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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080617
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ダストキャップ照明
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20240606BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240606BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240606BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240606BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240606BHJP
【FI】
H04R1/02 103F
F21V33/00 430
F21V8/00 310
F21V8/00 330
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190570
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】22210806
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリック キルケビー イェプセン
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ピールゴール ヘーヴマン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリック ムースマン イェルゲンセン
【テーマコード(参考)】
3K014
3K244
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014RB11
3K244AA04
3K244BA50
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244EA04
3K244EA08
3K244EA12
3K244EA16
3K244EC12
(57)【要約】
【課題】ダストキャップ照明の提供。
【解決手段】本発明は、主音声放射方向に音声を放射するように構成されたオーディオスピーカに関し、オーディオスピーカは、ボイスコイル(340)と、ボイスコイルに接続され、ボイスコイルとともに動くように構成された移動可能振動板(310)と、を備え、移動可能振動板は、主音声放射方向の反対方向に、前面(311)と、前面の反対側の背面(312)と、を有する。オーディオスピーカは、光を放射するように構成された光源(450)であって、ボイスコイル(340)の下方で主音声放射方向に配置される、前記光源(450)と、光源から放射された光を移動可能振動板の前面に導くように構成された導光体(100)と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主音声放射方向に音声を放射するように構成されたオーディオスピーカ(10)であって、
ボイスコイル(340)と、
前記ボイスコイルに接続され、前記ボイスコイルとともに動くように構成された移動可能振動板(310)であって、前記主音声放射方向の反対方向に、前面(311)と、前記前面の反対側の背面(312)と、を有する、前記移動可能振動板(310)と、
光を放射するように構成された光源(450)であって、前記ボイスコイル(340)の下方で前記主音声放射方向に配置される、前記光源(450)と、
前記光源から放射された前記光を前記移動可能振動板の前記前面に導くように構成された導光体(100)と、
を備える、前記オーディオスピーカ(10)。
【請求項2】
前記ボイスコイル(340)は、前記導光体(100)を少なくとも部分的に取り囲む、請求項1に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項3】
前記移動可能振動板(310)の中央部分に接続されたキャップ(370)をさらに備え、
前記キャップは、開口窓(375)を提供する透明側面(372)を有し、前記導光体から出た前記光は、前記開口窓(375)を通って、前記移動可能振動板の前記前面(311)に送られ、
前記キャップは、前記光源からの前記光を通さない不透明材料を含む上面(371)を前記主音声放射方向に有する、
請求項1または2に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項4】
