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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080653
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ドアストッパー
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/00 20170101AFI20240606BHJP
【FI】
E05F5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200528
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2022193132
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591203831
【氏名又は名称】株式会社マーナ
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(72)【発明者】
【氏名】長野 純子
(72)【発明者】
【氏名】平岡 しおり
(57)【要約】
【課題】 ペダル部を踏んでストッパー部材を下降するだけでロックが掛かり、閉まるドアを静止するとともに、ドアを僅かに開ける方向に押すだけで、ロックを解除してストッパー部材を元の状態に収容できるドアストッパーを提供すること。
【解決手段】 ドア1の内側に着脱自在に取り付けられるケース本体Aと、ケース本体Aに上下動可能に収容され、下部に設けたペダル部40を踏むことにより、下端部45が床面2に接触するまで下降するストッパー部材Bと、下降するストッパー部材Bをケース本体Aに戻す方向に付勢する弾性部材Cと、弾性部材Cの付勢に抗してストッパー部材Bの下降状態を維持するロック機構Dと、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの内側に着脱自在に取り付けられるケース本体と、
ケース本体に上下動可能に収容され、下部に設けたペダル部を踏むことにより、下端部が床面に接触するまで下降するストッパー部材と、
下降するストッパー部材をケース本体に戻す方向に付勢する弾性部材と、
弾性部材の付勢に抗してストッパー部材の下降状態を維持するロック機構と、を備えることを特徴とするドアストッパー。
【請求項2】
ロック機構は、ケース本体に設けられ、上下方向に複数段の歯が形成された係止歯部と、ストッパー部材に設けられ、係止歯部の歯と係止可能な係止爪と、を有し、
係止歯部の歯と、ストッパー部材の係止爪との係止は、ストッパー部材の下降時だけに許容することを特徴とする請求項1に記載のドアストッパー。
【請求項3】
係止歯部は、ケース本体の取り付け面と反対側内面に沿って設けられ、
係止爪は、ストッパー部材に対して弾性変形可能に設けられることを特徴とする請求項2に記載のドアストッパー。
【請求項4】
係止歯部は、ケース本体の取り付け面に対して上方に向かうほど取り付け面から離れるように、複数段の歯が傾斜状態で設けられることを特徴とする請求項3に記載のドアストッパー。
【請求項5】
ストッパー部材は、ケース本体の取り付け面に沿って上下方向に延びるスライド基体と、スライド基体の下端からドアと反対側に張り出すペダル部と、ペダル部の下部に揺動可能に設けられる床面接地部と、を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のドアストッパー。
【請求項6】
ストッパー部材は、ケース本体の取り付け面に沿って上下方向に延びるスライド基体と、スライド基体の下端からドアと反対側に張り出すペダル部と、ペダル部の下部に弾性変形可能に設けられる床面接地部と、を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のドアストッパー。
【請求項7】
スライド基体は、ケース本体に対して上下方向にガイドされるスライド側面と、背面側上部から突設されるストッパー凸部と、係止爪が突設され、弾性変形可能な爪支持板部と、を有することを特徴とする請求項5に記載のドアストッパー。
【請求項8】
スライド基体は、ケース本体に対して上下方向にガイドされるスライド側面と、背面側上部から突設されるストッパー凸部と、係止爪が突設され、弾性変形可能な爪支持板部と、を有することを特徴とする請求項6に記載のドアストッパー。
【請求項9】
係止歯部は、複数段の歯の両脇に沿って前後方向に立設されるガイド側壁を有し、
スライド基体は、係止歯部のガイド側壁に対して上下方向にガイドされるスライド側面と、背面側上部から突設されるストッパー凸部と、係止爪が突設され、弾性変形可能な爪支持板部と、を有することを特徴とする請求項5に記載のドアストッパー。
【請求項10】
係止歯部は、複数段の歯の両脇に沿って前後方向に立設されるガイド側壁を有し、
