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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080585
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】両面接着体および多層構造
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/30 20180101AFI20240606BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20240606BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240606BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
C09J7/30
C09J133/04
C09J201/00
C09J11/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125634
(22)【出願日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】111146109
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】鄭昭徳
(72)【発明者】
【氏名】蒋明學
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004BA03
4J004EA05
4J040DF021
4J040EF282
4J040GA05
4J040JA09
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA23
4J040LA02
4J040MA02
4J040MA05
4J040MA09
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】両面接着体および多層構造を提供する。
【解決手段】両面接着体は第1の接着剤層および第2の接着剤層を含む。第1の接着剤層は第1の接着剤組成物の生成物である。第1の接着剤組成物は第1のコポリマーおよび第1の架橋剤を含み、第1のコポリマーは第1のコポリマー組成物の生成物である。第2の接着剤層は第2の接着剤組成物の生成物である。第2の接着剤組成物は第2のコポリマーおよび第2の架橋剤を含み、第2のコポリマーは第2のコポリマー組成物の生成物である。第1のコポリマー組成物は(A1)モノマーを含み、第2のコポリマー組成物は(B1)モノマーを含む。(A1)モノマーおよび(B1)モノマーはそれぞれ第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーを含む。(A1)モノマー中の第3のモノマーの重量百分率はW1であり、(B1)モノマー中の第3のモノマーの重量百分率はW2であり、45wt%≧W2-W1≧7wt%である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接着剤組成物が架橋反応した生成物である第1の接着剤層であって、前記第1の接着剤組成物は第1のコポリマーおよび第1の架橋剤を含み、前記第1のコポリマーは第1のコポリマー組成物が共重合反応した生成物であり、前記第1のコポリマー組成物は(A1)モノマーを含み、(A1)モノマーは第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーを含み、かつ(A1)モノマー中、(A1)モノマーの重量に対し第3のモノマーの重量百分率はW1であり、前記第1のモノマーは水酸基を有するアクリレートモノマーであり、前記第2のモノマーは、ホモポリマーのガラス転移温度が-20℃以下であるアクリレートモノマーであり、前記第3のモノマーは、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上の末端ビニル基を有するモノマーである、第1の接着剤層と、
第2の接着剤組成物が架橋反応した生成物である第2の接着剤層であって、前記第2の接着剤組成物は第2のコポリマーおよび第2の架橋剤を含み、前記第2のコポリマーは第2のコポリマー組成物が共重合反応した生成物であり、前記第2のコポリマー組成物は(B1)モノマーを含み、(B1)モノマーは第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーを含み、かつ(B1)モノマー中、(B1)モノマーの重量に対し第3のモノマーの重量百分率はW2である、第2の接着剤層と、
を含み、
45wt%≧W2-W1≧7wt%である、
両面接着体。
【請求項2】
(A1)モノマー中、第1のモノマーの重量百分率が1wt%から10wt%であり、第2のモノマーの重量百分率が50wt%から95wt%であり、第3のモノマーの重量百分率が4wt%から49wt%であり、(B1)モノマー中、第1のモノマーの重量百分率が1wt%から10wt%であり、第2のモノマーの重量百分率が50wt%から95wt%であり、第3のモノマーの重量百分率が4wt%から49wt%である、請求項1に記載の両面接着体。
【請求項3】
前記第1のモノマーが下記であり、
【化1】
(式中、Rは水素またはメチル基であり、Rは水素、またはC1-10アルキロール基(alkylol group)である。)
前記第2のモノマーが、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate)、sec-ブチルアクリレート(sec-butyl acrylate)、エチルアクリレート(ethyl acrylate)、2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate)、エトキシエチルアクリレート(ethoxyethyl acrylate)、イソノニルアクリレート(isononyl acrylate)、ラウリルメタクリレート(lauryl methacrylate)、または上述の組み合わせであり、前記第3のモノマーが、tert-ブチルアクリレート(tert-butyl acrylate)、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)、sec-ブチルメタクリレート(sec-butyl methacrylate)、tert-ブチルメタクリレート(tert-butyl methacrylate)、シクロヘキシルアクリレート(cyclohexyl acrylate)、シクロヘキシルメタクリレート(cyclohexyl methacrylate)、イソボルニルアクリレート(isobornyl acrylate)、イソボルニルメタクリレート(isobornyl methacrylate)、メチルアクリレート(methylacrylate)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate)、アクリロニトリル(acrylonitrile)、アクリルアミド(acrylamide)、アクリルロイルモルフォリン(acryloyl morpholine)、N-ビニル-2-ピロリドン(N-vinyl-2-pyrrolidone)、または上述の組み合わせである、
請求項1に記載の両面接着体。
【請求項4】
前記第1の架橋剤と前記第1のコポリマーとの重量比が1:5,000から5:100であり、前記第2の架橋剤と前記第2のコポリマーとの重量比が1:5,000から5:100である、請求項1に記載の両面接着体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は両面接着体および多層構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタッチコントロールディスプレイのタッチコントロール技術には、光学接着剤を用いてタッチコントロールディスプレイのカバープレートとタッチコントロールプレートとを接着および固定すること、ならびに光学接着剤を用いてタッチコントロールプレートとディスプレイモジュールの偏光板とを接着および固定することが含まれる。接着される2枚のパネルが剥離しないように、従来の光学接着剤製品の多くはその強い接着力を強調しているが、強力な粘着の特性は、リワークにおいて不便となるという欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0121562A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パネルメーカーのパネルリワーク工程は主に2種類に分けることができ、1つは、低温でパネルを処理してから、2枚の光学接着剤で接着されたパネルを剥離するもの、もう1つは、光学接着剤を機械的に切ってから、2枚のパネルを剥離するものである。2種の方法による2枚のパネルにはどちらにも光学接着剤の一部が付着しているため、いずれの方法も多くの手間と溶媒の使用により接着剤を除去する必要があり、時間がかかる上、環境に優しくない。しかも偏光板は、残留接着剤除去のプロセスにおいて極めてダメージを受け易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は両面接着体を提供する。本開示の実施形態によれば、前記両面接着体は第1の接着剤層および第2の接着剤層を含んでいてよく、前記第1の接着剤層は第1の表面を有し、前記第2の接着剤層は第2の表面を有する。前記第1の接着剤層は、第1の接着剤組成物が架橋反応した生成物であってよく、前記第1の接着剤組成物は第1のコポリマーおよび第1の架橋剤を含む。前記第1のコポリマーは、第1のコポリマー組成物が共重合反応した生成物であってよく、前記第1のコポリマー組成物は(A1)モノマーを含み、(A1)モノマーは第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーを含んでいてよく、かつ(A1)モノマー中、(A1)モノマーの重量に対し第3のモノマーの重量百分率はW1である。前記第1のモノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーであり、前記第2のモノマーは、ホモポリマーのガラス転移温度が-20℃以下の(メタ)アクリレートモノマーであり、前記第3のモノマーは、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上の末端ビニル基を有するモノマーである。前記第2の接着剤層は、第2の接着剤組成物が架橋反応した生成物であってよく、前記第2の接着剤組成物は、第2のコポリマーおよび第2の架橋剤を含んでいてよく、前記第2のコポリマーは第2のコポリマー組成物が共重合反応した生成物であってよく、前記第2のコポリマー組成物は(B1)モノマーを含んでいてよく、(B1)モノマーは第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーを含んでいてよく、かつ(B1)モノマー中、(B1)モノマーの重量に対し第3のモノマーの重量百分率はW2である。重量百分率W1と重量百分率W2は次の関係:45wt%≧W2-W1≧7wt%を満たすという点に注目されたい。
【0006】
本開示の実施形態によれば、本開示は多層構造体も提供する。前記多層構造体は、第1の基材、第2の基材、および上述した両面接着体を含み得る。前記両面接着体の第1の接着剤層は第1の表面を有し、前記両面接着体の第2の接着剤層は第2の表面を有し、前記第1の表面と前記第1の基材とは接触し、前記第2の表面と前記第2の基材とは接触する。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、両面接着体、例えば凍結剥離可能な両面接着体を提供する。本開示の実施形態によれば、本開示に係る両面接着体は第1の接着剤層と第2の接着剤層を有する。第1の接着剤層中の硬質モノマーおよび第2の接着剤層中の硬質モノマーの含有量の差を制御することにより、両面接着体を低温処理した後の第1の接着剤層と第2の接着剤層の接着力(adhesion)の差が大きくなり、ひいてはリワーク工程時に両面接着体が基材(両面接着体の第2の接着剤層と接触している基材)からスムーズに剥がれるようになり、接着剤材料が残留することはない。
【0008】
本開示の実施形態によれば、本開示は、前記両面接着体を含む多層構造体、例えばディスプレイパネルも提供する。本開示の実施形態によれば、前記両面接着体の第1の接着剤層は第1の表面を有していてよく、前記両面接着体の第2の接着剤層は第2の表面を有し、前記第1の表面はタッチコントロールパネルを接着および固定するのに用いられてよく、第2の表面はディスプレイモジュールの偏光板を接着および固定するのに用いられる。前記両面接着体に低温処理が施されると、両面接着体の第1の表面と第2の表面の接着力が低下し、かつ第1の接着剤層の第1の表面の接着力と、第2の接着剤層の第2の表面の接着力とに大きな差が生じる。剥離工程を行った後は、2枚の接着された基材を容易に剥離することができる他、本開示に係る両面接着体は1枚の基材(例えばタッチコントロールパネル)にのみ残留するだけで、同時に2枚の基材に残留することはない(例えば、偏光板に接着剤残留は形成されない)。したがって、ディスプレイパネル素子の再利用率が高まると共に、リワーク工程の効率が高まる。
【0009】
以下の実施形態において詳細な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る両面接着体の断面説明図である。
図2】本開示の一実施形態に係る多層構造体の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明において、両面接着体および多層構造体について詳細に記載する。以下の詳細な記載では、説明の目的で、本開示が十分に理解されるよう、多数の特定の詳細および実施形態を示す。以下の詳細な記載において記述された特定の構成要素および構成は、本開示を明瞭に説明するために示されている。しかしながら、ここに示される例示的な実施形態は、単に説明の目的に用いられるにすぎず、かつ本発明概念はそれらの例示的な実施形態に限定されることなく様々な形式で具体化され得る、ということは明らかであろう。ここで用いられる場合、量に関する用語における用語「約」は、当業者にとって通常かつ合理的な量だけ増減することを指す。
