(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080678
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】信号生成回路、レーダ装置及び信号制御方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20240606BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20240606BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20240606BHJP
H03D 7/14 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G01S7/03
G01S13/34
H04B1/04 H
H03D7/14 C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203530
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】111146073
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】512078904
【氏名又は名称】立積電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】RichWave Technology Corp.
【住所又は居所原語表記】3F, No.1, Alley 20, Lane 407, Section 2, Tiding Blvd., NeiHu District, Taipei City 114, Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】葉 強華
【テーマコード(参考)】
5J070
5K060
【Fターム(参考)】
5J070AB19
5J070AD02
5J070AH31
5J070AH39
5K060BB07
5K060CC04
5K060DD06
5K060HH02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多値で正確な電力制御を実現する信号生成回路、レーダ装置及び信号制御方法を提供する。
【解決手段】信号生成回路は、デジタルアナログ変換器(DAC)及びミキサを含む。DACは、第一のモードにおいて、入力デジタル信号を2つの信号に変換するように構成される。入力デジタル信号の符号化コンテンツは、複数のビットを含む。ミキサは、DACに結合され、第一のモードにおいて、入力デジタル信号から変換された2つの信号をミキサの2つの入力ポートにそれぞれ入力し、出力信号を生成する。第一の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号に対応する出力信号の出力電力は、第二の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号に対応する出力信号の出力電力とは異なる。出力信号の強度は、入力デジタル信号から変換された2つの信号間の電圧差に関連する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号生成回路であって、
第一のモードにおいて、入力デジタル信号を第一の信号及び第二の信号に変換するように構成されたデジタルアナログ変換器(DAC)であって、前記入力デジタル信号の符号化コンテンツは、複数のビットを含む、デジタルアナログ変換器(DAC)と、
前記デジタルアナログ変換器に結合されたミキサであって、前記ミキサは、前記第一のモードにおいて前記ミキサの2つの入力ポートに前記第一の信号及び前記第二の信号をそれぞれ入力して出力信号を生成するように構成され、第一の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の出力電力は、第二の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の出力電力と異なり、前記出力信号の強度は、前記第一の信号と前記第二の信号との間の電圧差に関連する、ミキサと、
を備える、信号生成回路。
【請求項2】
前記ビットの数は2より大きく、前記出力信号は4つより多い異なる電圧を有する、請求項1に記載の信号生成回路。
【請求項3】
前記第一の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の振幅ピーク値と、前記第二の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の振幅ピーク値との間に、線形関係がある、請求項1に記載の信号生成回路。
【請求項4】
前記線形関係は、ステップに対応する勾配を有し、前記ステップは、前記第一の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の前記振幅ピーク値と、前記第二の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の前記振幅ピーク値との間の変化量に比例し、前記ステップは、前記ビットの数に関連する、請求項3に記載の信号生成回路。
【請求項5】
前記2つの入力ポートは、差動入力ポートである、請求項1に記載の信号生成回路。
【請求項6】
前記出力信号は、パルス信号であり、前記パルス信号の振幅は、前記入力デジタル信号の前記符号化コンテンツに対応する、請求項1に記載の信号生成回路。
【請求項7】
前記ミキサに結合され、搬送波信号を前記ミキサに入力するように構成される周波数シンセサイザ
をさらに備え、
前記搬送波信号の周波数は、前記搬送波信号の周波数掃引期間内で時間と共に変化し、
前記搬送波信号の波形は、時間領域において第一のセグメント及び第二のセグメントを備え、
前記第一のセグメントにおける前記周波数は、時間と共に増加し、前記第二のセグメントにおける前記周波数は、時間と共に減少し、
ターニングセグメントが前記第一のセグメントと前記第二のセグメントとの間に形成され、
前記第一の信号、前記第二の信号及び前記搬送波信号は、前記ミキサに入力され、
前記ターニングセグメントに対応する前記出力信号の振幅は、前記第一のセグメント及び前記第二のセグメントに対応する前記出力信号の振幅とは異なる、請求項1に記載の信号生成回路。
【請求項8】
