IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝三菱電機産業システム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-分散型電源システム 図1
  • 特開-分散型電源システム 図2
  • 特開-分散型電源システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008055
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】分散型電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109571
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】木山 徹
(72)【発明者】
【氏名】脇 昌裕
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA10
5G066HA15
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】急峻な負荷変動が発生した際にも、電力系統側への逆潮流の発生を抑制できる全量自家消費型の分散型電源システムを提供する。
【解決手段】分散型電源と、分散型電源から供給された電力を負荷に対応した交流電力に変換する電力変換装置と、電力変換装置による電力の変換の動作を制御する制御装置と、逆潮流の発生の検知に応じて電力変換装置の動作を停止させる逆電力継電器と、を備え、電力変換装置の制御部は、追従制御用の制御信号の入力を受けると、入力された追従制御用の制御信号に基づく電力を出力させるように、変換回路の動作を制御することにより、追従制御を実行し、危急制御用の制御信号の入力を受けると、予め決められた所定の電力を出力させるように、変換回路の動作を制御することにより、危急制御を実行する分散型電源システムが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統及び負荷に接続され、分散型電源で発電された電力を前記負荷に供給することにより、前記電力系統から前記負荷への買電を抑制する全量自家消費型の分散型電源システムであって、
発電を行うとともに、発電した電力の供給を行う分散型電源と、
前記分散型電源から供給された電力を前記負荷に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記負荷に供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置による電力の変換の動作を制御する制御装置と、
前記電力変換装置から前記電力系統側に向かう逆潮流の検知を行い、逆潮流の発生の検知に応じて、前記負荷に交流電力を出力する前記電力変換装置の動作を停止させる逆電力継電器と、
を備え、
前記制御装置は、前記逆電力継電器によって逆潮流の発生が検知されていない状態において、前記負荷で必要とされている電力の大きさを表す負荷消費電力の情報と、前記電力変換装置から前記負荷に供給される電力の大きさを表す前記電力変換装置の出力電力の情報と、を取得し、前記負荷消費電力から前記出力電力を差し引いた差分が所定値以上である場合には、前記負荷消費電力から設定値を差し引いた値を前記電力変換装置の出力電力とする追従制御用の制御信号を前記電力変換装置に入力し、前記負荷消費電力から前記出力電力を差し引いた差分が前記所定値未満である場合には、前記電力変換装置の出力電力を制限する危急制御用の制御信号を前記電力変換装置に入力し、
前記電力変換装置は、
前記分散型電源から供給された電力を前記負荷に対応した交流電力に変換する変換回路と、
前記変換回路による電力の変換の動作を制御する制御部と、
前記制御装置と通信を行うことにより、前記制御装置から前記追従制御用の制御信号の入力を受け、入力された前記追従制御用の制御信号を前記制御部に入力する通信部と、
前記通信部による通信よりも高速に前記制御装置から前記危急制御用の制御信号の入力を受けることを可能とし、入力された前記危急制御用の制御信号を前記制御部に入力する入力部と、
を有し、
前記電力変換装置の前記制御部は、前記通信部を介して前記追従制御用の制御信号の入力を受けると、入力された前記追従制御用の制御信号に基づく電力を出力させるように、前記変換回路の動作を制御することにより、前記追従制御を実行し、前記入力部を介して前記危急制御用の制御信号の入力を受けると、予め決められた所定の電力を出力させるように、前記変換回路の動作を制御することにより、前記危急制御を実行する分散型電源システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記電力変換装置の出力電力を第1制限値に制限する第1危急処理と、前記電力変換装置の出力電力を前記第1制限値よりも低い第2制限値に制限する第2危急処理と、を前記危急制御として有し、前記危急制御において、前記電力変換装置の現在の出力電力が、閾値以上である場合には、前記第1危急処理の実行を指示する第1危急処理の制御信号を前記危急制御用の制御信号として前記電力変換装置に入力し、前記閾値未満である場合には、前記第2危急処理の実行を指示する第2危急処理の制御信号を前記危急制御用の制御信号として前記電力変換装置に入力し、