【0012】
また、本開示において構成要素を修飾するための「第1」、「第2」、「第3」等のような順序を示す用語の使用は、1つの請求項に係る構成要素の別の構成要素に対する優先度、優先順序、もしくは順番、またはそれが形成される時間的な順序を、それ自体で暗示するものではなく、(順序を示す用語の使用がなければ)ある名称を有する1つの請求項に係る構成要素と同じ名称を有する別の構成要素とを区別して、請求項に係る構成要素どうしを区別するためのラベルとなるものに過ぎない。
【0013】
本開示の図面における要素またはデバイスは、当業者に知られている任意の形式または構成で提示され得るということに注意が必要である。加えて、「別の層を覆う層」、「層が別の層の上に配置される」、「層が別の層上に配置される」、および「層が別の層上方に配置される」という表現は、他の層に直接接触している層を表す場合があり、また他の層に直接接触していない層を表す場合もあり、その場合にはその層と他の層との間に配置された1つまたはそれ以上の中間層が存在する。描かれた図面は概略図に過ぎず、限定するものではない。説明の目的で、図面におけるいくつかの要素のサイズ、形状、または厚さは誇張され、縮尺どおりに描かれていない場合がある。次元および相対次元は、本開示を実施する実際の位置に対応していない。本開示は、特定の実施形態に関し、特定の図面を参照にしながら説明されるが、本開示はそれらに限定されることはない。
【0014】
本開示の実施形態によれば、図1を参照されたいが、前記両面接着体10は第1の接着剤層12および第2の接着剤層14を含んでいてよく、前記第1の接着剤層は第1の表面を有し、前記第2の接着剤層は第2の表面を有する。前記第1の接着剤層12は、第1の接着剤組成物が架橋反応した生成物であってよく、前記第1の接着剤組成物は第1のコポリマーおよび第1の架橋剤を含んでいてよい。前記第2の接着剤層14は第2の接着剤組成物が架橋反応した生成物であってよく、前記第2の接着剤組成物は第2のコポリマーおよび第2の架橋剤を含んでいてよい。
【0015】
本開示の実施形態によれば、前記第1のコポリマーは第1のコポリマー組成物が共重合反応した生成物であってよく、前記第1のコポリマー組成物は(A1)モノマー(即ち成分(A1))を含み、(A1)モノマーは第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーを含み得る。本開示の実施形態によれば、前記(A1)モノマーの重量に対し、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量は95wt%から100wt%である。
【0016】
本開示の実施形態によれば、(A1)モノマーは主モノマーおよび副モノマーからなり、主モノマーは第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーからなり、副モノマーは(メタ)アクリレートと反応し得るモノマーからなる。ここで、主モノマーの重量は95wt%から99.9wt%であり、副モノマーの重量は0.1wt%から5wt%である。
【0017】
本開示の実施形態によれば、(A1)モノマーは、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーからなるものであってよい。
【0018】
本開示の実施形態によれば、前記第2のコポリマーは、第2のコポリマー組成物が共重合反応した生成物であってよく、前記第2のコポリマー組成物は(B1)モノマー(即ち成分(B1))を含み、(B1)モノマーは第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーを含み得る。本開示の実施形態によれば、前記(B1)モノマーの重量に対し、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量は95wt%から100wt%である。
【0019】
本開示の実施形態によれば、(B1)モノマーは主モノマーおよび副モノマーからなり、主モノマーは第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーからなり、副モノマーは、(メタ)アクリレートと反応し得るモノマーからなる。ここで、主モノマーの重量は95wt%から99.9wt%であり、副モノマーの重量は0.1wt%から5wt%である。
【0020】
本開示の実施形態によれば、(B1)モノマーは、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーからなるものであってよい。
【0021】
(A1)モノマー中、前記(A1)モノマーの重量(即ち第1のコポリマー組成物中の第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量)に対し、第3のモノマーの重量百分率はW1であってよい。
【0022】
(B1)モノマー中、前記(B1)モノマーの重量(即ち第2のコポリマー組成物中の第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量)に対し、第3のモノマーの重量百分率はW2であってよい。
【0023】
重量百分率W1と重量百分率W2は次の関係:45wt%≧W2-W1≧7wt%(例えば、40wt%≧W2-W1≧7wt%、35wt%≧W2-W1≧7wt%、32wt%≧W2-W1≧7wt%、または28wt%≧W2-W1≧7wt%)を満たすという点に留意されたい。本開示の実施形態によれば、重量百分率W1と重量百分率W2との差の値(W2-W1)が7未満であると、両面接着体に低温処理を施した後に、第1の接着剤層と第2の接着剤層の接着力には大きな差が生じない。
【0024】
本開示の実施形態によれば、第1のコポリマー組成物は、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの他に、その他の反応モノマー(即ち、第1のコポリマーの繰り返し単位を形成するのに用いることのできるモノマー)は含まない。本開示の実施形態によれば、第2のコポリマー組成物は、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの他に、その他の反応モノマー(即ち、第2のコポリマーの繰り返し単位を形成するのに用いることのできるモノマー)は含まない。
【0025】
本開示の実施形態によれば、前記第1のコポリマー組成物の(A1)モノマーの組成と前記第2のコポリマー組成物の(B1)モノマーの組成とは同じである。換言すると、第1のコポリマー組成物の第1のモノマーと第2のコポリマー組成物の第1のモノマーとは同じであってよく、第1のコポリマー組成物の第2のモノマーと第2のコポリマー組成物の第2のモノマーとは同じであってよく、かつ第1のコポリマー組成物の第3のモノマーと第2のコポリマー組成物の第3のモノマーとは同じであってよい。
【0026】
本開示の実施形態によれば、前記第1のコポリマー組成物の(A1)モノマーの組成と前記第2のコポリマー組成物の(B1)モノマーの組成とは異なる。換言すると、第1のコポリマー組成物の第1のモノマーと第2のコポリマー組成物の第1のモノマーとは異なり、第1のコポリマー組成物の第2のモノマーと第2のコポリマー組成物の第2のモノマーとは異なり、かつ/または第1のコポリマー組成物の第3のモノマーと第2のコポリマー組成物の第3のモノマーとは異なる。
【0027】
本開示の実施形態によれば、前記第1のモノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーであり得る。本開示のいくつかの実施形態によれば、前記第1のモノマーは下記であってよい。
【0028】
【化1】
【0029】
式中、Rは水素またはメチル基であってよく、Rは水素、またはC1-10アルキロール基(alkylol group)であってよい。本開示の実施形態によれば、C1-10アルキロール基は直鎖または分岐(linear or branched)のアルキロール基であり得る。例を挙げると、C1-10アルキロール基は、メチロール基(methylol)、エチロール基(ethylol)、プロピロール基(propylol)、ブチロール基(butylol)、ペンチロール基(pentylol)、ヘキシロール基(hexylol)、またはその異性体(isomer)であってよい。例を挙げると、前記第1のモノマーは、アクリル酸(acrylic acid)、メタクリル酸(methacrylic acid)、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(hydroxyethyl (meth)acrylate)、ヒドロキシエチルメタクリレート(hydroxyethyl methacrylate)、ヒドロキシプロピルアクリレート(hydroxypropyl acrylate)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(hydroxypropyl methacrylate)、ヒドロキシブチルアクリレート(hydroxybutyl acrylate)、ヒドロキシブチルメタクリレート(hydroxybutyl methacrylate)、または上述の組み合わせであってよい。
【0030】
本開示の実施形態によれば、前記第2のモノマーは軟質モノマー(soft monomer)であってよく、前記軟質モノマーとは、ホモポリマーのガラス転移温度が-20℃以下(例えばガラス転移温度が-20℃から-100℃、ガラス転移温度が-20℃から-90℃、ガラス転移温度が-20℃から-80℃、またはガラス転移温度が-20℃から-70℃)である(メタ)アクリレートモノマーのことである。換言すると、前記第2のモノマーは、(メタ)アクリレートモノマーであってよく、前記(メタ)アクリレートモノマーのホモポリマーのガラス転移温度は-20℃以下である。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry,DSC)により測定(昇温速度10℃/min)するか、または例えばPOLYMER HANDBOOK(Wiley-Interscience)等の文献値を参照にする。例を挙げると、前記第2のモノマーは、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate)、sec-ブチルアクリレート(sec-butyl acrylate)、エチルアクリレート(ethyl acrylate)、2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate)、エトキシエチルアクリレート(ethoxyethyl acrylate)、イソノニルアクリレート(isononyl acrylate)、ラウリルメタクリレート(lauryl methacrylate)、または上述の組み合わせであってよい。
【0031】
本開示の実施形態によれば、前記第3のモノマーは硬質モノマー(hard monomer)であってよく、前記硬質モノマーとは、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上(例えばガラス転移温度が0℃から200℃、ガラス転移温度が0℃から180℃、ガラス転移温度が0℃から150℃、またはガラス転移温度が0℃から130℃)である末端ビニル基を有するモノマーのことである。換言すると、前記第3のモノマーは、末端ビニル基を有するモノマーであってよく、前記末端ビニル基を有するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度は0℃以上である。例を挙げると、前記第3のモノマーは、tert-ブチルアクリレート(tert-butyl acrylate)、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)、sec-ブチルメタクリレート(sec-butyl methacrylate)、tert-ブチルメタクリレート(tert-butyl methacrylate)、シクロヘキシルアクリレート(cyclohexyl acrylate)、シクロヘキシルメタクリレート(cyclohexyl methacrylate)、イソボルニルアクリレート(isobornyl acrylate)、イソボルニルメタクリレート(isobornyl methacrylate)、メチルアクリレート(methylacrylate)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate)、アクリロニトリル(acrylonitrile)、アクリルアミド(acrylamide)、アクリルロイルモルフォリン(acryloyl morpholine)、N-ビニル-2-ピロリドン(N-vinyl-2-pyrrolidone)、または上述の組み合わせであってよい。
【0032】
本開示の実施形態によれば、(A1)モノマー中、前記(A1)モノマーの重量に対し、第1のモノマーの重量百分率は1wt%から10wt%(例えば2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、または9wt%)であってよい。(A1)モノマー中、第1のモノマーの重量百分率が1wt%から10wt%であると、前記第1のコポリマーは適した数の水酸基を有することとなり、架橋剤とよりよく反応することができ、かつ得られる架橋生成物が耐候性を備える。本開示の実施形態によれば、(B1)モノマー中、前記(B1)モノマーの重量に対し、第1のモノマーの重量百分率は1wt%から10wt%(例えば2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、または9wt%)であってよい。(B1)モノマー中、第1のモノマーの重量百分率が1wt%から10wt%であると、前記第2のコポリマーは適した数の水酸基を有することとなり、架橋剤とよりよく反応することができ、かつ得られる架橋生成物が耐候性を備える。
【0033】
