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特開2024-80676穿刺デバイスおよび内視鏡処置システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080676
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】穿刺デバイスおよび内視鏡処置システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20240606BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A61B1/018 515
A61B17/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203392
(22)【出願日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】63/385,727
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】矢沼 豊
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160FF48
4C160FF56
4C161AA01
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF43
4C161GG15
4C161HH24
(57)【要約】
【課題】柔軟性と剛性とを兼ね備え、術者が意図した位置まで湾曲させやすく、術者が意図した方向に操作しやすい穿刺デバイスおよび穿刺デバイスを備える内視鏡処置システムを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る穿刺デバイスは、内視鏡のチャネルに挿入される穿刺デバイスであって、先端にコイルシースが設けられたインナーシースと、前記コイルシースの先端に設けられた針管と、前記針管と前記インナーシースとが挿通可能なアウターシースと、前記コイルシースを覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記針管と前記コイルシースとの接続部を跨いで設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡のチャネルに挿入される穿刺デバイスであって、
先端にコイルシースが設けられたインナーシースと、
前記コイルシースの先端に設けられた針管と、
前記針管と前記インナーシースとが挿通可能なアウターシースと、
前記コイルシースを覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、前記針管と前記コイルシースとの接続部を跨いで設けられている、
穿刺デバイス。
【請求項2】
前記カバーは、前記接続部に形成された凹凸に引っ掛かっている、
請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項3】
前記カバーは、前記接続部付近に形成された段差に引っ掛かっている、
請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項4】
前記接続部は、レーザ溶接により接続された部分であり、
前記カバーは、前記レーザ溶接の溶接痕に引っ掛かっている、
請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項5】
前記カバーは、熱収縮チューブである、
請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項6】
前記針管は、外表面を窪ませた凹部を有し、
前記カバーは、前記凹部を覆っている、
請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項7】
前記針管は、外表面を窪ませた凹部を有し、
前記カバーは、前記凹部に引っ掛かっている、
請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項8】
前記アウターシースは、
前記アウターシースに対して前記インナーシースが最も前進した第一位置に配置されるように規制する第一ストッパと、
前記アウターシースに対して前記インナーシースが最も後退した第二位置に配置されるように規制する第二ストッパと、
を有し、
前記インナーシースが第一位置に配置されたとき、前記針管は前記アウターシースから突出し、
前記インナーシースが第二位置に配置されたとき、前記針管は前記アウターシースに収容される、
請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項9】
前記アウターシースは、先端に硬質でチューブ形状の保護部材を有し、
前記インナーシースが第二位置に配置されたとき、前記針管の先端は前記保護部材に取り囲まれた位置に配置される、
請求項8に記載の穿刺デバイス。
【請求項10】
前記インナーシースは、
前記コイルシースの基端側に設けられた基端シースと、
前記コイルシースと前記基端シースとを接続する基端接続部と、
を有し、
前記基端接続部は、前記第一ストッパおよび前記第二ストッパと係合する突起を有する、