スライド基体は、係止歯部のガイド側壁に対して上下方向にガイドされるスライド側面と、背面側上部から突設されるストッパー凸部と、係止爪が突設され、弾性変形可能な爪支持板部と、を有することを特徴とする請求項6に記載のドアストッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアが閉じるのを静止するドアストッパーに関し、とくに、ドアの内側に取り付けて使用するドアストッパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドアクローザーによって閉じるドアを所望の位置で静止するドアストッパーは周知であり、ドアストッパーとして、例えば、1本の棒状体の基端をドアに対して回動自在に取り付け、待機時は、基端から上方にドアに沿うように収容し、使用時は、棒状体を回動させて先端を床面に当接させ、床面とドア面の間で適宜の角度で傾斜させて配置することにより、突っ張り棒のようにドアを静止するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1記載のドアストッパーでは、ドアが閉まるのを確実に静止するために、ドアに取り付けるドアストッパーの高さや角度を適切に微調整することが必要であり、ドアストッパーの高さや角度を微調整する機構は、構造が複雑になるため、コスト高となる、という問題があった。
【0004】
このような問題に対処するために、ドアの面に沿って固定されるベース板の下端からドアが閉まる方向に延在する下向きの平坦面である傾斜面と、左右方向に延在する中心軸上に中心軸部材を具備し、かつ傾斜面に当接して移動可能なローラーと、傾斜面の上端がローラーの初期位置となるように中心軸部材を略上方に弾性的に付勢するための弾性部材と、を備え、使用時には、ローラーを弾性部材の弾性力に抗して傾斜面に沿って下方に移動させ床面に当接させると、ドアが閉まろうとする力によりローラーが傾斜面と床面との間で圧縮力を受けてドアを静止するドアストッパーが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3089200号公報
【特許文献2】実用新案登録第3194940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2記載のドアストッパーでは、ローラーが傾斜面と床面との間で適切に圧縮力を受けるように、ドアに対するドアストッパーのおおまかな高さを予め設定する高さ調節機構を別途必要とする、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、ペダル部を踏んでストッパー部材を下降するだけでロックが掛かり、閉まるドアを静止するとともに、ドアを僅かに開ける方向に押すだけで、ロックを解除してストッパー部材を元の状態に収容できるドアストッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、ドアストッパーとして、ドアの内側に着脱自在に取り付けられるケース本体と、ケース本体に上下動可能に収容され、下部に設けたペダル部を踏むことにより、下端部が床面に接触するまで下降するストッパー部材と、下降するストッパー部材をケース本体に戻す方向に付勢する弾性部材と、弾性部材の付勢に抗してストッパー部材の下降状態を維持するロック機構と、を備えることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
さらに、ドアストッパーの実施形態として、ロック機構は、ケース本体に設けられ、上下方向に複数段の歯が形成された係止歯部と、ストッパー部材に設けられ、係止歯部の歯と係止可能な係止爪と、を有し、係止歯部の歯と、ストッパー部材の係止爪との係止は、ストッパー部材の下降時だけに許容することを特徴とする構成、また係止歯部は、ケース本体の取り付け面と反対側内面に沿って設けられ、係止爪は、ストッパー部材に対して弾性変形可能に設けられることを特徴とする構成、また係止歯部は、ケース本体の取り付け面に対して上方に向かうほど取り付け面から離れるように、複数段の歯が傾斜状態で設けられることを特徴とする構成、またストッパー部材は、ケース本体の取り付け面に沿って上下方向に延びるスライド基体と、スライド基体の下端からドアと反対側に張り出すペダル部と、ペダル部の下部に揺動可能に設けられる床面接地部と、を有することを特徴とする構成、またストッパー部材は、ケース本体の取り付け面に沿って上下方向に延びるスライド基体と、スライド基体の下端からドアと反対側に張り出すペダル部と、ペダル部の下部に弾性変形可能に設けられる床面接地部と、を有することを特徴とする構成、またスライド基体は、ケース本体に対して上下方向にガイドされるスライド側面と、背面側上部から突設されるストッパー凸部と、係止爪が突設され、弾性変形可能な爪支持板部と、を有することを特徴とする構成、また係止歯部は、複数段の歯の両脇に沿って前後方向に立設されるガイド側壁を有し、スライド基体は、係止歯部のガイド側壁に対して上下方向にガイドされるスライド側面と、背面側上部から突設されるストッパー凸部と、係止爪が突設され、弾性変形可能な爪支持板部と、を有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドアストッパーは、上記構成を採用することにより、ペダル部を踏んでストッパー部材を下降すると、弾性部材の付勢に抗してストッパー部材の下降状態をロック機構により維持し、ストッパー部材の下端部が床面に接触することで閉まるドアを静止することができる。
また、本発明のドアストッパーは、ドアを僅かに開ける方向に押すと、ロック機構による下降状態をリリースし、ストッパー部材を弾性部材の付勢により元の状態に収容し、ドアを閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1であるドアストッパーの待機状態を示す図で、(a)は上面図、(b)は(a)のX-X断面矢視図である。
図2】本発明の実施例1であるドアストッパーの分解状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施例1であるドアストッパーの外観を示す図で、(a)は待機状態の斜視図、(b)は使用状態の斜視図である。