本開示の実施形態によれば、(A1)モノマー中、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量に対し、第1のモノマーの重量百分率は1wt%から10wt%であってよい。本開示の実施形態によれば、(B1)モノマー中、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量に対し、第1のモノマーの重量百分率は1wt%から10wt%であってよい。
【0034】
本開示の実施形態によれば、(A1)モノマー中、前記(A1)モノマーの重量に対し、第2のモノマーの重量百分率は50wt%から95wt%(例えば51wt%、52wt%、53wt%、54wt%、55wt%、56wt%、57wt%、58wt%、59wt%、60wt%、61wt%、62wt%、63wt%、64wt%、65wt%、66wt%、67wt%、68wt%、69wt%、70wt%、71wt%、72wt%、73wt%、74wt%、75wt%、76wt%、77wt%、78wt%、79wt%、80wt%、81wt%、82wt%、83wt%、84wt%、85wt%、86wt%、87wt%、88wt%、89wt%、90wt%、91wt%、92wt%、93wt%、または94wt%)であってよい。本開示の実施形態によれば、(B1)モノマー中、前記(B1)モノマーの重量に対し、第2のモノマーの重量百分率は50wt%から95wt%(例えば51wt%、52wt%、53wt%、54wt%、55wt%、56wt%、57wt%、58wt%、59wt%、60wt%、61wt%、62wt%、63wt%、64wt%、65wt%、66wt%、67wt%、68wt%、69wt%、70wt%、71wt%、72wt%、73wt%、74wt%、75wt%、76wt%、77wt%、78wt%、79wt%、80wt%、81wt%、82wt%、83wt%、84wt%、85wt%、86wt%、87wt%、88wt%、89wt%、90wt%、91wt%、92wt%、93wt%、または94wt%)であってよい。
【0035】
本開示の実施形態によれば、(A1)モノマー中、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量に対し、第2のモノマーの重量百分率は50wt%から95wt%であってよい。本開示の実施形態によれば、(B1)モノマー中、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量に対し、第2のモノマーの重量百分率は50wt%から95wt%であってよい。
【0036】
本開示の実施形態によれば、(A1)モノマー中、前記(A1)モノマーの重量に対し、第3のモノマーの重量百分率は、4wt%から49wt%(例えば5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、11wt%、12wt%、13wt%、14wt%、15wt%、16wt%、17wt%、18wt%、19wt%、20wt%、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%、25wt%、26wt%、27wt%、28wt%、29wt%、30wt%、31wt%、32wt%、33wt%、34wt%、35wt%、36wt%、37wt%、38wt%、39wt%、40wt%、41wt%、42wt%、43wt%、44wt%、45wt%、46wt%、47wt%、または48wt%)であってよい。本開示の実施形態によれば、(B1)モノマー中、前記(B1)モノマーの重量に対し、第3のモノマーの重量百分率は、4wt%から49wt%(例えば5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、11wt%、12wt%、13wt%、14wt%、15wt%、16wt%、17wt%、18wt%、19wt%、20wt%、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%、25wt%、26wt%、27wt%、28wt%、29wt%、30wt%、31wt%、32wt%、33wt%、34wt%、35wt%、36wt%、37wt%、38wt%、39wt%、40wt%、41wt%、42wt%、43wt%、44wt%、45wt%、46wt%、47wt%、または48wt%)であってよい。
【0037】
本開示の実施形態によれば、(A1)モノマー中、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量に対し、第3のモノマーの重量百分率は4wt%から49wt%であってよい。本開示の実施形態によれば、(B1)モノマー中、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの総重量に対し、第3のモノマーの重量百分率は4wt%から49wt%であってよい。
【0038】
本開示の実施形態によれば、前記第1のコポリマー組成物または第2のコポリマー組成物中、軟質モノマー(即ち、ホモポリマーのガラス転移温度が-20℃以下である(メタ)アクリレートモノマー)の含量が比較的高いと、得られるコポリマーは比較的低いガラス転移温度を有することとなる。また、第1のコポリマー組成物または第2のコポリマー組成物中、硬質モノマー(即ち、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である末端ビニル基を有するモノマー)の含量が比較的高いと、得られるコポリマーは比較的高いガラス転移温度を有することとなる。このため、前記第1のコポリマー組成物と第2のコポリマー組成物の硬質モノマー(即ち、第3のモノマー)の含量を調節することによって、前記第1の接着剤層と第2の接着剤層のガラス転移温度(glass transition temperature)の差を大きくする(即ち、第2の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)を、第1の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)より大きくする)。このようにすることで、本開示に係る両面接着体に対して低温処理を行うと、前記第1の接着剤層と第2の接着剤層の接着力の差をより大きくすることができるため、本開示に係る両面接着体を第2の接着剤層側から剥離できるようになり、かつ接着剤材料の残留が生じない。
【0039】
本開示の実施形態によれば、フォックスの式(Fox equation)を用い、接着剤層(例えば第1の接着剤層または第2の接着剤層)に使用するコポリマーのガラス転移温度推定値を計算することができる。フォックスの式(Fox equation)の計算式は次のとおりである。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+…Wn/Tgn
式中、Tgは接着剤層のガラス転移温度(K)、W1はモノマー1の重量分率、Tg1はモノマー1のホモポリマーのガラス転移温度(K)であり、W2はモノマー2の重量分率、Tg2はモノマー2のホモポリマーのガラス転移温度(K)であり、WnはモノマーNの重量分率、TgnはモノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)である。モノマー1からモノマーNはコポリマー(例えば第1のコポリマーまたは第2のコポリマー)を作製するのに用いる各種モノマーを指し、前記コポリマーは接着剤層を作製するのに用いるものである。
【0040】
本開示の実施形態によれば、リワーク工程において両面接着体に対し低温処理を行う際、前記低温処理の温度(T)を、第1の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)および第2の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)よりも低くすることができる。換言すると、低温処理の温度(T)、第1の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)、および第2の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)は次の関係:Tg>Tg>Tを満たし得る。このようにすることで、本開示に係る両面接着体は、低温処理後、第1の接着剤層と第2の接着剤層の接着力に大きな差が生じ得る。本開示の実施形態によれば、第2の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度Tgと第1の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度Tgとの差の値(即ちTg-Tg)は、10℃以上であってよい(即ちTg-Tg≧10℃)。
【0041】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る低温処理の時間は約1分から1時間、例えば2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、または55分であってよい。本開示の実施形態によれば、低温処理の温度は約-10℃から-130℃、例えば-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-100℃、-110℃、または-120℃であってよい。本開示の実施形態によれば、低温処理の温度(T)が低いほど、低温処理の時間は短くなる。
【0042】
本開示の実施形態によれば、リワーク工程において両面接着体に対して低温処理を行う際、前記低温処理の温度(T)は、第1の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)と第2の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)との間の温度とすることができる。換言すると、低温処理の温度(T)、第1の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)、および第2の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)は次の関係:Tg> T> Tgを満たし得る。このようにすることで、本開示に係る両面接着体に低温処理を行った後、第1の接着剤層と第2の接着剤層との接着力の差をより大きくすることができ、リワーク工程時に確実に両面接着体がスムーズに基材(両面接着体の第2の接着剤層と接触する基材)から剥がれ得るようになり、接着剤材料の残留を生じない。本開示の実施形態によれば、低温処理の温度(T)が第1の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)と第2の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)との間にあると、低温処理時のエネルギー損失を低減することができる(即ち、温度を第1の接着剤層に用いるコポリマーのガラス転移温度(Tg)より低く下げる必要はない)。
【0043】
本開示の実施形態によれば、前記第1のコポリマー組成物は(A2)開始剤をさらに含んでいてよく、前記(A1)モノマーと(A2)開始剤との重量比は10,000:1から100:3、例えば8,000:1、6,000:1、5,000:1、3,000:1、2,000:1、1,750:1、1,500:1、1,250:1、1,000:1、750:1、500:1、200:1、100:1、100:2、または100:2.5であってよい。
【0044】
本開示の実施形態によれば、前記第2のコポリマー組成物は(B2)開始剤をさらに含んでいてよく、前記(B1)モノマーと(B2)開始剤との重量比は10,000:1から100:3、例えば8,000:1、6,000:1、5,000:1、3,000:1、2,000:1、1,750:1、1,500:1、1,250:1、1,000:1、750:1、500:1、200:1、100:1、100:2、または100:2.5であってよい。
【0045】
本開示の実施形態によれば、(A2)開始剤および(B2)開始剤は熱開始剤であってよい。本開示の実施形態によれば、(A2)開始剤および(B2)開始剤の選択に特に制限はなく、アゾ類(azo)化合物、シアノ吉草酸系(cyanovaleric-acid-based)化合物、過酸化物(peroxide)、安息香系(benzoin-based)化合物、アセトフェノン系(acetophenone-based)化合物、チオキサントン系 (thioxanthone-based)化合物、ケタール (ketal)化合物、ベンゾフェノン系(benzophenone-based)化合物、α-アミノアセトフェノン(α-aminoacetophenone)化合物、アシルホスフィンオキシド (acylphosphineoxide)化合物、ビイミダゾール系(biimidazole-based)化合物、トリアジン系(triazine-based)化合物、または上述の組み合わせであってよい。
【0046】
