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特開2024-80706錐形状発泡体の製造方法およびその搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080706
(43)【公開日】2024-06-14
(54)【発明の名称】錐形状発泡体の製造方法およびその搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20240607BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20240607BHJP
   B29C 39/22 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
B65G47/14 W
B65G47/14 101C
B29C39/02
B29C39/22
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012647
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2019151878の分割
【原出願日】2019-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大西 正洋
(72)【発明者】
【氏名】毛受 浩
【テーマコード(参考)】
3F080
4F204
【Fターム(参考)】
3F080AA05
3F080AA06
3F080AA08
3F080AA10
3F080BA02
3F080BC01
3F080BE09
3F080BF02
3F080BF14
3F080CB03
3F080CB09
3F080CB11
3F080CE03
3F080CE11
3F080CF02
3F080DA03
3F080DB04
4F204AA42
4F204AB02
4F204AC05
4F204EW50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安価で効率良く錐形状発泡体を整列して成形後工程に搬送して製造することができる錐形状発泡体の製造方法およびその搬送装置を提供する。
【解決手段】成形型に形成したキャビティ内に注入した発泡体原料を発泡硬化することで、長手方向の一方端側に大径部102を有すると共に他方端側に小径部104を有する先細り形状の錐形状発泡体100を成形し、貯留部に貯留した錐形状発泡体100に振動を与えることで、搬送シュート24上で長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢となるよう整列して搬送し、横臥姿勢の錐形状発泡体100を、大径部102を受け止め可能な間隔で搬送方向に対する交差方向に離間位置する一対の搬送ベルト32上に搬送シュート24の終端から落下させ、錐形状発泡体100の自重により小径部104が搬送ベルト32の間に位置する吊り下げ姿勢に姿勢転換させて搬送するようにした。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りになるよう形成された錐形状発泡体の製造方法であって、 成形型に形成したキャビティ内に注入した発泡体原料を発泡硬化することで、長手方向の一方端側に大径部を有すると共に他方端側に小径部を有する先細り形状の錐形状発泡体を成形し、 整列搬送手段により貯留部に貯留した前記錐形状発泡体に振動を与えることで、搬送シュート上で長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢となるよう当該錐形状発泡体を整列して搬送し、 前記横臥姿勢の錐形状発泡体を、前記大径部を受け止め可能な間隔で前記搬送方向に対する交差方向に離間位置する一対の搬送ベルト上に前記搬送シュートの終端から落下させ、当該錐形状発泡体の自重により前記小径部が搬送ベルトの間に位置する吊り下げ姿勢に姿勢転換させたもとで、当該吊り下げ姿勢の錐形状発泡体を一対の搬送ベルトで搬送するようにしたことを特徴とする錐形状発泡体の製造方法。
【請求項2】
長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りになるよう形成された錐形状発泡体を搬送する搬送装置であって、 任意の姿勢で貯留部に貯留した前記錐形状発泡体に振動を与えて、長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢で搬送シュート上に整列して搬送する整列搬送手段と、 前記搬送シュートの終端側に設けられ、前記錐形状発泡体における長手方向の一方端側の大径部を受け止め可能な間隔で前記搬送方向に対する交差方向に離間位置する一対の搬送ベルトとを備え、 前記搬送シュートの終端から落下する前記錐形状発泡体の大径部を前記一対の搬送ベルトで受け止めて、当該錐形状発泡体の自重により当該錐形状発泡体を他端側の小径部が搬送ベルトの間に位置する吊り下げ姿勢に姿勢転換させたもとで、当該吊り下げ姿勢の錐形状発泡体を一対の搬送ベルトで搬送するよう構成したことを特徴とする錐形状発泡体の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りになるよう形成された錐形状発泡体の製造方法およびその搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、例えば、車体が沈んだ際の衝撃を吸収することを目的としてサスペンションのショックアブソーバに設けられるバンプストッパなどのように、長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りとなるように形成された錐形状発泡体が用いられている(例えば特許文献1)。この錐形状発泡体の例であるバンプストッパは、ポリウレタン樹脂等の発泡樹脂材から長手方向に弾性的に圧縮変形し得るよう形成されて、ショックアブソーバを構成する油圧ダンパーのシリンダロッドに介装され、車体の沈み込みなどに伴ってシリンダロッドがシリンダ内に移動する際にバンプストッパの長手方向が圧縮されることでその衝撃を緩衝している。
【0003】
このようなバンプストッパなどの錐形状発泡体は、その成形時に発生するバリの除去や品質検査などの成形後工程において後処理を行うことで一連の製造工程が完了する。このような錐形状発泡体の後処理を効率よく行うためには、成形した錐形状発泡体を一定の向きに揃えることが求められる。このような錐形状発泡体の向き揃えは、錐形状発泡体を所定の保管ケースなどに一時的に保管し、作業者が1つ1つ確認しながら作業が行われることがある。このような人手による作業は、効率に優れたものとはいえず、また作業ミスの発生が生じ易い。そこで、このような作業を自動で行う手段として、特許文献2のようなピッキングロボットを用いて保管ケースの錐形状発泡体の向きをカメラで確認しながら所定の向きで取り出すことが行われる。また、別の手段として、特許文献3のようなパーツフィーダを利用して錐形状発泡体を所定の向きに整列することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4712235号公報
