(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080657
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】音響トランスデューサユニット
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20240606BHJP
H04R 1/24 20060101ALI20240606BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20240606BHJP
H04R 1/06 20060101ALI20240606BHJP
H04R 23/02 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H04R1/02 101Z
H04R1/24 Z
H04R1/10 104Z
H04R1/06 310
H04R23/02
H04R1/10 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023200875
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】10 2022 132 092.8
(32)【優先日】2022-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2022 134 731.1
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2023 104 023.5
(32)【優先日】2023-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518063492
【氏名又は名称】ユーサウンド ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】USOUND GMBH
【住所又は居所原語表記】Kratkystrasse 2, 8020 Graz (AT)
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ルスコーニ クレリチ ベルトラミ
(72)【発明者】
【氏名】フェルッチオ ボトーニ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ スポトル
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ノボトニー
【テーマコード(参考)】
5D005
5D017
5D018
5D021
【Fターム(参考)】
5D005BA02
5D005BA06
5D005BA12
5D005BA13
5D017AD40
5D017AH03
5D017AH06
5D018AB15
5D021EE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動電型音響トランスデューサおよびMEMS音響トランスデューサからなる小型の音響トランスデューサユニットを提供する。
【解決手段】インイヤー型ヘッドフォン用の音響トランスデューサユニット(1)は、メンブレン孔のある第1メンブレン(10)を有する動電型音響トランスデューサ/ウーファー(2)と、第2メンブレンを有するMEMS音響トランスデューサー/ツィータ(3)と、動電型音響トランスデューサ/ウーファー(2)の第1の後部容積(68)を少なくとも1つの回路基板フィードスルー(59)で開放し、MEMS音響トランスデューサ/ツィータ(3)の第2の後部容積(69)を閉鎖する回路基板(58)と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくはメンブレン孔(42)のある第1メンブレン(10)を有する動電型音響トランスデューサ(2)と、第2メンブレン(30)を有する少なくとも1つのMEMS音響トランスデューサ(3)とを備える、特にインイヤー型ヘッドフォン用の音響トランスデューサユニット(1)であって、前記動電型音響トランスデューサ(2)の第1の後部容積(68)を開放する、および/または、前記MEMS音響トランスデューサ(3)の第2の後部容積(69)を閉鎖するよう構成される回路基板(58)を備えることを特徴とする、音響トランスデューサユニット。
【請求項2】
前記回路基板(58)は、前記音響トランスデューサユニット(1)における前記第1メンブレンおよび/または前記第2メンブレンと面していない側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項3】
前記回路基板(58)は、前記第1の後部容積(68)を開放するような少なくとも1つの回路基板フィードスルー(59)を有し、前記少なくとも1つの回路基板フィードスルー(59)は、前記第1の後部容積(68)の領域に好ましくは配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項4】
前記回路基板(58)は、少なくとも1つの接続部(67)を有し、前記少なくとも1つの接続部(67)は、可撓性の接続部分、および/または、プラグとして好ましくは構成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項5】
前記MEMS音響トランスデューサ(3)は、前記第2メンブレン(30)によって生成され得る音波が、前記メンブレン孔(42)を通じて前記音響トランスデューサユニット(1)から発せられることができるように、前記動電型音響トランスデューサ(2)に内蔵されることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項6】
前記動電型音響トランスデューサ(2)は、少なくとも1つの前記MEMS音響トランスデューサ(3)の周囲に配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項7】
前記第1メンブレン(10)は、環状であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項8】
前記動電型音響トランスデューサ(2)は、環状であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項9】
前記MEMS音響トランスデューサ(3)は、円環体のスルーホール内に配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項10】
前記音響トランスデューサユニット(1)は、前記MEMS音響トランスデューサ(3)、および/または、電子機器ユニット(18)が配置されるトランスデューサキャビティ(41)を有し、前記トランスデューサキャビティ(41)は、好ましくは、環状の前記動電型音響トランスデューサのスルーホールによって少なくとも一部形成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項11】
前記トランスデューサキャビティ(41)は、前記動電型音響トランスデューサ(2)のマグネットユニット(52)、特にマグネット(7)に囲まれている、および/または、前記MEMS音響トランスデューサ(3)および/または前記電子機器ユニット(18)は、前記音響トランスデューサユニット(1)の軸方向において、前記マグネットユニット(52)、特に前記マグネット(7)の高さに配置されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項12】
前記音響トランスデューサユニット(1)の軸方向(21)において、前記MEMS音響トランスデューサ(3)、前記電子機器ユニット(18)、および/または、ホルダ(15)は、前記動電型音響トランスデューサ(2)のマグネットユニット(52)、特にマグネット(7)、前記動電型音響トランスデューサ(2)のコイル(8)、および/または、前記音響トランスデューサユニット(1)のトランスデューサハウジング(4)と重なり合う領域を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項13】
前記MEMS音響トランスデューサ(3)は、前記音響トランスデューサユニット(1)の前記ホルダ(15)、および/または、前記動電型音響トランスデューサ(2)の前記マグネットユニット(52)に配置される、および/または、前記ホルダ(15)および/または前記マグネットユニット(52)との接触面を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項14】