請求項8に記載の穿刺デバイス。
【請求項11】
前記基端シースは、樹脂により形成されている、
請求項10に記載の穿刺デバイス。
【請求項12】
前記アウターシースは、
先端に設けられた先端コイルシースと、
前記先端コイルシースの基端側に設けられた中間コイルシースと、
前記中間コイルシースの基端側に設けられた基端コイルシースと、
前記先端コイルシースと前記中間コイルシースと連結する第一接続部と、
前記中間コイルシースと前記基端コイルシースと連結する第二接続部と、
を有し、
前記第一接続部には、前記第一ストッパが設けられており、
前記第二接続部には、前記第二ストッパが設けられている、
請求項8に記載の穿刺デバイス。
【請求項13】
前記先端コイルシースは、前記基端コイルシースと比較して薄肉の平たい素線で形成されている、
請求項12に記載の穿刺デバイス。
【請求項14】
前記アウターシースの前記第一ストッパから前記アウターシース1の基端開口までの長さは、前記内視鏡の前記チャネルの長さより短い、
請求項12に記載の穿刺デバイス。
【請求項15】
先端にコイルシースが設けられたインナーシースと、
前記コイルシースの先端に設けられた針管と、
前記針管と前記インナーシースとが挿通可能なアウターシースと、
前記コイルシースを覆い、前記針管と前記コイルシースとの接続部を跨いで設けられたカバーと、
を有する穿刺デバイスと、
穿刺デバイスが挿通可能なチャネルを有する内視鏡と、
を備え、
前記アウターシースは、
先端に設けられた先端コイルシースと、
前記先端コイルシースの基端側に設けられた中間コイルシースと、
前記中間コイルシースの基端側に設けられた基端コイルシースと、
前記先端コイルシースと前記中間コイルシースと連結する第一接続部と、
前記中間コイルシースと前記基端コイルシースと連結する第二接続部と、
を有し、
前記第一接続部は、前記アウターシースに対して前記インナーシースが最も前進した第一位置に配置されるように規制する第一ストッパを有し、
前記第二接続部は、前記アウターシースに対して前記インナーシースが最も後退した第二位置に配置されるように規制する第二ストッパを有し、
前記アウターシースの前記第一ストッパから前記アウターシース1の基端開口までの長さは、前記内視鏡の前記チャネルの長さより短い、
内視鏡処置システム。
【請求項16】
前記インナーシースが第一位置に配置されたとき、前記針管は前記アウターシースから突出し、
前記インナーシースが第二位置に配置されたとき、前記針管は前記アウターシースに収容される、
請求項15に記載の内視鏡処置システム。
【請求項17】
前記先端コイルシースは、前記基端コイルシースと比較して薄肉の平たい素線で形成されている、
請求項15に記載の内視鏡処置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2022年12月01日に出願された米国仮出願第63/385,727号の利益を主張し、その全文が参照により本明細書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、穿刺デバイスおよび内視鏡処置システムに関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は、十二指腸から胆管に造影剤やガイドワイヤや各種カテーテルを挿入して、胆管内の診断や結石回収や狭窄のドレナージなどを実施する手技に使用されている。これらの手技において、超音波観察が可能な内視鏡と、内視鏡の処置具チャネルを挿通可能な穿刺デバイスと、が用いられる。
【0004】
特許文献1に示すように、これらの手技に用いられる穿刺デバイスは、内視鏡の側方に位置する十二指腸乳頭に穿刺可能な位置まで大きく湾曲できる十分な柔軟性を有することが望ましい。また、穿刺デバイスは、術者が意図した方向において十二指腸乳頭にまっすぐ穿刺できる十分な剛性を有することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0176089号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しがしながら、従来の穿刺デバイスは、例えばステンレス等の金属製のパイプで形成されており、上述したような柔軟性と剛性とを兼ね備えていない。従来の穿刺デバイスは、大きく湾曲可能であったとしても、穿刺デバイスを大きく湾曲させたときに曲がり癖がつきやすい。曲がり癖がついた穿刺デバイスは、術者が意図した方向においてまっすぐ穿刺しにくい。
【0007】
特に、例えば特許文献1に示すように乳頭自然開口以外から胆管へのアクセスルートを形成する場合、術者は穿刺デバイスの位置や向きを正確に調整する必要があるため、穿刺デバイスは十分な柔軟性と十分な剛性とを兼ね備えている必要がある。
【0008】
上記事情を踏まえ、本発明は、柔軟性と剛性とを兼ね備え、術者が意図した位置まで湾曲させやすく、術者が意図した方向に操作しやすい穿刺デバイスおよび穿刺デバイスを備える内視鏡処置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る穿刺デバイスは、内視鏡のチャネルに挿入される穿刺デバイスであって、先端にコイルシースが設けられたインナーシースと、前記コイルシースの先端に設けられた針管と、前記針管と前記インナーシースとが挿通可能なアウターシースと、前記コイルシースを覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記針管と前記コイルシースとの接続部を跨いで設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の穿刺デバイスおよび内視鏡処置システムは、柔軟性と剛性とを兼ね備え、術者が意図した位置まで湾曲させやすく、術者が意図した方向に操作しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る内視鏡処置システムの全体図である。