前記電力変換装置の前記制御部は、前記第1危急処理の制御信号の入力を受けると、前記第1制限値の電力を出力させるように、前記変換回路の動作を制御し、前記第2危急処理の制御信号の入力を受けると、前記第2制限値の電力を出力させるように、前記変換回路の動作を制御する請求項1記載の分散型電源システム。
【請求項3】
前記制御装置は、2本の信号線を介して前記入力部と接続され、前記第1危急処理の制御信号を前記2本の信号線の一方を介して前記入力部に入力し、前記第2危急処理の制御信号を前記2本の信号線の他方を介して前記入力部に入力する請求項2記載の分散型電源システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記危急制御を実行した後、前記危急制御の開始から所定時間経過したことに応じて前記危急制御を停止する請求項1記載の分散型電源システム。
【請求項5】
前記逆電力継電器は、信号線を介して前記入力部と接続され、逆潮流の発生の検知に応じて検知信号を前記入力部に入力することにより、前記電力変換装置の動作を停止させる請求項1~4のいずれか1つに記載の分散型電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、分散型電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電機、風力発電機、地熱発電機などの分散型電源を用いた全量自家消費型の分散型電源システムが知られている。分散型電源システムは、分散型電源の発電電力を負荷に応じた電力に変換し、変換後の電力を負荷に供給する電力変換装置を備える。
【0003】
全量自家消費型の分散型電源システムでは、分散型電源の発電電力を最大限に活用し、電力系統からの買電を抑えることが望ましい。このため、電力変換装置は、負荷での消費電力に応じて、電力系統からの受電電力(買電)が設定値で一定となるように、分散型電源から負荷に供給する電力を制御する追従制御を行う。これにより、分散型電源から電力系統側への逆潮流の発生を抑制しつつ、電力系統からの買電を抑制することができる。
【0004】
しかしながら、上記のような追従制御を行う電力変換装置においても、追従制御によって追従することができない急峻な負荷変動が発生した際に、電力系統側への逆潮流が発生し、電力変換装置が動作を停止してしまう場合がある。電力変換装置が動作を停止した場合には、作業員が電力変換装置まで赴いて復帰の作業を行わなければならないなど、電力変換装置の再起動に時間がかかってしまう虞がある。そして、電力変換装置が停止している状態でも負荷への電力供給が必要な場合には、電力変換装置が再起動するまで、負荷で必要となる電力の全てを電力系統側から供給しなければならず、電力系統からの買電量が増加してしまう。
【0005】
このため、全量自家消費型の分散型電源システムでは、急峻な負荷変動が発生した際にも、電力系統側への逆潮流の発生を抑制できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-88135号公報
【特許文献2】特許第6950060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、急峻な負荷変動が発生した際にも、電力系統側への逆潮流の発生を抑制できる全量自家消費型の分散型電源システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、電力系統及び負荷に接続され、分散型電源で発電された電力を前記負荷に供給することにより、前記電力系統から前記負荷への買電を抑制する全量自家消費型の分散型電源システムであって、発電を行うとともに、発電した電力の供給を行う分散型電源と、前記分散型電源から供給された電力を前記負荷に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記負荷に供給する電力変換装置と、前記電力変換装置による電力の変換の動作を制御する制御装置と、前記電力変換装置から前記電力系統側に向かう逆潮流の検知を行い、逆潮流の発生の検知に応じて、前記負荷に交流電力を出力する前記電力変換装置の動作を停止させる逆電力継電器と、を備え、前記制御装置は、前記逆電力継電器によって逆潮流の発生が検知されていない状態において、前記負荷で必要とされている電力の大きさを表す負荷消費電力の情報と、前記電力変換装置から前記負荷に供給される電力の大きさを表す前記電力変換装置の出力電力の情報と、を取得し、前記負荷消費電力から前記出力電力を差し引いた差分が所定値以上である場合には、前記負荷消費電力から設定値を差し引いた値を前記電力変換装置の出力電力とする追従制御用の制御信号を前記電力変換装置に入力し、前記負荷消費電力から前記出力電力を差し引いた差分が前記所定値未満である場合には、前記電力変換装置の出力電力を制限する危急制御用の制御信号を前記電力変換装置に入力し、前記電力変換装置は、前記分散型電源から供給された電力を前記負荷に対応した交流電力に変換する変換回路と、前記変換回路による電力の変換の動作を制御する制御部と、前記制御装置と通信を行うことにより、前記制御装置から前記追従制御用の制御信号の入力を受け、入力された