本開示の実施形態によれば、アゾ類化合物は、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(2,2’-azobis(2,4-dimethyl valeronitrile))、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(dimethyl 2,2’-azobis(2-methylpropionate))、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-azobisisobutyronitrile、以下AIBNと称する)、2,2-アゾビス(2-メチルイソブチロニトリル)(2,2-azobis(2-methylisobutyronitrile))、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)1,1’-azobis(cyclohexane-1-carbonitrile))、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド](2,2’-azobis[N-(2-propenyl)-2-methylpropionamide])、1-[(シアノ-1-メチルエチル)-アゾ]ホルムアミド(1-[(cyano-1-methylethyl)azo]formamide)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)(2,2’-azobis(N-butyl-2-methylpropionamide))、または2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)(2,2’-azobis(N-cyclohexyl-2-methylpropionamide))であってよい。過酸化物は、過酸化ベンゾイル(benzoyl peroxide)、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(1,1-bis(tert-butylperoxy)cyclohexane)、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルシクロヘキサン(2,5-bis(tert-butylperoxy)-2,5-dimethylcyclohexane)、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-シクロヘキシン(2,5-bis(tert-butylperoxy)-2,5-dimethyl-3-cyclohexyne)、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン(bis(1-(tert-butylpeorxy)-1-methy-ethyl)benzene)、tert-ブチルヒドロペルオキシド(tert-butyl hydroperoxide)、tert-ブチルペルオキシド(tert-butyl peroxide)、tert-ブチルペルオキシベンゾエート(tert-butyl peroxybenzoate)、クメンヒドロペルオキシド(cumene hydroperoxide)、シクロヘキサンペルオキシド(cyclohexanone peroxide)、ジクミルペルオキシド(dicumyl peroxide)、またはラウロイルペルオキシド(lauroyl peroxide)であってよい。安息香系化合物は、ベンゾイン(benzoin)、ベンゾインメチルエーテル(benzoin methyl ether)、またはベンジルジメチルケタール(benzyl dimethyl ketal)であってよい。アセトフェノン系化合物は、p-ジメチルアミノアセトフェノン(p-dimethylamino-acetophenone)、α,α’-ジメトキシアゾキシアセトフェノン(α,α’-dimethoxyazoxy-acetophenone)、2,2’-ジメチル-2-フェニルアセトフェノン(2,2’-dimethyl-2-phenyl-acetophenone)、p-メトキシアセトフェノン(p-methoxy-acetophenone)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノ-1-プロパン(2-methyl-1-(4-methylthiophenyl)-2-morpholino-1-propanone)、2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン(2-benzyl-2-N,N-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-1-butanone)であってよい。ベンゾフェノン系化合物は、ベンゾフェノン(benzophenone)、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4-bis(dimethylamino)benzophenone)、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4-bis(diethylamino)benzophenone)、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノン(2,4,6-trimethylaminobenzophenone)、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート(methyl-o-benzoyl benzoate)、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン(3,3-dimethyl-4-methoxybenzophenone)、および3,3,4,4-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン(3,3,4,4-tetra(t-butylperoxycarbonyl)benzophenone)であってよい。チオキサントン系化合物は、チオキサントン(thioxanthone)、2,4-ジエチル-チオキサントン(2,4-diethyl-thioxanthanone)、チオキサントン-4-スルホン(thioxanthone-4-sulfone)であってよい。ビイミダゾール系化合物は、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(o-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-fluorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(o-メチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-methylphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(o-メトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-methoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(o-エチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-ethylphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(p-メトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(p-methoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(2,2’,4,4’-テトラメトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(2,2’,4,4’-tetramethoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(2-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(2,4-dichlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]であってよい。ホスフィンオキシド系化合物は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethylbenzoyl diphenylphosphine oxide)およびビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(bis(2,6-dimethoxybenzoyl)-2,4,4-trimethylpentylphosphine oxide)であってよい。トリアジン系化合物は、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸(3-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}propionic acid)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート(1,1,1,3,3,3-hexafluoroisopropyl-3-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}propionate)、エチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート(ethyl-2-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}acetate)、2-エポキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート(2-epoxyethyl-2-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}acetate)、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート(cyclohexyl-2-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}acetate)、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート(benzyl-2-{4 -[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}acetate)、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸(3-{chloro-4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}propionic acid)、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド(3-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}propionamide)、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-S-トリアジン(2,4-bis(trichloromethyl)-6-p-methoxystyryl-s-triazine)、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル-s-トリアジン(2,4-bis(trichloromethyl)-6-(1-p-dimethylaminophenyl)-1,3,-butadienyl-s-triazine)、または2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン(2-trichloromethyl-4-amino-6-p-methoxystyryl-s-triazine)であってよい。
【0047】
本開示の実施形態によれば、前記第1のコポリマー組成物は(A3)溶媒をさらに含んでいてよい。前記溶媒の使用量を必要に応じて調整して、前記(A1)モノマーと(A2)開始剤を前記溶媒中に均一に分散させることができる。例を挙げると、前記第1のコポリマー組成物の固形分は、20wt%から70wt%(例えば約25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、または65wt%)であってよい。ここで、固形分は、第1のコポリマー組成物の総重量に対する、第1のコポリマー組成物の溶媒を除いたすべての成分の重量百分率のことを指す。
【0048】
本開示の実施形態によれば、前記第2のコポリマー組成物は(B3)溶媒をさらに含んでいてよい。前記溶媒の使用量は、前記(B1)モノマーと(B2)開始剤とを前記溶媒中に均等に分散させるよう、必要に応じて調整することができる。例を挙げると、前記第2のコポリマー組成物の固形分は20wt%から70wt%(例えば約25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、または65wt%)であってよい。ここで、前記固形分は、第2のコポリマー組成物の総重量に対する、第2のコポリマー組成物の溶媒を除いたすべての成分の重量百分率のことを指す。
【0049】