【特許文献2】特許第5533727号公報
【特許文献3】特開平8-2653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のようにピッキングロボットを利用して錐形状発泡体を取り出す場合は、保管ケースに保管した錐形状発泡体の姿勢やケース内での位置・高さを識別するためにカメラや各種センサ等が必要とされ、設備コストが高額になる難点がある。また、ピッキングロボットのハンドの大きさや形状といった物理的な制約から、ケースの隅にある錐形状発泡体の取り出し困難になり、全ての錐形状発泡体の向きを揃えることは現実的ではない。また、ピッキングロボットにより1つ1つ取り出すため作業効率に難点がある。また、特許文献3のようなパーツフィーダの場合は、自然に一定の向きに整列させることは困難なため、ピッキングロボットと同様にカメラや各種センサ等により整列した錐形状発泡体の向きを確認し、不適合な姿勢の錐形状発泡体は、適した姿勢で整列するまで再循環させる必要がある。このため、パーツフィーダにより錐形状発泡体を整列させる場合であっても、ピッキングロボットと同様にカメラや各種センサ等により設備コストが嵩む難点があり、また錐形状発泡体を再循環させることにより向きを揃え終わるまでのサイクルタイムが伸びる問題がある。
【0006】
すなわち本発明は、安価で効率良く錐形状発泡体を整列して成形後工程に搬送して製造することができる錐形状発泡体の製造方法およびその搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、 長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りになるよう形成された錐形状発泡体の製造方法であって、 成形型に形成したキャビティ内に注入した発泡体原料を発泡硬化することで、長手方向の一方端側に大径部を有すると共に他方端側に小径部を有する先細り形状の錐形状発泡体を成形し、 整列搬送手段により長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢となるよう前記錐形状発泡体を搬送シュート上に整列して搬送し、 前記横臥姿勢の錐形状発泡体を、前記大径部を受け止め可能な間隔で前記搬送方向に対する交差方向に離間位置する一対の搬送ベルト上に前記搬送シュートの終端から落下させ、当該錐形状発泡体の自重により前記小径部が搬送ベルトの間に位置する吊り下げ姿勢に姿勢転換させたもとで、当該吊り下げ姿勢の錐形状発泡体を一対の搬送ベルトで搬送するようにしたことを要旨とする。 このように、整列搬送手段により貯留部に貯留した錐形状発泡体に振動を与えて長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢となるよう錐形状発泡体を搬送シュート上で整列させることにより、大径部が搬送方向の前側を向く横臥姿勢と、小径部が搬送方向の前側を向く横臥姿勢とが混在した状態で錐形状発泡体を搬送した場合でも、搬送シュートの終端から落下した錐形状発泡体の自重により搬送ベルト上で自然に吊り下げ姿勢にすることができる。このため、錐形状発泡体の姿勢をカメラなどで個別に識別する必要がなく、安価で効率良く搬送して錐形状発泡体を製造することができる。また、整列搬送部の貯留部に貯留した錐形状発泡体を振動により横臥姿勢で整列させるようにしたことで、ピッキングロボットなどにより取り出す場合のように搬送不能となる錐形状発泡体の発生を防止でき、製造効率の向上を図り得る。また、錐形状発泡体を搬送シュートで搬送可能な姿勢(長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢)にするだけでよいから、当該錐形状発泡体の姿勢を監視する必要がなく、また錐形状発泡体の時間当りの搬送量を高めることができ、製造効率の向上を図り得る。
【0008】
請求項2に係る発明は、 前記大径部の寸法の異なる錐形状発泡体を横臥姿勢で前記搬送シュート上に整列して搬送可能にすると共に、前記搬送シュートの終端から落下する錐形状発泡体の大径部の寸法に合わせて前記一対の搬送ベルトの離間間隔を変更するようにしたことを要旨とする。 このように、寸法の異なる錐形状発泡体を同じ搬送ベルトを利用して搬送することができるから、多様なサイズの錐形状発泡体を安価で効率良く搬送して製造することが可能になる。
【0009】
請求項3に係る発明は、 前記大径部または前記小径部が前記搬送シュートの搬送面に向く起立姿勢で前記錐形状発泡体が搬送された際に、当該錐形状発泡体の起立姿勢における先端側の移動を搬送過程で規制することにより前記横臥姿勢となるようにしたことを要旨とする。 このように、起立姿勢の錐形状発泡体を搬送シュートでの搬送過程で横臥姿勢にすることで、大径部が搬送方向の前側を向く横臥姿勢や小径部が搬送方向の前側を向く横臥姿勢だけでなく、起立姿勢が混在した状態でも、搬送シュートの終端から落下した錐形状発泡体の自重により搬送ベルト上で自然に吊り下げ姿勢にすることができる。このため、錐形状発泡体の姿勢をカメラなどで個別に識別する必要がなく、安価で効率良く搬送して錐形状発泡体を製造することができる。
【0010】
請求項4に係る発明は、 前記搬送ベルトにより搬送した前記吊り下げ姿勢の錐形状発泡体が受け渡し位置より下流へ移動するのを規制手段で規制すると共に、当該受け渡し位置への搬送に伴って錐形状発泡体の搬送を停止した後に、リフト手段により当該搬送ベルトより上方まで持ち上げた錐形状発泡体を保持手段で保持して受け渡すようにしたことを要旨とする。 このように、搬送ベルトより上方まで錐形状発泡体を持ち上げるようにすることで錐形状発泡体が搬送ベルトに引っ掛かるなど不都合を回避でき、安価で効率良く搬送して錐形状発泡体を製造することができる。また、錐形状発泡体が受け渡し位置まで移動した際に搬送ベルトによる搬送を停止することで、当該受け渡し位置にある錐形状発泡体に後続の錐形状発泡体が接触するのを防止して、錐形状発泡体を受け渡し位置に確実に位置付けることができる。
【0011】
