IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イオンフラックス インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-80588センタードアークイオンプレーティング蒸着装置
<>
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図1a
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図1b
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図2
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図3
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図4
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図5
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図6
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図7
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図8
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図9
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図10
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図11
  • 特開-センタードアークイオンプレーティング蒸着装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080588
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】センタードアークイオンプレーティング蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/32 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
C23C14/32 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133732
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0165339
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523252124
【氏名又は名称】イオンフラックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ionflux inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】グク ヒョンウォン
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029CA03
4K029CA04
4K029CA13
4K029DA05
4K029DA06
4K029DA09
4K029DB03
4K029DD06
4K029JA03
4K029JA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高品質のコーティング層を有する蒸着対象物を製造できるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【解決手段】センタードアークイオンプレーティング蒸着装置1は、真空チャンバと、真空チャンバの中心部において上下に配置されて電圧の供給を受けてターゲット物質を放出する円筒型のターゲット部材と、真空チャンバ内において工程ガスを真空チャンバ内に噴射するガス噴射手段30と、ガス噴射手段30に設置されてターゲット物質及び工程ガスの拡散を制御するためのマスク装置70と、ターゲット部材の過熱を防止するためにターゲット部材に配置された冷却手段を含み、冷却手段は、ターゲット部材の内部に形成された中空に配置された案内管と、ターゲット部材の一側端に配置され、案内管と締結される支持台と、案内管とターゲット部材の間に冷却水が注入されるように支持台に形成された注入口と、注入された冷却水の排出口とを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、
前記真空チャンバの中心部において上下に配置されて電圧の供給を受けてターゲット物質を放出する円筒形のターゲット部材と、
前記真空チャンバ内においてプラズマを生成するために工程ガスを供給するための供給ガス部から供給される工程ガスを前記真空チャンバ内に噴射するガス噴射手段と、
前記ガス噴射手段に設置されて前記ターゲット物質及び前記工程ガスの拡散を制御するためのマスク装置と、
前記ターゲット部材の過熱を防止するために、前記ターゲット部材に配置された冷却手段と、を含み、
前記冷却手段は、前記ターゲット部材の内部に形成された中空に配置された案内管と、
前記ターゲット部材の一側端に配置され、前記案内管と締結される支持台と、
前記案内管と前記ターゲット部材との間に冷却水が注入されるように前記支持台に形成された注入口と、
前記注入された冷却水が前記案内管の内側に沿って移動した後、外部に排出するために前記支持台に形成された排出口とを含む、
センタードアークイオンプレーティング蒸着装置。
【請求項2】
前記マスク装置はサイズ変更が可能に構成された拡張型マスク部を含む、
請求項1に記載のセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置。
【請求項3】
