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特開2024-80547FMラジオ放送帯微弱電波送信機による情報提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080547
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】FMラジオ放送帯微弱電波送信機による情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3827 20150101AFI20240606BHJP
   H04B 1/034 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H04B1/3827
H04B1/034 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193854
(22)【出願日】2022-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】392002077
【氏名又は名称】松本 隆通
(72)【発明者】
【氏名】松本隆通
【テーマコード(参考)】
5K011
5K060
【Fターム(参考)】
5K011DA29
5K011JA01
5K011JA06
5K011JA08
5K011KA12
5K060CC04
5K060DD09
5K060LL04
(57)【要約】
【課題】視覚障害者や高齢者など、様々な理由でスマートフォンなどのデジタル機器を扱えない人々、いわゆる情報弱者に対して、設置運営者側としても簡便安価に提供できる情報提供ツールが無かった。
【解決手段】スイッチを入れて周波数さえ合わせれば誰でも無料でニュースや緊急放送が聞け、安価な汎用小型電池やイヤホンも使用できる小型軽量の機種が多いFMラジオを簡便な情報受信端末として使うこととし、蓄電機能を持たない太陽電池と光量による発電力の大小によって出力電圧を入り切りできるDC/DCコンバーター機能を組み合わせた電源回路を持たせたFMラジオ放送帯微弱電波送信機を情報提供側の装置として開発し投入することで、装置を駆動できる発電量が確保できる環境でありさえすれば電源工事や装置の制御操作が不要で、かつ事前の煩雑な申請も不要な情報提供システムとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池による発電を電源としており、この太陽電池が当装置駆動用電力以上の発電をする場合には規定の電圧をコントロール回路に給電し、この太陽電池の発電が当装置駆動用電力に満たない場合にはコントロール回路に給電しないDC/DCコンバーター部品が組み込まれている電源回路、その場で録音した内容あるいは事前にメモリに記録してある内容を再生して微弱電波送信回路に送る録音再生回路、受け取った録音内容をFMラジオ放送帯の微弱電波に乗せて発射する微弱電波送信回路、必要な場合に外部からの電源や制御信号などを受け取る拡張用のインターフェイス、及び装置の誤作動を防ぐスイッチや各回路を制御する機能を持つコントロール回路から成るFMラジオ放送帯微弱電波送信機
【請求項2】
2.4GHz帯のデジタル無線を受信して解析し、アナログ音声として微弱電波送信回路に送る機能を備えた請求項1のFMラジオ放送帯微弱電波送信機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FMラジオさえ持っておればその電源を入れて周波数を合わせるだけで手軽にその放送内容が音声で聞けるFMラジオ放送帯微弱電波送信機を使う情報提供システムに関するものであり、送信機の電源を蓄電機能を持たない太陽電池(太陽光電池あるいは光電池とも呼ばれ、太陽光や照明灯などの光放射エネルギーを受けて発電する光電変換素子のことであり、単体では蓄電機能を備えていない。以降太陽電池と言う)とすることで都度送信機を稼働あるいは停止させる操作が不要となるスイッチ機能を持たせることを特長としている。
【0002】
ここで言うFMとは送信したいアナログ信号情報を搬送波の周波数を変化させる電波で伝送する変調方式を指し、FMラジオとは、FMラジオ放送帯で放送されているアナログ電波に周波数を合わせるだけで誰でもその放送内容が聞けるラジオ受信機、又はFMラジオ放送帯で放送されているアナログ電波を直接受信して聞ける機能を備えた高機能携帯電話端末(スマートフォンとも呼ばれ主として画面操作が中心の多機能な携帯電話機、以降スマートフォンと言う)を指す。
【0003】
ここで言うFMラジオ放送帯とは、国内では従来のFM放送帯に加えこれを拡張して運用するいわゆるワイドFMバンド(FM補完放送帯、又は日本バンド)と呼ばれる76.1MHzから94.9MHz帯及び旧来のテレビ音声受信機や海外から持ち込まれたFMラジオに向けて送信を行う場合も想定して108MHz帯までを含む帯域を指すが、この送信機を行政や社会からの要請により視覚障害者への音声アシスト用無線電話システムや聴覚障害者への補聴援助用ラジオマイク用無線電話システム(以降アシスト用ラジオマイクと言う)の補完機能として使う用途が発生した場合には、事前の使用承諾や混信回避試験の実施などを前提として、ワイドFMバンドの下部近傍周波数帯に規定されているアシスト用ラジオマイクシステムの周波数も含めるものとする。
【0004】
ここで言う微弱電波とは、電波法の第4条第一項にある著しく微弱な電波であって、電波法施行規則第6条に定める無線設備から3メートル離れた電界強度が周波数別に定められた値以下の無線局を指し、FMラジオ放送帯ではその値は毎メートル500マイクロボルト以下のものであるが、隣接する送信機との混信を避け、あるいは電波到達距離を短くするために、適宜更に微弱とした電波、あるいは指向性アンテナによって電波の送出範囲を限定した電波としても良い。
【0005】
ここで言う送信機とは、電波法の第4条第一項にある著しく微弱な電波を使用する無線局であり、電波法施行規則第6条にその用途や電波型式、周波数帯とその空中線電力が規定され技術基準適合証明を必要とする特定小電力無線局に該当しない送信機を指すが、展開時の信頼性向上と、電波法第110条に該当するなど不本意に法令違反とならぬ様、事前に専門試験機関による測定を行い、微弱無線適合マーク(ELPマーク・微弱無線設備性能証明書及び性能証明ラベル)の取得をすれば更に良い。
【0006】