前記追従制御用の制御信号を前記制御部に入力する通信部と、前記通信部による通信よりも高速に前記制御装置から前記危急制御用の制御信号の入力を受けることを可能とし、入力された前記危急制御用の制御信号を前記制御部に入力する入力部と、を有し、前記電力変換装置の前記制御部は、前記通信部を介して前記追従制御用の制御信号の入力を受けると、入力された前記追従制御用の制御信号に基づく電力を出力させるように、前記変換回路の動作を制御することにより、前記追従制御を実行し、前記入力部を介して前記危急制御用の制御信号の入力を受けると、予め決められた所定の電力を出力させるように、前記変換回路の動作を制御することにより、前記危急制御を実行する分散型電源システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
急峻な負荷変動が発生した際にも、電力系統側への逆潮流の発生を抑制できる全量自家消費型の分散型電源システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る太陽光発電システムを模式的に表すブロック図である。
図2】実施形態に係る太陽光発電システムの動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図3】実施形態に係る太陽光発電システムの動作の一例を模式的に表すグラフである。
【0011】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る太陽光発電システムを模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、太陽光発電システム10(分散型電源システム)は、太陽光パネル12(分散型電源)と、電力変換装置14と、制御装置16と、監視装置18と、受電盤20と、電力計22と、を備える。
【0013】
太陽光発電システム10は、電力系統2及び負荷4に接続される。太陽光発電システム10は、太陽光パネル12で発電された電力を負荷4に供給することにより、電力系統2から負荷4への買電を抑制する全量自家消費型のシステムである。電力系統2の電力は、交流電力である。負荷4は、交流負荷である。負荷4は、換言すれば、需要家である。
【0014】
太陽光パネル12は、発電を行うとともに、発電した電力の供給を行う。太陽光パネル12は、光起電力効果を利用し、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換することにより、発電を行う。太陽光パネル12の発電電力は、直流電力である。太陽光パネル12は、発電した直流電力を電力変換装置14に供給する。
【0015】
電力変換装置14は、太陽光パネル12と接続されるとともに、変圧器6や構内系統8などを介して負荷4と接続される。電力変換装置14は、太陽光パネル12から供給された電力を負荷4に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を負荷4に供給する。
【0016】
負荷4は、電力変換装置14と接続されるとともに、構内系統8及び受電盤20などを介して電力系統2と接続される。負荷4は、太陽光パネル12の発電電力の供給を電力変換装置14から受けるとともに、必要な電力に対して太陽光パネル12の発電電力では足りない分の電力の供給を電力系統2から受ける。電力変換装置14は、太陽光パネル12の発電電力を最大限に活用できるようにすることにより、電力系統2からの買電を抑えられるようにする。
【0017】
制御装置16は、電力変換装置14による電力の変換の動作を制御する。監視装置18は、電力変換装置14及び制御装置16の動作を監視する。監視装置18は、例えば、電力変換装置14及び制御装置16から種々の情報を取得し、取得した情報の表示などを行うことにより、電力変換装置14及び制御装置16が正常に動作しているか否かを、太陽光発電システム10の管理者などが監視できるようにする。
【0018】
受電盤20は、電力系統2と負荷4との間に設けられる。受電盤20は、例えば、電力系統2と構内系統8との間に設けられる。電力系統2の交流電力は、受電盤20を介して構内系統8及び負荷4に供給される。
【0019】
電力計22は、負荷4に供給される電力を計測する。換言すれば、電力計22は、負荷4で必要とされている電力を計測する。電力計22は、例えば、通信線30を介して受電盤20と接続されている。電力計22は、通信線30を介して受電盤20と通信を行うことにより、負荷4に供給される電力の計測結果を受電盤20に入力する。
【0020】
受電盤20は、例えば、電力計24と、逆電力継電器26(RPR:Reverse Power Relay)と、を有する。電力計24は、電力系統2から負荷4に供給される電力を計測する。電力系統2から負荷4に供給される電力は、換言すれば、負荷4で必要な電力と太陽光パネル12側から負荷4に供給される電力との差分の電力である。
【0021】
受電盤20は、例えば、通信線31を介して制御装置16と接続されている。受電盤20は、通信線31を介して制御装置16と通信を行うことにより、電力計22の計測結果及び電力計24の計測結果を制御装置16に入力する。なお、電力計22の計測結果は、例えば、受電盤20を介することなく、電力計22から制御装置16に直接的に入力してもよい。
