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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080620
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】マイクロ層CMP研磨サブパッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/22 20120101AFI20240606BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20240606BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240606BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20240606BHJP
【FI】
B24B37/22
B24B37/24 C
H01L21/304 622F
B24B37/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191340
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】18/060,669
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/490,290
(32)【優先日】2023-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ガンフア・ホウ
(72)【発明者】
【氏名】ブラインアン・バートン
(72)【発明者】
【氏名】アラアッディン・アルスバイエ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ワンク
(72)【発明者】
【氏名】トゥチュン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】アネット・クレバス
(72)【発明者】
【氏名】ネスター・エー・バスケス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アール・マコーミック
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AA19
3C158CA01
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA12
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB05
3C158EB10
3C158EB11
3C158EB12
3C158EB19
5F057AA02
5F057AA24
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB03
5F057EB06
5F057EB07
5F057EB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイクロ孔を有するケミカルメカニカル研磨サブパッドに関する。
【解決手段】研磨パッド10は、ポリマーマトリックスと、半導体、磁性及び光学基材の少なくとも一つを研磨するのに有用な研磨面14と、底面16と、研磨パッドの底面に被着された多孔性サブパッドとを有する。多孔性サブパッドは、研磨パッドを多孔性サブパッドに固着するための非多孔性マイクロ層を含む。多孔性ポリマーネットワークは、圧縮力を研磨パッドの底面から多孔性サブパッドへ移すための、非多孔性マイクロ層に隣接する独立気泡マイクロ孔18の単一層、及び独立気泡マイクロ孔の単一層に隣接する、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の多層を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックスと、半導体、磁性及び光学基材の少なくとも一つを研磨するのに有用な研磨面と、底面とを有する研磨パッドと;
前記研磨パッドの前記底面に被着された多孔性サブパッドであって、
前記研磨パッドを前記多孔性サブパッドに固着するための、柔軟であり、前記研磨パッドの前記底面にマイクロスケールのコンフォーマルコーティングを形成する非多孔性マイクロ層を含み、非多孔性層が前記研磨パッドの前記底面とつながっている、多孔性サブパッドと;
多孔性ポリマーネットワークであって、
i)圧縮力を前記研磨パッドの前記底面から前記多孔性サブパッドへ移すための、前記非多孔性マイクロ層に隣接する独立気泡マイクロ孔の単一層;及び
ii)独立気泡マイクロ孔の前記単一層に隣接する、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の多層であって、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の前記多層がガス充填されており、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の前記多層が、前記研磨パッドの全研磨寿命中、ガス充填状態に留まる、多層
を含む多孔性ポリマーネットワークと
を含むケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項2】
前記非多孔性マイクロ層が、前記ポリマーネットワーク内の前記多層マイクロ孔の平均直径の50%未満の平均厚さを有する、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記多層が、独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との前記混合物を含み、独立気泡が球形であり、連続気泡孔が卵形マイクロ孔を含む、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記多層が、ケミカルメカニカル研磨パッドの研磨プロファイルを調整するために前記サブパッドの中へ延びるマクロ形体を含む、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記ポリマーマトリックスが独立気泡マイクロ孔を含み、前記独立気泡がマイクロ孔であり、前記研磨パッドの底面が開口したマイクロ孔を含み、前記非多孔性マイクロ層が前記開口したマイクロ孔とつながって、前記研磨パッドの前記底面の前記開口したマイクロ孔を少なくとも部分的に埋める、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項6】
ポリマーマトリックスと、半導体、磁性及び光学基材の少なくとも一つを研磨するのに有用な研磨面と、底面とを有する研磨パッドと;
前記研磨パッドの前記底面に被着された多孔性サブパッドであって、
前記研磨パッドを前記多孔性サブパッドに固着するための、柔軟であり、前記研磨パッドの前記底面にマイクロスケールのコンフォーマルコーティングを形成する非多孔性マイクロ層を含み、非多孔性層が前記研磨パッドの前記底面とつながっている、多孔性サブパッドと;
多孔性ポリマーネットワークであって、
i)圧縮力を前記研磨パッドの前記底面から前記多孔性サブパッドへ移すための、前記非多孔性マイクロ層に隣接する独立気泡マイクロ孔の単一層;及び
ii)独立気泡マイクロ孔の前記単一層に隣接する、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の多層であって、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の前記多層がガス充填されており、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の前記多層が、前記研磨パッドの全研磨寿命中、ガス充填状態に留まる、多層
を含む多孔性ポリマーネットワークと
を含み、前記研磨パッドが多孔性を有し、前記多孔性サブパッドが、前記研磨パッドの前記多孔性よりも高い多孔性を有する、ケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項7】
前記非多孔性マイクロ層が、前記ポリマーネットワーク内の前記多層マイクロ孔の平均直径の50%未満の平均厚さを有する、請求項6記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記多層が、独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物を含み、独立気泡が球形であり、連続気泡が卵形マイクロ孔を含む、請求項6記載の研磨パッド。
【請求項9】
前記多層が、ケミカルメカニカル研磨パッドの研磨プロファイルを調整するために前記サブパッドの中へ延びる一連のマクロ形体を含む、請求項6記載の研磨パッド。
【請求項10】
前記研磨層が底面を有し、前記底面が、前記研磨層の前記研磨面を貫通することなく前記研磨層の中へ延びる環状の溝を含み、前記サブパッドが前記環状の溝を埋める、請求項6記載の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年12月1日に出願された、現在は係属中の米国特許出願第18/060,669号の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ケミカルメカニカル研磨サブパッドに関する。より具体的には、本発明は、マイクロ孔を有するケミカルメカニカル研磨サブパッドに関する。
