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特開2024-80729情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080729
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20240610BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240610BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20240610BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H04W48/16 134
H04W84/12
H04W92/08 110
H04M1/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193904
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 正弘
(72)【発明者】
【氏名】小島 大輝
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆広
(72)【発明者】
【氏名】塩▲崎▼ 正英
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067HH22
5K127AA11
5K127BA03
5K127BB22
5K127CB02
5K127CB16
5K127CB22
5K127DA12
5K127GA14
5K127GD21
5K127HA28
5K127JA21
(57)【要約】
【課題】情報処理装置を印刷装置に接続させる場合に、印刷装置の選択や情報処理装置の接続状態の管理に関するユーザーの負担を軽減する。
【解決手段】情報処理装置が、第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、第2通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、第1通信路及び第2通信路による通信を実行できず第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定し、判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、第1条件が成立した場合に通信部と接続先機器とを接続させ、第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、第2条件が成立した場合に、接続先機器の選択を要求し、要求に応じた入力により特定される接続先機器に通信部を接続させる、情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続先機器と接続する情報処理装置であって、
第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む前記接続先機器と通信を行う通信部と、
前記情報処理装置が、前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定する領域判定部と、
前記通信部を制御する接続制御部と、
入力を受け付ける受付部と、を備え、
前記接続制御部は、
前記領域判定部の判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、
前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じた前記入力により特定される前記接続先機器に前記通信部を接続させる、情報処理装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記第1接続領域のローカルエリアネットワークである前記第1通信路、前記第2接続領域のローカルエリアネットワークである前記第2通信路、及び、広域通信ネットワークである前記第3通信路を介して前記接続先機器に接続可能である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通信部が前記第1通信路により前記第1印刷装置と接続するための第1ローカル接続情報と、前記通信部が前記第3通信路により前記第1印刷装置と接続するための第1広域接続情報と、前記通信部が前記第2通信路により前記第2印刷装置と接続するための第2ローカル接続情報と、前記通信部が前記第3通信路により前記第2印刷装置と接続するための第2広域接続情報と、を記憶する記憶部を備え、
前記接続制御部は、前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記通信部により接続可能な前記接続先機器を特定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記接続制御部は、
前記通信部を前記第1接続領域において前記第1印刷装置に接続させる場合であって、前記通信部が前記第1通信路による通信を行えない場合に、前記通信部を前記第3通信路により前記第1印刷装置に接続させ、
前記通信部を前記第2接続領域において前記第2印刷装置に接続させる場合であって、前記通信部が前記第2接続領域において前記第2通信路による通信を行えない場合に、前記通信部を前記第3通信路により前記第2印刷装置に接続させる、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第1接続領域から前記第3接続領域に変化すること、及び、前記第1接続領域において前記通信部が前記第1通信路を介して前記第1印刷装置に接続していたことを含み、
前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を、前記第3通信路を介して前記第1印刷装置に接続させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第1接続領域から前記第2接続領域に変化すること、及び、前記第1接続領域において前記通信部が前記第1印刷装置に接続していたことを含み、
前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を前記第2印刷装置に接続させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第2接続領域から前記第3接続領域に変化すること、及び、前記第2接続領域において前記通信部が前記第2通信路を介して前記第2印刷装置に接続していたことを含み、
