(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080721
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】磁気シールド装置および磁気シールドパネル
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20240610BHJP
E04B 1/92 20060101ALI20240610BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240610BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20240610BHJP
G01R 33/06 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H05K9/00 H
E04B1/92
E04B1/94 L
G01R33/02 W
G01R33/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193889
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】595104574
【氏名又は名称】株式会社オータマ
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】小田原 峻也
【テーマコード(参考)】
2E001
2G017
5E321
【Fターム(参考)】
2E001DH03
2E001FA03
2G017AC01
2G017AD53
2G017AD55
2G017BA08
5E321AA33
5E321AA50
5E321BB21
5E321BB53
5E321GG07
(57)【要約】
【課題】磁気シールドの汎用性を向上できる磁気シールド装置を提供すること。
【解決手段】磁気シールド装置1は、軟磁性材料から構成される単数または複数の軟磁性体パネル11と、軟磁性体パネル11に巻き回される電磁コイル20X,20Y,20Zと、電磁コイルに電流を供給する電源50と、電源50から電磁コイルに供給される電流の電流値を設定するコントローラ40と、を備える。電磁コイルは、軟磁性体パネル11をその平面方向において全部または一部を取り囲むX軸コイル20Xと、軟磁性体パネル11の表裏を取り囲むように巻き回されるY軸コイル20Yと、軟磁性体パネル11の表裏を取り囲むように巻き回されるZ軸コイル20Zと、を備える。Y軸コイル20YとZ軸コイル20Zとが直交し、コントローラ40は、軟磁性体パネル11が配置される環境における外部磁界Heに基づいて、電流値を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性材料から構成される単数または複数の軟磁性体パネルと、
前記軟磁性体パネルに巻き回される電磁コイルと、
前記電磁コイルに電流を供給する電源と、
前記電源から前記電磁コイルに供給される前記電流の電流値を設定するコントローラと、を備え、
前記電磁コイルは、
前記軟磁性体パネルをその平面方向において全部または一部を取り囲むX軸コイルと、
前記軟磁性体パネルの表裏を取り囲むように巻き回される単数または複数のY軸コイルと、
前記軟磁性体パネルの表裏を取り囲むように巻き回される単数または複数のZ軸コイルと、を備え、
前記Y軸コイルと前記Z軸コイルとが互いに直交し、
前記コントローラは、
前記軟磁性体パネルが配置される環境における外部磁界に基づいて、前記電流値を設定する、磁気シールド装置。
【請求項2】
前記軟磁性体パネルは、平面視した形状が矩形をなし、
前記X軸コイルが、前記軟磁性体パネルの周縁の矩形形状に倣って矩形に巻き回され、
一対の前記Y軸コイルが、前記軟磁性体パネルの一辺に平行であって、かつ、互いに前記平面方向に間隔を隔てて配置され、
一対の前記Z軸コイルは、前記軟磁性体パネルの前記一辺に垂直であって、かつ、互いに前記平面方向に間隔を隔てて配置される、請求項1に記載の磁気シールド装置。
【請求項3】
互いに直交するx軸方向、y軸方向およびz軸方向のそれぞれにおける前記外部磁界を検出する磁界センサを備え、
前記コントローラは、
前記磁界センサから取得するx軸方向、y軸方向およびz軸方向のそれぞれにおける前記外部磁界に基づいて、前記電流値を設定し、
前記電源は、
前記コントローラにおいて設定されるx軸方向、y軸方向およびz軸方向のそれぞれにおける前記電流値に基づいて、前記X軸コイル、前記Y軸コイルおよび前記Z軸コイルに電流を供給する、
請求項1に記載の磁気シールド装置。
【請求項4】
前記電磁コイルが巻き回される、少なくとも2枚の前記軟磁性体パネルが互いに間隔をあけて平行に対向して配置される、
請求項1または請求項2に記載の磁気シールド装置。
【請求項5】
軟磁性材料から構成される軟磁性体パネルと、
前記軟磁性体パネルに巻き回される電磁コイルと、を備える磁気シールドパネルであって、
