IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニムの特許一覧

特開2024-80640特に計時器用バレルのための、接続解除可能な巻きギア列を備える巻きデバイス
<>
  • 特開-特に計時器用バレルのための、接続解除可能な巻きギア列を備える巻きデバイス 図1
  • 特開-特に計時器用バレルのための、接続解除可能な巻きギア列を備える巻きデバイス 図2
  • 特開-特に計時器用バレルのための、接続解除可能な巻きギア列を備える巻きデバイス 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080640
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】特に計時器用バレルのための、接続解除可能な巻きギア列を備える巻きデバイス
(51)【国際特許分類】
   G04B 1/20 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
G04B1/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023198867
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】22210930.8
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス-ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・キュザン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ジャンヌレ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドラムの内壁に形成されたノッチに対するブレードの滑りに基づくシステムに代わる、ばねの巻きを制限するシステムを備える巻きデバイスを提供する。
【解決手段】特にばねを備えるバレル2のための、巻きデバイス1に関し、回転巻きシャフトに固定されるように取り付けられたラチェット3と、ラチェットと噛み合う巻きギア列4とを備え、回転巻きシャフトは、例えば、バレルの巻きシャフトであり、回転巻きシャフトが回転することによって、バレルが巻かれ、巻きギア列が回転することによって、ラチェットにトルクが与えられて、ラチェットが回転し、巻きシャフトが回転し、巻きギア列は、その巻きギア列がラチェットを駆動する連結位置と、巻きギア列がラチェットを駆動しない切断位置の間を動くことができ、巻きギアは、巻きギア列に戻し力を与えて巻きギア列を連結位置に保持するばね5に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にばねを備えるバレル(2)のための、巻きデバイス(1)であって、
回転巻きシャフトに固定されるように取り付けられたラチェット(3)と、前記ラチェット(3)と噛み合う巻きギア列(4)とを備え、
前記回転巻きシャフトは、例えば、前記バレル(2)の巻きシャフトであり、
前記回転巻きシャフトが回転することによって、前記バレル(2)が巻かれ、
前記巻きギア列(4)が回転することによって、前記ラチェット(3)にトルクが与えられて、前記ラチェット(3)が回転し、前記巻きシャフトが回転し、
前記巻きギア列(4)は、その巻きギア列(4)が前記ラチェット(3)を駆動する連結位置と、前記巻きギア列(4)が前記ラチェット(3)を駆動しない切断位置の間を動くことができ、
前記巻きギア(4)は、前記巻きギア列(4)に戻し力を与えて前記巻きギア列(4)を連結位置に保持するばね(5)に取り付けられる
ことを特徴とする巻きデバイス。
【請求項2】
前記巻きギア列(4)は、前記ラチェット(3)に与えられるトルクがしきい値を実質的に超えるときに、特に、前記バレル(2)が完全に巻かれているときに、切断位置へと動く
ことを特徴とする請求項1に記載の巻きデバイス。
【請求項3】
前記巻きギア列(4)は、連結位置にあるときに、巻きアクチュエート用車(21)と噛み合い、切断位置にあるときに、前記巻きアクチュエート用車(21)と噛み合わない
ことを特徴とする請求項1に記載の巻きデバイス。
【請求項4】
前記巻きギア列(4)は、連結位置にあるときに、前記ラチェット(3)の隣に配置され、好ましくは、前記ラチェット(3)と同じ平面内に延在している
ことを特徴とする請求項1に記載の巻きデバイス。
【請求項5】
前記巻きギア列(4)は、連結位置と切断位置の間の横方向の運動を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の巻きデバイス。
【請求項6】
前記巻きギア列(4)は、回転運動を行って、連結位置から切断位置へと、またその逆に、動く
ことを特徴とする請求項4に記載の巻きデバイス。
【請求項7】
前記ばね(5)には、仮想ピボットを形成するフレキシブルガイドがあり、
前記巻きギア列(4)の車は、前記フレキシブルガイドによって懸架され、
前記フレキシブルガイドは、前記アクチュエート用車(21)の方向にて前記巻きギア列(4)に半径方向の戻し力を与える
ことを特徴とする請求項3に記載の巻きデバイス。
【請求項8】