前記ターニングセグメントに対応する前記第一の信号と前記第二の信号との間の第一の電圧差は、前記第一のセグメント又は前記第二のセグメントに対応する前記第一の信号と前記第二の信号との間の第二の電圧差よりも小さい、請求項7に記載の信号生成回路。
【請求項9】
前記出力信号の前記出力電力は、-15dBm以下である、請求項1に記載の信号生成回路。
【請求項10】
前記ミキサは、第二のモードで中間周波数信号を混合するようにさらに構成される、請求項1に記載の信号生成回路。
【請求項11】
前記ミキサは、ダブルバランスミキサである、請求項1に記載の信号生成回路。
【請求項12】
レーダ装置であって、
請求項1に記載の信号生成回路と、
前記信号生成回路に結合され、前記出力信号に従って送信信号を生成するように構成される送信回路であって、前記送信信号は、前記レーダ装置によって送信される、送信回路と、
を備える、レーダ装置。
【請求項13】
前記送信回路が、
前記信号生成回路に結合され、前記出力信号の振幅を増幅して前記送信信号を生成するように構成される増幅器であって、前記送信信号はアンテナを介してさらに送信される、増幅器
を備える、請求項12に記載のレーダ装置。
【請求項14】
信号制御方法であって、
第一のモードにおいて、入力デジタル信号を第一の信号及び第二の信号に変換するステップであって、前記入力デジタル信号の符号化コンテンツは、複数のビットを含む、ステップと、
前記第一のモードにおいて、ミキサを介して前記第一の信号及び前記第二の信号に従って出力信号を生成するステップであって、第一の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の出力電力は、第二の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の出力電力と異なり、前記出力信号の強度は、前記第一の信号と前記第二の信号との間の電圧差に関連する、ステップと、
を含む、信号制御方法。
【請求項15】
前記ビットの数は2より大きく、前記出力信号は4つより多い異なる電圧を有する、請求項14に記載の信号制御方法。
【請求項16】
前記第一の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の振幅ピーク値と、前記第二の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の振幅ピーク値との間に、線形関係がある、請求項14に記載の信号制御方法。
【請求項17】
前記線形関係は、ステップに対応する勾配を有し、前記ステップは、前記第一の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の前記振幅ピーク値と、前記第二の符号化コンテンツを有する前記入力デジタル信号に対応する前記出力信号の前記振幅ピーク値との間の変化量に比例し、前記ステップは、前記ビットの数に関連する、請求項16に記載の信号制御方法。
【請求項18】
前記出力信号は、パルス信号であり、前記パルス信号の振幅は、前記入力デジタル信号の前記符号化コンテンツに対応する、請求項14に記載の信号制御方法。
【請求項19】
前記ミキサに搬送波信号を入力するステップであって、前記搬送波信号の周波数は、前記搬送波信号の周波数掃引期間内で時間と共に変化し、前記搬送波信号の波形は、時間領域において第一のセグメント及び第二のセグメントを備え、前記第一のセグメントにおける前記周波数は時間と共に増加し、前記第二のセグメントにおける前記周波数は時間と共に減少し、ターニングセグメントが前記第一のセグメントと前記第二のセグメントとの間に形成される、ステップと、
前記第一の信号、前記第二の信号及び前記搬送波信号を前記ミキサに入力するステップであって、前記ターニングセグメントに対応する前記出力信号の振幅は、前記第一のセグメント及び前記第二のセグメントに対応する前記出力信号の振幅とは異なる、ステップと、
をさらに含む、請求項14に記載の信号制御方法。
【請求項20】
前記ターニングセグメントに対応する前記第一の信号と前記第二の信号との間の第一の電圧差は、前記第一のセグメント又は前記第二のセグメントに対応する前記第一の信号と前記第二の信号との間の第二の電圧差よりも小さく設定するステップ
をさらに含む、請求項19に記載の信号制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年12月1日に出願された台湾特許出願公開第111146073号の優先権の利益を主張する。上記の特許出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
本発明は、信号処理技術に関し、特に、信号生成回路、レーダ装置及び信号制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
超広帯域(UWB)のために使用されるレーダ及び通信システムは、超低電力制御に対する要件を有することがある。UWB用のレーダシステムのうち、周波数変調連続波形(FMCW)及びインパルス無線レーダシステムは、以下の課題、すなわち、周波数スペクトル上のチャープ信号のスパイクを弱める(ロールオフする)必要性、及びデジタル情報を搬送するために符号化方式を使用する必要性に直面する可能性が高い。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態による信号生成回路は、デジタルアナログ変換器(DAC)及びミキサを含むが、これらに限定されない。デジタルアナログ変換器は、第一のモードにおいて、入力デジタル信号を2つの信号に変換するように構成される。入力デジタル信号の符号化コンテンツは、複数のビットを含む。ミキサは、デジタルアナログ変換器に結合され、第一のモードにおいて入力デジタル信号から変換された2つの信号をミキサの2つの入力ポートにそれぞれ入力して出力信号を生成するように構成される。第一の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号に対応する出力信号の出力電力は、第二の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号に対応する出力信号の出力電力とは異なり、出力信号の強度は、入力デジタル信号から変換された2つの信号間の電圧差に関連する。
【0005】
本開示の一実施形態によるレーダ装置は、上述した信号生成回路及び送信回路を含むが、それらに限定されるものではない。送信回路は、信号生成回路に結合される。送信回路は、出力信号に従って送信信号を生成するように構成される。送信信号は、レーダ装置によって送信される。