図2】同内視鏡処置システムの穿刺デバイスを示す全体図である。
図3】同穿刺デバイスの断面図である。
図4】同穿刺デバイスの断面図である。
図5】同穿刺デバイスの針管およびカバーを示す図である。
図6】同針管および同カバーの断面図である。
図7】ディンプルを有する同針管および同カバーの断面図である。
図8】同カバーを溶融させて取り付ける方法の一例を示す図である。
図9】溶融させて取り付けた同カバーを示す図である。
図10】ガイドワイヤが挿入された同穿刺デバイスの断面図である。
図11】内視鏡に挿入された同穿刺デバイスを示す図である。
図12】アウターシースが突出した同穿刺デバイスを示す図である。
図13図12における同穿刺デバイスの先端部の断面図である。
図14】先端位置が調整された同穿刺デバイスの同先端部の断面図である。
図15】同針管が胆管に刺さった同穿刺デバイスの同先端部の断面図である。
図16】同針管が突出した同穿刺デバイスを示す図である。
図17図16における同穿刺デバイスの同先端部の断面図である。
図18】造影剤を流し込む同穿刺デバイスの断面図である。
図19】ガイドワイヤが挿入された同穿刺デバイスの断面図である。
図20】同穿刺デバイスの先端接続部の変形例を示す図である。
図21図20に示す同先端接続部の同変形例の断面図である。
図22】同カバーの別の固定態様を示す図である。
図23】一部を溶融させた同カバーを示す図である。
図24】同カバーが引掛けられる段差の別の態様を示す図である。
図25】同カバーが引掛けられる同段差の別の態様を示す図である。
図26】一部を溶融させた同カバーを示す図である。
図27】同先端接続部の他の変形例を示す図である。
図28図27に示す同先端接続部の同変形例の断面図である。
図29】同カバーが引掛けられる段差の別の態様を示す図である。
図30図29に示す同先端接続部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、図1から図19を参照して説明する。図1は本実施形態に係る内視鏡処置システム300の全体図である。
【0013】
[内視鏡処置システム300]
内視鏡処置システム300は、穿刺デバイス100と、内視鏡200と、を備える。穿刺デバイス100は、内視鏡200に挿入して使用される。
【0014】
[内視鏡200]
内視鏡200は、光学観察および超音波観察が可能な側視側の軟性内視鏡である。内視鏡200、長尺の挿入部210と、挿入部210の基端に設けられた操作部220と、操作部220から延出するユニバーサルコード250と、を備える。なお、内視鏡200は直視型の軟性内視鏡であってもよい。
【0015】
挿入部210は、先端に設けられた先端部211と、先端部211の基端側に設けられた湾曲操作可能な湾曲部212と、湾曲部212の基端側に設けられた可撓管部213と、を有する。挿入部210には、穿刺デバイス100等の内視鏡用処置具が挿通可能な処置具チャネル230が形成されている。
【0016】
先端部211の側面には、ライトガイド214と、CCD等の撮像素子を有する光学観察部215と、処置具チャネル230に連通する先端開口216と、が設けられている。
【0017】
先端部211の先端開口216付近には、起上台217が設けられている。起上台217の基端部は、先端部211に回転可能に支持されている。起上台217の先端部に固定された不図示の起上台操作ワイヤは、挿入部210内を通して操作部220まで延びている。
【0018】
先端部211の先端には、超音波振動子218が設けられている。なお、超音波振動子218は、先端開口216よりも基端側に設けられていてもよい。
【0019】
湾曲部212は、上下方向や左右方向に湾曲自在である。湾曲部212の先端側に操作ワイヤの先端が固定されている。操作ワイヤは挿入部210内を通して操作部220まで延びている。
【0020】
操作部220には、操作ワイヤや起上台操作ワイヤを操作するノブ223と、光学観察部215等を操作するスイッチ224と、が設けられている。術者は、ノブ223を操作することで湾曲部212を所望の方向に湾曲させることができる。
【0021】
操作部220には、処置具チャネル230に連通する鉗子口(基端開口)222が設けられている。術者は、鉗子口222から穿刺デバイス100等の内視鏡用処置具を挿入することができる。鉗子口222には体液の漏れを防ぐために鉗子栓225が取り付けられる。
【0022】
ユニバーサルコード250は、内視鏡200を映像制御装置に連結する。光学観察部215が撮像した撮像信号は、ユニバーサルコード250を経由して映像制御装置に送信される。
【0023】
[穿刺デバイス100]
図2は、穿刺デバイス100を示す全体図である。
穿刺デバイス100は、アウターシース1と、インナーシース2と、針管3と、カバー4と、操作部5と、を備える。
