面に配設されるとともに、
前記第2の模様と第4の模様とが、前記本体の長手方向に沿い交互に並んで、前記第7および第5の面に配設されていることを特徴とする羽織。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載する羽織において、
前記第1および第2の模様、または第3および第4の模様の各切欠き窓を透過して色彩を視認し得るよう、前記本体と前記第4および第6の面ならびに前記本体と前記5および第7の面との間に色紙を介在させたことを特徴とする羽織。
【請求項5】
請求項3に記載する羽織において、
前記第1および第2の模様、ならびに第3および第4の模様の各切欠き窓を透過して色彩を視認し得るよう、前記本体と前記第4および第6の面、ならびに前記本体と前記5および第7の面との間に色紙を介在させたことを特徴とする羽織。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は羽織に関し、特に神社、仏閣等で配布される各種のお札等、いわゆる授与品に纏わせて使用する場合に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
図8は神社で配布される授与品の一種である守護札の一例を示す斜視図である。同図に示すように、この種の守護札は、一般に「〇〇神社 御守護」等の文字を揮毫した矩形部材である本体01、本体01の表面を左右両側から覆うように本体01を包んだ羽織02および羽織(袴)02を留める帯(水引)03を有している。
【0003】
ところで、従来技術に係る授与品においては、羽織部分に特別な装飾を施したものは存在していない。一方、授与品の構造を工夫することで装飾的な効果を惹起させることにより、その売り上げを伸ばすことは可能であると考えられる。
【0004】
授与品の一種であるお札の構造を工夫したものは、特許文献1として公知となっている。ただ、これは装飾に関しては全く触れられておらず、装飾的な効果に起因して売り上げを伸ばすという効果は得られない
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑み、お札等の授与品の羽織の構造を工夫することにより当該授与品の需要を喚起し、売り上げの伸長に寄与することができる授与品の羽織を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
矩形部材または先端部が剣先形状の五角形状部材である本体に纏わせる羽織であって、
前記本体の一方の面である裏面に当接させる面である第1の面、
前記裏面に当接させた状態で前記本体の左右両側から、前記本体の長手方向に沿う第1および第2の折り返し線に沿い折り返して前記本体の左右両端面にそれぞれ当接させる面である第2および第3の面、
前記左右両端面に当接させた状態で前記本体の他方の面である表面に向かって、前記長手方向に沿う第3および第4の折り返し線に沿いそれぞれ折り返して形成する第4および第5の面、
前記第4および第5の面をそれぞれ前記本体の外側に向かって、前記長手方向に沿う第5および第6の折り返し線に沿い谷折りして形成した第6および第7の面を有するとともに、
前記第4および第6の面にはこれら第4および第6の面に跨って形成した第1の模様の複数個を前記長手方向に沿って配設する一方、
前記第1の模様は、切欠き窓を有するとともに、前記本体の長手方向の中心線に平行な第1の対称線に対して線対称となっており、
前記第1の対称線は前記第5の折り返し線よりも前記第6の面側に位置し、かつ前記第4の面における前記模様の外縁部には前記模様の外縁よりも大きい切欠きを形成し、
前記第5および第7の面にはこれら第5および第7の面に跨って形成した第2の模様の複数個を前記長手方向に沿って配設する一方、
前記第2の模様は、切欠き窓を有するとともに、前記中心線に平行な第2の対称線に対して線対称となっており、
前記第2の対称線は前記第6の折り返し線よりも前記第7の面側に位置し、かつ前記第5の面における前記模様の外縁部には前記模様の外縁よりも大きい切欠きを形成したことを特徴とする。
【0008】
第2の態様は、
矩形部材または先端部が剣先形状の五角形状部材である本体に纏わせる羽織であって、
前記本体の一方の面である裏面に当接させる面である第1の面、
前記裏面に当接させた状態で前記本体の左右両側から、前記本体の長手方向に沿う第1および第2の折り返し線に沿い折り返して前記本体の左右両端面にそれぞれ当接させる面である第2および第3の面、
前記左右両端面に当接させた状態で前記本体の他方の面である表面に向かって、前記長手方向に沿う第3および第4の折り返し線に沿いそれぞれ折り返して形成する第4および第5の面、