【0022】
逆電力継電器26は、電力変換装置14から電力系統2側に向かう逆潮流の検知を行う。電力変換装置14は、変圧器6、構内系統8、及び受電盤20などを介して電力系統2と接続される。このため、太陽光パネル12の発電電力が負荷4で消費される電力よりも大きくなった場合には、電力変換装置14の出力電力の一部が、電力系統2側に流れてしまう可能性がある。逆電力継電器26は、こうした逆潮流の発生を検知し、逆潮流を抑制する動作を行う。
【0023】
逆電力継電器26は、信号線40を介して電力変換装置14と接続されるとともに、信号線41を介して制御装置16と接続されている。逆電力継電器26は、逆潮流の発生の検知に応じて、検知信号を電力変換装置14及び制御装置16に入力する。逆電力継電器26は、例えば、逆潮流の状態が所定時間以上継続された場合に、検知信号を電力変換装置14及び制御装置16に入力する。換言すれば、逆電力継電器26は、例えば、逆潮流の状態が所定時間以上継続された場合に、逆潮流の発生を検知する。所定時間は、例えば、0.5秒以上2秒以下程度の時間である。
【0024】
電力変換装置14及び制御装置16は、検知信号の入力に応じて、負荷4に交流電力を出力する動作を停止する。このように、逆電力継電器26は、逆潮流の検知を行い、逆潮流の発生の検知に応じて、負荷4に交流電力を出力する電力変換装置14の動作を停止させる。これにより、逆電力継電器26は、電力系統2側に逆潮流の電力が流れ続けてしまうことを抑制する。換言すれば、逆電力継電器26は、電力変換装置14の動作を停止させる動作を、逆潮流を抑制する動作として行う。
【0025】
逆電力継電器26は、例えば、電力系統2との接続を開閉する遮断器を有してもよい。逆電力継電器26は、逆潮流の発生の検知に応じて電力変換装置14の動作を停止させるとともに、遮断器を開放することにより、逆潮流を抑制してもよい。逆潮流を抑制する動作は、電力変換装置14の動作を停止させるとともに、遮断器を開放する動作でもよい。なお、逆電力継電器26は、必ずしも受電盤20に設けなくてもよい。逆電力継電器26は、受電盤20とは別に設けてもよい。
【0026】
電力変換装置14は、変換回路50と、制御部51と、通信部52、53と、入力部54と、を有する。
【0027】
変換回路50は、太陽光パネル12から供給された電力を負荷4に対応した交流電力に変換する回路である。変換回路50は、例えば、インバータ回路である。制御部51は、変換回路50による電力の変換の動作を制御する。
【0028】
通信部52は、制御部51と接続されるとともに、通信線32を介して制御装置16と接続される。通信部52は、通信線32を介して制御装置16と通信を行う。制御装置16は、電力変換装置14の動作を制御するための制御信号を通信線32を介して通信部52に入力する。通信部52は、制御装置16と通信を行うことにより、制御装置16から制御信号の入力を受け、入力された制御信号を制御部51に入力する。制御部51は、通信部52から入力された制御信号に基づいて、変換回路50の動作を制御する。これにより、制御装置16から入力された制御信号に応じて、変換回路50(電力変換装置14)から出力される交流電力を制御することができる。
【0029】
通信部53は、制御部51と接続されるとともに、通信線33を介して制御装置16及び監視装置18と接続される。通信部53は、通信線33を介して制御装置16及び監視装置18と通信を行う。
【0030】
制御部51は、通信部53及び通信線33を介して監視装置18と通信を行うことにより、電力変換装置14の動作を監視装置18で監視するための情報を監視装置18に送信する。制御装置16は、通信線33を介して監視装置18と通信を行うことにより、制御装置16の動作を監視装置18で監視するための情報を監視装置18に送信する。このように、監視装置18は、通信線33を介して電力変換装置14及び制御装置16と通信を行うことにより、電力変換装置14及び制御装置16の動作を監視する。通信部52は、制御用に用いられる通信部であり、通信部53は、監視用に用いられる通信部である。なお、電力変換装置14において、制御用の通信及び監視用の通信は、1つの通信部で行ってもよい。
【0031】
入力部54は、信号線40を介して逆電力継電器26と接続されるとともに、2本の信号線42、43を介して制御装置16と接続される。また、入力部54は、制御部51と接続される。
【0032】
入力部54は、信号線40を介して逆電力継電器26から入力される逆潮流の発生の検知信号を制御部51に入力する。制御部51は、入力部54からの検知信号の入力に応じて、変換回路50による電力の変換の動作を停止させる。このように、逆電力継電器26は、例えば、信号線40を介して入力部54と接続され、逆潮流の発生の検知に応じて検知信号を入力部54に入力することにより、電力変換装置14の動作を停止させる。これにより、上記のように、逆電力継電器26による逆潮流の発生の検知に応じて電力変換装置14の動作を停止させ、電力系統2側への逆潮流を抑制することができる。
【0033】
入力部54は、信号線42、43を介して制御装置16から入力される制御信号を制御部51に入力する。制御部51は、入力部54から入力された制御信号に基づいて、変換回路50による電力の変換の動作を制御する。すなわち、制御部51は、通信部52を介して入力された制御信号又は入力部54を介して入力された制御信号に基づいて、変換回路50による電力の変換の動作を制御する。