【0024】
以降の説明において、穿刺デバイス100の長手方向Aにおける患者Pの管腔内に挿入される側を「先端側(遠位側)A1」とし、操作部5側を「基端側(近位側)A2」とする。
【0025】
図3は、穿刺デバイス100の断面図である。
アウターシース1は、内視鏡200の処置具チャネル230を挿通可能な長尺の筒状部材である。アウターシース1は、先端部11と、先端コイルシース12と、第一接続部13と、中間コイルシース14と、第二接続部15と、基端コイルシース16と、を有する。先端部11、先端コイルシース12、第一接続部13、中間コイルシース14、第二接続部15および基端コイルシース16は、先端側A1から基端側A2に向かって配列している。アウターシース1は、先端部11の先端に設けられた先端開口1aおよび基端コイルシース16の基端に設けられた基端開口1bに連通する内部空間(ルーメン)17を有する。
【0026】
先端部(保護部材)11は、アウターシース1の先端に設けられた硬質のチューブ形状の部材である。先端部(保護部材)11は、金属製の部材であってもよいし、ガラスやカーボンを入れて強化されたプラスチック製の部材であってもよい。先端部11の先端1dには、内部空間17に連通する先端開口1aが形成されている。先端部11の基端は、先端コイルシース12の先端に取り付けられている。
【0027】
先端コイルシース12は、金属製の素線を螺旋状に巻回させて形成されたコイルシースである。先端コイルシース12は、基端コイルシース16と比較して、薄肉の平たい素線で形成されており、曲がりやすい。
【0028】
第一接続部13は、先端コイルシース12と中間コイルシース14とを連結する。第一接続部13は、第一ストッパ13sを有する。第一ストッパ13sは、内部空間17において径方向の内側に向かって突出する凸部である。
【0029】
中間コイルシース14は、金属製の素線を螺旋状に巻回させて形成されたコイルシースである。中間コイルシース14は、先端コイルシース12と比較して内径が大きく、後述するインナーシース2の突起22tが設けられた基端接続部22が挿通可能である。
【0030】
第二接続部15は、中間コイルシース14と基端コイルシース16とを連結する。第二接続部15は、第二ストッパ15sを有する。第二ストッパ15sは、内部空間17において径方向の内側に向かって突出する凸部である。
【0031】
基端コイルシース16は、金属製の素線を螺旋状に巻回させて形成されたコイルシースである。基端コイルシース16の基端は、操作部5に連結されている。基端コイルシース16は、先端コイルシース12と比較して、厚肉の平たい素線で形成されており、進退の力を伝達させやすい。また、基端コイルシース16は、長手方向Aに対して延びにくい。
【0032】
インナーシース2は、アウターシース1の内部空間17に挿通可能な長尺の筒状部材である。インナーシース2は、コイルシース21と、基端接続部22と、基端シース23と、を有する。コイルシース21、基端接続部22および基端シース23は、先端側A1から基端側A2に向かって配列している。インナーシース2は、コイルシース21の先端に設けられた先端開口2aおよび基端シース23の基端に設けられた基端開口2bに連通する内部空間(ガイドワイヤルーメン)27を有する。
【0033】
図4は、穿刺デバイス100の断面図である。
インナーシース2は、アウターシース1の内部空間17に挿通される。具体的には、インナーシース2は、アウターシース1の先端開口1aおよび基端開口1bを通過して、アウターシース1の内部空間17に相対移動可能に挿通されている。インナーシース2の外径は、アウターシース1の内部空間17の内径よりも小さい。
【0034】
コイルシース21は、金属製の素線を螺旋状に巻回させて形成されたコイルシースである。先端コイルシース12は、平たい素線で形成されており、曲がりやすい。
【0035】
基端接続部22は、コイルシース21と基端シース23とを連結する。基端接続部22は、突起22tを有する。突起22tは、径方向の外側に向かって突出する凸部である。
【0036】
基端シース23は、剛性の高いPEEKなどの樹脂により形成されたシースである。基端シース23の基端は、操作部5に連結されている。基端シース23の内径は、コイルシース21の内径よりも大きい。基端シース23の長手方向Aの長さは、コイルシース21の長手方向Aの長さよりも長い。
【0037】
図5は、針管3およびカバー4を示す図である。
針管3は、金属で形成され、先端側A1に鋭利部31を有する中空部材である。針管3は、インナーシース2の先端に取り付けられており、インナーシース2とともにアウターシース1の内部空間17に挿通される。
【0038】
図6は、針管3およびカバー4の断面図である。
針管3の基端3pは、コイルシース21の先端2dに先端接続部32を介して連結されている。針管3の内部空間37は、先端側A1において先端開口3aに連通し、基端側A2において先端開口2aを経由してインナーシース2の内部空間27に連通している。
【0039】
鋭利部31は、長手方向Aに対して傾いた傾斜面31sを有する刃形状に形成されている。傾斜面31sには、先端開口3aが形成されている。なお、鋭利部31の形状は、双頭針形状などの他の形状であってもよい。
【0040】
