(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080601
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】基板処理方法、熱処理装置、及び半導体製造設備
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240606BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H01L21/30 567
H01L21/324 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158231
(22)【出願日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2022-0165526
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518162784
【氏名又は名称】セメス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オウ,ミョン ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソン ギュ
【テーマコード(参考)】
5F146
【Fターム(参考)】
5F146KA04
5F146KA10
(57)【要約】
【課題】設定された温度で均一にウエハー熱処理が行われるようにする基板処理方法、熱処理装置、及び半導体製造設備を提供する。
【解決手段】本発明による基板処理方法は、複数の温度センサーが備えられたセンサー基板を用いて、加熱プレートに備えられたヒーターの出力を決定するステップと、ヒーターの出力に応じて基板に対する熱処理を行うステップと、を含む。ヒーターの出力を決定するステップは、ヒーターの初期出力を介してセンサー基板を加熱するステップと、センサー基板の温度分布を測定するステップと、センサー基板の測定された温度分布とセンサー基板の目標温度分布との偏差、及び加熱プレートにおける特定加熱領域の温度変化によるセンサー基板における各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、加熱プレートの目標温度分布変化量を決定するステップと、加熱プレートの目標温度分布変化量に応じてヒーターの出力を調節するステップと、を含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理方法であって、
複数の基板温度センサーが備えられたセンサー基板を用いて、加熱プレートに備えられたヒーターの出力を決定するステップと、
前記ヒーターの出力に応じて基板に対する熱処理を行うステップと、を含み、
前記ヒーターの出力を決定するステップは、
前記ヒーターの初期出力を介して前記センサー基板を加熱するステップと、
前記センサー基板の温度分布を測定するステップと、
前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差、及び前記加熱プレートにおける特定加熱領域の温度変化による前記センサー基板における各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を決定するステップと、
前記加熱プレートの目標温度分布変化量に応じて前記ヒーターの出力を調節するステップと、を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記加熱プレートの目標温度分布変化量は、下記数式によって決定され、
【数1】
ΔT
Heaterは、前記加熱プレートの目標温度分布変化量に該当し、Kは、前記伝達係数からなる行列であり、ΔT
waferは、前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差に該当する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記加熱プレートの目標温度分布変化量を決定するステップは、前記伝達係数の行列と前記加熱プレートの加熱領域別目標温度変化値のベクトルとの積によって計算される前記センサー基板の温度制御領域別予想温度変化値のベクトルと、前記温度制御領域別目標温度変化値のベクトルとの偏差が最小限に抑えられる前記加熱プレートの加熱領域別目標温度変化値のベクトルを計算するステップを含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記センサー基板の温度制御領域は、前記センサー基板の温度を測定する基板温度センサーの位置に対応する、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記伝達係数は、前記加熱プレートの加熱領域別温度変化による前記センサー基板の温度分布変化を測定した実験データによって定義される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記ヒーターの調節された出力に応じて加熱された前記センサー基板の温度分布を測定するステップと、
前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布とを比較して、前記センサー基板の測定された温度分布が基準範囲に属するか否かを判断するステップと、
前記センサー基板の測定された温度分布が前記基準範囲から外れた場合、前記加熱プレートの前記目標温度分布変化量を再調節するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差に応じて前記伝達係数を更新するステップをさらに含む、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
熱処理を行う熱処理装置であって、
前記基板が装着できる円板状に設けられる加熱プレートと、
前記基板を加熱するための熱を放出するヒーターと、
前記加熱プレートの温度を測定するプレート温度センサーと、
前記ヒーターの出力を制御する制御器と、を含み、
前記制御器は、
複数の基板温度センサーが備えられたセンサー基板を用いて前記ヒーターの出力を決定し、
前記ヒーターの出力に応じて基板に対する熱処理を行うように設定され、
前記ヒーターの出力を決定するために、前記制御器は、
前記ヒーターを介して、前記加熱プレートに位置したセンサー基板を加熱し、
前記センサー基板の測定された温度分布を取得し、
前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差、及び前記加熱プレートにおける特定加熱領域の温度変化による前記センサー基板における各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を決定し、