前記マスク装置は、前記ガス噴射手段と前記拡張型マスク部を互いに連結し、前記拡張型マスク部を所定の角度で回転させるための回転部をさらに含む、
請求項2に記載のセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置。
【請求項4】
前記ガス噴射手段は、
一端においてガス供給手段から工程ガスの供給を受けて前記真空チャンバに噴射できるように長さ方向に沿って複数の第1噴射孔が形成されて前記ターゲット部材から半径方向に一定間隔で離隔されるように前記真空チャンバにおいて上下に配置された第1排出管と、前記第1噴射孔から噴射された前記工程ガスを収容できるように第1排出管と一定間隔の離隔空間が形成されるように前記第1排出管を収容し、前記収容された工程ガスを前記真空チャンバに排出できるように前記第1噴射孔とは反対の方向に長さ方向に沿って複数の第2噴射孔が形成された第2排出管とを備えたガス排出部を備える、
請求項3に記載のセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置。
【請求項5】
前記拡張型マスク部はサイズの変更により複数の前記第1噴射孔の少なくとも一部をカバーする、
請求項4に記載のセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置。
【請求項6】
前記案内管は両端が開放され、一側は前記支持台の前記排出口と締結される、
請求項5に記載のセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置。
【請求項7】
前記第1排出管の前記第1噴射孔から排出された工程ガスは、前記第1排出管と前記第2排出管との間で混合された後、前記第2排出管の前記第2噴射孔を介して前記真空チャンバ内部に排出される、
請求項6に記載のセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センタードアークイオンプレーティング蒸着装置(Centered Arc Ion Plating Evaporator)に関する。
【背景技術】
【0002】
PVD(Physical Vapour Deposition)スパッタリングは、加速された高エネルギーの粒子(大部分は電場により加速されたイオン)が固体の表面(ターゲット)に衝突する時、固体表面にある原子や分子が衝突した高エネルギーの粒子の運動量を吸収してその運動量を持って固体表面から飛び出す現象を利用して材料表面(基板)に薄膜を付着させる装置である。また、PVDスパッタリングは、グロー放電を発生させる方法に応じて直流(DC、Direct Current)スパッタリングと高周波(RF、Radio Frequency)スパッタリングとに大別される。DCスパッタリングは陰極と陽極を約5~15cm程度の距離で平行に置いた後、この間に直流電源を使用してグロー放電を起こして、ここで作られたプラズマにおいてAr+イオンが陰極に加速・衝突され、これによりターゲット物質がスパッタリングされるものであり、RFスパッタリングは絶縁体を蒸着するために直流電源の代わりに高周波を使用する方法である。
【0003】
また、PVDイオンプレーティングは、生成された蒸着原子または分子の一部をイオン化させ、電場中において加速して高エネルギー状態を作り、これを真空中に置かれた基板に吸着させて薄膜を形成する方法である。PVDイオンプレーティングは、衝突エネルギーが蒸着粒子を混合させて緻密で高強度の優れた薄膜を作ることができるため、材料の表面硬化に非常に効果的に作用してドリル刃や鋸刃のような工具鋼の耐摩耗コーティングなどに主に使われる。
【0004】
このように多様な方式の蒸着技術が開発され、蒸着対象の種類とその特性に応じて多様な方式の蒸着技術のいずれか1つが適用される。その1つとして、アークイオンプレーティング技術は、チャンバの真ん中に位置するチタン、ジルコニウム、クロムなどの水冷パイプ型ターゲットに沿って上下に高電流のアークを放電するセンタードタイプの蒸着装置が紹介された(韓国公開特許公報第10-2022-0114676号、韓国登録特許公報第1020773号、韓国登録特許公報第1618209号、韓国登録特許公報第2203825号、韓国登録特許公報第0642175号、米国登録特許公報第5269898号、米国公開特許公報第2005-0044500号、日本登録特許公報第5167282号、日本登録特許公報第5847054号)。このアークはプラズマ状態でターゲットの物質を蒸発させてイオン化された原子をコーティング対象に飛ばし、バイアス電圧を印加すると、イオン化された原子の蒸着速度が加速化する特徴がある。また、コーティング方法に応じて窒素、酸素、アセチレンのような反応性ガスをチャンバに引き込んで窒化物酸化物炭化物などの薄膜が形成される。これらのガスがイオン化された原子と反応して多様なコーティング特性を有するカラーが実現される。
【0005】
ただし、センタードタイプの蒸着装置の場合、複数のジグがセンターに位置した電極を囲んで位置する構造的な特徴により、電極からのイオンが複数のジグに据置された蒸着対象物の表面に均一に移動するように制御することが技術的に非常に難しいと知られている。従来技術(韓国登録特許公報第0879380号、韓国登録特許公報第2118319号、韓国登録特許公報第1718094号)はこれを解決するためにジグ装置を自転するように構成するか、ジグ装置に据置される蒸着対象物の回転や位置変更が可能である。しかしながら、蒸着対象物の種類やサイズに応じてこれに適したジグ装置を再設計しなければならない問題があり、ジグ装置の公転や蒸着対象物の回転方式だけでは高品質で均一なコーティング層を得ることができないため、前述の問題点は技術的難題として知られている。
【0006】
これと関連して、韓国登録特許公報第1766204号はカソード電極を囲むスクリーンを開示している。このようなスクリーンは巨大粒子を除去する機能を果たす。そして、米国公開特許公報第2005-0044500号はアノードと隣接してスクリーン設置し、スクリーンの位置制御による粒子の通過量を制御する技術を紹介している。しかしながら、蒸着対象物に巨大粒子が蒸着されることは防止できるが、蒸着対象物の表面に対する均一なコーティング層を得ることは保障しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2022-0114676号