【0006】
本開示の一実施形態による信号制御方法は、第一のモードにおいて、入力デジタル信号の符号化コンテンツが複数のビットを含む入力デジタル信号を2つの信号に変換するステップと、また、第一のモードにおいて、ミキサを介して入力デジタル信号から変換された2つの信号に従って出力信号を生成するステップと、を含むが、それらに限定されるものではない。第一の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号に対応する出力信号の出力電力は、第二の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号に対応する出力信号の出力電力とは異なり、出力信号の強度は、入力デジタル信号から変換された2つの信号間の電圧差に関連する。
【0007】
本開示の上記及び他の特徴及び利点をより分かりやすくするために、添付の図面を参照して例示的な実施形態を以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態による信号生成回路の構成要素のブロック図である。
【
図2A】本開示の一実施形態によるレーダ装置の構成要素のブロック図である。
【
図2B】本開示の一実施形態によるレーダ装置の構成要素のブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるミキサの回路図である。
【
図4A】本開示の一実施形態による複数の符号化コンテンツ及び対応する波形の図である。
【
図4B】本開示の一実施形態による複数の符号化コンテンツのスペクトル図である。
【
図5A】本開示の一実施形態による実際の出力信号及び予想される出力信号のスペクトル図である。
【
図5B】本開示の一実施形態によるキャリア信号及び2つの信号の波形図である。
【
図6】本開示の一実施形態による符号化コンテンツ及び対応するパルス信号の図である。
【
図7】本開示の一実施形態による電力制御のスペクトル図である。
【
図8】本発明の実施形態による信号制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の一実施形態による信号生成回路3の構成要素のブロック図である。信号生成回路3は、デジタルアナログ変換器(DAC)31と、ミキサ32と、を含む(が、これらに限定されない)。デジタルアナログ変換器31は、ミキサ32に結合される。デジタルアナログ変換器31は、デジタル形式の入力デジタル信号DSをアナログ形式の信号(例えば、信号S1及びS2)に変換するように構成される。デジタルアナログ変換器31は、N段(Nは入力デジタル信号DSのビットの数で、ゼロより大きい正の整数である)オーバーサンプリング変調器又はNビットナイキスト周波数サンプラによって実装されてもよい。
【0011】
信号生成回路3のアーキテクチャは、レーダ又は通信システムに、特に超広帯域(UWB)用のレーダ又は通信システムに適用可能である。以下では、
図2A及び
図2Bに、信号生成回路3(信号生成回路13として実装)がどのように動作するかを示すために、例示的な実施形態としてのレーダ装置10及びレーダ装置20を示す。
【0012】
図2Aは、本開示の一実施形態によるレーダ装置の構成要素10のブロック図である。
図2Aを参照すると、レーダ装置10は、送信アンテナ11と、送信回路12と、信号生成回路13と、受信アンテナ14と、受信回路15とを含む(が、これらに限定されない)。
図2Aの信号生成回路13は、レーダ装置に適用された、
図1の信号生成回路3の実装である。レーダ装置10は、例えば、気象、速度測定、逆転、地形、軍事等の分野に適用可能である。レーダ装置10は、周波数変調連続波(FMCW)レーダであっても、あるいはインパルス無線(IR)超広帯域(UWB)レーダであってもよい。
【0013】
送信回路12は、送信アンテナ11に結合される。一実施形態では、送信回路12は、送信アンテナ11を介して信号を送信するように構成される。
【0014】
信号生成回路13は、送信回路12に結合される。信号生成回路13は、デジタルアナログ変換器(DAC)131と、ミキサ132とを含む(が、これらに限定されない)。
【0015】
デジタルアナログ変換器131は、ミキサ132に結合される。デジタルアナログ変換器131は、デジタル形式の入力デジタル信号DSをアナログ形式の信号(例えば、信号S1及びS2)に変換するように構成される。デジタルアナログ変換器131は、N段(Nは入力デジタル信号DSのビットの数で、ゼロより大きい正の整数である)オーバーサンプリング変調器又はNビットナイキスト周波数サンプラによって実装されてもよい。
【0016】
ミキサ132は、送信回路12に接続される。ミキサ132は、デジタルアナログ変換器131の出力信号(例えば、信号S1及びS2)を処理し、出力信号OSを生成するように構成される。送信回路12は、レーダ装置10の送信アンテナ11から送信される出力信号OSに従って送信信号を生成してもよい。
【0017】
受信回路15は、受信アンテナ14に結合される。受信回路15は、受信アンテナ14を介してエコー信号を受信するように構成される。エコー信号は、送信アンテナ11によって送信された送信信号が外部物体によって反射されたときに、生成されるが、これに限定されない。
【0018】
レーダ装置10の詳細なハードウェアアーキテクチャについて、以下で、
図2Bを参照して説明する。
【0019】
図2Bは、本開示の一実施形態によるレーダ装置20の構成要素のブロック図である。
図2Bを参照すると、レーダ装置20は、レーダ装置10の具体的な実装である。レーダ装置20は、送信アンテナ11と、送信回路12と、信号生成回路13と、受信アンテナ14と、受信回路15と、周波数シンセサイザ16と、変調器17と、中間周波数処理回路18と、コントローラ19とを含む(が、これらに限定されない)。
【0020】
送信回路12は、電力増幅器PAを含む。電力増幅器PAは、出力信号OSを増幅して送信信号を生成し、送信アンテナ11を介して外部に送信する(すなわち、送信された電磁波は、レーダ装置20の出力信号OSを搬送する)。
【0021】
信号生成回路13は、フィルタ133をさらに含んでもよい。フィルタ133は、デジタルアナログ変換器131から出力されたアナログ信号をローパスフィルタリングして、ミキサ132に入力される信号(例えば、信号S1及びS2)を生成する。しかしながら、他の実施形態では、信号生成回路13は、フィルタ133を含まなくてもよい。