前記加熱プレートの目標温度分布変化量に応じて前記ヒーターの出力を決定するように設定される、熱処理装置。
【請求項9】
前記加熱プレートの目標温度分布変化量は、下記数式によって決定され、
【数2】
ΔT
Heaterは、前記加熱プレートの目標温度分布変化量に該当し、Kは、前記伝達係数からなる行列であり、ΔT
waferは、前記センサー基板の測定温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差に該当する、請求項8に記載の熱処理装置。
【請求項10】
前記制御器は、前記伝達係数の行列と前記加熱プレートの加熱領域別目標温度変化値のベクトルとの積によって計算される前記センサー基板の温度制御領域別予想温度変化値のベクトルと前記温度制御領域別目標温度変化値のベクトルとの偏差が最小限に抑えられる前記加熱プレートの加熱領域別目標温度変化値のベクトルを計算するように設定される、請求項8に記載の熱処理装置。
【請求項11】
前記センサー基板の温度制御領域は、前記センサー基板の温度を測定する基板温度センサーの位置に対応する、請求項10に記載の熱処理装置。
【請求項12】
前記伝達係数は、前記加熱プレートの加熱領域別温度変化による前記センサー基板の温度分布変化を測定した実験データによって定義される、請求項8に記載の熱処理装置。
【請求項13】
前記制御器は、
前記ヒーターの調節された出力に応じて加熱された前記センサー基板の温度分布を測定し、
前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布とを比較して、前記センサー基板の測定された温度分布が基準範囲に属するか否かを判断し、
前記センサー基板の測定された温度分布が前記基準範囲から外れた場合、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を再調節するように設定された、請求項8に記載の熱処理装置。
【請求項14】
前記制御器は、前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差に応じて前記伝達係数を更新するように設定される、請求項8に記載の熱処理装置。
【請求項15】
半導体製造設備であって、
基板の収納された容器から前記基板を搬送するインデックスモジュールと、
前記基板に対する熱処理を行うベークユニットを含む処理モジュールと、を含み、
前記ベークユニットは、
前記基板が装着できる円板状に設けられる加熱プレートと、
前記基板を加熱するための熱を放出するヒーターと、
前記加熱プレートの温度を測定するプレート温度センサーと、
前記ヒーターの出力を制御する制御器と、を含み、
前記制御器は、
複数の基板温度センサーが備えられたセンサー基板を用いて前記ヒーターの出力を決定し、
前記ヒーターの出力に応じて基板に対する熱処理を行うように設定され、
前記ヒーターの出力を決定するために、前記制御器は、
前記ヒーターを介して、前記加熱プレートに位置したセンサー基板を加熱し、
前記センサー基板の温度分布を測定し、
前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差、及び前記加熱プレートにおける特定加熱領域の温度変化による前記センサー基板における各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を決定し、
前記加熱プレートの目標温度分布変化量に応じて前記ヒーターの出力を決定するように設定される、半導体製造設備。
【請求項16】
前記加熱プレートの目標温度分布変化量は、下記数式によって決定され、
【数3】
ΔT
Heaterは、前記加熱プレートの目標温度分布変化量に該当し、Kは、前記伝達係数からなる行列であり、ΔT
waferは、前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差に該当する、請求項15に記載の半導体製造設備。
【請求項17】
前記制御器は、前記伝達係数の行列と前記加熱プレートの加熱領域別目標温度変化値のベクトルとの積によって計算される前記センサー基板の温度制御領域別予想温度変化値と、前記温度制御領域別目標温度変化値との偏差が最小限に抑えられる前記加熱プレートの加熱領域別目標温度変化値のベクトルを計算するように設定される、請求項15に記載の半導体製造設備。
【請求項18】
前記センサー基板の温度制御領域は、前記センサー基板の温度を測定する基板温度センサーの位置に対応する、請求項17に記載の半導体製造設備。
【請求項19】
前記伝達係数は、前記加熱プレートの加熱領域別温度変化による前記センサー基板の温度分布変化を測定した実験データによって定義される、請求項15に記載の半導体製造設備。
【請求項20】
前記制御器は、
前記ヒーターの調節された出力に応じて加熱された前記センサー基板の温度分布を測定し、
前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布とを比較して、前記センサー基板の測定された温度分布が基準範囲に属するか否かを判断し、
前記センサー基板の測定された温度分布が前記基準範囲から外れた場合、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を再調節し、
前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差に応じて前記伝達係数を更新するように設定される、請求項15に記載の半導体製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法、熱処理装置、及び半導体製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、基板(ウエハー)上に数十~数百ステップの処理工程を経て最終製品を製造する工程であって、工程ごとに当該工程を行う製造設備によって行われることができる。半導体製造工程において、基板上にパターンを形成するための露光(lithography)工程の前に、基板上に液膜を形成する塗布工程が適用される。基板上に液膜を形成し、露光の後に基板に熱エネルギーを印加する熱処理工程(又はベーク工程)が行われる。熱処理工程は、基板の下で基板を支持する加熱プレートから熱エネルギーを基板に印加するが、このとき、基板の全領域にわたって均一に熱エネルギーを加えることが重要である。
【0003】