【特許文献2】韓国登録特許公報第1020773号
【特許文献3】韓国登録特許公報第1618209号
【特許文献4】韓国登録特許公報第2203825号
【特許文献5】韓国登録特許公報第0642175号
【特許文献6】米国登録特許公報第5269898号
【特許文献7】米国公開特許公報第2005-0044500号
【特許文献8】日本登録特許公報第5167282号
【特許文献9】日本登録特許公報第5847054号
【特許文献10】韓国登録特許公報第0879380号
【特許文献11】韓国登録特許公報第2118319号
【特許文献12】韓国登録特許公報第1718094号
【特許文献13】韓国登録特許公報第1766204号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、蒸着対象物に均一なコーティング層の形成及び蒸着対象物の種類に応じてコーティングされる物質の移動を制御することにより、高品質のコーティング層を有する蒸着対象物を製造できるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【0009】
本発明は、蒸着装置の真空チャンバ内部に複数の種類の工程ガスが供給され、それぞれの工程ガスが真空チャンバ内部にガス供給ノズルを介して供給された後に真空チャンバ内部で混合される場合、真空チャンバ内部において工程ガスの均一な混合だけでなく均一な分布も難しいため、蒸着色を自由に調節しにくくなり、蒸着が均一に行われないという問題点を解決できるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【0010】
本発明は、蒸着装置のターゲット部材が過熱すると、ターゲット部材の抵抗が増加してアーク発生のために電圧を供給してもターゲット部材から金属原子の放出が円滑でないという問題点を解決するためにターゲット部材が過熱しすぎることを防止できるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態は、真空チャンバと、真空チャンバの中心部において上下に配置されて電圧の供給を受けてターゲット物質を放出する円筒型ターゲット部材と、前記真空チャンバ内においてプラズマを生成するために工程ガスを供給するための供給ガス部から供給される前記工程ガスを前記真空チャンバ内に噴射するガス噴射手段と、前記ガス噴射手段に設置されて前記ターゲット物質及び前記工程ガスの拡散を制御するためのマスク装置と、前記ターゲット部材の過熱を防止するために前記ターゲット部材に配置された冷却手段を含み、前記冷却手段は、前記ターゲット部材の内部に形成された中空に配置された案内管と、前記ターゲット部材の一端に配置され、前記案内管と締結される支持台と、前記案内管とターゲット部材の間に冷却水が注入されるように前記支持台に形成された注入口と、前記注入された冷却水が前記案内管の内側に沿って移動した後、外部に排出するために支持台に形成された排出口とを含むセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【0012】
他の側面において、前記マスク装置は、サイズの変更が可能になるように構成された拡張型マスク部を含むセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【0013】
他の側面において、前記マスク装置は、前記ガス噴射手段と前記拡張型マスク部を互いに連結し、前記拡張型マスク部を所定の角度で回転させるための回転部をさらに含むセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【0014】
他の側面において、前記ガス噴射手段は、一端において前記ガス供給手段から前記工程ガスの供給を受けて前記真空チャンバに噴射させることができるように長さ方向に沿って複数の第1噴射孔が形成されて前記ターゲット部材から半径方向に一定間隔離隔して前記真空チャンバにおいて上下に配置された第1排出管と、前記第1噴射孔から噴射された前記工程ガスを収容できるように前記第1排出管と一定間隔の離隔空間が形成されるように前記第1排出管を収容し、前記収容された工程ガスを前記真空チャンバに排出できるように前記第1噴射孔とは反対の方向に長さ方向に沿って複数の第2噴射孔が形成された第2排出管とを備えたガス排出部を備えるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【0015】
他の側面において、前記拡張型マスク部は、サイズの変更に応じて複数の前記第1噴射孔のうち少なくとも一部をカバーするセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供する。
【0016】
他の側面において、前記ターゲット部材の内部に冷却水を供給するための注入口と、前記ターゲット部材の内部の前記冷却水を排出させるための排出口とが形成されて、前記ターゲット部材を前記真空チャンバの中心部において上下に配置できるように前記ターゲット部材の下端を支持する支持台を備えた冷却手段をさらに含むセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供することができる。
【0017】
また他の側面において、センタードアークイオンプレーティング蒸着装置は、真空チャンバと、円筒形ターゲット部材と、トリガーと、ガス供給手段と、ガス噴射手段と、スポット遮断部と、制御部とを含む。前記真空チャンバは内部を真空にするために排気口を備える。前記ターゲット部材は、前記真空チャンバの中心部において上下に配置されて電圧の供給を受けてターゲット物質を放出する。前記トリガーは、前記ターゲット部材にアークスポットを生成させる。前記ガス供給手段は、前記真空チャンバ内においてプラズマを生成するためにそれぞれの工程ガスをそれぞれ供給するための複数の供給ガス部と、前記供給ガス部から供給されるそれぞれの工程ガスを混合するためのガス混合部とを備えて前記ガス混合部において混合された工程ガスを真空チャンバに供給する。前記ガス噴射手段は、前記ガス供給手段から前記工程ガスの供給を受けて前記真空チャンバに噴射させる。前記スポット遮断部は、前記ターゲット部材の上部と下部にそれぞれ装着されて前記アークスポットの移動範囲を制限する。前記制御部は、前記ターゲット部材に供給される電圧を制御する。
