(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080602
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240606BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159289
(22)【出願日】2023-09-23
(62)【分割の表示】P 2022192591の分割
【原出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】516140214
【氏名又は名称】booost technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218958
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】青井 宏憲
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】活動内容の活動量に対する温室効果ガス(GHG)排出量導出装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】GHG排出量導出装置は、導出部を備え、廃棄物の処理を含む電気、熱または蒸気の使用等の活動内容と、廃棄物の廃棄量を含む電気、熱または蒸気の使用量等の活動内容の活動量とを示す活動情報と、活動内容と活動量を割り当てるスコープ1、スコープ2並びにスコープ3及びカテゴリ毎の割合を特定するための割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2並びにスコープ3及びカテゴリごとに活動内容の活動量に対するGHG排出量を導出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活動内容と、前記活動内容の活動量とを示す活動情報と、前記活動内容及び前記活動量を割り当てる、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとの割合を特定するための割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに前記活動内容の活動量に対する温室効果ガス(GHG)排出量を導出する導出部を備える、GHG排出量導出装置。
【請求項2】
前記活動内容は、電気、熱、または蒸気の使用であり、前記活動量は、電気、熱、または蒸気の使用量である、請求項1に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項3】
前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含み、
前記割合特定情報は、前記活動情報に示される電気使用量のうち、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記不動産の借主が前記不動産で使用する電気使用量の割合とを示す、請求項2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項4】
前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含み、
前記割合特定情報は、前記不動産の借主が前記不動産で使用する電気使用量を計測する計測器からの計測結果を示し、
前記導出部は、前記割合特定情報を参照して、前記活動情報に示される電気使用量と、
前記借主が前記不動産で使用する電気使用量を計測する計測器からの計測結果とに基づいて、前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、前記借主が前記不動産で使用する電気使用量の割合とを特定する、請求項2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項5】
前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含み、
前記割合特定情報は、前記活動情報に示される電気使用量のうち、スコープ2に該当する前記不動産の所有者及び区分所有者のそれぞれが前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記不動産の借主が前記不動産で使用する電気使用量の割合とを示す、請求項2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項6】
前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含み、
前記割合特定情報は、前記不動産の借主及び区分所有者のそれぞれが前記不動産で使用する電気使用量を計測する各計測器からの計測結果を示し、
前記導出部は、前記割合特定情報を参照して、前記活動情報に示される電気使用量と、
前記借主及び前記区分所有者のそれぞれが前記不動産で使用する電気使用量を計測する各計測器からの計測結果とに基づいて、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記借主が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ2に該当する前記区分所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合とを特定する、請求項2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項7】
前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含み、
前記割合特定情報は、前記活動情報に示される電気使用量のうち、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記所有者以外の者である非所有者により使用される前記不動産に設けられる動産の使用に伴う電気使用量の割合とを示す、請求項2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項8】
前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含み、
前記割合特定情報は、前記不動産の所有者以外の者である非所有者のそれぞれによる前記不動産に設けられる動産の使用に伴う電気使用量を計測する各計測器からの計測結果を示し、
前記導出部は、前記割合特定情報を参照して、前記活動情報に示される電気使用量と、
前記非所有者のそれぞれによる前記動産の使用に伴う電気使用量を計測する各計測器からの計測結果とに基づいて、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記非所有者のそれぞれによる前記動産の使用に伴う電気使用量の割合とを特定する、請求項2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項9】
前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含み、
前記割合特定情報は、前記不動産の床面積ごとに前記不動産の使用者のそれぞれに割り当てられる床面積の割合を示し、
前記導出部は、前記活動情報に示される前記電気使用量と、前記割合特定情報に示される前記不動産の床面積ごとの前記使用者に割り当てられる前記床面積の割合とに基づいて、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記使用者のそれぞれが前記不動産で使用する電気使用量の割合とを特定する、請求項2に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項10】