特に、基板と加熱プレートとの間に一定距離が存在するため、加熱プレートの温度が直接基板に伝達されず、ベークユニット内部の構造や気流などの条件によって基板の領域ごとに温度が均一でないことがある。よって、設定された温度で均一にウエハー熱処理が行われるように、熱処理装置(例えば、ベークユニット)を初期に設置するとき、加熱プレートの温度をどのように設定するかが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設定された温度で均一にウエハー熱処理が行われるようにする基板処理方法、熱処理装置、及び半導体製造設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による基板処理方法は、複数の温度センサーが備えられたセンサー基板を用いて、加熱プレートに備えられたヒーターの出力を決定するステップと、前記ヒーターの出力に応じて基板に対する熱処理を行うステップと、を含む。前記ヒーターの出力を決定するステップは、前記ヒーターの初期出力を介して前記センサー基板を加熱するステップと、前記センサー基板の温度分布を測定するステップと、前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差、及び前記加熱プレートにおける特定加熱領域の温度変化による前記センサー基板における各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を決定するステップと、前記加熱プレートの目標温度分布変化量に応じて前記ヒーターの出力を調節するステップと、を含む。
【0006】
本発明によれば、前記加熱プレートの目標温度分布変化量は、下記数式によって決定される。
【数1】
【0007】
ΔTHeaterは、前記加熱プレートの目標温度分布変化量に該当し、Fは、前記伝達係数からなる行列であり、ΔTwaferは、前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差に該当する。
【0008】
本発明によれば、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を決定するステップは、前記伝達係数の行列と前記加熱プレートの加熱領域別目標温度変化値のベクトルとの積によって計算される前記センサー基板の温度制御領域別予想温度変化値のベクトルと、前記温度制御領域別目標温度変化値のベクトルとの偏差が最小限に抑えられる前記加熱プレートの加熱領域別目標温度変化値のベクトルを計算するステップを含む。
【0009】
本発明によれば、前記センサー基板の温度制御領域は、前記センサー基板の温度を測定する基板温度センサーの位置に対応する。
【0010】
本発明によれば、前記伝達係数は、前記加熱プレートの加熱領域別温度変化による前記センサー基板の温度分布変化を測定した実験データによって定義される。
【0011】
本発明によれば、前記ヒーターの出力を決定するステップは、前記目標温度分布に設定された前記加熱プレートによって加熱された前記センサー基板の温度分布を測定するステップと、前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布とを比較して、前記センサー基板の測定された温度分布が基準範囲に属するか否かを判断するステップと、前記センサー基板の測定された温度分布が前記基準範囲から外れた場合、前記目標温度分布変化量を再調節するステップと、をさらに含む。
【0012】
本発明によれば、基板処理方法は前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差に応じて前記伝達係数を更新するステップをさらに含む。
【0013】
本発明による熱処理装置は、前記基板が装着できる円板状に設けられる加熱プレートと、前記基板を加熱するための熱を放出するヒーターと、前記加熱プレートの温度を測定するプレート温度センサーと、前記ヒーターの出力を制御する制御器と、を含む。前記制御器は、複数の基板温度センサーが備えられたセンサー基板を用いて前記ヒーターの出力を決定し、前記ヒーターの出力に応じて基板に対する熱処理を行うように設定される。前記ヒーターの出力を決定するために、前記制御器は、前記ヒーターを介して、前記加熱プレートに位置したセンサー基板を加熱し、前記センサー基板の測定された温度分布を取得し、前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差、及び前記加熱プレートにおける特定加熱領域の温度変化による前記センサー基板における各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を決定し、前記加熱プレートの目標温度分布変化量に応じて前記ヒーターの出力を決定するように設定される。
【0014】
本発明による半導体製造設備は、基板の収納された容器から前記基板を搬送するインデックスモジュールと、前記基板に対する熱処理を行うベークユニットを含む処理モジュールと、を含む。前記ベークユニットは、前記基板が装着できる円板状に設けられる加熱プレートと、前記基板を加熱するための熱を放出するヒーターと、前記加熱プレートの温度を測定するプレート温度センサーと、前記ヒーターの出力を制御する制御器と、を含む。前記制御器は、複数の基板温度センサーが備えられたセンサー基板を用いて前記ヒーターの出力を決定し、前記ヒーターの出力に応じて基板に対する熱処理を行うように設定される。前記ヒーターの出力を決定するために、前記制御器は、前記ヒーターを介して、前記加熱プレートに位置したセンサー基板を加熱し、前記センサー基板の温度分布を測定し、前記センサー基板の測定された温度分布と前記センサー基板の目標温度分布との偏差、及び前記加熱プレートにおける特定加熱領域の温度変化による前記センサー基板における各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、前記加熱プレートの目標温度分布変化量を決定し、前記加熱プレートの目標温度分布変化量に応じて前記ヒーターの出力を決定するように設定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、伝達係数を用いてセンサー基板の温度偏差を最小限に抑える加熱プレートの目標温度分布変化量を決定することにより均一な熱処理が行われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明が適用できる半導体製造設備の外観を概略的に示す。
【
図4】本発明による熱処理装置において温度設定のために加熱プレートにセンサー基板が装着された状態を示す。
【
図5】本発明による熱処理装置において熱処理が行われる基板が装着された状態を示す。
【
図6】本発明によるベークユニットにおける加熱プレートの加熱領域を示す。
【
図7】本発明によるベークユニットにおいて加熱プレートの温度を測定するプレート温度センサーの配置構成の例を示す。
【