請求項5に係る発明は、 長手方向に貫通するよう形成した前記錐形状発泡体の貫通孔に前記リフト手段の突上部材を差し込みながら前記搬送ベルトより上方まで持ち上げた錐形状発泡体の外周面を、前記保持手段が挟むように保持することを要旨とする。 このように、錐形状発泡体の貫通孔にリフト手段の突上部材を差し込むようにすることで、吊り下げ姿勢に錐形状発泡体を維持したまま持ち上げることができる。そして、錐形状発泡体を吊り下げ姿勢のまま維持することで、外周面を保持手段が正確に挟んで保持することができ、錐形状発泡体の受け渡しを短時間で確実に行うことができる。
【0012】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項6に係る発明は、 長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りになるよう形成された錐形状発泡体を搬送する搬送装置であって、 任意の姿勢で貯留部に貯留した前記錐形状発泡体に振動を与えて、長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢で搬送シュート上に整列して搬送する整列搬送手段と、 前記搬送シュートの終端側に設けられ、前記錐形状発泡体における長手方向の一方端側の大径部を受け止め可能な間隔で前記搬送方向に対する交差方向に離間位置する一対の搬送ベルトとを備え、 前記搬送シュートの終端から落下する前記錐形状発泡体の大径部を前記一対の搬送ベルトで受け止めて、当該錐形状発泡体の自重により当該錐形状発泡体を他端側の小径部が搬送ベルトの間に位置する吊り下げ姿勢に姿勢転換させたもとで、当該吊り下げ姿勢の錐形状発泡体を一対の搬送ベルトで搬送するよう構成したことを要旨とする。 このように、整列搬送手段により貯留部に貯留した錐形状発泡体に振動を与えて長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢となるよう錐形状発泡体を搬送シュート上で整列させることにより、大径部が搬送方向の前側を向く横臥姿勢と、小径部が搬送方向の前側を向く横臥姿勢とが混在した状態で錐形状発泡体を搬送した場合でも、搬送シュートの終端から落下した錐形状発泡体の自重により搬送ベルト上で自然に吊り下げ姿勢にすることができる。 このため、錐形状発泡体の姿勢をカメラなどで個別に識別する必要がなく、安価で効率良く搬送して錐形状発泡体を製造することができる。また、整列搬送部の貯留部に貯留した錐形状発泡体を振動により横臥姿勢で整列させるようにしたことで、搬送不能な錐形状発泡体の発生を防止でき、製造効率の向上を図り得る。また、錐形状発泡体を搬送シュートで搬送可能な姿勢(長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢)にするだけでよいから、当該錐形状発泡体の姿勢を監視する必要がなく、また錐形状発泡体の時間当りの搬送量を高めることができ、製造効率の向上を図り得る。
【0013】
請求項7に係る発明は、 前記整列搬送手段は、前記大径部の寸法の異なる前記錐形状発泡体を横臥姿勢で前記搬送シュート上に整列して搬送可能に構成されると共に、 前記一対の搬送ベルトは、その離間間隔を変更可能に構成され、 前記搬送シュートの終端から落下する錐形状発泡体の大径部の寸法に合わせて前記一対の搬送ベルトの離間間隔を変更するようにしたことを要旨とする。 このように、寸法の異なる錐形状発泡体を同じ搬送ベルトを利用して搬送することができるから、多様なサイズの錐形状発泡体を安価で効率良く搬送して製造することが可能になる。
【0014】
請求項8に係る発明は、 前記搬送シュートの上方に、前記大径部または前記小径部が当該搬送シュートの搬送面に向く起立姿勢で搬送された前記錐形状発泡体の先端側に接触可能な移動規制手段を設け、 前記起立姿勢で搬送される前記錐形状発泡体の先端側の移動を前記移動規制手段で規制することにより前記横臥姿勢となるようにしたことを要旨とする。 このように、起立姿勢の錐形状発泡体を搬送シュートでの搬送過程で横臥姿勢にすることで、大径部が搬送方向の前側を向く横臥姿勢や小径部が搬送方向の前側を向く横臥姿勢だけでなく、起立姿勢が混在した状態でも、搬送シュートの終端から落下した錐形状発泡体の自重により搬送ベルト上で自然に吊り下げ
姿勢にすることができる。このため、錐形状発泡体の姿勢をカメラなどで個別に識別する必要がなく、安価で効率良く搬送して錐形状発泡体を製造することができる。
【0015】
請求項9に係る発明は、 前記搬送ベルトにより搬送した前記吊り下げ姿勢の錐形状発泡体が受け渡し位置より下流へ移動するのを規制する規制手段と、 前記受け渡し位置に移動した前記錐形状発泡体を、前記搬送ベルトより上方まで持ち上げるリフト手段と、 前記リフト手段で持ち上げた前記錐形状発泡体を保持する保持手段とを備えることを要旨とする。 このように、搬送ベルトより上方まで錐形状発泡体を持ち上げるようにすることで錐形状発泡体が搬送ベルトに引っ掛かるなど不都合を回避でき、安価で効率良く搬送して錐形状発泡体を製造することができる。また、錐形状発泡体が受け渡し位置まで移動した際に搬送ベルトによる搬送を停止することで、当該受け渡し位置にある錐形状発泡体に後続の錐形状発泡体が接触するのを防止して、錐形状発泡体を受け渡し位置に確実に位置付けることができる。
【0016】
請求項10に係る発明は、 前記リフト手段は、長手方向に貫通するよう形成した前記錐形状発泡体の貫通孔に差し込み可能な突上部材を有し、当該突上部材を貫通孔に差し込みながら前記搬送ベルトより上方まで持ち上げた錐形状発泡体の外周面を、前記保持手段で把持するようにしたことを要旨とする。 このように、錐形状発泡体の貫通孔にリフト手段の突上部材を差し込むようにすることで、吊り下げ姿勢に錐形状発泡体を維持したまま持ち上げることができる。そして、錐形状発泡体を吊り下げ姿勢のまま維持することで、外周面を保持手段が正確に挟んで保持することができ、錐形状発泡体の受け渡しを短時間で確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りになる錐形状発泡体を成形しつつ、所定の吊り下げ姿勢で搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例に係る搬送部を示す概略図である。
図2】成形型を示す概略図であって、(a)は、成形型を型開きした状態を示し、(b)は、成形型を型閉めした状態を示し、(c)は、キャビティ内で発泡体原料を発泡硬化させた状態を示す。
図3】搬送シュートの終端部とベルト搬送部とを示す概略斜視図である。
図4】(a)は、搬送シュートの横断面図であり、(b)は、搬送シュートを錐形状発泡体が移動する状態を示す概略図である。
図5】(a)は、一対の搬送ベルトで保持した吊り下げ姿勢の錐形状発泡体を示す概略図であって、(b)は、一対の搬送ベルトの間隔を変更する機構を示す概略図である。
図6】(a)は、大径部を搬送方向の前側に向けた姿勢で搬送シュートから搬送ベルトに移動する状態を示す概略図であり、(b)は、小径部を搬送方向の前側に向けた姿勢で搬送シュートから搬送ベルトに移動する状態を示す概略図である。