図4】本発明の実施例1であるドアストッパーのフロントケースを示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
図5】本発明の実施例1であるドアストッパーの待機状態を示す図1(b)の断面図で、(a)はY1-Y1断面矢視図、(b)はY2-Y2断面矢視図である。
図6】本発明の実施例1であるドアストッパーの使用状態を示す図で、(a)は、ロック状態上限時の断面図、(b)は(a)のリリース時の断面図である。
図7】本発明の実施例1であるドアストッパーの使用状態を示す図で、(a)は、ロック状態下限時の断面図、(b)は(a)のリリース時の断面図である。
図8】本発明の実施例2であるドアストッパーの待機状態を示す図で、(a)は上面図、(b)は(a)のX1-X1断面矢視図である。
図9】本発明の実施例2であるドアストッパーの分解状態を示す斜視図である。
図10】本発明の実施例2であるドアストッパーの外観を示す図で、(a)は待機状態の斜視図、(b)は使用状態の斜視図である。
図11】本発明の実施例2であるドアストッパーのロック機構を示す図で、(a)は上面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。
図12】本発明の実施例2であるドアストッパーの使用状態を示す図で、(a)はロック状態上限時の断面図、(b)は(a)のリリース時の断面図である。
図13】本発明の実施例2であるドアストッパーの床面接地部の形状を示す図で、(a)は 下方からみた斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)は背面図、(f)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明のドアストッパーについて、実施例の図面を参照して説明する。
以下の説明では、図1(b)でみて、縦方向を「上下方向」、左方向を「前面側」または「ドアの内側」、右方向を「背面側」または「ドアの外側」とする。
【0013】
(実施例1)
図1において、1は図示しないドアクローザーによって内側に閉じるドア、Aはドア1の内側に着脱自在に取り付けられるケース本体、Bはケース本体Aに上下動可能に収容され、下降状態でドア1を静止するストッパー部材、Cは下降するストッパー部材Bをケース本体Aに戻す方向に付勢する弾性部材、Dは弾性部材Cの付勢に抗してストッパー部材Bの下降状態を維持するロック機構である。
【0014】
図3に示すように、ケース本体Aは、全体が上下方向に延びる箱型形状に形成され、上部が閉鎖されるのに対し、下部が開口されるとともに、背面側が下方に延長されている。
図1に示すように、ケース本体Aは、ドア1の内側に着脱自在に取り付けるために、背面側に磁石シート5が装着されている。なお、ドア1へのケース本体Aの取り付けには、磁石シート5に替えて両面テープを用いても構わない。
【0015】
図1および図2に示すように、ケース本体Aは、背面側(ドア1の内側)に配置される平板状のリアケース10と、ケース本体Aの内部に上下動可能なストッパー部材Bを収容するために、リアケース10の前面側に装着されるフロントケース20と、を備え、フロントケース20は、ストッパー部材Bの上下動を許容できるように、下部が開口されている。
【0016】
リアケース10は、フロントケース20と対向する前面側の前面部11と、ドア1と対向する背面側の背面部12と、から構成されている。前面部11の下端には、水平方向に延び、後述するストッパー部材Bの第1支点として機能する当接突部13が形成され、背面部12には、磁石シート5の下部を除く大部分を装着するために、装着凹部14が形成されている。
【0017】
図1図4に示すように、フロントケース20は、上部を覆う天壁21と、天壁21の両側部から垂下される一対の側壁22と、天壁21の前面側から垂下される前面壁23と、側壁22の背面側下端部から垂下され、リアケース10の下端部と接続される背面延長壁24と、を備え、側壁22および前面壁23の下端部で囲まれる側が開口されている。
背面延長壁24は、下端部に、後述するストッパー部材Bの第2支点として機能する当接下端部24aが形成され、背面側に、磁石シート5の下部を装着するために、装着凹部25が形成されている。
【0018】
図4および図5に示すように、フロントケース20は、天壁21の内側に形成され、弾性部材Cを構成する引っ張りコイルバネ50の上部フック51を引掛ける吊り部26と、一対の側壁22の内側から突設され、ストッパー部材Bの上下動を案内する複数のガイド部27と、前面壁23の内側に形成され、後述するロック機構Dを構成する係止歯部60の係止歯基板62を取り付ける一対の係止歯基板取り付け部28と、ストッパー部材Bのスライド基体30の上端位置を規制する規制枠29と、を備えている。
【0019】
図1(b)および図2に示すように、ストッパー部材Bは、ケース本体Aのリアケース10の前面部11に沿って上下方向に延びるスライド基体30と、スライド基体30の下端からドア1と反対側(前面側)に張り出し、下方向に向けて傾斜するペダル部40と、ペダル部40の先端から背面側に向けて揺動可能に設けられる床面接地部45と、を備えている。
【0020】
図2および図5(a)に示すように、スライド基体30は、平板の上端中央が切り欠かれた矩形状をなし、スライド基体30の両側面に形成され、フロントケース20のガイド部27に案内される一対のスライド側面31と、背面側上部の両脇から突設される一対のストッパー凸部32と、弾性部材Cを構成する引っ張りコイルバネ50の下部フック52を引掛けるバネ掛け部33と、スライド基体30の上部に形成される矩形状のスリット部34と、スリット部34の内方に形成され、前面側上端に係止爪35が突設され、弾性変形可能な薄板状の爪支持板部36と、係止爪35の両脇に形成される一対のスライド片37と、を備えている。