前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を、前記第3通信路を介して前記第2印刷装置に接続させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第2接続領域から前記第1接続領域に変化すること、及び、前記第2接続領域において前記通信部が前記第2印刷装置に接続していたことを含み、
前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を前記第1印刷装置に接続させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第3接続領域から前記第1接続領域に変化すること、及び、前記第3接続領域において前記通信部が前記第3通信路を介して前記第1印刷装置に接続していたことを含み、
前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を、前記第1通信路を介して前記第1印刷装置に接続させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第3接続領域から前記第2接続領域に変化すること、及び、前記第3接続領域において前記通信部が前記第3通信路を介して前記第2印刷装置に接続していたことを含み、
前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を、前記第2通信路を介して前記第2印刷装置に接続させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第3接続領域から前記第1接続領域に変化すること、及び、前記第3接続領域において前記通信部が前記第3通信路を介して前記第2印刷装置に接続していたことを含み、
前記接続制御部は、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器として前記第1印刷装置と前記第2印刷装置とのいずれかを選択するよう要求する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第2条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第3接続領域から前記第2接続領域に変化すること、及び、前記第3接続領域において前記通信部が前記第3通信路を介して前記第1印刷装置に接続していたことを含み、
前記接続制御部は、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器として前記第1印刷装置と前記第2印刷装置とのいずれかを選択するよう要求する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第2条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が変化しない間に、前記受付部により受け付けた入力に従って、前記通信部が接続する前記接続先機器の前記第1印刷装置から前記第2印刷装置への切り替えの入力、或いは、前記第2印刷装置から前記第1印刷装置への切り替えの入力を受け付けることを含み、
前記接続制御部は、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器と通信する通信路として前記第1通信路と前記第3通信路とのいずれかを選択すること、或いは、前記第2通信路と前記第3通信路とのいずれかを選択することを要求する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む接続先機器と通信を行う通信部を備える情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置が、前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定し、
判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、
前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じて選択される前記接続先機器に前記通信部を接続させる、情報処理装置の制御方法。
【請求項15】
第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む接続先機器と通信を行う通信部を制御するコンピューターにより実行可能なプログラムであって、
前記コンピューターを、
前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定する領域判定部と、
前記領域判定部の判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じて選択される前記接続先機器に前記通信部を接続させる接続制御部と、して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピューターやスマートフォン等の情報処理装置を印刷装置に接続する操作を簡易化するための提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の画像形成システムでは、スマートフォンのアプリの機能によってスマートフォンを画像形成装置に接続するものである。このシステムでは、スマートフォンが、画像形成装置に接続されたアクセスポイントが発するビーコンを受信することによってサーバーに接続し、サーバーが画像形成装置へ指令を送信し、画像形成装置がスマートフォンとの間で接続処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-198347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報処理装置と印刷装置とを接続する形態は多様であり、ユーザーが1つの情報処理装置を使って複数の印刷装置に接続することもある。このため、情報処理装置を印刷装置に接続する場合にユーザーが選択あるいは管理すべき情報が多くなり、ユーザーの負担が増大する傾向にあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、接続先機器と接続する情報処理装置であって、第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む前記接続先機器と通信を行う通信部と、前記 情報処理装置が、前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定する領域判定部と、前記通信部を制御する接続制御部と、入力を受け付ける受付部と、を備え、前記接続制御部は、前記領域判定部の判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じた前記入力により特定される前記接続先機器に前記通信部を接続させる、情報処理装置である。
【0006】