【0003】
集積回路及び他の電子デバイスの作製においては、導電材料、半導電材料及び絶縁材料の複数の層を半導体ウェーハの表面に付着させたり、半導体ウェーハの表面から除去したりする。導電材料、半導電材料及び絶縁材料の薄層は、いくつかの付着技術を使用して付着させることができる。最新のウェーハ加工において一般的な付着技術としては、とりわけ、スパッタリングとも知られる物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ増強化学蒸着法(PECVD)及び電気化学的めっき法がある。一般的な除去技術としては、とりわけ、湿式及び乾式の等方性及び異方性エッチングがある。
【0004】
材料層が順次に付着され、除去されるにつれ、ウェーハの最上面は非平坦になる。後続の半導体加工(たとえばフォトリソグラフィー)は、ウェーハが平坦面を有することを要するため、ウェーハは平坦化されなければならない。平坦化は、望まれない表面トポグラフィーならびに表面欠陥、たとえば粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料を除去するのに有用である。
【0005】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)が、半導体ウェーハなどの加工物を平坦化又は研磨するために使用される一般的な技術である。従来のCMPにおいては、ウェーハキャリヤ、すなわち研磨ヘッドがキャリヤアセンブリに取り付けられる。その研磨ヘッドがウェーハを保持し、ウェーハを、CMP装置内でテーブル又はプラテン上に取り付けられている研磨パッドの研磨層と接触する状態に配置する。キャリヤアセンブリがウェーハと研磨パッドとの間に制御可能な圧を提供する。同時に、研磨媒(たとえばスラリー)が研磨パッド上に小出しされ、ウェーハと研磨層との間の間隙に引き込まれる。研磨を施すために、研磨パッド及びウェーハは通常、互いに対して回転する。研磨パッドがウェーハの下で回転するとき、ウェーハは、通常は環状の研磨トラック、すなわち研磨領域を描き出し、その中でウェーハ表面が研磨層と直接対面する。ウェーハ表面は、研磨層及び表面上の研磨媒の化学的かつ機械的作用によって研磨され、平坦化される。
【0006】
CMPプロセスは通常、単一の研磨ツール上、二つ又は三つの工程で起こる。第一の工程がウェーハを平坦化し、余剰材料の大部分を除去する。平坦化ののち、後続の工程が、平坦化工程中に付いたスクラッチ又はチャターマークを消す。これらの用途に使用される研磨パッドは、スクラッチを付けることなく基材を研磨するために軟質かつコンフォーマルでなければならない。さらに、研磨パッドは、優れたウェーハ歩留まりを達成するために、平坦化において均一な速度で全面的な研磨を提供しなければならない。従来、CMP機器設定、たとえばダウンフォース、ウェーハ速度、プラテン速度、研磨パッド厚さ、サブパッド圧縮性、スラリー流量及びウェーハヘッド圧設定が組み合わさって全面的な平坦化を改善する。これにもかかわらず、ウェーハエッジに隣接する最後の数ミリメール分がエッジファスト又はエッジスローな除去速度をこうむる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
数年間の努力にもかかわらず、エッジファスト及びエッジスローな研磨又は平坦化に伴う歩留まり損失をさらに減らす課題が残る。したがって、エッジ効果を減らし、ウェーハ歩留まりを改善する努力が続いている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、ポリマーマトリックスと、半導体、磁性及び光学基材の少なくとも一つを研磨するのに有用な研磨面と、底面とを有する研磨パッドと;前記研磨パッドの前記底面に被着された多孔性サブパッドであって、前記研磨パッドを前記多孔性サブパッドに固着するための、柔軟であり、前記研磨パッドの前記底面にマイクロスケールのコンフォーマルコーティングを形成する非多孔性マイクロ層を含み、非多孔性層が前記研磨パッドの前記底面とつながっている、多孔性サブパッドと;多孔性ポリマーネットワークであって、i)圧縮力を前記研磨パッドの前記底面から前記多孔性サブパッドへ移すための、前記非多孔性マイクロ層に隣接する独立気泡マイクロ孔の単一層;及びii)独立気泡マイクロ孔の前記単一層に隣接する、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の多層であって、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の前記多層がガス充填されており、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の前記多層が、前記研磨パッドの全研磨寿命中、ガス充填状態に留まる、多層を含む多孔性ポリマーネットワークとを含むケミカルメカニカル研磨パッドを提供する。
【0009】
本発明のもう一つの態様は、ポリマーマトリックスと、半導体、磁性及び光学基材の少なくとも一つを研磨するのに有用な研磨面と、底面とを有する研磨パッドと;前記研磨パッドの前記底面に被着された多孔性サブパッドであって、前記研磨パッドを前記多孔性サブパッドに固着するための、柔軟であり、前記研磨パッドの前記底面にマイクロスケールのコンフォーマルコーティングを形成する非多孔性マイクロ層を含み、非多孔性層が前記研磨パッドの前記底面とつながっている、多孔性サブパッドと;多孔性ポリマーネットワークであって、i)圧縮力を前記研磨パッドの前記底面から前記多孔性サブパッドへ移すための、前記非多孔性マイクロ層に隣接する独立気泡マイクロ孔の単一層;及びii)独立気泡マイクロ孔の前記単一層に隣接する、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の多層であって、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の前記多層がガス充填されており、独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の前記多層が、前記研磨パッドの全研磨寿命中、ガス充填状態に留まる、多層を含む多孔性ポリマーネットワークとを含み、前記研磨パッドが多孔性を有し、前記多孔性サブパッドが、前記研磨パッドの前記多孔性よりも高い多孔性を有する、ケミカルメカニカル研磨パッドを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】研磨パッド中に独立気泡孔を有する研磨パッドの模式図である。
図2】多孔性サブパッドの非多孔性マイクロ層を示す、多孔性サブパッドの残り部分を切り欠いた、図1の研磨パッドの模式図である。
図3】独立気泡マイクロ孔の単一層が非多孔性マイクロ層に隣接している、多孔性サブパッドの残り部分を切り欠いた、図2の研磨パッドの模式図である。
図4】連続気泡及び独立気泡マイクロ孔の多層が独立気泡マイクロ孔の単一層に隣接している、図3の研磨パッドの模式図である。
図4A】独立気泡マイクロ孔の多層が独立気泡マイクロ孔の単一層に隣接している、図3の研磨パッドの模式図である。
図4B】連続気泡マイクロ孔の多層が独立気泡マイクロ孔の単一層に隣接している、図3の研磨パッドの模式図である。
図5】研磨パッドの底面に適合する非多孔性層を有する研磨パッドの模式図である。
図6】非多孔性層に隣接する連続気泡及び独立気泡マイクロ孔の多層を有する研磨パッドの模式図である。
図6A】非多孔性層に隣接する独立気泡マイクロ孔の多層を有する研磨パッドの模式図である。
図6B】非多孔性層に隣接する連続気泡マイクロ孔の多層を有する研磨パッドの模式図である。
図7】凹んだサブパッドを有する研磨パッドの底面図である。
図7A図7の研磨パッドの中心を通して切断した断面図である。
図8】環状の凹み溝を有する同心状の円形溝を有する研磨パッドの上面図である。
図8A】研磨パッド中の垂直及びテーパ状の環状凹みを埋めるサブパッドを示す、図8の研磨パッドの中心を通して切断した断面図である。
図9】環状の凹み溝を有する同心状の円形溝を有する研磨パッドの上面図である。
図9A】研磨パッド中の垂直及びタブ形の環状凹みを埋めるサブパッドを示す、図9の研磨パッドの中心を通して切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドは、半導体、磁性及び光学基材の少なくとも一つを研磨するのに有用である。研磨パッドは、ポリマーマトリックス、たとえばポリウレタン、ポリウレア又はポリウレタン-ウレアポリマーマトリックスを有する。特に、ケミカルメカニカル研磨パッドは、半導体ウェーハを研磨するのに有用であり、特に、半導体ウェーハの低欠陥率平坦化に有用である。好都合には、サブパッドのすべての構成要素が同じポリマー組成を有する。
【0012】
図1を参照すると、研磨パッド10は研磨層12を有する。研磨層12は、研磨面14を有し、ポリマーマトリックスから形成されている。研磨パッドはまた、研磨パッド10の範囲を画定する底面16を有する。好都合には、研磨パッド10は、研磨パッド10から底層16まで、一貫したポリマーマトリックス及び密度を有する。研磨面14は、パターン形成された集積回路ウェーハなどの半導体基材を研磨又は平坦化するのに有用である。任意選択的に、ポリマーマトリックスは多孔性である。ポリマーマトリックスが多孔性であるならば、それは好都合には気孔18を含む。