【0021】
ペダル部40は、スライド基体30と一体に形成され、L字状の補強金具38によって両者の接続部が破損および変形しないように補強されている。
ペダル部40は、スライド基体30の下端から前面側下方に傾斜して形成され、足で踏むための踏み板41と、踏み板41の先端部下面から垂設されるペダル部軸受け42と、踏み板41の下面に装着されるウエイト部43と、を備えている。
【0022】
床面接地部45は、ストッパー部材Bの下降時に、床面2と接触するペダルゴムである摩擦接地片46と、摩擦接地片46に内装される接地片支持部47と、接地片支持部47の正面側両脇に形成される支持部軸受け48と、を備え、床面接地部45は、ペダル部40のペダル部軸受け42と、床面接地部45の支持部軸受け48とが回転軸44で揺動可能に連結されるとともに、板バネ49により、床面接地部45は、ペダル部40に対して所定の角度まで開くように付勢されている。
なお、図2および図3に示すように、摩擦接地片46は、床面2との摩擦力を増大するために、タイヤのトレッドのように、床面2との接地面に凹凸のパターンを形成してもよい。
【0023】
図1および図2に示すように、弾性部材Cは、引っ張りコイルバネ50として具体化されており、引っ張りコイルバネ50の上端に設けられた上部フック51と、引っ張りコイルバネ50の下端に設けられた下部フック52と、引っ張りコイルバネ50の外周面をカバーする保護チューブ53と、を備えている。
【0024】
図1図2および図5(b)に示すように、ロック機構Dは、ケース本体Aのフロントケース20を構成する前面壁23の内側に沿って設けられ、上下方向に複数段の歯61が形成された係止歯部60と、前述のストッパー部材Bに設けられ、係止歯部60の歯61と係止可能な係止爪35と、により具体化されており、係止歯部60は、中段から下方に向けて係止爪35の下降時に係止可能な歯61が形成される平板状の係止歯基板62と、係止歯基板62の歯61が形成された面の両側に沿って上下方向に設けられ、ストッパー部材Bのスライド基体30に形成されるスライド片37が摺接するガイドレール部63と、を備えている。
【0025】
つぎに、本実施例の使用態様と作用効果について図面を参照しながら説明する。
図2に示すように、本実施例のドアストッパーは、ケース本体Aのフロントケース20に、規制枠29と、ロック機構Dの係止歯部60と、を取り付けた後、スライド基体30とペダル部40と床面接地部45とで組み立てたストッパー部材Bを、弾性部材Cとともにフロントケース20にセットし、リアケース10をフロントケース20の背面側に取り付けて、最後に、ケース本体Aの背面側の装着凹部14および25に磁石シート5を貼着して、図3(a)に示すように、完成される。
【0026】
以上のように組み立てられたドアストッパーは、図1に示すように、ドア1の内側に磁石シート5の磁力によって床面2(図6および図7参照)から適宜の高さで着脱自在に装着することができる。
【0027】
図1で示す待機状態にある本実施例のドアストッパーは、ストッパー部材Bが弾性部材Cによってケース本体A内に戻す方向(上方向)に付勢され、図5(a)に示すように、スライド基体30の上端当接部30aがフロントケース20に取り付けられた規制枠29に当接することにより、ストッパー部材Bの上下方向位置が規制されている。
【0028】
同時に、ストッパー部材Bは、スライド基体30の背面側から突設された一対のストッパー凸部32がリアケース10の前面部11に当接するとともに、スライド基体30の背面側下部がリアケース10の当接突部13に近接し、ストッパー部材Bの前後方向位置が規制されているが、スライド基体30は、必ずしも、背面側下部がリアケース10の当接突部13に近接する必要はなく、背面側下部が当接突部13に当接していても構わない。
このように、ケース本体Aは、ストッパー部材Bをドア1の概ね開閉方向に遊間(すなわち、隙間または遊び)を備えて収容する。
【0029】
つぎに、本実施例のドアストッパーの使用方法について以下に説明する。
まず、ドア1を所望の開度で静止するには、図1(b)で示す待機状態にあるドアストッパーが取り付けられたドア1を外側に向けて開き、ドア1を静止したい位置で、ストッパー部材Bのペダル部40の踏み板41を足で踏むと、ストッパー部材Bは、弾性部材Cによるケース本体Aに戻す方向(上方向)への付勢に抗して下降を開始する。この際に、ペダル部40の踏み板41が前面側下方に傾斜して形成されているため、ストッパー部材Bのスライド基体30は、下部が背面側寄りに引き下げられて、リアケース10の当接突部13に当接するとともに、上部が前面側に傾斜し、一対のスライド片37がロック機構Dの係止歯基板62の両側に設けられたガイドレール部63に摺接しながら下降する。
【0030】
ストッパー部材Bのスライド基体30が下降を開始した時点では、スライド基体30の係止爪35は、係止歯部60の歯61が形成されていない部分と対向しているため、ロック機構Dは、機能しない。
さらに、ペダル部40の踏み板41を踏み込んで、ストッパー部材Bのスライド基体30が下降すると、図6(a)に示すように、係止爪35は、ロック機構Dの係止歯部60に形成された上限の歯61と係止すると、ストッパー部材Bの下降だけが許容されるため、ロック機構Dが有効になり、ペダル部40の踏み板41から足を離してもストッパー部材Bの下降状態を維持することができる。
【0031】