前記開口窓のサイズは、前記移動可能振動板の移動に伴って変化する、請求項3に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項5】
前記導光体(100)は、
前記光源から放射された前記光の入口部分(110)と、
前記入口部分よりも前記移動可能振動板の近くに存在する出口部分(130)と、
を有し、
前記出口部分(130)は、前記導光体から前記開口窓を通って出て前記振動板の前記前面を照明する前記光の分布を制御するように構成された反射面を備える、
請求項3に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項6】
前記反射面は、上端面(136)を前記主音声放射方向に備え、前記上端面(136)は、前記主音声放射方向に対して略垂直である、請求項5に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項7】
前記反射面は、上端面(132)を前記主音声放射方向に備え、前記上端面(132)は、前記主音声放射方向に対して傾斜する、請求項5に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項8】
前記反射面は、前記光源からの前記光を前記開口窓の方向に送るように構成されたプリズムを有する、請求項5に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項9】
前記開口窓は、
前記ボイスコイルの支持体(341)の上端により画定された下端と、
前記不透明材料を含む前記キャップの前記上面(371)に対する、前記導光体の前記出口部分の位置に依存する上端と、
を、前記主音声放射方向に有する、請求項5に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項10】
前記入口部分(110)は、前記光源により放射された前記光を前記出口部分の前記反射面にコリメートするように構成されたコリメート面(111)を備える、請求項5に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項11】
前記光源が配置された回路基板(400)と、
前記ボイスコイルの磁場を生成するように構成された駆動ユニットと、
をさらに備え、
前記回路基板は、前記駆動ユニットの下端に対して、前記主音声放射方向に接続される、
請求項1に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項12】
前記光源(450)は、異なる色の光を放射する発光素子を備え、
前記導光体は、前記光を混合して、均一な色の光を前記導光体から出すように構成された色混合ロッドとして構成される、
請求項1に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項13】
前記導光体は、前記ボイスコイルの磁場を生成するように構成された駆動ユニットに固定的に接続される、請求項1に記載のオーディオスピーカ(10)。
【請求項14】
前記移動可能振動板は、コーン形状の振動板である、請求項1に記載のオーディオスピーカ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、オーディオスピーカに関し、より具体的には、光を放射するように構成されたオーディオスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオスピーカを使用して、音響音波が生成され放射される。これは主に、移動可能振動板を、振動板に接続されたボイスコイルを用いて動かすことにより達成される。さらに、光で照明されたオーディオスピーカの提供の必要性が高まっている。スピーカにまたはスピーカ内に設けられた光源を使用してオーディオスピーカを照明する場合、特に、オーディオスピーカに利用可能な空間が限られた車両内にスピーカを設置する環境では、スピーカに光源が追加されたときに所要空間が大幅に増加しないように確保する必要がある。さらに、スピーカを照明するために使用する光源を繰り返し加熱すると光源の寿命が短くなるため、必ず光源の加熱が回避される位置に光源を配置する必要がある。
【0003】
したがって、照明可能であり、所要空間が小さく、光源の加熱を回避したオーディオの提供の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この必要性は、独立特許請求項の特徴により満たされる。さらなる態様が、従属請求項に記述される。
【0005】
第1の態様によれば、主音声放射方向に音声を放射するように構成されたオーディオスピーカが設けられ、オーディオスピーカは、ボイスコイルと、ボイスコイルに接続され、ボイスコイルとともに動くように構成された移動可能振動板とを備え、移動可能振動板は、主音声放射方向の反対方向に、前面または上面と、前面の反対側の背面とを備える。さらに、光を放射するように構成された光源が設けられ、光源は、ボイスコイルの下方で主音声放射方向に配置される。さらに、光源から放射された光を移動可能振動板の前面に導くように構成された導光体が設けられる。