前記第4および第5の面をそれぞれ前記本体の外側に向かって、前記長手方向に沿う第5および第6の折り返し線に沿い谷折りして形成した第6および第7の面を有するとともに、
前記第4および第6の面にはこれら第4および第6の面に跨って形成した第3の模様の複数個を前記長手方向に沿って配設する一方、
前記第3の模様は、切欠き窓を有するとともに、前記本体の長手方向の中心線に平行な第3の対称線に対して線対称となっており、
前記第3の対称線は前記第5の折り返し線よりも前記第4の面側に位置し、かつ前記第6の面における前記模様の外縁部には前記模様の外縁よりも大きい切欠きを形成し、
前記第5および第7の面にはこれら第5および第7の面に跨って形成した第4の模様の複数個を前記長手方向に沿って配設する一方、
前記第4の模様は、切欠き窓を有するとともに、前記中心線に平行な第4の対称線に対して線対称となっており、
前記第4の対称線は前記第6の折り返し線よりも前記第5の面側に位置し、かつ前記第7の面における前記模様の外縁部には前記模様の外縁よりも大きい切欠きを形成したことを特徴とする。
【0009】
第3の態様は、
第1または第2の態様に記載する羽織において、
前記第1の模様と第3の模様とが、前記本体の長手方向に沿い交互に並んで、前記第6および第4の面に配設されるとともに、
前記第2の模様と第4の模様とが、前記本体の長手方向に沿い交互に並んで、前記第7および第5の面に配設されていることを特徴とする。
【0010】
第4の態様は、
第1または第2の態様に記載する羽織において、
前記第1および第2の模様、または第3および第4の模様の各切欠き窓を透過して色彩を視認し得るよう、前記本体と前記第4および第6の面ならびに前記本体と前記5および第7の面との間に色紙を介在させたことを特徴とする。
【0011】
第5の態様は、
第3の態様に記載する羽織において、
前記第1および第2の模様、ならびに第3および第4の模様の各切欠き窓を透過して色彩を視認し得るよう、前記本体と前記第4および第6の面、ならびに前記本体と前記5および第7の面との間に色紙を介在させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1および第2の模様ならびに第3および第4の模様の一部を、第6および第7の面の中心側の端部よりも中心側へ突出させることができるので、このことによって特異な模様が形成されるばかりでなく、各模様の切欠き窓を透過して視認される下地との組み合わせによっても特異な模様が形成され、多様な組み合わせの模様により羽織の装飾を豪華かつ華麗なものとすることができる。この結果、当該羽織を纏ったお札等、授与品の売れ行きを増大させ、商業的な成功を獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る矩形の本体を有するお札(授与品)に纏わせる羽織を展開して示す平面図である。
【
図2】
図1に示す羽織の特定の工程における態様を、
図1の一部を抽出・拡大して示す平面図である。
【
図3】
図1に示す羽織の特定の工程における態様を、
図1の一部を抽出・拡大して示す平面図である。
【
図4】
図1に示す羽織の特定の工程における態様を、
図1の一部を抽出・拡大して示す平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るお札の作製工程(第1工程(a)、第2工程(b))を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るお札の作製工程(第3工程(a)、第4工程(b)、第5工程(c))を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るお札に羽織を纏わせた状態で示す斜視図である。
【
図8】従来技術に係る授与品の一種であるお札を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1は矩形の本体II(
図5~
図7参照;以下同じ)を有するお札(授与品)に纏わせる羽織を展開して示す平面図である。同図に示すように、羽織Iの第1の面11は、矩形部材(長手方向をX軸方向、短手方向をY軸方向とする(
図2~
図4において同じ))である授与品(例えばお札)の本体IIの一方の面である裏面IIB(
図5~
図7参照;以下、同じ)に当接させる面である。
【0016】
第2の面12は羽織Iを本体IIの裏面IIBに当接させた状態で本体IIの図中左側から、本体IIのX軸方向に沿う第1および第3の折り返し線L1,L3に沿い折り返して本体IIの左端面に当接させる面である。第3の面13は本体IIの裏面IIBに当接させた状態で本体IIの図中右側から、本体IIのX軸方向に沿う第2および第4の折り返し線L2,L4に沿い折り返して本体IIの右端面に当接させる面である。ここで、折り返し線L1,L3および折り返し線L2,L4の間隔が本体IIの厚みに対応する。