【0018】
他の側面において、センタードアークイオンプレーティング蒸着装置の前記ガス噴射手段は、一端において前記ガス供給手段から工程ガスの供給を受けて前記真空チャンバに噴射させることができるように長さ方向に沿って複数の第1噴射孔が形成されて前記ターゲット部材から半径方向に一定間隔離隔するように前記真空チャンバにおいて上下に配置された第1排出管と、前記第1噴射孔から噴射された前記工程ガスを収容できるように前記第1排出管と一定間隔の離隔空間が形成されるように前記第1排出管を収容し、前記収容された工程ガスを前記真空チャンバに排出できるように前記第1噴射孔と反対の方向に長さ方向に沿って複数の第2噴射孔が形成された第2排出管とを備えたガス排出部を備えることが好ましい。
【0019】
他の側面において、センタードアークイオンプレーティング蒸着装置の前記ガス噴射手段は、前記ターゲット部材の円周方向に沿って複数備えられることが好ましい。この場合、前記ガス供給手段は、前記工程ガスをいずれか1つの前記ガス噴射手段の第1排出管へは上段から供給し、隣接した他の前記ガス噴射手段の第1排出管へは下段から供給する。
【0020】
他の側面において、センタードアークイオンプレーティング蒸着装置の前記第2排出管は、前記工程ガスが前記排気口の反対方向に排出されるように前記第2噴射孔が前記排気口の反対方向に向かうことが好ましい。
【0021】
他の側面において、センタードアークイオンプレーティング蒸着装置は、真空チャンバと、中空の円筒形ターゲット部材と、冷却手段と、トリガーと、ガス噴射手段と、スポット遮断部と、制御部とを含む。前記真空チャンバは内部を真空にする。前記中空の円筒形ターゲット部材は一定の厚さを有し、前記真空チャンバの内部に配置されて電圧の供給を受けてターゲット物質を放出するために下段が開放される。前記冷却手段は、前記ターゲット部材の内部に冷却水を供給するための注入口と、前記ターゲット部材の内部の冷却水を排出させるための排出口が形成されて、前記ターゲット部材を前記真空チャンバの中心部において上下に配置できるように前記ターゲット部材の下端を支持する支持台とを備える。前記トリガーは、前記ターゲット部材にアークスポットを生成させる。前記ガス噴射手段は、前記真空チャンバ内においてプラズマを生成するために工程ガスを前記真空チャンバに噴射させる。前記スポット遮断部は、前記ターゲット部材の上部と下部にそれぞれ装着されて前記アークスポットの移動範囲を制限する。前記制御部は、前記ターゲット部材に供給される電圧を制御する。
【0022】
他の側面において、センタードアークイオンプレーティング蒸着装置の前記冷却手段は両端が開放され、前記ターゲット部材内において前記注入口に流入された冷却水が一端に流入されて他端を介して前記排出口に排出できるように案内するように前記他端が前記排出口を包むことができるように前記ターゲット部材の内部において垂直に装着された案内管をさらに備えることが好ましい。
【0023】
他の側面において、センタードアークイオンプレーティング蒸着装置の前記支持台は、前記冷却水が前記ターゲット部材の外周部に流入して中央に排出できるように、前記排出口が半径方向に前記支持台の中央部に形成され、前記注入口は半径方向に前記排出口と一定間隔離隔して形成されることが好ましい。この場合、前記案内管は前記注入口に流入された冷却水が外周面に沿って流れて内周面に流入して前記排出口に排出できるように前記注入口が前記案内管の外部に位置するように形成される。
【発明の効果】
【0024】
実施形態は、蒸着対象物に対する均一なコーティング層の形成及び蒸着対象物の種類に応じてコーティングされる物質の移動を制御することにより、高品質のコーティング層を有する蒸着対象物を製造できるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を提供することができる。
【0025】
実施形態は、ガス供給手段において工程ガスを混合し、混合された工程ガスがガス噴射手段の長さ方向に沿って形成された第2噴射孔を介して真空チャンバの内部に噴射される。そのため、真空チャンバ内において工程ガスが均一に混合されるだけでなく、均一に分布させることができる。これにより、蒸着された基板の色調節及び厚さ調節を容易にすることができる。
【0026】
実施形態は、支持台を介してターゲット部材の内部に冷却水が供給されて排出される。そのため、ターゲット部材が加熱されても冷却水がターゲット部材を冷却させるので、ターゲット部材が過熱することを防止する。従って、ターゲット部材において金属原子の放出効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】本発明の実施形態によるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を概略的に示した図である。
図1b】本発明の実施形態によるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を概略的に示した図である。
図2】本発明の実施形態によるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を上部側から見たもので、その内部を概略的に示した図である。
図3】ガス噴射手段を概略的に示した図である。
図4】ガス噴射手段における噴射孔を概略的に示した図である。
図5】ターゲット部材と冷却手段の拡大図である。
図6】本発明の実施形態に装着されるジグ装置を概略的に示した図である。
図7】本発明の実施形態によってジグ装置が設置されたセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置の内部を概略的に示した図である。