【0006】
前述のオーディオスピーカは、ボイスコイルが生成する熱で加熱されることのないオーディオスピーカ内の位置に光源を配置することができ、ならびに、ボイスコイルの下方に配置することにより、光源の追加でスピーカの体積を実質的に増加させることなく維持することが可能になるという利点を有する。光源の配置及び導光体の使用により、光源を移動可能振動板もしくはその付近に、またはボイスコイルもしくはその付近に配置する必要なく、オーディオスピーカから光を放射することが可能となる。光源は、より適切な位置、特にスピーカの前面から見てボイスコイルの後方の位置に配置することができ、この位置では光源は、オーディオスピーカの異なる部分が作動中に生成する熱に曝されない。スピーカの背後から主音声放射方向にスピーカを見た場合、最初に光源が配置されており、その後ろにボイスコイルが続く。したがって、光源を熱曝露から保護することが可能である。よって、オーディオスピーカを介した加熱により光源の期待寿命が短くなることはない。
【0007】
上記で述べられた特徴、及び下記でこれから説明される特徴は、示されるそれぞれの組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせまたは単独でも使用できることを、理解されたい。上記の態様及び後述の実施形態の特徴は、別段の明示的な記載がない限り、他の実施形態において互いに組み合わせてもよい。
【0008】
下記の発明を実施するための形態及び図を検討することにより、本発明の他のデバイス、システム、方法、特徴、及び利点が当業者には明らかであるか、あるいは明らかになるであろう。本出願の特徴及び効果は、特に、下記の発明を実施するための形態を添付図面と併せて読むことにより明らかになり、添付図面では、同様の参照符号は同様の要素を指す。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
主音声放射方向に音声を放射するように構成されたオーディオスピーカ(10)であって、
ボイスコイル(340)と、
前記ボイスコイルに接続され、前記ボイスコイルとともに動くように構成された移動可能振動板(310)であって、前記主音声放射方向の反対方向に、前面(311)と、前記前面の反対側の背面(312)と、を有する、前記移動可能振動板(310)と、
光を放射するように構成された光源(450)であって、前記ボイスコイル(340)の下方で前記主音声放射方向に配置される、前記光源(450)と、
前記光源から放射された前記光を前記移動可能振動板の前記前面に導くように構成された導光体(100)と、
を備える、前記オーディオスピーカ(10)。
(項目2)
前記ボイスコイル(340)は、前記導光体(100)を少なくとも部分的に取り囲む、上記項目に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目3)
前記移動可能振動板(310)の中央部分に接続されたキャップ(370)をさらに備え、
前記キャップは、開口窓(375)を提供する透明側面(372)を有し、前記導光体から出た前記光は、前記開口窓(375)を通って、前記移動可能振動板の前記前面(311)に送られ、
前記キャップは、前記光源からの前記光を通さない不透明材料を含む上面(371)を前記主音声放射方向に有する、
上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目4)
前記開口窓のサイズは、前記移動可能振動板の移動に伴って変化する、上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目5)
前記導光体(100)は、
前記光源から放射された前記光の入口部分(110)と、
前記入口部分よりも前記移動可能振動板の近くに存在する出口部分(130)と、
を有し、
前記出口部分(130)は、前記導光体から前記開口窓を通って出て前記振動板の前記前面を照明する前記光の分布を制御するように構成された反射面を備える、
上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目6)
前記反射面は、上端面(136)を前記主音声放射方向に備え、前記上端面(136)は、前記主音声放射方向に対して略垂直である、上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目7)
前記反射面は、上端面(132)を前記主音声放射方向に備え、前記上端面(132)は、前記主音声放射方向に対して傾斜する、上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目8)