先端接続部32は、針管3の基端3pとコイルシース21の先端2dとを、例えばレーザ溶接等により接続した部分である。先端接続部32には、針管3とコイルシース21との接続部分において、レーザ溶接等の接続処理に起因する段差や凹凸が形成されている。例えば先端接続部32がレーザ溶接により接続処理が施されている場合、先端接続部32には凸凹したレーザ溶接痕が形成されている。
【0041】
図7は、ディンプル33を有する針管3およびカバー4の断面図である。
針管3は、外表面を窪ませた一つ以上のディンプル(溝、凹部)33を有していてもよい。この場合、超音波が反射しやすくなり、超音波画像上において針の位置を容易に確認できる。
【0042】
カバー4は、針管3の基端側A2の一部とコイルシース21の外周部に設けられたチューブであり、例えば熱収縮チューブである。カバー4は、コイルシース21の内部空間27を水密に保つ。カバー4は、先端接続部32を跨いで設けられている。具体的には、カバー4は、先端接続部32よりも先端側A1の針管3から、先端接続部32よりも基端側A2のコイルシース21にかけて設けられている。カバー4は、先端接続部32におけるレーザ溶接等の接続処理に起因して形成された段差や凹凸に引っ掛かって(係合して)いる。そのため、カバー4は、先端接続部32に強固に固定され、先端接続部32からずれにくい。
【0043】
針管3がディンプル33を有する場合、図7に示すように、カバー4はディンプル33に引っ掛かって(係合して)いてもよい。カバー4は、先端接続部32に加えてディンプル33に強固に固定され、先端接続部32からずれにくい。具体的には、針管3が先端側A1に向かって胆管BD等の組織に穿刺された際に、組織から受ける反作用によって、カバー4は基端側A2方向に移動する力を受け得る。先端接続部32は、カバー4が基端側A2に移動することを規制する。同様に、ディンプル33は、カバー4が基端側A2に移動することを規制する。
【0044】
図8は、カバー4を溶融させて取り付ける方法の一例を示す図である。
作業者は、カバー4の溶融温度より耐熱温度が高い加工用熱収縮チューブTUを、カバー4の上に被る。作業者は、カバー4の溶融温度以上の熱で加工用熱収縮チューブTUを収縮させ、カバー4の少なくとも一部が溶融したら加工用熱収縮チューブTUを取り除く。これにより、カバー4の先端または全長は加工用熱収縮チューブTUの収縮圧を受けながら溶融するため、溶融したカバー4が先端接続部32の段差や凹凸の隅々まで溶け込むことができる。そのため、カバー4は、先端接続部32により強固に固定され、先端接続部32からずれにくい。
【0045】
図9は、溶融させて取り付けたカバー4を示す図である。
溶融させて取り付けられたカバー4は、溶融することでカバー4の先端にテーパ状のテーパ部4tが形成される。そのため、穿刺デバイス100の穿刺性能が向上する。
【0046】
操作部5は、アウターシース1の基端に接続された第一操作部材51と、インナーシース2の基端に接続された第二操作部材52と、第二操作部材52に連結されたシリンジ53と、を有する。
【0047】
第二操作部材52は、筒状に形成されている。第二操作部材52の内部空間(ルーメン)57は、基端開口2bを経由してインナーシース2の内部空間(ガイドワイヤルーメン)27に連通している。第二操作部材52は、シリンジ53が接続される開口54と、ガイドワイヤGWが挿通されるガイドワイヤポート55と、を有する。
【0048】
開口54は、シリンジ53が取り付けられる開口であり、内部空間57に連通している。シリンジ53から供給される脱気水や生理食塩液や造影剤等の流体は、インナーシース2の内部空間27および針管3の内部空間37を経由して、針管3の先端開口3aから流れ出る。
【0049】
図10は、ガイドワイヤGWが挿入された穿刺デバイス100の断面図である。
ガイドワイヤポート55は、ガイドワイヤGWが挿通される開口である。ガイドワイヤポート55から挿入されたガイドワイヤGWは、インナーシース2の内部空間27および針管3の内部空間37を経由して、針管3の先端開口3aから突出する。ガイドワイヤポート55には水密リング55bが取り付けられている。ガイドワイヤポート55からガイドワイヤGWが挿入されるとき、水密リング55bは緩められる。シリンジ53から流体が送水されるとき、水密リング55bは絞められて、第二操作部材52の内部空間57が水密に保たれる。
【0050】
術者は、第一操作部材51に対して第二操作部材52を長手方向Aに進退させることで、アウターシース1に対してインナーシース2を進退させることができる。アウターシース1に対するインナーシース2の進退範囲は、第一ストッパ13sおよび第二ストッパ15sによって規制される。
【0051】
図3に示すインナーシース2は、アウターシース1に対して最も前進した第一位置S1に配置されている。インナーシース2の突起22tがアウターシース1の第一ストッパ13sと係合することにより、アウターシース1に対するインナーシース2の前進は規制される。
【0052】
針管3の先端3dからインナーシース2の突起22tまでの長手方向Aの第一長さL1は、アウターシース1の先端1dから第一ストッパ13sまでの長手方向Aの第三長さL3よりも長い(L1>L3)。また、インナーシース2の先端2dからインナーシース2の突起22tまでの長手方向Aの第二長さL2は、第三長さL3よりも長い(L2>L3)。そのため、インナーシース2がアウターシース1に対して最も前進した第一位置S1に配置されたとき、針管3とコイルシース21の少なくとも一部は、アウターシース1の先端開口1aから突出する。