前記電磁コイルは、
前記軟磁性体パネルをその平面方向において全部または一部を取り囲むX軸コイルと、
前記軟磁性体パネルの表裏を取り囲むように巻き回され、互いに前記平面方向に間隔を隔てて平行に配置される単数または複数のY軸コイルと、
前記軟磁性体パネルの表裏を取り囲むように巻き回され、互いに前記平面方向に間隔を隔てて平行に配置される単数または複数のZ軸コイルと、を備え、
前記Y軸コイルと前記Z軸コイルとが互いに直交する、磁気シールドパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲に発生させる逆方向磁界を増幅する機能を有する磁気シールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ノイズに敏感な装置は、外部から印加される磁界を低減するための磁気シールドを必要とする。磁気シールドは、軟磁性材料を用いるパッシブシールドと磁界発生装置を用いるアクティブシールドとの2つに区分される。
パッシブシールドは、用いる軟磁性材料の透磁率が大きいほど高いシールド効果を得ることができる。また、材料の投入量、例えば厚さを増やすことによっても高い磁気シールド効果を得ることができる。
アクティブシールドは、1つあるいは向かい合った1対のコイルに同じ向きの電流を流してその中心付近に一様な平行磁界を作り出し、外部磁界とは逆向きに磁界強度を合わせることで磁気シールド効果を発現させる。
パッシブシールドとアクティブシールドは併用して用いられることもある。
【0003】
パッシブシールドには、純鉄、電磁鋼板、パーマロイ(鉄-ニッケル合金)等の軟磁性材料が用いられている。磁気特性が調整されたこれらの材料は一般的に高価であるが、高い磁気シールド効果が必要な場合には、より透磁率の高い高価な軟磁性材料、例えば特許文献1に開示されるように非晶質金属材料を選ぶか、低い透磁率の材料を多く投入するか、あるいはこの両方で対応する必要がある。そのため、結果的に高コストな磁気シールドとなってしまう。また、投入量を増やすと重量が増加するめに、磁気シールドの支持構造の強度や、設置場所の床耐荷重の補強といった対策でさらなるコスト増を招くこともある。
【0004】
これに対して、特許文献2は、高価な材料を用いるのを避けるとともに、材料投入量の増加を避けることのできる磁気シールド装置を開示する。特許文献2の磁気シールド装置は、軟磁性材料から構成されるシールド体、典型的には軟磁性体パネルと、軟磁性体パネルに巻き回される電磁コイルと、電磁コイルに電流を供給する電源と、電源から電磁コイルに供給される電流の電流値を制御するコントローラと、を備える。このコントローラは、軟磁性体パネルが配置される環境において磁気ノイズとして作用する外部磁界に基づいて、電流値を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-13313号公報
【特許文献2】特開2022-146117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特許文献2の提案に改良を加えることにより、磁気シールドの汎用性を向上できる磁気シールド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の磁気シールド装置は、軟磁性材料から構成される単数または複数の軟磁性体パネルと、軟磁性体パネルに巻き回される電磁コイルと、電磁コイルに電流を供給する電源と、電源から前記電磁コイルに供給される前記電流の電流値を設定するコントローラと、を備える。
電磁コイルは、X軸コイル、単数または複数のY軸コイルおよび単数または複数のZ軸コイルと、を備える。
X軸コイルは、軟磁性体パネルの平面方向における全部または一部を取り囲む。
Y軸コイルは、軟磁性体パネルの表裏を取り囲むように巻き回される。
Z軸コイルは、軟磁性体パネルの表裏を取り囲むように巻き回される。
Y軸コイルとZ軸コイルとは互いに直交する。
コントローラは、軟磁性体パネルが配置される環境における外部磁界に基づいて、電流値を設定する。
【0008】
本発明において、好ましくは、軟磁性体パネルは、平面視した形状が矩形をなす。
この好ましい形態において、X軸コイルは、軟磁性体パネルの周縁の矩形形状に倣って矩形に巻き回され、一対のY軸コイルは、軟磁性体パネルの一辺に平行に配置され、一対のZ軸コイルは、軟磁性体パネルの一辺に垂直に配置される。一対のY軸コイルは平面方向に互いに間隔を隔て配置され、一対のZ軸コイルも平面方向に互いに間隔を隔て配置される。
【0009】
本発明において、好ましくは、互いに直交するx軸方向、y軸方向およびz軸方向のそれぞれにおける外部磁界を検出する磁界センサを備える。
この好ましい形態において、コントローラは、磁界センサから取得するx軸方向、y軸方向およびz軸方向のそれぞれにおける外部磁界Heに基づいて、電流値を設定する。
電源は、コントローラにおいて設定されるx軸方向、y軸方向およびz軸方向のそれぞれにおける電流値に基づいて、X軸コイル、Y軸コイルおよびZ軸コイルに電流を供給する。