図8】本発明の他の実施形態によるアークイオンプレーティング蒸着装置の斜視図である。
図9】ジグ装置が設置された図8のアークイオンプレーティング蒸着装置の内部を概略的に示した図である。
図10図8のアークイオンプレーティング蒸着装置を平面図であって、内部を概略的に示した図である。
図11】ガス噴射手段に設置されたマスク装置の動作を説明するための概略図である。
図12】本発明の実施形態によるアークイオンプレーティング蒸着装置を構成する制御部及びパワー部がアークスポットを制御する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は多様な変換を加えられることができ、様々な実施形態を有することができるため、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明において詳しく説明する。本発明の効果及び特徴、そしてそれらを達成する方法は図面と共に詳細に後述される実施形態を参照すれば明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるのではなく、多様な形態で実現できる。以下の実施形態において、「第1」、「第2」などの用語は限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用される。また、単数の表現は文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。また、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在することを意味するものであり、1つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。また、図面では説明の便宜のために構成要素のサイズを誇張または縮小することがある。例えば、図面において示された各構成のサイズ及び厚さは説明の便宜のために任意に示しているため、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明し、図面を参照して説明する時、同一または対応する構成要素は同一の図面符号を付与し、これに関する重複した説明は省略する。
【0030】
図1a及び図1bは、本発明の実施形態によるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を概略的に示した図であり、図2は、本発明の実施形態によるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置を上部側から見たもので、その内部を概略的に示した図であり、図3は、ガス噴射手段を概略的に示した図であり、図4は、ガス噴射手段における噴射孔を概略的に示した図である。
【0031】
図1aないし図4を参照して、本発明によるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置の一実施形態を説明する。
【0032】
本発明の実施形態によるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置1は、真空チャンバ10と、円筒形のターゲット部材15と、トリガー20と、ガス供給手段25と、ガス噴射手段30と、スポット遮断部35と、イオンソース16と、制御部(図示せず)とを含む。
【0033】
本発明の実施形態によるセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置1は、2ドアタイプで構成されてもよい。真空チャンバ10は、第1ドアチャンバ10aと第2ドアチャンバ10bとから構成され、第1ドアチャンバ10aと第2ドアチャンバ10bのいずれか1つはメインチャンバ10cと締結され、蒸着工程を行うことができる。
【0034】
第1及び第2ドアチャンバ10a、10bのそれぞれには円筒形のターゲット部材15と、トリガー20と、ガス供給手段25と、ガス噴射手段30と、スポット遮断部35と、少なくとも1つのイオンソース16と、制御部とが備えられてもよい。
【0035】
真空チャンバ10では、真空ポンプにより内部空間の圧力が真空状態に維持される。
【0036】
真空チャンバ10には排気口11が形成され、真空ポンプが動作すると、真空チャンバ10内部の空気は真空ポンプにより排気口11を介して排出されて真空に維持される。
【0037】
排気口11は真空チャンバ10の一側面に位置してもよい。排気口11はメインチャンバ10cに設置されてもよい。
【0038】
様々な実施形態において、排気口11はメインチャンバ10c内の後側面に位置してもよい。
【0039】
第1及び第2ドアチャンバ10a、10bのいずれか1つとメインチャンバ10cが締結された状態での真空チャンバ10の内部真空圧力は大体1.0~5.0×10-5Torrであるが、これに制限されるものではない。
【0040】
ターゲット部材15は、被蒸着物の表面に蒸着される被膜のソースの役割を果たす。主に、チタン(Ti)やジルコニウム(Zr)などのチタン族元素で形成され、真空チャンバ10の内部の中心部において上段から下段に装着される。ターゲット部材15には上段及び下段から電圧が印加され、電圧が供給されアークスポットが発生すると、表面粒子が気化またはイオン化される。そのため、蒸発した金属イオンなどは電場、拡散などにより移動する。この時、真空チャンバ10内に工程ガスが投入されると、蒸発された金属イオンと工程ガスが結合して被蒸着物に蒸着される。
【0041】
トリガー20はターゲット部材15にアークを発生させる。アークが発生すると、アークはターゲット部材15の表面に沿って上下に往復移動する。
【0042】
ガス供給手段25は、真空チャンバ10内においてプラズマを生成するための工程ガスを供給する役割を果たす。このために、ガス供給手段25は、複数の供給ガス部26とガス混合部28とを備える。供給ガス部26は注入されるそれぞれのガス別に複数備えられてガスをそれぞれ供給する。供給される工程ガスとしてはアルゴン(Ar)、窒素(N2)、アセチレン(C2H2)、酸素(O2)などがあり、コーティングの色に応じて選択的に注入可能である。