本開示の別の一態様は、第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む接続先機器と通信を行う通信部を備える情報処理装置の制御方法であって、前記情報処理装置が、前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定し、判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じて選択される前記接続先機器に前記通信部を接続させる、情報処理装置の制御方法である。
【0007】
本開示の別の一態様は、第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む接続先機器と通信を行う通信部を制御するコンピューターにより実行可能なプログラムであって、前記コンピューターを、前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定する領域判定部と、前記領域判定部の判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じて選択される前記接続先機器に前記通信部を接続させる接続制御部と、して機能させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の印刷システムの構成を示す図。
図2】端末装置のブロック図。
図3】端末装置の動作を示すフローチャート。
図4】端末装置の動作例を示すフローチャート。
図5】端末装置の表示例を示す図。
図6】端末装置の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.印刷システムの構成]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、印刷システム1の構成を示す図である。印刷システム1は、複数の印刷装置20、及び、端末装置40を有する。印刷システム1において、端末装置40は、広域ネットワーク2またはローカルネットワーク7を経由して印刷装置20に接続することにより、印刷装置20によって印刷を行わせる。
【0010】
広域ネットワーク2は、WAN(Wide Area Network)、インターネット、その他の広域通信ネットワークである。広域ネットワーク2は、専用線、公衆回線網、セルラー通信回線等の通信回線や、ルーターやゲートウェイ装置等の通信装置を含む構成であってもよい。広域ネットワーク2には、例えば、セルラー通信の基地局3が接続される。また、広域ネットワーク2には、アクセスポイント5が接続可能である。アクセスポイント5は、印刷装置20を広域ネットワーク2に接続する通信装置であり、例えば、建物の内部等に設置される。アクセスポイント5は、例えば、ONU(Optical Network Unit)、ネットワークルーター、ネットワークスイッチ、Wi-Fiアクセスポイント、Wi-Fiルーターである。Wi-Fiは登録商標である。
【0011】
印刷装置20は、紙あるいは合成樹脂製のシートに画像や文字を印刷する装置である。印刷装置20の具体的な構成は制限されない。例えば、印刷装置20が採用する印刷方式は、インクジェット式、レーザー式、ドットインパクト式、或いはその他の印刷方式である。また、印刷装置20は、スキャナー等の機器と一体に構成された複合機であってもよい。印刷システム1が含む印刷装置20の数に制限はない。本実施形態では、印刷システム1が2台の印刷装置20A、及び、印刷装置20Bを含む例を説明する。印刷装置20Aと印刷装置20Bとの具体的な仕様は同一であってもよいし、異なってもよい。
【0012】
また、印刷システム1が含むアクセスポイント5の数は制限されない。本実施形態では、印刷システム1が2台のアクセスポイント5A及びアクセスポイント5Bを含む例を説明する。アクセスポイント5Aとアクセスポイント5Bとの具体的な仕様は同一であってもよいし、異なってもよい。アクセスポイント5Aは、印刷装置20Aの設置場所に設置され、印刷装置20Aを広域ネットワーク2に接続させる。アクセスポイント5Bは、印刷装置20Bの設置場所に設置され、印刷装置20Bを広域ネットワーク2に接続させる。
【0013】
以下の説明では、印刷装置20Aと印刷装置20Bとを区別しない場合に印刷装置20と記載する。同様に、アクセスポイント5Aとアクセスポイント5Bとを区別しない場合にアクセスポイント5と記載し、ローカルネットワーク7Aとローカルネットワーク7Bとを区別しない場合にローカルネットワーク7と記載する。
印刷装置20は、接続先機器の一例に対応する。印刷装置20A及び印刷装置20Bのいずれかは第1印刷装置に相当し、他方は第2印刷装置に相当する。本実施形態では、一例として、印刷装置20Aが第1印刷装置の一例に対応し、ローカルネットワーク7Aは第1通信路の一例に対応する。また、印刷装置20Bは第2印刷装置の一例に対応し、ローカルネットワーク7Bは第2通信路の一例に対応する。広域ネットワーク2は第3通信路の一例に対応する。
【0014】
印刷装置20の設置場所にアクセスポイント5が設置されることは必須ではない。すなわち、印刷システム1は、広域ネットワーク2に接続しない印刷装置20を含んでもよい。
【0015】
端末装置40は、持ち運び可能なコンピューターである。例えば、端末装置40は、スマートフォン、タブレット型コンピューター、ノート型コンピューター、或いはその他のモバイルデバイスである。端末装置40は、印刷装置20と接続された状態で、印刷装置20に対して印刷ジョブを送信できる。端末装置40が送信する印刷ジョブは、印刷実行の指示と、印刷装置20が印刷媒体に印刷する文字や画像のデータとを含む。印刷装置20は、端末装置40から印刷ジョブを受信した場合、印刷ジョブに従って印刷を実行する。端末装置40は、情報処理装置の一例に対応する。
【0016】
端末装置40は、広域ネットワーク2に接続し、広域ネットワーク2を介してデータ通信を行うことが可能である。印刷装置20が広域ネットワーク2に接続している場合、端末装置40は、広域ネットワーク2を介して印刷装置20に接続する。この場合、端末装置40は、広域ネットワーク2を経由して印刷装置20に印刷ジョブを送信することができる。
【0017】
また、端末装置40は、ローカルネットワーク7を介して印刷装置20と接続することができる。ローカルネットワーク7は、例えば、ルーター等によって管理されるネットワーク、或いは、印刷装置20と端末装置40とが直接接続するピアツーピア型の通信回線であってもよい。ローカルネットワーク7は通信ケーブルを用いる有線通信路を含んでもよい。ローカルネットワーク7は、Wi-Fi、Bluetooth、Zigbee、或いはその他の無線通信路を含んでもよい。Bluetoothは登録商標である。Zigbeeは登録商標である。例えば、ローカルネットワーク7は、Wi-Fiダイレクト通信を利用するネットワークであってもよい。
【0018】