【0022】
受信回路15は、低雑音増幅器LNAを含む。低雑音増幅器LNAは、受信アンテナ14で受信された信号を増幅して、受信無線周波数信号を生成する。
【0023】
周波数シンセサイザ16は、ミキサ132及び中間周波数処理回路18のミキサ182に結合される。周波数シンセサイザ16は、搬送波信号CSをミキサ132及び/又はミキサ182に入力する。一実施形態では、搬送波信号CSは、鋸波又は三角波であってもよいし、あるいは搬送波信号CSは、FMCWに適用される他の搬送波信号(線形信号、幾何学的信号、その他のチャープ信号等)、例えば、FMCWレーダ用の周波数掃引信号であってもよく、その周波数は、周波数掃引期間の間に、時間と共に変化する。別の実施形態では、搬送波信号CSは、固定周波数連続波又は固定周波数信号、例えば、IR-UWBレーダ用の固定周波数搬送波信号CSであってもよい。
【0024】
変調器17は、周波数シンセサイザ16に結合される。変調器17は、シグマデルタ変調器(SDM)であってもよい。変調器17は、周波数掃引信号としての搬送波信号CSの周波数を変更するステップを調整するように構成される。
【0025】
中間周波数処理回路18は、アナログデジタル変換器(ADC)181と、ミキサ182と、調整回路183と、を含んでもよい。
【0026】
ミキサ182は、受信回路15、周波数シンセサイザ16、及び調整回路183に結合される。ミキサ182は、受信回路15の出力信号(例えば、上述した受信無線周波数信号)と搬送波信号CSとを処理して、中間周波数信号を生成するように構成される。
【0027】
調整回路183は、増幅器及び/又はフィルタを含んでもよく、中間周波数信号を増幅及び/又はローパスフィルタリングするように構成される。
【0028】
アナログデジタル変換器181は、アナログ形式の中間周波数信号をデジタル信号に変換するように構成される。
【0029】
コントローラ19は、デジタルアナログ変換器131及びアナログデジタル変換器181に結合される。コントローラ19は、チップ、プロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は任意のタイプのデジタル回路であってもよい。一実施形態では、コントローラ19は、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツを決定するように構成され、そのコンテンツについては、後の実施形態で詳細に説明される。一実施形態では、コントローラ19は、モードを決定するように構成され、モードについては、後の実施形態で詳細に説明される。一実施形態では、コントローラ19は、中間周波数処理回路18の出力信号に従って、外部物体の位置情報を決定するように構成される。
【0030】
他の実施形態では、信号生成回路13は、他の無線周波数デバイスに搭載されてもよい。
【0031】
以下では、レーダ装置10及び20の動作を様々な構成要素とともに説明する。
【0032】
一実施形態では、デジタルアナログ変換器131は、第一のモードにおいて、入力デジタル信号DSを信号S1及び信号S2に変換するように構成される。第一のモードは、電力制御モード又は電力調整に関連する他のモードであってもよく、信号生成回路13の出力電力を調整するために使用される。
【0033】
一実施形態では、入力デジタル信号DSは、符号化デジタル信号であり、デジタルアナログ変換器131は、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツに従って信号S1と信号S2の両方を出力する。入力デジタル信号DSの符号化コンテンツは、複数のビットを含む。
【0034】
一実施形態では、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツのビットの数は、2である。例えば、表(1)は、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツ(2ビット)と、信号S1及び信号S2の出力電圧とを示す比較表である。
【表1】
符号化コンテンツが「00」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧が0ボルト(例えば接地)、1.2ボルト(例えば電源電圧)のDC信号であり、符号化コンテンツが「01」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧が0.3ボルト及び1ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「10」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧0.6ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「11」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧が1ボルト及び0.3ボルトのDC信号である。信号生成回路13の出力信号OSについては、後の実施形態で詳細に説明する。
【0035】
別の実施形態では、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツのビットの数は、2より大きい。例えば、表(2)は、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツ(3ビット)と、信号S1及び信号S2の出力電圧とを示す比較表である。
【表2】