【0043】
ガス混合部28は、供給ガス部26から供給されるそれぞれの工程ガスを混合する。供給ガス部26からそれぞれのガスが真空チャンバ10の内部に直接供給されると、真空チャンバ10内において工程ガスが均一に混合されないのでコーティングの性能が低下する。従って、ガス混合部28は、それぞれの供給ガス部26から供給される工程ガスを混合してこれを真空チャンバ10に供給する。
【0044】
ガス噴射手段30は、ガス供給手段25から工程ガスの供給を受けて真空チャンバ10内に噴射させる。このために、ガス噴射手段30は工程ガスをさらに混合して噴射させるために第1排出管31と、第2排出管33を備える。
【0045】
第1排出管31は、端部においてガス供給手段25から工程ガスの供給を受けることができ、真空チャンバ10の内部においてターゲット部材15から半径方向に一定間隔離隔して垂直に配置される。この時、第1排出管31は長さ方向に沿って複数の第1噴射孔31aが形成されて工程ガスを真空チャンバ10方向に噴射する。第2排出管33は、第1排出管31と一定間隔離隔されて収容部34が形成されるように第1排出管31を収容できるように包む。従って、第1噴射孔31aから噴射された工程ガスは、第2排出管33の内部の収容部34に収容される。そして、第2排出管33は第1噴射孔31aから噴射され、収容部34に収容された工程ガスを真空チャンバ10の内部に噴射できるように長さ方向に沿って一定間隔離隔された複数の第2噴射孔33aが形成される。この時、ガス噴射手段30はガス供給手段25から供給された工程ガスが内部においてさらに混合できるように第1噴射孔31aと第2噴射孔33aの方向が反対に形成されてもよい。すなわち、第1噴射孔31aと第2噴射孔33aが同一の方向に形成されると、第1噴射孔31aから噴射された工程ガスが第2噴射孔33aに直ちに排出できるため、この場合は工程ガスが混合されにくい。従って、第2排出管33の内部においてもう一度混合できるように、第2噴射孔33aは第1噴射孔31aの反対方向に形成される。そのため、第1噴射孔31aから工程ガスが噴射されると、第1排出管31の内部の収容部34に収容された後、収容部34に沿って移動して工程ガスはもう一度混合されてから第1噴射孔31aと反対方向で形成された第2噴射孔33aを介して真空チャンバ10の内部に排出される。一方、第2噴射孔33aは、第2排出管33において長さ方向に沿って複数形成される。従って、第2噴射孔33aは真空チャンバ10の内部において垂直に一定の間隔で形成されて工程ガスを噴射させるので、工程ガスは真空チャンバ10内で均一に分布することができる。
【0046】
この時、ガス噴射手段30は複数形成される。本実施形態の場合、180度間隔の2つのガス噴射手段30が形成される。従って、真空チャンバ10の内部に供給される工程ガスの混合をより均一にするために、1番目のガス噴射手段30の場合はガス供給手段25から第1排出管31の上段に工程ガスが供給され、2番目のガス噴射手段30の場合は第1排出管31の下段に工程ガスが供給される。
【0047】
一方、真空チャンバ10は真空ポンプにより内部が真空に維持される。従って、排気口11を介して内部の空気が持続的に排出される。この時、工程ガスが排気口11の方向に噴射されると、真空ポンプにより外部に容易に排出できるので、ガス噴射手段30は、排出される工程ガスがターゲット部材15に向かって排気口11の反対方向に向かうように第2噴射孔33aが形成される。従って、本実施形態の場合、図2に示すように排気口11の反対方向にターゲット部材15に向かって45度の角度で工程ガスが噴射されるように第2噴射孔33aが形成される。
【0048】
スポット遮断部35は、ターゲット部材15の上部と下部にそれぞれ装着されてアークスポットの移動範囲を制限する。スポット遮断部35は永久磁石を備えて磁場を形成することにより、アークスポットがターゲット部材15に沿ってこれ以上進まないようにする。
【0049】
制御部はターゲット部材15に供給される電圧を制御する。ターゲット部材15には上端及び下端において電位差を有するように互いに異なる電圧が供給される。ここで、制御部は一定の時間間隔で上端と下端において交互に電圧が高くなるように制御する。従って、アークスポットの方向が一定の時間間隔で下方に移動する途中に上方に移動するなど方向を転換させることができる。
【0050】
本実施形態の場合、工程ガスはガス供給手段25において混合されて真空チャンバ10に供給される一方、真空チャンバ10において内部から噴射される前にガス噴射手段30においてもう一度混合されるため、工程ガスを均一に混合することができる。そして、ガス噴射手段30の第2排出管33において第2噴射孔33aが長さ方向に沿って一定間隔離隔して複数形成されるので、工程ガスを真空チャンバ10の内部において均一に分布させるように噴射できるだけでなく、真空チャンバ10の排気口11の反対方向に噴射させるので、工程ガスの損失を少なくすることができる。
【0051】
図5は、ターゲット部材と冷却手段の拡大図である。
【0052】
図1b及び図5を参照すると、ターゲット部材15に電圧が供給されてアークスポットが発生し続ける場合、ターゲット部材15が過熱して抵抗が増加する。従って、これを防止するために、本実施形態のターゲット部材15は一定の厚さを有し、内部に冷却水54を収容できるように中空で形成されて下端が開放される。
【0053】
冷却手段50は、ターゲット部材15が過熱しないようにターゲット部材15の内部に冷却水54を供給して排出させる役割をする。このために、冷却手段50は支持台51及び案内管53を備える。支持台51は、真空チャンバ10の中心部の下部に装着されてターゲット部材15が真空チャンバ10の中心部において上下に配置されるようにターゲット部材15の下端を支持する。ここで、支持台15は、ターゲット部材15に冷却水54を供給するための注入口51aと、ターゲット部材15に収容された冷却水54を排出させるための排出口51bが形成される。ここで、冷却水54がターゲット部材15の内周面に供給されて中央から排出されるように排出口51bは中央部に形成され、注入口51aは排出口51bから半径方向に一定間隔離隔して形成される。これは、注入口51aから流入した冷却水54がターゲット部材15に接触してターゲット部材15を冷却させ、ターゲット部材15から加熱された冷却水54をターゲット部材15の中央から排出させるためである。
