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特開2024-80652アーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法
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  • 特開-アーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080652
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】アーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/71 20060101AFI20240606BHJP
   E04F 15/12 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
C04B41/71
E04F15/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200384
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2022203738
(32)【優先日】2022-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 講義日 令和4年5月9日 刊行物 スケートパークパンフレット 公開者 ウィルビー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504365272
【氏名又は名称】ウィルビー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100210295
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 誠心
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正道
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 達哉
(72)【発明者】
【氏名】宮田 彰仁
【テーマコード(参考)】
2E220
4G028
【Fターム(参考)】
2E220AA16
2E220AA25
2E220AB07
2E220AC05
2E220EA02
2E220FA05
2E220FA11
2E220GA35X
2E220GB32X
4G028FA03
(57)【要約】
【課題】アーバンスポーツが行われる環境であっても、コンクリート床の表面の摩耗やセメント質の溶解流出を抑制し、アーバンスポーツに適した状態を長期間に渡り維持することができるアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法を提供すること。
【解決手段】アーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法は、コンクリート床の表面に浸透性表面強化材を塗布する表面強化材塗布工程S4と、コンクリート床の表面上に残存する浸透性表面強化材を除去する表面強化材除去工程S5と、コンクリート床の表面に浸透性吸水抑制材を塗布する吸水抑制材塗布工程S6とを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート床の表面に浸透性表面強化剤を塗布する表面強化剤塗布工程と、
コンクリート床の表面上に残存する浸透性表面強化剤を除去する表面強化剤除去工程と、
コンクリート床の表面に浸透性吸水抑制剤を塗布する吸水抑制剤塗布工程とを有することを特徴とするアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法。
【請求項2】
表面強化剤塗布工程の前にコンクリート床の表面研削を行う表面研削工程を有することを特徴とする請求項1に記載のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法。
【請求項3】
表面研削工程と表面強化剤塗布工程との間に、コンクリート床の表面研磨を行う表面研磨工程を有することを特徴とする請求項2に記載のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法。
【請求項4】
表面強化材塗布工程の前に、コンクリート床に目地切りを行う目地切り工程を有し、目地切り工程と表面強化材塗布工程との間、又は、吸水抑制材塗布工程の後に、目地に充填材を充填する目地充填工程を有することを特徴とする請求項1に記載のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケートボード・BMX(フリースタイル)・インラインスケートなどの野外で開催されるアーバンスポーツで使用されるコンクリート床の仕上工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なコンクリート床の仕上げは、コンクリートの打設後、一定の養生期間を設けて、そのまま使用するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4338908号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スケートボード・BMX(フリースタイル)・インラインスケートなどの野外で開催されるアーバンスポーツで使用されるコンクリート床は、スケートボードなどの滑走で表面が摩耗しやすい。加えて、野外であるため、コンクリート床は雨によるセメント質の溶解流失が発生してしまう。