本実施形態では、印刷装置20Aと端末装置40とがローカルネットワーク7Aにより接続可能であり、印刷装置20Bと端末装置40とがローカルネットワーク7Bにより接続可能な例を説明する。
【0019】
印刷システム1は、接続領域10A、接続領域10B、及び、接続領域10Cを有する。接続領域10Aは第1接続領域の一例に対応し、接続領域10Bは第2接続領域の一例に対応し、接続領域10Cは第3接続領域の一例に対応する。接続領域10A、接続領域10B、及び接続領域10Cを区別しない場合、以下では接続領域10と記載する。
【0020】
接続領域10は、端末装置40がローカルネットワーク7に接続可能な領域である。具体的には、接続領域10Aは、端末装置40がローカルネットワーク7Aに接続可能な領域であり、接続領域10Bは、端末装置40がローカルネットワーク7Bに接続可能な領域である。接続領域10Cは、端末装置40が広域ネットワーク2に接続可能な領域のうち、端末装置40が、どのローカルネットワーク7にも接続できない領域である。例えば、接続領域10Aは、ユーザーの自宅内であり、接続領域10Bは、ユーザーが普段利用するオフィス内であり、接続領域10Cは、ユーザーの外出時における車内や屋外である。また、接続領域10は、物理的な距離、及び、物理的な障壁で区切られた領域を意味しない。例えば、ローカルネットワーク7が敷設された領域の内部に端末装置40が位置していても、端末装置40がローカルネットワーク7に接続していなければ、端末装置40は接続領域10にあることにはならない。
【0021】
以下の説明では、接続領域10A及び接続領域10Bを、ローカルネットワーク7による接続が可能な領域であることから、ローカル領域と呼ぶ。これに対し、接続領域10Cを、広域通信領域と呼ぶ。
【0022】
図1には、印刷装置20の機能的構成を示している。印刷装置20Aは、PR通信部21A、PR制御部22A、及び、印刷部23Aを有する。
PR通信部21Aは、アクセスポイント5と通信する通信機能、及び、ローカルネットワーク7による通信を行う通信機能を有する。具体的には、PR通信部21Aは、信号を送信するトランスミッター、及び、信号を受信するレシーバーを有する。PR通信部21Aは、通信ケーブルによる有線通信、及び、Wi-Fi等の無線通信の少なくともいずれかを実行する。PR通信部21Aは、LTE(Long Term Evolution)や第5世代モバイル通信等のセルラー通信によりアクセスポイント5或いは広域ネットワーク2と接続する構成であってもよい。本実施形態では、PR通信部21Aは、アクセスポイント5との間でWi-Fi通信を実行し、Wi-Fiダイレクト接続によりローカルネットワーク7を構成する。PR通信部21Aは、PR制御部22Aの制御に従って、アクセスポイント5との間の通信、及び、ローカルネットワーク7による通信を実行する。
【0023】
印刷部23Aは、印刷媒体に印刷を行う不図示の各種機構を含む。例えば、印刷部23Aは、印刷ヘッド、及び、印刷媒体を搬送する搬送機構を含む。印刷部23Aは、PR制御部22Aの制御に従って、印刷媒体への印刷を実行する。
【0024】
PR制御部22Aは、PR通信部21A及び印刷部23Aを制御する。PR制御部22Aは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で構成される不図示のプロセッサーを備える。PR制御部22Aは、所定の制御プログラムを実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとの協働により印刷装置20Aの各部を制御する。PR制御部22Aは、プロセッサーに接続される不図示のメモリーを備えてもよい。このメモリーは、揮発性のメモリーであり、例えば、RAM(Random Access Memory)である。この場合、PR制御部22Aは、プロセッサーが実行するプログラムや、プロセッサーにより処理されるデータをメモリーに一時的に記憶する。PR制御部22Aは、不図示の不揮発性記憶部を備えてもよい。不揮発性記憶部は、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリー等で構成され、PR制御部22Aのプロセッサーが実行する制御プログラムを記憶する。PR制御部22Aは、プログラムされたハードウェアにより構成されてもよい。
【0025】
PR制御部22Aは、PR通信部21Aを制御して、アクセスポイント5との間の通信、及び、ローカルネットワーク7Aによる通信を実行させる。PR制御部22Aは、広域ネットワーク2或いはローカルネットワーク7AによりPR通信部21Aが端末装置40と接続した場合、PR通信部21Aによって端末装置40から印刷ジョブを受信する。PR制御部22Aは、端末装置40から受信した印刷ジョブに従って印刷部23Aを制御し、印刷部23Aによって印刷を実行させる。また、PR制御部22Aは、印刷装置20Aに固有の識別情報である印刷装置IDを有する。PR制御部22Aは、広域ネットワーク2またはローカルネットワーク7Aを通じて、印刷装置20Aの印刷装置IDを送信することができる。
【0026】
印刷装置20Bは、印刷装置20Aと同様に、PR通信部21B、PR制御部22B、及び、印刷部23Bを備える。これらの各部の構成は、PR通信部21A、PR制御部22A、及び、印刷部23Aと共通の構成とすることができる。
【0027】
印刷システム1は、管理装置9を備えてもよい。管理装置9は、広域ネットワーク2を介した端末装置40と印刷装置20との通信を仲介する装置である。管理装置9は、広域ネットワーク2に接続するサーバーコンピューターであり、複数のサーバーコンピューター、或いは、クラウドサーバーであってもよい。
【0028】
例えば、端末装置40は、広域ネットワーク2に接続した場合に、管理装置9に対して問合せを行う。管理装置9は、端末装置40の問合せに応じて、広域ネットワーク2を介して端末装置40が接続することが可能な印刷装置20に関する情報を、端末装置40に提供する。管理装置9が端末装置40に提供する情報は、端末装置40が印刷装置20に接続するためのネットワーク情報等である。また、管理装置9は、端末装置40と印刷装置20との間の通信を仲介してもよい。例えば、端末装置40は、印刷ジョブと、印刷ジョブの宛先である印刷装置20の印刷装置IDとを管理装置9に送信する。この場合、管理装置9は、端末装置40が指定した印刷装置IDに対応する印刷装置20に、端末装置40が送信した印刷ジョブを送信する。
【0029】
以下では、端末装置40と印刷装置20とが直接通信を行う場合、及び、端末装置40と印刷装置20とが管理装置9を介して間接的に通信を行う場合を区別せず、端末装置40と印刷装置20との広域ネットワーク2を介した通信として説明する。
【0030】
[2.端末装置の構成]
図2は、端末装置40のブロック図である。
端末装置40は、端末制御部50を備え、タッチパネル41、端末通信部46、及び記憶部60が端末制御部50に接続される。
【0031】