【0017】
第4の面14は、羽織Iを本体IIの左端面に当接させた状態で本体Iの他方の面である表面IIA(
図5~
図7参照;以下、同じ)に向かって、X軸方向に沿う第3の折り返し線L3に沿い折り返して形成する。第5の面15は、羽織Iを本体IIの右端面に当接させた状態で本体IIの他方の面である表面IIAに向かって、X軸方向に沿う第3の折り返し線L3に沿い折り返して形成する。
【0018】
第6の面16は、第4の面14を本体IIの外側に向かって、X軸に沿う第5の折り返し線L5に沿い谷折りして形成してある。第7の面17は、第5の面15を本体IIの外側に向かって、X軸に沿う第6の折り返し線L6に沿い谷折りして形成してある。
【0019】
本形態の場合は花菱である第1の模様1は、第4および第6の面14,16に跨って形成してあり、その複数個がX軸方向に沿って配設してある。ここで、第1の模様1は、切欠き窓1Aを有するとともに、X軸方向の中心線CLに平行な第1の対称線LS1に対して線対称となっている。第1の対称線LS1は第5の折り返し線L5よりも第6の面16側(外側)に偏倚量αだけ偏倚している。また、第4の面14における第1の模様1の外縁部には第1の模様1の外縁よりも大きい透過窓である切欠き1Bが形成してある。
【0020】
本形態の場合第1の模様1と同形の花菱である第2の模様2は、第5および第7の面15,17に跨って形成してあり、その複数個がX軸方向に沿って配設してある。ここで、第2の模様2は、切欠き窓2Aを有するとともに、X軸方向の中心線CLに平行な第2の対称線LS2に対して線対称となっている。第2の対称線LS2は第6の折り返し線L6よりも第7の面17側(外側)に偏倚量αだけ偏倚している。また、第5の面15における第2の模様2の外縁部には第2の模様2の外縁よりも大きい透過窓である切欠き2Bが形成してある。
【0021】
ここで、第1の模様1および第2の模様2は、同形の花菱模様で形成してあるが、必ずしも同形である必要はない。また、花菱模様に限定するものでもない。第1および第2の対称線LS1,LS2に対して線対称となっていれば、他の模様であっても構わない。
【0022】
本形態の場合には、さらに第3および第4の模様3,4も有している。第3の模様3および第4の模様4は、第1および第2の模様1,2と同形の花菱模様で、第4の面14および第6の面16、ならびに第5の面15および第7の面17に跨って形成してあり、複数個がX軸方向に沿って配設してある。
【0023】
第3の模様3は、切欠き窓3Aを有するとともに、X軸方向の中心線CLに平行な第3の対称線LS3に対して線対称となっている。ここで、第3の対称線LS3は第5の折り返しL5線よりも第4の面14側に偏倚量βだけ偏倚している。また、第6の面16における第3の模様3の外縁部には第3の模様3の外縁よりも大きい透過窓である切欠き3Bが形成してある。
【0024】
第4の模様4は、切欠き窓4Aを有するとともに、X軸方向の中心線CLに平行な第4の対称線LS4に対して線対称となっている。ここで、第4の対称線LS4は第6の折り返しL6線よりも第5の面15側に偏倚量βだけ偏倚している。また、第7の面17における第4の模様4の外縁部には第4の模様4の外縁よりも大きい透過窓である切欠き4Bが形成してある。
【0025】
本形態では、第6の面16の長手方向および第7の面17の長手方向に亘り複数個の第5の模様5および第6の模様6がそれぞれ配設されている。第5および第6の模様5,6は、本形態の場合、第1~第4の模様1~4と同様の切欠き窓を有する花菱であるが、これらに限定されるものではない。また、必ずしも必要なものでもない。全体のデザイン上の都合により任意の形状の模様で適宜形成すれば良い。
【0026】
本形態においては、第1の模様1と第3の模様3とを、第4の面14と第6の面とに、第2の模様2と第4の模様4とを、第5の面15と第7の面17とに、X軸方向に沿って交互に形成したが、必ずしもこのように形成する必要はない。第1の模様1と第2の模様2との組み合わせのみをX軸方向に複数個配設した形態、第3の模様3と第4の模様4との組み合わせのみをX軸方向に複数個配設した形態、すなわち第1および第2の模様1,2の組合せ、または第3および第4の模様3,4の組合せのうちのいずれか一方を選択的に形成しても本発明の技術思想に含まれる。
【0027】
図2~
図4は本形態に係る羽織の特定の工程における態様を、
図1の一部を抽出・拡大して示す平面図である。なお、これらの図は、中心線CLに対して線対称であるので、左半分のみを示す。また、羽織Iは、
図2で見えている状態を裏面、反対側を表面とする。したがって、図示はしないが、初期状態においては、お札の本体IIの裏面と羽織Iの第1の面11の裏面とが接触する。