図8】本発明によるベークユニットにおいてセンサー基板の温度を測定する基板温度センサーの配置構成の例を示す。
【
図9】本発明による基板温度変化モデルの例を示す。
【
図10】本発明による基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図12】本発明による基板処理方法においてヒーターの出力を決定する過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。本発明は、種々の異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0018】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたり、同一又は類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付す。
【0019】
また、幾つかの実施形態において、同一の構成を有する構成要素については、同一の符号を用いて代表的な実施形態でのみ説明し、それ以外の他の実施形態では、代表的な実施形態とは異なる構成についてのみ説明する。
【0020】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結(又は結合)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(又は結合)」されている場合だけでなく、別の部材を挟んで「間接的に連結(又は結合)」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
他に定義されない限り、技術的又は科学的用語を含む、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を持っている。一般的に使用される辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明確に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0022】
図1は、本発明が適用できる半導体製造設備1の外観を概略的に示す。
図2は、半導体製造設備1の概略レイアウトを示す。
図3は、半導体製造設備1の塗布ブロック30aを示す。
図1~
図3は、半導体製造設備1の例であって、露光処理のためのフォトレジスト(Photo Resist)液の塗布及び現像処理を行うフォトスピナー設備を示す。ただし、本発明は、フォトスピナー設備に限定されるものではなく、熱処理を行う他の様々な設備に適用できる。
【0023】
図1~
図3を参照すると、半導体製造設備1は、ウエハーなどの基板Wが収納された容器10から基板Wを搬送するインデックスモジュール20と、基板Wに対して塗布工程及び現像工程を行い、基板Wに対する熱処理を行うベークユニット3200を含む処理モジュール30と、処理モジュール30を外部の露光設備50と連結するインターフェースモジュール40と、を含む。
【0024】
インデックスモジュール20、処理モジュール30、及びインターフェースモジュール40は、順次一列に配置できる。以下、インデックスモジュール20、処理モジュール30、及びインターフェースモジュール40が配列された方向を第1水平方向Xと呼び、上部から見て第1水平方向Xに対して垂直な方向を第2水平方向Yと呼び、第1水平方向X及び第2水平方向Yに対して垂直な方向を垂直方向Zと呼ぶ。
【0025】
インデックスモジュール20は、基板Wの収納された容器10から基板Wを処理モジュール30に搬送し、処理済みの基板Wを容器10に収納する。インデックスモジュール20の長手方向は、第2水平方向Yとして提供される。インデックスモジュール20は、ロードポート22とインデックスフレーム24を有する。インデックスフレーム24を基準に、ロードポート22は処理モジュール30の反対側に位置する。基板Wの収納された容器10は、ロードポート22に載置される。ロードポート22は、複数個が設けられ、複数のロードポート22は、第2水平方向Yに沿って配置できる。
【0026】
容器10としては、FOUP(Front Open Unified Pod)などの密閉用容器10が使用できる。容器10は、オーバーヘッドトランスファー(Overhead Transfer)、オーバーヘッドコンベヤ(Overhead Conveyor)、又は自動案内車両(Automatic Guided Vehicle)などの搬送手段(図示せず)又は作業者によってロードポート22に載置できる。
【0027】
インデックスフレーム24の内部には、インデックス搬送区間2100で駆動するインデックスロボット2200が設けられる。インデックスフレーム24内には、長手方向が第2水平方向Yとして提供されたガイドレール2300が設けられ、インデックスロボット2200は、ガイドレール2300上で移動可能に設けられ得る。インデックスロボット2200は、基板Wが載置されるハンド2220を含み、ハンド2220は、前進及び後進移動、垂直方向Zを軸とした回転、及び垂直方向Zに沿って移動可能に設けられ得る。
【0028】
処理モジュール30は、基板Wに対して塗布工程及び現像工程を行う。
【0029】
処理モジュール30は、塗布ブロック30aと現像ブロック30bを有する。塗布ブロック30aは基板Wに対して塗布工程を行い、現像ブロック30bは基板Wに対して現像工程を行う。塗布ブロック30aは複数個が設けられ、これらは互いに積層されるように設けられる。現像ブロック30bは複数個が設けられ、現像ブロック30bは互いに積層されるように設けられる。
【0030】
図1の実施形態によれば、塗布ブロック30aは、3つが提供され、現像ブロック30bは、3つが提供される。塗布ブロック30aは、現像ブロック30bの下に配置できる。一例によれば、3つの塗布ブロック30aは、互いに同じ工程を行い、互いに同じ構造で提供できる。また、3つの現像ブロック30bは、互いに同じ工程を行い、互いに同じ構造で提供できる。ただし、本発明が適用できる半導体製造設備1における塗布ブロック30aと現像ブロック30bの配置及び構成は、
図1のような構造に限定されず、様々な変更が適用できる。
【0031】
図2を参照すると、塗布ブロック30aは、ベークユニット3200、搬送部3400、及び液処理部3600を含む。
【0032】
搬送部3400は、塗布ブロック30a内でベークユニット3200と液処理部3600との間で基板Wを搬送する。搬送部3400は、第1移動通路である第1搬送区間3402と、第2移動通路である第2搬送区間3404と、を含むことができる。第1、2搬送区間3402、3404は、その長手方向が第1水平方向Xと平行に提供され、互いに連結される。第1、2搬送区間3402、3404には、それぞれ第1、2搬送ロボット3422、3424がそれぞれ設けられる。