【0010】
本発明において、好ましくは、電磁コイルが巻き回される、少なくとも2枚の軟磁性体パネルが互いに間隔をあけて平行に対向して配置される。
【0011】
本発明は、軟磁性材料から構成される軟磁性体パネルと、軟磁性体パネルに巻き回される電磁コイルと、を備える磁気シールドパネルを提供する。磁気シールドパネルにおいて、電磁コイルは、軟磁性体パネルをその平面方向において全部または一部を取り囲むX軸コイルと、軟磁性体パネルの表裏を取り囲むように巻き回される単数または複数のY軸コイルと、軟磁性体パネルの表裏を取り囲むように巻き回される単数または複数のZ軸コイルと、を備える。Y軸コイルとZ軸コイルとは直交する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、Y軸コイルとZ軸コイルに加えて、X軸コイルを備えることにより、x軸方向およびy軸方向に加えてz軸方向の外部磁界に対しても磁気シールド効果を発揮することができるので、磁気シールドの汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る磁気シールド装置の構成を示す図である。
【
図2】磁気シールド装置の作用および効果を説明する図であり、(a)は電磁コイルを備えない場合の磁界の様子を示し、(b)は電磁コイルを備えこの電磁コイルに通電したときの磁界の様子を示す図である。
【
図3】一対のZ軸コイルを備える磁気シールド装置により磁界が弱くなる領域(シールド効果領域)の例を示す図である。
【
図4】シールド体に対する磁気ノイズの向きが平行であって、磁気ノイズに対して直交する一対のZ軸コイルが設けられている場合のシールド効果領域を立体的に示す図である。
【
図5】シールド体に対する磁気ノイズの向きが垂直であって、磁気ノイズに対して直交するX軸コイルが設けられている場合のシールド効果領域を立体的に示す図である。
【
図6】間隔を設けて一対の磁気シールドパネルを互いに平行に配置する形態において、x軸方向に磁気ノイズとしての外部磁場が生じているときのシールド効果領域を概念的に示す図である。
【
図7】間隔を設けて一対の磁気シールドパネルを互いに平行に配置する形態において、y軸方向に磁気ノイズが生じているときのシールド効果領域を概念的に示す図である。
【
図8】Y軸コイルおよびZ軸コイルの配置例を示す図である。
【
図9】複数のシールドパネルの他の配置例を示す図である。
【
図10】複数のシールドパネルの他の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の磁気シールド装置および磁気シールドパネルの実施形態について説明する。
本実施形態に係る磁気シールド装置1は、
図1に示すように、軟磁性体パネル11が偏平な板状の形態を有している。
磁気シールド装置1は、軟磁性体パネル11と、軟磁性体パネル11の周囲に巻き回されるX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zとを備える磁気シールドパネル10と、磁気シールドパネル10の周囲の磁界を検出する磁界センサ30と、を備える。また、磁気シールド装置1は、磁界センサ30で検出される磁界に応じてX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zに流す電流を制御するコントローラ40と、コントローラ40の指示に基づいてX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zに電流を供給する電源50と、を備える。
以下、磁気シールド装置1の各要素について説明した後に、磁気シールド装置1の動作、作用・効果に言及する。
【0015】
[軟磁性体パネル11:
図1,
図2]
軟磁性体パネル11は、パッシブシールドを担う部材であり、軟磁性材料、例えば純鉄、電磁鋼板、パーマロイ(鉄-ニッケル合金)、非晶質合金(Fe系またはCo系)、ソフトフェライトなどを用いることができる。これら材料を単体として軟磁性体パネル11を構成しもよいが、同じ材料を積層して軟磁性体パネル11を構成してもよいし、異なる材料を積層して軟磁性体パネル11を構成してもよい。さらに、特許文献1に開示されるように、以上の軟磁性材料と非磁性金属材料とを例えば交互に積層して軟磁性体パネル11を構成してもよい。この特許文献1の軟磁性材料としては非晶質合金が用いられ、非磁性金属材料としてはアルミニウムまたはアルミニウム合金、もしくは、銅または銅合金が用いられる。
【0016】
軟磁性体パネル11の寸法は任意であり、具体的な用途に応じて定められればよい。
また、板状の軟磁性体パネル11の平面視した形状は矩形、特に長方形であるが、これも具体的な用途に応じて定められればよく、例えば平面視して正方形、三角形、五角形、六角形などの多角形、円形などの形状を採用できる。
軟磁性体パネル11は、その素材が表面に剥き出しで用いられてもよいが、塗膜、化粧壁などで表面が覆われていてもよい。