【0013】
気孔18は、研磨中にスラリーなどのCMP研磨流体の輸送及び研磨層12の砥粒コンディショニングを促進して、一貫した定常状態マイクロテクスチャを形成させる。この一貫したマイクロテクスチャは、開口した気孔20を研磨面14に含む。研磨中、研磨層12は、ウェーハとの摩擦及びダイアモンドコンディショニングなどのコンディショニングからすり減る。研磨パッド10が多孔性であるとき、研磨層12のすり減りは、絶えず新たな気孔を研磨面14に開放する。一般的な研磨層12は、マイクロ孔の開放によって生成されたマイクロテクスチャを研磨面14に有するであろう。
【0014】
研磨パッド10の底面16は平坦であることができるが、通常は、多孔性サブパッド45、46及び47(図4、4A及び4B)の被着改善のためにテクスチャを有する。このテクスチャは、砥粒、たとえば研磨パッド10の底面16を平らにするために使用される砥粒で底面16を研磨することによって形成することができる。あるいはまた、このテクスチャは、鋳造ポリマーケーキから研磨パッドをスカイビングすることによって形成することもできる。スカイビングは、研磨パッド10の底面に開放気泡22を創出する利点を有する。
【0015】
図2を参照すると、研磨パッドの10の下で、非多孔性マイクロ層30が研磨パッド10の底面16に被着している。非多孔性マイクロ層30は、優れた被着のために、底面16の表面粗さに適合する。たとえば、非多孔性マイクロ層は、10~50μmの重量平均直径を有するスカイビングされたポリマーマイクロエレメントの内径に適合することができる。この構成の場合、非多孔性マイクロ層30の表面粗さは、研磨パッド10の底面16の表面粗さの鏡像である。好ましくは、非多孔性マイクロ層は、研磨パッド10の底面16とつながったコンフォーマルコーティングである。たとえば、ポリマーマトリックスは独立気泡マイクロ孔18を含み、研磨パッド10の底面16は開口したマイクロ孔22を含み、非多孔性マイクロ層30は開口したマイクロ孔22とつながって、研磨パッド10の底面16の開口したマイクロ孔を少なくとも部分的に埋めている。好ましくは、非多孔性マイクロ層は開口したマイクロ孔22の大多数を埋める。最も好ましくは、非多孔性マイクロ層はすべての開口したマイクロ孔22を埋める。
【0016】
図3を参照すると、研磨パッド10及び非多孔性マイクロ層30の下で、破線A-Aが、独立気泡孔52、54、56及び58の単一層50を非多孔性マイクロ層30から切り離している。独立気泡孔52、54、56及び58は、圧縮力を研磨層10の底面16から多孔性マイクロ層30へ移行させる。この力の移行が研磨エッジ効果を減らし、ウェーハ歩留まりを改善することができる。好都合には、単一層50の独立気泡マイクロ孔52、54、56及び58の少なくとも半分は、独立気泡マイクロ孔52、54、56及び58の平均直径から50%未満しか変化しない直径を有する。加えて、破線B-Bが、独立気孔52、54、56及び58の単一層50を多層(図4、4A及び4B)から切り離している。
【0017】
図4を参照すると、研磨パッド10、非多孔性マイクロ層30及び独立気泡の単一層50の下で、多層60が、独立気泡62、64及び66、連続気泡(61A、61B)、(63A、63B及び63C)及び(65A、65B)を含む。集合的に、非多孔性マイクロ層30、単一層50及び多層60が合わさって多孔性サブパッド45を形成している。単一層と合わさった薄い非多孔性マイクロ層50はサブパッド45に剛性をほとんど提供せず、サブパッド45が単独のサブパッドとして作用することを許す。連続気泡孔は、隣接する気孔、たとえば気孔61A及び61B又は気孔63A、63B及び63Cの間に加圧ガスを送ることにより、分散性の圧縮力をより広い区域に伝達する利点を有する。好ましくは、つながった気孔の内面は、研磨中のウィッキングを抑制するために、疎水性である。疎水性の開放気泡孔62、64及び66は、安定した研磨のために多孔性サブパッドのぬれを抑制する利点を提供する。多層60の独立気泡マイクロ孔52、54、56及び58ならびに連続気泡孔(61A、61B)、(63A、63B及び63C)及び(65A、65B)は、研磨パッドの全研磨寿命中、ガス充填状態に留まる。
【0018】
図4Aを参照すると、研磨パッド10、非多孔性マイクロ層30及び独立気泡の単一層50の下で、多層70が独立気泡72、74、76及び78を含む。集合的に、非多孔性マイクロ層30、単一層50及び多層70が合わさって多孔性サブパッド46を形成している。独立気泡孔は、安定した研磨のために多孔性サブパッド46のぬれを抑制する利点を有する。多層70の独立気泡マイクロ孔72、74、76及び78は、研磨パッドの全研磨寿命中、ガス充填状態に留まる。
【0019】
図4Bを参照すると、研磨パッド10、非多孔性マイクロ層30及び独立気泡の単一層50の下で、多層80が連続気泡82、84、86及び88を含む。集合的に、非多孔性マイクロ層30、単一層50及び多層80が合わさって多孔性サブパッド47を形成している。連続気泡孔は、隣接する気孔、たとえば気孔82、84、86及び88の間に加圧ガスを送ることにより、分散性の圧縮力をより広い区域に伝達する利点を有する。好ましくは、つながった気孔の内面は、研磨中のウィッキングを抑制するために、疎水性である。多層80の連続気泡マイクロ孔82、84、86及び88は、研磨パッドの全研磨寿命中、ガス充填状態に留まる。任意選択的に、小さめの気孔、たとえば気孔83が、隣接する気孔、たとえば気孔82及び84につながることもできる。
【0020】
図1~4、4A及び4Bを参照すると、単一の独立気泡層50と多層60、70及び80とが合わさって多孔性ポリマーネットワークを形成している。好ましくは、非多孔性マイクロ層は、サブパッド45、46及び47の剛性を抑制するために、ポリマーネットワーク内の多層マイクロ孔の平均直径の50%未満の平均厚さを有する。より好ましくは、非多孔性マイクロ層は、サブパッド45、46及び47の剛性を抑制するために、ポリマーネットワーク内の多層マイクロ孔の平均直径の25%未満の平均厚さを有する。
【0021】
さらに、非多孔性マイクロ層実施形態は、非多孔性マイクロ層30と、単一の独立気泡層50と、多孔性サブパッド45の場合には連続気泡・独立気泡混合層、多孔性サブパッド46の場合には独立気泡層又は多孔性サブパッドの47場合には連続気泡層とを含む。好ましくは、独立気泡及び連続気泡マイクロ孔の場合、独立気泡は球形であり、連続気泡孔は卵形のマイクロ孔を含む。多孔性サブパッド45、46及び47は研磨パッド10の底面16に被着又は固着される。被着法の例は化学結合及びコンフォーマルコーティングを含む。好ましくは、コンフォーマルコーティングが研磨パッド10を多孔性サブパッド45、46及び47に被着又は固着する。好都合には、サブパッド45、46及び47のすべての構成要素が同じポリマー組成を有する。これは、マイクロ層30、独立気泡層50及び多層60、70及び80の間の密着を改善し、サブパッド45、46及び47が単一の圧縮可能な層として作用することを許す。
【0022】
図5を参照すると、研磨パッド110は研磨層112を有する。研磨層112は、研磨面114を有し、ポリマーマトリックスから形成されている。研磨パッド110はまた、研磨パッド110の範囲を画定する底面116を有する。好都合には、研磨パッド110は、研磨面114から底層116まで、一貫したポリマーマトリックス及び密度を有する。研磨面114は、パターン形成された集積回路ウェーハなどの半導体基材を研磨又は平坦化するのに有用である。任意選択的に、ポリマーマトリックスは多孔性である。ポリマーマトリックスが多孔性であるならば、それは好都合には気孔118を含む。
【0023】
気孔118は、研磨中にスラリーなどのCMP研磨流体の輸送及び研磨層112の砥粒コンディショニングを促進して、一貫した定常状態マイクロテクスチャを形成させる。この一貫したマイクロテクスチャは、開口した気孔120を研磨面114に含む。研磨中、研磨層112は、ウェーハとの摩擦及びダイアモンドコンディショニングなどのコンディショニングからすり減る。研磨パッド110が多孔性であるとき、研磨層112のすり減りは絶えず新たな気孔を研磨面14に開放する。一般的な研磨層112は、マイクロ孔の開放によって生成されたマイクロテクスチャを研磨面114に有するであろう。
【0024】
研磨パッド110の底面116は平坦であることができるが、通常は、非多孔性層130の被着改善のためにテクスチャを有する。非多孔性層130は底層116を埋めてコンフォーマル層を形成する。このテクスチャは、砥粒、たとえば研磨パッド110の底面116を平らにするために使用される砥粒で底面116を研磨することによって形成することができる。あるいはまた、このテクスチャは、鋳造ポリマーケーキから研磨パッドをスカイビングすることによって形成することもできる。スカイビングは、研磨パッド110の底面に開放気泡122を創出する利点を有する。この構成の場合、非多孔性マイクロ層130の表面粗さは、研磨パッド110の底面116の表面粗さの鏡像である。好ましくは、非多孔性マイクロ層は、研磨パッド110の底面116とつながったコンフォーマルコーティングである。たとえば、ポリマーマトリックスは独立気泡マイクロ孔18を含み、研磨パッド110の底面116は開口したマイクロ孔122を含み、非多孔性マイクロ層130は開口したマイクロ孔122とつながって、研磨パッド110の底面116の開口したマイクロ孔を少なくとも部分的に埋めている。好ましくは、非多孔性マイクロ層は開口したマイクロ孔122の大多数を埋める。最も好ましくは、非多孔性マイクロ層はすべての開口したマイクロ孔122を埋める。非多孔性層130は、研磨パッド110の底面116から破線C-Cまで延びている。