外国で運用することが想定される当発明のFMラジオ放送帯微弱電波送信機にあっては、その国の法に則り、その国で使われているFMラジオ放送帯微弱電波を使用し、かつ事前の煩雑な手続きが不要な仕様とする。
【0007】
当発明のFMラジオ放送帯微弱電波送信機(以降、当装置と言う)は、太陽電池による発電を電源としており、微弱電波送信回路に給電する電源経路としては蓄電機能を持たせていない電源回路、録音再生回路、コントロール回路、拡張用インターフェイス、及び微弱電波送信回路から成る。
【0008】
電源回路には太陽電池と、この太陽電池が当装置駆動用電力以上の発電をする場合には規定の電圧をコントロール回路に給電し、この太陽電池の発電が当装置駆動用電力に満たない場合にはコントロール回路に給電しないDC/DCコンバーター部品が組み込まれている。
【0009】
したがって、当装置が稼働するために必要な電力を発電するに足る光が太陽電池の受光面電極(以降受光面と言う)に常に当たるところでは当装置は常に電波を送信し続け、夜間の施設内など装置が稼働するために必要な電力を発電するに足る光量が得られない場合や、遮光板により受光面への入射光を制限あるいは遮られた状態では送信を停止するので、別途装置駆動用の電源や照度を感知する自動スイッチ又は手動のスイッチを付加することなく光の強弱あるいは有無で装置の制御ができるのである。
【0010】
これにより、例えば業務の開始に際して室内照明を点灯したり信号灯や踏切警報灯が特定の色に点灯した場合には関連する情報を近いエリアのFMラジオに向けて送信し、消灯すれば送信を停止させるなどの運用が可能となる。
【0011】
但し、例えば当装置の受光面に信号機の青色灯方向からの入射光以外を遮る遮光板を付加して信号が青に点灯した場合にのみ当装置から青が点灯している旨の放送をして視覚障害者の横断歩道利用を補助するシステムとして使う場合には、当装置が脱落して受光面に太陽光や外部光を受けた結果、信号機が赤色の場合にも青色が点灯している旨を放送し続けることになり大変危険なので、当装置が設置場所から脱落した場合や本来の設置位置からずれた場合には送信を停止させる安全装置がコントロール回路に含まれている。
【0012】
信号灯が点灯した際にその現示情報を放送する用途として使う場合、警察庁主導で展開が進められている高度化PICS(非特許文献1)が視覚障害者向けに2.4GHz帯で情報を送信しているデジタル電波を受信し解析して音声データとして音声録音再生回路に渡す機能もコントロール回路に持たせておけば、事前に対応アプリを入れたスマートフォンでしか聞けなかった情報をFMラジオでも聞ける様になる。
【0013】
また、地震の発生など緊急事態を伝える周波数や、ラジコン用発振器の周波数として割り当てられている72MHz帯と73MHz帯の一部周波数に加え、例えば74.58MHzや75.8MHzなど74MHz帯と75MHz帯の一部周波数などアシスト用ラジオマイクに使用される周波数、あるいは極めて近い距離で運用されている防災無線など他の無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えることの無い様に、主たる送出電波だけではなく第三次高調波や中間周波数などスプリアスなどについてもこれらの周波数を回避する必要があるのでこれらの周波数の送信あるいは発生を回避し、行政や社会からの運用要請に応える必要が生じた場合には簡単・迅速に当該周波数の電波に対応できる制御機能をコントロール回路に持たせても良い。
【0014】
当装置の電源回路の特性を活かすことにより、狭い範囲に対するFMラジオ放送帯微弱電波送信機による情報提供システムの構築にあたっては、前述の通り別途当装置駆動用の内部電池や外部電源のみならず当装置を稼働あるいは停止させるスイッチ操作が不要になるので、電源確保のための装置や給電線(外部商用電源との接続配線)の工事及びそれらに付随する部品類の削減による地球環境への負荷軽減にも貢献できる。
【0015】
照明設備の無い暗渠内や夜間の暗がり環境下など、発電用の光が確保できない環境での運用に対応させる必要がある場合には、本体に拡張用インターフェイスを設けてあるので電磁誘導による発電や外部からの給電によって当装置を安定駆動させることもできる。
【0016】
なお、太陽電池で発電した電気を蓄電し夜間を含め常に水面高を計測しそのデータを伝送する水位計測システムや防犯カメラなど太陽電池と無線装置の組み合わせは従来からの技術として公知であるが、これらの無線装置類はその装置が要求する電源や電圧条件の中で、無理なく正確に遠くまで電波を届けることを追求する概念で設計されており、無線装置を安定して駆動させるための電源として十分な電力を供給できる商用電源や乾電池や液体電池、あるいは設置環境の許す範囲で必要十分な性能の太陽電池と安定稼働用の蓄電池を組み合わせた電源装置が主な電源となっており、蓄電機能を持たせていないために太陽電池の発電量が不足すると無線装置が機能停止してしまう構造の電源部を持つ無線装置は無かった。
【0017】
同様に、装置の主電源となる太陽電池の受光面に当たる光量が低下すると蓄電池等の補助電源が無いために装置としての機能が止まってしまうFMラジオ放送帯微弱電波送信機は従来の設計概念には無いものである。
【0018】
つまり、電源回路を除く各々の回路や部品については特段の新規技術は含まれてはいないのだが、従来全く着目されてこなかった0017項の如き構造的な欠点を長所として活かすために0007項に既述の回路構成とすることで0010項に既述の通り照明が点灯した場合に事前に録音した内容を放送したり、信号機や警報器など発光式表示装置が点灯した場合にのみ現示内容に関する情報が放送できるなど、全く新規の機能を持つ技術になるのである。
【背景技術】
【0019】
この発明は、利用者とのインターフェイス部分にスマートフォンあるいはデジタル処理方式の電子機器を活用すれば様々な利便が提供できると考え開発したシステムではなく、スマートフォンの購入費用や維持費、あるいは常時内部でデジタル処理が行われているために頻繁なバッテリー切れに悩まされるなどその維持が負担と考えたり常時持ち歩くには重い装置と考えてスマートフォンを所持していない人や、スマートフォンでの画面操作が困難な視覚障害者や高齢者、あるいは溢れかえる情報の中からその場に則した情報だけが欲しいと望む人など(以降これらの人々を情報弱者と言う)に対して、事前の技術習得や受信料が不要で小型軽量で電池も長持ちするFMラジオさえ持っていれば手軽に情報が聞けるアナログ式FMラジオ放送帯の微弱電波送信機による情報提供システムが、電源環境や制御環境が整備されていない場所でも、簡単に構築できる技術に関するものである。