【0053】
図4に示すインナーシース2は、アウターシース1に対して最も後退した第二位置S2に配置されている。インナーシース2の突起22tがアウターシース1の第二ストッパ15sと係合することにより、アウターシース1に対するインナーシース2の後退は規制される。
【0054】
針管3の先端3dからインナーシース2の突起22tまでの長手方向Aの第一長さL1は、アウターシース1の先端1dから第二ストッパ15sまでの長手方向Aの第四長さL4よりも短い(L1<L4)。そのため、インナーシース2がアウターシース1に対して最も後進した第二位置S2に配置されたとき、針管3の先端3dはアウターシース1の内部空間17に収容される。このとき、針管3の先端3dは、先端部11によって取り囲まれる位置に配置される。
【0055】
[内視鏡処置システム300の動作]
次に、図11から図19を参照して、本実施形態に係る内視鏡処置システム300の動作および作用について説明する。具体的には、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)により胆管BDを処置する手技について説明する。なお、以下で説明する手技は、米国特許出願公開第2022/0176089号明細書に記載された手技に基づくものである。
【0056】
<ステップS1:内視鏡挿入工程>
術者は、ステップS1において、口等の自然開口から患者の管腔内に内視鏡200の挿入部210を挿入する。術者は、必要に応じて操作部220を操作して湾曲部212を湾曲させる。術者は、内視鏡200の先端部211を十二指腸乳頭の付近まで挿入する。
【0057】
<ステップS2:内視鏡位置合わせ工程>
術者は、ステップS2において、十二指腸乳頭が内視鏡200の光学観察部215の撮像範囲に入るように、内視鏡200の先端部211の位置を調整する。術者は、内視鏡200の進退操作、湾曲操作、ねじり操作などを適宜組み合わせて先端部211の位置を調整する。
【0058】
<ステップS3:給水工程>
次に、術者は、ステップS3において、十二指腸内に水を供給し、内視鏡200の先端部211が位置する十二指腸の部位に水を貯留させる。水を貯留させた後、術者は超音波振動子218を作動させて超音波画像を取得し、胆管BDや膵管が描出できることを確認しておく。術者は、給水せずに、図14に示すように超音波振動子218を直接十二指腸粘膜に押し付けることで胆管BDや膵管を超音波で描出してもよい。
【0059】
<ステップS4:穿刺デバイス位置合わせ工程>
図11は、内視鏡200に挿入された穿刺デバイス100を示す図である。
次に、術者は、ステップS4において、内視鏡200の鉗子口(基端開口)222から処置具チャネル230に穿刺デバイス100を挿入する。術者は、図12に示すように、アウターシース1の先端部を先端開口216から突出させる。術者は、内視鏡200および穿刺デバイス100を操作して、光学観察部215の視野内にアウターシース1の先端部11を位置させる。術者は、必要に応じて起上台217を操作する。
【0060】
図12は、アウターシース1が突出した穿刺デバイス100を示す図である。
内視鏡200の先端開口216に対するアウターシース1の突出量は、内視鏡200の処置具チャネル230に対してアウターシース1を前進可能な範囲に制限される。図12に示す穿刺デバイス100において、アウターシース1は処置具チャネル230に最も長く挿入されており、アウターシース1は内視鏡200の先端開口216から最も突出している。
【0061】
図13は、図12における穿刺デバイス100の先端部の断面図である。
アウターシース1の第一ストッパ13sからアウターシース1の基端開口1bまでの第五長さL5(図3参照)は、内視鏡200の処置具チャネル230の長さより短い。そのため、図12に示すようにアウターシース1が処置具チャネル230に最も長く挿入されたとき、図13に示すように第一ストッパ13sを含む第一接続部13は処置具チャネル230の内部に位置する。すなわち、先端開口216に対してアウターシース1が最も突出したときであっても、硬質な部材である第一接続部13は先端開口216から突出しない。
【0062】
アウターシース1の突出量にかかわらず曲がりやすい先端コイルシース12が先端開口216付近を挿通するため、術者は起上台217によってアウターシース1の先端部11の位置や向きを容易に調整できる。また、曲がりやすい先端コイルシース12を起上台217によって大きく曲げた場合であっても、先端コイルシース12に曲がり癖がつきにくい。
【0063】
先端開口216から突出するアウターシース1の最大突出量は、15mm以上であるが望ましく、25mm以上であることがより望ましい。
【0064】
図14は、先端位置が調整された穿刺デバイス100の先端部の断面図である。
次に、術者は、超音波振動子218による超音波画像を見ながら十二指腸乳頭に針管3を穿刺する位置P1を決定する。術者は、位置P1が口側隆起Opの範囲内であって、自然開口部Poと重ならないように位置P1を調節する。次に、術者は、アウターシース1の先端1dを位置P1に接触させる。この時点では、針管3の先端3dはまだアウターシース1の内部空間17に収容されている。針管3は硬質な先端部11によって取り囲まれて保護されているため、仮に起上台217が針管3付近を押し込んだ場合であっても、針管3の先端3dが曲がってしまうことを防止できる。