【0025】
図6を参照すると、研磨パッド110及び非多孔性層130の下で、非多孔性層130は通常、多層140の平均気泡直径の厚さよりも大きい厚さを有する。好都合には、非多孔性層130は、多層140の平均気泡直径の少なくとも二倍(200%)の厚さを有する。非多孔性層130は研磨パッド110を多孔性サブパッド125に固着する。非多孔性層は、ポリマーマトリックスを有し、研磨パッド110の底面のマイクロスケールの凹型圧痕を形成し;非多孔性層のこの凹型圧痕が研磨パッド110の底とつながっている。非多孔性層130は有意な剛性を研磨パッド110に付加する。したがって、非多孔性層130と多孔性多層140とが合わさって二層サブパッドとして作用する。
【0026】
多層140は、独立気泡142及び144、連続気泡(141A、141B)及び(143A、143B)を含む。(141A、141B)及び(143A、143B)などの連続気泡孔は、隣接する気孔、たとえば気孔(141A、141B)又は(143A、143B)の間に加圧ガスを送ることにより、圧縮力を伝達し、より広い区域に分散させる利点を有する。非多孔性層130と多層140とが合わさって多孔性サブパッド125を形成している。好ましくは、つながった気孔の内面は、研磨中のウィッキングを抑制するために、疎水性である。独立気泡孔142、144及び146は、安定した研磨のために多孔性サブパッド125のぬれを抑制する利点を提供する。独立気泡マイクロ孔、連続気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との混合物の多層140は、非多孔性層と同じポリマーマトリックスと、非多孔性層よりも高い柔軟性とを有し、研磨パッドは多孔性を有する。加えて、多孔性サブパッド125は、研磨パッド110の多孔性よりも高い多孔性を有する。
【0027】
図6Aを参照すると、研磨パッド110及び非多孔性層130の下で、多層140は独立気泡150、152、154、156及び158を含む。非多孔性層130と多層140とが合わさって多孔性サブパッド126を形成している。連続気泡孔150、152、154、156及び158は、安定した研磨のために多孔性サブパッド126のぬれを抑制する利点を有する。
【0028】
図6Bを参照すると、研磨パッド110及び非多孔性層130の下で、多層140は連続気泡160、162、164、166及び168を含む。非多孔性層130と多層140とが合わさって多孔性サブパッド127を形成している。連続気泡孔160、162、164、166及び168は、隣接する気孔、たとえば気孔160、162、164、166及び168の間に加圧ガスを送ることにより、分散性の圧縮力をより広い区域に伝達する利点を有する。好ましくは、つながった気孔の内面は、研磨中のウィッキングを抑制するために、疎水性である。任意選択的に、小さめの気孔、たとえば気孔163及び167が、隣接する気孔、たとえば気孔162と気孔164及び気孔166と気孔168をつなぐこともできる。
【0029】
図5、6、6A及び6Bは、順次合わさって、本発明の二層サブパッド実施形態を例示する。二層実施形態は、非多孔性層130と、多孔性サブパッド125の場合には連続気泡・独立気泡混合層、多孔性サブパッド126の場合には独立気泡層又は多孔性サブパッド127の場合には連続気泡層とを含む。多孔性サブパッド125、126及び127は研磨パッド110の底面116に被着又は固着される。被着法の例は化学結合及びコンフォーマルコーティングを含む。好ましくは、コンフォーマルコーティングが研磨パッド110を多孔性サブパッド125、126及び127に被着又は固着する。
【0030】
図7及び7Aを参照すると、サブパッド200は、凹んだ同心環202及び204を有する。CMP研磨中、トップ又は研磨層210が合わさってウェーハ中心及びエッジ研磨プロファイルを確立する。凹んだ環202及び204は、ケミカルメカニカル研磨パッド206の研磨プロファイルを調整するために研磨パッド206のサブパッド200の中へ延びるマクロ形体を表す。たわみ増大のために、マクロ形体202及び204は部分的に研磨層210の中へ延びる。たとえば、エッジプロファイルが速すぎる、又は遅すぎるならば、ウェーハ上の合格品チップの割合又はウェーハ歩留まりは劇的に低下する。同心環202及び204の幅及び深さの調整は、中心及び周縁部の近くのたわみを制御してウェーハ歩留まりを高める。マクロ形体は任意の形状であることができるが、好ましくは同心環である。
【0031】
好都合には、研磨パッド206は多孔性を有し、多孔性サブパッド200は、研磨パッド206の多孔性よりも高い多孔性を有する。サブパッド200のより高い多孔性が研磨パッド206のより大きなたわみを提供して、より効率的な研磨のためにウェーハ(図示せず)との接触面積を増す。図4、4A、4B、5、5A及び5Bのサブパッドはすでにウェーハ歩留まりを改善することができるが、背面の凹んだ同心環202及び204はエッジ効果及びウェーハ歩留まりをさらに改善することができる。
【0032】
これらの模式図は、中心の研磨プロファイル及びエッジの研磨プロファイルを調整する方法を説明する。具体的には、研磨層210の溝214と溝214との間に位置するランド区域212が、増大した柔軟性を有し、ウェーハに対してより少ない圧を加えて、局所区域における研磨速度を低下させる。これらの背面凹みの位置及び寸法がたわみの量を制御して研磨プロファイルを正す。
【0033】
図8及び8Aを参照すると、研磨パッド300は同心の円形溝302を有する。研磨面303は円形溝302に隣接している。溝302は、中心304に隣接するところから外周306まで延びている。円形溝302は研磨層308の中へ延びてスラリー移動を促進する。研磨層308の研磨面303はウェーハ表面と直に相互作用するため、研磨層308の圧縮性の調整が除去速度に対して直接的な影響を及ぼす。
【0034】
研磨パッド300の圧縮性は、サブパッド310厚さに対する研磨層308厚さの比に依存する。さらに、環状溝空所312及び314の量、深さ又は幅の増大が、環状溝空所312及び314の上にある、及びそれに隣接するところの研磨層308の圧縮性を増大させることができる。環状溝空所312及び314は、サブパッドへのスラリー漏れを防ぐために、研磨層303を貫通しない。最も好都合には、環状溝空所312及び314は、サブパッドへのスラリー漏れを防ぐために、円形溝302又は研磨層303を貫通しない。環状溝空所312及び314は、研磨パッド300全体で異なる環状領域における厚さ比を異なる量だけ変えることにより、可変性の圧縮性を可能にする。この圧縮性比の調整が、エンドユーザが、CMPプロセスから生じる研磨速度ばらつきを減らすことを可能にする。
【0035】
最も好都合には、環状溝空所は、研磨速度エッジ効果を減らすために、外周306に隣接する。これは、研磨層の圧縮性を増して、研磨パッド300の外周306の近くで生じるウェーハにかかる圧を減らすことによって起こる。すると、外周306の近くの圧力減少は、研磨パッド外周306に隣接するところでパッド圧増大から生じることができるエッジファスト研磨を相殺する。あるいはまた、設計は、中心304から始まり、外周306から離間した位置まで延びる環状空所312又は314を有することもできる。この設計は、外周306に隣接するところでウェーハにかかる相対圧を増して、エッジスロー研磨を相殺する。
【0036】
加えて、環状溝空所312は、側壁313が環状溝空所312に向かって内に傾く漸進的な移行を有することもできる。環状溝空所314は、垂直な側壁315を用いることにより、段状の移行を有する。これらの設計は、研磨層308の研磨面303全体で圧縮性移行を制御し、調整して、研磨除去速度ばらつきを減らし、ウェーハ全体で除去速度プロファイルを平らにする利点を提供する。
【0037】
図9及び9Aを参照すると、研磨パッド400は同心の円形溝402を有する。研磨面403は円形溝402に隣接している。溝402は、中心404に隣接するところから外周406まで延びている。これらの溝402は研磨層408の中へ延びてスラリー移動を促進する。研磨パッド400の圧縮性は、サブパッド410厚さに対する研磨層408厚さの比に依存する。さらに、環状溝空所412及び414の量、深さ又は幅の増大が、環状溝空所412及び414の上にある、及びそれに隣接するところの研磨層408の圧縮性を増大させることができる。したがって、環状溝空所412及び420は、研磨パッド400全体で異なる環状領域における厚さ比を異なる量だけ変えることにより、可変性の圧縮性を可能にする。この圧縮性比の調整が、エンドユーザが、CMPプロセスから生じる研磨速度ばらつきを減らすことを可能にする。
【0038】