図7】ベルト搬送部の終端部と昇降部とを示す概略図である。
図8】大きさの異なる錐形状発泡体に突上部材の挿入部を挿入した状態を示す説明図である。
図9】(a)は、搬送ベルトにより錐形状発泡体が受け渡し位置まで移動した状態を示す説明図であり、(b)は、突上部材を上昇移動させて受け渡し位置の錐形状発泡体の貫通孔に挿入部が挿入された状態を示す説明図である。
図10】(a)は、突上部材により搬送ベルトより上方まで持ち上げた錐形状発泡体を保持搬送部の保持部で保持した状態を示す説明図であり、(b)は、突上部材を加工移動すると共に保持搬送部により成形後工程へ錐形状発泡体を搬送する状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る錐形状発泡体の製造方法およびその搬送装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、錐形状発泡体として、自動車等の車両のショックアブソーバなどに用いられるバンプストッパを挙げて説明する。
【0020】
実施例に係る錐形状発泡体100は、図5図8に示すように、ポリウレタン樹脂等の発泡体により長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りになるよう形成された発泡樹脂成形体である。具体的に、錐形状発泡体100は、長手方向の一方端から他方端に向けて外径を次第に小径として先細り状をなす複数の円筒部100aと、各円筒部100aの間に設けた環状溝100bとを備えると共に、各円筒部100aの中心を長手方向に貫通するように貫通孔106が形成されており、ショックアブソーバのシリンダロッド(何れも図示せず)を貫通孔106に挿通するようにして介装される。すなわち、錐形状発泡体100の外周面は、径の異なる複数の円筒部100aおよび環状溝100bが長手方向に交互に連続した段差状に形成され、その全体で長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細り状になった略円錐状の物品である。ここで、錐形状発泡体100は、長手方向の一方端側に位置する最大径の円筒部100aが上方に位置すると共に他方端側に位置する最小径の円筒部100aが下方に位置する姿勢でショックアブソーバのシリンダロッドに介装され、当該シリンダロッドがシリンダ内に移動した際に、錐形状発泡体100が長手方向に圧縮されることにより衝撃を緩衝し得るようになっている。
【0021】
なお、以下の説明において、説明の便宜上、錐形状発泡体100における最大径の円筒部100aを大径部102とし、最小径の円筒部100aを小径部104として区別して指称する場合がある。また、錐形状発泡体100の内周には、各円筒部100aの形成位置に対応するよう環状溝100bが長手方向に離間する複数位置に形成されて、錐形状発泡体100の圧縮変形を良好になし得るようになっている。ここで、錐形状発泡体100は、その取付対象であるショックアブソーバに求められる衝撃の緩衝性能を発揮し得るように複数の大きさ(各円筒部100aの外径や貫通孔106の径、或いは長さ)で形成される。この実施例では、大きさの異なる3つの錐形状発泡体100を例示する(図8参照)。
【0022】
本実施形態の錐形状発泡体100の製造装置は、図1または図2に示すように、発泡体原料から錐形状発泡体100を成形する成形型(成形部)10と、当該成形型10により成形した錐形状発泡体100をバリの除去や品質検査などの成形後工程に搬送する搬送部20,30,50,60とから構成されている。この成形型10は、型閉め状態および型開き状態に変位可能な複数の型(分割型)により構成され、当該成形型10の型閉め状態で、錐形状発泡体100の形状と同じ空間形状をなすキャビティが内部に画成されるようになっている。成形型10を構成する型の数は、特に制限されるものではないが、本実施形態では、下型12と上型14と中型16の3つの型により構成してある。
【0023】
ここで、上型14は、下型12の側縁に上型14が回動可能に支持されて、当該上型14と下型12とを閉じた際に、下型12および上型14の型面12a,14aにより錐形状発泡体100の外面と同じ空間形状が形成されるようになっている。また、中型16は、錐形状発泡体100の貫通孔106を形成するもので、下型12に対して、成形される錐形状発泡体100の長手方向の一方の端部側の側縁に回動可能に支持されている。なお、図2では、下型12の図中奥側の縁部に上型14が回動可能に支持され、下型12の図中右側の縁部に中型16が回動可能に支持されている。この中型16は、貫通孔106の形状に合わせた棒形状の成形体16aを有しており、型閉め状態において成形体16aの両端部が下型12および上型14に形成した凹部12b,14bに嵌合した状態で保持されるようになっている。すなわち、型閉め状態では、下型12および上型14の型面12a,14aから中型16の成形体16aが離間位置し、下型12および上型14により形成される空間を横切るように成形体16aが延在することで、成形型10内に錐形状発泡体100の形状と同じ空間形状のキャビティが形成され、当該キャビティ内で発布体原料を発泡硬化することにより錐形状発泡体100が成形されるようになっている。
【0024】
また、搬送部は、図1に示すように、貯留部に任意(無秩序)の姿勢で貯留した錐形状発泡体100を長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢となるように搬送シュート24上に整列させて搬送する整列搬送部(整列搬送手段)20と、当該整列搬送部20の搬送シュート24の終端側に設けられて錐形状発泡体100を吊り下げ姿勢にして搬送するベルト搬送部(ベルト搬送手段)30とを備えており、整列搬送部20により搬送シュート24の終端まで搬送された横臥姿勢の錐形状発泡体100を、ベルト搬送部30において吊り下げ姿勢に姿勢転換して所定の受け渡し位置まで搬送するよう構成されている。更に、この搬送部は、ベルト搬送部30により受け渡し位置まで搬送された錐形状発泡体100を、搬送ベルト32より上方まで持ち上げる昇降部(リフト手段)50と、当該昇降部50で持ち上げた錐形状発泡体100を保持して成形後工程へ搬送する保持搬送部(保持手段)60とを備えており、ベルト搬送部30において吊り下げ姿勢に姿勢転換した錐形状発泡体100を、吊り下げ姿勢のまま保持搬送部60で成形後工程へと搬送し得るようになっている。
【0025】
