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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080612
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240606BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184263
(22)【出願日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0166776
(32)【優先日】2022-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオック
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070AB03
5E070BB03
5E070CB12
5E070CB17
5E070DA13
5E070EA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コアのサイズを十分に確保することで、小型化に有利でありながらも、優れた特性を有するコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品は、本体と、上記本体内に配置された支持部材と、上記支持部材の一面に配置された第1コイルと、上記支持部材の他面に配置された第2コイルと、上記第1コイルと上記第2コイルとを連結する複数の導電性ビアV1~V3と、上記本体に配置されて上記第1コイルの一端E1と連結された第1外部電極及び上記本体に配置されて上記第2コイルの一端と連結された第2外部電極を含み、上記第1コイル121は、上記複数の導電性ビアV1~V3と連結された複数の第1パッド161と、上記複数の第1パッドの間の第1連結部171とを含み、上記複数の第1パッド161のうち少なくとも一つの線幅W1は、上記第1連結部の線幅W2より広い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に配置された支持部材と、
前記支持部材の一面に配置された第1コイルと、
前記支持部材の他面に配置された第2コイルと、
前記第1コイルと前記第2コイルとを連結する複数の導電性ビアと、
前記本体に配置されて前記第1コイルの一端と連結された第1外部電極と、
前記本体に配置されて前記第2コイルの一端と連結された第2外部電極と、を含み、
前記第1コイルは、前記複数の導電性ビアと連結された複数の第1パッドと、前記複数の第1パッドの間の第1連結部とを含み、前記複数の第1パッドのうち少なくとも一つの線幅は、前記第1連結部の線幅より広い、コイル部品。
【請求項2】
前記第1コイルにおいて、前記第1連結部に隣接する外側ターンは、前記第1連結部より線幅が広い、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1コイルにおいて、前記複数の第1パッドに隣接する外側ターンは、前記複数の第1パッドより線幅が広い、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2コイルは、前記複数の導電性ビアと連結された複数の第2パッドと、前記複数の第2パッドの間の第2連結部とを含み、前記複数の第2パッドのうち少なくとも一つの線幅は、前記第2連結部の線幅より広い、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第2コイルにおいて、前記第2連結部に隣接する外側ターンは、前記第2連結部より線幅が広い、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第2コイルにおいて、前記複数の第2パッドに隣接する外側ターンは、前記複数の第1パッドより線幅が広い、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記複数の導電性ビアのうち一方は前記第1コイルの他端と接続され、他方は前記第2コイルの他端と接続された、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1コイルは、前記第1パッドをそれぞれ複数個含む複数の第1パッド領域と、前記複数の第1パッド領域を連結する第1連結領域とを含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1連結領域は、前記複数の第1パッドより線幅が広い、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記複数の第1パッド領域のうち一つは、前記第1コイルの他端を含む、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記複数の第1パッドのうち一つは、前記第1連結領域と連結された、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第2コイルは、前記第2パッドをそれぞれ複数個含む複数の第2パッド領域と、前記複数の第2パッド領域を連結する第2連結領域とを含む、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記支持部材の他面に前記第2コイルと離隔配置され、前記複数の導電性ビアを介して前記第1コイルと連結されたダミーパターンをさらに含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記複数の導電性ビアは3つ以上備えられる、請求項1に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビ、携帯電話、ノートパソコンなどのような電子機器の小型化及び薄型化に伴い、このような電子機器に適用されるコイル部品にも小型化及び薄型化が求められている。このような要求に応えるために、様々な形態の巻線型又は薄膜型のコイル部品に対する研究開発が活発に行われている。