前記不動産で使用される電気の電気使用量を示す前記情報は、電気料金請求書に示される情報である、請求項3から8のいずれか1つに記載のGHG排出量導出装置。
【請求項11】
前記活動内容は、廃棄物の処理を含み、
前記活動量は、廃棄物の廃棄量を含み、
前記割合特定情報は、前記廃棄物の廃棄量のうち、スコープ1に該当する自社で廃棄処理された割合、スコープ2に該当する自社でリサイクル処理された割合、スコープ3のカテゴリ1に該当する他社でリサイクルされた材料を自社で購入した割合、スコープ3のカテゴリ5に該当する他社で廃棄処理された割合、及びスコープ3のカテゴリ2に該当する他社にリサイクルを依頼し、他社でリサイクルされた製品を自社で購入した割合の少なくとも1つを示す、請求項1に記載のGHG排出量導出装置。
【請求項12】
活動内容と、前記活動内容の活動量とを示す活動情報と、前記活動内容及び前記活動量を割り当てる、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとの割合を特定するための割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに前記活動内容の活動量に対する温室効果ガス(GHG)排出量を導出する段階を備える、GHG排出量導出方法。
【請求項13】
活動内容と、前記活動内容の活動量とを示す活動情報と、前記活動内容及び前記活動量を割り当てる、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとの割合を特定するための割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに前記活動内容の活動量に対する温室効果ガス(GHG)排出量を導出する導出部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GHG排出量導出装置、GHG排出量導出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「資産ごとに、資産に対応する価値に排出係数を乗じて、資産ごとの環境負荷物質の排出量を算出する」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
【0003】
[特許文献1] 特許7043691号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の態様における温室効果ガス(GHG)排出量導出装置は、活動内容と、前記活動内容の活動量とを示す活動情報と、前記活動内容及び前記活動量を割り当てる、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとの割合を特定するための割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに前記活動内容の活動量に対するGHG排出量を導出する導出部を備える。
【0005】
前記GHG排出量導出装置において、前記活動内容は、電気、熱、または蒸気の使用であってよい。前記活動量は、電気、熱、または蒸気の使用量であってよい。
【0006】
いずれかの前記GHG排出量導出装置において、前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含んでよい。前記割合特定情報は、前記活動情報に示される電気使用量のうち、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記不動産の借主が前記不動産で使用する電気使用量の割合とを示してよい。
【0007】
いずれかの前記GHG排出量導出装置において、前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含んでよい。前記割合特定情報は、前記不動産の借主が前記不動産で使用する電気使用量を計測する計測器からの計測結果を示してよい。前記導出部は、前記割合特定情報を参照して、前記活動情報に示される電気使用量と、前記借主が前記不動産で使用する電気使用量を計測する計測器からの計測結果とに基づいて、前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、前記借主が前記不動産で使用する電気使用量の割合とを特定してよい。
【0008】
いずれかの前記GHG排出量導出装置において、前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含んでよい。前記割合特定情報は、前記活動情報に示される電気使用量のうち、スコープ2に該当する前記不動産の所有者及び区分所有者のそれぞれが前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記不動産の借主が前記不動産で使用する電気使用量の割合とを示してよい。
【0009】
いずれかの前記GHG排出量導出装置において、前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含んでよい。前記割合特定情報は、前記不動産の借主及び区分所有者のそれぞれが前記不動産で使用する電気使用量を計測する各計測器からの計測結果を示してよい。前記導出部は、前記割合特定情報を参照して、前記活動情報に示される電気使用量と、前記借主及び前記区分所有者のそれぞれが前記不動産で使用する電気使用量を計測する各計測器からの計測結果とに基づいて、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記借主が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ2に該当する前記区分所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合とを特定してよい。
【0010】
いずれかの前記GHG排出量導出装置において、前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含んでよい。前記割合特定情報は、前記活動情報に示される電気使用量のうち、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記所有者以外の者である非所有者により使用される前記不動産に設けられる動産の使用に伴う電気使用量の割合とを示してよい。
【0011】
いずれかの前記GHG排出量導出装置において、前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含んでよい。前記割合特定情報は、前記不動産の所有者以外の者である非所有者のそれぞれによる前記不動産に設けられる動産の使用に伴う電気使用量を計測する各計測器からの計測結果を示してよい。前記導出部は、前記割合特定情報を参照して、前記活動情報に示される電気使用量と、前記非所有者のそれぞれによる前記動産の使用に伴う電気使用量を計測する各計測器からの計測結果とに基づいて、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記非所有者のそれぞれによる前記動産の使用に伴う電気使用量の割合とを特定してよい。
【0012】
いずれかの前記GHG排出量導出装置において、前記活動情報は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報を含んでよい。前記割合特定情報は、前記不動産の床面積ごとに前記不動産の使用者のそれぞれに割り当てられる床面積の割合を示してよい。前記導出部は、前記活動情報に示される前記電気使用量と、前記割合特定情報に示される前記不動産の床面積ごとの前記使用者に割り当てられる前記床面積の割合とに基づいて、スコープ2に該当する前記不動産の所有者が前記不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する前記使用者のそれぞれが前記不動産で使用する電気使用量の割合とを特定してよい。