【0034】
制御装置16は、通信線31を介して受電盤20と通信を行うことにより、電力計22の計測結果を基に、負荷4で必要とされている電力の大きさを表す負荷消費電力の情報を取得するとともに、電力計24の計測結果を基に、電力系統2から負荷4に供給される電力の大きさ(買電量)を表す受電電力の情報を取得する。
【0035】
また、制御装置16は、通信線32又は通信線33を介して電力変換装置14と通信を行うことにより、電力変換装置14から負荷4に供給される電力(発電電力)の大きさを表す電力変換装置14の出力電力の情報を取得する。
【0036】
但し、負荷消費電力の情報、受電電力の情報、及び出力電力の情報の取得方法は、上記に限ることなく、制御装置16において各情報を適切に取得可能な任意の方法でよい。また、負荷消費電力、受電電力、及び出力電力の大きさとは、より詳しくは、交流電力である各電力の実効値の大きさである。
【0037】
制御装置16は、取得した負荷消費電力の情報及び出力電力の情報を基に、負荷消費電力と、出力電力と、の差分を演算する。制御装置16は、電力変換装置14の出力電力が、負荷消費電力よりも所定値以上低い場合に、電力系統2から負荷4に供給する受電電力が設定値で一定となるように、電力変換装置14の出力電力を制御する追従制御を行う。換言すれば、制御装置16は、負荷消費電力から出力電力を差し引いた差分が所定値以上である場合に、追従制御を行う。
【0038】
制御装置16は、追従制御を行う場合には、例えば、負荷消費電力から設定値を差し引いた値を電力変換装置14の出力電力とする追従制御用の制御信号を生成し、生成した追従制御用の制御信号を通信線32を介して電力変換装置14に入力する。
【0039】
電力変換装置14の制御部51は、通信線32及び通信部52を介して追従制御用の制御信号の入力を受けると、入力された追従制御用の制御信号に基づく電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御することにより、追従制御を実行する。これにより、太陽光パネル12の発電電力が、追従制御用の制御信号に基づく電力以上である場合には、追従制御用の制御信号に基づく電力を電力変換装置14から出力することができ、電力系統2からの受電電力を設定値で一定となるように制御することができる。
【0040】
一方、制御装置16は、負荷消費電力から出力電力を差し引いた差分が所定値未満である場合には、電力変換装置14の出力電力を制限する危急制御を行う。追従制御を行うか危急制御を行うかを判定するための所定値は、例えば、追従制御における受電電力の設定値以下に設定される。所定値は、設定値と同じでもよいし、設定値より低くてもよい。所定値は、設定値以下の任意の値でよい。
【0041】
負荷消費電力から出力電力を差し引いた差分が所定値未満となった場合には、負荷4の消費電力の急変などにより、追従制御による電力変換装置14の出力電力の制御では間に合わず、電力変換装置14の出力電力が、負荷消費電力よりも大きい状態となる方向に向かっていると考えられる。換言すれば、負荷消費電力から出力電力を差し引いた差分が所定値未満となった場合には、逆潮流の発生する方向に向かっていると考えられる。このため、制御装置16は、危急制御を行い、電力変換装置14の出力電力を制限し、所定の制限値まで電力変換装置14の出力電力を低減させる。これにより、電力変換装置14及び制御装置16は、逆潮流の発生を抑制する。
【0042】
制御装置16は、電力変換装置14の出力電力を第1制限値に制限する第1危急処理と、電力変換装置14の出力電力を第1制限値よりも低い第2制限値に制限する第2危急処理と、を危急制御として有する。制御装置16は、危急制御において、電力変換装置14の現在の出力電力が、閾値以上か否かを判定する。制御装置16は、閾値以上である場合には、第1危急処理の実行を指示する第1危急処理の制御信号を危急制御用の制御信号として信号線42を介して入力部54に入力する。一方、制御装置16は、閾値未満である場合には、第2危急処理の実行を指示する第2危急処理の制御信号を危急制御用の制御信号として信号線43を介して入力部54に入力する。制御装置16は、2本の信号線42、43を介して入力部54と接続され、第1危急処理の制御信号を2本の信号線42、43の一方の信号線42を介して入力部54に入力し、第2危急処理の制御信号を2本の信号線42、43の他方の信号線43を介して入力部54に入力する。
【0043】
電力変換装置14の入力部54は、通信部52、53による通信よりも高速に制御装置16から危急制御用の制御信号の入力を受けることを可能とし、入力された危急制御用の制御信号を制御部51に入力する。
【0044】
電力変換装置14の制御部51は、入力部54を介して危急制御用の制御信号の入力を受けると、予め決められた所定の電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御することにより、危急制御を実行する。制御部51は、信号線42及び入力部54を介して第1危急処理の制御信号の入力を受けると、第1制限値の電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御する。同様に、制御部51は、信号線43及び入力部54を介して第2危急処理の制御信号の入力を受けると、第2制限値の電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御する。