整列搬送部20は、所謂ボウル型のパーツフィーダであって、錐形状発泡体100を任意の姿勢で貯留可能な円筒状の貯留部22と、当該貯留部22の底板の周縁部に設けられて中心から外側に拡がる螺旋状通路(図示せず)と、当該螺旋状通路に接続する搬送シュート24と、当該貯留部22の底板を振動させる振動部26とを備えている。この螺旋状通路は、一方の端部が貯留部22の底板と連続するよう形成されて、当該貯留部22から錐形状発泡体100が螺旋状通路に移動し得るよう形成されると共に、貯留部22の側壁の上端に向けて上り傾斜(上方傾斜)となるように形成されて、貯留部22の側壁の上端側で搬送シュート24に接続している。そして、振動部26により振動を付与することで貯留部22に貯留した錐形状発泡体100に外周方向への力を与え、錐形状発泡体100が螺旋状通路を通って搬送シュート24に向けて移動するよう構成される。なお、貯留部22の底板は、平板状であっても、その中心が隆起して周縁部に向けて下方傾斜する隆起状に形成してもよい。
【0026】
ここで、螺旋状通路の通路幅は、錐形状発泡体100の大径部102より大きく形成されており、当螺旋状通路による搬送方向(通路延在方向)に長手方向を向けた横臥姿勢や、大径部102または小径部104が螺旋状通路の搬送面に向く起立姿勢で錐形状発泡体100が移動し得るようになっている。また、螺旋状通路の通路幅は、錐形状発泡体100の長手方向の長さ寸法より狭く形成されると共に、当該螺旋状通路の内周側は貯留部22に開放するよう形成されて、長手方向が螺旋状通路の搬送方向と交差する横臥姿勢では、螺旋状通路からはみ出した錐形状発泡体100がその自重により貯留部22へ戻るようになっている。これにより、長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢または起立姿勢で錐形状発泡体100が螺旋状通路から搬送シュート24に至って、当該横臥姿勢または起立姿勢で搬送シュート24上を錐形状発泡体100が移動する。
【0027】
また、搬送シュート24は、貯留部22の側壁の外側位置に、螺旋状通路の接続端から終端に向けて下り勾配(下方傾斜)となる傾斜状に設けられており、錐形状発泡体100が搬送シュート24上を滑降するように移動し得るようになっている。ここで、搬送シュート24の搬送面24aは、図4(a)に示すように、当該搬送シュート24の両側壁24bから幅方向の中央に向けて下方傾斜するよう形成される。すなわち、大きさ異なる錐形状発泡体100が搬送シュート24上を移動する場合でも、搬送面24aの幅方向の略中央に錐形状発泡体100が位置する状態で移動させ得るようになっている。なお、このような形状の搬送シュート24の搬送面24aは、搬送シュート24の幅方向の断面をV
字状にしたり凹湾曲面状にすることで実現できる。
【0028】
また、図1図3図4(b)または図6に示すように、整列搬送部20には、搬送シュート24を起立姿勢で移動する錐形状発泡体100の先端側に接触する移動規制部材(移動規制手段)28が設けられている。この移動規制部材28は、搬送シュート24の延在方向に延在して当該搬送シュート24に固定される固定部28aと、当該固定部28aに対して搬送方向の上流端側に接続するよう設けられて起立姿勢の錐形状発泡体100に接触可能な接触部28bとを有する屈曲状の棒状部材であって、搬送シュート24による搬送方向に対する交差方向に離間して一対設けられている。
【0029】
この固定部28aは、搬送シュート24の搬送面24aに対して横臥姿勢となっている錐形状発泡体100が通過可能な一方で、起立姿勢となっている錐形状発泡体100が通過不能な高さ位置に設けられると共に、接触部28bは、固定部28aの接続端側から搬送方向の上流側に向けて搬送シュート24の搬送面24aから離間する傾斜状に形成されている。また、一対の移動規制部材28は、起立姿勢の錐形状発泡体100が接触する間隔で配置される。すなわち、錐形状発泡体100が起立姿勢で搬送シュート24上を移動する際には、当該錐形状発泡体100の先端側が移動規制部材28の接触部28bに接触することで、錐形状発泡体100を搬送シュート24上で傾倒させて横臥姿勢にするようになっている。なお、移動規制部材28は、一対の棒状部材により形成する構成に限らず、板状の部材により形成するようにしてもよく、搬送シュート24上を起立姿勢で移動する錐形状発泡体100が接触可能な形態であれば適宜の形態を採用し得る。
【0030】
ベルト搬送部30は、図3に示すように、搬送シュート24による搬送方向に対する交差方向に離間位置する一対の搬送ベルト32を備えている。この搬送ベルト32は、前記交差方向に離間位置するフレーム34の夫々に、搬送方向に離間する位置に回転可能に支持されたプーリ36に無端状のベルトを巻き掛けて構成されている。そして、図示しないモータ等の駆動手段によりプーリ36に巻き掛けた各搬送ベルト32の上部側が搬送シュート24から離間する方向に移動する方向にプーリ36を回転させるようになっている。
【0031】
ここで、ベルト搬送部30は、搬送シュート24の終端まで移動して当該搬送シュート24から落下する錐形状発泡体100を受け止め可能な位置に搬送ベルト32が臨むよう配置される。この実施例では、図6に示すように、搬送ベルト32の搬送方向の上流側の端部が搬送シュート24の終端の下方に重なるように位置して、当該搬送シュート24の終端から錐形状発泡体100が搬送ベルト32上に落下するようにしてある。
【0032】
また、ベルト搬送部30は、図5(a)に示すように、錐形状発泡体100の大径部102の寸法より狭く、かつ錐形状発泡体100の小径部104の寸法より広い間隔で一対の搬送ベルト32が離間位置するよう構成される。更に、両搬送ベルト32の中間位置と搬送シュート24の搬送面24aの幅方向の中間位置とが搬送方向で一致するよう構成されている。すなわち、搬送シュート24の終端から錐形状発泡体100が落下した際に、錐形状発泡体100の大径部102が一対の搬送ベルト32に引っ掛かることで、錐形状発泡体100の自重により小径部104が一対の搬送ベルト32の間に位置する吊り下げ姿勢に姿勢転換するようになっている。なお、両搬送ベルト32の中間位置と搬送シュート24の搬送面24aの幅方向の中間位置とは、搬送方向に完全に一致している必要はなく、搬送シュート24の終端から落下した錐形状発泡体100の大径部102を一対の搬送ベルト32に引っ掛けて吊り下げ姿勢に姿勢転換させ得る関係であれば、搬送ベルト32と搬送シュート24の中間位置が交差方向にずれた状態であってもよい。
【0033】