最も好都合には、環状溝空所は、研磨速度エッジ効果を減らすために、外周406に隣接する。これは、研磨層の圧縮性を増して、研磨パッド400の外周406の近くで生じるウェーハにかかる圧を減らすことによって起こる。すると、外周406の近くの圧力減少は、研磨パッド外周406に隣接するところでパッド圧増大から生じることができるエッジファスト研磨を相殺する。あるいはまた、設計は、中心404から始まり、外周406から離間した位置まで延びる環状空所412又は420を有することもできる。この設計は、外周406に隣接するところでウェーハにかかる相対圧を増して、エッジスロー研磨を相殺する。
【0039】
加えて、環状溝空所420は、研磨層308へのサブパッド410の被着を改善するために、タブ形状を有することもできる。環状タブ形状溝空所420の量の増加が研磨層408への被着を高める。あるいはまた、より大きなタブ形の溝がより大きな研磨プロファイル補正を容易にする。これらの設計は、研磨層408の研磨面403全体で圧縮性移行を制御し、調整して、研磨除去速度ばらつきを減らし、ウェーハ全体で除去速度プロファイルを平らにする利点を提供する。
【0040】
研磨パッドは、ポリマーマトリックスから形成された研磨パッドを有する。これらのポリマーは、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーであることができる。通常、熱硬化性ポリマーが最も確かな研磨特性を提供する。適当なポリマーとしては、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリル樹脂及びそれらのコポリマーがある。最も好都合には、ポリマーはポリウレタンである。本明細書の目的に関して、語「ポリウレタン」は、ポリエーテルウレア、ポリイソシアヌレート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンウレア、それらのコポリマー及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つを含む。
【0041】
研磨パッドは多孔性又は非多孔性であることができる。好ましくは、研磨層は、半導体基材を平坦化するのに十分な剛性を有するアスペリティを有する。研磨パッドは独立気泡型又は連続気泡型であることができる。最も好都合には、研磨パッドは独立気泡型である。流体充填ポリマーマイクロスフェアが、独立気泡孔を創出するのに有効な手段を提供することができる。これらのマイクロスフェアは、テクスチャ又はアスペリティの生成、スラリーの分散及びスラリーの輸送を支援する。
【0042】
多孔性パッドは、研磨パッドを多孔性サブパッドに固着するための非多孔性マイクロ層によって研磨パッドの底面に被着される。非多孔性マイクロ層は、マイクロ層とつながっている底面上のコンフォーマルコーティングである。底面とつながっていることは、研磨パッドの底面が非線形であるとき、特に重要である。非線形の底面の例は、開口した気孔、たとえばカット又はスカイビングされた独立気泡を含む。マイクロ層は、研磨パッドの底面のテクスチャをなぞって接着剤として作用する、又は他のやり方で研磨パッドに接着することにより、研磨パッドに被着することができる。
【0043】
マイクロ層は非多孔性であるため、大きな圧縮性を有しない。しかし、マイクロ層は薄いため、柔軟であり、研磨パッドの曲がりに適合することができる。非多孔性マイクロ層のこの曲がりは、研磨パッドの剛性を、研磨中、もはやウェーハに適合し得ない点にまで高めないために重要である。好都合には、非多孔性マイクロ層は、ポリマーネットワーク内の独立気泡の平均直径の50%未満の平均厚さを有する。最も好都合には、非多孔性マイクロ層は、ポリマーネットワーク内の独立気泡の平均直径の50%未満の平均厚さを有する。
【0044】
独立気泡マイクロ孔の単一層を含むポリマーネットワークが非多孔性マイクロ層に隣接している。このポリマーネットワークと独立気泡マイクロ孔とが合わさって、柔軟な非多孔性層から圧縮可能な層への移行を提供する。
【0045】
圧縮可能な層は、独立気泡孔又は連続気泡孔の多層である。好都合には、多層は、連続気泡孔と独立気泡孔との混合物である。この層は、独立気泡孔の単一層に隣接し、サブパッドのための圧縮性の大部分を提供する。特に、厚さ、弾性率、密度及び孔径の制御が、サブパッドの圧縮性に大きく寄与するものとなる。気孔は、連続気泡マイクロ孔、独立気泡マイクロ孔又は独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との組み合わせ(10体積%未満が連続気泡マイクロ孔)であることができる。最も好都合には、マイクロ孔は、独立気泡マイクロ孔と連続気泡マイクロ孔との組み合わせである。連続気泡マイクロ孔は、より大きな区域に荷重を分散させる利点を提供する。独立気泡マイクロ孔は、研磨中にサブパッドへのスラリーのウィッキングを抑制する利点を提供する。
【0046】
独立気泡孔又は連続気泡孔の多層はガス充填され、研磨パッドの全研磨寿命中、ガス充填状態に留まる。これは、サブパッドへのスラリーのウィッキングを防ぐのに重要である。サブパッドへのスラリーのウィッキングは、多くの場合、サブパッドの圧縮性に悪影響を及ぼし、研磨中、最初のウェーハから最後のウェーハまでで性能を変化させる。したがって、これらの理由のせいで、研磨中、サブパッドがスラリーで満ちないことが重要である。通常、これらのマイクロ孔は球形又は非球形、たとえば、細長い軸を有する球形又は対称な端部を有する卵形である。好都合には、マイクロ孔は、球形マイクロ孔と卵形マイクロ孔との組み合わせである。
【0047】
研磨部分は、研磨パッドにおいて一般に使用される任意のポリマーマトリックス材料を含むことができる。研磨部分は熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーを含むことができる。ベースパッド又は研磨部分に使用することができるポリマー材料中の研磨部分に使用することができるポリマーの例は、ポリカーボネート、ポリスルホン、ナイロン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、エポキシ、シリコーン、それらのコポリマー(たとえばポリエーテル/ポリエステルコポリマー)及びそれらの混合物又はブレンドを含む。ポリマーはポリウレタンであることができる。
【0048】
研磨部分は、ASTM D412-16にしたがって少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも5、少なくとも10又は少なくとも50MPaから900、700、600、500、400、300又は200MPaまでの引張弾性率を有することができる。研磨部分は、終点検出に使用されるシグナルに対して不透明であることができる。
【0049】
研磨部分はまた、他の添加物、特に中空のマイクロエレメント、特に柔軟な中空のポリマーマイクロエレメント、たとえばポリマーマイクロスフェアを含むことができる。たとえば、複数のマイクロエレメントが研磨パッド全体で均一に分散していることができる。複数のマイクロエレメントは、単にマトリックス中の気孔(たとえば、閉じ込められた気泡)であることもできるし、中空コアポリマー材料、液体充填中空コアポリマー材料、水溶性材料及び不溶相材料(たとえば鉱油)であることもできる。複数のマイクロエレメントは、たとえば、マイクロエレメントが、研磨パッド全体で均一に分散した閉じ込められた気泡及び中空コアポリマー材料から選択されるとき、研磨要素に多孔性を提供する。マイクロエレメントは、好都合には、150ミクロン以下又は50ミクロン以下の平均直径を有しながらも、少なくとも10ミクロンの直径を有するマイクロスフェアである。重量平均直径は、レーザ回折法、たとえば低角度レーザ光散乱検出法(LALLS)によって測定することができる。複数のマイクロエレメントは、ポリアクリロニトリル又はポリアクリロニトリルコポリマーのシェル壁を有するポリマーマイクロバルーン(たとえば、NouryonのExpancel(商標)マイクロスフェア)を含むことができる。複数のマイクロエレメントは、0又は少なくとも5又は少なくとも10体積%から50、45、40又は35体積%までの量で研磨パッドに組み込まれることができる。マイクロエレメントが多孔性を提供する場合、研磨部分の気孔率は、0~50、5~45又は10~35%の気孔率であることができる。気孔率は、無充填の研磨パッドの比重とマイクロエレメント含有研磨パッドの比重との差を無充填の研磨パッドの比重で割ることによって決定することができる。あるいはまた、気孔率は、研磨パッドの密度を研磨パッドの構成要素の加重平均密度で割ることによって決定される。
【0050】
研磨部分は、ASTM D1622(2014)にしたがって測定して0.4~1.15又は0.7~1.0g/cm3の密度を有することができる。
【0051】
トップパッド又は研磨パッドは、ASTM D2240(2015)にしたがって測定して28~75のショアD硬さを有することができる。精度を高めるために、少なくとも四つの高さに積み上げた2.54cm平方の試験材を使用することが重要である。
【0052】
研磨パッドは、20~150ミル、30~125ミル、40~120ミル又は50~100ミル(0.5~4、0.7~3、1~3又は1.3~2.5mm)の平均厚さを有することができる。
【0053】