前記フレキシブルガイドには、2つの交差しないフレキシブルブレード(15)と、前記巻きギア列(4)を支える堅固な可動要素(16)とがあり、
2つの前記フレキシブルブレード(15)は、前記堅固な可動要素(16)を、前記巻きデバイス(1)の固定支持体(17)に接続する
ことを特徴とする請求項7に記載の巻きデバイス。
【請求項9】
バレル(2)と、前記バレル(2)のための請求項1に記載の巻きデバイス(1)とを備える
ことを特徴とする計時器用ムーブメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に計時器用バレルのための、接続解除可能な巻きギア列を備える巻きデバイスに関する。
【0002】
本発明は、さらに、このような巻きデバイスを備える計時器用ムーブメントに関する。
【背景技術】
【0003】
今日の自動巻き機能付きの機械式の携行型時計(例、腕時計、懐中時計)のほとんどは、一般的に、重力によってギア列を駆動する振動錘を備える。この振動錘の回転のおかげで、ブレードばねを巻くことができ、バレルばねは、ドラム内にてシャフトのまわりに、このシャフトを駆動することによって、巻かれる。一般的に、爪によって、反転が防止されて、一方向のみに回転するようにされる。
【0004】
しかし、ばねが完全に巻かれているときに巻き過ぎを避けることが重要であり、この巻き過ぎによって、ばねが破損したり、共振器がノックしたりする可能性がある。このノックの間に、バランスがパレットレバーのホーンに当接するまで振動の振幅が大きくなり、バランスがこの当接体に対してリバウンドすることによってレートが変動してしまう。
【0005】
このようなリスクを避けるために、このようなバレルには、一般的に、バレルばねの巻きを制限するシステムがある。
【0006】
この制限は、通常、ドラムの内壁に対してばねの最も外側のコイルによって達成される。ばねが完全に巻かれており、バレルの巻きシャフトのまわりにて巻かれているときに、最も外側のコイルがドラムの外壁に押し付けられている。
【0007】
したがって、最も外側のコイルの壁に対する摩擦トルクよりも巻きトルクが大きいと、このブレードが滑り始める。抑制されていない滑りを防ぐために、ノッチのおかげで、巻きトルクが十分に低下すると、ブレードの端の滑りを止めることが可能になる。
【0008】
しかし、このようなシステムには、ドラム内の最も外側のコイルの摺動摩擦プロセスにおいて課題がある。実際に、駆動する機構が大きなトルクを必要とするときに、支持力、及びばねのブレードと壁の間の摩擦が大きくなり、グリースが存在していても、摩耗、及びバレルの性能の劣化が発生してしまう。このグリースは、最終的に特定の時間後に摩擦領域からなくなる。
【0009】
また、自動バレルにおいて、コイルの間の摩擦を低減させることのように、効率を最大化することと、良好な巻きトルクを確実にするためにばねとドラムの間の摩擦を大きくすることのような、相反する要求を満たす必要がある。
【0010】
また、被覆の剥がれ、スラッジの蓄積、完全に巻かれたばねのブレードの圧力の下での壁の摩耗のような、ドラムの損傷も避ける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ドラムの内壁に形成されたノッチに対するブレードの滑りに基づくシステムに代わって置き換えるような、ばねの巻きを制限するシステムを備える巻きデバイスを提供することによって、上記の課題のすべて又はいくつかを克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明は、特にばねを備えるバレルのための、巻きデバイスに関し、これは、回転巻きシャフトに取り付けられたラチェットと、前記ラチェットと噛み合う巻きギア列とを備え、前記回転巻きシャフトは、例えば、前記バレルの巻きシャフトであり、前記回転巻きシャフトが回転することによって、前記バレルが巻かれ、前記巻きギア列が回転することによって、前記ラチェットにトルクが与えられて、前記ラチェットが回転し、前記巻きシャフトが回転し、前記巻きギア列は、その巻きギア列が前記ラチェットを駆動する連結位置と、前記巻きギア列が前記ラチェットを駆動しない切断位置の間を動くことができる。
【0013】
前記巻きギア列は、前記巻きギア列に戻し力を与えて前記巻きギア列を連結位置に保持するばねに取り付けられる、という点で本発明は画期的である。
【0014】
このように、巻きギア列を切断位置に動かすことによって、ラチェットは巻きギア列によって駆動されなくなる。なぜなら、巻きギア列は駆動されなくなるからである。例えば、ラチェットに与えられるトルクが大きすぎるときに、特にバレルが完全に巻かれているときに、巻きギア列は、動き、回転トルクをラチェットに伝達しなくなり、ラチェットが回転しなくなる。
【0015】
本発明のおかげで、制限デバイスがバレルの上流かつ外側に配置されるので、バレルが早期摩耗してしまうリスクを防ぐことができる。また、シリンダー内のばね摩擦に基づく伝統的な巻き制限デバイスを使用することを避けることができる。
【0016】
本発明の特定の実施形態において、前記ラチェットには、前記ラチェットに与えられるトルクがしきい値よりも実質的に小さいときに、前記巻きギア列の第2の歯列と連係する第1の周部歯列がある。
【0017】