【0003】
コイル部品の小型化及び薄型化に伴う主なイシューは、このような小型化及び薄型化にもかかわらず、従来と同等の特性を実現することである。このような要求を満たすためには、磁性物質が充填されるコアにおいて磁性物質の割合を増加させなければならないが、インダクタ本体の強度、絶縁性に応じた周波数特性の変化などの理由でその割合を増加させることに限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以下の技術的課題のうち少なくとも一つを解決することを目的とする。具体的に、本発明の目的の一つは、電気的特性が改善されたコイル部品を実現することである。本発明の目的の他の一つは、コアのサイズを十分に確保することで、小型化に有利でありながらも、優れた特性を有するコイル部品を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は、一例を通じてコイル部品の新規な構造を提案し、具体的に、本体と、上記本体内に配置された支持部材と、上記支持部材の一面に配置された第1コイルと、上記支持部材の他面に配置された第2コイルと、上記第1コイルと上記第2コイルとを連結する複数の導電性ビアと、上記本体に配置されて上記第1コイルの一端と連結された第1外部電極及び上記本体に配置されて上記第2コイルの一端と連結された第2外部電極を含み、上記第1コイルは、上記複数の導電性ビアと連結された複数の第1パッドと、上記複数の第1パッドの間の第1連結部とを含み、上記複数の第1パッドのうち少なくとも一つの線幅は、上記第1連結部の線幅より広い構造である。
【0006】
一実施形態において、上記第1コイルにおける上記第1連結部に隣接する外側ターンは、上記第1連結部より線幅が広くてもよい。
【0007】
一実施形態において、上記第1コイルにおける上記複数の第1パッドに隣接する外側ターンは、上記複数の第1パッドより線幅が広くてもよい。
【0008】
一実施形態において、上記第2コイルは、上記複数の導電性ビアと連結された複数の第2パッドと、上記複数の第2パッドの間の第2連結部とを含み、上記複数の第2パッドのうち少なくとも一つの線幅は、上記第2連結部の線幅より広くてもよい。
【0009】
一実施形態において、上記第2コイルにおける上記第2連結部に隣接する外側ターンは、上記第2連結部より線幅が広くてもよい。
【0010】
一実施形態において、上記第2コイルにおける上記複数の第2パッドに隣接する外側ターンは、上記複数の第1パッドより線幅が広くてもよい。
【0011】
一実施形態において、上記複数の導電性ビアのうち一方は、上記第1コイルの他端と接続され、他方は上記第2コイルの他端と接続されることができる。
【0012】
一実施形態において、上記第1コイルは、上記第1パッドをそれぞれ複数個含む複数の第1パッド領域と、上記複数の第1パッド領域を連結する第1連結領域とを含むことができる。
【0013】
一実施形態において、上記第1連結領域は、上記複数の第1パッドより線幅が広くてもよい。
【0014】
一実施形態において、上記複数の第1パッド領域のうち一つは、上記第1コイルの他端を含むことができる。
【0015】
一実施形態において、上記複数の第1パッドのうち一つは、上記第1連結領域と連結されることができる。
【0016】
一実施形態において、上記第2コイルは、上記第2パッドをそれぞれ複数個含む複数の第2パッド領域と、上記複数の第2パッド領域を連結する第2連結領域とを含むことができる。
【0017】
一実施形態において、上記支持部材の他面に上記第2コイルと離隔配置され、上記複数の導電性ビアを介して上記第1コイルと連結されたダミーパターンをさらに含むことができる。
【0018】
一実施形態において、上記複数の導電性ビアは3つ以上備えられることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下の技術的効果のうち少なくとも一つを得ることを目的とする。具体的に、本発明は一効果として、電気的特性が改善されたコイル部品が得られる。また、本発明によれば、コアのサイズを十分に確保して小型化に有利でありながらも、優れた特性を有するコイル部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示す透過斜視図である。
図2図1のコイル部品における一部の構成に対する分解斜視図である。
図3図1のコイル部品における第1コイルを示す平面図である。
図4図1のコイル部品における第2コイルを示す平面図である。
図5】変形された例によるコイルの形態を示す。
図6】変形された例によるコイルの形態を示す。
図7】変形された例によるコイルの形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張することがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0022】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間にはノイズ除去等を目的に様々な種類のコイル部品が適宜用いられることができる。すなわち、電子機器においてコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などに用いられることができる。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示す透過斜視図であり、図2は、図1のコイル部品の一部の構成に対する分解斜視図であり、そして、図3は、図1のコイル部品における第1コイルを示す平面図であり、図4は、図1のコイル部品における第2コイルを示す平面図である。
【0024】