【0013】
いずれかの前記GHG排出量導出装置において、前記不動産で使用される電気の電気使用量を示す前記情報は、電気料金請求書に示される情報であってよい。
【0014】
前記GHG排出量導出装置において、前記活動内容は、廃棄物の処理を含んでよい。前記活動量は、廃棄物の廃棄量を含んでよい。前記割合特定情報は、前記廃棄物の廃棄量のうち、スコープ1に該当する自社で廃棄処理された割合、スコープ2に該当する自社でリサイクル処理された割合、スコープ3のカテゴリ1に該当する他社でリサイクルされた材料を自社で購入した割合、スコープ3のカテゴリ5に該当する他社で廃棄処理された割合、及びスコープ3のカテゴリ2に該当する他社にリサイクルを依頼し、他社でリサイクルされた製品を自社で購入した割合の少なくとも1つを示してよい。
【0015】
本発明の第2の態様におけるGHG排出量導出方法は、活動内容と、前記活動内容の活動量とを示す活動情報と、前記活動内容及び前記活動量を割り当てる、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとの割合を特定するための割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに前記活動内容の活動量に対するGHG排出量を導出する段階を備える。
【0016】
本発明の第3の態様におけるプログラムは、活動内容と、前記活動内容の活動量とを示す活動情報と、前記活動内容及び前記活動量を割り当てる、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとの割合を特定するための割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに前記活動内容の活動量に対するGHG排出量を導出する導出部としてコンピュータを機能させる。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】GHG排出量導出装置100を含むシステムの全体構成の一例である。
【
図2】GHG排出量導出装置100の機能ブロック図の一例である。
【
図3】施設50内のオーナー及び借主のスコープ及びカテゴリごとの割合と、電気使用量とを示す表の一例である。
【
図4】GHG排出量導出装置100の動作を示すフロー図の第1の例である。
【
図5】GHG排出量導出装置100を含むシステムの全体構成の別例を示す。
【
図6】GHG排出量導出装置100の動作を示すフロー図の第2の例である。
【
図7】GHG排出量導出装置100の動作を示すフロー図の第3の例である。
【
図8】施設50内のオーナー及び借主の営業する事業所の床面積と、スコープ及びカテゴリごとの割合と、を示す表の一例である。
【
図9】GHG排出量導出装置100の動作を示すフロー図の第4の例である。
【
図10】事業者の廃棄物の処理におけるスコープ及びカテゴリごとの割合を示す表の一例である。
【
図11】本実施形態の態様を全体的または部分的に具現化し得るコンピュータを示す図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
大規模な気候変動の影響を低減し、持続可能な社会を実現するために、温室効果ガス(GHG)排出量の低減が求められている。そこで、各事業におけるGHG排出量を、GHGプロトコルに従って、スコープ及びカテゴリに分類し、分類ごとの分析に基づく排出量低減を行う取り組みが要求されている。
【0021】
本明細書で説明されるGHG排出量導出装置は、各施設、各事業等におけるGHG排出量を、各事業等の活動情報と、割合を特定するための割合特定情報とに基づいて、各スコープ及び各カテゴリのどれから生じたものであるかを自動的に特定することを可能とする。以下では、各図を参照して、本発明のGHG排出量導出装置の例示的な実施形態について説明する。
【0022】
図1は、温室効果ガス(GHG)排出量導出装置100を含むシステムの全体構成の一例を示す。システムは、施設50と、施設50に電源を供給する系統500と、主電力メータ82とを備える。
【0023】
施設50は、ビル、商業施設、集合住宅等など、契約した自然人または法人が利用できる構造物または建築物であり、土地に固定された不動産である。借主60は、施設50の所有者と施設のテナント施設等の賃貸契約を結んだ自然人または法人の賃借人である。施設50には、主分電盤55と、借主60ごとに分電盤62と、電力メータ64と、負荷66と、GHG排出量導出装置100と、が設けられる。
【0024】
主分電盤55は、系統500から供給される電力を各借主60の分電盤62へと分配する。施設50内の共有スペースにおける電力、施設50内で共用される電力、及び施設50の所有者が自分のために使用する電力については、主分電盤55から、所有者の使用する電力を管理する分電盤(不図示)に供給される。ただし、主分電盤55自体が所有者の使用する電力を管理してもよい。施設50内の共有スペースにおける電力は、共有スペースにおける電気機器で使用される電力を含む。施設50内で共用される電力は、エレベータ等の施設内移動設備で使用される電力や施設50のセキュリティ設備を稼働させる電力等を含む。
【0025】
借主60は、各テナント施設等において、分電盤62から供給される電力によって負荷66を駆動させて活動を行う。負荷66は、電力を消費する電気機器である。電気機器は、借主60の入居スペース内に配置されてよい。電気機器は、空調機器、照明機器、及び電子機器を含む。分電盤62は、電力メータ64を含む。
【0026】
電力メータ64は、分電盤62から供給される負荷66を駆動させるために使用される電力を計測する。電力メータ64は、スマートメータであってよい。各借主60の電力メータ64は、GHG排出量導出装置100と接続される。ただし、電力メータ64は、GHG排出量導出装置100と無線通信を行ってもよい。なお、電力メータ64は、「不動産で使用する電気使用量を計測する計測器」の一例である。
【0027】
電気料金の請求としては、一般的に使用した電力(kWh)に基づいて電気使用量の計測が行われるので、電気使用量の計測として、電力の計測が行われてよい。しかし、計測する電気的指標は、電力に限定されるものでなく、電流、または、電流及び電圧のそれぞれを経時的に計測し続けてもよい。
【0028】
ここで、
図1には、施設50中には借主60の他に、不動産における区画を購入した自然人または法人である、区分所有者(不図示)がいる場合がある。このような区分所有者に対しても借主60に対するものと同様の分電盤及び負荷が設けられてよく、区分所有者用の分電盤の電気メータが、GHG排出量導出装置100に接続されていてよい。
【0029】
主電力メータ82は、系統500から主分電盤55に供給される電力、すなわち、系統500から施設50全体へと供給される電力を計測する。従って、系統500から施設50に請求される主電力メータ82は、主分電盤55と系統500との間の送電線に設けられる。主電力メータ82は、スマートメータであってよい。
【0030】
GHG排出量導出装置100は、各借主60及び所有者の使用した電力の割合特定情報に基づいて、各借主60及び所有者の排出したスコープ及びカテゴリごとの電気使用量の割合を導出する。さらに、GHG排出量導出装置100は、電気使用量に対する排出係数(kg-CO2/kWh)に基づいて、GHG排出量を導出してよい。GHG排出量導出装置100の割合特定情報として、各借主60の電気使用量の情報は、各借主60の電力メータ64から取得される。本実施形態では、GHG排出量導出装置100は、施設50内に設けられているが、GHG排出量導出装置100の設けられる場所は、施設50の外であってもよい。
