(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080599
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ナイアシンアミド及びローヤルゼリーを有効成分として含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20240606BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240606BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240606BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A61K8/67 ZNA
A61K8/49
A61Q19/00
A61K8/98
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149826
(22)【出願日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2022193436
(32)【優先日】2022-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀人
(72)【発明者】
【氏名】石川 朋美
(72)【発明者】
【氏名】坪川 涼
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA072
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD631
4C083AD632
(57)【要約】
【課題】皮膚保湿機能向上用組成物を提供する。
【解決手段】ナイアシンアミド及びローヤルゼリーを有効成分として含む皮膚保湿機能向上用組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイアシンアミド及びローヤルゼリーを含む皮膚保湿機能向上用組成物。
【請求項2】
ナイアシンアミド及びローヤルゼリーを含むフィラグリン発現促進用組成物。
【請求項3】
化粧品又は医薬部外品である、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚保湿機能向上用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
ローヤルゼリーは蜜蜂の唾液腺で合成され、頭部にあるマンデブラー腺から分泌されるミルク状の物質で、女王蜂幼虫用の巣房に入れられた幼虫蜂に対して働き蜂が女王蜂を作るために与えるものである。現在、ローヤルゼリーは健康食品、医薬品、化粧品など世界中で広く利用されており、有効性として、血流増加作用、血圧降下作用、成長促進作用、性ホルモン様作用、抗菌作用、抗腫瘍作用、創傷治癒促進作用、自律神経失調症治癒作用、抗ストレス作用、カルシウム吸収促進作用、血糖値低下作用、抗酸化作用等が報告されている。さらに、ローヤルゼリーには、保湿効果(非特許文献1)があることが報告されている。
【0003】
ナイアシンアミドは水溶性ビタミンであるビタミンB群の一つであり、ニコチン酸アミドとも呼ばれる。ナイアシンアミドには、保湿遺伝子の発現上昇作用(非特許文献2)、保湿効果(特許文献1)があることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】JADS:Japan Aesthetic Dermatology Symposium,Vol.6,No.1,2013.
【非特許文献2】International Journal of Cosmetic Science,2019,41,534-547
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、皮膚保湿機能向上用組成物等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のように、ナイアシンアミドとローヤルゼリー単独では、保湿遺伝子の発現上昇作用が報告されている。しかしながら、これらの2素材を組み合わせた報告はない。そこで、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ナイアシンアミドとローヤルゼリーとを組み合わせることにより、角化細胞においてフィラグリンの発現を相加的に上昇させることができることを見出した。
【0008】
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の皮膚保湿機能向上用組成物等を提供するものである。
【0009】
項1.ナイアシンアミド及びローヤルゼリーを含む皮膚保湿機能向上用組成物。
項2.ナイアシンアミド及びローヤルゼリーのみを有効成分として含む皮膚保湿機能向上用組成物。
項3.ナイアシンアミド及びローヤルゼリーを含むフィラグリン発現促進用組成物。
項4.化粧品又は医薬部外品である、項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
ナイアシンアミドとローヤルゼリーとの組合せは、皮膚保湿機能向上用組成物の有効成分として有用である。また、ナイアシンアミドとローヤルゼリーとの組合せは、フィラグリン発現促進用組成物の有効成分としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ローヤルゼリーとナイアシンアミドの併用によるフィラグリン発現量に対する影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明の皮膚保湿機能向上用組成物は、ナイアシンアミド及びローヤルゼリーを有効成分として含むことを特徴とする(以下、「本発明の組成物」と称することもある)。
【0014】