【0045】
第1制限値は、例えば、電力変換装置14(変換回路50)の定格出力の20%程度に設定される。第2制限値は、例えば、電力変換装置14の定格出力の5%程度に設定される。但し、第1制限値は、上記に限ることなく、逆潮流の発生を抑制可能な任意の値でよい。第2制限値は、上記に限ることなく、第1制限値よりも低い任意の値でよい。
【0046】
制御部51は、第1危急処理の制御信号又は第2危急処理の制御信号の入力を受けた場合には、追従制御用の制御信号よりも優先させて第1危急処理の制御又は第2危急処理の制御を実行する。
【0047】
制御装置16は、第1危急処理の制御信号を電力変換装置14に入力した後、例えば、第1危急処理の制御が行われ、負荷消費電力から出力電力を差し引いた差分が所定値以上となったことに応じて、第1危急処理の制御信号の入力を停止する。同様に、制御装置16は、第2危急処理の制御信号を電力変換装置14に入力した後、例えば、第2危急処理の制御が行われ、負荷消費電力から出力電力を差し引いた差分が所定値以上となったことに応じて、第2危急処理の制御信号の入力を停止する。
【0048】
電力変換装置14の制御部51は、第1危急処理の制御又は第2危急処理の制御を行った場合、例えば、第1危急処理の制御又は第2危急処理の制御を所定時間行った後、追従制御に戻る。換言すれば、制御部51は、危急制御を実行した後、危急制御の開始から所定時間経過したことに応じて危急制御を停止する。この場合、制御部51は、例えば、第1制限値又は第2制限値の電力から追従制御用の制御信号に基づく電力まで所定の変化率で徐々に出力電力を変化させる。これにより、例えば、急激な出力電力の変化によって、再び逆潮流の状態に近付いてしまうことを抑制することができる。
【0049】
通信線30~33による通信では、通信部52、53などの通信回路が必要となる。通信線30~33による通信では、例えば、電力変換装置14の出力電力の大きさを表す追従制御用の制御信号など、種々の情報の送受を行うことができる。反面、通信線30~33による通信では、通信部52、53などの処理にともなう通信の遅れが発生してしまう。通信線30~33による通信は、例えば、EthernetやRS485などの通信規格に準拠した通信である。換言すれば、通信部52、53は、所定の通信規格に準拠した通信回路である。
【0050】
信号線40~43による通信では、例えば、逆潮流の検知信号の入力及び入力の停止、第1危急処理の制御信号の入力及び入力の停止などのように、二値の状態の入力のみしか行うことができない。検知信号は、例えば、逆潮流の検知状態と、非検知状態と、の2つの状態を有する信号である。第1危急処理の制御信号は、例えば、第1危急処理の実行を指示する状態と、第1危急処理の停止を指示する状態と、の2つの状態を有する信号である。反面、信号線40~43による通信では、例えば、通信部の処理などによる通信の遅れを抑制し、通信線30~33による通信と比べてより高速に各信号の入力を行うことができる。信号線40~43による通信は、例えば、リレーなどの接点のオンオフの切り替えによる通信である。入力部54は、通信部52、53による通信よりも高速な接点入力を使用する回路である。入力部54は、例えば、入出力端子(IO端子)である。信号線40~43は、例えば、ハードワイヤである。
【0051】
太陽光発電システム10では、通信線30~33を用いた通信によって追従制御を行う。一方で、逆電力継電器26による逆潮流の検知にともなう電力変換装置14の動作の停止、及び危急制御の実行には、信号線40~43による通信を用いる。これにより、逆潮流の検知にともなう電力変換装置14の動作の停止、及び危急制御の実行は、通信線30~33を用いた通信よりも高速に行うことができる。このように、太陽光発電システム10は、逆潮流の検知にともなう電力変換装置14の動作の停止、及び危急制御の実行に、通信線30~33を用いた通信よりも高速な接点入力を使用する。
【0052】
図2は、実施形態に係る太陽光発電システムの動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図3は、実施形態に係る太陽光発電システムの動作の一例を模式的に表すグラフである。
太陽光発電システム10では、逆電力継電器26が、電力変換装置14から電力系統2側に向かう逆潮流の検知を行う(図2のステップS101)。逆電力継電器26は、逆潮流の発生の検知に応じて、検知信号を電力変換装置14及び制御装置16に入力する。
【0053】
電力変換装置14及び制御装置16は、検知信号の入力に応じて、負荷4に交流電力を出力する動作を停止する(図2のステップS102)。これにより、電力系統2側に逆潮流の電力が流れ続けてしまうことを抑制することができる。なお、電力変換装置14が検知信号の入力に応じて動作を停止した場合には、例えば、作業員が電力変換装置14まで赴いて復帰の作業を行わなければならず、電力変換装置14の再起動に時間がかかってしまう可能性がある。