【0031】
なお、GHG排出量導出装置100の具体的な構成は、
図2を参照して後述する。GHG排出量導出装置100の具体的な動作は、
図3及び
図4を参照して後述する。
【0032】
図2は、GHG排出量導出装置100の機能ブロック図の一例である。GHG排出量導出装置100は、取得部102と、導出部104と、記憶部106とを備える。
【0033】
取得部102は、対象となる事業者等の活動内容と、活動内容の活動量とを示す活動情報と、活動内容及び活動量を割り当てる、GHGプロトコルのスコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとの割合を特定するための割合特定情報とを取得する。
図1の例においては、取得部102は、不動産で使用される電気の電気使用量を示す情報と、電力メータ64から取得される計測結果とを取得する。
【0034】
ここで、スコープ1は、事業者より直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量を示す。スコープ2は、事業者がエネルギーを購入することで間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量を示す。スコープ3は、スコープ1の直接排出量、及びスコープ2の間接排出量に含まれない事業者の活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を示す。
【0035】
スコープ3は、活動内容により、さらに15のカテゴリに分類される。カテゴリ1は、「購入した製品・サービス」を示す。カテゴリ2は、「資本財」を示す。カテゴリ3は、「スコープ1及びスコープ2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動」を示す。カテゴリ4は、「輸送、搬送(上流)」を示す。カテゴリ5は、「事業活動から出る廃棄物」を示す。カテゴリ6は、「出張」を示す。カテゴリ7は、「雇用者の通勤」を示す。カテゴリ8は、「リース資産(上流)」を示す。カテゴリ9は、「輸送、配送(下流)」を示す。カテゴリ10は、「販売した製品の加工」を示す。カテゴリ11は、「販売した製品の使用」を示す。カテゴリ12は、「販売した製品の廃棄」を示す。カテゴリ13は、「リース資産(下流)」を示す。カテゴリ14は、「フランチャイズ」を示す。カテゴリ15は、「投資」を示す。スコープ3は、15のカテゴリに含まれない間接的なGHG排出量を示す「その他」をさらに含む。「その他」に該当するGHG排出量は、例えば、従業員または消費者の日常生活に関するGHG排出量などを含む。
【0036】
事業者等の活動内容の一例は、電気、熱、または蒸気等のエネルギーの使用を行う活動である。例えば、
図1の例では、事業者等が電気エネルギーを使用する例に相当する。この例で、借主及び所有者が電気エネルギー活動を行う場合に、電力系統である系統500を運営する電力会社等の設備に応じて定まる排出係数に応じた量のGHGが排出される。
【0037】
この排出量は、事業者の行う活動に応じて、GHGプロトコルのスコープ1~3、特にスコープ3においてはカテゴリ1~15に振り分けることができる。電力使用の場合、所有者の使用の場合には当該所有者のスコープ2、借主の使用の場合には所有者が借主(他者)に賃貸しているリース資産の運用に伴うことから当該所有者のスコープ3のカテゴリ13に分類される。なお、事業者等の活動内容の別の例については、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0038】
一例として、活動内容の活動量は、事業者の活動内容が電気、熱、または蒸気等のエネルギーの使用を行う活動である場合には、電気、熱、または蒸気の使用量となる。これらの使用量と、使用量に応じた排出係数を乗じることにより、GHG排出量が計算される。例えば、電気使用による排出係数については、日本国内において、電気使用量(kWh)に応じた排出係数(kg-CO2/kWh)を各電力会社が環境省に提出しており、環境省の「算定方法及び排出係数一覧」にまとめられている。なお、GHGとして、CO2は一例であり、これに限定するものではなく、GHGにはメタン等も含まれる。ただし、GHGプロトコルにおいては、CO2以外の温室効果ガスも、それぞれの地球温暖化係数を基に、CO2相当量に換算され得る。GHG排出量導出装置100は、電気使用量と排出係数とを乗じることにより、GHG排出量を導出することができる。
【0039】
図1の例では、事業者等の活動情報は、施設50全体の電気使用量に応じて、系統500を運営する電力会社等から請求される電気料金請求書である。電気料金請求書の請求情報は、例えば、主電力メータ82の計測情報に基づく電気使用量であり、施設50全体で使用される電気の電気使用量を示す情報を含む。
【0040】
図1の例では、GHG排出量導出装置100の割合特定情報は、各借主60の電力メータ64から取得される電力メータ64の計測結果である。電気料金請求書から施設50全体の電気使用量と、電力メータ64の計測結果から借主60ごとの電気使用量とを読み取ることが出来る。
【0041】
従って、施設50内の電気使用者が、所有者及び各借主60のみである場合には、施設50全体の電気使用量から借主60の電気使用量の総和を減算することにより、所有者の電力使用割合も特定できる。ただし、所有者の電気使用量の割合は、所有者用の分電盤に電力メータを設け、この電力メータをGHG排出量導出装置100に接続することにより、電力メータから直接特定してもよい。
【0042】
施設50内の電気使用者が、所有者及び各借主60のみである場合には、所有者の電気使用によるGHG排出量は、GHGプロトコルにおけるスコープ2に、借主60の電気使用によるGHG排出量は、スコープ3のカテゴリ13に分類できる。このように、割合特定情報は、スコープ2に該当する施設50の所有者が不動産で使用する電気使用量の割合と、スコープ3のカテゴリ13に該当する施設50のテナント等の借主60が不動産で使用する電気使用量の割合とを示す。
【0043】
ここで、所有者及び借主60以外に区分所有者等がいる場合には、区分所有者等の電気使用量は、区分所有者のスコープ2となる。この場合、電気使用者が所有者及び各借主60のみである場合とは異なり、電気メータから読み取った電気使用量の割合を全て所有者のスコープ3のカテゴリ13に分類できない。従って、このような場合には、以下で説明する導出部104の導出は、後述する記憶部106の記憶するデータに基づくこととなる。
【0044】
導出部104は、活動情報と、割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに前記活動内容の活動量に対するGHG排出量を導出する。
図1の例では、導出部104は、電力メータ64から取得される計測結果を参照して、活動情報に示される電気使用量と、計測結果とに基づいて、所有者が施設50で使用する電気使用量の割合と、借主60が施設50で使用する電気使用量の割合とを特定する。また、導出部104のGHG排出量の導出は、記憶部106の記憶するデータに基づく。
【0045】
記憶部106は、電力メータ64等とGHGプロトコルのスコープ、カテゴリとの対応付けを記憶する。これにより、GHG排出量導出装置100は、所有者及び借主60以外に区分所有者がいる場合、または所有者の電力メータからも割合特定情報を得るような場合にも、電気使用量の割合をどのスコープ及びカテゴリに分類すればよいかを判定できる。
【0046】