前記電子機器ユニット(18)は、前記MEMS音響トランスデューサ(3)のMEMSキャビティ(54)に隣接する電子機器フィードスルー(19)を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項15】
前記動電型音響トランスデューサ(2)の音伝搬軸と、前記MEMS音響トランスデューサ(3)の音伝搬軸とは、特に前記音響トランスデューサユニット(1)の軸方向において同軸に配置されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項16】
前記音響トランスデューサユニット(1)は、前記動電型音響トランスデューサ(2)および/または前記MEMS音響トランスデューサ(3)によって生成され得る少なくとも音波および/または環境ノイズを検出することができる少なくとも1つのマイクロフォン(62)を有することを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の音響トランスデューサユニット。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の音響トランスデューサユニット(1)を備える電子機器、特に、インイヤー型ヘッドフォン(34)。
【請求項18】
前記電子機器は、出口(43)を有することを特徴とする、請求項17に記載の電子機器。
【請求項19】
特に請求項17または18に記載の電子機器における、請求項1~16のいずれか一項に従い特に構成された音響トランスデューサユニット(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、インイヤー型(in-ear)ヘッドフォン用の音響トランスデューサユニットに関し、メンブレン孔のある第1メンブレンを有する動電型音響トランスデューサと、第2メンブレンを有する少なくとも1つのMEMS音響トランスデューサとを備える音響トランスデューサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開公報第2022/121740号明細書は、動電型音響トランスデューサとMEMS音響トランスデューサとを備える音響トランスデューサユニットを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、動電型音響トランスデューサおよびMEMS音響トランスデューサからなる小型の音響トランスデューサユニットを作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、独立項に記載の音響トランスデューサユニット、電子機器ユニット、音響トランスデューサユニットの使用によって達成される。
【0005】
本発明は、特にインイヤー型ヘッドフォンまたはオンイヤー型(on-ear)ヘッドホン用の音響トランスデューサユニットであって、メンブレン孔のある第1メンブレンを有する動電型音響トランスデューサと、第2メンブレンを有する少なくとも1つのMEMS音響トランスデューサとを備える音響トランスデューサユニットを提案する。音響トランスデューサユニットは、他の電子機器にも使用することができる。電子機器は、上記のインイヤー型ヘッドフォンだけでなく、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、スマートウォッチなどでもよい。
【0006】
音響トランスデューサユニットが、動電型音響トランスデューサの第1の後部容積を開放する、および/または、開放したままにするよう構成された回路基板をさらに備えるとさらに有利である。この場合、回路基板が第1の後部容積を開放したままにする、および/または、第1の後部容積が開放されているということは、第1の後部容積が音響トランスデューサユニットの周囲と連通していることを意味する。その結果、空気は、例えば、第1の後部容積と周囲との間を流れることができる。プリント回路基板は、例えば、第1の後部容積が音響トランスデューサユニットの周囲と連通することができるような少なくとも1つの開口、および/または、少なくとも1つの回路基板フィードスルーを有する。その結果、少なくとも1つの開口、および/または、少なくとも1つの回路基板フィードスルーによって、周囲との圧力が均一になる。さらに、または、あるいは、動電型音響トランスデューサによって形成される音波は、少なくとも1つの開口、および/または、少なくとも1つの回路基板フィードスルーを通じて音響トランスデューサユニットの周囲に入ることができる。これによって、特に、動電型音響トランスデューサの音質が向上する。さらに、または、あるいは、プリント回路基板は、MEMS音響トランスデューサの第2の後部容積を閉鎖するよう構成される。これによって、音響トランスデューサ同士が互いの後部容積において重なり合うまたは影響し合う、特に干渉し合うのを防ぐことができる。動電型音響トランスデューサの音波は、回路基板の向こう側の領域に入ることができるが、MEMS音響トランスデューサの音波は、阻止される。
【0007】
回路基板が、音響トランスデューサユニットにおける第1メンブレンおよび/または第2メンブレンと面していない側に配置されると有利である。よって、回路基板は、音響トランスデューサユニットの後部および/または底部に配置される。その場合、メンブレンは、音響トランスデューサユニットの前部および/または上部に配置される。
【0008】
回路基板が少なくとも1つの回路基板フィードスルーを有し、回路基板フィードスルーは、第1の後部容積が開放されるように第1の後部容積に配置されると有利である。したがって、少なくとも1つの回路基板フィードスルーによって第1の後部容積を開放したままにすることができる。そして、少なくとも1つの回路基板フィードスルーは、第1の後部容積と周囲とを連通させる。
【0009】
プリント回路基板が少なくとも1つの接続部を有すると有利である。この少なくとも1つの接続部を介して、電気信号、および/または、電源を、音響トランスデューサユニットに送ることができる。少なくとも1つの接続部は、可撓性の接続部分として構成され得る。接続部は、例えば、フレキシブルプリント回路基板として構成され得る。よって、接続部は、異なる方向からでも接続できるよう、回転させることができる。さらに、または、あるいは、少なくとも1つの接続部は、プラグとして構成されてもよい。例えば、プラグと可撓性の接続部分とが配置されてもよい。例えば、プラグを通じて電源が供給され、可撓性接続部分を通じて電気信号が送られてよい。
【0010】
MEMS音響トランスデューサは、第2メンブレンによって生成された音波がメンブレン孔を通じて音響トランスデューサユニットから出ることができるように、動電型音響トランスデューサに都合よく内蔵される。このようにして、音響トランスデューサユニットは、小型化できる。メンブレン孔は、MEMS音響トランスデューサの音波が極力妨害されずに高音質のまま出ていくことを可能にする。
【0011】
また、動電型音響トランスデューサが少なくとも1つのMEMS音響トランスデューサの周囲に配置されると有利である。それによって、動電型音響トランスデューサは、MEMS音響トランスデューサを囲むことになる。MEMS音響トランスデューサが動電型音響トランスデューサの内部に配置されるため、音響トランスデューサユニットは、小型になる。
【0012】
さらに、第1メンブレンが環状であると有利である。このようにして、動電型音響トランスデューサの第1メンブレンによって、歪みのほとんどない音波を発することができる。特に、第1メンブレンは、好ましくは円形の孔を特に中心部に有する円板形状を有する。
【0013】
動電型音響トランスデューサが環状であると有利である。その結果、動電型音響トランスデューサは、少なくともMEMS音響トランスデューサの音波が少なくとも一部導かれるスルーホールを有する。動電型音響トランスデューサは、円環形状を有してもよい。
【0014】
また、MEMS音響トランスデューサが環状の動電型音響トランスデューサのスルーホール内に配置されると有利である。その結果、MEMS音響トランスデューサが動電型音響トランスデューサの内部に配置されるので、音響トランスデューサユニットは小型になる。このように、音響トランスデューサユニットのサイズは、動電型音響トランスデューサのサイズによって予め決められる。動電型音響トランスデューサが円環形状を有する場合、MEMS音響トランスデューサは、その円環体のスルーホール内に配置されてよい。その場合、動電型音響トランスデューサも同様に円環形状であり得る。動電型音響トランスデューサは、ドーナツ形状を有してもよい。