本発明の特定の実施形態において、前記巻きギア列は、前記ラチェットに与えられるトルクがしきい値を実質的に超えるときに、特に、前記バレルが完全に巻かれているときに、切断位置へと動く。
【0018】
本発明の特定の実施形態において、前記巻きギア列は、連結位置にあるときに、巻きアクチュエート用車と噛み合い、切断位置にあるときに、前記巻きアクチュエート用車と噛み合わない。
【0019】
本発明の特定の実施形態において、前記巻きギア列は、連結位置にあるときに、前記ラチェットの隣に配置され、好ましくは、前記ラチェットと同じ平面内に延在している。
【0020】
本発明の特定の実施形態において、前記巻きギア列は、連結位置と切断位置の間の横方向の運動を行う。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、前記巻きギア列は、回転運動を行って、連結位置から切断位置へと、またその逆に、動く。
【0022】
本発明の特定の実施形態において、前記ばねには、仮想ピボットを形成するフレキシブルガイドがあり、前記巻きギア列は、前記フレキシブルガイドによって懸架され、前記フレキシブルガイドは、前記アクチュエート用車の方向にて前記巻きギア列に半径方向の戻し力を与える。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、前記フレキシブルガイドには、2つの交差しないフレキシブルブレードと、前記巻きギア列を支える堅固な可動要素とがあり、2つの前記フレキシブルブレードは、前記堅固な可動要素を、前記巻きデバイスの固定支持体に接続する。
【0024】
本発明の特定の実施形態において、前記ラチェットは、固定されるように前記バレルに取り付けられ、前記回転巻きシャフトは、前記バレルのばねを巻くことを可能にする、バレルを巻くシャフトである。
【0025】
本発明は、さらに、バレルと、前記のようなバレル巻きデバイスとを備える計時器用ムーブメントに関する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
添付の図面を参照しながら例としてのみ与えられる複数の実施形態についての説明を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴が明らかになる。
【0027】
図1】連結位置にある、本発明の一実施形態に係る巻きデバイスの概略上方視点図である。
図2】バレルが巻かれているときの、図1の本発明の実施形態に係る巻きデバイスの概略上方視点図である。
図3】バレルが完全に巻かれているときの、図1の本発明の実施形態に係る巻きデバイスの概略上方視点図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~3は、本発明に係る、巻きデバイス1、この場合は計時器用バレル2、についての1つの実施形態を示している。
【0029】
バレル2のための巻きデバイス1は、ラチェット3と巻きギア列4を備える。巻きギア列4がラチェット3と噛み合っているので、巻きギア列4が第1の方向に回転するときに、ラチェット3は、第1の方向とは反対の第2の方向に回転する。
【0030】
ラチェット3は、固定されるように巻きシャフトに取り付けられ、巻きシャフトは、バレル2を巻くことを可能にする。巻きシャフトは、好ましくは、円筒状である。
【0031】
例において、巻きシャフトはバレル2の巻きシャフトであり、ラチェット3はバレル2上に配置されている。ラチェット3には、巻きシャフトに固定されるように取り付けられたハブ7がある。
【0032】
図示していない1つの変異形態において、巻きシャフトは、バレルに取り付けられておらず、巻きシャフトは、ラチェットがバレルに取り付けられていない場合に、ばねを巻くようにバレルの巻きシャフトを駆動する車と噛み合うピニオンを備える。
【0033】
巻きギア列4は、ラチェット3の隣に配置され、好ましくは、ラチェット3と同じ平面内に延在している。
【0034】
ラチェット3には、このラチェット3のまわりに分布する第1の外側歯列11がある。第1の歯列11は、巻きギア列4に形成された第2の歯列12と連係する。巻きギア列4は、周部に第2の歯列12が形成されたピニオンを備える。
【0035】
バレル2は、バレル2の内側に配置されるバランスばね(図示せず)を備え、バランスばねは、自動巻きシステム又は手動巻きシステムによって、巻く必要がある。
【0036】
このために、巻きデバイス1は、さらに、ギア列システム13を備え、このギア列システム13は、例えば、計時器用ムーブメントの自動巻き錘(図示せず)によって駆動される。ギア列システム13は、手動巻きの場合、リュウズによって操作することができる巻きステム(図示せず)によって駆動することもできる。
【0037】
ギア列システム13を巻くためのアクチュエート用車21には、巻きギア列4の第2の歯列12と噛み合う第3の歯列14がある。したがって、ギア列システム13をアクチュエートすることによって、トルクがラチェット3に与えられ、このラチェット3は、そのトルクを、アクチュエート用車セット4によって駆動される巻きギア列4を介して、そして、巻きギア列4によって駆動されるラチェット3を介して、少なくとも部分的に巻きシャフトに伝達する。
【0038】
バレル2が巻かれているときに、巻きギア列40の回転は、ラチェット3、したがって、巻きシャフト、を回転させる。