【0033】
一例によれば、第1、2搬送ロボット3422、3424は、基板Wが載置されるロボットハンド3420を有し、ロボットハンド3420は、前進及び後進移動、垂直方向Zを軸とした回転、垂直方向Zに沿って移動可能に設けられ得る。第1、2搬送区間3402、3404内には、その長手方向が第1水平方向Xと平行に提供されるガイドレール3300が設けられ、搬送ロボット3422、3424は、ガイドレール3300上で移動可能に設けられ得る。
【0034】
図2を参照すると、第1、2搬送区間3402、3404は、互いに同じ構造で提供できる。第1搬送区間3402はインデックスモジュール20にさらに隣接して位置し、第2搬送区間3404はインターフェースモジュール40にさらに隣接して位置する。
【0035】
ベークユニット3200は、基板Wに対して熱処理工程を行う。ベークユニット3200は、後述する熱処理装置の一例に該当する。熱処理工程は、冷却工程及び加熱工程を含むことができる。液処理部3600は、基板W上に液を供給して液膜を形成する。液膜は、フォトレジスト膜及び反射防止膜であり得る。
【0036】
液処理部3600は、基板Wに反射防止膜を塗布する液処理チャンバーを有する第1液処理部3600-1と、反射防止膜の塗布された基板Wにフォトレジスト膜を塗布する液処理チャンバーを有する第2液処理部3600-2と、を含むことができる。第1液処理部3600-1は第1搬送区間3402の一側に配置され、第2液処理部3600-2は第2搬送区間3404の一側に配置される。
【0037】
液処理部3600は、複数の液処理チャンバー3602、3604を有する。液処理チャンバー3602、3604は、搬送部3400の長手方向に沿って複数個が配置できる。また、液体処理チャンバー3602、3604の一部は、互いに積層されるように設けられ得る。
【0038】
ベークユニット3200は、反射防止膜の塗布に関連して基板Wを熱処理する熱処理チャンバー3202を有する第1ベークユニット3200-1と、フォトレジスト塗布に関連して基板Wを熱処理する熱処理チャンバー3204を有する第2ベークユニット3200-2と、を含むことができる。第1ベークユニット3200-1は第1搬送区間3402の一側に配置され、第2ベークユニット3200-2は第2搬送区間3404の一側に配置される。第1搬送区間3402の側部に配置される熱処理チャンバー3202を前段熱処理チャンバーと呼び、第2搬送区間3404の側部に配置される熱処理チャンバー3204を後段熱処理チャンバーと呼ぶ。
【0039】
すなわち、基板Wに反射防止膜を形成するための第1液処理部3600-1、第1ベークユニット3200-1は第1搬送区間3402に配置され、基板Wにフォトレジスト膜を形成するための第2液処理部3600-2、第2ベークユニット3200-2は第2搬送区間3404に配置される。
【0040】
一方、処理モジュール30は、複数のバッファチャンバー3802、3804を含む。バッファチャンバー3802、3804のうち、一部のバッファチャンバー3802は、インデックスモジュール20と搬送部3400との間に配置される。バッファチャンバー3802は、前段バッファチャンバー3802と呼ばれることがある。バッファチャンバー3802、3804は、複数設けられ、垂直方向Zに互いに積層されるように位置する。バッファチャンバー3802、3804のうち、他の一部のバッファチャンバー3804は、搬送部3400とインターフェースモジュール40との間に配置される。このバッファチャンバー3804は、後段バッファチャンバー3804と呼ばれることがある。後段バッファチャンバー3804は、複数設けられ、垂直方向Zに互いに積層されるように位置する。前段バッファチャンバー3802及び後段バッファチャンバー3804のそれぞれは、複数の基板Wを一時的に保管する。一方、バッファチャンバー3802、3804には、基板Wを搬送するためのバッファ搬送ロボット3812、3814が設けられ得る。
【0041】
インターフェースバッファ4100は、塗布ブロック30a、付加工程チャンバー4200、露光設備50、及び現像ブロック30bの間で搬送される基板Wが搬送途中で一時的に留まる空間を提供する。インターフェースバッファ4100は複数設けられ、複数のインターフェースバッファ4100は互いに積層されるように設けられ得る。
【0042】
搬送部材4600は、塗布ブロック30a、付加工程チャンバー4200、露光設備50、及び現像ブロック30bの間で基板Wを搬送する。搬送部材4600は、1つ又は複数のロボットで構成できる。一例によれば、搬送部材4600は、第1インターフェースロボット4602及び第2インターフェースロボット4606を含むことができる。
【0043】
第1インターフェースロボット4602は、塗布ブロック30a、付加工程チャンバー4200、及びインターフェースバッファ4100の間で基板Wを搬送し、第2インターフェースロボット4606は、インターフェースバッファ4100と露光設備50との間で基板Wを搬送するように設けられ得る。
【0044】
インデックスロボット2200、第1インターフェースロボット4602、第2インターフェースロボット4606のハンドはいずれも、搬送ロボット3422、3424のロボットハンド3420と同じ形状に設けられ得る。選択的に、熱処理チャンバーの搬送プレートと直接基板Wをやり取りするロボットのハンドは、搬送ロボット3422、3424のロボットハンド3420と同じ形状に設けられ、残りのロボットのハンドは、これとは異なる形状に設けられ得る。
【0045】
再び
図2を参照すると、クーリング輸送モジュール3900は、第1搬送ロボット3422と第2搬送ロボット3424との間の基板Wの搬送及び基板Wのクーリングのために提供される。クーリング搬送モジュール3900は、第1搬送ロボット3422の第1移動通路と第2搬送ロボット3424の第2移動通路とが当接する境界に隣接したベークユニット3200に配置される。クーリング搬送モジュール3900は、熱処理チャンバーのように多段に積層配置できる。
【0046】
以下、本発明による基板処理方法、熱処理装置、及びこれを含む半導体製造設備1について説明する。本発明による熱処理装置は、半導体製造設備1のベークユニット3200に該当することができる。ただし、本発明は、ベークユニット3200の温度制御に限定されるものではなく、基板Wに対する熱処理を行う様々な工程に適用できる。
【0047】
半導体製造設備1などの半導体製造設備が半導体製造工場に設置される初期、又は整備により熱処理装置(ベークユニット3200)を再び設定するとき、熱処理装置で基板Wを加熱する加熱プレート100の温度を設定する。加熱プレート100の温度は、基板Wの熱処理のための目標温度に基板Wと加熱プレート100との間の熱損失を考慮したオフセットを加えて設定される。すなわち、通常の加熱プレート100の設定温度は、基板Wの目標温度にオフセットを加えた値となる。