本開示の実施形態によれば、(A3)溶媒および(B3)溶媒はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素(aromatic hydrocarbon)溶媒、アルコール(alcohol)溶媒、エーテル(ether)溶媒、ケトン(ketone)溶媒、エステル(ester)溶媒、窒素含有(nitrogen-containing)溶媒、または上述の組み合わせであってよい。本開示の実施形態によれば、(A3)溶媒および(B3)溶媒はそれぞれ独立に、ベンゼン(benzene)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、エチルベンゼン(ethylbenzene)、ジエチルベンゼン(diethylbenzene)、トリメチルベンゼン(trimethylbenzene)、トリエチルベンゼン(triethylbenzene)、シクロヘキサン(cyclohexane)、シクロヘキセン(cyclohexene)、デカヒドロナフタレン(decahydronaphthalene)、ジペンテン(dipentene)、ペンテン(pentane)、ヘキサン(hexane)、ヘプタン(heptane)、オクタン(octane)、ノナン(nonane)、デカン(decane)、エチルシクロヘキサン(ethyl cyclohexane)、メチルシクロヘキサン(methyl cyclohexane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、シクロヘキセン(cyclohexene)、p-メンタン(p-menthane)、ジプロピルエーテル(dipropyl ether)、ジブチルエーテル(dibutyl ether)、アニソール(anisole)、酢酸エチル(ethyl acetate)、酢酸ブチル(butyl acetate)、酢酸ペンチル(pentyl acetate)、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)、シクロヘキシルベンゼン(cyclohexylbenzene)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、シクロペンタノン(cyclopentanone, CPN)、トリグリム(triglyme)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(1,3-dimethyl-2-imidazolidinone, DMI)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone , MEK)、N,N-ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide、DMAc)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone, GBL)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide, DMF)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methyl ether acetate, PGMEA)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide, DMSO)、または上述の組み合わせであってよい。
【0050】
本開示の実施形態によれば、前記第1のコポリマー組成物は、前記(A1)モノマー、(A2)開始剤、および(A3)溶媒からなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、前記第2のコポリマー組成物は、前記(B1)モノマー、(B2)開始剤、および(B3)溶媒からなるものであってよい。
【0051】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る第1のコポリマーの分子量に特に限定はなく、当該技術分野において通常の知識を有する者は、第1のコポリマーが第1の架橋剤と架橋反応を進行して第1の接着剤層が形成されるよう、実際の必要に応じて調整することができる。本開示の実施形態によれば、前記第1のコポリマーの重量平均分子量(Mw)は約50,000(g/mol)から500,000(g/mol)、例えば約80,000(g/mol)、100,000(g/mol)、200,000(g/mol)、300,000(g/mol)、または400,000(g/mol)であってよい。
【0052】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る第2のコポリマーの分子量に特に限定はなく、当該技術分野において通常の知識を有する者は、第2のコポリマーが第2の架橋剤と架橋反応を進行して第2の接着剤層が形成されるよう、実際の必要に応じて調整することができる。本開示の実施形態によれば、前記第2のコポリマーの重量平均分子量(Mw)は約50,000(g/mol)から500,000(g/mol)、例えば約80,000(g/mol)、100,000(g/mol)、200,000(g/mol)、300,000(g/mol)、または400,000(g/mol)であってよい。本開示に係るコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography,GPC)により測定することができる(ポリスチレンを標準品として検量線を作成)。
【0053】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るコポリマーを作製するための方法は次のステップを含み得る。先ず、コポリマー組成物(例えば第1のコポリマー組成物、または第2のコポリマー組成物)を準備する。次いで、前記コポリマー組成物に対して加熱工程を行う。前記加熱工程の温度は60℃から130℃とすることができ、工程時間は5時間から24時間とすることができる。
【0054】
本開示の実施形態によれば、第1の接着剤組成物中、前記第1の架橋剤と前記第1のコポリマーとの重量比は約1:5,000から5:100、例えば2:5,000、3:5,000、4:5,000、1:1,000、2:1,000、3:1,000、4:1,000、5:1,000、8:1,000、1:100、2:100、3:100、または4:100であってよい。本開示の実施形態によれば、第2の接着剤組成物中、前記第2の架橋剤と前記第2のコポリマーとの重量比は約1:5,000から5:100,例えば3:1,000、4:1,000、5:1,000、8:1,000、1:100、2:100、3:100、または4:100であってよい。
【0055】
本開示の実施形態によれば、前記第1の架橋剤と第2の架橋剤はそれぞれ独立に、少なくとも2つの架橋可能官能基を有する化合物(例えば、2つの架橋可能官能基を有する化合物、3つの架橋可能官能基を有する化合物、4つの架橋可能官能基を有する化合物、または5つの架橋可能官能基を有する化合物)であってよく、前記架橋可能官能基は、イソシアネート基(isocyanate group)、カルボキシル基(carboxyl group)、アジリジン基(aziridine group)、無水物基(anhydride group)、またはメラミン基(melamine group)であってよい。例を挙げると、前記第1の架橋剤と第2の架橋剤はそれぞれ独立に、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluene diisocyanate)、2,5-トルエンジイソシアネート(2,5-toluene diisocyanate)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluene diisocyanate)、ヘキサメチレンヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate,HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(pentamethylene diisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、ジシクロヘキシルメチレンジイソシアネート(4,4'-Methylene dicyclohexyl diisocyanate)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4'-methylenediphenyl diisocyanate)、または上述の組み合わせであってよい。
【0056】
本開示の実施形態によれば、前記第1の接着剤組成物は第1の溶媒をさらに含んでいてよい。前記第1の溶媒の使用量は、前記第1のコポリマーおよび第1の架橋剤が前記溶媒中に均一に分散されるよう、必要に応じて調整可能である。例えば、前記第1の接着剤組成物の固形分は、20wt%から70wt%(例えば約25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、または65wt%)であってよい。ここで、固形分は、前記第1の接着剤組成物の総重量に対する、前記第1の接着剤組成物の第1の溶媒を除いたすべての成分の重量百分率のことを指す。
【0057】
本開示の実施形態によれば、前記第2の接着剤組成物は第2の溶媒をさらに含んでいてよい。前記第2の溶媒の使用量は、前記第2のコポリマーおよび第2の架橋剤が前記溶媒中に均一に分散されるよう、必要に応じて調整可能である。例えば、前記第2の接着剤組成物の固形分は、20wt%から70wt%(例えば、約25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、または65wt%)であってよい。ここで、固形分は、前記第2の接着剤組成物の総重量に対する、前記第2の接着剤組成物の第2の溶媒を除いたすべての成分の重量百分率のことを指す。
【0058】
本開示の実施形態によれば、前記第1の溶媒および第2の溶媒はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素(aromatic hydrocarbon)溶媒、アルコール(alcohol)溶媒、エーテル(ether)溶媒、ケトン(ketone)溶媒、エステル(ester)溶媒、窒素含有(nitrogen-containing)溶媒、または上述の組み合わせであってよい。本開示の実施形態によれば、前記第1の溶媒および第2の溶媒はそれぞれ独立に、ベンゼン(benzene)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、エチルベンゼン(ethylbenzene)、ジエチルベンゼン(diethylbenzene)、トリメチルベンゼン(trimethylbenzene)、トリエチルベンゼン(triethylbenzene)、シクロヘキサン(cyclohexane)、シクロヘキセン(cyclohexene)、デカヒドロナフタレン(decahydronaphthalene)、ジペンテン(dipentene)、ペンテン(pentane)、ヘキサン(hexane)、ヘプタン(heptane)、オクタン(octane)、ノナン(nonane)、デカン(decane)、エチルシクロヘキサン(ethyl cyclohexane)、メチルシクロヘキサン(methyl cyclohexane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、シクロヘキセン(cyclohexene)、p-メンタン(p-menthane)、ジプロピルエーテル(dipropyl ether)、ジブチルエーテル(dibutyl ether)、アニソール(anisole)、酢酸エチル(ethyl acetate)、酢酸ブチル(butyl acetate)、酢酸ペンチル(pentyl acetate)、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)、シクロヘキシルベンゼン(cyclohexylbenzene)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、シクロペンタノン(cyclopentanone, CPN)、トリグリム(triglyme)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(1,3-dimethyl-2-imidazolidinone, DMI)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone , MEK)、N,N-ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide、DMAc)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone, GBL)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide, DMF)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methyl ether acetate, PGMEA)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide, DMSO)、または上述の組み合わせであってよい。
【0059】
本開示の実施形態によれば、前記第1の接着剤組成物は、前記第1のコポリマー、第1の架橋剤、および第1の溶媒からなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、前記第2の接着剤組成物は、前記第2のコポリマー、第2の架橋剤、および第2の溶媒からなるものであってよい。
【0060】
本開示の実施形態によれば、前記第1の接着剤組成物は、第1の接着剤組成物の架橋反応が加速されるよう、第1の触媒をさらに含んでいてよい。本開示の実施形態によれば、前記第1の触媒と前記第1のコポリマーとの重量比は、約1:10,000から1:100、例えば1:5,000、2:5,000、3:5,000、4:5,000、1:1,000、2:1,000、3:1,000、4:1,000、5:1,000、6:1,000、7:1,000、8:1,000、または9:1,000であってよい。
【0061】
本開示の実施形態によれば、前記第2の接着剤組成物は、第2の接着剤組成物の架橋反応が加速されるよう、第2の触媒をさらに含んでいてよい。本開示の実施形態によれば、前記第2の触媒と前記第2のコポリマーとの重量比は、約1:10,000から1:100、例えば1:5,000、2:5,000、3:5,000、4:5,000、1:1,000、2:1,000、3:1,000、4:1,000、5:1,000、6:1,000、7:1,000、8:1,000、または9:1,000であってよい。
【0062】