【0020】
この発明は電子装置の電源として太陽電池を使用する場合には当該装置の安定性と持続性を担保する為に不可欠として電源回路に組み込まれてきた蓄電装置(あるいは予備電源)を組み込まないことによって、受光面に当たる光の強弱により起電圧が変動して装置が停止するなど不安定になる弱点を長所として捉え、当該装置の起動及び停止のスイッチ機能として働かせることにある。
【0021】
つまり、その処理技術を使えば多くの情報が提供でき生活の利便向上に貢献できるとして昨今盛んに開発投入されているデジタル技術は否定することなく活用しながらも、デジタル技術への対応が困難な環境や情報弱者に対してのインターフェイスあるいは接点部分については、デジタル機器と比較して回路構成や部品が単純かつ安価で消費電力も小さいアナログ技術を使うことでシステムの汎用性や拡張性及び装置類の生産性、及び情報を受信する側の人の経済性や安心感をも高め、更に蓄電装置あるいは予備電源を組み込まない太陽電池を電源として使うことで電源工事や装置の起動及び停止の操作を削減できるなど、設置や運用の容易性のみならず地球環境への負荷も低減できるのである。
【0022】
電源についてもスマートフォンに代表されるデジタル式の受信機と比較してアナログ式受信機の方が電池が長もちすると言われている。例えば多くの通信システムではアナログ信号とデジタル信号の両方を処理しているが、情報を送受信するための伝送媒体のインタフェース、つまり人に対する情報提供手段としてはアナログ信号を使用するのが一般的であり、アナログ式ラジオ受信機の場合は音声を含む電波波形をそのまま音声として再生するのでデジタル方式の電波で受信した情報をアナログ形式の音声化に変換する処理などが無い分、電池が長もちするばかりではなく、アナログ式の従来型ラジオは汎用乾電池を使用する機種が多く、不意の電池切れの場合でも当該電池を容易に調達できるメリットがある。
【0023】
デジタル技術を使う情報提供サービスや歩行支援システムの分野では、展開に必要とするハードウェアやソフトウェア開発に要する費用、設置や運用展開の手間や費用、利用者の使い勝手や費用負担などを無視すれば、例えば食品毎の添加物情報や事故多発地点の情報、行政手続きの手引きや実際の手続き、更に視覚障害者の歩行支援ツールなど生活に密着して利便向上や安全安心の確保に寄与するシステムとして凡そ全ての要求に応えることができる仕組みの考案が可能である。
【0024】
但し、後述の通りその一部は既に試験展開または導入実施されているのだが、スマートフォンの操作に慣れた人が手軽に検索できる情報システムを除き、特に視覚障害者に向けた案内システムなどは普及していないのが現実であるので、以降にその実態と課題を記す。
【0025】
極小のガラス管やプラスチック製の薄板にUHF帯と呼ばれる非常に高い周波数を使う無線送受信装置とデジタルデータの記憶演算処理装置などを組み込んだRFIDと呼ばれる集積回路を持つRFタグ(以降ICタグと言う)に位置情報やそれにリンクするあらゆる情報を記憶させたものを街中の至る所に設置し、それらの情報をインターネット経由で授受するシステムとして視聴覚障害者などに対して街の案内をする実証実験が国土交通省などにより2005年6月から神戸で行われたが、ユビキタスコミュニケーターと呼ばれる専用端末や白杖の先に取り付けた読み取り装置で38桁の番号データを読み取りデータベースと通信をした結果を音声で案内するそのシステムの複雑さや事前のデータ入力の煩雑さなど運営者に重い負担が生じるばかりではなくデータ処理に電力を使う携帯端末の電池が1時間しか持たないことや端末が高価になったことに加え、機器類が使いづらいなどの使用者側の不便意見があり(非特許文献2及び3)、2006年4月以降に予定されていた全国展開は行われていない。
【0026】
視覚障害者向けの歩行補助装置としては1995年に考案された視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロックとも言う)に埋め込まれたICタグと白杖の先に組み込まれた受信機でデジタル送受信した内容をイヤホンを通じて音声で提供するシステム(特許文献1)や、視覚障害者が履く靴の中に埋め込んだICタグに記録された使用者に関する個人情報を視覚障害者誘導用ブロックに埋め込まれた送受信装置が解析し、靴の所有者が持つ専用の受信機に向けて歩行支援情報を送信するシステム(特許文献2)など類似の考案が多数なされているが、実際に市場展開するまでには至っていない。
【0027】
0025項のテスト実施以降にもICタグを小売店の商品棚や展示場や信号機や視覚障害者誘導用ブロックなどに組み込み、そのタグと通信できる専用の振動発生装置や送受信機、事前にアプリを入れたスマートフォンなどで商品情報や歩行支援情報などが聞き取れるシステム(特許文献3及び4及び5及び6及び7及び8及び9及び10及び11)(非特許文献4)をはじめ、描かれたマークや売り場の商品タグをスマートフォンのカメラで撮影するとその情報が受信できるシステム(特許文献12及び13及び14及び15及び16及び17および18)など不便を改善するための支援システム、施設内に多ヵ所設置されたビーコンと情報連携して、位置情報や歩行の方向をスマートフォンに送り込み視覚障害者の歩行を支援するシステム(特許文献19)や、これに類似したシステムも多数開発されている。
【0028】
他方では、様々な生活支援システムが開発されている中で、視覚障害者が交通事故に遭う危険な箇所とされる横断歩道に関しても全国に約21万基あるとされる歩行者用信号機の内、青信号表示時間に音で知らせる機能が付いている信号機は1割強であるが、その機能も夜間の騒音対策として停止されており、この状況を改善する為に警察庁主導によりデジタル技術を駆使して開発展開され始め令和3年度に2000基の設置目標を掲げた高度化PICS信号機も令和3年3月末時点で約150基、警視庁管内でも令和4年4月現在僅かに15基とその展開は順調に増えているとはいいがたい状況となっている。
【0029】