前記反射面は、前記光源からの前記光を前記開口窓の方向に送るように構成されたプリズムを有する、上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目9)
前記開口窓は、
前記ボイスコイルの支持体(341)の上端により画定された下端と、
前記不透明材料を含む前記キャップの前記上面(371)に対する、前記導光体の前記出口部分の位置に依存する上端と、
を、前記主音声放射方向に有する、上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目10)
前記入口部分(110)は、前記光源により放射された前記光を前記出口部分の前記反射面にコリメートするように構成されたコリメート面(111)を備える、上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目11)
前記光源が配置された回路基板(400)と、
前記ボイスコイルの磁場を生成するように構成された駆動ユニットと、
をさらに備え、
前記回路基板は、前記駆動ユニットの下端に対して、前記主音声放射方向に接続される、
上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目12)
前記光源(450)は、異なる色の光を放射する発光素子を備え、
前記導光体は、前記光を混合して、均一な色の光を前記導光体から出すように構成された色混合ロッドとして構成される、
上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目13)
前記導光体は、前記ボイスコイルの磁場を生成するように構成された駆動ユニットに固定的に接続される、上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(項目14)
前記移動可能振動板は、コーン形状の振動板である、上記項目のいずれか1項に記載のオーディオスピーカ(10)。
(摘要)
本発明は、主音声放射方向に音声を放射するように構成されたオーディオスピーカに関し、オーディオスピーカは、ボイスコイル(340)と、ボイスコイルに接続され、ボイスコイルとともに動くように構成された移動可能振動板(310)と、を備え、移動可能振動板は、主音声放射方向の反対方向に、前面(311)と、前面の反対側の背面(312)と、を有する。オーディオスピーカは、光を放射するように構成された光源(450)であって、ボイスコイル(340)の下方で主音声放射方向に配置される、前記光源(450)と、光源から放射された光を移動可能振動板の前面に導くように構成された導光体(100)と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】光源により照明されるオーディオスピーカの分解図を示す。
図2】スピーカの移動可能振動板が第1の位置にある、図1のオーディオスピーカの概略断面図を示す。
図3】移動可能振動板が第2の位置にある、図1及び図2のオーディオスピーカの概略断面図を示す。
図4図1及び図2のオーディオスピーカに使用されるダストキャップの斜視図を示す。
図5】aは、光線がない状態の、図1図3に示されるオーディオスピーカで使用される導光体の概略断面図を示し、bは、光線がある状態の、図1図3に示されるオーディオスピーカで使用される導光体の概略断面図を示す。
図6】光線がある状態の、図1図3に示されるオーディオスピーカで使用される別の導光体の概略断面図を示す。
図7】オーディオスピーカで使用される導光体の下部を示す断面図である。
図8】オーディオスピーカの斜視背面図を示す。
図9】異なる位置の振動板、及び振動板の位置に応じて光源が生成した振動板前面の対応する照明を有する、オーディオスピーカの前部の一連の画像を示す。
図10】光が導光体を出て振動板の前面を照明するオーディオスピーカの部分の拡大断面図を示す。
図11】振動板及びボイスコイルに対するダストキャップの接続部を備えたオーディオスピーカの部分の簡略断面図を示す。
図12】オーディオスピーカの下部の拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態が詳細に説明される。下記の実施形態の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではないことが理解されよう。本発明の範囲は、下記に説明される実施形態または図面に限定されることを意図しておらず、実施形態または図面は例示にすぎない。
【0011】