このように、本実施例のドアストッパーは、ストッパー部材Bのペダル部40を踏んで、係止爪35がロック機構Dの係止歯部60に形成された上限の歯61と係止するまで下降させないと、ロック機構Dが有効に働かないので、ドアストッパーをドア1に取り付ける際は、図6(a)に示す位置より床面2からの高さが高くなるようにする必要がある。
【0032】
ロック機構Dが有効になった後、ペダル部40を踏み続けると、係止爪35は、係止歯部60の上限の歯61から下方に向けて順次係止するとともに、ストッパー部材Bの床面接地部45は、背面側が床面2に接触するが、図6(a)に示すように、床面接地部45は、ペダル部40に対して回転軸44を中心に、板バネ49に抗して反時計回りに揺動し、摩擦接地片46の下面全体が床面2に接触することで、床面接地部45の床面2に対する摩擦力が高まる。
【0033】
このように、ストッパー部材Bは、ペダル部40が踏まれて床面接地部45が床面2に接触すると、ドアクローザーによって内側に閉じるドア1によりドア面側がドア1の閉方向に押圧される。ドア面側がドア1に押圧されるとともに、床面接地部45が揺動することで、ストッパー部材Bは、ケース本体Aの遊間内でドア1の概ね開閉方向に傾斜して、ドア1とともに静止する。
ストッパー部材Bの傾斜は、上部がドア1と反対側(ドア1が閉まる方向)に傾斜し、下部がドア側(ドア1が開く方向)に傾斜する。ドア1の押圧によりストッパー部材Bの上部がドア1と反対側に傾斜するので、係止歯部60の側へ突設した係止爪35は、係止歯部60の歯61に押し当てられ、係止爪35と係止歯部60とは強く係止し、外れにくくなる。係止爪35と係止歯部60とが外れにくくなるので、強固にドア1を静止させることができる。
【0034】
つぎに、ドア1を再び閉じるには、図6(a)で示す静止状態から、ドア1を僅かに開ける方向(外側)に押すと、図6(b)に示すように、ストッパー部材Bは、床面接地部45が床面2に接触したまま、スライド基体30の上部が前面側に傾斜した状態から直立した状態に戻り、ストッパー凸部32がリアケース10の前面部11に当接することで、係止爪35は、係止歯部60の歯61との係止が外れ、ストッパー部材Bは、ロック機構Dによる下降状態がリリース(解除)される。
【0035】
すると、ストッパー部材Bは、弾性部材Cの付勢によりケース本体Aに向けて引き上げられ、スライド基体30の上端当接部30aがフロントケース20に取り付けられた規制枠29に当接し、図1(b)に示す待機状態に戻されるので、ドアクローザーによりドア1を再び閉じることができる。
【0036】
つぎに、本実施例のドアストッパーを図6に示す場合よりも、ドア1の上方に取り付けた場合について説明すると、図1(b)に示すペダル部40の踏み板41を踏み込んで、ストッパー部材Bのスライド基体30が下降を開始すると、スライド基体30は、下部が背面側寄りに引き下げられて、リアケース10の当接突部13に当接するとともに、上部が前面側に傾斜し、一対のスライド片37がロック機構Dの係止歯基板62の両側に設けられたガイドレール部63に摺接しながら下降する。
【0037】
さらに、ストッパー部材Bが下降すると、図7(a)に示すように、スライド基体30は、背面がリアケース10の当接突部13から離れ、フロントケース20に形成された背面延長壁24の第2支点である当接下端部24aに当接するとともに、スライド基体30の係止爪35がロック機構Dの係止歯部60に形成された下限の歯61と係止し、ロック機構Dが有効になり、図3(b)に示すように、ペダル部40の踏み板41から足を離してもストッパー部材Bの下降状態を維持することができる。
【0038】
また、ドア1を再び閉じるには、図7(a)で示す静止状態から、ドア1を僅かに開ける方向(外側)に押すと、図7(b)に示すように、ストッパー部材Bは、床面接地部45が床面2に接触したまま、スライド基体30の上部が前面側に傾斜した状態から直立した状態に戻り、ストッパー凸部32がリアケース10の前面部11に当接することで、係止爪35は、係止歯部60の歯61との係止が外れ、ストッパー部材Bは、ロック機構Dによる下降状態がリリースされるので、ストッパー部材Bは、弾性部材Cの付勢によりケース本体Aに向けて引き上げられ、図1(b)に示す待機状態に戻されるので、ドア1を再び閉じることができる。
【0039】
このように、本実施例のドアストッパーは、ストッパー部材Bのペダル部40の踏み板41を踏んで、係止爪35がロック機構Dの係止歯部60に形成された下限の歯61と係止するまで下降させることができ、ロック機構Dが有効に働くために、ドアストッパーをドア1に取り付ける際は、図7(a)に示す位置より床面2からの高さが低くなるようにする必要がある。
【0040】
(実施例2)
つぎに、実施例1のケース本体A、ストッパー部材Bおよびロック機構?の構成を変更した実施例2について説明する。
以下、実施例1と同一の構成部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0041】
図8において、Aaはドア1の内側に着脱自在に取り付けられるケース本体、Baはケース本体Aaに上下動可能に収容され、下降状態でドア1を静止するストッパー部材、Cは下降するストッパー部材Baをケース本体Aaに戻す方向に付勢する弾性部材、Daは弾性部材Cの付勢に抗してストッパー部材Baの下降状態を維持するロック機構である。
【0042】
実施例1では、ケース本体Aは、ドア1の内側に着脱自在に取り付けるために、背面側に磁石シート5が装着されているのに対し、本実施例では、図8および図9に示すように、ケース本体Aaは、背面側に横断面がコの字状のヨーク6に抱かれた板状の磁石7が複数(本実施例では、2個)装着されているが、装着される磁石7の個数や位置は、必要に応じて変更することができる。