【0015】
また、音響トランスデューサユニットは、MEMS音響トランスデューサ、および/または、電子機器ユニットが配置されるトランスデューサキャビティを有すると有利である。その場合、トランスデューサキャビティは、環状の動電型音響トランスデューサのスルーホールによって少なくとも一部が形成され得る。トランスデューサキャビティは、音響トランスデューサユニットが小型の設計を有するように、動電型音響トランスデューサの内部に配置されてよい。トランスデューサキャビティは、MEMS音響トランスデューサ、および/または、電子機器ユニットを収容するスペースとなる。
【0016】
トランスデューサキャビティが動電型音響トランスデューサのマグネットユニット、特に、マグネットによって径方向に囲まれていると有利である。マグネットユニットは、トランスデューサキャビティを直接囲んでもよい。このようにして、マグネットユニットは、トランスデューサキャビティの境界を成す。これによって、部品の追加をなくすので、音響トランスデューサユニットは、小型かつ軽量の設計を有することができる。
【0017】
さらに、または、あるいは、MEMS音響トランスデューサ、および/または、電子機器ユニットが、音響トランスデューサユニットの軸方向において、マグネットユニット、特にマグネットの高さに配置されると有利である。よって、マグネットユニット、特にマグネットは、MEMS音響トランスデューサ、および/または、電子機器ユニットの周囲で径方向に延びる。よって、マグネットユニット、特にマグネットと、MEMS音響トランスデューサおよび/または電子機器ユニットとは、音響トランスデューサユニットの軸方向において、少なくとも部分的に、特に完全に重なり合う。
【0018】
音響トランスデューサユニットの軸方向において、MEMS音響トランスデューサ、電子機器ユニット、および/または、ホルダが、動電型音響トランスデューサのマグネットユニット、特にマグネット、動電型音響トランスデューサのコイル、および/または、音響トランスデューサユニットのトランスデューサハウジングと重なり合う領域を有すると有利である。MEMS音響トランスデューサ、および、マグネットユニット、特にマグネットは、例えば、軸方向に重なり合う。よって、マグネットユニット、特にマグネットは、MEMS音響トランスデューサを囲み、軸方向の少なくとも1つの部分で重なり合う。
【0019】
MEMS音響トランスデューサが、音響トランスデューサユニットのホルダ、および/または、動電型音響トランスデューサのマグネットユニット、特に第1極部材に配置されると有利である。さらに、または、あるいは、MEMS音響トランスデューサ、および、ホルダ、および/または、マグネットユニット、特に第1極部材が接触面を有し得ると有利である。MEMS音響トランスデューサは、好ましくは、ホルダ、および/または、マグネットユニット、特に、第1極部材に接続される。例えば、MEMS音響トランスデューサは、ホルダ、および/または、マグネットユニット、特に第1極部材に接着剤で接着される。この場合、接触面は、少なくとも部分的に接着剤表面になり得る。
【0020】
電子機器ユニットが、MEMS音響トランスデューサのMEMSキャビティと接続する電子機器フィードスルーを有すると有利である。電子機器フィードスルーは、第2メンブレンが動作している間に圧力を均一にするために用いられる。電子機器フィードスルーを用いることにより、MEMS音響トランスデューサまたはインイヤー型ヘッドフォンの後部容積との接続がなされ得る、または、後部容積が形成され得る。
【0021】
さらに、動電型音響トランスデューサの音伝搬軸と、MEMS音響トランスデューサの音伝搬軸とが、特に、音響トランスデューサユニットの軸方向において同軸に配置されると有利である。
【0022】
音響トランスデューサユニットが少なくとも1つのマイクロフォンを有していると有利である。このマイクロフォンは、動電型音響トランスデューサによって生成され得る少なくとも音波および/または環境ノイズを検出することができる。さらに、または、あるいは、MEMS音響トランスデューサによって生成される音波も検出することができる。動電型音響トランスデューサ、および/または、MEMS音響トランスデューサの音波を検出することにより、MEMS音響トランスデューサが正確に機能しているか否か、および/または、音波が高音質か否かをモニタすることができる。さらに、または、あるいは、環境ノイズが記録された場合、アクティブノイズキャンセリングを行うことができる。環境ノイズをキャンセルして抑制する抗音(anti-sound)が生成される。この場合、抗音は、検出後に動電型音響トランスデューサ、および/または、MEMS音響トランスデューサによって生成されてよい。
【0023】
また、本発明は、特に、インイヤー型ヘッドフォン用の音響トランスデューサユニットであって、第1メンブレンを有する動電型音響トランスデューサと、第2メンブレンを有する少なくとも1つのMEMS音響トランスデューサとを備える音響トランスデューサユニットを提案する。音響トランスデューサユニットは、前述の、および/または、後述の少なくとも1つの特徴を有し得る。
【0024】
本発明は、前述および/または後述の音響トランスデューサユニットを有する電子機器、特にインイヤー型ヘッドフォンを提案する。前述の特徴は、個別に、または、いかなる組み合わせで存在してよい。電子機器は、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどでもよい。
【0025】
電子機器が出口を有すると有利である。音波は、この出口を通じて電子機器から出ることができる。
【0026】
本発明は、音響トランスデューサユニットの電子機器での使用を提案する。音響トランスデューサユニット、および/または、電子機器は、前述の説明にしたがって有利に構成される。前述の特徴は、個別にまたは組み合わせて存在してよい。
【0027】
音響トランスデューサユニットは、例えば、インイヤー型ヘッドフォン、または、インイヤー型電話(in-ear telephone)用のウーファー、ツィーター、および、電子機器ユニットを備え得る。ウーファーは、好ましくはその中心に、開かれた空間、および/または、スルーホール、および/または、トランスデューサキャビティを有するドーナツ形状を有し得る。この空間にMEMSツィーターが配置される。
【0028】
電子機器ユニットは、ツィーターの真下に装着されてよく、ツィーターに必要なオーディオ信号の増幅を行う。
【0029】
少なくとも1つのマイクロフォン(アクティブノイズキャンセリング用)が、フレキシブル基板またはプリント回路基板として配置されてよい。この場合、音響トランスデューサユニットは、少なくとも1つのマイクロフォンを有する。マイクロフォンは、動電型音響トランスデューサによって生成された音波を検出できるよう、動電型音響トランスデューサに割り当てられてよい。これによって、音質をモニタすることができる。さらに、または、あるいは、マイクロフォンを用いて環境ノイズを記録することもできる。このような環境ノイズから、動電型音響トランスデューサ、および/または、MEMS音響トランスデューサによって生成され得る抗音が形成でき、環境ノイズを抑制するようキャンセルできるようになる。
【0030】
電気的制御に関する主な応用例の1つに、TWSヘッドフォン(完全ワイヤレスヘッドフォン)または電子機器において電気的なオーディオソースとして機能することになるブルートゥース(登録商標)チップがある。これは、典型的な動電型ヘッドフォンスピーカー用の増幅器を含む。増幅された信号を動電型ウーファーに用い、MEMSツィーターを追加するために、信号は、周波数スイッチを介して送られてよい。周波数スイッチは、信号をウーファー用の低周波信号と、ツィーター用の高周波信号とに分割する。低周波信号は、動電型ウーファーに直接送られ得る。高周波信号は、ツィーターの増幅器に送られる。ツィーターの信号は増幅され、MEMSツィーターを作動するために用いられる。
【0031】
MEMSツィーターに追加の増幅が必要なのは、以下の理由による。第1には、動電型スピーカー用の標準的な増幅器を用いると、MEMSは、問題を引き起こしかねない異なる電気的負荷を示す。第2には、MEMSツィーターに必要とされる電圧レベルは、動電型ウーファーの電圧レベルのおよそ10倍も高い。