図1図4を参照すると、本実施形態に係るコイル部品100は、本体110、支持部材120、第1コイル121、第2コイル122、複数の導電性ビアV1、V2、V3、第1外部電極131、第2外部電極132を含む。ここで、第1コイル121は、複数の導電性ビアV1、V2、V3と連結された複数の第1パッド161と、それらの間の第1連結部171とを含み、複数の第1パッド161のうち少なくとも一つの線幅W1は、第1連結部171の線幅W2よりも広い。第1コイル121が複数の導電性ビアV1、V2、V3と接続されることにより、第1及び第2コイル121、122の構造的、電気的連結性が改善されることができる。さらに、複数の第1パッド161を連結する第1連結部171の線幅W2を相対的に減らすことでコアC1、C2のサイズを十分に確保することにより、コイル部品100の磁気的特性(例えば、L及びIsat特性)も向上できる。この場合、第1コイル121と同様に、第2コイル122は、複数の導電性ビアV1、V2、V3と連結された複数の第2パッド162とそれらの間の第2連結部172とを含み、複数の第2パッド162のうち少なくとも一つの線幅W4は、第2連結部172の線幅W5よりも広いことができる。以下、本実施形態のコイル部品100を構成する主な構成要素について説明する。
【0025】
本体110は、コイル部品100の外観をなし、その内部にコイル121、122と支持部材120等が配置される。図示された形態のように、本体110は全体的に六面体の形状に形成されることができる。一例として、本体110は、外部電極131、132が形成された本実施形態に係るコイル部品100が、2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び1.0mmの厚さを有するか、又は2.0mmの長さ、1.2mmの幅及び0.65mmの厚さを有するか、又は1.6mmの長さ、0.8mmの幅及び0.8mmの厚さを有するか、又は1.0mmの長さ、0.5mmの幅及び0.5mmの厚さを有するか、又は0.8mmの長さ、0.4mmの幅及び0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これらに限定されるものではない。一方、上述の数値は工程誤差等を反映していない設計上の数値に過ぎないため、工程誤差と認められる範囲までは本発明の範囲に属すると見なすべきである。
【0026】
上述したコイル部品100の第1方向(X方向)の長さは、コイル部品100の第2方向(Y方向)の中央部における第1方向(X方向)-第3方向(Z方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品100の第1方向(X方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第1方向(X方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第1方向(X方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第1方向(X方向)と平行な複数の線分は、第3方向(Z方向)に互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0027】
上述したコイル部品100の第2方向(Y方向)の長さは、コイル部品100の第3方向(Z方向)の中央部における第1方向(X方向)-第2方向(Y方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品100の第2方向(Y方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第2方向(Y方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第2方向(Y方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分は、第1方向(X方向)に互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0028】
上述したコイル部品100の第3方向(Z方向)の長さは、コイル部品100の第2方向(Y方向)の中央部における第1方向(X方向)-第3方向(Z方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品100の第3方向(Z方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第3方向(Z方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第3方向(Z方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分は、第1方向(X方向)に互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0029】
一方、コイル部品100の第1~第3方向の長さのそれぞれは、マイクロメータ測定法で測定することもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ(tip)の間に本実施形態に係るコイル部品100を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法によりコイル部品100の長さを測定するにあたり、コイル部品100の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。
【0030】