サブパッドは、起泡された鋳造ポリマーで製造することができ、非多孔性マイクロ層又は非多孔性層の厚さは、鋳造法又はポリマー気泡もしくは微孔を形成するための他の公知の技術中のポリマーの粘度及び多孔度によって決まる。好都合には、サブパッドは、小滴が気孔を形成し、ポリマー中の発熱量が非多孔性マイクロ層又は非多孔性層の厚さを制御する溶射成形技術を使用する。サブパッドの鋳造又は溶射成形は、サブパッドを研磨層に固着するためのホットメルト接着剤又は感圧接着剤の使用を避け得る利点を提供する。サブパッドはまた、少なくとも0.5mm又は少なくとも1mmの全厚さを有することができる。サブパッドは、5mm以下、3mm以下又は2mm以下の全厚さを有することができる。
【0054】
トップパッド又は研磨パッドは、研磨パッドのための研磨層としての使用に知られる任意の材料を含むことができる。たとえば、ポリマー、ポリマーのブレンド又はポリマー材料と他の材料、たとえばセラミック、ガラス、金属もしくは岩石との複合材を含むことができる。ポリマー及びポリマー複合材をトップパッドとして使用することができる。そのような複合材の例は、カーボン又は無機充填材を充填されたポリマー及びポリマーを含浸させた、たとえばガラス又は炭素繊維の繊維マットを含む。トップパッドは、以下の性質の一つ以上を有する材料でできていることができる:たとえばASTM D412-16によって測定して少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも5、少なくとも10又は少なくとも50MPaから900、700、600、500、400、300又は200MPaまでの範囲の引張弾性率;たとえばASTM E132によって測定して少なくとも0.05、少なくとも0.08、少なくとも0.1から0.6又は0.5までのポアソン比;少なくとも0.4又は少なくとも0.5から1.7、1.5又は1.3までのグラム毎立方センチメートル(g/cm3)の密度。
【0055】
トップパッド又は研磨部分に使用することができるそのようなポリマー材料の例は、ポリカーボネート、ポリスルホン、ナイロン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、エポキシ、シリコーン、それらのコポリマー(たとえばポリエーテル/ポリエステルコポリマー)又はそれらの組み合わせもしくはブレンドを含む。
【0056】
ポリマーはポリウレタンであることができる。ポリウレタンは、単独で使用することもできるし、カーボン又は無機充填材及びたとえばガラス又は炭素繊維の繊維マットのためのマトリックスになることもできる。
【0057】
本明細書の目的に関して、「ポリウレタン」とは、二官能性又は多官能性イソシアネートに由来する生成物、たとえばポリエーテルウレア、ポリイソシアヌレート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンウレア、それらのコポリマー及びそれらの混合物である。CMP研磨パッドは、イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーを提供する工程;別に、硬化剤成分を提供する工程;及びイソシアネート末端化ウレタンプレポリマーと硬化剤成分とを合わせて混合物を形成したのち、その混合物を反応させて生成物を形成する工程を含む方法によって作製することができる。鋳造ポリウレタンケーキを所望の厚さにスカイビングすることによってトップパッド又は研磨パッドを形成することが可能である。任意選択的に、ケーキ型をIR照射、誘導電流又は直流によって予熱すると、多孔性ポリウレタンマトリックスを鋳造するときの生成物ばらつきを減らすことができる。任意選択的に、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーを使用することが可能である。ポリマーは架橋熱硬化性ポリマーであることができる。
【0058】
ポリウレタンがトップパッド又は研磨パッドに使用される場合、それは、多官能性イソシアネートとポリオールとの反応生成物であることができる。たとえば、ポリイソシアネート末端化ウレタンプレポリマーを使用することができる。本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨パッドの形成に使用される多官能性イソシアネートは、脂肪族多官能性イソシアネート、芳香族多官能性イソシアネート及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。たとえば、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨パッドの形成に使用される多官能性イソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネート;2,6-トルエンジイソシアネート;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート;ナフタレン-1,5-ジイソシアネート;トリジンジイソシアネート;パラフェニレンジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート;及びそれらの混合物からなる群より選択されるジイソシアネートであることができる。多官能性イソシアネートは、ジイソシアネートとプレポリマーポリオールとの反応によって形成されるイソシアネート末端化ウレタンプレポリマーであることができる。イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーは、2~12重量%、2~10重量%、4~8重量%又は5~7重量%の未反応イソシアネート(NCO)基を有することができる。多官能性イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーを形成するために使用されるプレポリマーポリオールは、ジオール、ポリオール、ポリオールジオール、それらのコポリマー及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。たとえば、プレポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール(たとえば、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール及びそれらの混合物);ポリカーボネートポリオール;ポリエステルポリオール;ポリカプロラクトンポリオール;それらの混合物;ならびに、エチレングリコール;1,2-プロピレングリコール;1,3-プロピレングリコール;1,2-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;2-メチル-1,3-プロパンジオール;1,4-ブタンジオール;ネオペンチルグリコール;1,5-ペンタンジオール;3-メチル-1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;ジプロピレングリコール;及びトリプロピレングリコールからなる群より選択される一つ以上の低分子量ポリオールとのそれらの混合物からなる群より選択することができる。たとえば、プレポリマーポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG);エステル系ポリオール(アジピン酸エチレン、アジピン酸ブチレンなど);ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG);ポリカプロラクトンポリオール;それらのコポリマー;及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。たとえば、プレポリマーポリオールは、PTMEG及びPPGからなる群より選択することができる。プレポリマーポリオールがPTMEGであるとき、イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーは、4~12重量%(より好ましくは6~10重量%;最も好ましくは8~10重量%)の未反応イソシアネート(NCO)濃度を有することができる。市販のPTMEG系イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーの例は、Imuthane(登録商標)プレポリマー(COIM USA, Inc.から入手可能、たとえば、PET 80A、PET 85A、PET 90A、PET 93A、PET 95A、PET 60D、PET 70D、PET 75D);Adiprene(登録商標)プレポリマー(Chemturaから入手可能、たとえば、LF 800A、LF 900A、LF 910A、LF 930A、LF 931A、LF 939A、LF 950A、LF 952A、LF 600D、LF 601D、LF 650D、LF 667、LF 700D、LF750D、LF751D、LF752D、LF753D及びL325);Andur(登録商標)プレポリマー(Anderson Development Companyから入手可能、たとえば、70APLF、80APLF、85APLF、90APLF、95APLF、60DPLF、70APLF、75APLF)を含む。プレポリマーポリオールがPPGであるとき、イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーは、3~9重量%(より好ましくは4~8重量%、最も好ましくは5~6重量%)の未反応イソシアネート(NCO)濃度を有することができる。