【0032】
動電型ウーファーとMEMSツィーターとの組み合わせは、インイヤー型ヘッドフォンまたは電話用、または、電子機器用にコアキシャル型に設計される。
【0033】
「ドーナツ形状」の動電型ウーファーと、その中心に一体化されたMEMSツィーターとにより、インイヤー型ヘッドフォン用、インイヤー型電話用、または、電子機器用のコアキシャルスピーカーを形成する。
【0034】
環状のマグネットを有する動電型ウーファーと、その中心に一体化されたMEMSツィーターとにより、インイヤー型ヘッドフォン用、電話用、または、電子機器用のコアキシャルラウドスピーカーを形成する。「ドーナツ形状」の動電型ウーファーは、その中心にMEMSツィーターが一体化されており、制御電子装置を有するプリント回路基板を含み、インイヤー型ヘッドフォン用、電話用、または、電子機器用のコアキシャルラウドスピーカーを形成する。
【0035】
音響トランスデューサユニットは、「ドーナツ形状」の動電型ウーファーと、その中心に一体化されたMEMSツィーターと、制御電子装置を有するプリント回路基板と、マイクロフォン、特にフィードバックマイクロフォンとを有し、インイヤー型ヘッドフォン用、電話用、または、電子機器用のコアキシャルラウドスピーカーを形成する。
【0036】
-(MEMS)ツィーターを、「ドーナツ形状」の動電型ウーファーに背面から挿入する。
背面での単純な電気接続を可能にする。
-プリント回路基板を制御電子装置と共にコアキシャルインイヤー型ヘッドフォンまたは電子機器の音響トランスデューサユニットに組み込む。
-MEMSツィーターおよびプリント回路基板を電子機器ユニットと共に動電型ウーファー内に組み込む。
-(MEMS)ツィーターをプリント回路基板および電子機器ユニットと共に動電型ウーファーに背面から組み込む。
背面での単純な電気接続を可能にする。
-動電型ウーファー用の環状マグネットを、ラウドスピーカーモジュールの中心部の空きスペースにMEMSツィーターを内蔵したものと組み合わせる。
-ホルダは、ウーファーメンブレンおよびMEMSツィーターの内側リングの装着箇所、および、内側メンブレン支持部、という2つの機能を兼ね備える。
-ホルダは、音響トランスデューサユニットの中心にあり、ウーファーメンブレンおよびMEMSツィーターの内側リング、および、内側メンブレン支持部、という2つの機能を兼ね備える。
これによって、ツィーターの音の経路とウーファーメンブレンとが別々に最適化されることが可能になる。これは、効率的なアセンブリ方法でもある。
-回路は、すでに増幅されているフルスペクトル信号からツィーター信号を分離する。
-増幅された信号を動電型スピーカーに用い、MEMSツィーター用に別の増幅器を用いることによって2系統の経路を構築する。
-増幅された信号用に受動型周波数スイッチを用い、信号をまずウーファーに送り、次に、他のツィーター専用増幅器に送る。
-動電型ラウドスピーカーおよびMEMSラウドスピーカーを備えるオーディオモジュールは、すでに増幅されたオーディオ信号を受信し、MEMSラウドスピーカーの信号用に後段に追加された増幅器に加え、周波数スイッチとして機能する。
【0037】
本発明のさらなる利点は、以下の実施形態に記載され、それらは以下の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】動電型音響トランスデューサとMEMS音響トランスデューサとを備える音響トランスデューサユニットの断面図。
【
図3】ヘッドフォンハウジング内に音響トランスデューサユニットを有するインイヤー型ヘッドフォンの断面図。
【
図5】電子機器ユニットの少なくとも一部を示すブロック図。
【
図6】MEMS音響トランスデューサを伴う動電型音響トランスデューサの断面図。
【
図8】回路基板を備えた音響トランスデューサユニットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、動電型音響トランスデューサ2とMEMS音響トランスデューサ3とを備える音響トランスデューサユニット1を示す。音響トランスデューサユニット1は、例えば、インイヤー型ヘッドフォン34に用いられることができる。このようなインイヤー型ヘッドフォン34は、例えば、電話をするなどのコミュニケーションをとるための、または、音楽を聴くための補聴器として取り付けられて用いられる。
図3に示すように、インイヤー型ヘッドフォン34は、少なくとも一部が耳の耳道に挿入されることができる。音響トランスデューサユニット1は、スマートフォン、または、他の電子機器にも用いられることができる。
図3に示すインイヤー型ヘッドフォン34は、電子機器の1つの例である。また、音響トランスデューサユニット1は、オンイヤー型ヘッドフォン、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、スマートウォッチなどにも用いられることができる。
【0040】
音響トランスデューサユニット1は、軸方向21と、径方向22とを有する。
【0041】
音響トランスデューサユニット1は、トランスデューサハウジング4を有する。動電型音響トランスデューサ2、および/または、MEMS音響トランスデューサ3は、少なくとも部分的にトランスデューサハウジング4内に配置されている。この場合、動電型音響トランスデューサ2は、ウーファーとも称され得る。なぜなら、本音響トランスデューサユニット1において、動電型音響トランスデューサ2またはウーファーは、主に低周波音を生成するために設けられているからである。このような低周波音は、例えば、約20Hzから1000Hzまでの周波数を有する。よって、本音響トランスデューサユニット1において、動電型音響トランスデューサ2は、ウーファーとして機能する。他方で、本音響トランスデューサユニット1における少なくとも1つのMEMS音響トランスデューサ3は、ツィーターと称され得る。MEMS音響トランスデューサ3は、音響トランスデューサユニット1において、特に、動電型音響トランスデューサ2またはウーファーの周波数より高い周波数の音を生成する。例えば、MEMS音響トランスデューサ3は、およそ500Hzから20kHzまでの周波数の音を生成する。本明細書では、したがって、動電型音響トランスデューサ2は、ウーファーと称されてもよい。本明細書では、MEMS音響トランスデューサ3は、ツィーターと称されてもよい。
【0042】
MEMS音響トランスデューサ3の詳細は、
図2に示されている。
【0043】
動電型音響トランスデューサ2またはウーファー2は、少なくとも1つの極部材5および6を有する。本例示的実施形態によれば、ウーファー2は、第1極部材5、および、第2極部材6を有する。2つの極部材5および6の間には、好ましくは永久磁石であるマグネット7が配置されている。マグネット7は、磁界を生成し、2つの極部材5および6は、マグネット7の磁束を誘導する、および/または、束ねる。少なくとも1つの極部材5および6と、マグネット7とによってマグネットユニット52が形成される。マグネットユニット52、特に少なくとも1つの極部材5および6、および/または、マグネット7は、環状であり得る。
【0044】
動電型音響トランスデューサ2とMEMS音響トランスデューサ3とは、同軸に配置されている。動電型音響トランスデューサ2およびMEMS音響トランスデューサ3の音伝搬方向も同軸であってよい。
図1では、動電型音響トランスデューサ2およびMEMS音響トランスデューサ3の音は、この場合、軸方向21である上方に発せられる。よって、対応する音伝搬方向も、この場合、軸方向21である上方に向いている。
【0045】
図に示された2つの極部材5および6は、音響トランスデューサユニット1の軸方向21に対して互いから距離を置いて配置されている。さらに、または、あるいは、2つの極部材5および6は、音響トランスデューサユニット1の径方向22において互いから距離を置いて配置されている。径方向22において互いから距離を置いて配置された2つの極部材5および6の間には、マグネットギャップ14がさらに配置されている。さらに、または、あるいは、マグネットギャップ14は、第1極部材5とマグネット7との間に、径方向22に配置されている。このマグネットギャップ14には、ウーファー2のコイル8が配置されている。コイル8は、マグネットギャップ14内に突出する。電気信号がコイル8に印加されることによってコイル8に電流が流れる。動電型音響トランスデューサ2がラウドスピーカーとして動作する場合、電気信号は、動電型音響トランスデューサ2またはウーファー2によって生成された音に対応する。同様に、コイル8内で電気信号によって生成された電流も、マグネット7および/または極部材5および6の磁界と協働する磁界に至る。マグネット7および/または極部材5および6が固定されているのでコイル8が動く。