なお、GHG排出量導出装置100が、施設50内の所有者、借主、及び区分所有者などの関係以外に使用される場合には、分類対象と、スコープ及びカテゴリとの対応関係がより複雑な場合がある。特に、事業者の排出するGHG排出量が、GHGプロトコルにおけるスコープ3のどのカテゴリへの分類に当たるかが複雑な分類等の場合である。記憶部106は、このような場合に関する対応付けのデータとして、GHG排出量導出装置100の過去の分類等の機械学習から生成したデータを記憶してもよい。GHG排出量導出装置100は、施設50の総床面積、各借主60の占有床面積、各借主60の業種、各借主60の従業員数などを説明変数として、所有者及び各借主60の各月または各年度の電気使用量を目的変数として対応付けたデータを教師データとして用いて、機械学習により予め定められたアルゴリズムに従って予測モデルを生成してよい。教師あり機械学習アルゴリズムとして、例えば、サポートベクターマシン(SVM)を用いることができる。
【0047】
また、記憶部106は、系統500を運営する電力会社の排出係数(kg-CO2/kWh)を記憶してよい。これにより、導出部104は、排出係数(kg-CO2/kWh)と、借主60の使用した電力量とに基づいて、GHG排出量を導出できる。
【0048】
また、記憶部106は、例えば、環境省の「算定方法及び排出係数一覧」に基づいて、各社の排出係数(kg-CO2/kWh)と電気使用量(khW)ごとの電力料金とを組み合わせたデータを記憶してもよい。施設50の所有者及び借主60等は、記憶部106の記憶する排出係数(kg-CO2/kWh)及び電力料金を参照して、系統500を運営する電力会社及びその組み合わせの契約をどのようにするかを選択するのに使用してもよい。
【0049】
このように、GHG排出量導出装置100は、電気料金請求書に、借主60がどのようなスコープ及びカテゴリの活動を行っているか特定されない場合でも、電力メータ64からの情報に基づいて、スコープ及びカテゴリごとの電気使用量を特定できる。先行技術文献における発明では、会計データの資産区分、資産名、商品・サービス名、支払先等の項目の1または複数の組み合わせに対し、スコープ及びカテゴリが予め対応づけられている。本実施形態のGHG排出量導出装置100においては、電気料金請求データに予めこのような対応付けを要しない。
【0050】
また、GHG排出量導出装置100では、電気料金請求書のような事業者等の活動情報と、電力メータ64からの割合特定情報との双方を使用することにより、スコープ及びカテゴリの振り分け精度を向上させている。さらには、GHG排出量導出装置100は、排出係数(kg-CO2/kWh)に基づいて、スコープ及びカテゴリごとのGHG排出量(kg)を算出できる。これにより、算出されたスコープ及びカテゴリごとのGHG排出量(kg)のデータを集約し、スコープ及びカテゴリごとのGHG排出量(kg)削減のための取組みに使用できる。
【0051】
図3は、施設50内のオーナー及び借主のスコープ及びカテゴリごとの割合と、電気使用量とを示す表の一例である。この例は、施設50全体の年間の電気使用量が、62万kWhである例である。
【0052】
GHG排出量導出装置100は、各電力使用者に対し、GHGプロトコルのスコープ及びカテゴリと電気使用量を割り振る。本実施形態においては、GHG排出量導出装置100は、電気使用者が施設50の所有者である場合に、電気使用量の割合が、施設50で消費された電力量のうち18.1%であると導出する。62万kWhの総量に対し、18.1%の割合に相当する電力量は、112,220kWhである。
【0053】
GHG排出量導出装置100は、借主1に対し、電気使用量の割合が、14.3%であると導出する。62万kWhの総量に対し、14.3%の割合に相当する電力量は、88,660kWhである。さらに、GHG排出量導出装置100は、借主2に対し、電気使用量の割合が、9.3%であると導出する。62万kWhの総量に対し、14.3%の割合に相当する電力量は、57,600kWhである。
【0054】
例えば、借主1は、借主2と同じ事業内容の事業を営む事業主であり、借主2と施設50内の区画の占有床面積が借主2より大きい事業者である。借主1より占有面積及び事業規模が大きいので、借主2より電気使用量が大きくなる。別の例においては、借主1は、借主2と同じ区画占有床面積を占有するが、事業内容が異なる事業主である。借主1は、事業内容の差から、借主2より長時間営業することとなり、業態上、電気設備に使用する費用が多いことがあり得る。
【0055】
さらに、GHG排出量導出装置100は、借主3に対し、電気使用量の割合が、21.0%であると導出する。62万kWhの総量に対し、21.0%の割合に相当する電力量は、130,200kWhである。例えば、借主3は、施設50の中で従業員数が多く、施設50内の区画の大きな床面積を占有する事業主である。
【0056】
この他に、施設50内のある区画に対する所有権を有する区分所有者(不図示)がいる場合には、GHG排出量導出装置100は、区分所有者の電気使用量の割合に基づく、電気使用量を導出する。区分所有者の電気使用は、施設50の所有者と同様、スコープ2に分類される。GHG排出量導出装置100は、区分所有者のGHG排出量も排出係数に基づき導出してよい。
【0057】
図4は、GHG排出量導出装置100の動作を示すフロー図の第1の例である。GHG排出量導出装置100の動作により、ステップS100~S102を含むGHG排出量導出方法が実装される。
【0058】
取得部102は、対象となる事業者等の活動内容と、活動内容の活動量とを示す活動情報と、活動内容及び活動量を割り当てる、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとの割合を特定するための割合特定情報とを取得する(S100)。
図1の例においては、取得部102は、施設50全体で使用される電気使用量に基づく電気料金請求書と、各電力メータ64等から取得される計測結果とを取得する。施設50全体で使用される電気使用量は、主電力メータ82の計測値に基づく量であってよい。
【0059】
導出部104は、活動情報と、割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに前記活動内容の活動量に対するGHG排出量を導出する(S102)。導出部104のGHG排出量の導出は、記憶部106の記憶するデータに基づく。
【0060】
図5は、GHG排出量導出装置100を含むシステムの全体構成の別例を示す。システムは、データセンター200と、データセンター200に電源を供給する系統500と、主電力メータ82とを備える。
【0061】
データセンター200は、多数のサーバ等のICT(information andcomputer technology)機器を有する堅牢な建物である。データセンター200は、データセンターの管理者により管理され、利用者が種々の情報処理を実行したり、種々のデータを保存したりするためのリソースを提供する。データセンター200は、1以上のラック250と、無停電電源装置210と、電力メータ220と、GHG排出量導出装置100と、を含む。なお、
図5中には、例示のために1のラックのみが示されているが、データセンター200は、複数のラック250を有してよい。
【0062】
ラック250は、土地には固定されていない動産である。1つのラック250には、1以上のスペース252が割り当てられる。ラック250の各スペース252に対し、無停電電源装置210を介して、系統500から電力が提供される。なお、ラック250に対して、「ラック」の用語が用いられているが、データセンター200に配置されるラックサーバに限定されるものではなく、ラック250の代わりにブレードサーバのシャーシが用いられてもよい。
【0063】