市販のPPG系イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーの例は、Imuthane(登録商標)プレポリマー(COIM USA, Inc.から入手可能、たとえば、PPT 80A、PPT 90A、PPT 95A、PPT 65D、PPT 75D);Adiprene(登録商標)プレポリマー(Chemturaから入手可能、たとえば、LFG 963A、LFG 964A、LFG 740D);及びAndur(登録商標)プレポリマー(Anderson Development Companyから入手可能、たとえば、8000APLF、9500APLF、6500DPLF、7501DPLF)を含む。イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーは、0.1重量%未満の遊離トルエンジイソシアネート(TDI)モノマー含量を有する低遊離イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーであることができる。また、非TDI系イソシアネート末端化ウレタンプレポリマーを使用することもできる。たとえば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリテトラメチレングリコール(PTMEG)などのポリオールと1,4-ブタンジオール(BDO)などの任意選択的のジオールとの反応によって形成されるものを含むイソシアネート末端化ウレタンプレポリマーが許容可能である。そのようなイソシアネート末端化ウレタンプレポリマーが使用されるとき、未反応イソシアネート(NCO)濃度は、好ましくは3~10重量%(より好ましくは4~10重量%、最も好ましくは5~10重量%)である。このカテゴリーの市販のイソシアネート末端化ウレタンプレポリマーの例は、Imuthane(登録商標)プレポリマー(COIM USA, Inc.から入手可能、たとえば、27 85A、27 90A、27 95A);Andur(登録商標)プレポリマー(Anderson Development Companyから入手可能、たとえば、IE75AP、IE80AP、IE85AP、IE90AP、IE95AP、IE98AP);及びVibrathane(登録商標)プレポリマー(Chemturaから入手可能、たとえば、B625、B635、B821)を含む。
【0059】
本発明の研磨パッドはさらに、その最終形態で、一つ以上の寸法のテクスチャの組み込みをその上面に含むことができる。これらは、そのサイズにより、マクロテクスチャ又はマイクロテクスチャへと分類することができる。流体力学的応答及びスラリー輸送を制御するためにCMPに用いられる一般的なタイプのマクロテクスチャとしては、非限定的に、多くの形態及びデザイン、たとえば環状、放射状及びクロスハッチ状の溝がある。これらは、機械加工プロセスによって薄い均一なシートへと成形されてもよいし、ネットシェイプ成形プロセスによってパッド表面上に直に形成されてもよい。一般的なタイプのマイクロテクスチャは、研磨が起こるところの基材ウェーハとの接触点である表面アスペリティの集団を創出する、より微細なスケールの形体である。一般的なタイプのマイクロテクスチャとしては、非限定的に、使用の前、最中又は後でダイアモンドなどの硬い粒子のアレイとの摩擦(多くの場合、パッドコンディショニングと呼ばれる)によって形成されるテクスチャ及びパッド作製プロセス中に形成されるマイクロテクスチャがある。
【0060】
本発明の研磨パッドは、ケミカルメカニカル研磨機のプラテンとインタフェースするのに適していることができる。研磨パッドを研磨機のプラテンに取り付けることができる。研磨パッドは、感圧接着剤及び真空の少なくとも一つを使用してプラテンに取り付けることができる。
【0061】
本発明のCMPパッドは、使用されるパッドポリマーの性質とで適合性である多様な方法によって製造することができる。そのような方法は、上記のような成分を混合し、型に流し込み、アニールし、所望の厚さのシートへとスライスすることを含む。あるいはまた、より正確なネットシェイプ形態に作製することもできる。製造方法は以下を含む:1.熱硬化性射出成形(多くの場合、「反応射出成形」又は「RIM」と呼ばれる);2.熱可塑性又は熱硬化性射出ブロー成形;3.圧縮成形;又は4.流動性材料を配置し、固化させ、それにより、パッドのマクロテクスチャ又はマイクロテクスチャの少なくとも一部分を創出する類似のタイプの方法。たとえば、研磨パッドの成形は以下を含むことができる。1.流動性材料を構造又は基材の中又は上に押しやり;2.材料が固化するとき、構造又は基材が材料の中に表面テクスチャを付与することができ;3.その後、固化した材料から構造又は基材を分離させる。
【0062】
方法
本明細書に開示される研磨パッドは、基材を研磨するために使用することができる。たとえば、研磨法は、研磨される基材を提供する工程及び次いで本明細書に開示されるパッドを使用して研磨する工程を含むことができる。基材は、研磨又は平坦化が望まれる任意の基材であることができる。そのような基材の例は、磁性、光学及び半導体基材を含む。一つの具体例がプレメタル誘電体スタックである。基材上で研磨される一つの具体的な材料がシリコン酸化膜層であることができる。方法は、集積回路のためのライン加工のフロントエンド又はバックエンドの一部であることができる。たとえば、プロセスは、望まれない表面トポグラフィー及び表面欠陥、たとえば粗面、凝集した材料、結晶格子損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料を除去するために使用することができる。加えて、ダマシンプロセスでは、フォトリソグラフィー、パターン形成エッチング及びメタライゼーションの一つ以上の工程によって形成された凹み区域を埋めるために材料が付着される。特定の工程が不正確になることがある。たとえば、凹みの過剰充填が起こることがある。本明細書に開示される方法は、凹みの外の材料を除去するために使用することができる。プロセスは、いずれもCMPと呼ぶことができるケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシングであることができる。キャリヤが、研磨される基材、たとえば半導体ウェーハ(リソグラフィー及びメタライゼーションによって形成された層を有しても有しなくてもよい)を、研磨パッドの研磨要素と接触する状態に保持することができる。スラリー又は他の研磨媒を基材と研磨パッドとの間の間隙に小出しすることができる。研磨パッド及び基材を互いに対して動かす、たとえば回転させる。研磨パッドは通常、研磨される基材の下に位置する。研磨パッドを回転させることができる。また、研磨される基材を、たとえば、環形状などの研磨トラック上で動かすこともできる。相対運動が研磨パッドを基材の表面に近づけ、接触させる。
【0063】
プラテンの圧は、1~5、1.5~4.5又は2~4ポンド毎平方インチ(psi)(約6~35、10~30又は13~28キロパスカル(KPa))であることができる。プラテンの速度は約40~100又は50~90rpmであることができる。添加するスラリーの量は、たとえば、50~500ミリリットル毎分であることができる。研磨中のスラリーのpHは酸性、中性又は塩基性であることができる。
【0064】
たとえば、方法は、プラテン又はキャリヤアセンブリを有するケミカルメカニカル研磨装置を提供する工程;研磨される少なくとも一つの基材を提供する工程;本明細書に開示されるケミカルメカニカル研磨パッドを提供する工程;ケミカルメカニカル研磨パッドをプラテン上に設置する工程;任意選択的に、ケミカルメカニカル研磨パッドの研磨部分と基材との間の界面に研磨媒(たとえば、砥粒含有スラリー及び/又は非砥粒含有反応性液体組成物)を提供する工程;研磨パッドの研磨部分と基材との間に動的接触を生じさせて、少なくともいくらかの材料を基材から除去する工程を含む。キャリヤアセンブリは、研磨される基材(たとえばウェーハ)と研磨パッドとの間に制御可能な圧を提供することができる。研磨媒が研磨パッド上に小出しされ、ウェーハと研磨層との間の間隙に引き込まれることができる。研磨媒は、水、pH調整剤及び任意選択的に、非限定的に以下:砥粒、酸化剤、インヒビタ、殺生剤、可溶性ポリマー及び塩の一つ以上を含むことができる。砥粒は、酸化物、金属、セラミック又は他の適当に硬い材料であることができる。一般的な砥粒はコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、セリア及びアルミナである。研磨パッド及び基材は互いに対して回転することができる。研磨パッドが基材の下で回転するとき、基材は、通常は環状の研磨トラック、すなわち研磨領域を描き出し、その中で、ウェーハの表面が研磨パッドの研磨部分と直に対面する。ウェーハ表面は、研磨層及び表面上の研磨媒の化学的かつ機械的作用によって研磨され、平坦化される。任意選択的に、研磨を開始する前に、研磨パッドの研磨面を砥粒コンディショナによってコンディショニングすることもできる。
【0065】
本発明のすべのサブパッドは、非多孔性マイクロ層又は非多孔性層の厚さを制御するポリマー発熱又は反応熱によるスプレー起泡によって製造されたものである。
【実施例0066】
研磨結果
【0067】