高度化PICS信号機の利用に際しては専用のアプリを組み込んだスマートフォンが必要であり、これは視覚障害者にとって扱いにくい端末となっていることに加え、画面操作や画面確認に注意をそがれて危険であるとの意見もある(非特許文献5)ことから、これらが展開苦戦の原因とも考えられ、0012項で提案する様に、PICS情報を胸ポケットにも入る小型軽量のFMラジオや既知技術の白杖に内蔵されたFMラジオ(特許文献20他、受信装置としての類似考案多数)などスマートフォンと比較して持ち歩きに負担が少ないFMラジオでも手軽に聞ける様にすれば視覚障害者の歩行支援装置の普及推進にもつながり、視覚障害者が事故に遭う確率も下がるものと考える。
【0030】
この他、当出願に類似する考案として電波の型式や出力や周波数などの具体的な説明が一切ないのだが、視覚障害者に電磁波で案内情報を提供するための案内装置に関する技術がある。(特許文献20)
【0031】
この技術は視覚障害者が駅の階段や郵便ポスト等の設備に近づいたときに、その存在と内容を知らせるシステムであり、設置場所に応じた音声情報信号を地中に埋設または床面に貼り付けられたループコイル式アンテナから常時送信し、杖先内に巻回されたコイル状のアンテナを有する受信装置を通してその内容を音声で聞くことを特徴としている。
【0032】
この考案では送信設備に係る電源部の説明がなされていないが、常時送信することを特徴としていることから少なくとも蓄電機能を有しない光電池主体の電源部ではないことは明確であり、この装置を展開するには商業電源又は大容量の電池類の準備が必須であるシステムであると言える。
【0033】
この考案に歩行者の進行方向を把握できる概念を取り込んだ案内システム装置(特許文献21)があるがこれは壁面の電源コンセントから給電した無線送信装置で位置情報と方位情報を送信し、受信者は方位磁針を内蔵した専用受信機で方位情報を解析し進行方向を特定しながら歩くことができるとする内容である。
【0034】
このことから、この考案は汎用受信機であるFMラジオでの受信は想定していないことが分る。
【0035】
この他にも、当出願に類似する考案としてFM形式の微弱電波を使う情報提供システムとして「視覚障害者のための音声アシストシステム」と呼ばれる技術がある。(非特許文献6及び7)
【0036】
この音声アシストシステムの送信設備の構成は音声等入力と付記された付属装置と送信装置から成っており、送信範囲として数メートルから20メートル、建物内や通路など狭い場所では2メートルから3メートル程度を想定し、設置及び展開場所として主にランドマークとなる駅やポスト、美術館、観光地をはじめ、狭域では銀行窓口や階段などが例示されている。
【0037】
このシステムで利用する無線装置の規格は音声アシスト用無線電話用特定小電力無線局として、電波法施行規則第6条第4項で、音声アシスト用無線電話(視覚障害者の歩行を援助するための情報を音声によつて伝達する無線電話をいう。)用で使用するものであつて75.2MHzを超え76.0MHz以下の周波数の電波を使用するものと定義されているのだが、この周波数帯は既存のFM放送との棲み分けをする理由もあり、誰もが手軽に聞けるFMラジオ帯の外側下部近傍周波数となっているので、国内で一般に出回っているFMラジオでは受信できない周波数での展開となっており、利用者にとって必ずしも利用しやすい受信装置となっていないことは明白である。
【0038】
更に、極めて送信出力の小さい微弱電波送信機と比較すれば出力が大きい小電力無線局であるため、常時安定稼働させるためには蓄電機能を持たない太陽電池を装置の主電源とすることは考えられず、十分な電力を提供できる商用電源を使用する電源装置の整備や定期的に交換が必要な電池を必要としたり、細長い通路に歩行誘導情報を流す際には長いアンテナを敷設する必要があり、混信対策が重視されるなど様々な制約を課せられ、改善の余地が大きく、運用者にとって必ずしも簡便で低コストなシステムとは言えない内容である。
【0039】
特許権は消滅しているのでシステム運営者と利用者双方にとって費用面や操作運用面で真に受け容れられ社会から要求されるシステムであるなら誰もが自由に展開しその規模も拡大しているはずであるが、大規模な試験展開が実施されたにもかかわらず、2001年に規格が制定された後、技術基準適合証明を受けた局数は2002年度の5局をピークに2011年度には3局、2014年度には0局となっていることから制定当初からほとんど普及しなかったことが分かる。(非特許文献8)
【0040】
よって、0019項から具体的に例示してきた多くの背景技術が真に利用者に受け容れられて展開拡大していない原因を調べ、新たな技術として改善し展開できれば社会の負託に応えることができるのではないかと考え、本発明を導いた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開平7‐334076号視覚障害者用の識別装置
【特許文献2】特開2003‐91794号視覚障害者用誘導補助システム
【特許文献3】特開2009-122788情報提供システム
【特許文献4】特開2009-75776無線ICタグ読み取り装置
【特許文献5】実願2010-4598視覚障害者誘導システム
【特許文献6】特開2014-191586視覚障害者誘導案内システム
【特許文献7】特開2016-102666案内システムおよび案内方法
【特許文献8】特開2017-58862商品情報提供装置、商品情報システム、及び商品情報提供システム
【特許文献9】特開2018-41424点字ブロック誘導earphone
【特許文献10】特開2019-75024歩行案内装置、歩行案内システム、及び歩行案内方法
【特許文献11】特開2021-15036位置情報付きコード化点字ブロックを用いた情報提供装置
【特許文献12】特開2007-164740バーコードと二次元バーコードを併記したシールとサービスシステム
【特許文献13】特開2016-200666視覚障害者用商品説明システム
【特許文献14】特開2018-23775位置情報案内システム
【特許文献15】特開2019-184598経路誘導システムおよび携帯端末ならびに経路誘導方法
【特許文献16】実登3230347位置情報案内システム
【特許文献17】特表2020-508440パーソナルナビゲーションシステム
【特許文献18】特開2022-24659 販売システム
【特許文献19】特開2020-034531 案内システム
【特許文献20】実願平07-005189・登録実用新案第3017635号
【特許文献21】実願2008-6872・実登第3148474号
【非特許文献】
【0042】
【非特許文献1】警察庁及び都道府県警 令和3年ホームページ 高度化PICSに関する広報
【非特許文献2】2005年4月2日読売新聞夕刊・道案内はICにおまかせ