【0005】
そのため、一般的なコンクリート床の仕上げのように、コンクリートを打設・養生した後、そのまま使用すると、3~5年でコンクリート床は著しく劣化が進んでしまう。
【0006】
劣化が進んだ結果、例えば、コンクリート床の表面に凹凸や骨材露出等が発生してしまうと、アーバンスポーツ愛好者にとって、滑走しにくくなる、転倒が発生しやすくなる、大きな怪我に繋がる危険性が高くなるという問題が発生する。
【0007】
問題が発生したコンクリート床は、アーバンスポーツに適さないものとなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、アーバンスポーツが行われる環境であっても、コンクリート床の表面の摩耗やセメント質の溶解流出を抑制し、アーバンスポーツに適した状態を長期間に渡り維持することができるアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法は、コンクリート床の表面に浸透性表面強化材を塗布する表面強化材塗布工程と、コンクリート床の表面上に残存する浸透性表面強化材を除去する表面強化材除去工程と、コンクリート床の表面に浸透性吸水抑制材を塗布する吸水抑制材塗布工程とを有する。
【0010】
請求項1のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法によれば、表面強化材塗布工程によって、コンクリート床の表面の空隙を結晶体で埋め尽くし緻密化することで、耐摩耗性を向上させることができる。また、吸水抑制材塗布工程によって、表面に撥水機能を持たせることで、雨や雪の水分によって溶解、流失を最小限に抑え、長寿命化させることができる。
【0011】
コンクリート床の表面上に浸透性表面強化材が残存すると、コンクリート床の表面の摩擦係数が低下し、車輪が必要以上に滑りやすくなってしまう。また、コンクリート床の表面において、浸透性表面強化材が残存している箇所には、浸透性吸水抑制材の浸透が妨げられてしまうことがある。
【0012】
請求項1のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法によれば、表面強化材塗布工程の後に、表面強化材除去工程が有ることによって、コンクリート床の表面での摩擦係数の低下を抑制することができ、浸透性吸水抑制材が十分に浸透してない箇所が発生しないようにすることができる。
【0013】
本発明の請求項2のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法は、請求項1のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法において、表面強化材塗布工程の前にコンクリート床の表面研削を行う表面研削工程を有する。
【0014】
請求項2のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法によれば、請求項1と同様の作用効果に加えて、新規打設後又は既存のコンクリート床の表面において、表面研削工程によって、脆弱部をあらかじめ除去しておくことができる。
【0015】
本発明の請求項3のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法は、請求項2のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法において、表面研削工程と表面強化材塗布工程との間に、コンクリート床の表面研磨を行う表面研磨工程を有する。
【0016】
コンクリート床の表面に微細な凹凸があると、表面強化材及び吸水抑制材の塗布ムラが生じてしまうことがある。請求項3のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法によれば、請求項2と同様の作用効果に加えて、表面研磨工程によって、新規打設後又は既存のコンクリート床の表面の微細な凹凸を除去して平滑にすることができる。これにより、表面強化材及び吸水抑制材を均一に塗布することができる。
【0017】
本発明の請求項4のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法は、請求項1のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法において、表面強化材塗布工程の前に、コンクリート床に目地切りを行う目地切り工程を有し、目地切り工程と表面強化材塗布工程との間、又は、吸水抑制材塗布工程の後に、目地に充填材を充填する目地充填工程を有する。
【0018】