本開示の実施形態によれば、前記第1の触媒および第2の触媒はそれぞれ独立に、硝酸ビスマス(bismuth nitrate)、ネオデカン酸ビスマス(Bismuth neodecanoate)、鉛2-カプロン酸エチル(lead 2-ethylhexoate)、安息香酸鉛(lead benzoate)、ネオデカン酸リチウム塩(Neodecanoic acid, lithium salt)、塩化鉄(ferric chloride)、三塩化アンチモン(antimony trichloride)、グリコール酸アンチモン(antimony glycolate)、カルボン酸の第一スズ塩(stannous salts of carboxylic acids)、カルボン酸の亜鉛塩(zinc salts of carboxylic acids)、カルボン酸のジアルキルスズ塩(dialkyl tin salts of carboxylic acids)、グリシン塩(glycine salts)、三級アミン三量化触媒(tertiary amine trimerization catalysts)、四級アンモニウムカルボキシレート(quaternary ammonium carboxylates)、アルカリ金属カルボン酸塩(alkali metal carboxylic acid salts)、酢酸カリウム(potassium acetate)、カリウムオクトエート(potassium octoate)、カリウム2-エチルヘキサノエート(potassium 2-ethylhexanoate)、N-(2-ヒドロキシ-5-ノニルフェニル)メチル-N-メチルグリシネート(N-(2-hydroxy-5-nonylphenol)methyl-N-methylglycinate)、2-エチルヘキサン酸スズ(I((II) tin (II) 2-ethylhexanoate)、ジラウリン酸ジブチルスズ(dibutyltin dilaurate)、または上述の組み合わせであってよい。
【0063】
本開示の実施形態によれば、前記第1の接着剤組成物は、前記第1のコポリマー、第1の架橋剤、第1の溶媒、および前記第1の触媒からなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、前記第2の接着剤組成物は、前記第2のコポリマー、第2の架橋剤、第2の溶媒、および前記第2の触媒からなるものであってよい。
【0064】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る第1の接着剤組成物より得られる架橋反応生成物(即ち、第1の接着剤層)の分子量に特に限定はなく、当該技術分野において通常の知識を有する者は必要に応じて調整することができる。本開示の実施形態によれば、第1の接着剤組成物より得られる生成物の重量平均分子量(Mw)は約50,000(g/mol)から2,000,000(g/mol)、例えば約80,000(g/mol)、100,000(g/mol)、200,000(g/mol)、300,000(g/mol)、400,000(g/mol)、500,000(g/mol)、800,000(g/mol)、1,000,000(g/mol)、または1,500,000(g/mol)であってよい。
【0065】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る第2の接着剤組成物より得られる架橋反応生成物(即ち、第2の接着剤層)の分子量に特に限定はなく、当該技術分野において通常の知識を有する者は必要に応じて調整することができる。本開示の実施形態によれば、第2の接着剤組成物より得られる生成物の重量平均分子量(Mw)は約50,000(g/mol)から2,000,000(g/mol)、例えば約80,000(g/mol)、100,000(g/mol)、200,000(g/mol)、300,000(g/mol)、400,000(g/mol)、500,000(g/mol)、800,000(g/mol)、1,000,000(g/mol)、または1,500,000(g/mol)であってよい。本開示に係る架橋反応生成物の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography,GPC)により測定することができる(ポリスチレンを標準品として検量線を作成)。
【0066】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る接着剤層(例えば第1の接着剤層または第2の接着剤層)を作製するための方法は次のステップを含み得る。先ず、接着剤組成物(例えば、第1の接着剤組成物または第2の接着剤組成物)を準備する。次いで、塗布工程により接着剤組成物で基材にコーティング層を形成する。次いで、前記コーティング層に加熱工程を行って、前記接着剤層を得る。前記加熱工程の温度は60℃から120℃とすることができ、工程時間は1分から60分とすることができる。
【0067】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る両面接着体を作製するための方法は次のステップを含み得る。先ず、塗布工程により第1の接着剤組成物で第1の離型膜に第1のコーティング層を形成する。次いで、前記コーティング層に加熱工程を行って、前記第1の離型膜に配置された第1の接着剤層を得る。次いで、塗布工程により第2の接着剤組成物で第2の離型膜に第2のコーティング層を形成する。次いで、前記コーティング層に加熱工程を行って、前記第2の離型膜に配置された第2の接着剤層を得る。次いで、第1の接着剤層を前記第2の接着剤層の上に配置し、ラミネート工程を行って、積層を形成する(構造は、第1の離型膜/第1の接着剤層/第2の接着剤層/第2の離型膜)。
【0068】
本開示に係る両面接着体の厚さに特に限定はなく、実際の必要に応じて選択することができる。本開示の実施形態によれば、前記両面接着体の平均厚さは約10μmから500μm、例えば50μm、100μm、150μm、200μm、300μm、または400μmであってよい。また、本開示の実施形態によれば、前記第1の接着剤層と前記第2の接着剤層との平均厚さの比は約5:1から1:5、例えば4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、または1:4であってよい。
【0069】
本開示の実施形態によれば、本開示は、図2に示されるような多層構造体100も提供する。前記多層構造体100は、本開示に係る両面接着体10、第1の基材20、および第2の基材30を含み、前記両面接着体10は、前記第1の基材20と第2の基材30との間に配置されている。前記両面接着体10は第1の接着剤層12および第2の接着剤層14を有する。前記第1の基材20は前記第1の接着剤層12の第1の表面11に配置され、前記第1の基材20と第1の接着剤層12とが直接接触するようになっている。前記両面接着体10は前記第2の基材30に直接配置され、前記第2の接着剤層14の第2の表面13と前記第2の基材30とが直接接触するようになっている。
【0070】
本開示の実施形態によれば、前記両面接着体10は、第1の基材20を第2の基材30に固定して、前記多層構造体100を得るために用いられる。また、前記多層構造体100に低温処理を行った後、前記第1の基材20を前記第2の基材30から剥離することができるようになり、かつ前記第2の基材30に接着剤材料は残留しない。詳細には、本開示に係る両面接着体10に低温処理を施した後、前記両面接着体10の第1の接着剤層12および第2の接着剤層14の接着力は低下し、かつ第1の接着剤層12の第1の表面11の接着力と第2の接着剤層14の第2の表面13の接着力とに大きな差が生じる。よって、剥離工程を行った後は、第1の基材20を第2の基材30から容易に剥離できるようになるだけでなく、前記両面接着体10は前記第1の基材20に残るのみで、前記第2の基材30には残留しない。したがって、ディスプレイパネル素子の再利用率が高まると共に、リワーク工程の効率が高まる。
【0071】
本開示の実施形態によれば、前記多層構造体10に対して低温処理を行った後、前記第1の接着剤層12と第1の基材20との接着力(P1)は、前記第2の接着剤層14と第2の基材30との接着力(P2)よりも大きくなる。本開示の実施形態によれば、P1とP2は次の条件、P1-P2≧200gf/25mm(例えば、300gf/25mm、400gf/25mm、500gf/25mm、600gf/25mm、700gf/25mm、800gf/25mm、900gf/25mm、1,000gf/25mm、または1,500gf/25mm)を満たす。ここで、接着力の測定方法は、ASTM D3330に定められた方法に従った。接着力の測定条件は以下のとおりである。引張試験機(QC-506B1,Cometech社)を用い、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材を引き剥がす角度を180引き剥がす速度を300mm/minとする。
【0072】
本開示の実施形態によれば、前記第1の基材20および第2の基材30は、接合されるべき2つの基材であり得る。本開示の実施形態によれば、前記基材に特に限定はなく、金属シート材、シリコン基材、ガラスまたはポリマーフィルムであってよく、かつ前記基材に、任意の必要な膜層がすでに形成されていてもよい。例を挙げると、前記第1の基材20および第2の基材30はそれぞれ独立に、ガラス、透明基材、離型膜、光学保護フィルム、輝度向上フィルム、位相差フィルム、偏光板、タッチコントロールパネル、反射防止フィルム、導光板、またはディフューザーフィルムであってよい。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態によれば、前記多層構造体100はディスプレイパネルであってよく、前記第1の基材20はタッチコントロールパネルであってよく、第2の基材30は偏光板であってよい。タッチコントロールパネルは透明ガラスまたは透明基材を含んでいてよく、透明ガラスまたは透明基材の少なくとも1つの表面には透明導電電極が形成される。
【0074】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る多層構造体を作製するための方法は次のステップを含んでいてよい。先ず、本開示に係る両面接着体を有する積層(構造は、第1の離型膜/第1の接着剤層/第2の接着剤層/第2の離型膜)を準備する。次いで、前記第1の離型膜を除去して前記第1の接着剤層の第1の表面を露出させると共に、第1の基材を前記第1の接着剤層の第1の表面に配置して、ラミネート工程を行う。次いで、前記第2の離型膜を除去して前記第2の接着剤層の第2の表面を露出させ、第2の接着剤層を第2の基材に配置して、ラミネート工程を行い、本開示に係る多層構造体を得る。
【0075】
以下に、当該分野において通常の知識を有する者が容易に理解できるよう、例示的な実施形態を詳細に説明する。本発明概念は、ここに示される例示的な実施形態に限定されることなく、様々な形式で具体化され得る。
【実施例0076】
コポリマーの作製
【0077】
作製例1
トルエン(toluene)265.09gを反応瓶に入れ、窒素を導入した。次いで、反応瓶を85℃まで昇温した後、溶液を反応瓶に加えて反応を進行させた。反応温度は85℃とした。前記溶液は、トルエン123.10g、ヒドロキシエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate,Tg=258K)18.96g、アクリルロイルモルフォリン(acryloyl morpholine,Tg=418K)28.23g、アクリルアミド(acrylamide,Tg=438K)17.06g、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate,Tg=293K)63.20g、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate,Tg=219K)387.13g、およびアゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)1.29gを含むものである。16時間反応させた後に、コポリマー(1)含有溶液を得た(固形分57.1wt%)。
【0078】
作製例2
トルエン(toluene)262.36gを反応瓶に入れ、窒素を導入した。次いで、反応瓶を85℃まで昇温した後、溶液を反応瓶に加えて反応を進行させた。反応温度は85℃とした。前記溶液は、トルエン121.84g、ヒドロキシエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate)18.96g、アクリルロイルモルフォリン(acryloyl morpholine)45.17g、アクリルアミド(acrylamide)27.29g、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)86.18g、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate)331.67g、およびアゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)1.27gを含むものである。16時間反応させた後に、コポリマー(2)含有溶液を得た(固形分57.1wt%)。
【0079】
作製例3
トルエン(toluene)236.54gを反応瓶に入れ、窒素を導入した。次いで、反応瓶を85℃まで昇温した後、溶液を反応瓶に加えて反応を進行させた。反応温度は85℃とした。前記溶液は、トルエン109.85g、ヒドロキシプロピルアクリレート(hydroxypropyl acrylate,Tg=266K)21.25g、アクリルアミド(acrylamide)79.61g、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)28.73g、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate)329.58g、およびアゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)2.3gを含むものである。16時間反応させた後に、コポリマー(3)含有溶液を得た(固形分57.1wt%)。
【0080】
作製例4
トルエン(toluene)234.90gを反応瓶に入れ、窒素を導入した。次いで、反応瓶を85℃まで昇温した後、溶液を反応瓶に加えて反応を進行させた。反応温度は85℃とした。前記溶液は、トルエン109.09g、ヒドロキシプロピルアクリレート(hydroxypropyl acrylate)21.25g、アクリルアミド(acrylamide)90.13g、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)91.93g、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate)252.68g、およびアゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)2.28gを含むものである。16時間反応させた後に、コポリマー(4)含有溶液を得た(固形分57.1wt%)。