本体110は、絶縁樹脂と磁性物質を含むことができる。具体的に、本体110は、磁性物質が絶縁樹脂に分散された磁性複合シートを一つ以上積層して形成することができる。磁性材料はフェライト又は金属磁性粉末であってもよい。フェライトは、例として、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系等のスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系等の六方晶型フェライト類、Y系等のガーネット型フェライト及びLi系フェライトのうち少なくとも一つ以上であってもよい。金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末のうち少なくとも一つ以上であってもよい。金属磁性粉末は非晶質又は結晶質であってもよい。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであってもよいが、これに限定されるものではない。本体110は、樹脂に分散された2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類とは、樹脂に分散された磁性物質が平均直径、組成、結晶性、形状のうちいずれか一つで互いに区別されることを意味する。なお、以下では、磁性物質が金属磁性粉末であることを前提として説明するが、本発明の範囲は絶縁樹脂に金属磁性粉末が分散された構造を有する本体110にのみ及ぶものではない。絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独又は混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
支持部材120は、本体110内に配置されて第1及び第2コイル121、122を支持し、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)支持部材、フェライト支持部材、又は金属系軟磁性支持部材等で形成されることができる。図示された形態のように、支持部材120の一部、具体的には、第1及び第2コイル121、122のコアC1、C2に対応する領域には、貫通孔Hが形成されることができ、このような貫通孔Hには、本体110をなす物質が充填されることができる。
【0032】
具体的な例として、支持部材120は、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂又は感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成されるか、あるいは、このような絶縁樹脂にガラス繊維又は無機フィラーのような補強材が含浸された絶縁材料で形成されることができる。より具体的に、支持部材120は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)などの絶縁材料で形成されることができるが、これらに限定されるものではない。無機フィラーとしては、シリカ(二酸化ケイ素、SiO)、アルミナ(酸化アルミニウム、Al)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO)、タルク、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO)、チタン酸バリウム(BaTiO)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO)で構成された群から選択された少なくとも一つ以上が使用されることができる。支持部材120が補強材を含む絶縁材料で形成される場合、支持部材120はより優れた剛性を提供することができる。支持部材120がガラス繊維を含まない絶縁材料で形成される場合、本実施形態に係るコイル部品100の厚さを薄型化するのに有利であり得る。また、同じサイズの本体110を基準に、コイル121、122及び/又は金属磁性粉末が占める体積を増加させることができ、部品特性を向上させることができる。支持部材120が感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成される場合、コイル121、122を形成するための工程数が減少し、生産コストの削減に有利であり、導電性ビアV1、V2、V3を微細に形成することができる。支持部材120の厚さは、例として、10μm以上50μm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0033】
第1コイル121は、支持部材120の一面S1に配置され、複数のターンを有することができる。そして、第2コイル122は、支持部材120の他面S2に配置され、複数のターンを有することができる。コイル部品100は、第1及び第2コイル121、122から発現される特性を通じて電子機器内で様々な機能を行う役割を果たす。例えば、コイル部品100はパワーインダクタであってもよく、この場合、第1及び第2コイル121、122は電気を磁場の形で貯蔵し、出力電圧を維持して電源を安定させる役割等を果たすことができる。第1及び第2コイル121、122は複数の導電性ビアV1、V2、V3によって連結され、そのために複数の導電性ビアV1、V2、V3は支持部材120を貫通することができる。第1及び第2コイル121、122の場合、当技術分野において使用されるめっき工程、例えば、パターンめっき、異方めっき、等方めっきなどの方法を使用して形成することができ、これらの工程のうち複数の工程を用いて多層構造で形成することもできる。
【0034】
第1及び第2コイル121、122と複数の導電性ビアV1、V2、V3が連結される方式について具体的に説明すると、複数の導電性ビアV1、V2、V3は、第1コイル121と第2コイル122とを連結し、例えば、第1コイル121の最内側ターン141と第2コイル122の最内側ターン142とを連結することができる。この場合、複数の導電性ビアV1、V2、V3のうち一方V1は第1コイル121の他端E2と接続され、他方V3は第2コイル122の他端E2と接続されることができる。第1コイル121の一端E1は、第1外部電極131と連結される引出部に該当し、他端E2は最内側ターン141に存在することができる。同様に、第2コイル122は、一端E1が第2外部電極142と連結される引出部に該当し、他端E2は最内側ターン142に存在することができる。
【0035】