【0043】
図8(b)および図9に示すように、ケース本体Aaは、背面側(ドア1の内側)に配置される平板状のリアケース70と、ケース本体Aaの内部に上下動可能なストッパー部材Baを収容するために、リアケース70の前面側に装着されるフロントケース80と、を備え、フロントケース80は、ストッパー部材Baの上下動を許容できるように、下部が開口されている。
【0044】
リアケース70は、フロントケース80と対向する前面側の前面部71と、ドア1と対向する背面側の背面部72と、から構成されている。前面部71の下端には、水平方向に延び、後述するストッパー部材Baの第1支点として機能する当接突部73が形成され、背面部72には、ヨーク6および磁石7を装着するために、複数の装着凹部74(本実施例では、2個所)が形成され、ヨーク6および磁石7が装着された背面部72には、ドア1と対向する面に滑り止め加工が施された滑り止めシート8が貼着されている。
さらに、リアケース70は、フロントケース80と係合するために、上端部に係止突部75が形成されるとともに、下端部に下端係止部76が形成されている。
【0045】
図8図10に示すように、フロントケース80は、上部を覆う天壁81と、天壁81の両側部から垂下される一対の側壁82と、天壁81の前面側から垂下される前面壁83と、側壁82の背面側下端部から垂下され、リアケース70の下端部と接続される背面延長壁84と、を備え、側壁82および前面壁83の下端部で囲まれる側が開口されている。
【0046】
フロントケース80は、天壁81の内側に形成され、リアケース70の係止突部75と係合する係合凹部85と、係止突部75の下部に形成され、後述する弾性部材Cを構成する引っ張りコイルバネ50の上部フック51を引掛ける吊り部86と、を備えている。
また、フロントケース80の背面延長壁84は、下端部に、後述するストッパー部材Baの第2支点として機能する当接下端部84aが形成され、上端側に、リアケース70の下端係止部76と係合する係合段部87が形成されている。
【0047】
図8(b)および図9に示すように、ストッパー部材Baは、ケース本体Aaのリアケース70の前面部71に沿って上下方向に延びるスライド基体90と、スライド基体90の下端からドア1と反対側(前面側)に張り出すペダル部100と、ペダル部100の下面に装着される弾性変形可能な床面接地部105と、を備えている。
なお、実施例1では、床面接地部45は、ペダル部40のペダル部軸受け42と、床面接地部45の支持部軸受け48とが回転軸44で連結され、ペダル部40の先端から背面側に向けて揺動可能に設けられているのに対し、本実施例では、床面接地部105は、摩擦接地片106自体が弾性変形するように構成されている。
【0048】
図9および図10に示すように、スライド基体90は、両側面に形成され、後述するロック機構Daを構成する係止歯部110のガイド側壁114に案内される一対のスライド側面91と、背面側上部の両脇から突設される一対のストッパー凸部92と、弾性部材Cを構成する引っ張りコイルバネ50の下部フック52を引掛けるバネ掛け部93と、スライド基体90の上部に形成される矩形状のスリット部94と、スリット部94の内方に形成され、前面側上端から係止爪95が突設され、弾性変形可能な薄板状の爪支持板部96と、係止爪95の両脇に形成される一対のスライド片97と、を備えている。
さらに、リアケース70の前面部71には、ストッパー部材Baのスライド基体90の上端位置を規制するとともに、スライド基体90が上昇して衝突した際の衝撃を吸収する緩衝材として、材質が合成ゴムなどで形成された一対の規制片98が取り付けられている。
【0049】
実施例1では、ペダル部40は、L字状の補強金具38によってスライド基体30との接続部が破損および変形しないように補強され、足で踏むための踏み板41と、踏み板41の先端部下面から垂設されるペダル部軸受け42と、踏み板41の下面に装着されるウエイト部43と、を備えているのに対し、本実施例では、ペダル部100は、L字状の補強金具38が省略されるとともに、例えば、ポリアセタール樹脂等によりスライド基体90と一体に形成され、スライド基体90の下端から前面側に向けて突設され、足で踏む上面が前面側下方に傾斜する踏み板101と、踏み板101の下面と所定の間隔を保ち形成される接地片装着部材102と、を備えている。
本実施例では、接地片装着部材102は、踏み板101の前面側下面から垂設される間隔保持脚103と、間隔保持脚103の下端から踏み板101の下面と所定の間隔を保ち形成され、後述する床面接地部105を装着する装着板104と、を備えている。
【0050】
実施例1では、床面接地部45は、摩擦接地片46と、摩擦接地片46に内装される接地片支持部47と、接地片支持部47の正面側両脇に形成される支持部軸受け48と、を備え、ペダル部40のペダル部軸受け42と、支持部軸受け48とが回転軸44で揺動可能に連結されるとともに、板バネ49により、ペダル部40に対して所定の角度まで開くように付勢されているのに対し、本実施例では、床面接地部105は、ストッパー部材Baの下降時に、床面2と接触する摩擦接地片106と、摩擦接地片106の正面側に形成され、ペダル部100の接地片装着部材102に嵌合される嵌着部107と、摩擦接地片106の背面側から接地片装着部材102に向けて立設される変形脚部108と、を備え、床面接地部105は、ペダル部100に対して所定の範囲で弾性変形可能な、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーなどが例示されるエラストマーで形成されている。