【0017】
[X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Z:
図1,
図2]
磁気シールド装置1は、
図1に示すように、3種類の電磁コイルであるX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zを備える。X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zのそれぞれは、電源50から供給される電流が流れることにより、軟磁性体パネル11の内部に磁界を発生させる。発生するこの磁界を第1生成磁界F1(
図3参照)と総称する。この第1生成磁界F1を発生させることにより、軟磁性体パネル11の周囲に還流するように発生する第2生成磁界F2(
図3参照)を増幅させ外部磁界Heを打ち消すように働いて軟磁性材料からなる軟磁性体パネル11のシールド効果を増幅させる。第1生成磁界F1および第2生成磁界F2については、さらに後述する。
【0018】
磁気シールド装置1においては、軟磁性体パネル11に対して巻き回す向きが互いに異なるX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zの3種類の電磁コイルを備える。磁気シールド装置1は、X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zを備えることにより、図中のx軸、y軸およびz軸の3つの軸方向に磁気シールド効果をもたらすことができる。
【0019】
[X軸コイル20X:
図1]
X軸コイル20Xは、矩形をなす軟磁性体パネル11の周縁11Pに沿って巻き回されることで、軟磁性体パネル11の全部をその平面方向において取り囲む。X軸コイル20Xに電流を流すと、x軸方向の外部磁界と逆向きの第1生成磁界(F1x)が発生して、空間を磁気シールドすることができる。外部磁界の方向は、磁界センサ30により検知される。これはY軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zに関しても同様である。外部磁界は、時間とともに変動する磁気に加え、地磁気のように変化しない磁気をも含む。
X軸コイル20Xの巻き回しの回数は任意であり、発生させる第1生成磁界F1の強度などに応じて定められればよい。これは、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zについても同様である。なお、第1生成磁界F1について、X軸コイル20Xが発生源である場合には、第1生成磁界(F1x)と表記し、Y軸コイル20Y、Z軸コイル20Zを発生源とする場合には、それぞれ第1生成磁界(F1y)、第1生成磁界(F1z)と表記することがある。
【0020】
ここでは好ましい一例として軟磁性体パネル11の最も外側に位置する周縁11Pに沿ってX軸コイル20Xを巻き回す例を示したが、x軸方向の外部磁界と逆向きの第1生成磁界F1を発生させることができるのであれば、X軸コイル20Xの巻き回し位置はこれに限らない。例えば、周縁11Pよりも内側にX軸コイル20Xを設けてもx軸方向の外部磁界と逆向きの第1生成磁界F1を発生させることができる。
また、X軸コイル20Xを構成する材料も任意であり、一例として、銅、銅合金などの導電率の高い導電体からなる芯線と、芯線の周囲を覆う電気的な絶縁材料からなる被覆と、を備える電線が用いられる。さらに、X軸コイル20Xを構成する電線、特に芯線の線径についても任意であり、発生させる第1生成磁界F1の強度などに応じて定められればよい。
【0021】
[Y軸コイル20Y:
図1]
Y軸コイル20Yは、軟磁性体パネル11のz軸方向(長手方向)に沿って軟磁性体パネル11の外周に巻き回される。Y軸コイル20Yは、軟磁性体パネル11の上辺11Uおよび下辺11Lと直交するように巻き回される。Y軸コイル20Yに電流を流すと、y軸方向の外部磁界と逆向きの第1生成磁界(F1y)が発生して、空間を磁気シールドすることができる。
【0022】
ここでは好ましい一例として、z軸方向に間隔をあけて一対のY軸コイル20Y,20Yを設ける例を示しているが、y軸方向の外部磁界と逆向きの第1生成磁界(F1y)を発生させることができるのであれば数に制限はなく、Y軸コイル20Yの数は単数または3つ以上の複数とすることもできる。また、Y軸コイル20Yは軟磁性体パネル11のその外周に巻き回される例を示しているが、y軸方向の外部磁界と逆向きの第1生成磁界(F1y)を発生させることができるのであれば巻き回すところは外周に限らない。例えば、軟磁性体パネル11のz軸方向の間隔をあけた軟磁性体パネル11の2か所に貫通孔を形成し、この2つの貫通孔を利用してY軸コイル20Yを巻き回すことができる。この巻き回しの形態は、Z軸コイル20Zについても同様に当てはまる。
【0023】
[Z軸コイル20Z:
図1]