【0065】
<ステップS5:穿刺工程>
図15は、針管3が胆管BDに刺さった穿刺デバイス100の先端部の断面図である。
術者は、ステップS5において、超音波観察下で穿刺デバイス100の操作部5を操作して針管3をアウターシース1から突出させる。突出した針管3は、図15に示すように、口側隆起Opに刺さる。針管3をさらに前進させると、針管3は、口側隆起Opの組織内を胆管BDの上流側に向かって進みながら、腹腔に出ることなく胆管BDの最下部に接近する。術者は、針管3が胆管BDに刺さり、針管3の先端3dが胆管BD内に到達したところで針管3の前進を止め、アウターシース1に対して移動しないように固定する。
【0066】
図16は、針管3が突出した穿刺デバイス100を示す図である。
図16に示す穿刺デバイス100において、アウターシース1は処置具チャネル230に最も長く挿入されており、アウターシース1は内視鏡200の先端開口216から最も突出している。また、図16に示す穿刺デバイス100において、インナーシース2は第一位置S1に配置されており、アウターシース1の先端開口1aから最も突出している。すなわち、図16に示すインナーシース2は先端開口216から最も突出している。
【0067】
図17は、図16における穿刺デバイス100の先端部の断面図である。
アウターシース1が処置具チャネル230に最も長く挿入されたときであっても、第一接続部13は先端開口216から突出しない。このとき、第一ストッパ13sを含む第一接続部13は処置具チャネル230の内部に位置するため、突起22tを含む基端接続部22は処置具チャネル230の内部に位置する。すなわち、先端開口216に対してインナーシース2が最も突出したときであっても、硬質な部材である基端接続部22は先端開口216から突出しない。
【0068】
アウターシース1の突出量およびインナーシース2の突出量にかかわらず曲がりやすいコイルシース21が先端開口216付近を挿通するため、術者は起上台217によってインナーシース2が挿通するアウターシース1の先端部11の位置や向きを容易に調整できる。また、曲がりやすいコイルシース21を起上台217によって大きく曲げた場合であっても、コイルシース21に曲がり癖がつきにくい。
【0069】
起上台217よって固定されたアウターシース1からインナーシース2のコイルシース21が突出するため、位置決めした位置P1から口側隆起Opにまっすぐ穿刺できる。コイルシース21には曲がり癖がつきにくいため、術者はコイルシース21を意図した方向に操作しやすい。
【0070】
アウターシース1の先端開口1aから突出するインナーシース2の最大突出量は、10mm以上であるが望ましく、20mm以上であることがより望ましい。
【0071】
<ステップS6:造影工程>
図18は、造影剤Cを流し込む穿刺デバイス100の断面図である。
術者は、ステップS6において、シリンジ53に造影剤Cを注入して穿刺デバイス100から胆管BDに造影剤Cを流し込む。術者は、X線撮影を行うことで、胆管BD等が写るX線画像を取得する。
【0072】
<ステップS7:ガイドワイヤ挿入工程>
図19は、ガイドワイヤGWが挿入された穿刺デバイス100の断面図である。
術者は、ステップS7において、穿刺デバイス100にガイドワイヤGWを挿入して針管3からガイドワイヤGWを突出させ、胆管BDにガイドワイヤGWを挿入する。次に、術者は、ガイドワイヤGWを胆管BDに留置したまま穿刺デバイス100を抜去する。これにより、ガイドワイヤGWのみが胆管BDに留置され、十二指腸内から胆管へのアクセスルートが形成される。
【0073】
アクセスルート形成後、術者はガイドワイヤGWに沿わせて各種処置具の先端部をアクセスルート経由で胆管BD内に導入することにより、様々な処置を行うことができる。以下にその一部を例示する。
・ガイドワイヤGWに沿わせて造影カテーテルを胆管内に挿入し、ERCPを行う。
・ガイドワイヤGWに沿わせてバスケット型処置具を胆管内に挿入し、胆管内結石に対する処置を行う。
・ガイドワイヤGWに沿わせてバルーンを有する処置具を胆管内に挿入し、胆管内結石に対する処置を行ったり、胆管の狭窄部を拡張したりする。
・ガイドワイヤGWに沿わせて生検鉗子を胆管内に挿入し、悪性腫瘍等の確定診断等に用いる胆管等の組織を採取する。
・ガイドワイヤGWに沿わせてステントデリバリーシステムを胆管内に挿入し、胆管内にステント(ドレナージステント)を留置する。
処置を行う際は、必要に応じてアクセスルートに内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)や、内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)を施し、アクセスルートを拡張してもよい。さらに、ESTとEPBDを組み合わせてアクセスルートを拡張してもよい。
【0074】
本実施形態に係る穿刺デバイス100によれば、穿刺デバイス100は、柔軟性と剛性とを兼ね備え、術者が意図した位置まで湾曲させやすく、術者が意図した方向に操作しやすい。アウターシース1の突出量およびインナーシース2の突出量にかかわらず曲がりやすいコイルシース(コイルシース21、先端コイルシース12)が先端開口216付近を挿通するため、穿刺デバイス100は先端部が十二指腸乳頭に位置するまで容易に湾曲できる。起上台217よって固定されたアウターシース1からインナーシース2のコイルシース21が突出するため、位置決めした位置P1から口側隆起Opにまっすぐ穿刺できる。