端末制御部50は、CPUやマイコン等のプロセッサーを備え、このプロセッサーにより制御プログラムを実行することにより、端末装置40の各部を制御する。端末制御部50は、プロセッサーが実行するプログラムを不揮発的に記憶するROMおよび/または、プロセッサーのワークエリアを構成するRAMを備えてもよいし、その他の周辺回路を備えてもよい。
【0032】
記憶部60は、磁気記憶装置、光学的記憶媒体、半導体メモリー素子等で構成される不揮発性の記憶装置であり、端末制御部50を構成するプロセッサーが実行するプログラムや、各種のデータを記憶する。記憶部60は、例えば、OS(Operating System)61、印刷アプリ62、接続履歴情報63、及び、接続情報64を記憶する。OS61は、端末装置40を制御する基本制御ソフトウェアであり、アプリケーションプログラムが実行されるプラットフォームを提供する。印刷アプリ62は、端末装置40が印刷装置20に印刷を実行させるためのアプリケーションプログラムである。
【0033】
接続履歴情報63は、端末装置40が印刷装置20に接続したことの履歴に関する情報である。接続履歴情報63は、例えば、過去に端末装置40が接続した印刷装置20の印刷装置IDと、端末装置40が印刷装置20との接続に用いた通信が広域ネットワーク2であるかローカルネットワーク7であるかを示す情報と、を含む。接続履歴情報63は、少なくとも、過去に端末装置40が接続した印刷装置20のうち、最後に接続した印刷装置20に関する情報を含んでいればよい。また、接続履歴情報63は、過去に端末装置40が接続した複数の印刷装置20に関する情報を含んでもよい。
【0034】
接続情報64は、印刷システム1において端末装置40が接続可能な印刷装置20に関する情報である。接続情報64は、例えば、図2に示すように、印刷装置IDと、通信路と、ネットワーク情報とを対応付ける情報である。通信路は、印刷装置20との接続に広域ネットワーク2を用いるかローカルネットワーク7を用いるかを示す。ネットワーク情報は、例えば、端末装置40が接続するネットワークを識別する識別情報、及び、端末通信部46がネットワークに接続するために用いる認証情報等を含む。識別情報は、例えば、SSID(Service Set Identifier)である。
【0035】
接続情報64は、1つの印刷装置20についての情報を、通信路毎に含む。例えば、図2に示すように、接続情報64は、印刷装置20Aの印刷装置IDであるNo.1に対応付けて、ローカルネットワーク7で接続する場合の情報と、広域ネットワーク2で接続する場合の情報とを分けて含んでいる。例えば、接続情報64は、端末装置40が印刷装置20Aに広域ネットワーク2によって接続するための接続情報を含む。この接続情報は、第1広域接続情報の一例に対応する。また、例えば、接続情報64は、端末装置40が印刷装置20Aにローカルネットワーク7によって接続するための接続情報を含む。この接続情報は、第1ローカル接続情報の一例に対応する。また、例えば、接続情報64は、端末装置40が印刷装置20Bに広域ネットワーク2によって接続するための接続情報を含む。この接続情報は、第2広域接続情報の一例に対応する。また、例えば、接続情報64は、端末装置40が印刷装置20Bにローカルネットワーク7によって接続するための接続情報を含む。この接続情報は、第2ローカル接続情報の一例に対応する。
【0036】
タッチパネル41は、ディスプレイ42と、タッチセンサー43とを有する。ディスプレイ42は、液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示パネルである。ディスプレイ42は、端末制御部50の制御に従って、文字や画像を含む各種画面を表示する。タッチセンサー43は、ディスプレイ42に対するタッチ操作を検出する。タッチセンサー43は、ディスプレイ42に対するタッチ操作が行われた場合に、操作位置を検出する。タッチセンサー43は、検出したタッチ操作の操作位置を示す操作データを端末制御部50に出力する。ディスプレイ42は表示部ということができ、タッチセンサー43はユーザーの入力操作に用いられる入力部ということができる。
【0037】
端末通信部46は、広域ネットワーク2を介したデータ通信、及び、ローカルネットワーク7によるデータ通信を実行する。本実施形態では、一例として、第1通信部47、及び、第2通信部48を有する。第1通信部47及び第2通信部48は、それぞれ、データ通信を実行する通信装置であり、信号を送信するトランスミッター、及び、信号を受信するレシーバーを有する。
第1通信部47は、広域ネットワーク2に接続する。第1通信部47は、例えば、基地局3とセルラー通信を実行する通信装置である。第2通信部48は、ローカルネットワーク7に接続する。第2通信部48は、例えば、Wi-Fi、Bluetooth、Zigbee等の通信を実行する無線通信装置、或いは、Ethernetケーブルによる通信を実行する通信装置である。Ethernetは登録商標である。
【0038】
端末制御部50は、受付部51、通信制御部52、領域判定部53、接続制御部54、及び、表示制御部55を有する。これらは、端末制御部50のプロセッサーが印刷アプリ62を実行することにより実現される機能部である。
【0039】
受付部51は、ユーザーによる入力を受け付ける。受付部51は、タッチセンサー43から入力される操作データに基づき、タッチセンサー43への入力内容を特定し、特定した入力内容を受け付ける。
【0040】
通信制御部52は、端末通信部46を制御して、広域ネットワーク2またはローカルネットワーク7による通信を実行する。また、通信制御部52は、第2通信部48がローカルネットワーク7に接続していない間、第2通信部48がローカルネットワーク7に接続可能な状態となったことを検知すると、接続を実行させる。例えば、第2通信部48が無線通信を行う構成において、通信制御部52は、第2通信部48がローカルネットワーク7に接続していない間に、第2通信部48によって、第2通信部48が接続可能な無線通信ネットワークの探索を所定周期で実行させる。第2通信部48が接続可能な無線通信ネットワークとは、第2通信部48が通信可能な周波数帯域、或いは、第2通信部48が実行可能な通信プロトコルを利用する無線通信ネットワークを指す。通信制御部52は、第2通信部48が、第2通信部48により接続可能な無線通信ネットワークを発見した場合、発見した無線通信ネットワークに対して第2通信部48が接続情報64により接続可能か否かを判定する。ここで、第2通信部48が接続可能な場合、通信制御部52は、発見した無線通信ネットワークに第2通信部48を接続させる。
【0041】
また、通信制御部52は、第1通信部47が広域ネットワーク2に接続していない間に、第1通信部47によって、第1通信部47が接続可能な無線通信ネットワークの探索を所定周期で実行させてもよい。通信制御部52は、第1通信部47が、第1通信部47により接続可能なセルラー通信ネットワークを発見した場合、発見したセルラー通信ネットワークに第1通信部47を接続させる。