このベルト搬送部30は、フレーム34を交差方向に移動可能に構成されて、一対の搬送ベルト32の離間間隔を可変し得るようになっている。ここで、フレーム34は、一対の搬送ベルト32の夫々を相互に一体的に近接離間させるように移動可能に構成されており、搬送ベルト32の間隔を可変させた際に、両搬送ベルト32の中間位置が搬送シュート24の搬送面24aの幅方向の中間位置に対して搬送方向で一致する状態を保つようにしてある。すなわち、搬送する錐形状発泡体100の大きさに合わせて搬送ベルト32の離間間隔を可変することで、共通の搬送ベルト32で錐形状発泡体100を受け止めて吊り下げ姿勢に姿勢転換させることが可能になる。なお、フレーム34を交差方向に移動可能にする構成は特に限られるものではないが、例えば、図5(b)に示すように、各フレーム34の下端部に前記交差方向に延在するラックギア34aを対向するように設けると共に、両ラックギア34aに噛み合うように設けたギア38をモータ等の駆動手段により駆動するよう構成することで実現できる。
【0034】
ベルト搬送部30には、図1図7図9図10に示すように、搬送ベルト32による搬送下流側に、吊り下げ姿勢の錐形状発泡体100の下流への移動を規制するストッパ(規制手段)40が両搬送ベルト32の間に位置するよう設けられている。また、ベルト搬送部30には、ストッパ40により移動規制される受け渡し位置まで移動した錐形状発泡体100を検出する検出センサ(検出手段)44が設けられており、当該検出センサ44の検出により搬送ベルト32の回転を停止させるようになっている。なお、ストッパ40や検出センサ44は、ベルト搬送部30のフレーム34に取り付けられている。
【0035】
すなわち、搬送ベルト32により搬送された錐形状発泡体100がストッパ40に当接することで、錐形状発泡体100が受け渡し位置に位置付けられると共に、当該受け渡し位置まで移動した錐形状発泡体100を検出センサ44が検出により搬送ベルト32の回転を停止することで、受け渡し位置に位置付けられた錐形状発泡体100が後続の錐形状発泡体100との接触により位置ズレするのを防止している。ここで、検出センサ44は、受け渡し位置に移動した錐形状発泡体100を検出可能なものであれば、光電センサや接触式のスイッチセンサなど従来公知の各種センサを採用することができる。この実施例では、ベルト搬送部30のフレーム34に光電センサを取り付けるようにしてある。
【0036】
また、ストッパ40は、図7に示すように、大きさの異なる複数種類の錐形状発泡体100を、その貫通孔106の中心位置が揃う位置で移動規制し得るよう形成されている。具体的に、ストッパ40には、上部から下方に向かうにつれて搬送シュート24側へ突出するように階段状に段差部42が設けられており、錐形状発泡体100の大きさ毎に接触する段差部42を異ならせてある。この実施例では、3種類の錐形状発泡体100に合わせて3つの段差部42がストッパ40に設けられており、受け渡し位置まで移動した錐形状発泡体100が対応の段差部42に当接することで、何れの大きさの錐形状発泡体100も貫通孔106の中心位置が同じ位置で移動規制されるようになっている。
【0037】
また、前記昇降部50は、図7に示すように、錐形状発泡体100の貫通孔106に差し込み可能な突上部材52と、当該突上部材52を昇降移動させる駆動部(駆動手段)58とを備えており、当該駆動部58の駆動により、受け渡し位置にある錐形状発泡体100より下方の待機位置と、搬送ベルト32より上方の上昇位置との間を突上部材52が移動可能に構成されている。なお、駆動部58としては、突上部材52を上下方向に昇降させ得る構成であれば、従来公知の各種構成を採用可能であるが、本実施形態では、駆動部としてシリンダロッド58aが上下移動するシリンダ58を用い、当該シリンダロッド58aの先端に突上部材52を取り付けるようにしてある。この突上部材52は、錐形状発泡体100の貫通孔106に差し込み可能な外径に形成された挿入部54と、当該挿入部54の下端から外側に向けて延在する当接台部56とを備えており、突上部材52の挿入部54を貫通孔106に差し込むことで、錐形状発泡体100の下端部(小径部104)が当接台部56に当接するよう構成されている。
【0038】
そして、この突上部材52が待機位置にある状態で、搬送ベルト32で搬送される錐形状発泡体100が突上部材52に接触することなく受け渡し位置まで移動し得るようになっており、当該錐形状発泡体100が受け渡し位置にある状態で突上部材52を待機位置から昇降位置に移動することで、搬送ベルト32より上方まで錐形状発泡体100が持ち上げられるようになっている。また、錐形状発泡体100が受け渡し位置にない状態(検出センサ44が検出していない状態)で、突上部材52が待機位置に位置すると共に、錐形状発泡体100が受け渡し位置まで移動して検出センサ44で検出されるのに伴って突上部材52を上昇位置に移動させるよう制御される。
【0039】
ここで、突上部材52は、図8に示すように、貫通孔106の内径の異なる複数種類の錐形状発泡体100を持ち上げ可能に構成されている。具体的に、突上部材52には、上部から下方に向かうにつれて外径が大きくなるように複数の挿入部54が段差状に形成されており、錐形状発泡体100の貫通孔106の内径に合わせて挿入部54が挿入される位置を異ならせてある。この実施例では、3種類の錐形状発泡体100に合わせて3つの挿入部54が突上部材52に設けられており、貫通孔106の内径が何れの大きさの錐形状発泡体100も貫通孔106に挿入部54を挿入した状態で持ち上げ得るようになっている。すなわち、径の異なる挿入部54の境界が当接台部56となっており、貫通孔106が最小の内径に形成された内径が錐形状発泡体100を持ち上げる際には、突上部材52の上段の挿入部54が錐形状発泡体100の貫通孔106に挿入されると共に上段の挿入部54の下端部に位置する当接台部56に錐形状発泡体100の下端部が当接し、貫通孔106が中間の内径に形成された錐形状発泡体100を持ち上げる際には、突上部材52の上段および中段の挿入部54が錐形状発泡体100の貫通孔106に挿入されると共に中段の挿入部54の下端部に位置する当接台部56に錐形状発泡体100の下端部が当接し、貫通孔106が最大の内径に形成された錐形状発泡体100を持ち上げる際には、突上部材52の上段、中段および下段の挿入部54が錐形状発泡体100の貫通孔106に挿入されると共に下段の挿入部54の下端部に位置する当接台部56に錐形状発泡体100の下端部が当接する。
【0040】
また、保持搬送部60は、図1図10に示すように、昇降部50で持ち上げた錐形状発泡体100を保持可能な保持部62と、当該保持部62を移動させる移動手段(図示せず)とを備えており、錐形状発泡体100を保持する保持位置と成形後工程との間を移動手段により移動可能になっている。ここで、移動手段としては、保持部を成形後工程へ移動可能な構成であれば特に限定されるものではなく、例えば多関節アームロボットや天井クレーン等の従来公知の各種手段を採用することができる。また、保持部62は、錐形状発泡体100の大径部102に対して径方向に近接離間可能な一対のアーム62aを有しており、当該一対のアーム62aにより錐形状発泡体100(大径部102)の外周面を挟んで保持するよう構成されている。そして、搬送ベルト32の上方まで持ち上げた錐形状発泡体100を保持搬送部60の保持部62で保持したタイミングで前記突上部材52を待機位置に戻すよう昇降部50が動作するようになっている。