野外では、外気の変化によるコンクリートの膨張・収縮によって、コンクリートにひび割れが発生する。このひび割れは、特に車輪の半径が小さいスケートボードにとっては、滑り心地の悪化に大きく影響する。さらに、ひび割れ対策などでコンクリート床には目地を設けることが一般的であるが、スケートボードやインラインスケート滑走の際に目地の段差などでつまずき、転倒の原因となる可能性がある。請求項4のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法によれば、請求項1と同様の作用効果に加えて、目地切り工程によって、ひび割れを抑制することができる。さらに、請求項4のアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法によれば、目地充填工程によって、目地を埋めて、コンクリート床の表面と目地との段差をなくして、コンクリート床の表面と面一とすることができる。これにより、目地端部の劣化・欠損を防止するとともに、特に、車輪の半径が小さいスケートボードの滑り心地の悪化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1から4のいずれかの発明は、アーバンスポーツが行われる環境であっても、コンクリート床の表面の摩耗やセメント質の溶解流出を抑制し、アーバンスポーツに適した状態を長期間に渡り維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1に本発明の一実施形態に係るアーバンスポーツ用コンクリート床の仕上工法のフローチャートに基づいて説明する。
【0022】
目地切り工程S1において、既存または新設コンクリート床面に必要に応じて切削目地、打継目地、伸縮目地、誘発目地等の目地切りを行う。
【0023】
次いで、目地充填工程S2において、目地切り工程S1で形成された目地に目地充填材を充填する。目地充填材は、例えば、急速硬化性ポリユリア樹脂コンクリート目地充填材「SSP-100」を使用する。目地充填工程では、目地を埋めて、コンクリート床の表面と目地との段差をなくして、目地に充填されて硬化した目地充填材の上面とコンクリート床の表面と面一とする。
【0024】
次いで、表面研削工程S3において、既存または新設コンクリート床の表面の研削を行う。施工面積その他の条件に応じて、研削を1~2回に分けて行う。研削を2回に分けて行う場合、2回目で使用する研削盤は、1回目で使用する研削盤より粒度の数値が大きいものを使用し行う。表面研削工程S3はコンクリート床の表面の状態によっては不要の場合もある。
【0025】
次いで、表面研磨工程S4において、既存または新設コンクリート床の表面の研磨を行う。施工面積その他の条件に応じて、研磨を1~2回に分けて行う。研磨を2回に分けて行う場合、2回目で使用する研磨盤は、1回目で使用する研磨盤より粒度の数値が大きいものを使用し行う。表面研磨工程S4はコンクリート床の表面の状態によっては不要の場合もある。
【0026】
次いで、表面強化材塗布工程S5において、コンクリート床の表面に珪酸ナトリウム系浸透性表面強化材「シールハード」を塗布する。塗布量は5.0~19.9m/Lの量を目安に浸透するまで塗布し、塗布後はモップ等で均一に伸ばし浸透させる。「シールハード」の浸透時間は1~2時間程度である。
【0027】
次いで、表面強化材除去工程S6において、コンクリート床の表面上に残存する浸透性表面強化材を除去する。浸透性表面強化材の除去は、コンクリート床の表面の洗浄を行いながら即座にバキュームで吸い上げる。その後、コンクリート床の表面の乾燥をさせる。乾燥は4時間~1日程度行い浸透性表面強化材が残存していないことを確認する。
【0028】
次いで、吸水抑制材塗布工程S7において、コンクリート床の表面にシラン・シロキサン系浸透型吸水抑制材「アクアペル・プラス」を塗布する。この時の塗布量は15~21m/Lを目安に浸透するまで塗布し、塗布後はモップ等で均一に伸ばし浸透させる。浸透型吸水抑制材の塗布が終わるとコンクリート床の表面の乾燥をさせる。乾燥は1~2日程度行い表面を完全に乾燥させる。
【0029】
上記実施形態では、目地切り工程S1の次に目地充填工程S2を行う場合について説明したが、これに限定されることはない。目地充填工程は、吸水抑制材塗布工程の後に行ってもよい。
【0030】
上記実施形態では、目地充填工程S2で急速硬化性ポリユリア樹脂コンクリート目地充填材「SSP-100」を使用する場合について説明したが、これに限定されることはない。目地充填工程は、急速硬化性ポリユリア樹脂コンクリート目地充填材「SSP-100」以外の目地充填剤を使用してもよい。
【0031】
上記実施形態では、表面研削工程S3において研削を2回に分けて行う場合、及び、表面研磨工程S4において研磨を2回に分けて行う場合ついて説明したが、これに限定されることはない。表面研削工程S3において研削及び表面研磨工程S4において研磨は、3回以上に分けて行ってもよい。
【0032】
上記実施形態では、表面強化材塗布工程S5において、珪酸ナトリウム系浸透性表面強化材「シールハード」を塗布及び浸透させる場合について説明したが、これに限定されることはない。表面強化材塗布工程では、珪酸ナトリウム系浸透性表面強化材「シールハード」以外の表面強化材を塗布してもよい。
【0033】
上記実施形態では、表面強化材除去工程S6において、コンクリート床の表面の洗浄を行いながら即座にバキュームで吸い上げて乾燥させる場合について説明したが、これに限定されることはない。表面強化材除去工程において、例えば、除去用の薬剤の使用等、他の表面強化材除去方法を用いてもよい。
【0034】
上記実施形態では、吸水抑制材塗布工程S7において、シラン・シロキサン系浸透型吸水抑制材「アクアペル・プラス」を塗布及び浸透させる場合について説明したが、これに限定されることはない。吸水抑制材塗布工程では、シラン・シロキサン系浸透型吸水抑制材「アクアペル・プラス」以外の吸水抑制材を塗布してもよい。
図1