符号化コンテンツが「000」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧が0ボルト及び1.2ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「001」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧が0.15ボルト及び1.05ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「010」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧が0.3ボルト及び0.9ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「011」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧が0.45ボルト及び0.75ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「100」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧0.6ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「101」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧0.75ボルト及び0.45ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「110」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧0.9ボルト及び0.3ボルトのDC信号であり、符号化コンテンツが「111」の場合、信号S1及びS2は、それぞれ出力電圧が1.05ボルト及び0.15ボルトのDC信号である。出力信号OSについては、後の実施形態で詳細に説明する。
【0036】
入力デジタル信号DSの符号化コンテンツは、4ビット、5ビット、6ビット等から構成されてもよいことに留意されたい。さらに、符号化コンテンツと信号S1及び信号S2の出力電圧との対応関係に他の変化があってもよい。対応関係は、ユーザの要求に応じて変更されてもよく、本発明の実施形態は、いかなる変更も限定することを意図しない。
【0037】
一実施形態では、第一のモード(例えば、電力制御モード又は電力調整に関連する他のモード)において、ミキサ132は、信号S1及び信号S2をミキサ132の2つの入力ポートにそれぞれ入力して、出力信号OSを生成する。すなわち、ミキサ132は、2つの入力ポートを介してそれぞれ入力される信号S1及び信号S2を処理して、出力信号OSを生成する。
【0038】
図3は、本開示の一実施形態によるミキサ132-1の回路図である。
図3を参照すると、ミキサ132-1は、ミキサ132又はミキサ182の具体的な実装である。ミキサ132-1は、ダブルバランスミキサ(例えば、Gilbertセル)である。
【0039】
ミキサ132-1は、トランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6を含む。トランジスタT1の制御ポート(例えば、ゲート)は、デジタルアナログ変換器131の出力ポートに結合され、ミキサ132-1の2つの入力ポートの一方となり、制御信号IF+(例えば、信号S1又は信号S2のいずれか一方)を受信する。トランジスタT4の制御ポート(例えば、ゲート)は、デジタルアナログ変換器131の出力ポートに結合され、ミキサ132-1の2つの入力ポートの他方となり、制御信号IF-(例えば、信号S1及び信号S2の他方)を受信する。
【0040】
一実施形態では、第一のモードでは、ミキサ132-1の2つの入力ポートは、差動入力ポートである。一例として、制御信号IF+を信号S1とし、制御信号IF-を信号S2とすると、信号S1と信号S2とは、差動信号のセットを形成し、信号S1と信号S2との出力電圧は、差動電圧のセットを形成する。
【0041】
別の実施形態では、第二のモードにおいて、制御信号IF+及びIF-は、中間周波数信号である。例えば、信号S1及び信号S2は、AC形式の正弦波信号である。第二のモードは、混合モード、又は複数の入力信号に従って新しい周波数を生成するための他のモードであってもよい。
【0042】
トランジスタT1の第一のポート(例えば、ソース)は、電流源SC(その他方のポートは、基準電圧ポート、例えば、接地に結合するために使用される)に結合され、トランジスタT1の第二のポート(例えば、ドレイン)は、トランジスタT1の出力ポートとして使用される。トランジスタT1は、制御信号IF+によって制御され、その導通状態を変化させる。例えば、トランジスタT1をオン又はオフにすることで、制御信号IF+を出力又は遮断してもよい。
【0043】
例えば、制御信号IF+がDC高電圧レベルのとき、トランジスタT1はオンになり、トランジスタT1は、制御信号IF+をトランジスタT2に出力する。別の例では、AC形式の制御信号IF+をトランジスタT1に入力し、トランジスタT1の導通状態、例えばオン又はオフを動的に制御する。別の例では、制御信号IF+がDC低電圧レベル(すなわち、接地電位等の基準電圧の電位)のとき、トランジスタT1はオフになり、トランジスタT1は、出力がない。
【0044】
トランジスタT2の制御ポート(例えば、ゲート)は、入力信号LO+を受信するように構成され、トランジスタT2の第一のポート(例えば、ソース)は、トランジスタT1の出力ポートに結合され、トランジスタT2の第二のポート(例えば、ミキサ132-1の他の2つの入力ポートのうちの1つとして機能するドレイン)は、トランジスタT2の出力ポートとして機能する。入力信号LO+は、クロック信号であっても、あるいは局部発振器信号であってもよい。トランジスタT2は、入力信号LO+によって制御され、その導通状態を変化させる。例えば、トランジスタT2をオン又はオフにすることで、制御信号IF+を通過又は遮断してもよい。トランジスタT2は、トランジスタT1によって出力された制御信号IF+及び入力信号LO+を処理して、出力信号RF+を形成してもよい。
【0045】
トランジスタT3の制御ポート(例えば、ゲート)は、入力信号LO-を受信するように構成され、トランジスタT3の第一のポート(例えば、ソース)は、トランジスタT1の出力ポートに接続され、トランジスタT3の第二のポート(例えば、ドレイン)は、(電源電圧VDDを受けるために任意選択でチョークコイルCHに結合された)トランジスタT3の出力ポートとして機能する。入力信号LO-は、クロック信号であっても、あるいは局部発振器信号であってもよい。トランジスタT3は、入力信号LO-によって制御され、その導通状態を変化させる。例えば、トランジスタT3をオン又はオフにすることで、制御信号IF+を通過又は遮断してもよい。トランジスタT3は、トランジスタT1によって出力された制御信号IF+及び入力信号LO-を処理して、出力信号RF+とは異なる出力信号RF-を形成してもよい。
【0046】