(ナイアシンアミド)
ナイアシンアミドは、ナイアシン(ビタミンB3)のアミドである。ナイアシンは、人体内で500以上もの酵素の補酵素として機能しており、心身の健康維持に不可欠なものである(例えば、特開2022-124931号公報等参照)。ナイアシンアミドは、生物由来、合成由来、生物由来のナイアシンをアミド化した半合成由来のいずれを用いてもよい。生物由来のナイアシンアミドとしては、ナイアシンアミドを含む植物等の粉末、抽出物等が挙げられ、これらはそのまま、又は精製して使用することができる。ナイアシンアミドとしては、具体的には、第18改正日本薬局方に記載されているものを用いることができる。
【0015】
(ローヤルゼリー)
ローヤルゼリーは、蜜蜂のうち日齢3~12日の働き蜂が下咽頭腺及び大腮腺から分泌する分泌物を混合して作る乳白色のゼリー状物質である。ローヤルゼリー中の主な生理活性成分としては、例えば、ローヤルゼリーに特有な10-ハイドロキシ-2-デセン酸(以下、「デセン酸」と記載する)等の有機酸類をはじめ、タンパク質、脂質、糖類、ビタミンB類、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸等のビタミン類、各種ミネラル類等が挙げられる。本発明におけるローヤルゼリーには、生ローヤルゼリー、乾燥ローヤルゼリー、乾燥ローヤルゼリー粉末、酵素処理ローヤルゼリー、ローヤルゼリー抽出物、ローヤルゼリー発酵物などが含まれる。また、ローヤルゼリーの産地は、ヨーロッパ諸国、オセアニア諸国、アメリカ、ブラジル、日本、中国、その他アジア諸国等いずれであってもよい。
【0016】
乾燥ローヤルゼリー粉末は、生ローヤルゼリーを乾燥させて粉末化したものである。
【0017】
酵素処理ローヤルゼリーは、ローヤルゼリーをタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)で処理したものである。好ましくは、プロテアーゼ処理によってローヤルゼリーに含まれるタンパク質に起因するアレルギー反応が抑制されてなる、低アレルゲン化酵素処理ローヤルゼリーである。したがって、酵素処理ローヤルゼリーに含まれる成分としては、ローヤルゼリー中に含まれるタンパク質のプロテアーゼ分解物の他に、前述するデセン酸等の有機酸類、脂質、糖類、ビタミン類、及び各種ミネラル類が挙げられる。
【0018】
酵素処理ローヤルゼリーの製造に用いられるローヤルゼリーとしては、特に制限されず、例えば、生ローヤルゼリー、生ローヤルゼリーを乾燥させて粉末化したローヤルゼリー粉末、又は生ローヤルゼリーを水若しくは含水エタノール等により抽出したものが挙げられる。
【0019】
酵素処理ローヤルゼリーの製造は、ローヤルゼリー原料を少なくともエンドペプチダーゼ作用を有する酵素、少なくともエキソペプチダーゼ作用を有する酵素、及び/又はエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用とを有する酵素で処理することにより行うことができる。
【0020】
少なくともエンドペプチダーゼ活性を有するタンパク質分解酵素としては、動物由来(例えば、トリプシン、キモトリプシン等)、植物由来(例えば、パパイン等)、微生物由来(例えば、乳酸菌、酵母、カビ、枯草菌、放線菌等)のエンドペプチダーゼなどが挙げられる。
【0021】
少なくともエキソペプチダーゼ活性を有するタンパク質分解酵素としては、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、微生物由来(例えば、乳酸菌、アスペルギルス属菌、リゾープス属菌等)のエキソペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ活性も併せて有するパンクレアチン、ペプシン等が挙げられる。
【0022】
このような各種酵素の内、エキソペプチダーゼ活性とエンドペプチダーゼ活性の両方を有する酵素の好ましい例としては、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)産生ペプチダーゼ(商品名:アクチナーゼAS)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼA、フレーバーザイム、プロテアックス)、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼP)が、またエキソペプチダーゼ活性を有する酵素の好ましい例としては、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:ウマミザイムG、Promod 192P、Promod 194P、スミチームFLAP)、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus sojae)産生ペプチダーゼ(商品名:Sternzyme B15024)、アスペルギルス属産生ペプチダーゼ(商品名:コクラーゼP)、リゾプス・オリゼー(Rhizopus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR)を挙げることができる。更にエンドペプチダーゼ活性を有する酵素の好ましい例としては、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)産生ペプチダーゼ(商品名:オリエンターゼ22BF、ヌクレイシン)、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)産生ペプチダーゼ(商品名:アルカラーゼ)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼS)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)産生ペプチダーゼ(商品名:ニュートラーゼ)、バチルス属産生ペプチダーゼ(商品名:プロタメックス)を挙げることができる。