【0046】
コイル8の動きがメンブレンユニット9に伝わり、メンブレンユニット9は、メンブレンユニット9の上にある空気をコイル8の動きにしたがって振動させる。
その結果、メンブレンユニット9は、音を生成する。
【0047】
音を生成するために、メンブレンユニット9は、連結ユニット11によってコイル8に接続された第1メンブレン10を有し、その結果、コイル8の動きが第1メンブレン10に伝えられ得る。動電型音響トランスデューサ2は、主に低周波音を生成するために用いられるので、第1メンブレン10は、ウーファーメンブレンとも称され得る。メンブレンユニット9は、内側メンブレンキャリア12と、外側メンブレンキャリア13とをさらに有する。内側メンブレンキャリア12は、径方向22内側に配置され、外側メンブレンキャリア13は、径方向22外側に配置される。第1メンブレン10は、2つのメンブレンキャリア12および13の間に装着される。よって、第1メンブレン10、および/または、メンブレンユニット9は、穴の空いた円板形状を有する。メンブレンユニット9、および/または、第1メンブレン10は、中心領域、特に、第1メンブレン10および/またはメンブレンユニット9の中心に設けられたメンブレン孔42を有する。さらに、内側メンブレンキャリア12は、メンブレン孔42を囲む。内側メンブレンキャリア12、および/または、外側メンブレンキャリア13は、環状であってよい。その結果、第1メンブレン10は、中心領域に円形の孔を有する円形状を有する。外側メンブレンキャリア13は、トランスデューサハウジング4の上に配置される。内側メンブレンキャリア12は、ホルダ15の上に配置される。第1メンブレン10またはメンブレンユニット9は、環状であり得る。
【0048】
音響トランスデューサユニット1は、MEMS音響トランスデューサ3が配置されるトランスデューサキャビティ41をさらに有する。ウーファー2もトランスデューサキャビティ41を有してよい。トランスデューサキャビティ41は、MEMS音響トランスデューサ3を省いた
図4によりよく示されている。よって、ウーファー2は、MEMS音響トランスデューサ3の周囲に延在する。MEMS音響トランスデューサ3は、動電型音響トランスデューサ2の中に配置される。MEMS音響トランスデューサ3は、動電型音響トランスデューサ2の中心に配置される。動電型音響トランスデューサ2は、MEMS音響トランスデューサ3を囲む。これによって、音響トランスデューサユニット1の非常に小型な設計が成り立つ。
【0049】
本例示的実施形態によれば、第1極部材5、および/または、マグネット7、または、マグネットユニット52は、トランスデューサキャビティ41を囲む。トランスデューサキャビティ41は、第1極部材5、および/または、マグネット7、または、マグネットユニット52内に配置される。
【0050】
本例示的実施形態によれば、少なくともMEMS音響トランスデューサ3およびマグネットユニット52、特にマグネット7および/または第1極部材5は、音響トランスデューサユニット1の軸方向21において同じ高さに配置される。MEMS音響トランスデューサ3およびマグネットユニット52、特にマグネット7は、軸方向21において重なり合う領域を有する。よって、MEMS音響トランスデューサ3およびマグネットユニット52、特にマグネット7は、軸方向21において重なり合う。
【0051】
図1にさらに示すように、MEMS音響トランスデューサ3と動電型音響トランスデューサ2とは、同軸に配置される。動電型音響トランスデューサ2は、MEMS音響トランスデューサ2の周りに径方向22に配置される。
【0052】
動電型音響トランスデューサ2、特に、マグネットユニット52は、さらに、円環形状を有する、または、円環体と同様である。あるいは、動電型音響トランスデューサ2は、特にマグネットユニット52は、環形状を有する。動電型音響トランスデューサ2は、音響トランスデューサユニット1の外層を成し、MEMS音響トランスデューサ3は、コアを成す。動電型音響トランスデューサ2は、ドーナツ形状を有する。以下に説明するメンブレン孔42、および/または、トランスデューサキャビティ41、および/または、音キャビティ17は、円環体またはドーナツまたは動電型音響トランスデューサ2の開口部またはスルーホールを形成する。メンブレン孔42は、
図4によりよく示されている。音キャビティ17は、音質に影響を与えるので、好ましくはできるだけ小さく形成されるか、または、省かれる。
【0053】
音響トランスデューサユニット1は、さらに、ホルダ15を備える。本例示的実施形態によれば、ホルダ15は、第1極部材5またはマグネットユニット52の上に配置または載置される。ホルダ15の上に、内側メンブレンキャリア12がさらに配置される。よって、ホルダ15は、内側メンブレンキャリア12と第1極部材5とを接続する。ホルダ15は、内側メンブレンキャリア12を支持する。MEMS音響トランスデューサ3は、さらに、内側メンブレンキャリア12、および/または、第1極部材5に少なくとも一部が配置される。MEMS音響トランスデューサ3、第1極部材5、および/または、内側メンブレンキャリア12は、ホルダ15に配置され得る。ホルダ15は、好ましくはプラスチック製である。
【0054】
しかしながら、ウーファー2およびツィーター3は、好ましくは同軸に配置される。
【0055】
さらに、音キャビティ17が設けられてよい。音キャビティ17もツィーター3の前部容積を少なくとも部分的に形成し得る。
【0056】
音響トランスデューサユニット1は、音響トランスデューサユニット1の動作を可能にする電子機器ユニット18をさらに備える。電子機器ユニット18は、音を生成するためにオーディオ信号を送るブルートゥースチップ49を有する。しかしながら、ブルートゥースチップ49は、電子機器ユニット18の外側に、例えば、外部ユニットに配置されてもよい。電子機器ユニット18は、周波数スイッチ50をさらに有し得る。周波数スイッチ50は、特にブルートゥースチップ49に接続され、オーディオ信号を、動電型音響トランスデューサ2用の第1の信号部分と、MEMS音響トランスデューサ3用の第2の信号部分とに分割する。周波数スイッチ50は、オーディオ信号を複製する、つまり、第1の信号部分と第2の信号部分とにすることもできる。第1の信号部分は、ウーファー2に送られ、特に、増幅しなくてもよいようにすることができる。この目的のため、第1の増幅器48が設けられてよい。第1の増幅器48は、電子機器ユニット18の一部であるか、または、ブルートゥースチップ49のように、電子機器ユニット18の外側に、例えば、外部ユニットに配置される。特に、第1の増幅器48は、特に周波数スイッチ50を通過した後に動電型音響トランスデューサ2に送られ得る、すでに増幅された信号を電子機器ユニット18に供給することができる。よって、動電型音響トランスデューサ2のための信号のさらなる増幅を省くことができ、その結果、電子機器ユニット18の設計を非常に小型化することが可能になる。
【0057】
電子機器ユニット18は、第2の増幅器51、つまり、ツィーター増幅器またはMEMS増幅器を有してよく、それによって、ツィーター3用の第2の信号部分が増幅される。第2の増幅器51によって増幅された信号は、ツィーター3に送られる。
図5は、電子機器ユニット18の少なくとも一部を示すブロック図である。
【0058】
電子機器ユニット18は、好ましくは、少なくとも部分的にツィーター3の後部容積を形成する電子機器フィードスルー19を有する。また、圧力を均一化することができる。
【0059】
圧力を均一にすべく、第1極部材5は、さらに、または、あるいは、孔または穴として構成され得る少なくとも1つの極フィードスルー20を有する。図にはいくつかのフィードスルー20aおよび20bが示されている。
【0060】
図からわかるように、音響トランスデューサユニット1は、回転対称であるよう構成される。特に、動電型音響トランスデューサ2、特にマグネットユニット52、マグネット7、第1極部材5および/または第2極部材6、コイル8、メンブレンユニット9、第1メンブレン10、および/または、内側メンブレンキャリア12および/または外側メンブレンキャリア13は、円形および/または回転対称である。さらに、または、あるいは、ホルダ15は、円形および/または回転対称である。さらに、または、あるいは、連結ユニット11は、円形および/または回転対称である。さらに、または、あるいは、トランスデューサハウジング4は、円形および/または回転対称である。