【0054】
案内管53は、ターゲット部材15内において冷却水54が内周面に沿って流れて中心部に行けるように案内する役割をする。このために、案内管53は両端が開放され、ターゲット部材15内に装着される。この時、案内管53は注入口51aを介してターゲット部材15に流入した冷却水54が軸方向にターゲット部材15の内周面に沿って流れて案内管53の一端に流入した後、案内管53の他端を介して出口51bに出るように配置される。従って、案内管53は他端が排出口51bを包むように垂直に装着され、注入口51aは案内管53の外部に位置する。
【0055】
より具体的に、冷却水54によりターゲット部材15が冷却される原理は、支持台51に備えられた注入口51aを介して冷却水54が注入されると、案内管53とターゲット部材15の内面との間に沿って冷却水54が移動して過熱したターゲット部材15から熱を吸収する。その後、ターゲット部材15の熱を吸収した冷却水54は、案内管53の内面に沿って支持台51に設けられた排出口51bに移動した後、外部に排出される。
【0056】
図6は、本発明の実施形態に装着されるジグ装置を概略的に示した図である。
【0057】
図6において、(a)はジグ装置の平面図であり、(b)はジグ装置の正面図とジグ装置を一部である蒸着対象物とジグアームを拡大して表示したものである。
【0058】
図7は、本発明の実施形態によってジグ装置が設置されたセンタードアークイオンプレーティング蒸着装置の内部を概略的に示した図である。
【0059】
図1a、図6及び図7を参照すると、ジグ装置80は第1ドアチャンバ10a及び第2ドアチャンバ10bに装着される。ジグ装置80は、第1ドアチャンバ10a及び第2ドアチャンバ10bのそれぞれに備えられた自転装置38に設置されて自転しながら回転する。また、複数のジグ装置80が第1ドアチャンバ10a及び第2ドアチャンバ10bに装着され、第1ドアチャンバ10a及び第2ドアチャンバ10bのそれぞれ備えられた公転装置39によりターゲット部材15を中心に公転回転することができる。ジグ装置80は、自転装置38により後述するジグ棒81を1つの軸にしてこれを中心に自転し、公転装置39により公転することによりジグ装置80に搭載された複数の蒸着対象物90の表面にコーティング層を形成することができる。また、第1ドアチャンバ10a及び第2ドアチャンバ10bのいずれか1つがメインチャンバ10cと締結されて蒸着工程が進行している時、蒸着工程が完了した他のドアチャンバ内においてジグ装置80を分離し、ジグ装置80に据置された蒸着対象物90をジグ装置80から分離してコーティングされた蒸着対象物90を取得することができる。
【0060】
ジグ装置80は、ジグ棒81、ジグプレート82及びジグアーム83で構成される。ジグ棒81の下側部位は、自転装置38上に締結される構造で形成されてもよい。
【0061】
ジグ棒81にはジグプレート82が設置される。ジグプレート82は複数で構成され、これらは互いに離隔してジグ棒81に設置される。従って、複数のジグプレート82は多層構造でジグ棒81に設置されてもよい。
【0062】
ジグプレート82上には複数のジグアーム83が形成される。複数のジグアーム83のそれぞれは、ジグプレート82から延長されて所定の角度で傾いた形態で構成されてもよい。ジグアーム83のそれぞれには蒸着対象物90が据置されることができる。ジグアーム83が所定の角度で傾いた形態を有するため、ジグアーム83に据置された蒸着対象物90も所定の角度で傾いた形態で据置される。ただし、ジグ装置80のジグアーム83が前述の内容や図面の図示のものに限定されるものではなく、多様な形態を有することができ、これは蒸着対象物90の種類及びコーティング層の成分に応じて異なる。
【0063】
図8は、本発明の他の実施形態によるアークイオンプレーティング蒸着装置の斜視図であり、図9は、ジグ装置が設置された図8のアークイオンプレーティング蒸着装置の内部を概略的に示した図であり、図10は、図8のアークイオンプレーティング蒸着装置を平面図であって、内部を概略的に示したものであり、図11は、ガス噴射手段に設置されたマスク装置の動作を説明するための概略図である。
【0064】
図8ないし図11を参照すると、本発明の他の実施形態によるアークイオンプレーティング蒸着装置1のガス噴射手段30にはマスク装置70が設置されてもよい。
【0065】
180度間隔で円筒形のターゲット部材15を挟んで位置する2つのガス噴射手段30のそれぞれにはマスク装置70が設置されてもよい。2つのマスク装置70は互いに対向して位置してもよい。
【0066】
マスク装置70は、ガス噴射手段30の上側領域に位置してもよい。
【0067】
マスク装置70は、回転部71及び拡張型マスク部72を含んでもよい。
【0068】
回転部71は、ガス噴射手段30に設置されてもよい。回転部71は、ガス噴射手段30の一領域の周りに沿って設置されてもよい。拡張型マスク部72は、回転部71に設置されてもよい。制御部は、回転部71を制御して拡張型マスク部72がガス噴射手段30の周りに沿って所定の回転角度で回転するように制御する。制御部は、回転部71を制御して拡張型マスク部72の位置を制御することにより、ガス噴射手段30から噴射されるガスが噴射される量や方向を調節することができ、円筒型のターゲット部材15の表面粒子が気化またはイオン化される時の蒸発した金属イオンなどの電場、拡散などにより移動を制御して蒸着対象物90の表面のコーティング層の均一性を一層高めることができる。
【0069】