図面は、概略的な表現としてみなされるべきであり、図面に示される要素は、必ずしも縮尺通りに示されていない。むしろ、様々な要素は、それらの機能及び一般的目的が当業者に明らかになるように表現されている。図面に示され、下記で説明される機能ブロック、デバイス、物理ユニットの構成要素、または機能ユニットの構成要素の間の任意の接続または連結は、間接的な接続または連結によっても実施され得る。構成要素間の連結は、有線接続または無線接続により確立され得る。機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで実施され得る。
【0012】
本明細書において「オーディオスピーカ」という用語は、移動可能振動板を主音声放射方向に作動させることにより、音響波を生成し放射することが可能なデバイスを意味すると解釈されるべきである。よって、本発明によるオーディオスピーカは、移動可能振動板と、移動可能振動板を作動させるように配置されたボイスコイルとを有する。オーディオスピーカの動作中に、ボイスコイルは、好適な入力信号を受信し、受信した入力信号に応じて、移動可能振動板を動かすまたは振動させることにより、入力信号に従った音響波を生成するように作動する。
【0013】
図1を参照すると、スピーカユニット300と、導光体100と、回路基板400に設けられた光源450と、振動板310の中央部に接続されるキャップ370とを備えるオーディオスピーカ10が提供される。回路基板400は、スピーカユニット300と、ネジなどの固定部材500を使用して接続される。下記に説明されるように、光源450によって生成された光は、導光体100を通って、振動板310の前面311を照明する。
【0014】
本明細書において「光源」という用語は、好ましくは人間の目に見える波長範囲内である光すなわち電磁波を生成するように構成されたデバイスを意味すると解釈されるべきである。しかし、光源が可視範囲外の波長の電磁波、例えば赤外光及び/または紫外光を生成可能であることは、除外されていない。光源は、例えば1つ以上の発光ダイオード(LED)、レーザ、レーザ活性化リモート蛍光体(LARP)光源、及び/または任意の他の適切な種類の光源であり得、またはこれらを含み得る。
【0015】
本明細書において、「導光体」100は、光をある位置から別の位置へ導くように構成された構成要素または素子を意味すると解釈されるべきである。導光体は、例えば導波路、コア及びクラッド層を有する光ファイバ、1つ以上の反射素子、1つ以上の屈折素子、及び/または任意の他の適切な光学素子であり得、またはこれらを含み得る。
【0016】
導光体100は、光源450から放射された光を振動板310の前面に導くように配置される。下記でさらに詳細に説明されるように、光源450は、移動可能振動板310から離れて配置され、これにより、光源450は、光が導光体から出てスピーカの前面へ送られる位置からも離れている。よって、光源から放射された光が、導光体100により光源の位置から、移動可能振動板310近くの導光体の開口窓まで導かれるように、導光体は、光源と振動板の前面とを相互接続する。これにより、光源を移動可能振動板またはその付近に配置する必要なく、移動可能振動板またはその付近の位置で、オーディオスピーカから光を放射することが可能となる。代わりに、振動板の動きを制御するために使用されるボイスコイルにより生成される熱、またはオーディオスピーカの他の発熱構成要素により生成される熱に曝されない位置に、光源は配置され、このような熱曝露により生じる光源の期待寿命に対する悪影響が軽減または回避され得る。
【0017】
図2も参照すると、オーディオスピーカ10は、図1及び図2に矢印Aで示される主音声放射方向に、音声を放射する。図1及び2では、音声が主に放射される空間は、スピーカの前方の空間であり、主音声放射方向とは反対方向にオーディオスピーカに面しているユーザは、スピーカの前面、特にオーディオスピーカの振動板310の前面または上面311に目を向けている状態である。スピーカユニット300は移動可能振動板310を備え、移動可能振動板310は、可撓性の縁取り313を介してフレーム320に接続され、これにより、振動板310は、主軸または中間軸360に対して垂直に、かつ図2の矢印Aによっても示される主音声放射方向に、移動することが可能となる。スピーカ300はさらに、磁場を生成するように構成された駆動ユニット330を備え、ボイスコイル340は、磁場内に配置され、中間軸360の方向に移動する。
【0018】