スラリー:Planar-Solution CSL9044C 1:9希釈
【0068】
ツール構成:EBARA FREX-300X、GXヘッド付き
【0069】
ディスク:Kinik PDA31G-3N
【0070】
トップパッド:ポリマーマイクロスフェア充填ポリウレタン(65ミル/1.6mm)、気孔率25~30体積%、ショアD硬さ40~50、円形溝、幅20ミル(0.5mm)、深さ30ミル(0.8mm)、ピッチ70ミル(1.8mm)
【0071】
ウェーハ:バルクCuウェーハ
【0072】
ウェーハエッジプロファイル範囲は、ウェーハ中心から142mm~147mmの範囲から計算した。
【0073】
低ダウンフォース研磨条件=(100hPa―1.4psi)
【0074】
高ダウンフォース研磨条件=(200hPa―2.9psi)
【0075】
比較例A及びBは、ランダムな孔径分布を有するつながった気孔を有する微孔質起泡ポリウレタン研磨サブパッドであった。
【0076】
サブパッド1~6は、気孔の単一層と、次いで独立気泡及び連続気泡のランダムな気孔層とを有する多孔性サブパッドであった。
【0077】
低ダウンフォース
【0078】
【表1】
【0079】
これらの低ダウンフォースデータは、本発明の非多孔性マイクロ層サブパッドが、従来のサブパッド以上の厚さを有するとき、低いダウンフォースで、かつ同程度の除去速度でエッジ範囲改善を提供することを示す。加えて、本発明の非多孔性マイクロ層サブパッドは、ずっと小さい厚さを有するときでも、低いダウンフォースで、かつ除去速度を増大させてエッジ範囲を改善した。
【0080】
高ダウンフォース
【0081】
【表2】
【0082】
これらのデータは、本発明の非多孔性マイクロ層サブパッドが、従来のサブパッドよりも小さい、それに等しい、又はそれよりも大きい厚さを有するとき、高いダウンフォースで、かつ同程度の除去速度でエッジ範囲改善を提供することを示す。加えて、本発明の非多孔性マイクロ層サブパッドは、厚さを減らしたときでも、除去速度を改善し、エッジ範囲の大きな改善をもたらした。
【実施例0083】
密度効果―バルクCuプロセスの65ミル/1.6mmサブパッド
【0084】
ツール構成:EBARA FREX-300X、GXヘッド付き
【0085】
スラリー:Planar-Solution CSL9044C 1:9希釈
【0086】
ディスク:Kinik PDA31G-3N
【0087】
トップパッド:ポリマーマイクロスフェア充填ポリウレタン(65ミル/1.6mm)、気孔率25~30体積%、ショアD硬さ40~50、円形溝、幅20ミル(0.5mm)、深さ30ミル(0.8mm)、ピッチ70ミル(1.8mm)
【0088】
ウェーハ:バルクCuウェーハ
【0089】
ウェーハエッジプロファイル範囲は、ウェーハ中心から142mm~147mmの範囲から計算した。
【0090】
低ダウンフォース研磨条件(100hPa―1.4psi)
【0091】
高ダウンフォース研磨条件(200hPa―2.9psi)
【0092】
比較例C及びDは、ランダムな孔径分布を有するつながった気孔を有する微孔質起泡ポリウレタン研磨サブパッドであった。比較例E及びFは、非多孔性層なしのサブパッド9~11の構造を表した。
【0093】
サブパッド9~12は、非多孔性層を有しない、又は厚さ84又は73μmの非多孔性層を有し、気孔の単一層を有さず、次いでランダムな気孔層を有する多孔性サブパッドであった。
【0094】
低ダウンフォース
【0095】
【表3】
【0096】
これらのデータは、本発明の非多孔性層サブパッドが、従来のサブパッド以上の密度を有するとき、低いダウンフォースで、かつ同程度の除去速度でエッジ範囲改善を提供することを示す。同じ密度を有する非多孔性層サブパッドの場合、エッジ速度に対する影響は特に劇的であった。
【0097】
高ダウンフォース
【0098】
【表4】
【0099】
比較例Fは、エッジ範囲の望ましい減少を示したが、コンディショニング中、サブパッド圧縮から生じるいくらかのプロセス不安定性を経験した。これらのデータは、本発明の非多孔性層サブパッドが、従来のサブパッドよりも低い、それと同じ、及びそれよりも高い密度を有するとき、高いダウンフォースで、かつ同程度の除去速度でエッジ範囲改善を提供することを示す。同じ、又はより高い密度を有する非多孔性層サブパッドの場合、エッジ速度に対する影響は特に劇的であった。
【実施例0100】
ILD酸化膜プロセス
【0101】
ツール構成:AMAT Reflexion、Contourヘッド付き
【0102】
スラリー:Klebosol 1730
【0103】
ディスク:Saesol AK45
【0104】
トップパッド:IC1010ポリウレタンパッド、ポリマーマイクロスフェア(80ミル/2.0mm)入り
【0105】
ウェーハ:ブランケットTEOS
【0106】
ウェーハエッジプロファイル範囲は、ウェーハ中心から142mm~147mmの範囲から計算した。
【0107】
ヘッド圧:3psi(20.7kPa)
【0108】
比較例Gは、SUBA IV(商標)圧縮性ポリウレタン含浸不織フェルトであった。
【0109】
サブパッド15は、気孔の単層と、次いでランダムな気孔層とを有する多孔性サブパッドであった。
【0110】
【表5】
【0111】
これらのデータは、本発明の非多孔性マイクロ層サブパッドが、従来のサブパッドよりも大きい厚さを有するとき、高いダウンフォースで、かつより低い除去速度でエッジ範囲改善を提供することを示す。
【実施例0112】
超高速酸化膜プロセス
【0113】
ツール構成:AMAT Reflexion LK、Contourヘッド付き
【0114】
スラリー:Asahi CES330XD4(1:4希釈)
【0115】
ディスク:Kinik Pyradia
【0116】
トップパッド:IK4250UHポリウレタンパッド、ポリマーマイクロスフェア(80ミル/2.0mm)入り
【0117】
ウェーハ:TEOSブランケットウェーハ
【0118】
ウェーハエッジプロファイル範囲は、ウェーハ中心から142mm~147mmの範囲から計算した。
【0119】
ヘッド圧:3psi(20.7kPa)
【0120】
比較例Hは、ランダムな孔径分布を有するつながった気孔を有する微孔質起泡ポリウレタン研磨サブパッドであった。
【0121】
サブパッド16及び17は、気孔の単層と、次いでランダムな気孔層とを有する多孔性サブパッドであった。
【0122】
【表6】
【0123】
これらのデータは、本発明の非多孔性マイクロ層サブパッドが、従来のサブパッドよりも大きい厚さを有するとき、高いダウンフォースで、かつより高い除去速度でエッジ範囲改善を提供することを示す。
【実施例0124】
研磨結果
【0125】
スラリー:Planar-Solution CSL9044C 1:9希釈
【0126】
ツール構成:EBARA FREX-300X、GXヘッド付き
【0127】
ディスク:Kinik PDA31G-3N
【0128】
トップパッド:起泡ポリウレタン(65ミル/1.6mm)円形溝、幅20ミル(0.5mm)、深さ30ミル(0.8mm)、ピッチ70ミル(1.8mm)
【0129】
ウェーハ:バルクCuウェーハ
【0130】
ウェーハエッジプロファイル範囲は、ウェーハ中心から142mm~147mmの範囲から計算した。
【0131】
低ダウンフォース研磨条件=(100hPa―1.4psi)
【0132】
高ダウンフォース研磨条件=(200hPa―2.9psi)
【0133】
比較例G及びHは、ランダムな孔径分布を有するつながった気孔を有する微孔質起泡ポリウレタン研磨サブパッドであった。
【0134】
サブパッド18及び19は、気孔の単一層と、次いでランダムな気孔層とを有する、研磨パッドの中へ延びるマクロ形体を有する多孔性サブパッドであった。
【0135】
低ダウンフォース
【0136】
【表7】
【0137】
これらのデータは、本発明の非多孔性マイクロ層サブパッドが、従来のサブパッドに等しい厚さを有するとき、マクロ形体を有しても有しなくても、低いダウンフォースで、かつ同程度の除去速度でエッジ範囲改善を提供することを示す。一連のマクロ形体を有する非多孔性マイクロ層サブパッドの場合、エッジ速度に対する影響は特に劇的であった。
【0138】
高ダウンフォース
【0139】
【表8】
【0140】
これらのデータは、本発明の非多孔性マイクロ層サブパッドが、従来のサブパッドに等しい厚さを有するとき、マクロ形体を有しても有しなくても、高いダウンフォースで、かつ同程度の除去速度でエッジ範囲改善を提供することを示す。一連のマクロ形体を有する非多孔性マイクロ層サブパッドの場合、エッジ速度に対する影響は特に劇的であった。
【0141】
非多孔性マイクロ層、単一の独立気泡層及び多層がすべて合わさって、エッジ効果を抑制し、減少させる。特に、これらの層が合わさって研磨層を形成し、この研磨層が、一体型の多孔性サブパッドと協働する研磨層を有する二要素系として機能してエッジ効果を抑制し、減少させる。さらに、このサブパッド設計は製品性能の一貫性を改善する。最後に、研磨層の粗面への非多孔性マイクロ層の組み込みは、研磨層とサブパッドとの間に、厳しい研磨条件中にも分離しない効果的な被着を創出するように働く。
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図5
図6
図6A
図6B
図7
図7A
図8
図8A
図9
図9A
【外国語明細書】