【非特許文献3】2005年6月30日日刊建設産業新聞・ユビキタス技術を活用
【非特許文献4】2022年3月17日朝日新聞 靴の振動 歩行支援ナビ
【非特許文献5】2021年10月09日山陽新聞Dijital視覚障害者の歩行をスマホで支援、注意点も
【非特許文献6】平成12年9月25日電気通信技術審議会答申 諮問第114号 技術的条件
【非特許文献7】2001年3月筑波技術短期大学テクノレポートなんばーナンバー8視覚障害者のための音声アシストシステムについて
【非特許文献8】一般社団法人電波産業会 電波産業年鑑2015「電波産業調査統計」
【非特許文献9】総務省統計局人口推計月報(平成13年)
【非特許文献10】厚生労働省「身体障害児・者実態調査」(平成13年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
情報弱者にとって、公的機関での手続き、道路を歩く際の歩行支援、商業施設での商品情報などの入手に際し、スマートフォンや専用のデジタル受信機器を使わずに生活支援の情報が安全で簡便に入手できるシステムが無く、システム提供者にとっても、複雑で高額なデジタルシステムは多数存在するが、工事や更新作業を含むイニシャルコスト、ランニングコストが安価で設置や展開が容易にできる機器類が開発されていなかった。
【0044】
この課題を解決するためのシステムの考案に際しては、初期のシステム概要設計の段階から情報弱者に対して既存システムの課題やこれから開発しようとするシステムの仕組みを平易な言葉で説明して理解して貰った後に情報弱者の意見や感想を直接聞き、その意見を実現するための条件や要件を平易な言葉で説明し、あるいは確認し、開発の各段階で情報弱者の意見や感想が反映されているかどうかを聞きながら仕上げて行くことが重要である。
【0045】
情報弱者、特に視覚障害者に向けた背景技術について0019項から記してきたが、実際の展開状況や感想を視覚障害者団体(新宿区社会福祉法人、千葉県社会福祉法人など)に令和4年7月から11月にかけて面談確認したところ、ほとんど全ての考案システムが画面での操作が必要で視覚障害者にとって非常に使い勝手が悪く維持費用も負担になるスマートフォンや専用のデジタル受信機器を使うことが前提となっており、事前の個人情報登録や専用アプリのダウンロードが不安でありかつ煩わしく、白杖を持つ他方の手でスマートフォンを操作しなければならないのは周囲への注意が散漫になるばかりか、転倒した時に受け身が遅れ非常に危険であるので、できれば使いたくないとの報告を得た。(非特許文献5)
【0046】
更にこの面談で切実に要望された内容は、音響式の視覚障害者用信号機の音響が騒音対策により夜間切られていることや自動車のエンジン音やタイヤ音の静粛化もあり、視覚障害者にとって道路の横断は命がけの行為となっているので、使い勝手の悪いスマートフォンを使わずに目の前の信号の色が分かるシステムを早急に開発投入して欲しいと言う内容であった。
【0047】
また、スマートフォンは電池の消耗も激しいのだが、視覚障害者にとっては電池残量の確認が困難な画面表示となっている場合が多く、電池切れが心配であり、途中で電池が切れた場合、最寄りの小売店で販売している汎用電池が使えない不便さと不安があるとの報告もある。
【0048】
音声入力精度が向上しているので画面操作が苦手な情報弱者にとっても扱いやすくなったスマートフォンであるが、まだまだ雑踏の中での発声は困難であり、かつ、健常者にとっても危険である歩きながらのスマートフォン操作や片手でスマートフォンを持ち耳に当てる行為を回避するためにイヤホンを使用する場合であっても安価な汎用プラグ仕様のイヤホンが直接挿せずかつ重いスマートフォンを携行する負担は無視できない。
【0049】
以上から視覚障害者をはじめスマートフォンの扱いが苦手な人、あるいは様々な理由でスマートフォンを所有していない人、あるいは所有していても使っていない人、つまり情報弱者に対する生活支援などの情報を提供する手段として、それらの人々とのインターフェイス部分に操作が煩雑で重く維持費も高額なスマートフォンや汎用ではない受信機器の使用が前提となっている限り、普及しないことが分かる。
【0050】
つまり、情報弱者にも簡単に安全に安価に使用できる受信機を使う情報提供システムを開発すると共に、設置運営者にとっても展開に際する工事や煩雑な制御及び高額な維持運用費用を必要としない簡便な装置類を開発しなければ真に情報弱者にとって有意義なシステムとはならないので、スマートフォンや専用のデジタル受信装置を使用しなくても良い簡便なシステムの開発提供が早急に整備すべき重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0051】
本発明は、0045項及び0046項及び0047項のヒアリング結果や0049項及び0050項にまとめた通り、情報弱者に対する情報提供システムが展開拡大しない主たる原因となっている様々な展開阻害要素を排除し、利用者と運営者双方にとって安全で簡便な情報授受手段となる様、従来のアナログ技術であるFMラジオ放送帯微弱電波送信機を設置者側、電源を入れ周波数さえ合わせれば音が聞こえるFMラジオを利用者側の機器とすることで、設置者側にとって情報提供手段が簡単に構築でき、利用者側にとって簡便な手段で情報入手ができるシステムとしたものである。
【0052】
FMラジオ放送帯の微弱電波を使う送信機は永年使用されてきた信頼性のある既知技術であるが、送信機の電源を蓄電機能を持たない太陽電池とし、太陽電池の発電圧が変化しても一定の電圧を出力し、太陽電池の発電圧が一定以下になると出力しない機能を備えたDC/DCコンバーター部品を組み込むことによって受光面に当たる光量変化により都度送信機を稼働あるいは停止させる操作が不要となるスイッチ機能を持たせた送信機は従来になく、設置と制御の容易性を実現したことを特長としている。
【発明の効果】
【0053】
本発明による当装置を使えば、全国に30万人おり(非特許文献9)さらに90%の人が点字が読めないと言われる(非特許文献10)視覚障害者をはじめとする情報弱者が真に利用しやすい情報提供システムが簡単に構築できる。
【0054】
本発明は、受信や受信内容の再生に専用の受信機やプロトコル解析などが必要なデジタル式無線ではなく、誰でも受信できるFMラジオ帯のアナログ式無線を使っているのでFMラジオさえあれば情報弱者を含め誰でも手軽に情報を聞くことができ、電車移動などの際には災害や娯楽などの公共放送を聞くことができるので安全歩行支援などの情報を聞くためだけに別途何らかの受信端末を持つ必要がない。