【0023】
ローヤルゼリーのアレルギー性を低減するための酵素処理は、例えば、特開2007-295919号公報及び特開2007-295920号公報の記載に従い行うことができる。
【0024】
ローヤルゼリー抽出物は、ローヤルゼリー(生、乾燥物及び粉砕物を含む)を水又は含水エタノール等により抽出したものである。
【0025】
ローヤルゼリー発酵物は、酵母、乳酸菌等の微生物を使用して常法により製造することができる。
【0026】
本発明の組成物中には、本発明の効果を妨げない範囲で、上記以外の公知の成分を適宜配合することができる。
【0027】
本発明の組成物中のナイアシンアミドの含量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されず、最終形態等に応じて適宜調整することができ、組成物中の、固形分全量に対して、例えば、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよく、99.9質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよい。
【0028】
本発明の組成物中のローヤルゼリーの含量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されず、最終形態等に応じて適宜調整することができ、組成物中の、固形分全量に対して、例えば、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよく、99.9質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよい。
【0029】
本発明の組成物中には、ナイアシンアミド1質量部に対して、ローヤルゼリーが、固形分量で、0.01質量部以上、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、4質量部以上、5質量部以上、6質量部以上、7質量部以上、8質量部以上、9質量部以上、10質量部以上、又は50質量部以上含まれていてもよく、100質量部以下、10質量部以下、9質量部以下、8質量部以下、7質量部以下、6質量部以下、5質量部以下、4質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、1質量部以下、又は0.1質量部以下含まれていてもよい。
【0030】
本発明の組成物が非経口投与される場合の投与量は、有効成分、適用する部位及び適用範囲によって異なり得るが、例えば、ローヤルゼリーの皮膚への適用量は、乾燥固形分換算で、例えば、0.01mg~50mg、好ましくは0.02mg~40mg、より好ましくは0.02mg~35mg、又は0.025mg~30mgである。また、ナイアシンアミドの皮膚への適用量は、乾燥固形分換算で、例えば、0.006mg~30mg、好ましくは0.012mg~24mg、より好ましくは0.012mg~21mg、又は0.015mg~18mgである。
【0031】
本発明の組成物は、一日当たりの有効投与量が上述した範囲内にあれば、一日一回投与されてもよいし、一日二回、一日三回等、複数回に分けて投与されてもよい。本発明の組成物は、投与してすぐ効果が得られるが、1~4週間又は1か月以上、6か月以上、1年以上の継続的な投与は、効果をより持続できるため、好ましい。
【0032】
本発明の組成物は、化粧品、医薬部外品などとして使用することができる。また、本発明の組成物は、皮膚保湿機能向上作用を付与する添加剤についての意味も包含するものである。
【0033】
上記の化粧品には、上記ナイアシンアミド及びローヤルゼリー以外に、通常化粧品に用いられる成分、例えば、殺菌剤、保存剤、界面活性剤、アルコール類、水性成分、水、着色剤、pH調整剤、溶解補助剤、研磨剤、発泡剤、酵素、香味剤、キレート剤、賦形剤、増粘剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤、油剤、清掃剤(乳酸菌)等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0034】
化粧品には、動物(ヒトを含む)の皮膚、粘膜、体毛、頭髪、頭皮、爪、歯、顔皮、口唇等に適用されるあらゆる化粧品が含まれる。
【0035】
化粧品の剤型は、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水-油2層系、水-油-粉末3層系等、幅広い剤型を採り得る。
【0036】
化粧品の用途も任意であり、例えば、基礎化粧品であれば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス、美容液、パック、マスク等が挙げられ、メークアップ化粧品であれば、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等が挙げられ、ネイル化粧料であれば、マニキュア、ベースコート、トップコート、除光液等が挙げられ、その他、洗顔料、(練又は液体)歯磨剤、マウスウォッシュ、マッサージ用剤、クレンジング用剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、シェービングクリーム、ボディソープ、石けん、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、整髪料、ヘアートニック剤、育毛剤、制汗剤、入浴剤等が挙げられる。
【0037】
なお、本発明の化粧品には、医薬部外品も包含される。
【0038】
以上説明した本発明の組成物は、ヒトを含む哺乳動物(好ましくはヒト)に対して適用されるものである。
【0039】