【0042】
領域判定部53は、端末装置40が属する接続領域10を判定する。具体的には、領域判定部53は、端末装置40が接続領域10Aにあるか、接続領域10Bにあるか、接続領域10Cにあるかを判定する。領域判定部53は、例えば、第1通信部47が広域ネットワーク2に接続しているか否か、及び、第2通信部48がローカルネットワーク7に接続しているか否かにより、接続領域10を判定する。この場合、領域判定部53は、第2通信部48がローカルネットワーク7Aに接続可能なときには端末装置40が接続領域10Aに属すると判定し、第2通信部48がローカルネットワーク7Bに接続可能なときには端末装置40が接続領域10Bに属すると判定する。また、第2通信部48がローカルネットワーク7A、7Bのいずれにも接続できず、かつ、第1通信部47が広域ネットワーク2に接続可能なときには、端末装置40が接続領域10Cに属すると判定する。
【0043】
領域判定部53は、印刷装置20との通信状態を検出する機能を有し、端末装置40と印刷装置20とが通信可能であるか否かに基づいて、端末装置40が属する接続領域10を判定してもよい。具体的には、端末装置40は、ローカルネットワーク7または広域ネットワーク2を介して印刷装置20との通信を試行し、印刷装置20との通信が可能か否かを検出する。端末装置40が印刷装置20と通信を行えない場合とは、例えば、印刷装置20の電源がオフである場合や、印刷装置20と広域ネットワーク2との通信が途絶している場合が挙げられる。例えば、領域判定部53は、第2通信部48がローカルネットワーク7Aに接続していて、かつ、印刷装置20Aと端末装置40との通信が可能である場合に、端末装置40が接続領域10Aに属すると判定する。同様に、領域判定部53は、第2通信部48がローカルネットワーク7Bに接続していて、かつ、印刷装置20Bと端末装置40との通信が可能である場合に、端末装置40が接続領域10Bに属すると判定する。端末通信部46が印刷装置20と通信可能であることは、端末装置40が印刷装置20により印刷を実行できることとは一致しない。つまり、領域判定部53の制御により、端末通信部46が印刷装置20Aと通信可能なことが検出されることは、端末通信部46が印刷装置20Aに接続することとは異なる。印刷装置20Bについても同様である。
【0044】
接続制御部54は、端末通信部46を制御することにより、端末装置40を印刷装置20に接続する。ここで、端末装置40を印刷装置20に接続するとは、端末装置40が印刷装置20によって印刷を実行させることが可能な状態に移行することを含む。
【0045】
表示制御部55は、ディスプレイ42を制御して、後述する第1選択画面101や第2選択画面102を含む各種画面を表示させる。
【0046】
[3.端末装置の動作]
図3は、端末装置40の動作を示すフローチャートである。
図3は、端末装置40と印刷装置20との接続状態が変化した場合に、領域判定部53の判定結果に基づいて、端末装置40が印刷装置20への接続を行うための一連の動作を示している。図3に示す動作は、端末制御部50のプロセッサーが、印刷アプリ62を実行することにより実現される。図3において、ステップS14及びステップS16は接続制御部54及び表示制御部55により実行され、他のステップは接続制御部54により実行される。
【0047】
端末装置40と印刷装置20との接続状態が変化した場合とは、例えば、端末装置40が接続領域10A、10B、10C間を移動する場合が挙げられる。図1には、端末装置40の移動の例として、接続領域10Aと接続領域10Cとの間の移動を矢印MAで示し、接続領域10Bと接続領域10Cとの間の移動を矢印MBで示し、接続領域10Aと接続領域10Bとの間の移動を矢印MCで示す。端末装置40は可搬型の装置であるため、接続領域10A、10B、10Cを移動可能である。
【0048】
端末装置40は、領域判定部53の判定結果に基づいて、後述する第1条件が成立したか否かを判定する(ステップS11)。第1条件が成立したと判定した場合(ステップS11;YES)、端末装置40は、印刷システム1に含まれる印刷装置20のいずれかを選択して、選択した印刷装置20への接続を自動的に実行する(ステップS12)。自動的に実行するとは、ユーザーがタッチパネル41への操作を行うことなく、印刷装置20への接続を行い、端末装置40が印刷装置20を利用して印刷を行えるようにすることである。
【0049】
第1条件が成立していないと判定した場合(ステップS11;NO)、端末装置40は、後述する第2条件が成立したか否かを判定する(ステップS13)。第2条件が成立したと判定した場合(ステップS13;YES)、端末装置40は、ディスプレイ42に第1選択画面を表示する(ステップS14)。第1選択画面は、印刷装置20を選択する操作をユーザーが行うための画面である。第1選択画面を表示することにより、端末装置40は、ユーザーに対し、印刷装置20を選択するよう要求する。
【0050】
端末装置40は、第1選択画面の表示に対応してユーザーが行う操作を受け付ける。この操作は、印刷装置20を選択する入力である。端末装置40は、ユーザーの操作により選択された印刷装置20に対し端末通信部46によって接続する(ステップS15)。
【0051】
第2条件が成立していないと判定した場合(ステップS13;NO)、端末装置40は、ディスプレイ42に第2選択画面を表示する(ステップS16)。第2選択画面は、印刷装置20を選択する操作をユーザーが行うための画面であり、第1選択画面とは異なる内容を含む。第2選択画面を表示することにより、端末装置40は、ユーザーに対し、印刷装置20を選択するよう要求する。
【0052】
端末装置40は、第2選択画面の表示に対応してユーザーが行う操作を受け付ける。この操作は、印刷装置20を選択する入力である。端末装置40は、ユーザーの操作により選択された印刷装置20に対し端末通信部46によって接続する(ステップS17)。
【0053】
端末装置40は、端末通信部46が印刷装置20に接続している状態で、印刷装置20により印刷を実行させることができる。そして、端末装置40は、印刷装置20との接続状態が変化した場合に、図3に示す動作を開始し、領域判定部53の判定結果に基づいて第1条件が成立したか否かを判定する。端末装置40は、第1条件が成立した場合に端末通信部46と印刷装置20との接続を自動的に行う。そして、第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、第2条件が成立した場合に、第1選択画面をディスプレイ42に表示して、印刷装置20の選択を要求する。ここで、端末装置40は、要求に応じた入力、すなわち第1選択画面に基づく入力により特定される印刷装置20に端末通信部46を接続させる。また、第2条件が成立しない場合には、第2選択画面を表示して、印刷装置20の選択を要求する。第2選択画面に基づく入力により特定される印刷装置20に端末通信部46を接続させる。