【0048】
図4は、本発明による熱処理装置(例えば、ベークユニット3200)において温度設定のために加熱プレートにセンサータイプの基板Wが装着された状態を示し、
図5は、本発明による熱処理装置で熱処理が行われる基板Wが装着された状態を示す。
【0049】
図4及び
図5を参照すると、熱処理装置は、上部に基板Wが装着されるように円板状を有する加熱プレート100と、加熱プレート100に内蔵され、基板Wを加熱するための熱を放出するヒーター200と、加熱プレート100に内蔵され、温度を測定するプレート温度センサー110と、ヒーター出力値に応じて、ヒーター200に印加される電力を供給する制御器300と、を含む。基板Wは、加熱プレート100の上部に備えられた支持ピン120に装着できる。
図4において、ベークユニット3200の温度制御のために、センサータイプの基板Wに該当するセンサー基板SWが加熱プレート100に位置し、加熱プレート100からセンサー基板SWへ熱を加えながら、基板Wの基板温度センサー115によって基板Wの温度が測定される。
図4のように基板温度センサー115を用いた温度測定の結果、所望の温度分布が達成される場合、
図5のように実際の基板Wに対する熱処理工程が行われることができる。本発明の温度制御方法は、
図5に示すように、加熱プレート100に備えられたヒーター200からセンサー基板SWに熱を加えながら、センサー基板SWに意図した温度分布が達成されるためのヒーター200の出力値を決定する過程で適用できる。ただし、これは、一つの実施形態に過ぎず、本発明の温度制御方法は、基板Wに対する熱処理過程で温度を調節する過程にも適用できる。
【0050】
本発明によれば、基板W及びセンサー基板SWの領域別に精密に温度分布を制御するために、加熱プレート100が多数の加熱領域に分割され得る。例えば、
図6に示すように、加熱プレート100は、中心部Z1、左上部Z2、右上部Z3、右下部Z4、左下部Z5の5つの加熱領域に分割できる。加熱領域ごとに対応するヒーター200が設けられ、当該加熱領域の温度を測定するためのプレート温度センサー110が設けられることができる。プレート温度センサー110は、
図7に示すように、加熱領域ごとに位置して当該加熱領域の温度を測定することができる。
図6では、加熱プレート100が5つの領域に分割される場合が示されているが、加熱プレート100における加熱領域の個数及び分割方法は、非常に多様であり得る。
【0051】
ヒーター200を介して加熱プレート100が加熱されると、加熱プレート100の熱が基板Wに伝達される。加熱プレート100と基板Wとの間隔を考慮して、加熱プレート100の温度は、基板Wの目標温度よりも一定のオフセットだけ高く設定される。ただし、熱処理装置の内部構造又は気流などの外部要因によって基板Wの温度分布が一定でないことがある。熱処理工程において基板Wの熱処理温度が均一である必要があるため、加熱プレート100とヒーター200を複数の加熱領域に区分し、本発明において加熱領域ごとに出力がより精密に制御できる。本発明の実施形態は、基板Wの全領域に意図した温度分布が達成できるように、加熱プレート100の各加熱領域の温度をより正確に制御するための方法を提供する。
【0052】
まず、本発明によれば、加熱プレート100の加熱領域別温度変化による基板Wの温度変化を定義する基板温度変化モデルが設定される。
図9は、本発明による基板温度変化モデルの一例を示す。
図9において、明るい領域が初期温度に該当し、暗くなるほど温度の上昇度合いを示す。
図9に示すように、加熱プレート100の特定加熱領域の温度上昇によって基板Wの他の領域に拡散することが確認できる。すなわち、基板Wの特定領域の温度上昇のために一部の加熱領域の温度が変更される場合、基板Wの周辺領域にも温度が変更できるため、全般的な基板Wの温度分布を考慮して、各加熱プレート100の加熱領域ごとに温度を制御する必要がある。基板温度変化モデルは、実験データ又はシミュレーションによって構成できる。
【0053】
本発明による温度制御方法は、基板温度変化モデルを構成し、基板温度変化モデルにおいて加熱プレート100から基板Wへの温度伝達を表す伝達係数を定義するステップと、最適化ロジック(例えば、最小二乗法(LSM:Least-Square Method)を用いて基板Wの温度分偏差布を最小限に抑えることができる加熱プレート100の温度分布を求めるステップと、加熱プレート100の温度分布を達成することが可能なオフセット値を計算するステップと、を含む。以下、本発明による基板Wの熱処理のための温度制御方法について詳細に説明する。以下に説明する温度制御方法は、制御器300によって行われ得る。
【0054】
図10は、本発明による基板処理方法を示すフローチャートである。
図11及び
図12は、本発明による基板処理方法においてヒーターの出力を決定する過程を示すフローチャートである。
【0055】
本発明による基板処理方法は、複数の基板温度センサー115が備えられたセンサー基板SWを用いて、加熱プレート100に備えられたヒーター200の出力を決定するステップ(S1010)と、ヒーター200の出力に応じて基板Wに対する熱処理を行うステップ(S1020)と、を含む。ヒーターの出力を決定するステップ(S1010)は、ヒーター200の初期出力を介してセンサー基板SWを加熱するステップ(S1110)と、センサー基板SWの温度分布を測定するステップ(S1120)と、センサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布との偏差、及び加熱プレート100における特定加熱領域の温度変化によるセンサー基板SWにおける各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、加熱プレート100の目標温度分布変化量を決定するステップ(S1130)と、加熱プレート100の目標温度分布変化量に応じてヒーター200の出力を調節するステップ(S1140)と、を含む。
【0056】
初期に基板Wを加熱するステップ(S1110)で、センサー基板SWの目標温度値に初期オフセットを加えた温度が加熱プレート100に加えられる。例えば、センサー基板SWの目標温度が80℃である場合、加熱プレート100の各加熱領域の温度が85℃に設定されることができる。初期温度が適用された加熱プレート100を介してセンサー基板SWに一定時間熱を加えた後、S1120ステップでセンサー基板SWの温度分布を測定して、センサー基板SWの温度分布が基準を満たすか否かが判断される。
図4及び