Z軸コイル20Zは、軟磁性体パネル11のy軸方向(短手方向)に沿って軟磁性体パネル11の外周に巻き回される。Z軸コイル20Zは、軟磁性体パネル11の上辺11Uおよび下辺11Lと平行になるように巻き回される。したがって、Y軸コイル20YとZ軸コイル20Zは直交する。Z軸コイル20Zに電流を流すと、z軸方向の外部磁界と逆向きの第1生成磁界(F1z)が発生して、空間を磁気シールドすることができる。
【0024】
ここでは好ましい一例として、Y軸方向に間隔をあけて一対のZ軸コイル20Z,20Zを設ける例を示しているが、z軸方向の外部磁界と逆向きの第1生成磁界(F1z)を発生させることができるのであれば数に制限はなく、Z軸コイル20Zの数は単数または3つ以上の複数とすることもできる。
図8には、Y軸コイル20YとZ軸コイル20Zの数の一例が示されている。
図8(a)はY軸コイル20YとZ軸コイル20Zの双方が単数の例を示し、
図8(b)はY軸コイル20Yが単数、Z軸コイル20Zが複数(2つ)の例を示している。
図8(b)は、Y軸コイル20YとZ軸コイル20Zの数が異なっていてもよいことの一例でもある。また、
図8(c)は、それぞれ多数のY軸コイル20YとZ軸コイル20Zを備える一例を示している。
【0025】
[Y軸コイル20YとZ軸コイル20Zの関係]
Y軸コイル20Yは上辺11Uおよび下辺11Lと垂直をなすように巻き回され、Z軸コイル20Zは側片11S,11Sと垂直、つまり上辺11Uおよび下辺11Lと平行に巻き回される。つまり、Y軸コイル20YとZ軸コイル20Zは直交する。ここでいう垂直、平行などは、数学上の厳密な定義に基づくものではなく、工業的な規模で磁気シールドパネル10を生産する際に許容される交差を含んでもよい。
【0026】
[磁界センサ30:
図1]
磁界センサ30は、磁気シールドパネル10(軟磁性体パネル11およびX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Z)が置かれる環境の外部磁界Heを検出する。検出するのは、外部磁界Heの磁界の方向Dと強度Hである。検出された外部磁界Heの方向Dと強度Hは、コントローラ40に提供される。
外部磁界Heが一定の例えば地磁気の場合には、電流値Iをコントローラ40で一度だけ設定すれば、その後に同じ位置で磁気シールドする場合はその電流値Iを利用できる。したがって、その後、磁界センサ30を用いなくてもよい。
適用される磁界センサ30の種類は任意であり、典型的には、例えばフラックスゲートセンサ、MI(Magneto Impedance)センサ、サーチコイル、ホール素子および磁気抵抗素子のいずれかを用いたセンサが適用される。磁界センサ30が配置される位置は外部磁界を正確に検出できる限り任意であり、磁気シールドパネル10が配置される環境に応じて磁界センサ30の配置は定められる。また、磁気シールド装置1が複数の磁気シールドパネル10を備える場合、複数の磁気シールドパネル10に対して一台の磁界センサ30を共用できるし、複数の磁気シールドパネル10のそれぞれに対して磁界センサ30を一台ずつ設けることもできる。
【0027】
[コントローラ40:
図1]
コントローラ40は、磁界センサ30から提供される外部磁界Heの方向Dと強度Hに対応する電流値Iを算出する。コントローラ40は、外部磁界Heの方向Dに対応するX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zの少なくとも一つに対して算出された電流値Iに相当する電流が流れるように、電源50を制御する。
【0028】
例えば、外部磁界Heの方向Dがx軸方向に一致しているとすれば、コントローラ40はX軸コイル20Xに電流値Iの電流を流し、また、外部磁界Heの方向Dがz軸方向に一致しているとすれば、コントローラ40はZ軸コイル20Zに電流値Iの電流を流す。外部磁界Heの方向Dがx軸方向とy軸方向の中間を向いているものとすれば、コントローラ40はX軸コイル20XおよびY軸コイル20Yの双方に電流を流すように電源50を制御する。つまり、外部磁界となる外部磁界Heの方向Dに対応して、電流が供給されるX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zが選択される。つまり、X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zの全てに電流が供給されることもあれば、X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zの1つまたは2つに電流が供給されることもある。
【0029】
磁界センサ30から提供される外部磁界Heの方向Dと強度Hが変動することがある。この場合、コントローラ40は変動する外部磁界Heの方向Dに対応するX軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zを選択し、かつ強度Hに対応する電流値Iの電流が流れるように電源50を制御する。外部磁界Heが一定の例えば地磁気の場合には、前述したように、コントローラ40は算出された電流値Iを記憶し、以後はその記憶された電流値Iを用いて電源50を制御することができる。