拡張型マスク部72はプレートタイプで構成されてもよい。拡張型マスク部72は、メインマスク72aと第1及び第2補助マスク72b、72cで構成される。第1補助マスク72bはメインマスク72aの内部に収納可能であり、第2補助マスク72cは第1補助マスク72bの内部に収納可能であるため、結果的にメインマスク72aの内部に収納可能に構成される。
【0070】
メインマスク72aの下側方向に第1補助マスク72bがメインマスク72aから引き出し可能で、第1補助マスク72bの下側方向に第2補助マスク72cが第1補助マスク72bから引き出し可能に構成される。
【0071】
制御部は、第1及び第2補助マスク72b、72cの引き出し又は収納を制御することにより、拡張型マスク部72の全体サイズを調節することができる。詳しくは、制御部は拡張型マスク部72の上下長さを調節することができる。
【0072】
多様な実施形態において、拡張型マスク部72のサイズの変更に応じてガス噴射手段30に備えられた複数の第2噴射孔33aのうち少なくとも一部が隠れることができる。
【0073】
多様な実施形態において、拡張型マスク部72のサイズの変更と関係なく、拡張型マスク部72が回転部71上での回転角度に応じて複数の第2噴射孔33aが全て開放されることができる。
【0074】
また、複数の第2噴射孔33aのうち少なくとも一部の第2噴射孔から出力されるガスは拡張型マスク部72に噴射され、拡張型マスク部72が回転部71上での回転角度に応じてガスが拡張型マスク部72により反射されて他の方向に拡散することもできる。
【0075】
制御部は、拡張型マスク部72のサイズ調節及び回転部71による拡張型マスク部72の位置を調節することにより、蒸着対象物90に拡散するイオン、ガス噴射手段30から噴射されるガスの拡散の方向や特定方向への移動量を物理的に制御することができる。従って、ジグ装置80上に搭載された蒸着対象物90の個数、種類、コーティング層の成分に柔軟に対応して均一かつ高品質のコーティング層を蒸着対象物90に適用することができる。
【0076】
図12は、本発明の実施形態によるアークイオンプレーティング蒸着装置を構成する制御部及びパワー部がアークスポットを制御する方法を説明するための図である。
【0077】
図12を参照すると、実施形態において制御部200とパワー部300は互いに物理的に分離して構成されてもよい。制御部200はパワー部300と制御線で連結されて相互通信が可能である。様々な実施形態において、制御部200は外部コンピューティング装置と通信データを交換することができる。制御部200は、高電圧による触発やトリガー20による触発により円筒形のターゲット部材15にアーク放電を起こすことができる。
【0078】
また、パワー部300は、円筒形のターゲット部材15の一端と他端のそれぞれの電極に電圧を印加し、各電極に印加される電圧の時間制御によりアーク時間を調節することができ、アークスポットの速度及び出力を制御することができる。
【0079】
以上、本発明による実施形態は、多様なコンピュータ構成要素により実行できるプログラム命令語の形態で実現されてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることができる。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令語、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含んでもよい。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるプログラム命令語は、本発明のために特別に設計及び構成されたものであるか、コンピュータソフトウェア分野の当業者に公知されて使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープなどの磁気媒体、CD-ROM及びDVDなどの光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)などの磁気-光媒体(magneto-optical medium)、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどの、プログラム命令語を保存及び実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令語の例としては、コンパイラにより作成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを使用してコンピュータにより実行できる高級言語コードも含まれる。ハードウェア装置は、本発明による処理を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールに変更されてもよく、その逆も同様である。
【0080】
本発明において説明する特定の実行は一実施形態であり、いかなる方法も本発明の範囲を限定するものではない。明細書を簡潔にするために、従来の電子的構成、制御システム、ソフトウェア、前記システムの他の機能的側面の記載は省略されることができる。また、図面に示された構成要素間の線の連結または連結部材は、機能的な連結及び/又は物理的または回路的連結を例示的に示したものであり、実際の装置では代替可能であるか、追加の多様な機能的連結、物理的連結、または回路連結として表されることができる。また、「必須的な」、「重要に」などのように具体的な言及がなければ、本発明の適用のために必ず必要な構成要素ではない可能性もある。
【0081】
また、前述の本発明の詳細な説明では、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者又は当該技術分野に通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることが理解できる。従って、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるのではなく、特許請求範囲により定められなければならない。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12