図8に示すように、センサー基板SWに備えられた基板温度センサー115を介して、センサー基板SWの各温度制御領域に対する温度が測定される。各温度制御領域の温度を測定して、センサー基板SWの温度が基準温度(例えば、80℃)から一定範囲(例えば、0.1℃)以内であるか否かを判断することができる。センサー基板SWの温度分布が基準を満たす場合、実際の工程処理が行われる基板Wが熱処理装置に投入されて基板Wに対する熱処理が行われる。
【0057】
センサー基板SWの温度分布が基準を満たさない場合、熱処理のためのヒーター出力の調節が行われる。熱処理のためのヒーター出力調節過程で、加熱プレート100の加熱領域別オフセット値調節が行われることができる。
加熱プレート100の目標温度分布変化量は、加熱プレート100の目標温度分布に伝達係数を適用することにより取得されるセンサー基板SWの予想温度分布の偏差を最小限に抑えるように決定される。伝達係数は、加熱プレート100の加熱領域別温度変化による基板Wの温度分布変化を定義する基板温度変化モデルによって決定される。
【0058】
本発明によれば、加熱プレート100の目標温度分布変化量を決定するステップ(S1130)は、センサー基板SWの目標温度分布に加わるオフセットを計算するステップと、センサー基板SWの目標温度分布と予想温度分布との偏差が最小限に抑えられるようにオフセットを調節するステップと、を含む。加熱プレート100とセンサー基板SWとの間には一定の間隔が存在するため、センサー基板SWの目標温度値にオフセット値を加えた温度値で加熱プレート100に熱が印加される。その後、センサー基板SWの温度分布を測定して、センサー基板SWの測定された温度分布と目標温度分布との差を計算し、センサー基板SWの測定された温度分布と目標温度分布との差が最小限に抑えられるようにオフセット値が調節できる。本明細書において、加熱プレート100の目標温度分布を決定すること(すなわち、各ヒーター200の出力を決定すること)は、オフセット値を決定するのと同等であるといえる。
【0059】
本発明によれば、基板温度変化モデルに応じて、加熱プレート100の温度変化によるセンサー基板SWの予測温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布が最小限に抑えられるように加熱プレート100の目標温度分布が決定できる。本発明の一実施形態によれば、LSM(Least Square Method)によってセンサー基板SWの予測温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布偏差が最小限に抑えられる加熱プレート100の目標温度分布(加熱領域別温度)が決定できる。
【0060】
例えば、センサー基板SWの目標温度がT
waferと定義され、加熱プレート100の目標温度がT
heaterと定義され、加熱プレート100の温度とセンサー基板SWの温度との関係が伝達係数Fと定義されることができる。このとき、加熱プレート100の目標温度T
heaterは、下記数式1のように、センサー基板SWの目標温度とセンサー基板SWの予測温度偏差が最小限に抑えられる値と決定できる。
【数2】
【0061】
ここで、T
waferは、センサー基板SWのm個の温度制御領域別目標温度値(T
w1、T
w2、…、T
wm)からなるベクトルであり、T
heaterは、加熱プレート100のn個の加熱領域別目標温度値(T
h1、T
h2、…、T
hn)からなるベクトルであり、Fは、加熱プレート100の各加熱領域と前記センサー基板SWの各温度制御領域との間の温度伝達度合いを表す伝達係数からなるm×n行列(mは行の数、nは列の数)である。加熱プレート100の各加熱領域別目標温度値は、センサー基板SWの目標温度値にオフセット値が加えられた値であり、センサー基板SWの目標温度分布と予測温度分布偏差が最小限に抑えられるように各オフセット値が決定できる。例えば、
図7のように加熱プレート100の加熱領域が5つである場合は、n=5であり、
図8のようにセンサー基板SWの温度を測定する基板温度センサー115が16個である場合は、センサー基板SWの温度制御領域は16個なので、m=16である。ここで、加熱プレート100の加熱領域の個数nとセンサー基板SWの温度制御領域の個数mとは十分に多様に構成できる。
【0062】
すなわち、加熱プレート100の目標温度分布変化量を決定するステップ(S1130)は、伝達係数の行列Fと加熱プレート100の加熱領域別目標温度変化値のベクトルTHeaterとの積によって計算されるセンサー基板SWの温度制御領域別予想温度変化値のベクトルF*THeaterと温度制御領域別目標温度変化値のベクトルTwaferとの偏差が最小限に抑えられる加熱プレート100の加熱領域別目標温度変化値のベクトルTheaterを計算するステップと、を含む。
【0063】
本発明の基板温度変化モデルによれば、下記数式2のように、センサー基板Wの温度分布は、次のとおりに定義できる。
【数3】
【0064】
センサー基板SWの予想温度分布変化量と加熱プレート100の温度分布変化量は、下記数式3の通りに定義できる。
【数4】
【0065】
ここで、センサー基板SWの温度分布を測定した結果、目標温度分布との差がある場合、下記数式4のように加熱プレート100の目標温度分布変化量を計算し、変化量に応じて加熱プレート100の温度を調節することができる。
【数5】
【0066】
本発明によれば、センサー基板Wの温度制御領域は、センサー基板Wの温度を測定する基板温度センサー115の位置に対応することができる。
【0067】
△THeaterは、加熱プレート100の目標温度分布変化量に該当し、Fは、伝達係数からなる行列であり、△Twaferセンサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布との偏差に該当する。
【0068】
本発明によれば、基板温度変化モデルは、加熱プレート100の加熱領域別温度変化によるセンサー基板SWの温度分布変化を測定した実験データによって構成できる。すなわち、伝達係数は、加熱プレート100の加熱領域別温度変化によるセンサー基板SWの温度分布変化を測定した実験データによって定義できる。
【0069】
一方、一次的にヒーター出力調節が行われた後に再び温度を測定し、温度測定結果に応じてヒーター出力値を再び調節する過程が行われることができる。
図12を参照すると、ヒーターの出力を決定するステップ(S1010)は、ヒーター200の初期出力を介してセンサー基板SWを加熱するステップ(S1210)と、センサー基板SWの温度分布を測定するステップ(S1220)と、センサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布との偏差、及び加熱プレート100における特定加熱領域の温度変化によるセンサー基板SWにおける各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、加熱プレート100の目標温度分布変化量を決定するステップ(S1230)と、加熱プレート100の目標温度分布変化量に応じてヒーター200の出力を調節するステップ(S1240)と、を含む。