【0030】
[磁気シールドパネル10がX軸コイル20X~Z軸コイル20Zを備える効果:
図2]
次に、磁気シールド装置1において、X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zを備えることによる作用および効果を、X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zを備えていない場合と比較しつつ説明する。
X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zを備えていない軟磁性体パネル11に外部磁界Heが印加されると、
図2(a)に示すように、軟磁性体パネル11は同じ向きに磁化Mされる。この磁化は
図2(a)において右向きの白抜矢印で示されている。この磁化の程度は軟磁性体パネル11を構成する軟磁性材料の磁気特性(透磁率)と軟磁性体パネル11の形状によって異なる。
【0031】
この外部磁界Heによる磁化により軟磁性体パネル11はその左右の両端部のそれぞれにN極とS極の磁極を持つことになり、そのため軟磁性体パネル11の内部に磁化Mに比例した図中の左向きの反磁界Hdが生じ、外部磁界Heによる磁化を減じさせる。この現象は自己減磁と称される。また、外部磁界Heの印加を受けて磁極を持った軟磁性体パネル11の周囲には、一方の磁極から出て他方の磁極に戻るような磁界分布Mdが生じる。軟磁性体パネル11の中央部においては磁界分布Mdと外部磁界Heとは向きが逆となり磁気シールド効果を生じさせる。この磁気シールド効果は、軟磁性体パネル11の両端部の磁極の強さに依存する。
【0032】
次に、例えば一つのZ軸コイル20Zだけが軟磁性体パネル11に設けられるものとして、Z軸コイル20Zに電流を流したときについて、
図2(b)を参照して説明する。
Z軸コイル20Zにより外部磁界Heと同じ向き、つまり反磁界Hdを打ち消す向きに磁界を印加すると、軟磁性体パネル11の磁化Mが、
図2(a)のときよりも強くなる。このときの磁化を第1生成磁界F1という。したがって、第1生成磁界F1によって周囲に生じる逆向きの磁界を強め、外部磁界Heを打ち消す効果、つまり磁気シールド効果が高くなる。この逆向きの強い磁界を第2生成磁界F2と称する。Z軸コイル20Zに供給される電流値Iは、この反磁界Hdを打ち消して、軟磁性体パネル11の磁化を強め、ある位置における外部磁界Heと逆向きでかつ同じ大きさの磁界、つまり第2生成磁界F2を軟磁性体パネル11の周囲に還流するように作るように定められる。
【0033】
[シールド効果が生じる領域の例:
図3,
図4,
図5]
次に、
図3を参照して、磁気シールド装置1によりシールド効果が生じる領域について説明する。この説明は、一対のZ軸コイル20Z,20Zだけを備える磁気シールドパネル10についてのものである。
【0034】
図3に示すように、磁気シールド装置1の軟磁性体パネル11に対して外部磁界Heがz軸方向に生じているのに対して、一対のZ軸コイル20Z,20Zに電流を流すことにより、磁界(第2生成磁界F2)を生じさせる。そうすると、
図3に特に磁界を弱くするシールド効果領域SAが生じる。シールド効果領域SAは、軟磁性体パネル11の表裏に配置される一対のZ軸コイル20Z,20Zの間の表裏のそれぞれに生じる。
シールド効果領域SAは、z軸方向については、Z軸コイル20Z,20Zと軟磁性体パネル11との位置関係によってその形態が決まり、たとえばZ軸コイル20Z,20Zが
図3よりも図中の右側にずれた位置に配置されると、シールド効果領域SAも図中の右側にずれた位置に生じる。また、x軸方向については、Z軸コイル20Z,20Zの近傍に生ずる。
【0035】
次に、軟磁性体パネル11に対する外部磁界Hezの向きが平行であって、外部磁界Hezに対して直交する一対のZ軸コイル20Z,20Zが設けられている場合のシールド効果領域SAzが
図4(a)に示されている。
図4(a)には、X軸コイル20XおよびY軸コイル20Yの記載が省略されている。なお、
図4(a)に示されているシールド効果領域SAzは、評価値SFの分布が理解しやすいように、図中の手前の1/2の分を除いて描かれている。また、
図4(a)に示されているシールド効果領域SAzは、中央から高さh=200mmの点の評価値SFがSF>10となるようにZ軸コイル20Z,20Zが励磁されている。これらは
図5においても同様である。また、
図4および
図5には、X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zの中で外部磁界の向きに対応するものだけが単純化して示されている。さらに、
図4および
図5において、磁界センサ30、コントローラ40および電源50の記載が省略されている。
図4(a)に示されるように、この形態のシールド効果領域SAzは、軟磁性体パネル11の表裏の両面から垂直な方向に延びて形成されている。シールド効果領域SAは、以下で示される式(1)で特定される評価値SFごとに示されている。