さらに、トランジスタT4の第一のポート(例えばソース)は、電流源SCに接続され、トランジスタT4の第二のポート(例えばドレイン)は、トランジスタT4の出力ポートとして機能する。トランジスタT4は、制御信号IF-によって制御され、その導通状態を変化させる。例えば、トランジスタT4をオン又はオフにすることで、制御信号IF-を出力又は遮断してもよい。
【0047】
例えば、制御信号IF-がDC高電圧レベルのとき、トランジスタT4はオンになり、トランジスタT4は、制御信号IF-をトランジスタT5に出力する。別の例では、AC形式の制御信号IF-をトランジスタT4に入力し、トランジスタT4の導通状態、例えばオン又はオフを動的に制御する。別の例では、制御信号IF-がDC低電圧レベル(すなわち、接地電位等の基準電圧の電位)のとき、トランジスタT4はオフになり、トランジスタT4は、出力がない。
【0048】
トランジスタT5の制御ポート(例えば、ゲート)は、入力信号LO+を受信するように構成され、トランジスタT5の第一のポート(例えば、ソース)は、トランジスタT4の出力ポートに結合され、トランジスタT5の第二のポート(例えば、ドレイン)は、トランジスタT5の出力ポートとして機能する。トランジスタT5は、入力信号LO+によって制御され、その導通状態を変化させる。例えば、トランジスタT5をオン又はオフにすることで、制御信号IF-を通過又は遮断してもよい。トランジスタT5は、トランジスタT4によって出力された制御信号IF-及び入力信号LO+を処理して、出力信号RF-を形成してもよい。
【0049】
トランジスタT6の制御ポート(例えば、ミキサ132-1の他の2つの入力ポートのうちの他方として機能するゲート)は、入力信号LO-を受信するように構成され、トランジスタT6の第一のポート(例えば、ソース)は、トランジスタT4の出力ポートに結合され、トランジスタT6の第二のポート(例えば、ドレイン)は、(任意選択でチョークコイルCHに結合された)トランジスタT6の出力ポートとして機能する。トランジスタT6は、入力信号LO-によって制御され、その導通状態を変化させる。例えば、トランジスタT6をオン又はオフにすることで、制御信号IF-を通過又は遮断してもよい。トランジスタT6は、トランジスタT4によって出力された制御信号IF-及び入力信号LO-を処理して、出力信号RF-とは異なる出力信号RF+を形成してもよい。
【0050】
一実施形態では、第一のモードにおいて、信号S1及び信号S2は、DC信号である。このとき、制御信号IF+、IF-は、DC信号であり、ミキサ132-1は、バッファ、減衰器、電源として用いられる。第一の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号DSに対応する出力信号OSの出力電力は、第二の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号DSに対応する出力信号OSの出力電力とは異なる。出力信号OSは、上述した出力信号RF+及び出力信号RF-を含む。すなわち、符号化コンテンツの異なる入力デジタル信号DSは、出力電力の異なる出力信号OSを生成することができる。また、出力信号OSの強度は、信号S1と信号S2との電圧差に関係する。すなわち、信号S1と信号S2の電圧差を変化させることで、強度/出力電力の異なる出力信号OSを生成することができる。
【0051】
表(1)を例にとると、符号化コンテンツが「00」の場合、出力信号OSは+VfLO_maxボルト(VfLO_maxは最大電圧)であり、符号化コンテンツが「01」の場合、出力信号OSは+VfLOボルト(VfLOは0~VfLO_maxの電圧)であり、符号化コンテンツが「10」の場合、出力信号OSは0ボルトであり、符号化コンテンツが「11」の場合、出力信号OSは-VfLOボルトである。VfLO=VDC*COS(2πfLOt+φ)であり、式中、VDCは信号S1又はS2の出力電圧であり、fLOは搬送波信号CS(例えば、正弦波信号又はクロック信号)の周波数であり、φは位相定数である。
【0052】
出力信号OSの極性は、信号S1と信号S2との間の電圧差の極性に関係する。例えば、信号S1と信号S2の電圧差が正であれば、出力信号OSは正となり、信号S1と信号S2の電圧差が負であれば、出力信号OSは負となる。すなわち、電圧差が信号S1から信号S2を引いたものであると仮定すると、信号S1が信号S2よりも大きい場合、出力信号OSは正となり、信号S1が信号S2よりも小さい場合、出力信号OSは負となる。また、信号S1と信号S2が等しい場合、出力信号OSはゼロとなる。すなわち、ミキサ132/132-1は、出力がない。
【0053】
一実施形態では、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツのビットの数(すなわち、ビットの総数)は、2より大きく、出力信号OSは、4つより多い異なる電圧を有する。表(2)を例にとると、ビットの数は、3である。符号化コンテンツは、「000」、「001」、「010」、「011」、「100」、「101」、「110」、「111」であり、出力信号OSは、+42ΔVfLO、+32ΔVfLO、+22ΔVfLO、+12ΔVfLO、0(すなわち、出力なしのNIL)、-12ΔVfLO、-22ΔVfLO、-32ΔVfLOボルトである。すなわち、8つの異なる電圧が存在する。信号S1と信号S2の電圧差の絶対値が大きくなると、出力信号OSの絶対値も大きくなり、信号S1と信号S2との電圧差の絶対値が小さくなると、信号S1と信号S2とが等しくなるまで、すなわち出力がなくなるまで、出力信号OSの絶対値も小さくなる。
【0054】
図4Aは、本開示の一実施形態による複数の符号化コンテンツ及び対応する波形の概略図である。
図4Aを参照すると、入力信号LO+、LO-は、周波数f
LOの正弦波信号であると仮定する。符号化コンテンツ「001」、「010」、「011」に対応する出力信号OSの振幅ピーク値は、異なる。
【0055】
図4Bは、本開示の一実施形態による複数の符号化コンテンツのスペクトル図である。
図4Bを参照すると、符号化コンテンツ「001」、「010」、「011」に対応する出力信号OSの周波数は、いずれもf
LOであるが、周波数スペクトルにおける出力電力が異なる。
【0056】
一実施形態では、第一の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号DSに対応する出力信号OSの振幅ピーク値と、第二の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号DSに対応する出力信号OSの振幅ピーク値との間には、線形関係がある。表(2)を例にとると、符号化コンテンツ「000」に対応する出力信号OSの振幅ピーク値は、符号化コンテンツ「011」に対応する出力信号OSの振幅ピーク値の42倍である。残りについても同様であるが、「000」、「001」、「010」、「011」、「101」、「110」、「111」の符号化コンテンツは、全てΔVfLOの整数倍である。