【0054】
第1条件、及び、第2条件は、端末装置40に予め設定されており、第1条件を示すデータ及び第2条件を示すデータが記憶部60に記憶されている。
第1条件としては、例えば、次の6つの条件1-A、1-B、1-C、1-D、1-E、1-Fが挙げられる。
【0055】
条件1-Aは、端末装置40が属する接続領域10が接続領域10Aから接続領域10Cに変化すること、及び、接続領域10Aにおいて端末通信部46がローカルネットワーク7Aを介して印刷装置20Aに接続していたことを含む。条件1-Aが成立した場合、ステップS12で、接続制御部54は、端末通信部46を、広域ネットワーク2を介して印刷装置20Aに接続させる。
【0056】
条件1-Bは、端末装置40が属する接続領域10が接続領域10Aから接続領域10Bに変化すること、及び、接続領域10Aにおいて端末通信部46が印刷装置20Aに接続していたことを含む。条件1-Bは、接続領域10Aにおいて、端末通信部46がローカルネットワーク7A及び広域ネットワーク2のどちらで印刷装置20Aに接続していたかを問わない。条件1-Bが成立した場合、ステップS12で、接続制御部54は、端末通信部46を印刷装置20Bに接続させる。
【0057】
条件1-Cは、端末装置40が属する接続領域10が接続領域10Bから接続領域10Cに変化すること、及び、接続領域10Bにおいて端末通信部46がローカルネットワーク7Bを介して印刷装置20Bに接続していたことを含む。条件1-Cが成立した場合、ステップS12で、接続制御部54は、端末通信部46を、広域ネットワーク2を介して印刷装置20Bに接続させる。
【0058】
条件1-Dは、端末装置40が属する接続領域10が接続領域10Bから接続領域10Aに変化すること、及び、接続領域10Bにおいて端末通信部46が印刷装置20Bに接続していたことを含む。条件1-Dは、接続領域10Aにおいて、端末通信部46がローカルネットワーク7A及び広域ネットワーク2のどちらで印刷装置20Aに接続していたかを問わない。条件1-Dが成立した場合、ステップS12で、接続制御部54は、端末通信部46を印刷装置20Aに接続させる。
【0059】
条件1-Eは、端末装置40が属する接続領域10が接続領域10Cから接続領域10Aに変化すること、及び、接続領域10Cにおいて端末通信部46が広域ネットワーク2を介して印刷装置20Aに接続していたことを含む。条件1-Eが成立した場合、ステップS12で、接続制御部54は、端末通信部46を、ローカルネットワーク7Aを介して印刷装置20Aに接続させる。
【0060】
条件1-Fは、端末装置40が属する接続領域10が接続領域10Cから接続領域10Bに変化すること、及び、接続領域10Cにおいて端末通信部46が広域ネットワーク2を介して印刷装置20Bに接続していたことを含む。条件1-Fが成立した場合、ステップS12で、接続制御部54は、端末通信部46を、ローカルネットワーク7Bを介して印刷装置20Bに接続させる。
【0061】
条件1-A及び条件1-Cを集約すると、端末装置40がローカル領域から広域通信領域へ移動すること、及び、端末装置40がローカル領域においてローカルネットワーク7で印刷装置20に接続していたことを含む条件となる。この条件が成立した場合、端末装置40は、ステップS12で、ローカル領域で接続していた印刷装置20と同じ印刷装置20に、広域ネットワーク2で自動的に接続する。
【0062】
条件1-B及び条件1-Dを集約すると、端末装置40がローカル領域からローカル領域へ移動すること、かつ、端末装置40がローカル領域において印刷装置20に接続していたことを含む条件となる。この条件が成立した場合、端末装置40は、ステップS12で、移動後のローカル領域でローカルネットワーク7によって接続可能な印刷装置20に、自動的に接続する。
【0063】
条件1-E及び条件1-Fを集約すると、端末装置40が広域通信領域からローカル領域へ移動すること、端末装置40が広域通信領域で接続した印刷装置20と移動後のローカル領域で接続可能な印刷装置20とが一致することを含む条件となる。この条件が成立した場合、端末装置40は、ステップS12で、移動後のローカル領域でローカルネットワーク7によって接続可能な印刷装置20に、ローカルネットワーク7により自動的に接続する。
【0064】
条件1-A、1-B、1-C、1-D、1-E、1-Fのいずれかが成立する場合、端末装置40が移動した場合であっても、端末装置40は、移動前に接続していた印刷装置20と同じ印刷装置20に、移動後も接続可能である。このような場合、端末装置40は、ユーザーの入力を要せずに、同じ印刷装置20に接続する。従って、ユーザーは、端末装置40が接続するネットワークが変化するような移動をした場合であっても、入力操作を行うことなく、同じ印刷装置20を継続して利用できる。
【0065】
第2条件としては、例えば、次の3つの条件2-A、2-B、2-Cが挙げられる。
【0066】
条件2-Aは、端末装置40が属する接続領域10が接続領域10Cから接続領域10Aに変化すること、及び、接続領域10Cにおいて端末通信部46が広域ネットワーク2を介して印刷装置20Bに接続していたことを含む。
条件2-Bは、端末装置40が属する接続領域10が接続領域10Cから接続領域10Bに変化すること、及び、接続領域10Cにおいて端末通信部46が広域ネットワーク2を介して印刷装置20Aに接続していたことを含む。
【0067】
条件2-A及び条件2-Bを集約すると、端末装置40が広域通信領域からローカル領域へ移動すること、端末装置40が広域通信領域で接続した印刷装置20と移動後のローカル領域で接続可能な印刷装置20とが異なることを含む条件となる。
【0068】
また、条件2-Cは、端末装置40が属する接続領域10が変化しない間に、ユーザーの入力により、端末通信部46が接続する印刷装置20の切り替えが指示されることである。例えば、ユーザーがタッチパネル41を操作して、端末通信部46が接続する印刷装置20を印刷装置20Aから印刷装置20Bに切り替えること、或いは、印刷装置20Bから印刷装置20Aに切り替えることを指示することである。
【0069】
条件2-A、2-B、2-Cが成立した場合、端末装置40が自動的に印刷装置20Aまたは印刷装置20Bに接続するよりも、端末装置40が接続する印刷装置20をユーザーが指定する方が、好ましい。これは、ユーザーが意図しない印刷装置20に接続してしまう可能性が低いためである。
【0070】
図4は、端末装置40の動作例を示すフローチャートである。図4は、条件1-A~1-F及び条件2-A~2-Cに基づく動作を実現するための、印刷アプリ62による動作の一例である。図4においてステップS22及びステップS36は接続制御部54と表示制御部55とにより実行され、他のステップは接続制御部54により実行される。
【0071】