【0070】
また、ヒーターの出力を決定するステップ(S1010)は、ヒーター200の調節された出力に応じて、加熱されたセンサー基板SWの温度分布を測定するステップ(S1250)と、センサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布とを比較して、センサー基板SWの測定された温度分布が基準範囲に属するか否かを判断するステップ(S1260)と、センサー基板SWの測定された温度分布が基準範囲から外れた場合、加熱プレート100の目標温度分布変化量を再調節するステップと、をさらに含む。すなわち、センサー基板SWの測定された温度分布が基準範囲から外れた場合、再びS1230ステップに進み、加熱プレート100の目標温度分布変化量を再び決定することができる。ここで、ヒーターの出力を決定するステップ(S1010)は、センサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布との偏差に応じて伝達係数を更新するステップ(S1270)をさらに含む。すなわち、ヒーターの出力調節にもかかわらず、センサー基板SWの温度分布が基準範囲を外れた場合、更新された伝達係数を用いて再び加熱プレート100の目標温度分布変化量を決定することができる。目標温度分布変化量に合わせてヒーターの出力が再び決定できる。
【0071】
加熱プレート100の温度分布は、加熱プレート100の加熱領域Z1~Z5別温度値によって定義される。センサー基板SWの温度分布は、センサー基板SWに備えられた各基板温度センサー115によって測定された温度値として定義される。ヒーター200の出力は、各加熱プレート100の加熱領域Z1~Z5に加えられるヒーターの出力(例えば、電流、電圧、電力)を意味する。加熱プレート100の加熱領域Z1~Z5別ヒーター出力は、予め定義された関係に応じて加熱領域Z1~Z5別目標温度値によって決定される。
【0072】
本発明による基板Wの熱処理は、
図4及び
図5に示すような熱処理装置(例えば、ベークユニット3200)によって行われることができる。本発明による熱処理装置(ベークユニット3200)は、基板Wが装着できる円板状に設けられる加熱プレート100と、基板Wを加熱するための熱を放出するヒーター200と、加熱プレート100の温度を測定するプレート温度センサー110と、ヒーター200に印加される電力を制御する制御器300と、を含む。
【0073】
制御器300は、複数の基板温度センサー115が備えられたセンサー基板SWを用いてヒーター200の出力を決定し、ヒーター200の出力に応じて基板Wに対する熱処理を行うように設定される。
【0074】
ヒーター200の出力を決定するために、制御器300は、ヒーター200を介して、加熱プレート100に位置したセンサー基板SWを加熱し、センサー基板SWの測定された温度分布を取得し、センサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布との偏差及び加熱プレート100における特定加熱領域の温度変化によるセンサー基板SWにおける各温度制御領域の温度変化を定義する伝達係数に基づいて、加熱プレート100の目標温度分布変化量を決定し、加熱プレート100の目標温度分布変化量に応じてヒーター200の出力を決定するように設定される。
【0075】
加熱プレート100の目標温度分布変化量は、下記数式5によって決定される。
【数6】
【0076】
△THeaterは、加熱プレート100の目標温度分布変化量に該当し、Fは、伝達係数からなる行列であり、△Twaferは、センサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布との偏差に該当する。
【0077】
本発明によれば、制御器300は、センサー基板Wの目標温度分布に加えられるオフセットを計算し、センサー基板Wの目標温度分布と予想温度分布との偏差が最小限に抑えられるようにオフセットを調節するように設定される。
【0078】
本発明によれば、制御器300は、伝達係数の行列Fと加熱プレート100の加熱領域別目標温度変化値のベクトルTheaterとの積によって計算されるセンサー基板SWの温度制御領域別予想温度変化値のベクトルF*Theaterと温度制御領域別目標温度変化値のベクトルTwaferとの偏差が最小限に抑えられる加熱プレート100の加熱領域別目標温度変化値のベクトルF*Theaterを計算するように設定される。
【0079】
本発明によれば、センサー基板SWの温度制御領域は、センサー基板SWの温度を測定する基板温度センサー115の位置に対応する。
【0080】
本発明によれば、伝達係数は、加熱プレート100の加熱領域別温度変化によるセンサー基板SWの温度分布変化を測定した実験データによって定義される。
【0081】
本発明によれば、制御器300は、ヒーター200の調節された出力に応じて加熱されたセンサー基板SWの温度分布を測定し、センサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布とを比較して、センサー基板SWの測定された温度分布が基準範囲に属するか否かを判断し、センサー基板SWの測定された温度分布が基準範囲から外れた場合、加熱プレートの目標温度分布変化量を再調節するように設定される。
【0082】
本発明によれば、制御器300は、センサー基板SWの測定された温度分布とセンサー基板SWの目標温度分布との偏差に応じて伝達係数を更新するように設定される。
【0083】
本実施形態及び本明細書に添付された図面は、本発明に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているものに過ぎず、本発明の明細書及び図面に含まれている技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推することが可能な変形例及び具体的な実施形態はいずれも、本発明の権利範囲に含まれることが自明であるといえる。
【0084】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等又は等価的な変形がある全てのものは、本発明の思想の範疇に属するというべきである。
【符号の説明】
【0085】
100 加熱プレート
110 プレート温度センサー
115 基板温度センサー
120 支持ピン
200 ヒーター
300 制御器