【0054】
制御装置16は、逆電力継電器26によって逆潮流の発生が検知されていない状態において、負荷消費電力、受電電力、及び出力電力の各情報の取得を行う(図2のステップS103)。制御装置16は、例えば、通信線31を介して受電盤20と通信を行うことにより、負荷消費電力の情報及び受電電力の情報を受電盤20から取得し、出力電力の情報を電力変換装置14から取得する。なお、制御装置16は、必ずしも受電電力の情報を取得しなくてもよい。制御装置16は、少なくとも負荷消費電力の情報及び出力電力の情報を取得すればよい。
【0055】
制御装置16は、各情報を取得した後、負荷急変が有ったか否かを判定する(図2のステップS104)。制御装置16は、例えば、負荷消費電力から出力電力を差し引いた差分が所定値以上である場合に、負荷急変無し(負荷4の消費電力が急変していない)と判定し、負荷消費電力から出力電力を差し引いた差分が所定値未満である場合に、負荷急変有り(負荷4の消費電力が急変した)と判定する。
【0056】
制御装置16は、負荷急変無しと判定した場合には、負荷消費電力から設定値を差し引いた値を電力変換装置14の出力電力とする追従制御用の制御信号を生成し、生成した追従制御用の制御信号を通信線32を介して電力変換装置14に入力する(図2のステップS105)。
【0057】
電力変換装置14の制御部51は、通信線32及び通信部52を介して追従制御用の制御信号の入力を受けると、入力された追従制御用の制御信号に基づく電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御することにより、追従制御を実行する(図2のステップS106)。
【0058】
制御部51が追従制御を実行している際に、太陽光パネル12の発電電力が、追従制御用の制御信号に基づく電力よりも低い場合には、太陽光パネル12の発電電力に基づく電力が、変換回路50(電力変換装置14)から出力される(例えば、図3に表した区間P1及び区間P6)。
【0059】
制御部51が追従制御を実行している際に、太陽光パネル12の発電電力が、追従制御用の制御信号に基づく電力以上である場合には、追従制御用の制御信号に基づく電力が、変換回路50(電力変換装置14)から出力される(例えば、図3に表した区間P3及び区間P5)。これにより、電力系統2からの受電電力を設定値で一定となるように制御することができる。
【0060】
制御装置16は、ステップS104の処理において、負荷急変有りと判定した場合には、電力変換装置14の現在の出力電力が、閾値以上か否かの判定を続けて行う(図2のステップS107)。
【0061】
制御装置16は、出力電力が閾値未満であると判定した場合には、電力変換装置14の出力電力を第1制限値よりも低い第2制限値に制限する第2危急処理の実行を指示する第2危急処理の制御信号を信号線43を介して入力部54に入力する。
【0062】
電力変換装置14の制御部51は、信号線43及び入力部54を介して第2危急処理の制御信号の入力を受けると、第2制限値の電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御することにより、第2危急処理を実行する(図2のステップS108)。これにより、出力電力が閾値未満である場合には、第2制限値の電力が、変換回路50(電力変換装置14)から出力される(例えば、図3に表した区間P2)。制御部51は、例えば、第2危急処理の制御を所定時間実行した後、第2危急処理の制御を停止する。換言すれば、制御部51は、第2危急処理の制御を実行した後、第2危急処理の制御の開始から所定時間経過したことに応じて第2危急処理の制御を停止する。
【0063】
制御装置16は、ステップS107の処理において、出力電力が閾値以上であると判定した場合には、電力変換装置14の出力電力を第1制限値に制限する第1危急処理の実行を指示する第1危急処理の制御信号を信号線42を介して入力部54に入力する。
【0064】
電力変換装置14の制御部51は、信号線42及び入力部54を介して第1危急処理の制御信号の入力を受けると、第1制限値の電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御することにより、第1危急処理を実行する(図2のステップS109)。これにより、出力電力が閾値以上である場合には、第1制限値の電力が、変換回路50(電力変換装置14)から出力される(例えば、図3に表した区間P4)。制御部51は、例えば、第1危急処理の制御を所定時間実行した後、第1危急処理の制御を停止する。換言すれば、制御部51は、第1危急処理の制御を実行した後、第1危急処理の制御の開始から所定時間経過したことに応じて第1危急処理の制御を停止する。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態に係る太陽光発電システム10では、電力変換装置14の制御部51が、入力部54を介して危急制御用の制御信号の入力を受けると、予め決められた所定の電力を出力させるように、変換回路50の動作を制御することにより、危急制御を実行する。前述のように、逆電力継電器26は、逆潮流の状態が所定時間以上継続された場合に、逆潮流の発生を検知する。