【0028】
図2に示す状態から第1の折り返し線L1で折り返し、続けて第2の折り返し線L2で第4および第6の面14,16を一体として中心線CL側(内側)に折り返すことにより
図3の状態とする。この状態で第2の面12が本体IIの左端面に接触する。また、この状態では羽織Iの第4および第6の面14,16の表面が現われる。
【0029】
次に、
図3に示す状態から第6の面16を第5の折り返し線L5に沿って外側に折り返す。この結果、
図4の状態となる。
図4の状態では、第6の面16は裏面に戻る。また、第1の模様1および第3の模様3がX軸に沿い交互に並ぶとともに、第1の模様1は裏面がそのまま現れるのに対し、第3の模様3は切欠き部3Bを透過して第4の面14の表面が現れる。そして、羽織Iを本体IIに直接纏わせた場合、すなわち羽織Iと本体IIとの間に、色紙等の他の部材を介在させない場合には、第1および第3の模様1,3の切欠き窓1A,3Aからは下地となる本体IIの表面が透過して見えることになる。この結果、羽織Iの表面の色を、例えば赤、裏面の色を、例えば黒というように色違いとした場合、第1の模様1は黒、第3の模様3は赤となり、切欠き窓1A,3Aを介して視認される下地の色、すなわち本体IIの表面の色(例えばお札の一般的な色である白色)が組み合わさった模様となる。さらに本形態では、第5の模様5も形成しているが、かかる第5の模様5の切欠き窓からは、この場合の下地である第4の面の表面が透過して視認される。
【0030】
本形態では、第1の模様1および第3の模様3の中心線CL側(内側)の先端部が、第5の折り返し線L5よりも中心線CL側に突出するが、かかる先端部の突起の存在も全体的な模様のアクセントとなる。ここで、折り返し線L5に対する第1の対称線LS1の偏倚量α(
図1および
図2参照)と、折り返し線L5に対する第3の対称線LS3の偏倚量β(
図1および
図2参照)との間にα=βの関係を持たせておけば第1の模様1および第3の模様3の先端位置を中心線CL(
図1および
図2参照)に平行な基準線L上に揃えることができる。
【0031】
本形態に係る羽織Iは、1枚の紙で形成したが、下地となる色紙と組み合わせても良い。このことでさらに意匠上の審美効果を向上させることができるからである。ここで下地となる金紙と組み合わせた羽織の場合に関し、本発明に係る羽織を組み合わせたお札の作製方法を説明しておく。なお、
図1~
図4と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0032】
図5(a)に示すように、本体IIの表面IIAを上、裏面IIBを下にして色紙(例えば金紙)IIIとともに羽織Iに重ねる。次に、
図5(b)に示すように、色紙IIIを内側に折り込む。なお、羽織Iは
図5(a)の状態が裏面とする。
【0033】
次に、
図6(a)に示すように、第2および第3の面12,13(
図1参照)を折り返すともに第4および第6の面14,16と第5および第7の面15,17を中心線CL側に折り返す。この結果、
図6(b)のようになる。
図6(b)では第4および第6の面14,16と第5および第7の面15,17との表面が現われる。その後、
図6(c)に示すように、第6の面16と第7の面17を外側(中心線CLの反対側)へ谷折りする。この結果、第6の面16および第7の面17は裏面が現われる。
【0034】
図7に示すように、最後に水引IVで結束する。
図7に示す最終形態では、第1および第3の模様1,3は枠部分が第6および第7の面16,17の裏面の色(例えば黒)、第2および第4の模様2,4は枠体部分が切欠き部3Bを介して見える第4および第5の面14,15の表面の色(例えば赤)が視認され、第1~第4の模様1~4の切欠き窓1A~4Aからは下地となる色紙の色(例えば金色)が視認される。ここで、下地となる色紙(例えば金紙)にも第1の模様1~第4の模様4の先端突起部の形状に合わせた突起を設けておくことにより、切欠き窓1A~4Aの全体から下地の色紙の色(例えば金色)を視認することができる。一方、第5および第6の模様5,6の切欠き窓からは下地となる第4および第5の面の表面の色(例えば赤)が視認される。
【0035】
上記実施の形態において、羽織Iは矩形の本体IIに纏わせるものとして説明したが、本体IIの形状が矩形の場合に限定する必要はない。本体IIの形状は、先端部が剣先形状の五角形状部材であっても構わない。また、本体IIは授与品の本体である場合に限定するものでもない。例えば、矩形ののし袋の本体であっても構わない。
【符号の説明】
【0036】
I 羽織
II 本体
III 色紙
1~4 第1~第4の模様
1A~4A 切欠き窓
1B~4B 切欠き
11~17 第1~第7の面
CL 中心線
L1~L6 第1~第6の折り返し線