【0057】
一実施形態では、線形関係は、ステップに対応する勾配を含む。線形関係が線形関数として表されるとき、線形関数は、勾配を含む。このステップは、第一の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号DSに対応する出力信号OSの振幅ピーク値と、第二の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号に対応する出力信号の振幅ピーク値との変化量に比例し、ステップは、符号化コンテンツのこれらのビットの数(すなわち、ビット数)に関係する。例えば、ステップはΔVfLOであり、出力信号OSの振幅ピーク値は、VfLOであり、ΔVfLO=2VfLO/(2N-2)2である。Nは、符号化コンテンツのビットの数であり、デジタルアナログ変換器131のビットスケールであってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、乗数差に加えて、表(2)の出力信号OSの振幅ピーク値の間に一定の差も存在することがある。さらに、異なる符号化コンテンツに対応する出力信号の振幅間の関係は、線形関係に限定されず、他の数学的関係であっても、あるいは定式化されていない関係であってもよい。
【0059】
一実施形態では、出力信号OSの出力電力は、-15dBm以下、例えば-40dBmであってもよい。しかしながら、実際のニーズに応じて、出力電力を変更してもよい。
【0060】
出力信号OSの振幅を迅速に切り替える効果は、デジタルアナログ変換器131及びミキサ132-1の電流駆動によって達成できることに注目する価値がある。
【0061】
一実施形態では、搬送波信号CSの周波数は、周波数掃引期間中に時間と共に変化する。すなわち、搬送波信号CSは、鋸波、三角波又は他のチャープ/FMCW信号等の周波数掃引信号である。
図5Aは、本開示の一実施形態による実際の出力信号OS及び予想される出力信号OSのスペクトル図であり、
図5Bは、本開示の一実施形態による搬送波信号CS及び2つの信号S1及びS2の波形図である。
図5Aを参照すると、予想スペクトル501と実際のスペクトル502とを比較すると、実際のスペクトル502は、周波数帯域のエッジにおいて、より高い強度を有するスパイクピークを有してもよい。より高い強度のスパイクピークでは、いくつかの通信技術(例えば、UWB)の仕様により送信電力の低減を必要とすることがあり、これは、レーダの感知範囲に影響を及ぼす。
【0062】
図5Bを参照すると、搬送波信号CSの波形が時間領域において2つのセグメントを含むため、スパイクピークが形成される。2つのセグメントのうちの一方のセグメントの周波数は、三角波511の立ち上がりセグメント、すなわち第一のセグメント512として
図5Bに示すように、時間と共に増加/上昇する。2つのセグメントのうちの他方のセグメントの周波数は、三角波511の立ち下がりセグメント、すなわち第二のセグメント513として
図5Bに示すように、時間と共に減少/下降する。ターニングセグメントは、三角波511の立ち上がりセグメントと立ち下がりセグメントとの間のターニングポイントとして
図5Bに示すように、2つのセグメントの間に形成されているが、ターニングセグメントは、立ち下がりセグメントと立ち上がりセグメントとの間のターニングポイントに現れてもよい。
【0063】
ミキサ132/132-1には、信号S1及びS2と、周波数掃引信号としての搬送波信号CSは、入力される。例えば、
図3のトランジスタT1の制御ポートには、信号S1が入力され、トランジスタT4の制御ポートには、信号S2が入力され、トランジスタT2、T3、T5、T6の制御ポートには、搬送波信号CSが入力される。ターニングセグメントに対応する出力信号OSの振幅は、第一のセグメント512及び第二のセグメント513(すなわち、立ち上がりセグメント及び立ち下がりセグメント)に対応する出力信号OSの振幅と異なる。例えば、ターニングセグメントに対応する出力信号OSの第一の出力電力は、2つのセグメントのうちの一方(例えば、第一のセグメント512/立ち上がりセグメント)に対応する出力信号OSの第二の出力電力よりも小さく、ターニングセグメントに対応する出力信号OSの第一の出力電力は、2つのセグメントのうちの他方(例えば、第二のセグメント513/立ち上がりセグメント)に対応する出力信号OSの第三の出力信号よりも小さい。
【0064】
さらに、表(1)及び表(2)によれば、信号S1と信号S2との電圧差を出力信号OSの出力電力に反映させることができる。ターニングセグメントに対応する信号S1及びS2の振幅はまた、立ち下がりセグメント(すなわち、第二のセグメント513)及び立ち上がりセグメント(すなわち、第一のセグメント512)に対応する信号S1及びS2の振幅と異なっていてもよい。
図5Bを例にとると、立ち下がりセグメント及び立ち上がりセグメントに対応する信号S1の振幅DC
IF+が最も高い電圧レベルであり、立ち下がりセグメント及び立ち上がりセグメントに対応する信号S2の振幅DC
IF-が最も低い電圧レベルであり、振幅DC
IF+と振幅DC
IF-との電圧差DC
offset(絶対値)が最も大きい。ターニングセグメントに対応する信号S1の振幅DC
IF+とターニングセグメントに対応する信号S2の振幅DC
IF-との間の電圧差DC
offset(絶対値)が最も小さい。すなわち、立ち下がりセグメント又は立ち上がりセグメントに対応する信号S1とS2との間の電圧差DC
offsetは、ターニングセグメントに対応する信号S1とS2との間の電圧差DC
offsetよりも大きい。すなわち、ターニングセグメントに対応する信号S1とS2との間の電圧差DCoffsetは、立ち下がりセグメント又は立ち上がりセグメントに対応する信号S1とS2との間の電圧差DC
offsetよりも小さい。電圧差DC
offsetが小さくなると、出力信号OSの出力電力は、小さくなる。したがって、三角波511の異なるセグメントに対応する電圧差DC
offsetを上記の方法で制御することで、周波数帯域の端の強度を弱める(ロールオフする)ことができ、出力信号OSの周波数スペクトルを