【0061】
さらに、図からわかるように、MEMS音響トランスデューサ3とマグネットユニット52、特に第1極部材5との間に、第1の接触面56が配置および/または形成されている。よって、MEMS音響トランスデューサ3は、マグネットユニット52、特に第1極部材5に配置される。さらに、または、あるいは、MEMS音響トランスデューサ3とホルダ15との間に、第2の接触面57が配置および/または形成され得る。よって、MEMS音響トランスデューサ3は、ホルダ15に配置される。
【0062】
MEMS音響トランスデューサ3は、第1の接触面56および/または第2の接触面57によって、マグネットユニット52、特に第1極部材5、および/または、ホルダ15に接続され得る。第1の接触面56および/または第2の接触面57は、例えば、MEMS音響トランスデューサ3がマグネットユニット52、特に第1極部材5、および/または、ホルダ15に接着されるような接着剤表面であってよい。
【0063】
さらに、MEMS音響トランスデューサ3は、ホルダ15および/またはマグネットユニット52、特に第1極部材5における第1メンブレン10と面していない側に当接する。よって、ホルダ15、および/または、マグネットユニット52、特に第1極部材5の一方の側に第1メンブレン10が配置され、他方の側にMEMS音響トランスデューサ3が配置される。
【0064】
簡潔さのため、少なくとも1つの前出の図面ですでに述べた特徴については再度説明しないものとする。さらに、特徴は、前出の図面または後出の図面の少なくとも1つで説明されるもののみとしてもよい。またさらに、簡潔さのため、同じ特徴には同じ参照符号を用いている。また、明確さのため、以降の図面では、すべての特徴が示されない、および/または、参照符号を付されないこともある。しかしながら、前出の図面の1つ以上に示された特徴は、それらの図面、または、以降の図面の1つ以上にも存在し得る。さらにまた、明確さのため、前出の図面または以降の図面の1つ以上において、特徴のみが示されてよい、および/または、参照符号を付して示されてよい。とはいえ、以降の図面の1つ以上で特徴のみで示されたものが前出の図面ですでに示されていることはあり得る。
【0065】
図2は、MEMS音響トランスデューサ3の断面図である。ツィーター3は、キャリア基板23と、キャリア基板23に配置された少なくとも1つのキャリア層24とを有する。キャリア基板23、および/または、少なくとも1つのキャリア層24には、少なくとも1つの圧電層25が配置される。この場合のツィーター3は、2つのキャリア層24aおよび24bと、2つの圧電層25aおよび25bとを有する。少なくとも1つのキャリア層24および少なくとも1つの圧電層25とが軸方向21において他方の上に1つ配置される。
【0066】
少なくとも1つの圧電層25は、印加された電気信号にしたがって振れるので、その結果、空気が振動して音が生成される。
【0067】
ツィーター3は、少なくとも1つのスプリング部材27によって少なくとも1つの圧電層25および/またはキャリア層24に接続された連結部材26をさらに有する。連結部材26は、少なくとも1つの圧電層25の振れをMEMSメンブレンユニット29に伝えることができる。連結部材26とMEMSメンブレンユニット29との間に連結板28が配置されることにより、連結部材26によって伝えられた振れがMEMSメンブレンユニット29に平面的に伝えられる。
【0068】
MEMSメンブレンユニット29は、少なくとも1つの圧電層25の振れにしたがって音が生成されるよう空気を振動させることができる少なくとも1つの第2メンブレン30を有する。さらに、MEMSメンブレンユニット29は、第2メンブレン30が載置されるMEMSメンブレンフレーム31を有してよい。MEMSメンブレンフレーム31は、円形または角形であってよい。
【0069】
MEMS音響トランスデューサ3は、MEMSメンブレンユニット29および/またはキャリア基板23の上に配置されたカバー32をさらに有する。カバー32は、ツィーター3のキャップとなる。カバー32は、生成された音が出て行けるようなカバーフィードスルー33を有する。カバーフィードスルー33も同様に、少なくとも部分的に、特に完全に、ツィーター3の前部容積を形成する。
【0070】
MEMS音響トランスデューサ3は、MEMSキャビティ54をさらに有する。
図1に示すように、MEMS音響トランスデューサ3が音響トランスデューサユニット1に配置された場合、電子機器フィードスルー19がMEMSキャビティ54と接続する。よって、
図3からわかるように、MEMSキャビティ54は、クロージャ部キャビティ45と接触する接点を有する。その結果、電子機器フィードスルー19および/またはクロージャ部キャビティ45は、MEMS音響トランスデューサ3の後部容積を形成する。
【0071】
MEMS音響トランスデューサ3は、MEMSプリント回路基板60をさらに有する。このMEMSプリント回路基板60は、MEMS音響トランスデューサ3に割り当てられている。MEMSプリント回路基板60は、例えば、電気信号を圧電層24に送ることができるか、または、MEMSプリント回路基板60によって電気信号を供給させることができる。MEMSプリント回路基板60は、少なくとも部分的にMEMS音響トランスデューサ3の後部容積を形成し得る回路基板キャビティ61も有する。キャリア基板23は、MEMSプリント回路基板60の上にも配置され得る。
【0072】
図3は、インイヤー型ヘッドフォン34の断面図である。音を生成することができる音響トランスデューサユニット1は、インイヤー型ヘッドフォン34内に配置される。インイヤー型ヘッドフォン34は、電子機器の一例示的実施形態である。電子機器は、オンイヤー型ヘッドフォン、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、スマートウォッチなどであってもよい。
【0073】
図に示す電子機器としてのインイヤー型ヘッドフォン34は、音響トランスデューサユニット1が配置されるヘッドフォンハウジング35を有する。本例示的実施形態によれば、ヘッドフォンハウジング35は、2つの部分からなる。ヘッドフォンハウジング35は、インイヤー型ヘッドフォン34が目的どおり使用されて操作される場合、ユーザの耳道に挿入されるイヤー部36を有する。例えば、シリコーン製のアタッチメントがイヤー部36を覆うように取り付けられてよい。アタッチメントは、少なくとも部分的に耳道に挿入されるイヤープラグを形成する。アタッチメントは、柔軟な肌あたりのよい材料からできていてよい。さらに、アタッチメントまたはイヤープラグが耳道に合うよう、または、すでに耳道に合わされているよう構成されると有利である。
【0074】
イヤー部36は、動電型音響トランスデューサ2およびMEMS音響トランスデューサ3の音がイヤー部36またはヘッドフォンハウジング35から出てくる出口43をさらに有する。出口43は、ゴミが入らないようシール部材38によって好都合に密封されている。シール部材38は、例えば、音は通すことができるがゴミは阻止するようなスクリーン、ネット、または、発泡材であってよい。
【0075】
ヘッドフォンハウジング35は、インイヤー型ヘッドフォン34を閉じるクロージャ部37をさらに有する。これによって、水分または水が音響トランスデューサユニット1に入るのを防ぐことができる。クロージャ部37は、例えば、バッテリまたは他の電子機器からの電線を音響トランスデューサユニット1に送ることを可能にする電線フィードスルー39をさらに有し得る。例えば、無線接続によって音響トランスデューサユニット1にオーディオ信号を供給する場合は、電線フィードスルー39は省略してよい。よって、クロージャ部37は、水分が入らないように閉じられ得る。あるいは、音響トランスデューサユニット1を操作する間に2つの音響トランスデューサ2および3の圧力を均一にするための開口があると好都合な場合もある。
【0076】
さらに、イヤー部36は、イヤー部キャビティ44を有する。イヤー部36は、ウーファー2の前部容積を形成する、および/または、ウーファー2の音波は、イヤー部キャビティ44を介して出口に導かれる。また、クロージャ部37は、ツィーター3および/またはウーファー2の後部容積を形成し得るクロージャ部キャビティ45を有する。