【0055】
本発明は、狭い範囲にしか届かない微弱電波の弱みを、狭い地域の情報発信用電波としての強みとして活かしており、電波の発射に際する特段の規制を受けないので設置展開が容易であり、受信者のごく周辺に特化した情報を手軽に放送できる。
【0056】
本発明は、蓄電機能を持たないために電源回路として単独で使うには不向きな太陽電池の弱点を装置稼働のスイッチ機能として使える強みとして活かしており、当装置を駆動する電力を発電するに足る光量が受光面に当たる環境であれば特段の電気工事を必要とせずに容易に設置展開できるばかりではなく、別途装置駆動用の電源や照度を感知する自動スイッチ又は手動のスイッチを付加することなく光の強弱あるいは有無で当装置の送信開始または停止が制御できる。
【0057】
FETとトランジスタ及びバリキャップダイオードとコイルによってハートレー発振を行う方式のFMワイヤレスマイクでは安全の為にアンテナ線を短く切って到達3メートル程度の仕様として計測したところ1.5ボルト(単五電池1本)で機能しその電流は8ミリアンペアであったので、これに同じく1.5ボルトで稼働する録音再生部品を付加しても僅かな電流で納まると考えられる。
【0058】
つまり、当装置で扱う微弱電波はごくわずかな電力しか消費せず、全ての回路を1.5ボルトで機能する仕様とすれば、小さな太陽電池でも当装置の電源とすることができるので、当装置を小型化することができるばかりではなく、太陽電池が発電する限り電池交換が不要となる。
【0059】
このため、電気工事や制御用工事の削減のみならず部品数の削減や装置駆動用の電池の削減など、地球環境の保護にも貢献できる。
【0060】
当装置を信号機や警報灯の灯火現示状態を視覚障害者に向けて放送するシステムとして利用する場合には、既存の信号機や警報灯を改造する必要が無く、光エネルギーを発して表示する方式であればどの信号機や警報灯メーカーの灯火制御回路にも左右されることなく設置でき、点灯あるいは消灯の光の変化のみで放送の開始と停止制御ができる。
【0061】
近距離無線通信規格として簡易な情報の遣り取りをデジタル機器間で行う際に使用される2.4GHz帯のデジタル電波を受信して音声情報として微弱電波送信回路に渡す機能をコントロール回路に備えておけば当装置がデジタル通信内容をアナログFM電波に変換するコンバーターとして機能するので、事前に対応アプリを組み込ませたスマートフォンでしか聞くことが出来なかった高度化PICSの情報をFMラジオでも聞くことができる様になり、既に設置済の高度化PICS信号機を改造することなく機能改善できる効果がある。
【0062】
当装置を外国人向けの案内システムとして使う場合、予め国ごとの放送周波数又はチャンネルを決めて告知しておけば、日本特有の信号や警告灯、あるいは内照式観光案内灯などの現示内容を予め録音しておいたその国の言語で放送できる効果がある。
【0063】
使用する電波が微弱電波なので、受信可能範囲に係る電波出力を隣接設置の当装置と重複しない様に設定あるいは設置すれば、全国で最低1種類の周波数を事前広告しておけば最低限の機能は提供できる利点があり、例えば数種類のチャンネルを設定して事前告知しておけば歩行支援や観光案内や危険個所あるいは災害時の近隣避難場所などに関する情報を様々な国別の言葉で放送することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1は、本発明の回路構成概念図である。
図2図2は、本発明のFMラジオ放送帯微弱電波送信機(当装置)の四面イメージである。
図3図3は、当装置が脱落した場合などに送信を停止させる安全装置のイメージである。
図4図4は、当装置と、安全装置に使う凸形部品(プランジャー)のイメージである。
図5図5は、当装置の灯火現示内容放送用仕様とバリエーションのイメージである。
図6図6は、信号機等の灯火現示内容を放送する用途として設置したイメージである。
図7図7は、太陽電池部分を延長して踏切内に設置して運用するイメージである。
図8図8は、高度化PICSに対応させる場合のイメージである。
図9図9は、ショッピングセンターの売場や商品の説明用に活用するイメージである。
図10図10は、音声案内機能を持たない点字案内板に当装置を設置するイメージである。
図11図10は、センサー式ライトが設置された公共トイレ入口に設置するイメージである。
図12図11は、センサー式ライトが設置された用便室内のイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
簡単な操作で誰もが無料で聞けるFMラジオさえ持っていればその放送内容が聞けるFMラジオ放送帯の微弱電波送信機を使った情報提供システムを構築するに際して、当該送信機(当装置)の電源として太陽電池を使い電源工事を不要としたばかりではなく、従来は必ず電源回路に組み込まれていた送信機能安定用の蓄電機能あるいは補助電源を組み込まないことで光の強弱によって当装置の稼働及び停止制御を不要とし、簡単なシステム展開を可能とした。
【実施例0066】
図1は、番号1の当装置に組み込まれた回路の構成概念図であり、番号2の電源回路、番号4のコントロール回路、番号5の録音再生回路、番号6の微弱電波送信回路、及び設置場所や運用方法の拡大対応あるいは機能拡張などに対応するために番号7のインターフェイスを備えている。
【0067】
図1番号2の電源回路は、番号8の光源により発電する番号3の太陽電池と、この太陽電池が装置駆動用電力以上の発電をする場合には規定の電圧をコントロール回路に給電し、この太陽電池の発電が当装置駆動用電力に満たない場合にはコントロール回路に給電しないDC/DCコンバーターから成っている。
【0068】
図1番号4のコントロール回路は、当装置が本来の設置場所から脱落するなどした場合に不意に起動して誤った情報を送信することを回避するために電源を遮断する構造の図3の安全装置と、図1番号5の録音再生回路及び番号6の微弱電波送信回路を制御する装置、から成っている。
【0069】
このコントロール回路には、当装置が発射する主たる送出電波やスプリアスが緊急事態を伝える無線設備やアシスト用ラジオマイク設備、防災無線設備などに重大な障害を与えることの無い様に、これらの周波数の送信あるいは発生を回避し、行政や社会からの運用要請に応える必要が生じた場合には簡単・迅速に当該周波数の電波が発射できる周波数制御・開放機能が備わっているが、明らかに他の設備に障害を与える恐れが無い環境にて当装置を設置する場合にはこれを省いても良い。