【0081】
作製例5
トルエン(toluene)259.62gを反応瓶に入れ、窒素を導入した。次いで、反応瓶を85℃まで昇温した後、溶液を反応瓶に加えて反応を進行させた。反応温度は85℃とした。前記溶液は、トルエン122.12g、ヒドロキシブチルアクリレート(hydroxybutyl acrylate Tg=208K)23.54g、N-ビニル-2-ピロリドン(N-vinyl-2-pyrrolidone,Tg=448K)17.78g、アクリロニトリル(acrylonitrile,Tg=398K)12.73g、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate)449.90g、およびアゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)5.04gを含むものである。16時間反応させた後に、コポリマー(5)含有溶液を得た(固形分57.1wt%)。
【0082】
作製例6
トルエン(toluene)266.24gを反応瓶に入れ、窒素を導入した。次いで、反応瓶を85℃まで昇温した後、溶液を反応瓶に加えて反応を進行させた。反応温度は85℃とした。前記溶液は、トルエン125.23g、ヒドロキシブチルアクリレート(hydroxybutyl acrylate)23.54g、N-ビニル-2-ピロリドン(N-vinyl-2-pyrrolidone)17.78g、アクリロニトリル(acrylonitrile)12.73g、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)143.64g、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate)319.12g、およびアゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)5.17gを含むものである。16時間反応させた後に、コポリマー(6)含有溶液を得た(固形分57.1wt%)。
【0083】
作製例7
トルエン(toluene)233.47gを反応瓶に入れ、窒素を導入した。次いで、反応瓶を85℃まで昇温した後、溶液を反応瓶に加えて反応を進行させた。反応温度は85℃とした。前記溶液は、トルエン108.42g、ヒドロキシプロピルアクリレート(hydroxypropyl acrylate)21.25g、アクリルアミド(acrylamide)90.98g、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)68.95g、n-ブチルアクリレート(n-butyl acrylate)272.03g、およびアゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)2.27gを含むものである。16時間反応させた後に、コポリマー(7)含有溶液を得た(固形分57.1wt%)。
【0084】
コポリマー(1)~コポリマー(7)を作製するのに用いた第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの含量、ならびにコポリマー(1)~コポリマー(7)のガラス転移温度の推定値は表1に示されるとおりである。ガラス転移温度の推定値はフォックスの式(Fox equation)を用いて算出した。
【0085】
【表1】
【0086】
接着剤組成物および接着剤層の作製
【0087】
作製例8
ジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate,DBTDL)0.1gとトルエン10gとを混合し、DBTDL溶液を得た。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate,HMDI)1gとトルエン9gとを混合し、HMDI溶液を得た。次いで、コポリマー(1)含有溶液175.25gとトルエン103.0gを反応瓶に入れた。十分撹拌して混合した後、上述のHMDI溶液1.33gおよび上述のDBTDL溶液0.25gを反応瓶に加えた。30分撹拌した後、接着剤組成物(1)を得た(固形分35.8wt%)。
【0088】
ギャップ420μm、幅150mmのスクレーパおよびフローコーター(型番ZAA2300、ZEHNTNERより販売)を用い、接着剤組成物(1)を離型膜(ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚さ38μm、商品コードH338A、南亜プラスチック工業より販売)に塗布した。次いで、離型膜をオーブンに入れて100℃で5分乾燥させ、70℃で18時間熟成させた。室温まで冷却させ静置した後、軽剥離PET基材に配置された接着剤層(1)を得た。
【0089】
作製例9
ジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate,DBTDL)0.1gとトルエン10gとを混合し、DBTDL溶液を得た。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate,HMDI)1gとトルエン9gとを混合し、HMDI溶液を得た。次いで、コポリマー(2)含有溶液175.25gとトルエン103.0gを反応瓶に入れた。十分撹拌して混合した後、上述のHMDI溶液1.58gおよび上述のDBTDL溶液0.25gを反応瓶に加えた。30分撹拌した後、接着剤組成物(2)を得た(固形分35.8wt%)。
【0090】
ギャップ420μm、幅150mmのスクレーパおよびフローコーター(型番ZAA2300、ZEHNTNERより購入)を用い、接着剤組成物(2)を離型膜(ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚さ38μm、商品コードH838A、南亜プラスチック工業より販売)に塗布した。次いで、離型膜をオーブンに入れて100℃で5分乾燥させ、70℃で18時間熟成させた。室温まで冷却させ静置した後、重剥離PET基材に配置された接着剤層(2)を得た。
【0091】
作製例10
ジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate,DBTDL)0.1gとトルエン10gとを混合し、DBTDL溶液を得た。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate,HMDI)1gとトルエン9gとを混合し、HMDI溶液を得た。次いで、コポリマー(3)含有溶液175.06gとトルエン56.0gを反応瓶に入れた。十分撹拌して混合した後、上述のHMDI溶液1.48gおよび上述のDBTDL溶液0.25gを反応瓶に加えた。30分撹拌した後、接着剤組成物(3)を得た(固形分43.0wt%)。
【0092】
ギャップ420μm、幅150mmのスクレーパおよびフローコーター(型番ZAA2300、ZEHNTNERより購入)を用い、接着剤組成物(3)を離型膜(ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚さ38μm、商品コードH338A、南亜プラスチック工業より販売)に塗布した。次いで、離型膜をオーブンに入れて100℃で5分乾燥させ、70℃で18時間熟成させた。室温まで冷却させ静置した後、軽剥離PET基材に配置された接着剤層(3)を得た。
【0093】
作製例11
ジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate,DBTDL)0.1gとトルエン10gとを混合し、DBTDL溶液を得た。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate,HMDI)1gとトルエン9gとを混合し、HMDI溶液を得た。次いで、コポリマー(4)含有溶液175.06gとトルエン55.5gを反応瓶に入れた。十分撹拌して混合した後、上述のHMDI溶液2.05gおよび上述のDBTDL溶液0.25gを反応瓶に加えた。30分撹拌した後、接着剤組成物(4)を得た(固形分43.0wt%)。
【0094】
ギャップ420μm、幅150mmのスクレーパおよびフローコーター(型番ZAA2300、ZEHNTNERより購入)を用い、接着剤組成物(4)を離型膜(ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚さ38μm、商品コードH838A、南亜プラスチック工業より販売)に塗布した。次いで、離型膜をオーブンに入れて100℃で5分乾燥させ、70℃で18時間熟成させた。室温まで冷却させ静置した後、重剥離PET基材に配置された接着剤層(4)を得た。
【0095】
作製例12
ジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate,DBTDL)0.1gとトルエン10gとを混合し、DBTDL溶液を得た。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate,HMDI)1gとトルエン9gとを混合し、HMDI溶液を得た。次いで、コポリマー(5)含有溶液175.0gとトルエン73.5gを反応瓶に入れた。十分撹拌して混合した後、上述のHMDI溶液1.04gおよび上述のDBTDL溶液0.25gを反応瓶に加えた。30分撹拌した後、接着剤組成物(5)を得た(固形分40.1wt%)。
【0096】
ギャップ420μm、幅150mmのスクレーパおよびフローコーター(型番ZAA2300,ZEHNTNERより購入)を用い、接着剤組成物(5)を離型膜(ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚さ38μm、商品コードH338A、南亜プラスチック工業より販売)に塗布した。次いで、離型膜をオーブンに入れて100℃で5分乾燥させ、70℃で18時間熟成させた。室温まで冷却させ静置した後、軽剥離PET基材に配置された接着剤層(5)を得た。
【0097】
作製例13
ジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate,DBTDL)0.1gとトルエン10gとを混合し、DBTDL溶液を得た。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate,HMDI)1gとトルエン9gとを混合し、HMDI溶液を得た。次いで、コポリマー(6)含有溶液175.0gとトルエン73.5gを反応瓶に入れた。十分撹拌して混合した後、上述のHMDI溶液1.54gおよび上述のDBTDL溶液0.25gを反応瓶に加えた。30分撹拌した後、接着剤組成物(6)を得た(固形分40.1wt%)。
【0098】
ギャップ420μm、幅150mmのスクレーパおよびフローコーター(型番ZAA2300,ZEHNTNERより購入)を用い、接着剤組成物(6)を離型膜(ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚さ38μm、商品コードH838A、南亜プラスチック工業より販売)に塗布した。次いで、離型膜をオーブンに入れて100℃で5分乾燥させ、70℃で18時間熟成させた。室温まで冷却させ静置した後、重剥離PET基材に配置された接着剤層(6)を得た。
【0099】
作製例14
ジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate,DBTDL)0.1gとトルエン10gとを混合し、DBTDL溶液を得た。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate,HMDI)1gとトルエン9gとを混合し、HMDI溶液を得た。次いで、コポリマー(7)含有溶液175.06gとトルエン55.8gを反応瓶に入れた。十分撹拌して混合した後、上述のHMDI溶液1.77gおよび上述のDBTDL溶液0.25gを反応瓶に加えた。30分撹拌した後、接着剤組成物(7)を得た(固形分40.1wt%)。
【0100】
ギャップ420μm、幅150mmのスクレーパおよびフローコーター(型番ZAA2300,ZEHNTNERより購入)を用い、接着剤組成物(7)を離型膜(ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚さ38μm、商品コードH338A、南亜プラスチック工業より販売)に塗布した。次いで、離型膜をオーブンに入れて100℃で5分乾燥させ、70℃で18時間熟成させた。室温まで冷却させ静置した後、軽剥離PET基材に配置された接着剤層(7)を得た。
【0101】
接着剤層の性質測定
接着剤層(1)~(7)の平均厚さ(thickness)、平均全透過率(total transmittance)、平均ヘイズ(haze)、および室温におけるガラスに対する平均剥離接着力(peel adhesion)を測定した。結果は表2に示されているとおりである。
【0102】
接着剤層の平均厚さの測定方式は以下のとおりとした。マイクロメーター(Micrometer,MITUTOYO IP65)を用い、離型膜を含む接着剤層の6点の総厚さを測定してから、6点を平均した数値を平均総厚さとし、平均総厚さから離型膜の厚さを引いて、接着剤層の平均厚さとした。
【0103】
接着剤層の全透過率(total transmittance)およびヘイズ(haze)の測定方式は以下のとおりとした。離型膜を含む接着剤層を試験片とし、試験片を幅45mm、長さ75mmのサイズにカットし、重さ2kgの圧着ローラーを一往復転がして離型膜を加圧し、接着剤層を光学ガラス基材(厚さ0.7mm)に圧着してから、離型膜を剥がし、接着剤層/光学ガラスの測定試験片を作った。全透過率およびヘイズの測定方法は、ASTM D1003に定められている方法に基づくものとし、測定の計器はHaze meter(NDH 2000,Nippon Denshoku)とした。測定のステップでは、先ず光学ガラス基材校正機器を用い、試験片の全透過率およびヘイズを測定した。各試験片につき3点測定してから、3点を平均した数値を前記試験片の平均測定値とした。