【0077】
イヤー部36は、トランスデューサハウジング4、および/または、外側メンブレンキャリア13をさらに囲む。例えば、トランスデューサハウジング4および/または外側メンブレンキャリア13と、イヤー部36および/またはクロージャ部37との間に接着剤による接着がなされてよい。音響トランスデューサユニット1が、図示されない保護部材を有すると有利である。この保護部材は、トランスデューサハウジング4の周囲に配置され、少なくとも一部外側から第1メンブレン10の上を径方向22に延びる。これによって、第1メンブレン10は保護される。保護部材は、第1メンブレン10から軸方向に距離を置いて配置される。前述の接着剤による接着は、保護部材と、イヤー部36および/またはクロージャ部37との間に存在してもよい。
【0078】
図4は、動電型音響トランスデューサ2の断面図である。明確さのため、ここではMEMS音響トランスデューサ3を省略している。
【0079】
図には、ウーファー2の中心部に配置されたトランスデューサキャビティ41が示されている。第1極部材5は、トランスデューサキャビティ41の周辺に延在してその境界を成している。MEMS音響トランスデューサ3は、トランスデューサキャビティ41内に配置される。第1極部材5には、ツィーター3がその内部に音を発する音キャビティがさらに配置される。
【0080】
ウーファー2は、コイル8および/または第1メンブレン10が軸方向21に振動し得る振動キャビティ46をさらに有する。振動キャビティ46を用いることにより、第1メンブレン10は、振動するときに、第1極部材5の方向、および/または、ツィーター3の方向に動くことができる。コイル8の領域では、振動キャビティ46は、マグネットギャップ14へと入り込む。
【0081】
メンブレン孔42も示されている。音キャビティ17と共に、トランスデューサキャビティ41、および/または、少なくとも部分的に振動キャビティ46、および、メンブレン孔42は、動電型音響トランスデューサ2の開口部を形成している。
【0082】
図5は、電子機器ユニット18の少なくとも一部を示すブロック図である。電子機器ユニット18は、オーディオソース47を有してよく、オーディオソース47は、オーディオ信号を増幅するための第1の増幅器48を有し得る。さらに、または、あるいは、オーディオソース47は、ブルートゥースチップ49を有してよく、これによって、オーディオ信号が受信され得る。ブルートゥースチップ49、および/または、第1の増幅器48は、外部デバイスに配置されてもよい。例えば、ブルートゥースチップ49、および/または、第1の増幅器48は、インイヤー型ヘッドフォン34のレシーバ(図示せず)における電子機器として配置されてよい。ここに記載されるインイヤー型ヘッドフォン34は、前述のレシーバからオーディオデータを受信する。このオーディオデータは、第1の増幅器48によって増幅済みであってよい。
【0083】
第1の増幅器48、ブルートゥースチップ49、または、オーディオソース47は、第1の増幅器48によってすでに増幅されたオーディオ信号を2つの信号部分に分割する周波数スイッチ50の前段にある。第1の信号部分は、動電型音響トランスデューサ2に直接送られる。この例示的実施形態では、前述の第1の信号部分は、第1の増幅器48によってすでに増幅されている。ツィーター3用の第2の信号部分は、第2の増幅器51に送られる。ツィーター3は、最高で10倍高い電圧レベルを必要とするので、第2の増幅器51は、第2の信号部分を再度増幅するように設けられてよい。ツィーター3は、第2の増幅器51に接続される。
【0084】
図6は、MEMS音響トランスデューサ3を伴う動電型音響トランスデューサ2の断面図である。明確さのため、ほとんどの参照符号を省略している。MEMS音響トランスデューサ3も詳細に示されている。より詳細な特徴は、
図2に示されている。図からわかるように、第2メンブレン30は、メンブレン孔42の表面と少なくとも同じ大きさの表面を有する。ここでは、第2メンブレン30の表面は、メンブレン孔42の表面より大きい。
【0085】
さらに、第2メンブレン30の表面は、カバーフィードスルー33および/または音キャビティ17の表面と少なくとも同じ大きさである。さらに、
図1と共に
図6を見てわかるように、第2メンブレン30の表面の大きさは、音キャビティ17の断面と少なくとも同じ大きさである。
【0086】
好ましくは、マグネットユニット52、特に第1極部材5におけるカバーフィードスルー33および音キャビティ17は、合同であるおよび/または同一平面にある。
【0087】
さらに、図には、動電型音響トランスデューサ2の第1の後部容積68が示されている。MEMS音響トランスデューサ3の第2の後部容積69も示されている。
【0088】
図7は、MEMS音響トランスデューサ3の平面図である。本例示的実施形態では、MEMS音響トランスデューサ3は、多角形である。図では、MEMS音響トランスデューサ3は、六角形である。したがって、MEMS音響トランスデューサ3は、6つのキャリア層24a~24fを有する。また、MEMS音響トランスデューサ3は、図では、キャリア層24a~24fによって隠れているが、6つの圧電層25も有する。圧電層25およびキャリア層24a~24fのそれぞれは、スプリング部材27a~27fによって連結部材26に接続されている。第2メンブレン30を有するMEMSメンブレンユニット29は、図に示されるキャリア基板23に配置される。MEMSメンブレンユニット29および第2メンブレン30は、キャリア基板23と一致する形状を有する。特に、この場合、MEMSメンブレンユニット29および第2メンブレン30は、六角形である。図に示された形状により、MEMS音響トランスデューサ3は、円形のトランスデューサキャビティ41に適応され得る。第2メンブレン30は、複数のキャリア層24および圧電層25によって、より激しく振れることができる。
これによって、音圧を上げることができる。
【0089】
図8は、回路基板58を備えた音響トランスデューサユニット1の断面図である。簡潔さのため、最も重要な特徴にのみ参照符号を付している。図に示す音響トランスデューサユニット1は、前述の図に記載されている。
【0090】
ここでは、回路基板58は、音響トランスデューサユニット1における第1メンブレン10および/または第2メンブレン30と面していない側に配置される。回路基板58は、ここでは、音響トランスデューサユニット1の領域内および/または底部70に配置される。第1メンブレン10および/または第2メンブレン30は、音響トランスデューサユニット1の領域内および/または上部71に配置される。プリント回路基板58は、少なくとも1つの回路基板フィードスルー59aおよび59bを有する。回路基板フィードスルー59aおよび59bのおかげで、および/または、極フィードスルー20aおよび20bを介して、動電型音響トランスデューサ2の第1の後部容積68が開放され得る、および/または、開放したままにすることができる。その結果、動電型音響トランスデューサ2の第1の後部容積68と、音響トランスデューサユニット1の周囲とを連通させる。これにより、動電型音響トランスデューサ2の音質が向上し得る。
図8を見てわかるように、この目的のために極フィードスルー20と回路基板フィードスルー59とは少なくとも部分的に一致する。さらに、または、あるいは、少なくとも1つの極フィードスルー20と少なくとも1つの回路基板フィードスルー59との間に図に示されていない少なくとも1つの連通路が形成された場合、少なくとも1つの極フィードスルー20と少なくとも1つの回路基板フィードスルー59とは互いにオフセットに配置されてよい。さらに、または、あるいは、プリント回路基板58は、図に示すよりも径方向22に小さくてもよい。プリント回路基板58は、径方向において極フィードスルー20に達しないように構成されてよい。その結果、プリント回路基板58は、極フィードスルー20を開放したままにする、または、極フィードスルー20を密閉しない。
【0091】
図からさらにわかるように、回路基板58は、MEMS音響トランスデューサ3の第2の後部容積69を、特に完全に、密閉する。これにより、MEMS音響トランスデューサ3の音波が、第2の後部容積69の周囲に入るのを防ぐ。
【0092】
図8によれば、音響トランスデューサユニット1は、電子機器ユニット18、MEMS音響トランスデューサ3、および、回路基板58を備える。