【0051】
本実施例では、図13に示すように、床面接地部105は、弾性変形によるだけでなく、より床面2に密着させてドア1が止まるように、ペダルゴムである摩擦接地片106の接地面106aに、タイヤのトレッドのような凹凸のパターンをブロック状やストライプ状に形成している。これにより、床面2が塩化ビニル製のタイルのようにツルツルの平滑面であったり、またザラザラの粗面に加工されたタイルであったりしても、様々な床面2に対応してドア1を止まり易くしている。
【0052】
実施例1では、弾性部材Cである引っ張りコイルバネ50は、外周面を保護チューブ53によりカバーされているのに対し、本実施例では、図8および図9に示すように、引っ張りコイルバネ50は、保護チューブ53が省略され、フロントケース80の吊り部86に引掛ける上部フック51と、スライド基体90のバネ掛け部93に引掛ける下部フック52と、を備えている。
なお、本実施例では、保護チューブ53が省略されているが、引っ張りコイルバネ50は、保護チューブ53によりカバーされていても構わない。
【0053】
図8図9および図11に示すように、ロック機構Daは、ケース本体Aaのフロントケース80を構成する前面壁83の内側に沿って設けられ、上下方向に複数段の歯111が形成された係止歯部110と、前述のストッパー部材Baに設けられ、係止歯部110の歯111と係止可能な係止爪95と、により具体化されており、係止歯部110は、中段から下方に向けて係止爪95の下降時に係止可能な歯111が形成される傾斜板状の係止歯基板112と、係止歯基板112の歯111が形成された面の両脇に沿って上下方向に設けられ、ストッパー部材Baのスライド基体90に形成されるスライド片97が摺接する一対のガイドレール部113と、各ガイドレール部113の外側から前後方向に立設され、スライド基体90のスライド側面91を案内する一対のガイド側壁114と、を備えている。
なお、実施例1では、係止歯部60は、ケース本体Aの取り付け面であるリアケース10の背面部12と平行に、平板状の係止歯基板62が設けられているのに対し、本実施例では、係止歯部110は、ケース本体Aaの取り付け面であるリアケース70の背面部72に対して上方に向かうほど背面部72から離れるように、歯111が傾斜状態で係止歯基板112に設けられている。
【0054】
つぎに、本実施例の使用態様と作用効果について図面を参照しながら説明する。
図9に示すように、本実施例のドアストッパーは、ケース本体Aaのフロントケース80に、ロック機構Daの係止歯部110を取り付けた後、スライド基体90とペダル部100と床面接地部105とで組み立てたストッパー部材Baを、弾性部材Cとともにフロントケース80にセットし、前面部71に規制片98を取り付けるとともに、背面部72の装着凹部74にヨーク6および磁石7を装着したリアケース70をフロントケース80の背面側に取り付け、最後に、ケース本体Aaの背面側に滑り止めシート8を貼着して、図10(a)に示すように、完成される。
【0055】
以上のように組み立てられたドアストッパーは、図8に示すように、ドア1の内側にヨーク6および磁石7の磁力によって床面2(図12参照)から適宜の高さで着脱自在に装着することができる。
【0056】
図8で示す待機状態にある本実施例のドアストッパーは、ストッパー部材Baが弾性部材Cによってケース本体Aa内に戻す方向(上方向)に付勢され、スライド基体90の上端当接部90aがリアケース70に取り付けられた規制片98に当接することにより、ストッパー部材Baの上下方向位置が規制されている。
【0057】
同時に、ストッパー部材Baは、スライド基体90の背面側から突設された一対のストッパー凸部92がリアケース70の前面部71に当接するとともに、スライド基体90の背面側下部がリアケース70の当接突部73に近接し、ストッパー部材Baの前後方向位置が規制されている。
【0058】
つぎに、本実施例のドアストッパーの使用方法について以下に説明する。
まず、ドア1を所望の開度で静止するには、図8(b)で示す待機状態にあるドアストッパーが取り付けられたドア1を外側に向けて開き、ドア1を静止したい位置で、ストッパー部材Baのペダル部100の踏み板101を足で踏むと、ストッパー部材Baは、弾性部材Cによるケース本体Aaに戻す方向(上方向)への付勢に抗して下降を開始する。この際に、ペダル部100の踏み板101が前面側下方に傾斜して形成されているため、ストッパー部材Baのスライド基体90は、下部が背面側寄りに引き下げられて、リアケース70の当接突部73に当接するとともに、上部が前面側に傾斜し、一対のスライド片97がロック機構Daの係止歯基板112の両側に設けられたガイドレール部113に摺接しながら下降する。
【0059】
ストッパー部材Baのスライド基体90が下降を開始した時点では、スライド基体90の係止爪95は、係止歯部110の歯111が形成されていない部分と対向しているため、ロック機構Daは、機能しないが、ペダル部100の踏み板101をさらに踏み込んで、ストッパー部材Baのスライド基体90が下降すると、図12(a)に示すように、係止爪95は、ロック機構Daの係止歯部110に形成された上限の歯111と係止すると、ストッパー部材Baの下降だけが許容されるため、ロック機構Daが有効になり、ペダル部100の踏み板101から足を離してもストッパー部材Baの下降状態を維持することができる。
【0060】