【0070】
更に、このコントロール回路には2.4GHz帯のデジタル電波を受信、解析してアナログの音声信号化した内容を音声録音再生回路に渡す機能が備わっているので、事前に対応アプリを入れたスマートフォンでしか聞けなかった視覚障害者向け高度化PICS情報などをFMラジオでも聞ける様になるが、明らかに周辺に2.4GHz帯のデジタル電波の存在が無い環境にて当装置設置する場合にはこれを省いても良い。
【0071】
図1番号5の録音再生回路は、当装置を設置する際に内蔵マイクに向けて話しその場に見合った情報として録音し保持した内容、あるいは事前に録音して量産したROM(音声メモリ―)の内容、あるいはコントロール回路から渡された音声データなどを再生して番号6の微弱電波送信回路に渡す回路である。
【0072】
図1番号6の微弱電波送信回路は、図1番号5の録音再生回路からの音声データを、0002項から0006項に既述の通りFMラジオ放送帯微弱電波に乗せて送信する回路である。
【0073】
図1番号9は、当装置が発射するFMラジオ放送帯微弱電波、番号10は小型軽量型あるいは0029項で説明した白杖に内蔵されたFMラジオのイメージである。
【実施例0074】
図2は、番号1の当装置の表裏と側面から見たイメージであり、番号3は当装置の電源となる太陽電池、番号11は当装置が送信する周波数やチャンネルなどの状態を表示するディスプレイ、番号12は当装置を制御あるいは送信周波数を変更したり内蔵マイクで放送用のメッセージを録音する際に使うボタンなど各種スイッチ類、番号13は当装置が本来の設置場所から脱落したり移動した場合に送信を停止させる安全装置、番号14は当装置を設置する場所に固定するためのビス穴である。
【実施例0075】
図3は、図2番号13の安全装置の構造イメージである。
【0076】
図3-1は、当装置背面に設定された安全装置部分に組まれた番号16の安全装置用プッシュスイッチと、プッシュスイッチの棒状押しボタンを押して番号17の電源配線をつなぐ状態にするために凸部構造を持つ番号15のプランジャーが押し込まれた状態を表わしている。
【0077】
図3-2は、当装置が本来の設置場所から脱落したり移動した場合に、プランジャーによって押されていた棒状の押しボタンが押されなくなり、送信回路などへの給電用電源配線の接続が切られる状態を表わしている。
【0078】
図3-3は、番号15のプランジャーのイメージであり、安全装置として機能させる場合には予め当装置を設置する場所の番号16のプッシュスイッチの棒状押しボタンに当たる位置に接着剤もしくは番号18の皿木ネジで留め、安全装置として機能させる必要のない場所への設置時には安全装置自体を除外する仕様とするか、あるいは番号19の皿小ねじで予め図3-1の如く本体に固定して常に配線がつながった状態にしておく。
【実施例0079】
図4は、壁面や天井など広範囲から光を受けやすい場所に設置する番号1当装置の標準型外観イメージである。
【実施例0080】
図5は、一方向から選択受光する場合や、特殊な設置場所に対応する仕様としたイメージである。
【0081】
図5-1番号21は、信号灯や警報器など発光方式の表示器からの光を至近距離で選択受光するために他の方向からの入射光を遮る構造となっており、図4番号1の当装置の標準型と区別する為、便宜上、一体型現示内容送信機と呼ぶ。
【0082】
図5-2番号22は、信号灯や警報器など発光方式の表示器からの光を至近距離の正面から選択受光するために設置する場所が無い場合、あるいは受光する場所と微弱電波を送信する場所が離れている場合などに、電源部を分離して番号20の電源延長用配線でつなぐ構造となっており、同じく便宜上、分離型現示内容送信機と呼ぶ。
【0083】
図5-3番号23は、光による発電が困難な場所への設置や当装置の一斉送信など、番号28外部電源や制御信号装置を番号29外部電源及び制御線を通して受けてコントロール及び送信をする構造となっており、同じく便宜上、外部連携型送信機と呼ぶ。
【実施例0084】
図6は、歩行者用信号機や列車近接表示灯に当装置をつけて現示情報放送機として使うイメージである。
【0085】
図6-1は、縦型の歩行者用信号灯の青と赤に番号21の一体型現示内容送信機を各々つけて、各々の灯火が発光したら、番号24の微弱電波に乗せて、例えば「靖国通り方向の歩行者用信号は止まれです。」「昭和通り方向の歩行者用信号は青です。」や、東西方向を1チャンネル、南北方向を2チャンネルと区分けした上で、方面情報を着けた放送を行えば、歩行者にとって交差点の横断歩道方向が判断できるので安全に判断することができる。
【0086】
同じく、鉄道の駅施設などに設置された列車入線告知灯火に番号21一体型現示内容送信機や番号22分離型現示内容送信機をつけた場合のイメージである。
【0087】
図6-2は、縦型の歩行者用信号灯の現示内容を送信するに際し、当該表示灯では十分な起電力が得られない場合や、西日の影響で本来の制御性能が確保できない場合などに、番号25の信号機制御盤から信号灯点灯用の電源を分岐し、番号29の外部電源及び制御線として番号23外部連携型のインターフェイスに連結して機能させているイメージである。
【実施例0088】
図7は、踏切への設置例である。
【0089】
図7-1は、列車近接警報音は聞こえているが例えばどちら側から列車が来ているのか、あるいは、列車が通過しても別方向から新たに列車が来るのかなど、晴眼者には発光式矢印表示機などで即時確認できる方面別列車近接情報を番号22の分離型現示内容送信機、または番号23外部連携型送信機から放送するイメージである。
【0090】
更に、踏切施設への設置で特筆したいのは踏切半ばに設置する番号22分離型現示内容送信機、または番号23外部連携型送信機の設置運用方法である。
【0091】
令和4年4月に奈良県で視覚障害者が踏切警報器の鳴動には気付いていたにもかかわらず踏切中央部まで渡った後に引き返し踏切内遮断機手前で立ち止まったまま列車にはねられて死亡した事例があるが、これは踏切内に点字ブロックが無く警報器が鳴り始めた時に自分の居場所が分からず前後どちらに逃げればいいのかが分からなかったのではとの推論が出るなど、踏切内で警報が鳴ればパニックになり自分が踏切の内側に居るのか外側に居るのか、あるいはどちら側の出口が近いのかなどが分からなくなったためと考えられている。
【0092】