このため、上記のように、入力部54を用いた高速な通信によって制御部51に危急制御用の制御信号を入力し、危急制御用の制御信号の入力に応じて危急制御を実行し、電力変換装置14の出力電力を制限することにより、追従制御での追従が間に合わない急峻な負荷変動が発生した際にも、電力系統2側への逆潮流の発生を抑制することができる。すなわち、逆電力継電器26が逆潮流の発生を検知するよりも前に電力変換装置14の出力電力を制限することを可能とし、逆潮流の発生による電力変換装置14の動作の停止を抑制することができる。これにより、電力変換装置14の動作の停止にともなう電力系統2からの買電量の増加を抑制することができる。電力変換装置14の動作の停止により、太陽光パネル12で発電された電力を負荷4に供給できなくなってしまうことを抑制し、太陽光パネル12の発電電力をより有効に活用することができる。
【0066】
太陽光発電システム10では、制御装置16が、電力変換装置14の出力電力を第1制限値に制限する第1危急処理と、電力変換装置14の出力電力を第1制限値よりも低い第2制限値に制限する第2危急処理と、を危急制御として有し、電力変換装置14の現在の出力電力が、閾値以上である場合には、第1危急処理を電力変換装置14に実行させ、閾値未満である場合には、第2危急処理を電力変換装置14に実行させる。
【0067】
このように、電力変換装置14の現在の出力電力に応じて危急制御において制限する電力の値を変化させることにより、例えば、危急制御において電力変換装置14から負荷4に供給する電力を過度に制限してしまうことを抑制することができる。これにより、例えば、太陽光パネル12の発電電力をより有効に活用することができる。
【0068】
なお、危急制御は、第1危急処理及び第2危急処理の2段階の制御に限ることなく、1段階の制御でもよいし、3段階以上の制御としてもよい。但し、危急制御において電力を制限する段階を過度に多くすると、危急制御を行っても電力の制限量が不足し、逆潮流が発生してしまうことが懸念される。また、制御装置16と入力部54との間を接続する信号線の本数が増えてしまうことも懸念される。このため、危急制御において電力を制限する段階は、上記のように、2段階程度とすることが好適である。
【0069】
太陽光発電システム10では、制御装置16が、2本の信号線42、43を介して入力部54と接続され、第1危急処理の制御信号を2本の信号線42、43の一方の信号線42を介して入力部54に入力し、第2危急処理の制御信号を2本の信号線42、43の他方の信号線43を介して入力部54に入力する。これにより、例えば、通信線30~33を用いた通信よりも高速な接点入力による通信を行いやすくすることができる。但し、入力部54の構成は、必ずしも接点入力による通信を行う構成に限るものではない。入力部54の構成は、通信部52、53による通信よりも高速に制御装置16から危急制御用の制御信号の入力を受けることが可能な任意の構成でよい。制御装置16と入力部54とを接続する信号線の本数は、2本に限ることなく、1本でもよい。
【0070】
太陽光発電システム10では、制御部51が、危急制御を実行した後、危急制御の開始から所定時間経過したことに応じて危急制御を停止する。これにより、例えば、危急制御の停止により、再び逆潮流の状態に近付いてしまうことを抑制することができる。また、制御部51は、例えば、危急制御を停止した後、危急制御の電力から追従制御用の制御信号に基づく電力まで所定の変化率で徐々に出力電力を変化させる。これにより、例えば、急激な出力電力の変化によって、再び逆潮流の状態に近付いてしまうことをより抑制することができる。
【0071】
太陽光発電システム10では、逆電力継電器26が、信号線40を介して入力部54と接続され、逆潮流の発生の検知に応じて検知信号を入力部54に入力することにより、電力変換装置14の動作を停止させる。このように、入力部54に検知信号を入力することにより、通信部を用いた通信よりも高速に検知信号を制御部51に入力することができる。これにより、逆電力継電器26による逆潮流の発生の検知から電力変換装置14の動作の停止までの時間を短くし、逆潮流の発生をより適切に抑制することができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、分散型電源システムの一例として、太陽光パネル12を分散型電源とする太陽光発電システム10を示している。分散型電源は、太陽光パネル12に限ることなく、例えば、風力発電機や地熱発電機などでもよい。分散型電源は、発電した電力の供給を行うことが可能な任意の電源でよい。分散型電源の供給する電力は、直流電力に限ることなく、交流電力などでもよい。分散型電源システムは、太陽光発電システム10に限ることなく、任意の分散型電源を用いた任意のシステムでよい。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
2…電力系統、 4…負荷、 6…変圧器、 8…構内系統8、 10…太陽光発電システム(分散型電源システム)、 12…太陽光パネル(分散型電源)、 14…電力変換装置、 16…制御装置、 18…監視装置、 20…受電盤、 22…電力計、 30~33…通信線、 40~43…信号線、 50…変換回路、 51…制御部、 52、53…通信部、 54…入力部
図1
図2
図3