スペース252の使用権限が、データセンター200の利用者に割り当てられる。データセンター200の利用者は、スペース252に自己のサーバを配置したり、管理者により提供されるサーバを使用したりすることにより、所望の情報処理等を行う。スペース252は、管理者により賃貸されるので、スペース252に配置されたサーバにより消費された電力は、GHGプロトコルにおける管理者のスコープ3のカテゴリ13に該当する。
【0064】
無停電電源装置(Uninterruptible power System;UPS)210は、系統500からの給電が天災地変等により一時的に停止する等の電源トラブルが生じた場合にも、スペース252へと略一定の電力を供給するための電源である。無停電電源装置210は、スペース252ごとに設けられてよい。無停電電源装置210は、スイッチSWと、バッテリ212とを有する。無停電電源装置210には、無停電電源装置210がスペース252へと供給する電力を計測する電力メータ220が併設される。
【0065】
スイッチSWは、各スペース252へと供給する電力のオンオフを切り替える。各スペース252には、ある時点において、利用契約を結んでいる利用者がいない場合があり、その場合には、電力が供給されない。また、雷などの天災地変により、スペース252に接続される機器の耐圧を超える可能性のある過電圧を伴う電流が流れ込む場合には、スイッチSWは、スペース252に接続される機器を保護すべく、スペース252への電力の供給を遮断してよい。
【0066】
バッテリ212は、系統500から供給される給電状態が安定した状態の場合に充電され、系統500から供給される電力に給電トラブルがあった場合に、スペース252への電力が変動しないように、スペース252への給電を行う。スイッチSW及びバッテリ212の動作は、後述の電力メータ220及び電力メータ220とともに設けられる電力管理装置等により制御されるが、これに限定されず、これらを制御するための制御装置(不図示)が設けられてよい。
【0067】
電力メータ220は、無停電電源装置210がスペース252へと供給する電力を計測する。電気使用量は、電力に基づくことが一般的であるので、無停電電源装置210がスペース252に供給する電気使用量の計測として、電力メータ220による電力の計測が行われてよい。電力メータ220は、無停電電源装置210の電源状態の観測等のために、無停電電源装置210がスペース252に供給する電圧及び電流等の他の電気的指標も合わせて計測してよい。特にスペース252に接続されるサーバ等の性能に応じて、要求される電圧及び電流が異なるので、他の電気的指標の計測が合わせて行われ得る。
【0068】
電力メータ220は、GHG排出量導出装置100と接続される。ただし、電力メータ220は、GHG排出量導出装置100と無線通信を行ってもよい。電力メータ220は、スマートメータであってよい。また、電力メータ220とともに無停電電源装置210が供給する電力管理装置が設けられてもよい。
【0069】
ラックまたはサーバには、冷却装置(不図示)が組み込まれ、または併設される。一例として、サーバに組み込まれた冷却装置(不図示)の使用電力は、スペース252とともに、電力メータ220によって計測される。冷却装置は、ラックに併設されるデータセンターの冷房装置も含む。ラックまたはサーバの冷却装置に使用される電力は、電力メータ220とは別の電力メータによって計測されてもよい。この場合、電力メータ220で計測される各スペース252の電力量に応じて、GHG排出量導出装置100は、冷却装置で使用される電力を、各利用者が各スペース252のために使用した電力であるとして、各利用者に按分してよい。
【0070】
主電力メータ82は、系統500から主分電盤55に供給される電力、すなわち、系統500から施設50全体へと供給される電力を計測する。従って、系統500から施設50に請求される主電力メータ82は、主分電盤55と系統500との間の送電線に設けられる。主電力メータ82は、スマートメータであってよい。
【0071】
GHG排出量導出装置100は、データセンター200の管理者及び各利用者の使用した電力の割合特定情報に基づいて、管理者及び各利用者の排出したスコープ及びカテゴリごとの電気使用量の割合を導出する。さらに、GHG排出量導出装置100は、電気使用量に対する排出係数(kg-CO2/kWh)に基づいて、GHG排出量を導出してよい。GHG排出量導出装置100の割合特定情報として、各利用者の電気使用量の情報は、各利用者の電力メータ220から取得される。
【0072】
図5に示す例では、GHG排出量導出装置100は、ラック250のスペース252ごとに設置された電力メータ220の計測結果に基づいて、管理者及び各利用者の排出したスコープ及びカテゴリごとの電気使用量の割合を導出している。しかし、ラック250の各スペース252に設置されるラックサーバ等の機器の平均消費電力が同じであるとみなせる場合には、ラック250に1つの電力メータ220を設置してもよい。この場合、GHG排出量導出装置100は、各利用者が使用するスペース252の数と、ラック250に設置された1つの電力メータ220の計測結果とから、各利用者の排出した電気使用量の割合を導出してよい。すなわち、GHG排出量導出装置100は、ラック250に設置された1つの電力メータ220の計測結果に基づくラック250の電気使用量を、各利用者が使用するスペース252の数でそれぞれ除することで、各利用者の排出した電気使用量の割合を導出してよい。
【0073】
ここで、データセンター200の管理者は、データセンター200という「不動産」の「所有者」に相当し、データセンター200の利用者は、データセンター200という「不動産」内に設けられたラック250という動産の「非所有者」に相当する。電力メータ220は、「非所有者のそれぞれによる動産の使用に伴う電気使用量を計測する各計測器」に相当する。
【0074】
図6は、GHG排出量導出装置100の動作を示すフロー図の第2の例である。GHG排出量導出装置100の動作により、ステップS200~S202を含むGHG排出量導出方法が実装される。
【0075】
取得部102は、データセンター200における電気の使用という活動内容と、電気使用量を示す活動情報と、電気使用量を管理者及び利用者に割り当てる、割合特定情報とを取得する(S200)。割合特定情報は、管理者の使用分のスコープ2、及び利用者の仕様分のスコープ3のカテゴリ13の割合を特定するための情報である。
【0076】
導出部104は、活動情報と、割合特定情報とに基づいて、管理者の使用分のスコープ2、及び利用者の使用分のスコープ3のカテゴリ13のそれぞれに割り当てられる電気使用量に対するGHG排出量を導出する(S202)。導出部104のGHG排出量の導出は、記憶部106の記憶するデータに基づく。
【0077】
図7は、GHG排出量導出装置100の動作を示すフロー図の第3の例である。GHG排出量導出装置100の動作により、ステップS300~S302を含むGHG排出量導出方法が実装される。
図7の実施形態においては、割合特定情報として、各テナント等の各借主60の床面積の情報を取得する点で、
図1~
図4の実施形態と相違し、システムの他の構成において、
図1の実施形態と同様の構成を有する。
【0078】
取得部102は、活動情報と、活動内容及び活動量を割り当てる、割合特定情報とを取得する(S300)。本実施形態において、活動情報は、電気の使用という活動内容と、電気使用量である活動量とを示す。
【0079】
特に商業用途に使用されるビル等においては、GHG排出量は、床面積と一次相関性が強い。ビル等の建て増しを行った場合の算定の容易さ、同種の他の施設との比較の利便性、及び伝統的に事業所等でのエネルギー原単位の算定に床面積を分母とすることが多かったこと等から、GHG排出量原単位として、床面積を分母にした値を使用する利点がある。なお、本実施形態では、電力の按分を例にして説明が行われているが、電気エネルギーは例示であり、GHG排出量の算定として、エネルギー使用に基づくGHG排出起源の按分は、電気のほか熱または蒸気等の他のエネルギーにおいて行われてもよい。