本発明の組成物は、ナイアシンアミドとローヤルゼリーとの相加作用に基づき皮膚保湿機能向上作用(フィラグリンのような保湿機能関連遺伝子発現促進作用)を発揮することができる。そのため、ナイアシンアミドとローヤルゼリーとの組合せは、皮膚保湿機能向上用組成物の有効成分として有用である。また、ナイアシンアミドとローヤルゼリーとの組合せは、フィラグリン発現促進用組成物の有効成分としても有用である。フィラグリン発現促進用組成物には、皮膚保湿機能向上用組成物の前述する記載(ナイアシンアミド、ローヤルゼリーの含量、用量など)と同様のものを適用できる。
【0040】
なお、本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
試験例1(保湿機能関連遺伝子発現解析)
1.試薬と方法
1.1.試薬
・Accutase(ナカライテスク株式会社,Cat:AT104)
・Penicillin-Streptomycin Mixed Solution(Stabilized)(ナカライテスク株式会社,Cat:09367-34)
・Keratinocyte Basal Medium 2(フェノールレッド不含)(タカラバイオ株式会社,Cat:D12004)
・Keratinocyte Basal Medium 2 SupplementMix(タカラバイオ株式会社,Cat:D13017)
・NucleoSpin(登録商標) RNA Plus(タカラバイオ株式会社,Cat:U0984C)
・ReverTra Ace qPCR RT Kit(東洋紡株式会社,Cat:FSQ-101)
・SsoAdvanced Universal SYBR Green Supermix(BioRad,Cat:1725271B02)
・Water for cell biology,sterile ultrafiltered(Sigma-Aldrich,Cat:95289)
・ニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)(富士フイルム和光純薬株式会社,Cat:141-01202)
・ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Ca,Mg不含)(液体)(ナカライテスク株式会社,Cat:14249-95)
【0043】
1.2.使用細胞
・NHEK f-c pooled(タカラバイオ株式会社,Cat:C-12005,Lot:470Z031)
【0044】
1.3.器具
・BioLite 24 well Multidish(Thermo Fisher Sceintific,Cat:930186)
・BioLite 75cm2 Flask,Vented(Thermo Fisher Sceintific,Cat:130190)
・DISMIC-25CS(アドバンテック東洋株式会社,Cat:25CS020AS)
【0045】
1.4.機器
・CFX96 Touch リアルタイムPCR 解析システム(BioRad)
・NanoDrop One 分光光度計(Thermo Fisher Sceintific)
【0046】
1.5.細胞の準備
NHEK f-c pooled(角化細胞)はKeratinocyte Basal Medium 2,Keratinocyte Basal Medium 2 SupplementMix,1% penicillin/streptomycinを混合した培地(KGM2)にて維持した。70-80%コンフルエントまで培養後、PBSで洗浄し、Accutaseにて剥離する。剥離した細胞を回収した後に、遠心分離(240xg,3min,室温)し細胞沈殿物を得た。細胞はKGM2に懸濁し実験に用いた。角化細胞は3.8x104cells/wellとなるようにBioLite 24 well Multidish(24 well plate)に播種し、24時間後実験に用いた。
【0047】
1.6.被験物質の調製
生ローヤルゼリーを乾燥、粉末化したものをローヤルゼリー粉末として実験に用いた。ローヤルゼリー粉末(nRJ)及びニコチン酸アミド(NA)はwater for cell biology,sterile ultrafiltered(dH2O)にて100mg/mlとなるように溶解し、DISMIC-25CSにて滅菌濾過した。試験には各濃度にdH2Oを用いて希釈後、dH2O終濃度が1%となるようにKGM2と懸濁して使用した。
【0048】
1.7.被験物質の添加
細胞播種後24時間経過した角化細胞の培養上清を取り除き、1.6.で調製した被験物質入り培地に交換した。3日間培養した後、遺伝子発現解析に使用した。
【0049】
1.8.遺伝子発現解析
遺伝子発現解析用のサンプル回収は培養上清を除去し、PBSにて一度洗浄した。その細胞に対し、NucleoSpin(登録商標) RNA Plus内のLysis Buffer LBPにて溶解することでサンプルを得た。Total RNAはNucleoSpin(登録商標) RNA Plusのマニュアルに従い調製し、total RNA濃度はNanoDrop Oneにより定量した。500ngのtotal RNAをReverTra Ace qPCR RT Kitにて逆転写し、cDNAを調製した。cDNA中の各遺伝子発現量は表1に示したプライマーでSsoAdvanced Universal SYBR Green Supermixを用いて、CFX96 Touch リアルタイムPCR 解析システムにより算出した。この試験のリファレンス遺伝子にはRPLP0を用いた。
【0050】
【0051】
1.9.統計解析
全ての結果は平均±標準偏差で示した。統計解析はGraphPad Prism version 7(GraphPad Software,CA,USA)にてTukey’s testを用い、有意水準は両側検定で5%とした。
【0052】
2.結果
ローヤルゼリー(nRJ)とナイアシンアミド(NA)を併用してNHEKに添加した際のフィラグリン(FLG)の遺伝子発現への影響を
図1に示す。
【0053】
ナイアシンアミド(NA)4mMとローヤルゼリー(nRJ)800μg/mlの組み合わせは単独より上昇していることが認められた。