特に図2から推測できるように、回路基板、例えばプリント回路基板400は、駆動ユニット330の下部に接続され、光源450は、回路基板に接続され、主音声放射方向に光を放射する。導光体100は、光源450により放射された光を集めて、スピーカの後部からスピーカの前部へ光を導き、光は、導光体100から出て、振動板310の上面または前面311を照明する。下記では、オーディオスピーカ10内に存在する様々な要素の位置が、主音声放射方向に関して説明される。したがって、回路基板400及び光源450は、駆動ユニット330の下部または後部に接続される。主音声放射方向とは反対方向にスピーカ10を見た場合、振動板310は、上面311と下面312とを有する。上面311は、音声が放射されるスピーカの上方の空間に面する前面であり、背面は、前面の反対側であり、スピーカの内部に面し、スピーカを前面から見ているユーザは、通常、外部から背面を見ることはできない。駆動ユニット330は、永久磁石331と、第1の磁極片332と、第2の磁極片333とを有する。永久磁石331は、磁力線が磁極片332、333を通る静磁場を生成し、第1の磁極片332と第2の磁極片333との間には円筒状の空隙380が形成され、均一磁場が得られる。ボイスコイル340は空隙380内に配置され、よって、ボイスコイル340の巻き線に様々な電流が印加されると、ボイスコイル340が引き起こす様々な磁場の変化により、ボイスコイル340は、軸方向、すなわち中心中間軸360と平行に移動する。ボイスコイル340は、支持体341を介して移動可能振動板310に接続され、よって、オーディオスピーカ10から音響波を生成して放射するために、振動板310とともに動くように配置される。
【0019】
図2に示されるように、導光体100は、第1の磁極片332に固定的に接続される。示される実施形態では、導光体100及び回路基板400を磁極片332に接続するために、固定部材500としてネジが使用されているが、任意の他の固定機構が使用されてもよい。ボイスコイル340を通して電流が供給されると、ボイスコイル340は、振動板310とともに軸360と平行に移動し、この移動はさらに、スパイダとも称される心出し要素350により誘導される。振動板310は円錐形の振動板であり得、その中心部分は保護キャップ370に接続され、保護キャップ370はスピーカを前面方向で閉鎖する。振動板310は中央開口部を有し、この中央開口部はキャップにより閉鎖され、振動板が移動されると、キャップ370は振動板310とともに移動する。
【0020】
図4は、キャップ370のより詳細な図を示す。キャップは接続部373を有し、これによりキャップ370は、振動板310及びボイスコイルの支持体341に接続される。キャップはさらに、透明側面372と、光源450により放射された光を通さない材料を含む上面371とを有する。透明側面は、振動板310の前面311を照明するための窓として使用される。
【0021】
図3に戻ると、駆動ユニット330に対して振動板310が最上位置にある振動板の位置が示され、この位置では、駆動ユニット330に対する振動板310の偏位及び距離は最大になり、一方、図2は、ボイスコイルに電流が供給されていない状態の振動板310の休止位置を示す。図3に示される位置では、光源により放射され、導光体100を通って導かれた光は、キャップ370の透明側面372を容易に通過し得る。スピーカユニット300の底部に向かうもう1つの最大偏位位置に振動板310が移動した場合、ダストキャップ370の不透明な上面371が導光体の上部セクションを覆い得るため、透明側面372を通過できる光は、少なくなる、またはほぼなくなる。図2に示される休止位置では、光源450からの光は、同様に透明側面372を通過することができるが、これは、振動板が下方最大偏位位置にある場合は当てはまり得ない。図10に関連して後で説明されるように、透明側面372は開口窓を提供し、導光体から出た光は、開口窓を通って、振動板310の前面311へ送られ得る。
【0022】
導光体100は、駆動ユニット330に固定的に配置されるのに対し、透明側面372を有するキャップ370は、ボイスコイルとともに主音声放射方向に移動する。その結果、開口窓を通過する光の量は、振動板の移動に伴って変化する。要するに、透明側面372の開口窓を通過することができる光の量は、中間軸360に沿った、導光体に対するキャップ370の位置に正比例し得る。振動板及びダストキャップ370が主音声放射方向に移動する距離が大きくなるほど、より多くの光が開口窓から出ることができ、一方、振動板310が主音声放射方向とは反対方向に移動するほど、開口窓は小さくなる。
【0023】
図5a及び図5bは、導光体100の第1の実施形態をより詳細に示す。図5aは、光源から放射された光線がない状態の導光体100を示す。図5bは、導光体100による光放射面150への光線の導き方を示す。図5aに示されるように、導光体100は入口部分110を有し、入口部分110にて、光源からの光は導光体100に入り、図5bに示される光線460が中間軸360と略平行な経路を辿るように、光線は分配される。導光体100は中間部分120を有し、光は中間部分120を通って出口部分130へ導かれ、出口部分130には主光放射面150が設けられる。中間部分120は、円筒形状を有し、円形断面を有し得るが、多角形として設計された断面を有してもよい。出口部分130にて、光路は、中間軸360に平行な主方向から、中間軸360に対し略垂直な方向に変えられる。