図4(a)における高さ方向hの評価値SFは、
図4(b)に示すように、軟磁性体パネル11の表裏面から離れるのにつれて小さくなる傾向にあるものの、Z軸の方向に連なっている。
評価値SF=T1/T2…(1)
T1:磁気シールド装置1を設けないときの評価点の磁束密度[T]
T2:磁気シールド装置1を設けて磁気シールドを行ったときの評価点の磁束密度[T]
【0036】
次に、軟磁性体パネル11に対する外部磁界Hexの向きが垂直であって、軟磁性体パネル11の周囲を取り囲むようにX軸コイル20Xが設けられている場合のシールド効果領域SAが
図5(a)に示されている。この形態は、Y軸コイル20YよびZ軸コイル20Zの記載が省略されている。
図5(a)に示されるように、この形態のシールド効果領域SAxも、軟磁性体パネル11の表裏の両面から垂直な方向に延びて形成されている。この形態のシールド効果領域SAは、
図5(a)に示すように、軟磁性体パネル11を間に挟んで、軟磁性体パネル11の表裏の両側に評価値SFが高い領域(SF>10)が二つに分かれている。また、
図5(b)に示すように、この形態においては、評価値SFは、軟磁性体パネル11の表面から単調増加していきピークに達し、ピークから単調減少に転じる。
【0037】
[一対の磁気シールドパネル10を用いる形態:
図6,
図7]
次に、
図6および
図7を参照して、一対の磁気シールドパネル10が間隔を隔てて互いに平行に配置される例を説明する。なお、
図6および
図7には、X軸コイル20X、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zの中で外部磁界の向きに対応するものだけが単純化して示されている。また、
図6および
図7において、磁界センサ30、コントローラ40および電源50の記載が省略されている。
【0038】
図6は、図示を省略する磁界センサ30がx軸方向の外部磁界Hexを検知したときを例示する。磁界センサ30が外部磁界Hexを検知すると、コントローラ40は電源50に対してX軸コイル20Xに電流を流すように指示する。そうすると、X軸コイル20Xから外部磁界Hexと逆位相の磁気が発生することで、一対の磁気シールドパネル10,10の間の空間にシールド効果領域SAxを生じさせる。
【0039】
図7は、図示を省略する磁界センサ30がy軸方向の外部磁界Heyを検知したときを例示する。磁界センサ30が外部磁界Heyを検知すると、コントローラ40は電源50に対して一対のY軸コイル20Y,20Yに電流を流すように指示する。そうすると、一対のY軸コイル20Y,20Yから外部磁界Heyと逆位相の磁気が発生することで、一対の磁気シールドパネル10,10の間の空間にシールド効果領域SAyを生じさせる。
【0040】
ここでは、記載を省略したが、磁界センサ30がz軸方向の外部磁界Hezを検知すると、コントローラ40が電源50に対してZ軸コイル20Z,20Zに電流を流すように指示することができる。そうすると、Z軸コイル20Z,20Zから外部磁界Hezと逆位相の磁気が発生することで、一対の磁気シールドパネル10,10の間の空間にシールド効果領域SAzを生じさせる。
【0041】
また、以上では、X軸コイル20X、Y軸コイル20Y,20YおよびZ軸コイル20Z,20Zのいずれかに電流を流す例を説明したが、本実施形態はこれに限るものではない。つまり、外部磁界はx軸方向、y軸方向またはz軸方向に一致するように生じることもあるが、実際にはx軸方向、y軸方向またはz軸方向からずれて生じることが多い。この外部磁界は、x軸方向の成分(Hex)、y軸方向の成分(Hey)およびz軸方向の成分(Hez)により以下の式(2)のように特定される。
外部磁界=(Hex,Hey,Hez)…式(2)
0≦Hex,Hey,Hez
【0042】
式(2)に従う外部磁界を磁界センサ30が検出すると、x軸方向の成分(Hex)、y軸方向の成分(Hey)およびz軸方向の成分(Hez)のそれぞれに対応する電流を電源50からX軸コイル20X、Y軸コイル20Y,20YおよびZ軸コイル20Z,20Zに流れるようにコントローラ40が指示する。そうすると、X軸コイル20X、Y軸コイル20Y,20YおよびZ軸コイル20Z,20Zのそれぞれからのシールド効果領域SAx,SAy,SAzが合成されたシールド効果領域SAxyzが生じる。
【0043】
[複数の磁気シールド装置1の配置例:
図9,
図10]
これまでの説明では、磁気シールドパネル10を1台または2台を用いる磁気シールド装置1を例にしたが、本実施形態はこれに限定されない。
例えば、
図9に示すように、3台の磁気シールドパネル10を平面視してコの字状(U-shaped)に配置することもできる。この磁気シールド装置1は、3台の磁気シールドパネル10に取り囲まれる空間に磁気シールドパネル10の少なくとも1台からシールド効果領域SAが形成される。この場合、3台の磁気シールドパネル10のそれぞれのX軸コイル20X、Y軸コイル20Y,20YおよびZ軸コイル20Z,20Zの少なくとも一つに対して電流が供給される。