【0104】
接着剤層のガラスに対する剥離接着力(peel adhesion):離型膜を含む接着剤層を幅25mm、長さ100mmの帯状フィルムにカットし、重さ2kgの圧着ローラーを一往復転がして帯状フィルムを加圧し、接着剤層を、プライマー(primer)で処理したポリエチレンテレフタレート(PET)基材(厚さ100μm、商品コードSHINPEX O、新科光電より販売)に圧着して貼り付けた。次いで、離型膜を剥がして、接着剤層をポリエチレンテレフタレート基材に転写した。次いで、接着剤層を厚さ1.8mmのガラス板に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを一往復転がしてポリエチレンテレフタレート基材を加圧し、ポリエチレンテレフタレート基材/接着剤層/ガラス板の試験片とした。室温で24時間試験片を静置した後、試験片の剥離接着力を測定した。剥離接着力の測定方法はASTM D3330に従い、測定条件は以下のとおりとした。引張試験機(型番QC-506B1,Cometech社)を用い、ポリエチレンテレフタレート基材を引き剥がす角度を180引き剥がす速度を300mm/minとした。
【0105】
【表2】
【0106】
表2の結果からわかるように、接着剤組成物(1)~(7)により作製した接着剤層(1)~(7)の物性はいずれも商用光学接着剤の物性水準(室温下における剥離接着力がいずれも1,400gf/25mm以上を維持しており、全透過率がいずれも完全な透過に近く、ヘイズがいずれも0.3%未満)に達していた。
【0107】
両面接着体の作製
【0108】
実施例1
軽剥離PET基材に配置された接着剤層(1)と、重剥離PET基材に配置された接着剤層(2)とを接合し、接着剤層(1)と接着剤層(2)とを接触させた。次いで、重さ2kgの圧着ローラーをPET基材上で往復して転がして加圧し、両面接着体(1)を含む積層を得た(この積層構造は:軽剥離PET基材/接着剤層(1)/接着剤層(2)/重剥離PET基材)。
【0109】
両面接着体(1)の平均厚さ(thickness)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0110】
両面接着体の平均厚さの測定方式は以下のとおりとした。マイクロメーター(Micrometer,MITUTOYO IP65)を用い、軽剥離PET基材および重剥離PET基材離型膜を含む積層の6点の総厚さを測定してから、6点を平均した数値を平均総厚さとし、平均総厚さから軽剥離PET基材および重剥離PET基材離型膜の厚さを引いて、接着剤層の平均厚さとした。
【0111】
実施例2
軽剥離PET基材に配置された接着剤層(3)と重剥離PET基材に配置された接着剤層(4)とを接合し、接着剤層(3)と接着剤層(4)とを接触させた。次いで、重さ2kgの圧着ローラーを軽剥離PET基材上で往復して転がして加圧し、両面接着体(2)を含む積層を得た(この積層構造は:軽剥離PET基材/接着剤層(3)/接着剤層(4)/重剥離PET基材)。
【0112】
両面接着体(2)の平均厚さ(thickness)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0113】
実施例3
軽剥離PET基材に配置された接着剤層(5)と重剥離PET基材に配置された接着剤層(6)とを接合し、接着剤層(5)と接着剤層(6)とを接触させた。次いで、重さ2kgの圧着ローラーを軽剥離PET基材上で往復して転がして加圧し、両面接着体(3)を含む積層を得た(この積層構造は:軽剥離PET基材/接着剤層(5)/接着剤層(6)/重剥離PET基材)。
【0114】
両面接着体(3)の平均厚さ(thickness)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0115】
比較例1
軽剥離PET基材に配置された接着剤層(7)と重剥離PET基材に配置された接着剤層(4)とを接合し、接着剤層(7)と接着剤層(4)とを接触させた。次いで、重さ2kgの圧着ローラーを軽剥離PET基材上で往復して転がして加圧し、両面接着体(4)を含む積層を得た(この積層構造は:軽剥離PET基材/接着剤層(7)/接着剤層(4)/重剥離PET基材)。
【0116】
両面接着体(4)の平均厚さ(thickness)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0117】
【表3】
【0118】
多層構造体の作製およびリワーク性テスト
【0119】
実施例4
構造が保護膜/偏光膜/感圧接着剤/離型膜である偏光板(サイズ45mm×75mm、偏光膜の型番はMIC25518、力特光電より販売)を準備し、保護膜を剥がして使用に備えた。実施例1に記載した両面接着体(1)を含む積層を準備し、カットして矩形のフィルム片(サイズは45mm×75mm)を得た。次いで、矩形フィルム片の軽剥離PET基材を剥がして矩形フィルムの接着剤層(1)を露出させた。次いで、ガラス板(厚さ為1.8mm)を準備し、矩形フィルム片の接着剤層(1)をガラス板に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを往復して転がして矩形フィルム片の重剥離PET基材を加圧した。次いで、矩形フィルム片の重剥離PET基材を剥がして矩形フィルム片の接着剤層(2)を露出させた。次いで、矩形フィルム片の接着剤層(2)を偏光板(構造は偏光膜/感圧接着剤/離型膜)の偏光膜に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを往復して転がして偏光板の離型膜を加圧し、多層構造体(1)(構造はガラス板/接着剤層(1)/接着剤層(2)/偏光膜/感圧接着剤/離型膜)を得た。
【0120】
多層構造体(1)に-30℃で低温処理を30分行った後、ガラス板/接着剤層(1)間の接着力と接着剤層(2)/偏光膜間の接着力との差の値を評価した。結果は表4に示されるとおりである。剥離接着力の測定方法はASTM D3330に従った。
【0121】
また、多層構造体(1)に-30℃で低温処理を30分行った後、多層構造体(1)のガラス板と偏光板を剥離してから、両面接着体(1)(接着剤層(1)/接着剤層(2))のガラス板および偏光膜における残留状況を調べた。結果は表4に示されるとおりである。
【0122】
実施例5
構造が保護膜/偏光膜/感圧接着剤/離型膜である偏光板(サイズ45mm×75mm、偏光膜の型番はMIC25518、力特光電より販売)を準備し、保護膜を剥がして使用に備えた。実施例2に記載した両面接着体(2)を含む積層を準備し、カットして矩形のフィルム片(サイズは45mm×75mm)を得た。次いで、矩形フィルム片の軽剥離PET基材を剥がして矩形フィルムの接着剤層(3)を露出させた。次いで、ガラス板(厚さ為1.8mm)を準備し、矩形フィルム片の接着剤層(3)をガラス板に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを往復して転がして矩形フィルム片の重剥離PET基材を加圧した。次いで、矩形フィルム片の重剥離PET基材を剥がして矩形フィルム片の接着剤層(4)を露出させた。次いで、矩形フィルム片の接着剤層(4)を偏光板(構造は偏光膜/感圧接着剤/離型膜)の偏光膜に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを往復して転がして偏光板の離型膜を加圧し、多層構造体(2)(構造はガラス板/接着剤層(3)/接着剤層(4)/偏光膜/感圧接着剤/離型膜)を得た。
【0123】
多層構造体(2)に-20℃で低温処理を30分行った後、ガラス板/接着剤層(3)間の接着力と接着剤層(4)/偏光膜間の接着力との差の値を評価した。結果は表4に示されるとおりである。剥離接着力の測定方法はASTM D3330に従った。
【0124】
また、多層構造体(2)に-20℃で低温処理を30分行った後、多層構造体(2)のガラス板と偏光板を剥離してから、両面接着体(2)(接着剤層(3)/接着剤層(4))のガラス板および偏光膜における残留状況を調べた。結果は表4に示されるとおりである。
【0125】
実施例6
構造が保護膜/偏光膜/感圧接着剤/離型膜である偏光板(サイズ45mm×75mm、偏光膜の型番はMIC25518、力特光電より販売)を準備し、保護膜を剥がして使用に備えた。実施例3に記載した両面接着体(3)を含む積層を準備し、カットして矩形のフィルム片(サイズは45mm×75mm)を得た。次いで、矩形フィルム片の軽剥離PET基材を剥がして矩形フィルムの接着剤層(5)を露出させた。次いで、ガラス板(厚さ為1.8mm)を準備し、矩形フィルム片の接着剤層(5)をガラス板に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを往復して転がして矩形フィルム片の重剥離PET基材を加圧した。次いで、矩形フィルム片の重剥離PET基材を剥がして矩形フィルム片の接着剤層(6)を露出させた。次いで、矩形フィルム片の接着剤層(6)を偏光板(構造は偏光膜/感圧接着剤/離型膜)の偏光膜に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを往復して転がして偏光板の離型膜を加圧し、多層構造体(3)(構造はガラス板/接着剤層(5)/接着剤層(6)/偏光膜/感圧接着剤/離型膜)を得た。
【0126】
多層構造体(3)に-40℃で低温処理を30分行った後、ガラス板/接着剤層(5)間の接着力と接着剤層(6)/偏光膜間の接着力との差の値を評価した。結果は表4に示されるとおりである。剥離接着力の測定方法はASTM D3330に従った。
【0127】
また、多層構造体(3)に-40℃で低温処理を30分行った後、多層構造体(3)のガラス板と偏光板を剥離してから、両面接着体(3)(接着剤層(5)/接着剤層(6))のガラス板および偏光膜における残留状況を調べた。結果は表4に示されるとおりである。
【0128】
比較例2
構造が保護膜/偏光膜/感圧接着剤/離型膜である偏光板(サイズ45mm×75mm、偏光膜の型番はMIC25518、力特光電より販売)を準備し、保護膜を剥がして使用に備えた。比較例1に記載した両面接着体(4)を含む積層を準備し、カットして矩形のフィルム片(サイズは45mm×75mm)を得た。次いで、矩形フィルム片の軽剥離PET基材を剥がして矩形フィルムの接着剤層(7)を露出させた。次いで、ガラス板(厚さ為1.8mm)を準備し、矩形フィルム片の接着剤層(7)をガラス板に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを往復して転がして矩形フィルム片の重剥離PET基材を加圧した。次いで、矩形フィルム片の重剥離PET基材を剥がして矩形フィルム片の接着剤層(4)を露出させた。次いで、矩形フィルム片の接着剤層(4)を偏光板(構造は偏光膜/感圧接着剤/離型膜)の偏光膜に貼付し、重さ2kgの圧着ローラーを往復して転がして偏光板の離型膜を加圧し、多層構造体(4)(構造はガラス板/接着剤層(7)/接着剤層(4)/偏光膜/感圧接着剤/離型膜)を得た。
【0129】
多層構造体(4)に-15℃で低温処理を30分行った後、ガラス板/接着剤層(7)間の接着力と接着剤層(4)/偏光膜間の接着力との差の値を評価した。結果は表4に示されるとおりである。剥離接着力の測定方法はASTM D3330に従った。
【0130】
また、多層構造体(4)に-15℃で低温処理を30分行った後、多層構造体(4)のガラス板と偏光板を剥離してから、両面接着体(4)(接着剤層(7)/接着剤層(4))のガラス板および偏光膜における残留状況を調べた。結果は表4に示されるとおりである。
【0131】
【表4】
【0132】
表4からわかるように、本開示に係る両面接着体を用いて作製した多層構造体(例えば、実施例4~6に記載した多層構造体(1)~(3))では、第1の接着剤層を作製するのに用いるコポリマーの第3のモノマー(硬質モノマー)の含量(W1)と、第2の接着剤層を作製するのに用いるコポリマーの第3のモノマー(硬質モノマー)の含量(W2)とを調整する(つまりW2-W1≧7wt%)ことによって、多層構造体に低温処理を行った後、その第1の接着剤層と第2の接着剤層の接着力の差を大きくすることができていた。よって、ガラス板と偏光板とを容易に剥すことができ、かつ両面接着体は偏光膜に残らない。一方、比較例2は、第1の接着剤層を作製するのに用いるコポリマーの第3のモノマー(硬質モノマー)の含量(W1)と、第2の接着剤層を作製するのに用いるコポリマーの第3のモノマーの含量(W2)との差の値がわずか約4.6wt%であり、多層構造体を低温処理した後、その第1の接着剤層と第2の接着剤層の接着力に大きな差は生じなかった。このため、ガラス板と偏光板とを剥がした際、両面接着体がガラス板と偏光膜の両方に残留しているのが観察された。
【0133】
以上まとめると、第1の接着剤層中の硬質モノマーおよび第2の接着剤層中の硬質モノマーの含量の差を制御することによって、両面接着体に低温処理を行った後、その第1の接着剤層と第2の接着剤層の接着力(adhesion)の差を大きくすることができる。本開示に係る両面接着体をガラス板と偏光板とを接合させるものとして用いれば、低温処理によってガラス板と偏光板とを引き剥がすことができ、かつ両面接着体の接着剤材料が偏光板に残留することがない。よって、本発明の両面接着体は、ディスプレイパネルのリワーク工程に用いるのに適しており、既存のリワーク工程を簡便化し、リワークにかかる時間を大幅に短縮することができ、また偏光板の残留接着剤除去のプロセスを省くこともできる。したがって、偏光板は残留接着剤除去によってダメージを受けることがなく、パネルの再利用率が高まる。
【0134】
開示された方法および材料に各種の修飾および変更を加え得ることは、明らかであろう。明細書および例は単に例示としてみなされることが意図されており、本開示の真の範囲は、以下のクレームおよびそれらの均等物によって示される。
【符号の説明】
【0135】
10…両面接着体
11…第1の表面
12…第1の接着剤層
13…第2の表面13
14…第2の接着剤層
20…第1の基材
30…第2の基材
100…多層構造体

図1
図2