【0039】
バレルの巻き過ぎを避けるために、巻きギア列4は、その巻きギア列4がラチェット3を駆動する連結位置と、巻きギア列4がラチェット3と噛み合わない切断位置の間を動くことができる。
【0040】
特に、巻きギア列4は、連結位置にあるときに、巻きアクチュエート用車21と噛み合い、切断位置にあるときに、巻きアクチュエート用車21と噛み合わない。
【0041】
したがって、連結位置において、アクチュエート用車21が巻きギア列4を駆動し、巻きギア列4がラチェット3を駆動する。しかし、切断位置においては、アクチュエート用車21は、アイドル的にしか回転せず、巻きギア列4を駆動しない。この巻きギア列4は、アクチュエート用車21とは離れており、巻きギア列4によってラチェット3が駆動されなくなる。
【0042】
本発明によると、巻きギア列4は、ばね5に取り付けられ、このばね5は、巻きギア列4に力を与えて、巻きギア列4を連結位置に保持する。
【0043】
この実施形態において、ばね5は、仮想ピボットを形成するフレキシブルガイドを備え、このフレキシブルガイドから、巻きギア列4が懸架される。フレキシブルガイドには、2つの交差しないフレキシブルブレード15と、巻きギア列4を支える堅固な可動要素16とがある。2つのフレキシブルブレード15は、堅固な可動要素16を、巻きデバイス1の固定支持体17に接続する。
【0044】
固定支持体17には、例えば、ラチェット3のベアリングがある。フレキシブルブレード15は、一方では交差してベアリングに接続され、堅固な可動要素16の端に近づくに従って互いに離れる。ここでは、堅固な可動要素16は、円弧状である。
【0045】
フレキシブルガイドは、アクチュエート用車21の方向にて巻きギア列4に半径方向の戻し力を与える。
【0046】
また、ラチェット3に与えられるトルクがしきい値を実質的に超えるときに、特に、バレル2が完全に巻かれているときに、巻きギア列4は、切断位置に動く。
【0047】
したがって、トルクがしきい値を実質的に超えるときに、巻きギア列は、回転運動をして、連結位置から切断位置へと動く。巻きギア列4は、連結位置と切断位置の間の横方向の運動を行う。また、巻きギア列4は、仮想ピボットのまわりの回転運動を行って、連結位置から切断位置へと、またその逆に、動く。
【0048】
しきい値よりも上において、ラチェット3を回すために必要なトルクがフレキシブルガイドを曲げるのに必要なトルクよりも大きいときに、巻きギア列4は、アクチュエート用車21によって押し戻されて切断位置にされる。すなわち、巻きギア列4がラチェット3を強く押したときに、フレキシブルガイドのフレキシブルブレード15が屈曲するために、堅固な可動要素16と巻きギア列4が動く。
【0049】
この結果、アクチュエート用車セット21は回転し続けるが、巻きギア列4とラチェット3は回転しなくなる。
【0050】
図1において、巻き構成において、ラチェット3に与えられる巻きトルクはしきい値未満であり、したがって、巻きギア列4は、連結位置に留まり、アクチュエート用車21と噛み合う。このようにして、ラチェット3と巻きシャフトは、巻きギア列4によって駆動される。ラチェット3の第1の周部歯列11は、ラチェット3に与えられるトルクがしきい値よりも実質的に小さいときに、巻きギア列4の第2の歯列12と連係する。
【0051】
図2において、バレルの巻きの間に、トルクが大きくなり、しきい値に近づくと、巻きギア列4は、フレキシブルガイドのおかげで、横方向に動き始めるが、アクチュエート用車21の第3の歯列14と依然として噛み合っている。したがって、ラチェット3は、巻きギア列4によって依然として駆動されている。
【0052】
図3において、バレル2が完全に巻かれているときに、巻きギア列4によってラチェット3に与えられる巻きトルクは、しきい値よりも大きく、フレキシブルガイドのおかげで、巻きギア列4は、完全に切断位置へと動く。
【0053】
結果として、巻きギア列4の第2の歯列12は、アクチュエート用車21の第3の歯列14と係合しなくなる。結果として、巻きギア列4とラチェット3は、回転しない。
【0054】
この切断手段は、バレル2を巻き過ぎから保護し、バレル2内の早期摩耗を防ぐ。
【0055】
バレル2には、さらに、計時器用ムーブメントの車20の第4の歯列19と連係するように構成している第4の周部歯列18がある。この車20は、例えば、中間車である。バレル2は、巻かれると、車20を介して計時器用ムーブメントを動作させるために必要なエネルギーを供給する。
【0056】
本発明は、さらに、バレルと、上記のバレル巻きデバイスとを備える、図示していない計時器用ムーブメントに関する。
【0057】
当然、本発明は、図面を参照しながら説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱せずに変異形態を想到することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 巻きデバイス
2 バレル
3 ラチェット
4 巻きギア列
5 ばね
13 ギア列システム
15 フレキシブルブレード
16 堅固な可動要素
17 固定支持体
20 計時器用ムーブメントの車
21 アクチュエート用車
図1
図2
図3
【外国語明細書】