このように、本実施例のドアストッパーは、ストッパー部材Baのペダル部100を踏んで、係止爪95がロック機構Daの係止歯部110に形成された上限の歯111と係止するまで下降させないと、ロック機構Daが有効に働かないので、ドアストッパーをドア1に取り付ける際は、図12(a)に示す位置より床面2からの高さが高くなるようにする必要がある。
【0061】
ロック機構Daが有効になった後、ペダル部100を踏み続けると、係止爪95は、係止歯部110の上限の歯111から下方に向けて順次係止するとともに、ストッパー部材Baの床面接地部105は、背面側が先に床面2に接触するが、図12(a)に示すように、床面接地部105は、変形脚部108の変形により、ペダル部100に対して前面側よりも背面側が大きく弾性変形し、摩擦接地片106の接地面106a全体が床面2に接触することで、床面接地部105の床面2に対する摩擦力が高まる。
【0062】
このように、ストッパー部材Baは、ペダル部100が踏まれて床面接地部105の摩擦接地片106の接地面106aが床面2に接触すると、ドアクローザーによって内側に閉じるドア1によりドア面側がドア1の閉方向に押圧される。ドア面側がドア1に押圧されるとともに、床面接地部105が弾性変形することで、ストッパー部材Baは、ケース本体Aaの遊間内でドア1の概ね開閉方向に傾斜して、ドア1とともに静止する。
ストッパー部材Baの傾斜は、上部がドア1と反対側(ドア1が閉まる方向)に傾斜し、下部がドア側(ドア1が開く方向)に傾斜する。ドア1の押圧によりストッパー部材Baの上部がドア1と反対側に傾斜するので、係止歯部110の側へ突設した係止爪95は、係止歯部110の歯111に押し当てられ、係止爪95と係止歯部110とは強く係止し、外れにくくなる。係止爪95と係止歯部110とが外れにくくなるので、強固にドア1を静止させることができる。
【0063】
つぎに、ドア1を再び閉じるには、図12(a)で示す静止状態から、ドア1を僅かに開ける方向(外側)に押すと、図12(b)に示すように、ストッパー部材Baは、床面接地部105が床面2に接触したまま、スライド基体90の上部が前面側に傾斜した状態から直立した状態に戻り、ストッパー凸部92がリアケース70の前面部71に当接することで、係止爪95は、係止歯部110の歯111との係止が外れ、ストッパー部材Baは、ロック機構Daによる下降状態がリリース(解除)される。
【0064】
すると、ストッパー部材Baは、弾性部材Cの付勢によりケース本体Aaに向けて引き上げられ、スライド基体90の上端当接部90aがリアケース70に取り付けられた規制片98に衝撃を吸収しながら当接し、図8(b)に示す待機状態に戻されるので、ドアクローザーによりドア1を再び閉じることができる。
【0065】
このように、本実施例のドアストッパーは、ストッパー部材Baのペダル部100に装着される床面接地部105を弾性変形可能に形成することにより、ペダル部100の構造を実施例1のドアストッパーよりも簡略化することができる。
また、ロック機構Daを構成する係止歯部110は、リアケース70の背面部72に対して上方に向かうほど背面部72から離れるように、歯111が傾斜状態で係止歯基板112に設けられているため、ストッパー部材Baは、係止爪95による係止歯部110の歯111との係止が一旦外れると、弾性部材Cの付勢による上昇に連れて、係止歯部110の歯111との水平距離が広がり、確実に待機状態に戻ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のドアストッパーは、ペダル部を踏んでストッパー部材を下降すると、弾性部材の付勢に抗してストッパー部材の下降状態をロック機構により維持し、ストッパー部材の下端部が床面に接触することで閉まるドアを静止することができるとともに、ドアを僅かに開ける方向に押すと、ロック機構による下降状態をリリースし、ストッパー部材を弾性部材の付勢により元の状態に収容し、ドアを閉じることができ、とくに、既存のドアに後付けするドアストッパーとして好適である。
【符号の説明】
【0067】
A、Aa ケース本体
B、Ba ストッパー部材
C 弾性部材
D、Da ロック機構
1 ドア
2 床面
5 磁石シート
6 ヨーク
7 磁石
8 滑り止めシート
10、70 リアケース
11、71 前面部
12、72 背面部
13、73 当接突部(第1支点)
14、25、74 装着凹部
20、80 フロントケース
21、81 天壁
22、82 側壁
23、83 前面壁
24、84 背面延長壁
24a、84a 当接下端部(第2支点)
26、86 吊り部
27 ガイド部
28 係止歯基板取り付け部
29 規制枠
30、90 スライド基体
30a、90a 上端当接部
31、91 スライド側面
32、92 ストッパー凸部
33、93 バネ掛け部
34、94 スリット部
35、95 係止爪
36、96 爪支持板部
37、97 スライド片
38 補強金具
40、100 ペダル部
41、101 踏み板
42 ペダル部軸受け
43 ウエイト部
44 回転軸
45、105 床面接地部(下端部)
46、106 摩擦接地片(ペダルゴム)
47 接地片支持部
48 支持部軸受け
49 板バネ
50 引っ張りコイルバネ
51 上部フック
52 下部フック
53 保護チューブ
60、110 係止歯部
61、111 歯
62、112 係止歯基板
63、113 ガイドレール部
75 係止突部
76 下端係止部
85 係合凹部
87 係合段部
98 規制片
102 接地片装着部材
103 間隔保持脚
104 装着板
106a 接地面
107 嵌着部
108 変形脚部
114 ガイド側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13