【0080】
本実施形態においては、所有者の床面積は、一例として、実際に所有者自身がそのビル内で営業するオフィスの床面積に基づく。
図1の実施形態と異なり、共有部分の床面積当たり電気使用量は、各借主60がオフィス部分で使用する床面積当たり電気使用量とは異なる場合があり、床面積比率のみから按分できない場合がある。この例では、施設50内の共有部分で使用される電気使用量の按分は、所有者が施設50内で営むオフィスの床面積と、各借主60が実際に営業するオフィスの床面積とに基づく。ただし、所有者の床面積は、施設50内のオフィス部分の全床面積が所有者及び借主60に占有されている場合には、オフィス部分の総面積から借主60の占有する床面積の総和を減じることにより導出してよい。
【0081】
次いで、導出部104は、活動情報と、割合特定情報とに基づいて、所有者のスコープ2と、非使用者の使用分である、所有者のスコープ3のカテゴリ13とのそれぞれに割り当てられる活動内容の活動量に対するGHG排出量を導出する(S302)。本ステップにおいても、GHG排出量導出装置100は、S102及びS202と同様に、割合特定情報に基づいて、所有者及び各借主60の電気使用量を導出してから、電気使用量に対する排出量原単位(kg-CO2/kWh)を用いてGHG排出量を導出してよい。
【0082】
例えば、施設50の借主60である企業のM&A(合併及び買収;Mergers and Acquisitions)、分社化、及び統廃合等により、施設50内のフロアの、所有者及び借主60の双方を含む各組織等の占有面積が変動する場合がある。このような場合に、施設50内で使用された電気等のエネルギー資源の使用によるGHG排出量が、どの事業の活動に起因するものであるかを特定するために有用である。
【0083】
施設50のGHG排出量についての一定の期間ごとの(例えば一年ごとの)報告書が、地方自治体等に要求される場合がある。例えば、施設50の各階の電気使用量を得られても、各借主の電気使用量のデータを得ることができなかったり、施設50内の各借主60の床面積の占有比率に頻繁な変動があったりすることがある。このような場合にも、GHG排出量導出装置100は、床面積に応じたスコープ、カテゴリごとのGHG排出量を自動的に算出できる。
【0084】
図8は、施設50内のオーナー及び借主の営業する事業所の床面積と、スコープ及びカテゴリごとの割合と、を示す表の一例である。
図8は、
図7の例に係るGHG排出量導出装置100が使用される実施形態において、GHG排出量導出装置100が、電気使用量及びGHG排出量の割合を按分する具体例である。
【0085】
図8は、延床面積が約1万m
2、地下一階を駐車場とし、8階建てで各階のオフィス部分の面積の総和が約7,440m
2であるオフィスビルの例である。このビルの例で、基準階のオフィス部分の床面積は、930m
2である。
【0086】
一例として、所有者は、このビルの1階部分の貸しオフィス用面積の半分の床面積を使用し、不動産管理会社を運営する法人である。借主Aは、このビルの1つの階全体を賃借する法人であり、借主Bは、このビルの2つの階全体を賃借する法人である。借主Cは、このビルの1つの階の半分の床面積を賃借する法人である。
【0087】
GHG排出量導出装置100は、所有者及び各借主60の占有する床面積の割合に応じて、電力使用量及びGHG排出量を按分する。本実施形態では、所有者に6.3%、借主Aに12.6%、借主Bに25.2%、借主Cに6.3%の電気使用量及びGHG排出量を按分する。また、GHG排出量導出装置100は、算定の際に所有者及び各借主A~Cの最大需要電力及び契約電力を参酌し、それらが大きい使用者に重み付けをしたGHG使用量を按分するように構成されてもよい。
【0088】
排出量の算定にあたっては、GHG排出量導出装置100は、系統500を運用する電力会社等の公開する電力量当たりの排出原単位を用いてよい。例えば、GHG排出量導出装置100は、記憶部106に、業種ごとの床面積辺り排出原単位のデータを記憶し、保有者及び借主A~借主Cが実際に使用した電力から得られる床面積辺り排出原単位との比較データを、所有者及び借主A~借主Cに提供することもできる。これにより、所有者及び借主A~借主Cは、自己の活動によるGHG排出量及び原単位のデータを詳細に把握できる。
【0089】
図9は、GHG排出量導出装置100の動作を示すフロー図の第4の例である。本実施形態において、GHG排出量導出装置100は、
図2と同様に、取得部102、導出部104、及び記憶部106を有する。GHG排出量導出装置100は、事業者が行う事業に伴って生じた、廃棄物の処理をどのように行ったかに関するデータが記憶された端末、コンピュータ、サーバ、またはデータベース等に接続される。
【0090】
取得部102は、対象となる事業者の活動内容と、活動情報とを取得する(S400)。本実施形態において、活動内容は、廃棄物処理の内容を含み、活動情報は、活動量として、廃棄物の排気量を含む。
【0091】
取得部102は、対象となる事業者の廃棄量において処理主体及び処理方法ごとの割合を特定する、割合特定情報を取得する(S402)。割合特定情報は、事業者自身で(自社で)廃棄処理された割合、事業者自身で(自社で)リサイクル処理された割合、他社でリサイクルされた材料または製品を自社で購入した割合、他社で廃棄処理された割合を特定するための情報を含む。
【0092】
ここで、GHGプロトコルにおいて、自社で廃棄処理したことにより生じた排出量は、スコープ1またはスコープ2に該当する。廃棄物処理のための物理的プロセスまたは化学的工程等によるGHG排出等の自社での燃料の使用の工業プロセスによる直接排出はスコープ1に該当し、廃棄処理のためにエネルギー資源を使用した排出はスコープ2に該当する。本実施形態では、例示として、GHG排出量導出装置100は、自社での廃棄処理がスコープ1に該当する場合の割合を算出する。ただし、本実施形態のスコープの分類は例示であり、GHG排出量導出装置100は、自社での廃棄物処理について、さらに細分化したスコープの分類を行ってよい。
【0093】
同様に、自社でリサイクル処理したことにより生じた排出量も、スコープ1またはスコープ2に該当する。例えば、リサイクル装置稼働のために、電気を消費したことにより発生するGHG排出量は、スコープ2に該当する。本実施形態では、例示として、GHG排出量導出装置100は、自社でのリサイクルがスコープ2に該当する場合の割合を算出する。ただし、本実施形態のスコープの分類は例示であり、GHG排出量導出装置100は、自社でのリサイクル処理について、さらに細分化したスコープの分類を行ってよい。
【0094】
他社にリサイクルを依頼し、他社でリサイクルされた材料を自社で購入したことにより生じた排出量は、購入した物品・サービスから排出した排出量であるので、スコープ3のカテゴリ1に該当する。他社にリサイクルを依頼し、他社でリサイクルされた製品(資本財に該当する)を自社で購入したことにより生じた排出量は、資本財から排出した排出量であるので、スコープ3のカテゴリ2に該当する。他社で廃棄処理されたことにより生じた排出量は、事業から発生した廃棄物の、第三者による処分及び処理から生じる排出量に相当するので、スコープ3のカテゴリ5に該当する。
【0095】
さらに導出部104は、活動情報と、割合特定情報とに基づいて、スコープ1、スコープ2、並びにスコープ3及びカテゴリごとに活動内容の活動量に対する温室効果ガス(GHG)排出量を導出する(S404)。導出部104のGHG排出量の導出は、記憶部106の記憶する排出係数に基づく。
【0096】