これを救うために有効と考えるのが踏切中央部あるいは、図7-2に例示する中央部と出入口方向の前後に設置した番号22分離型現示内容送信機または番号23外部連携型送信機である。
【0093】
信号の警報灯火前面に設置された番号3太陽電池から地中に張られた番号20電源延長用配線を通じて踏切内に設置された番号22分離型現示内容送信機、または番号26踏切制御盤あるいは図5-3番号28外部の電源や制御信号装置から地中に張られた番号29外部電源及び制御線を通じて踏切内に設置された番号23外部連携型送信機から、警報機の鳴動と同時に、番号24FMラジオ放送帯微弱電波の出力を制御し踏切外あるいは隣接設置の送信機の電波と干渉してしまうエリアまで届かない出力とした番号27極微弱なFM電波(図7-2番号24aまたは27a、および24bまたは27b、および24cまたは27c)に乗せて、例えば「ここは踏切内側のA商店街方面近くです。」「ここは踏切の内側中央付近です。早めに移動しましょう。」「ここは踏切内側のB大学方面近くです。」などと放送すれば、0091項同様事故の防止に有効である。
【実施例0094】
図8は、警察庁主導によりデジタル技術を駆使して開発展開され始めたが改善の余地がありその展開が順調に増えているとはいいがたい状況(0028項、0029項、0061項)となっている高度化PICSについて、2.4GHz帯のデジタル無線を受信するアプリをインストールしたスマートフォンでしかその情報が聞けなかった内容をFMラジオでも聞ける様にコンバートして放送する用に供する送信機として活用することで、PICS装置の改造をしないで利便性を向上させることに貢献する当装置の運用イメージである。
【0095】
図8-1は、歩行者用信号機と横断歩道への設置イメージであり、歩行者用信号青の位置に番号21一体型現示内容送信機(光量確保などが困難な場合には番号29外部電源及び制御線で接続された番号23外部連携型送信機、0096項でも同様)、横断歩道半ばの地表近くの地下に番号20電源延長用配線または番号29外部電源及び制御線で接続された番号22分離型現示内容送信機または番号23外部連携型送信機が設置してある。
【0096】
図8-2は、歩行者用信号の青灯火が点灯し、PICS装置から2.4GHz帯のデジタル式電波によって信号情報が送信されているイメージである。
【0097】
歩行者用信号青表示の点灯(または外部の電源や制御信号)により当装置が稼働するのだが、この時に当装置は2.4GHz帯のデジタル式電波によって送信されている番号30PICS情報を当装置のコントロール回路が受信し解析してアナログ音声に変換した内容をこの歩道の利用者の範囲に向けて電波遮蔽板などで集束させた番号24FMラジオ帯微弱電波で送信する。
【0098】
また、横断歩道半ば、あるいは横断距離の長い横断歩道については複数個所に設置した当装置を図7-2同様、横断歩道に於いて視覚障害者の立ち位置が把握できる様に運用すればポケットに入れあるいは白杖に組み込んだ番号10FMラジオを持つ利用者に安心と安全を提供できる。
【実施例0099】
図9は、ショッピングセンター内に当装置を多ヵ所設置して初来場の晴眼者や視覚障害者に対して夜が明けたり売場の照明が点いて営業開始となった時点で売場情報を提供するシステムとして運用するイメージである。
【0100】
図9-1番号31はエスカレーター前の床面に設置し視覚障害者に向けてエスカレーター稼働音を判断材料として上り下りレーンの左右を案内する内容を放送しており、番号32はエスカレーター稼働音を右または左に聞く情報を付加することで前後左右別の売場配置を音声で説明しており、番号33は点字案内板の点字に向かっている人に対して音声で売場配置を案内しており、番号34は個店別に吹き込んだ商品案内や特売情報を放送している。
【実施例0101】
0053項で説明の通り、視覚障害者の内、点字識字率が10%の実態に対応する為に音声案内付きの点字案内板が普及しているが、騒音問題で8割の視覚障害者用音響式信号機の夜間の運用が停止している状況と同じ背景で、音声案内付き点字案内板も普段は無音で、操作者が苦労してボタンの有無と位置を確認した後にボタンを押してはじめて音声が流れる方式などが市場投入されている。
【0102】
図10-1は、番号35点字が読めない視覚障害者が点字案内板の前で苦労しているイメージであり、図10-2は番号1標準型の当装置からの音声案内で安心している同人物のイメージである。
番号22分離型現示内容送信機または番号23外部連携型送信機である。
【実施例0103】
図11は、省エネ対応で普段は消灯しており人物が接近しトイレを利用しようとすると点灯する番号36人感センサー式照明灯が設置された公共トイレ入口に利用者が入口に立つと、番号1の当装置が男性トイレと女性トイレの配置などを放送し始めるイメージである。
【実施例0104】
晴眼者であれば、赤く表示された施錠表示によって他人が静かに利用していてもその用便室(トイレ個室)が使用中であることが分かるのだが、視覚障害者にとっては静かに使用中かもしれないトイレ個室のドアをノックして在室有無を確認することが負担になる場合がある。
【0105】
図12は、番号36人感センサー式照明灯が設置された用便室に設置された番号1の当装置が、利用者が居るので照明が点いている間は用便室前にFMラジオ放送帯微弱電波(複数の用便室が並んでいる場合には限られた範囲に集束させた極微弱電波)でトイレが使用中であることを放送するイメージである。
【符号の説明】
【0106】
1 当装置
2 電源回路
3 太陽電池
4 コントロール回路
5 録音再生回路
6 微弱電波送信回路
7 インターフェイス
8 光源
9 微弱電波
10 FMラジオ
11 ディスプレイ
12 各種スイッチ類
13 安全装置
14 ビス穴
15 プランジャー
16 プッシュスイッチ
17 電源配線
18 皿木ネジ
19 皿小ネジ
20 電源延長用配線
21 一体型現示内容送信機
22 分離型現示内容送信機
23 外部連携型送信機
24 FMラジオ帯微弱電波
25 信号機制御盤
26 踏切制御盤
27 極微弱なFM電波
28 外部の電源や制御信号装置
29 外部電源及び制御線
30 PICS情報
31 エスカレーターの上り下りレーンの左右を案内する放送
32 前後左右別の売場配置を説明する放送
33 売場配置の案内放送
34 商品案内や特売情報の放送
35 点字が読めない視覚障害者
36 人感センサー式照明灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12