導光体はさらに、出口部分から中間軸と平行な方向で、主音声放射方向とは反対方向に延在する接続アーム140を有し、接続アーム140の自由端部は、駆動ユニット、ここでは第1の磁極片332に接続され、固定される。接続アーム140は、図1または図2に示される固定部材500を受け入れるように構成された受け入れ開口部141及び142を有する。導光体100は、出口部分130内にプリズム135を有し、プリズム135は、光路の方向を中間軸に平行な方向から、中間軸360に対して垂直な方向に変えるために設けられる。プリズム135は、光路を方向転換させるように構成された反射面を有する。導光体100全体は、透光性のある材料で作られ得るが、導光体内で全内部反射(TIR)が生じるように、内部反射面を有する。全ての側面は、20°または30°などの所定の角度よりも小さい角度で表面に当たる光を反射する反射面として、実装される。これにより、導光体を通して導かれる光の大部分が、必ず光放射面150で導光体から出ることが促進される。図5に示される実施例では、導光体の上面136は、中間軸360に対して垂直であるように設計される。したがって、約90°の傾斜角αは、上面136と中間軸360との間の角度で画定されるαにより提供される。図5bに示されるように、この傾斜角αは、光放射面150を出て前面311を照明する光線の分布も制御する。
【0024】
図6は、導光体100aのわずかに異なる実施形態を示す。この導光体は、図5a及び図5bの導光体とは、出口部分131の形状で異なる。図5a及び図5bでは、上面136は中間軸に対して略垂直であるが、図6の実施形態では、出口部分の半径方向外側部に設けられた上面132の端部セクションが、主音声放射方向の反対方向に傾斜するように、上面132は中間軸360に対して傾斜し、よって、傾斜面と中間軸360との間の角度αは、90°より大きく、90°~110°であることが好ましい。上面132及び中間軸360に対するその傾斜は、振動板310の前面の照明に影響する。図5bに示される状況と比較して、面132などの傾斜面は、光放射面151から出る光分布または光ビームを、より集束されたものにする。図5bでは、放射光線の開放角度がより大きく、その結果、図5bの実施形態では、図6に示される状況と比較して、振動板310の前面311のより大きなセクションが照明される。要するに、これは、上面132または上面136の傾斜または形状が、振動板の照明される量を制御するのに役立つことを意味する。
【0025】
図7は、導光体の入口部分110をより詳細に示す。光源450により放射された実質的に全ての光ビームが、入口部分110に供給されるように、光源450により放射された光は、入口部分を照明する。入口には、第1の光ビーム461が生成されるように、放射された光を集束させるレンズ115が設けられ、第1の光ビーム461は、導光体の中間部分120の内側側壁のうちの1つにより反射されることなく、プリズム135に当たるように、中間軸方向に送られる。レンズ115による影響を受けていない光の他の部分は、入口部分110の円錐セクション111で反射され、これらもプリズム135へ送られる。これらの光ビーム462及び463も、出口部分へ送られ、出口部分で、中間軸360に対して略垂直に、かつ主音声放射方向に対して垂直に反射される。
【0026】
図8は、オーディオスピーカ10の背面図を示す。スピーカユニット300を支持するフレーム320は、フレーム320の上部をフレームの下部322に接続する支持アーム321を有する。さらに、回路基板400及び第1の磁極片332が見える。さらに、コネクタ用のソケットを提供する接続セクション390が設けられ、オーディオ制御信号がスピーカ10に送信され得るレセプタクルを提供する。
【0027】
図9は、開口窓を提供する透明側面を通って放射される光の量が、2つの異なる状況での振動板の位置、及びキャップと振動板の幾何学的形状に、どのように依存するかを示す。左側の列は1つの幾何学的形状を示し、右側の列は別の幾何学的形状を示す。図9では、破線365は、導光体100に対するキャップ370の位置に応じて、導光体から出る光線により前面311が照明される程度を示す。左側の列の一番上に示される図面では、ダストキャップ370及び振動板は、主音声放射方向とは反対方向の最小偏位位置に存在し、図9の左側の列に示される2つの図面では、ダストキャップの位置は上昇し、図9の左側の列の一番下の図面で、振動板の音声放射方向の偏位は最大になる。右側の列には、わずかに異なる形状の振動板に関して、同じ状況が示される。移動する振動板の周波数が低い場合、前面311の照明の変化は人間の目で見え得るが、周波数が高い場合、照明の変化は人間の目では見えなくなり得る。
【0028】