本実施形態の記憶部106は、スコープ及びカテゴリごとの廃棄物の廃棄に関する排出係数を記憶する。記憶部106の記憶する排出係数は、環境省の提供する「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」の「廃棄物種類・処理方法別排出原単位」等で公開されたデータに基づいてよい。あるいは、排出係数は、事業者の契約する廃棄物処理業者の公開する排出係数に基づいてよい。
【0097】
さらに、排出係数は、スコープ1の場合には、自社で廃棄処理する場合の排出量から平均値として算出される排出係数に基づいてよい。同様に、スコープ2の場合には、自社でリサイクル処理する場合の排出量から平均値として算出される排出係数に基づいてよい。
【0098】
また、既に
図2を参照して説明されたように、GHG排出量導出装置100は、各事業者が廃棄物処理を行うにあたり、どのスコープ及びどのカテゴリに属する処理を行い、それに伴うGHG排出量がどの位であったかを自動的に算定できる。このようなデータの機械学習によって、事業者の将来の廃棄物処理方法の最適化に関する学習が行われてよい。これにより、データセンターの利用者は、自己の事業において、GHG排出量の少ない将来の廃棄物処理方法を最適化することができる。また、GHG排出量導出装置100からのデータを集め、データ提供者総体としてのGHG排出量の取組みを推し進めることに活用もできる。
【0099】
図10は、事業者の廃棄物の処理におけるスコープ及びカテゴリごとの割合を示す表の一例である。GHG排出量導出装置100により、事業者の行った各廃棄物処理に対して、スコープ及びカテゴリが特定される。
【0100】
事業者は、自社で廃棄処理している割合が26.2%である。これはスコープ1に分類される。導出部104は、対象物の処理全体量に割合を乗じたスコープ1での処理量と、記憶部106に記憶された排出係数とを乗じて、GHG排出量を計算する。排出係数は、自社での対象物の廃棄処理でのGHG平均排出量に基づいてよい。
【0101】
事業者は、自社でリサイクル処理している割合が28.4%である。これはスコープ2に分類される。導出部104は、対象物の処理全体量に割合を乗じたスコープ2での処理量と、記憶部106に記憶された排出係数とを乗じて、GHG排出量を計算する。排出係数は、自社での対象物のリサイクル処理でのGHG平均排出量に基づいてよい。
【0102】
事業者は、自社でリサイクル処理を依頼した割合が14.4%である。これはスコープ3のカテゴリ1に分類される。導出部104は、対象物の処理全体量に割合を乗じたスコープ3のカテゴリ1での処理量と、記憶部106に記憶された排出係数とを乗じて、GHG排出量を計算する。排出係数は、依頼した事業者(他社)から提供される排出係数であってよく、対象物の排出原単位として公開されているデータに基づく排出係数であってもよい。
【0103】
事業者は、他社にリサイクル処理を依頼した割合が31.1%である。これはスコープ3のカテゴリ5に分類される。導出部104は、対象物の処理全体量に割合を乗じたスコープ3のカテゴリ5での処理量と、記憶部106に記憶された排出係数とを乗じて、GHG排出量を計算する。排出係数は、依頼した事業者(他社)から提供される排出係数であってよく、対象物の排出原単位として公開されているデータに基づく排出係数であってもよい。
【0104】
図11は、本実施形態の態様を全体的または部分的に具現化し得るコンピュータ1200の一例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーションまたは当該装置の1または複数の「部」として機能させることができる。または、当該プログラムは、コンピュータ1200に当該オペレーションまたは当該1または複数の「部」を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつかまたは全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0105】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、及びRAM1214を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、入力/出力ユニットを含み、それらは入力/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータ1200はまた、ROM1230を含む。CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0106】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブが、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。プログラムが、CR-ROM、USBメモリまたはICカードのようなコンピュータ可読記録媒体またはネットワークを介して提供される。プログラムは、コンピュータ可読記録媒体の例でもあるRAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーションまたは処理を実現することによって構成されてよい。
【0107】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、またはUSBメモリのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0108】
また、CPU1212は、USBメモリ等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0109】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0110】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0111】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM(登録商標))、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0112】
コンピュータ可読命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。ソースコードまたはオブジェクトコードは、従来の手続型プログラミング言語を含む。従来の手続型プログラミング言語は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語でよい。コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。プロセッサまたはプログラマブル回路は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0113】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0114】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0115】
50 施設
55 主分電盤
60 借主
62 分電盤
64 電力メータ
66 負荷
82 主電力メータ
100 GHG排出量導出装置
102 取得部
104 導出部
106 記憶部
200 データセンター
210 無停電電源装置
212 バッテリ
220 電力メータ
250 ラック
252 スペース
500 系統
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1220 入力/出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1230 ROM