【0041】
次に、本実施形態の錐形状発泡体100の製造方法について説明する。先ず、図2(a)に示す型開き状態とした下型12の型面12a,14a上にポリウレタン樹脂等の発泡体原料を注入し、当該下型12に対して中型16を閉じることで下型12が形成する空間を長手方向に横切るように中型16の成形体16aを延在させ
、更にこの状態から上型14を閉じることで、錐形状発泡体100の形状と同じ空間形状をなすキャビティが内部画成された型閉め状態とする。そして、この状態で発泡体原料を発泡硬化させることで、長手方向の一方端から他方端に向けて外径を次第に小径として先細り状をなす複数の円筒部100aと、各円筒部100aの間に設けた環状溝100bとを備えると共に、各円筒部100aの中心を長手方向に貫通するように貫通孔106が形成された錐形状発泡体100を成形する(図2(c)参照)。なお、発泡体原料の注入は、中型16を閉じた後に行うようにしてもよく、またキャビティに連通する注入孔を成形型10(例えば上型14など)に設けて、型閉め状態で行うようにすることも可能である。
【0042】
発泡体原料を発泡硬化させた後に型閉めと反対の手順で成形型10を型開きし、中型16の成形体16aに貫通孔106が嵌まるように取り付いている錐形状発泡体100を取り外して整列搬送部20の貯留部22に貯留する。ここで、整列搬送部20の貯留部22に錐形状発泡体100を貯留する手段としては、特に限定されないが、ベルトコンベア等の移送装置(図示せず)を利用して錐形状発泡体100を整列搬送部20の貯留部22へ自動的に送り込むようにしてもよく、所定の保管ケースに一時的に保管した錐形状発泡体100を必要に応じて作業者が整列搬送部20の貯留部22に移し替えるようにしてもよい。ここで、錐形状発泡体100は、整列搬送部20の貯留部22に任意(無秩序)の姿勢で貯留すればよいから、当該整列搬送部20への錐形状発泡体100の貯留作業を極めて簡略化ができる利点がある。ベルトコンベア等の移送装置により送り込む場合には、当該搬送装置の終端部に錐形状発泡体100を貯留部22に向けて案内するシュート部材を設けることが好ましい。
【0043】
そして、整列搬送部20の貯留部22に錐形状発泡体100を貯留した状態で当該貯留部22の底板を振動部26により振動させて、長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢または起立姿勢で整列するように当該整列搬送部20の螺旋状通路を介して錐形状発泡体100を搬送シュート24上に搬送する(図1図4(b)参照)。この搬送シュート24まで搬送されると、当該搬送シュート24の傾斜により錐形状発泡体100が横臥姿勢または起立姿勢で滑降するように移動する。そして、図4(b)に示すように、搬送シュート24を起立姿勢で錐形状発泡体100が移動する際に、当該錐形状発泡体100の先端側が移動規制部材28の接触部28bに接触することで、錐形状発泡体100を搬送シュート24上で傾倒させて横臥姿勢にする。すなわち、整列搬送部20において、大径部102または小径部104の何れかが搬送方向の前側に向いた横臥姿勢で錐形状発泡体100が搬送シュート24の終端まで移動する。
【0044】
そして、搬送シュート24の終端まで錐形状発泡体100が移動すると、図6に示すように、搬送シュート24からベルト搬送部30の搬送ベルト32へ向けて落下する。この落下した錐形状発泡体100の大径部102をベルト搬送部30の搬送ベルト32で受け止めて、当該錐形状発泡体100の自重により小径部104が一対の搬送ベルト32の間に位置する吊り下げ姿勢に姿勢転換させる。ここで、ベルト搬送部30の搬送ベルト32は、整列搬送部20で錐形状発泡体100を整列搬送するのに先立って、搬送する錐形状発泡体100の大きさに合わせた間隔で一対の搬送ベルト32を位置させるよう設定される。すなわち、図6(a)に示すように、大径部102を搬送方向の前側に向けた横臥姿勢で錐形状発泡体100が落下する場合は、当該大径部102の両側部が一対の搬送ベルト32に引っ掛かり、自重により下がった小径部104が両搬送ベルト32の間に臨んで吊り下げ姿勢になる。また小径部104を搬送方向の前側に向けた横臥姿勢で錐形状発泡体100が落下する場合は、図6(b)に示すように、当該小径部104が両搬送ベルト32の間を通過した後に大径部102の両側部が一対の搬送ベルト32に引っ掛かることで、吊り下げ姿勢になる。
【0045】
吊り下げ姿勢で支持された錐形状発泡体100は、搬送ベルト32の回転により受け渡し位置に向けて搬送される。図9(a)に示すように、錐形状発泡体100が受け渡し位置まで至ると、ストッパ40に当接して受け渡し位置より下流への移動が規制される。そして、受け渡し位置への搬送に伴って検出センサ44が錐形状発泡体100を検出することで搬送ベルト32の回転(錐形状発泡体100の搬送)が停止されて、錐形状発泡体100が受け渡し位置に位置付けられる。このとき、錐形状発泡体100は、その大きさに合わせたストッパ40の段差部42に当接することで、搬送された錐形状発泡体100の大きさに関わらず貫通孔106が所定位置に位置付いた状態で移動規制される。
【0046】
ベルト搬送部30による錐形状発泡体100の搬送が停止すると、図9(b)に示すように、昇降部50の突上部材52を待機位置から上昇移動させ、これにより挿入部54を吊り下げ姿勢となっている錐形状発泡体100の貫通孔106に挿入すると共に、当該錐形状発泡体100の下端部(小径部104)を突上部材52の当接台部56に当接する。この状態で突上部材52を上昇位置まで上昇させることで、図10(a)に示すように、搬送ベルト32に吊り下がっている錐形状発泡体100が突上部材52で押し上げられて搬送ベルト32の上方まで移動する。このとき、突上部材52の挿入部54を錐形状発泡体100の貫通孔106に挿入されるようにしたことで、吊り下げ姿勢を維持したまま錐形状発泡体100を持ち上げることができる。ここで、前述のように錐形状発泡体100は、その大きさに関わらず貫通孔106が所定位置に位置付いた状態で移動規制されているから、突上部材52を上昇移動するだけで貫通孔106に挿入することができる。
【0047】
そして、昇降部50により搬送ベルト32の上方まで持ち上げられた錐形状発泡体100を保持搬送部60の保持部62で保持すると共に、当該保持部62で錐形状発泡体100を保持したタイミングで突上部材52を待機位置に向けて下降させるように昇降部50が作動することで、錐形状発泡体100が保持搬送部60に受け渡される(図10(b)参照)。錐形状発泡体100の貫通孔106から突上部材52の挿入部54が抜け出た後のタイミングで保持部62を所定の成形後工程へ移動させるよう保持搬送部60が作動する。そして、下降移動する突上部材52が待機位置まで移動することで、搬送ベルト32による錐形状発泡体100の搬送を再開するようベルト搬送部30が作動する動作を繰り返すことで、錐形状発泡体100が成形後工程に順次送り込まれる。