【0075】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0076】
(変形例1)
上記実施形態において、先端接続部32にはレーザ溶接等の接続処理に起因する段差や凹凸が形成されていた。しかしながら、先端接続部32に形成される段差や凹凸の態様はこれに限定されない。図20は、先端接続部32の変形例である先端接続部32Aを示す図である。図21は、図20に示す先端接続部32Aの断面図である。カバー4は、先端接続部32Aを跨いで設けられている。先端接続部32Aは、針管3とコイルシース21との間の隙間Gに設けられている。すなわち、針管3とコイルシース21とは隙間Gを設けた状態で先端接続部32Aにより接続されている。カバー4は、先端接続部32Aにおける隙間Gの凹状の部分に引っ掛かって(係合して)いる。そのため、カバー4は、先端接続部32Aに強固に固定され、先端接続部32Aからずれにくい。
【0077】
(変形例2)
上記実施形態において、カバー4は先端接続部32においてレーザ溶接等の接続処理に起因する段差や凹凸に引っ掛かって固定されている。しかしながら、カバー4が固定される段差や凹凸の態様はこれに限定されない。図22は、カバー4の別の固定態様を示す図である。図22に示すカバー4は、針管3とコイルシース21の外径差によって生じる段差Sに引っ掛かって固定されている。カバー4は、段差Sに強固に固定され、段差Sからずれにくい。
【0078】
図23は、一部を溶融させたカバー4を示す図である。図22に示すカバー4は、図9に示すカバー4と同様に、一部を溶融させて取り付けられてもよい。図23に示すように、溶融させて取り付けられたカバー4は、溶融することでカバー4の先端にテーパ状のテーパ部4tが形成される。そのため、穿刺デバイス100の穿刺性能が向上する。
【0079】
(変形例3)
図24は、カバー4が引掛けられる段差Sの別の態様を示す図である。図24に示すカバー4は、先端接続部32付近であって、針管3の外周面に設けられた段差Sに引っ掛かって固定されている。カバー4は、段差Sに強固に固定され、段差Sからずれにくい。
【0080】
(変形例4)
図25は、カバー4が引掛けられる段差Sの別の態様を示す図である。図25に示すカバー4は、先端接続部32付近であって、コイルシース21の外周面に設けられた段差Sに引っ掛かって固定されている。カバー4は、段差Sに強固に固定され、段差Sからずれにくい。
【0081】
図26は、一部を溶融させたカバー4を示す図である。図25に示すカバー4は、図9に示すカバー4と同様に、一部を溶融させて取り付けられてもよい。図26に示すように、溶融させて取り付けられたカバー4は、溶融することでカバー4の先端にテーパ状のテーパ部4tが形成される。そのため、穿刺デバイス100の穿刺性能が向上する。
【0082】
(変形例7)
上記実施形態において、カバー4は先端接続部32においてレーザ溶接等の接続処理に起因する段差や凹凸に引っ掛かって固定されている。しかしながら、カバー4が固定される段差や凹凸の態様はこれに限定されない。図27は、先端接続部32の変形例である先端接続部32Bを示す図である。図28は、図27に示す先端接続部32Bの断面図である。針管3とコイルシース21とは、接続用パイプ35を介して接続されている。接続用パイプ35には、ロウ付け用の開口36が設けられている。先端接続部32Bは、ロウ付け用の開口36から注入されたロウによって形成されている。カバー4は、先端接続部32Bを跨いで設けられている。図27に示すカバー4は、先端接続部32B付近であって、接続用パイプ35の先端側A1に設けられた段差Sに引っ掛かって固定されている。カバー4は、段差Sに強固に固定され、段差Sからずれにくい。
【0083】
(変形例8)
図29は、カバー4が引掛けられる段差Sの別の態様を示す図である。図30は、図29に示す先端接続部32Bの断面図である。図29に示すカバー4は、先端接続部32B付近であって、接続用パイプ35の外周面においてロウ付け用の開口36よりも先端側A1に設けられた引掛け孔38におって形成される段差Sに引っ掛かって固定されている。カバー4は、段差Sに強固に固定され、段差Sからずれにくい。
【符号の説明】
【0084】
300 内視鏡処置システム
200 内視鏡
222 鉗子口(基端開口)
230 処置具チャネル
100 穿刺デバイス
1 アウターシース
1a 先端開口
1b 基端開口
1d 先端
11 先端部(保護部材)
12 先端コイルシース
13 第一接続部
13s 第一ストッパ
14 中間コイルシース
15 第二接続部
15s 第二ストッパ
16 基端コイルシース
17 内部空間(ルーメン)
2 インナーシース
2a 先端開口
2b 基端開口
2d 先端
21 コイルシース
22 基端接続部
22t 突起
23 基端シース
27 内部空間(ガイドワイヤルーメン)
3 針管
3a 先端開口
3d 先端
3p 基端
31 鋭利部
31s 傾斜面
32,32A,32B 先端接続部
33 ディンプル(溝、凹部)
35 接続用パイプ
36 開口
37 内部空間
38 引掛け孔
4 カバー
4t テーパ部
5 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30