また、
図10に示すように、2台の磁気シールドパネル10を1列に並べて平面をなすように配置することもできる。この磁気シールド装置1によれば、より広い範囲にシールド効果領域SAを形成することができる。
【0044】
[効 果]
磁気シールド装置1が奏する効果を説明する。
磁気シールド装置1によれば、軟磁性体パネル11が周囲の外部磁界を受けて、その周囲に逆向きの磁気を発生させることで、周囲に磁気シールドされた空間を形成する。このとき、磁界センサ30によって検出した外部磁界をY軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zによって増幅させて軟磁性体パネル11に入力することで、磁気シールドパネル10の周囲に発生する逆向きの磁気を増幅し、磁気シールド効果を高めることができる。磁気シールド装置1は、さらにX軸コイル20Xを備えることにより、磁界センサ30で検出する外部磁界と逆位相の磁気をX軸コイル20Xから発生させる。これによってx軸方向、y軸方向およびz軸方向の外部磁界に対して磁気シールド効果をもたらすことができるので、磁気シールド装置1は1枚の磁気シールドパネル10により汎用性の高い磁気シールドを実現できる。
【0045】
磁気シールド装置1の主たる要素である軟磁性体パネル11は、単純な板状の形態で足りるので、移動が容易であること、設置空間、あるいは保管場所の空間を非常に小さくできる利点がある。例えば、磁気シールドパネル10にキャスタのような機器を取り付けることで、移動をさらに簡便にすることができる。磁気シールドパネル10は単体で用いることができるが、複数の磁気シールドパネル10を向かい合わせたり、平行に置いたり、空間を囲うように設置したりして、磁気シールドされる空間を広く確保することができる。この場合でも、磁気シールドパネル10の移動が簡便であることにより、設置が容易である。
【0046】
磁気シールドパネル10が簡便に移動可能であるため、恒久的な磁気シールドを必要としないシールド対象に必要な時間、必要な場所で磁気シールド効果を提供でき、複数のシールド対象を共有することでコストを分担することができる。または、シールド対象と共に移動することができるため、設置場所にとらわれない。
【0047】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0048】
[X軸コイル20X]
以上で説明した実施形態において、X軸コイル20Xは、軟磁性体パネル11の周縁に設ける例を示したが、例えば、
図9および
図10に破線で示すように軟磁性体パネル11の周縁から内側に入り込んだところにX軸コイル20Xを設けることもできる。この場合、X軸コイル20Xは、軟磁性体パネル11の平面方向の一部を取り囲むことになり、また、軟磁性体パネル11の表裏のいずれか一方の面に接するように配置されることもある。もっとも、同じ表面積を有する軟磁性体パネル11を想定した場合、X軸コイル20Xによりできるだけ広い面積を取り囲むことが、シールド効果領域SAxを大きくするのに有利である。
また、X軸コイル20Xは、矩形に配置される例を示したが、例えば、多角形(矩形を除く)、楕円形(円形含む)など、軟磁性体パネル11をその平面方向に取り囲むように配置されていてもよい。
【0049】
[Y軸コイル20Y,Z軸コイル20Z]
以上で説明した実施形態において、Y軸コイル20Yは矩形の軟磁性体パネル11の上辺11U(下辺11L)と垂直をなし、Z軸コイル20Zは軟磁性体パネル11の上辺11U(下辺11L)と平行をなすが、本発明はこれに限定されない。例えば、Y軸コイル20YおよびZ軸コイル20Zが軟磁性体パネル11の上辺11U(下辺11L)に対して傾斜するように設けてもよい。ただし、前述したように、Y軸コイル20YとZ軸コイル20Zとが互いに直交することが前提である。
【0050】
[軟磁性体パネル11]
以上で説明した実施形態において、好ましい形態として、軟磁性体パネル11は平面視した形状が矩形をなしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、多角形(矩形を除く)、楕円形(円形含む)などの平面視した形状を採用できる。この軟磁性体パネル11の形状であっても、X軸コイル20Xは軟磁性体パネル11をその平面方向に取り囲むように配置されること、Y軸コイル20YとZ軸コイル20Zとが互いに直交することが前提である。
【符号の説明】
【0051】
1 磁気シールド装置
10 磁気シールドパネル
11 軟磁性体パネル
11P 周縁
11L 下辺
11S 側片
11U 上辺
20X X軸コイル
20Y Y軸コイル
20Z Z軸コイル
30 磁界センサ
40 コントローラ
50 電源
F1 第1生成磁界
F2 第2生成磁界
H 強度
h 方向
Hd 反磁界
He,Hex,Hey,Hez 外部磁界
M 磁化
Md 磁界分布
SA,SAx,SAy,SAz シールド効果領域