【0048】
このように、本実施形態の錐形状発泡体100の製造方法および搬送装置は、整列搬送部20により貯留部22に貯留した錐形状発泡体100に振動を与えて長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢となるよう錐形状発泡体100を搬送シュート24上で整列させることにより、大径部102が搬送方向の前側を向く横臥姿勢と、小径部104が搬送方向の前側を向く横臥姿勢とが混在した状態で錐形状発泡体100を搬送した場合でも、搬送シュート24の終端から落下した錐形状発泡体100の自重により搬送ベルト32上で自然に一定の吊り下げ姿勢にすることができる。このため、錐形状発泡体100の姿勢をカメラなどで個別に識別する必要がなく、安価で効率良く成形後工程に搬送して錐形状発泡体100を製造することができる。また、整列搬送部20の貯留部22に貯留した錐形状発泡体100を振動により横臥姿勢で整列させることで、当該貯留部22内の錐形状発泡体100の全量を搬送することができ、ピッキングロボットなどにより取り出す場合のように搬送不能となる錐形状発泡体100の発生を防止できると共に、錐形状発泡体100を連続的に整列搬送可能になり、製造効率の向上を図り得る。
【0049】
また、長手方向が搬送方向に向く横臥姿勢であれば、大径部102および小径部104の何れが搬送方向の前側を向く姿勢でもよいから、錐形状発泡体100の姿勢の選別を省略でき、錐形状発泡体100の時間当りの搬送量を高めて製造効率の向上を図り得る。更に、起立姿勢の錐形状発泡体100を搬送シュート24での搬送過程で横臥姿勢にすることで、大径部102や小径部104が搬送方向の前側を向く横臥姿勢だけでなく、起立姿勢が混在した状態でも、搬送シュート24の終端から落下した錐形状発泡体100の自重により搬送ベルト32上で自然に一定の吊り下げ姿勢にすることができる。このため、錐形状発泡体100の姿勢の選別をより一層省略して、錐形状発泡体100の時間当りの搬送量を高めることができる利点がある。そして、搬送ベルト32上で自然に吊り下げ姿勢に姿勢転換させ得ない姿勢(長手方向が搬送方向と交差する姿勢)の錐形状発泡体100は、螺旋状通路を通過する過程でその自重により貯留部22へ戻るようにしてあるから、このような姿勢の錐形状発泡体100が搬送ベルト32に送り込まれるのを防止できる。
【0050】
また、搬送ベルト32により吊り下げ姿勢の錐形状発泡体100が受け渡し位置より搬送された際に、ストッパ40により下流への移動を規制することで、錐形状発泡体100を受け渡し位置に位置付けることができる。そして、この受け渡し位置において、搬送ベルト32より上方まで錐形状発泡体100を昇降部50により持ち上げるようにすることで、保持搬送部60に錐形状発泡体100を受け渡す際に、錐形状発泡体100が搬送ベルト32に引っ掛かるなど不都合を回避でき、安価で効率良く搬送して錐形状発泡体100を製造することができる。また、受け渡し位置まで移動した錐形状発泡体100を検出センサ44で検出して搬送ベルト32による搬送を停止することで、当該受け渡し位置に位置付いた錐形状発泡体100に後続の錐形状発泡体100が接触するのを防止できるから、錐形状発泡体100を受け渡し位置に確実に位置付けることができる。
【0051】
また、昇降部50の突上部材52の挿入部54を貫通孔106に差し込むようにして錐形状発泡体100を搬送ベルト32より上方まで持ち上げることで、吊り下げ姿勢を維持したまま錐形状発泡体100を安定して持ち上げることができ、持ち上げた錐形状発泡体100の外周面を保持搬送部60の保持部62で正確に挟んで保持することがでる。また、錐形状発泡体100の貫通孔106に突上部材52の挿入部54が位置しているから、錐形状発泡体100の外周面を保持部62による錐形状発泡体100の外周面の保持を突上部材52が阻害することもない。
【0052】
更に、一対の搬送ベルト32の離間間隔を変更可能に構成し、搬送シュート24の終端から落下する錐形状発泡体100の大径部102の寸法に合わせて一対の搬送ベルト32の離間間隔を変えることで、寸法の異なる錐形状発泡体100を同じ搬送ベルト32を利用して搬送することができるから、多様なサイズの錐形状発泡体100を安価で効率良く搬送して製造することが可能になる。また、ストッパ40に複数段の段差部42を設けて、錐形状発泡体100の大きさ毎に接触する段差部42を異ならせることで、ストッパ40により錐形状発泡体100の移動を規制した際に、搬送された錐形状発泡体100の大きさに関わらず貫通孔106が所定位置に位置付いた状態にすることができる。このため、多様なサイズの錐形状発泡体100であっても突上部材52を単純に昇降するだけで挿入部54を錐形状発泡体100の貫通孔106に差し込むことができ、安価で効率良く搬送して製造することが可能になる。同様に、突上部材52に複数段の挿入部54を設けて、錐形状発泡体100の貫通孔106の内径に合わせて挿入される挿入部54を異ならせることで、錐形状発泡体100の貫通孔106の内径に関わらず共通の突上部材52を利用して錐形状発泡体100を持ち上げることができ、安価で効率良く搬送して製造することが可能になる。
【0053】
(変更例) 前述した実施例の構成に限定されず、例えば以下の
ように変更することができる。(1) 実施例では、錐形状発泡体100の外周面を、径の異なる複数の円筒部100aおよび環状溝100bが長手方向に交互に連続した段差状に形成することで長手方向の一方端から他方端側に向かうにつれて先細りになるよう形成したが、これに限らず、長手方向の一方端から他方端に向けて連続的に縮径して先細り状になる形態であってもよい。(2) 実施例では、錐形状発泡体100を円錐状に形成するようにしたが、角錐体状に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 成形型,10a キャビティ,20 整列搬送部(整列搬送手段) 22 貯留部,24 搬送シュート,28 移動規制部材(移動規制手段) 32 搬送ベルト,40 ストッパ(規制手段),50 昇降部(リフト手段) 44 検出センサ(検出手段),60 保持搬送部(保持手段),52 突上部材 100 錐形状発泡体,102 大径部,104 小径部,106 貫通孔
図1
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図10