図5Aに示す実スペクトル502から
図5Aに示す期待スペクトル501に近づけることができる。
【0065】
一実施形態では、搬送波信号CSの周波数は、固定されている。すなわち、搬送波信号CSは、固定周波数の信号である。この場合、出力信号OSはパルス信号であり、パルス信号の振幅は入力デジタル信号DSの符号化コンテンツに対応する。例えば、振幅の強度及び/又は位相極性は、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツに対応する。
【0066】
例えば、
図6は、本開示の一実施形態による符号化コンテンツ及び対応するパルス信号の図である。
図6を参照すると、時間間隔TDにおいて、正の短パルス(例えば、表(2)の符号化コンテンツが「010」であり、対応する出力信号OSが+2
2ΔV
fLOである)又は負の短パルス(例えば、表(2)の符号化コンテンツが「110」であり、対応する出力信号OSが-2
2ΔV
fLOである)を出力することができ、そして、時間間隔TDの終了後の次の時間間隔には出力がない(例えば、表(2)の符号化コンテンツは「100」であり、対応する出力信号OSは0又は無出力である)。表(1)を例にとると、コード「01」の入力デジタル信号は正の短パルスに対応し、コード「11」の入力デジタル信号は負の短パルスに対応し、コード「10」の入力デジタル信号は出力なしに対応してもよい。時間間隔TDの値が特定の閾値未満(例えば、2ナノ秒(ns)未満又は約2ナノ秒)であると仮定すると、出力信号OSは、周波数スペクトル上に平坦なスペクトル拡散信号を形成し、UWB用途に使用することができ、距離及び位置を決定するためにも使用することができる。
【0067】
一実施形態では、出力信号OSは、同相信号であっても、あるいは異相信号であってもよい。同相信号の生成は、例えば、表(2)の「001」、「010」、「011」の符号化コンテンツである。異相信号の生成は、例えば、表(2)の「101」、「110」、「111」の符号化コンテンツである。
【0068】
一実施形態では、出力信号OSは、二位相偏移変調(BPSK)信号であってもよい。例えば、表(2)において、「010」(同相信号に相当)、「100「(無出力に相当)、「110」(異相信号に相当)の符号化コンテンツを選択することにより、BPSKパルス/パルス列を実現することができる。
【0069】
図7は、本開示の一実施形態による電力制御のスペクトル図である。
図7を参照すると、設計要件に従って、
図2Bのコントローラ19は、異なる符号化コンテンツに対応する出力信号OSの最大出力電力間の電力差を定義してもよい。例えば、3つの符号化コンテンツに対応する出力信号OSの出力電力701、702、703の最大値の電力差は、10dB(デシベル)未満であるが、本開示では、これに限定されない。
【0070】
一実施形態では、第二のモード(例えば、複数の入力信号に従って新しい周波数を生成するための混合モード又は他のモード)において、信号S1及びS2は、AC中間周波数信号である。ミキサ132は、また、中間周波数信号と搬送波信号CSとを混合するように構成される。中間周波数信号は、例えば、正弦波信号又は他の波形のAC信号である。
図3を例にとると、制御信号IF+,IF-は中間周波数信号(例えば、AC形式の正弦波信号)であり、入力信号LO+,LO-は搬送波信号CS(例えば、周波数掃引信号又は固定周波数信号)である。ミキサ132は、搬送波信号CSに従って中間周波数信号を混合して、出力信号RF+及びRF-を生成し、出力信号RF+及びRF-は、無線周波数信号である。
【0071】
図8は、本発明の実施形態による信号制御方法のフローチャートである。
図1及び
図8を参照すると、第一のモードでは、入力デジタル信号DSは2つの信号S1及びS2に変換され、入力デジタル信号DSの符号化コンテンツは複数のビットを含む(ステップS810)。第一のモードでは、入力デジタル信号DSから変換された2つの信号S1及びS2に従ってミキサ132による出力信号が生成される(ステップS820)。第一の符号化コンテンツの入力デジタル信号DSに対応する出力信号OSの出力電力は、第二の符号化コンテンツを有する入力デジタル信号DSに対応する出力信号OSの出力電力と異なる。さらに、出力信号OSの強度は、入力デジタル信号DSから変換された2つの信号S1とS2との電圧差に関係する。
【0072】
図8における各ステップの実装の詳細は、前述の実施形態及び実施例の中で説明されており、ここでは繰り返さない。回路の形態で実装されることに加えて、本開示の実施形態のステップ及び詳細は、また、ソフトウェアの形態のプロセッサによって実装されてもよく、このことは、本開示の実施形態によって限定されない。
【0073】
要するに、本開示の実施形態による信号生成回路、レーダ装置及び信号制御方法では、符号化コンテンツの異なる入力デジタル信号を定義し、ミキサを介して出力電力の異なる対応する出力信号を生成することで、多値で正確な電力制御を実現する。デジタルアナログ変換器を介して信号を迅速に切り替えることによって、パルス列及びスペクトル拡散信号を実現することができる。さらに、ミキサに入力される2つの信号間の電圧差を制御して、搬送波信号のターニングセグメントで、より低い出力電力を印加することによって、FMCW信号が周波数スペクトル上の周波数帯域のエッジにおいてスパイクピークを形成することを防止することができる。
【0074】
用途に関して、本開示の実施形態は、連続波(CW)、FMCW、パルスタイプCW、又は短パルス信号を実現することができ、これらは、UWBリモートセンシングに適用することも、存在センシング、バイタルサインモニタリング、又は液位検出のための屋内近距離センサを実現するために厳密な送信要件を有するUWBのための正確な超低電力制御(例えば、-15dBm未満)のために使用することもでき、周波数スペクトル上の周波数帯域のエッジにおいてFMCW信号を迅速にドロップダウンすることができ、パルス列のためのBPSK高速符号化能力を達成することができ、他の適切な送信信号に適用することができる。
【0075】
本開示では、例示的な実施形態を参照して上記で説明してきたが、それらの実施形態は、本開示を限定することを意図しない。当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、変更及び修正してもよい。したがって、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義されるべきである。
【外国語明細書】