図10は、不透明材料を含む上面371を有するキャップ370の接続部の拡大図を示す。接続部分373は、振動板310に接続される。さらに、図10は、光放射面150を有する導光体100の出口部分130を示す。透明側面372が導光体に対して、したがって光放射面150に対して移動すると、開口窓375が画定され、これにより提供される透明側面の一部を通って、導光体から放射された光は、振動板310の前面311に直接当たり得る。この開口窓のサイズは、振動板の移動に伴って変化し、この開口窓は、光放射面150の位置に対する、不透明材料を含む上面371の下縁の位置に依存する。よって、光のための開口窓の下端部は、ボイスコイルの支持体341の上端部により画定され、一方、開口窓の上端部は、不透明材料の下縁に対する導光体の上面136の位置に依存する。この開口窓のサイズは、移動する振動板に同期して変化する。
【0029】
図11は、振動板310に対するキャップ370の接続方法を示す断面図を示す。図11に示される接合領域378により象徴される接着結合を使用して、接続部分373は、ボイスコイルの支持体341に接続され得る。この接合領域378は、開口窓375を通る光路をボイスコイルの支持体341が妨害しないように確保するのに役立つ。さらに、ダストキャップは透明材料で作られ得るが、キャップの上面は不透明材料で被覆されるため、光はダストキャップの透明側面372からのみ出ることが、推測できる。
【0030】
図12は、導光体100に対する、磁極片332及び333を含む駆動ユニット330の接続をより詳しく示す断面図を示し、導光体の接続アーム140は第1の磁極片332に接続される。図12は、導光体のアーム140内に挿入される固定部材500を導入するのに必要となる磁極片332内の貫通孔を示す。
【0031】
上記から、いくつかの一般的な結論が引き出され得る。特に図2から分かるように、ボイスコイル340は、少なくとも部分的に導光体を、特に導光体の中間部分を取り囲み、光は導光体の出口部分へ送られる。ボイスコイルの内側に画定された体積は、駆動ユニット330の下方に位置する部分から駆動ユニットの上方の部分へ光を導くための導光体に使用することができる。
【0032】
オーディオスピーカはさらに、振動板310の中央部分に接続されたキャップ370を備え得、キャップは、開口窓を提供する透明側面372を有し、導光体から出た光は、開口窓を通って、移動可能振動板310の前面311に送られる。キャップはさらに、光源からの光を通さない不透明材料を含む上面を主音声放射方向に有する。
【0033】
前面へと光が通り抜ける開口窓375のサイズは、移動可能振動板の移動に伴って変化する。
【0034】
さらに導光体は、光源から放射された光の入口部分110と、入口部分よりも移動可能振動板310の近くに存在する出口部分130と、を有し得、出口部分130は、導光体から開口窓を通って出て振動板の前面を照明する光の分布を制御するように構成された反射面を備える。反射面は、プリズム135の表面を含み得、さらに導光体100の上面136または上面132を含み得る。振動板310の前面の方向に光を放つ開口窓は、ボイスコイルの支持体の上端により画定された下端と、不透明材料を含むキャップの上面に対する、導光体100の出口部分の位置に依存する上端とを、主音声放射方向に有し得る。
【0035】
入口部分110は、光源により放射された光を出口部分の反射面にコリメートするように構成されたコリメート面及び/またはレンズ115を備え得る。
【0036】
さらに、光源450が配置された回路基板400が設けられ得る。オーディオスピーカはさらに、ボイスコイルの磁場を生成するように構成された駆動ユニット330を備える。回路基板は、駆動部の下端に対し、主音声放射方向に接続され得る。
【0037】
光源は、白色光などの単色を放射する光源であり得る。しかし、光源が、異なる色の光を放射する異なる発光素子を含むことも可能である。この場合、導光体は、光を混合して、均一な色の光を導光体から出すように構成された色混合ロッドとして構成され得る。
【0038】
導光体は、ボイスコイルの磁場を生成するように構成された駆動ユニットに、固定的に接続されることが好ましい。駆動ユニットは、永久磁石と、1つ以上の磁極片とを有し得、これにより、ボイスコイルが設けられる自由空間に、均一な磁場が確実に生成される。均質な磁場を生成するために磁石とともに使用される磁極片のうちの1つに、導光体は固定的に接続され得る。オーディオスピーカ及び移動可能振動板は、コーン型スピーカとして設計され得、移動可能振動板は、コーン形状を有する。
【0039】
上記で論述されたオーディオスピーカの要約により、振動板310の前面の効果的な照明方法が提供され、オーディオスピーカ内で生じるいかなる熱によっても光源の寿命が損なわれないように、光源は配置される。さらに、スピーカの下部に回路基板を追加して接続することにより、体積をコンパクト化できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12