図示された形態のように、第1コイル121は、複数の導電性ビアV1、V2、V3と連結された複数の第1パッド161と、それらの間の第1連結部171とを含み、複数の第1パッド161のうち少なくとも一つの線幅W1は、第1連結部171の線幅W2よりも広い。本実施形態では、複数の第1パッド161の全ての線幅W1が、第1連結部171の線幅W2よりも広い構造を示している。本実施形態のように、複数の導電性ビアV1、V2、V3を介して第1及び第2コイル121、122を連結する場合、並列連結構造が実現されることができ、これにより電気的特性、具体的に、Rdc特性が向上(Rdcが減少)できる。また、第1コイル121と同様に、第2コイル122は、複数の導電性ビアV1、V2、V3と連結された複数の第2パッド162と、それらの間の第2連結部172とを含み、複数の第2パッド162のうち少なくとも一つの線幅W4は、第2連結部172の線幅W5より広いことができる。本実施形態では、複数の第2パッド162の全ての線幅W4が、第2連結部172の線幅W5よりも広い構造を示している。このように、第1及び第2コイル121、122の最内側ターン141、142に線幅W2、W5が相対的に狭い連結部171、172を配置しており、これにより、コアC1、C2のサイズを十分に確保することができる。本実施形態の場合、複数の導電性ビアV1、V2、V3は3つ備えられ、必要に応じて3つ以上備えられて第1及び第2コイル121、122の間の電気的連結性を向上することができる。
【0036】
第1コイル121において第1連結部171に隣接する外側ターン151は、第1連結部171より線幅が広くてもよい。すなわち、W3>W2の条件を満たすことができる。また、第1コイル121において、複数の第1パッド161に隣接する外側ターン151は、複数の第1パッド161より線幅が広くてもよい(W3>W1)。これにより、第1コイル121の内側ターンの線幅が相対的に狭くなり、コアC1、C2のサイズが十分に確保できる。同様に、第2コイル122において、第2連結部172に隣接する外側ターン152は、第2連結部172より線幅が広くてもよい(W6>W5)。また、第2コイル122において、複数の第2パッド162に隣接する外側ターン152は、複数の第2パッド162より線幅が広くてもよい(W6>W4)。
【0037】
第1及び第2外部電極131、132は本体110の外部に形成され、それぞれ第1及び第2コイル121、122の一端E1と接続される。第1及び第2外部電極131、132は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを使用して形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、錫(Sn)又は銀(Ag)などの単独、又はこれらの合金などを含む伝導性ペーストであってもよい。また、第1及び第2外部電極131、132上にめっき層をさらに形成することができる。この場合、上記めっき層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及び錫(Sn)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層及び錫(Sn)層が順次に形成されることができる。
【0038】
図5図7を参照し、変形された実施形態について説明する。まず、図5及び図6の実施形態の場合、第1コイル121は、導電性ビアVと連結された第1パッド161をそれぞれ複数個含む複数の第1パッド領域P1と、複数の第1パッド領域P1を連結する第1連結領域C1とを含む。すなわち、パッド161は、一つの領域にのみ存在せず、複数の領域P1に区分されて位置することができる。この場合、第1連結領域C1は、複数の第1パッド161より線幅が広くてもよく(WC1>W1)、ここで、線幅WC1は第1方向(X方向)の長さであってもよい。また、複数の第1パッド領域P1のうち一つは、第1コイル121の他端E2を含むことができる。また、複数の第1パッド161のうち一つは第1連結領域C1と連結されることができる。一方、図5では、複数の第1パッド領域P1が同じ個数の第1パッド161を含んでいるが、互いに異なる個数の第1パッド161を含んでもよい。
【0039】
同様に、第2コイル122は、導電性ビアVと連結された第2パッド162をそれぞれ複数個含む複数の第2パッド領域P2と、複数の第2パッド領域P2を連結する第2連結領域C2とを含む。すなわち、パッド171は、一つの領域にのみ存在せず、複数の領域P2に区分されて位置することができる。この場合、第2連結領域C2は、複数の第2パッド171より線幅が広くてもよく(WC2>W4)、ここで、線幅WC2は第1方向(X方向)の長さであってもよい。また、複数の第2パッド領域P2のうち一つは、第2コイル122の他端E2を含むことができる。また、複数の第2パッド162のうち一つは第2連結領域C2と連結されることができる。一方、図6では、複数の第2パッド領域P2が同じ個数の第2パッド162を含んでいるが、互いに異なる個数の第2パッド162を含んでもよい。
【0040】
次に、図7の実施形態の場合、第2コイル122を表し、第1コイル121は図5と同一であってもよい。本変形例の場合、支持部材120の他面に第2コイル122と離隔配置され、複数の導電性ビアVを介して第1コイル121と連結されたダミーパターンDをさらに含む。ダミーパターンDも複数のパッド163と連結部173を含むことができる。ダミーパターンDを介して第1及び第2コイル121、122の連結性を確保することができる一方、前述の実施形態と比較して第2コイル122のターン数が減少した形態に該当する。これにより、インダクタンスを効果的に調節することができる。
【0041】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0042】
100:コイル部品
110:本体
120:支持部材
121、122:コイル
131、132:外部電極
141、142:最内側ターン
151、152:外側ターン
161、162:パッド
171、172:連結部
C1、C2:コア
V、V1、V2、V3:導電性ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7