図5において記載された電子機器ユニット18は、プリント回路基板58内に配置されてもよく、または、電子機器ユニット18の構成要素がプリント回路基板58内に配置されてよい。図で概略的に示されている電子機器ユニット18は、
図2に示された回路基板キャビティ61を有するMEMSプリント回路基板60であってよい。電子機器フィードスルー19は、回路基板キャビティ61であってよい。本実施形態のMEMSプリント回路基板60、電子機器ユニット18、および/または、プリント回路基板58は、他の図の実施形態にも存在し得る。したがって、音響トランスデューサユニット1は、電子機器ユニット18、MEMSプリント回路基板60、および/または、プリント回路基板58を備えてよく、電子機器ユニット18の構成要素は、特に、MEMSプリント回路基板60および/またはプリント回路基板58内に配置されてよい。図に示す電子機器ユニット18と、MEMS音響トランスデューサ3とで、
図2のMEMS音響トランスデューサ3を形成し得るが、この場合の電子機器ユニット18は、MEMSプリント回路基板60となる。
【0093】
さらに、図に示す音響トランスデューサユニット1は、少なくとも1つのマイクロフォン62を備え、図には2つのマイクロフォン62aおよび62bが示されている。ここでは、少なくとも1つのマイクロフォン62は、動電型音響トランスデューサ2によって発せられた音波が少なくとも1つのマイクロフォン62に届くように配置されている。この場合、少なくとも1つのマイクロフォン62は、音波が少なくとも1つのマイクロフォン62に直接届くように第1メンブレン10に面してよい。少なくとも1つのマイクロフォン62は、フィードバックマイクロフォンであり得る。動電型音響トランスデューサ2によって発せられた音波の音質は、少なくとも1つのマイクロフォン62によってモニタされ得る。さらに、または、あるいは、少なくとも1つのマイクロフォン62は、音響トランスデューサユニット1の周囲、および/または、電子機器、例えば、オンイヤー型ヘッドフォン、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどの周囲における環境ノイズを記録することもできる。検出された環境ノイズから、動電型音響トランスデューサ2および/またはMEMS音響トランスデューサ3によって生成される抗音が形成され得る。これによって、環境ノイズをキャンセルすることができる。これは、アクティブノイズキャンセリングを実装するために用いることができる。電子機器、例えば、
図3に示されるようなインイヤー型ヘッドフォン34には、さらなるマイクロフォン62が存在してよい。このマイクロフォン62は、環境ノイズを抑制するための抗音を生成すべく、電子機器の周囲、例えば、インイヤー型ヘッドフォン34の周囲、または、インイヤー型ヘッドフォン34のキャリアの周囲に面してよい。
【0094】
少なくとも1つのマイクロフォン62は、図にその一部が示されているイヤー部36に配置される。イヤー部36は、ハウジング部66の特別な実施形態である。音響トランスデューサユニット1は、ハウジング部66を有するか、または、ハウジング部66内に配置される。ハウジング部66は、電子機器の一部であってよい。電子機器がインイヤー型ヘッドフォン34の場合、ハウジング部66は、イヤー部36である。
【0095】
さらに、または、あるいは、少なくとも1つのマイクロフォン62は、音響トランスデューサユニット1のためのエンクロージャ、特に、保護エンクロージャに配置されてもよい。エンクロージャは、音響トランスデューサユニット1、特に、動電型音響トランスデューサ2の第1メンブレン10を保護する役目を果たす。図示されたハウジング部66および/またはイヤー部36は、エンクロージャの役目を果たしてよい、または、エンクロージャは、ハウジング部66および/またはイヤー部36によって形成されてよい。
【0096】
さらに、この例示的実施形態では、いくつかのワイヤー63a~63dが概略的に示されている。ワイヤー63a~63dは、特に、マルチストランドケーブルまたはワイヤー63a~63dであり得る。音響トランスデューサユニット1の操作のために供給される電気信号は、ワイヤー63a~63dによって供給されてよい。第1のワイヤー63aは、電子機器ユニット18および/またはMEMS音響トランスデューサ3用である。第2のワイヤー63bは、動電型音響トランスデューサ2のコイル8に至る。第3のワイヤー63cは、図示された第1のマイクロフォン62aに至り、第4のワイヤー63dは、図示された第2のマイクロフォン62bに至る。図では、ワイヤー63a~63dは、回路基板58に連結されている。図からさらに分かるように、ワイヤー63a~63dは、回路基板58の後側64で回路基板58に連結されている。
【0097】
図では、ワイヤー63a~63dは、適切な伝送路に配置されている。図から分かるように、2つのワイヤー63cおよび63dは、トランスデューサハウジング4と、イヤー部36またはハウジング部66との間に配置される。
【0098】
プリント回路基板58は、外部ユニットからの電気信号を音響トランスデューサユニット1に伝えるための接続部67をさらに有する。接続部67は、可撓性の部分、例えば、フレキシブルプリント回路基板として構成されることによって回転させるまたは曲げることでき、異なる方向からの接続が容易になっている。図では、接続部67は、プリント回路基板58の後側64に配置されている。接続部67は、プラグを有する、および/または、プラグとして構成されてよい。この場合、プラグは、フラットプラグであってよい、および/または、回路基板58にはんだ付けされてよい。
【0099】
またさらに、プラグは、プリント回路基板58の前側65に、特に、フラットプラグとして配置されてもよい。ここでは、前側65は、MEMS音響トランスデューサ3、および/または、電子機器ユニット18に面している。そして、プラグは、プリント回路基板58、例えば、プリント回路基板フィードスルー59内に通される。
【0100】
フラットプラグは、例えば、プラグまたはフラットプラグが回路基板58に平らに配置されるように、可撓性の回路基板として構成され得る。こうしてプラグまたはフラットプラグは、プリント回路基板58と、MEMS音響トランスデューサ3および/または電子機器ユニット18との間、特に、プリント回路基板58の前側65に配置されることもできる。さらに、または、あるいは、プラグは、MEMS音響トランスデューサ3および/または電子機器ユニット18に連結されてもよい。
【0101】
本発明は、図示および記載した実施形態に限定されない。特徴は、異なる例示的実施形態で図示および記載されたとしても、それらの組み合わせとして、請求項の範囲内での変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 音響トランスデューサユニット
2 動電型音響トランスデューサ/ウーファー
3 MEMS音響トランスデューサ/ツィーター
4 トランスデューサハウジング
5 第1極部材
6 第2極部材
7 マグネット
8 コイル
9 メンブレンユニット
10 第1メンブレン
11 連結ユニット
12 内側メンブレンキャリア
13 外側メンブレンキャリア
14 マグネットギャップ
15 ホルダ
17 音キャビティ
18 電子機器ユニット
19 電子機器フィードスルー
20 極フィードスルー
21 軸方向
22 径方向
23 キャリア基板
24 キャリア層
25 圧電層
26 連結部材
27 スプリング部材
28 連結板
29 MEMSメンブレンユニット
30 第2メンブレン
31 MEMSメンブレンフレーム
32 カバー
33 カバーフィードスルー
34 イヤーヘッドフォン
35 ヘッドフォンハウジング
36 イヤー部
37 クロージャ
38 シール部材
39 電線フィードスルー
41 トランスデューサキャビティ
42 メンブレン孔
43 出口
44 イヤー部キャビティ
45 クロージャキャビティ
46 振動キャビティ
47 オーディオソース
48 第1の増幅器
49 ブルートゥースチップ
50 周波数スイッチ
51 第2の増幅器
52 マグネットユニット
54 MEMSキャビティ
56 第1の接触面
57 第2の接触面
58 回路基板
59 回路基板フィードスルー
60 MEMSプリント回路基板
61 回路基板キャビティ
62 マイクロフォン
63 ワイヤー
64 後側
65 前側
66 ハウジング
67 接続部
68 第1の後部容積
69 第2の後部容積
70 底部
71 上部
【外国語明細書】