端末装置40は、端末装置40に接続する印刷装置20の切り替えを指示する入力の有無を判定する(ステップS21)。印刷装置20の切り替えを指示する入力があったと判定した場合(ステップS21;YES)、端末装置40は、ディスプレイ42に第1選択画面を表示する(ステップS22)。端末装置40は、第1選択画面の表示に対応してユーザーが行う操作を受け付ける。この操作は、印刷装置20を選択する入力である。端末装置40は、ユーザーの操作により選択された印刷装置20に対し端末通信部46によって接続し(ステップS23)、後述するステップS38に移行する。
【0072】
印刷装置20の切り替えを指示する入力がない場合(ステップS21;NO)、端末装置40は、領域判定部53の判定結果に基づいて、端末装置40が属する接続領域10が変化したか否かを判定する(ステップS24)。端末装置40が属する接続領域10が変化していないと判定した場合(ステップS24;NO)、端末装置40はステップS21に戻り、ステップS21の判定を所定周期で繰り返す。
【0073】
端末装置40が属する接続領域10が変化したと判定した場合(ステップS24;YES)、端末装置40は、接続領域10の変化がローカル領域から広域通信領域への変化であるか否かを判定する(ステップS25)。すなわち、接続領域10Aまたは接続領域10Bから、接続領域10Cへの変化であるか否かを判定する。
【0074】
接続領域10の変化がローカル領域から広域通信領域への変化であると判定した場合(ステップS25;YES)、端末装置40は、同じ印刷装置20に接続可能か否かを判定する(ステップS26)。ステップS26で、端末装置40は、接続領域10が変化する前に接続していた印刷装置20と、接続領域10が変化した後に、広域ネットワーク2によって接続可能か否かを判定する。
【0075】
同じ印刷装置20に接続可能であると判定した場合(ステップS26;YES)、端末装置40は、接続領域10が変化する前に接続していた印刷装置20に、広域ネットワーク2を経由して自動的に接続し(ステップS27)、ステップS38に移行する。
同じ印刷装置20に接続できないと判定した場合(ステップS26;NO)、端末装置40は、ステップS22に移行する。
【0076】
一方、接続領域10の変化がローカル領域から広域通信領域への変化でないと判定した場合(ステップS25;NO)、接続領域10の変化がローカル領域からローカル領域への変化であるか否かを判定する(ステップS28)。接続領域10の変化がローカル領域からローカル領域への変化であると判定した場合(ステップS28;YES)、端末装置40は、変化の後の接続領域10においてローカルネットワーク7により接続可能な印刷装置20を、第2通信部48により探索する(ステップS29)。端末装置40は、ローカルネットワーク7により接続可能な印刷装置20があるか否かを判定し(ステップS30)、接続可能な印刷装置20がない場合は(ステップS30;NO)、ステップS22に移行する。
【0077】
ローカルネットワーク7により接続可能な印刷装置20がある場合(ステップS30;YES)、端末装置40は、接続可能な印刷装置20にローカルネットワーク7により自動的に接続し(ステップS31)、ステップS38に移行する。
【0078】
また、接続領域10の変化がローカル領域からローカル領域への変化でないと判定した場合(ステップS28;NO)、端末装置40は、接続領域10の変化が広域通信領域からローカル領域への変化であるか否かを判定する(ステップS32)。
【0079】
接続領域10の変化が広域通信領域からローカル領域への変化であると判定した場合(ステップS32;YES)、変化の後の接続領域10においてローカルネットワーク7により接続可能な印刷装置20を、第2通信部48により探索する(ステップS33)。端末装置40は、探索により発見された印刷装置20が、接続領域10が変化する前に接続していた印刷装置20と同一であるか否かを、例えば印刷装置IDに基づき判定する(ステップS34)。
【0080】
同一の印刷装置20であると判定した場合(ステップS34;YES)、端末装置40は、探索により発見された印刷装置20に、ローカルネットワーク7を経由して自動的に接続し(ステップS35)、ステップS38に移行する。
同一の印刷装置20でないと判定した場合(ステップS34;NO)、端末装置40は、ディスプレイ42によって第2選択画面を表示する(ステップS36)。端末装置40は、第2選択画面の表示に対応してユーザーが行う操作を受け付ける。この操作は、印刷装置20を選択する入力である。端末装置40は、ユーザーの操作により選択された印刷装置20に端末通信部46によって接続し(ステップS37)、ステップS38に移行する。
【0081】
また、接続領域10の変化が広域通信領域からローカル領域への変化でないと判定した場合(ステップS32;NO)、端末装置40は、ステップS22に移行する。ステップS32で否定判定される場合は、例えば、領域判定部53によって接続領域10が適切に判定できない場合が挙げられる。このような場合、端末装置40は、ステップS22に移行して第1選択画面を表示することにより、ユーザーが印刷装置20を選択できるようにする。
【0082】
ステップS38で、端末装置40は、印刷アプリ62の動作を終了するか否かを判定する(ステップS38)。動作を終了しない場合(ステップS38;NO)、端末装置40はステップS21に戻る。
【0083】
図4の動作において、ステップS21-S23は、条件2-Cが成立した場合の動作に相当する。この場合、ステップS21で肯定判定されているため、第1条件が成立しないことが明らかである。
【0084】
ステップS25-S27は、条件1-A、1-Cが成立した場合の動作に相当する。ステップS28-S31は条件1-B、1-Dが成立した場合の動作に相当する。ステップS32-S35は条件1-E、1-Fが成立した場合の動作に相当する。ステップS34、S36-S37は条件2-A、2-Bが成立した場合の動作に相当する。
【0085】
また、図4のステップS25-S26の動作は、端末装置40が移動しない場合の動作を含む。すなわち、端末装置40が接続領域10Aまたは接続領域10Bでローカルネットワーク7に接続している状態で、端末装置40が移動することなく、ローカルネットワーク7による印刷装置20との通信が実行できない場合、ステップS25で肯定判定される。この場合、端末装置40は、ローカルネットワーク7により接続していた印刷装置20と、広域ネットワーク2によって新たに接続する。例えば、端末装置40が接続領域10Aにおいてローカルネットワーク7により印刷装置20Aに接続している状態で、印刷装置20Aとの通信が行えない状態になった場合、ステップS27で端末装置40は広域ネットワーク2によって印刷装置20Aに接続する。
【0086】
図5、及び、図6は、端末装置40がディスプレイ42に表示する表示例を示す図である。図5は、ステップS14(図3)及びステップS22(図4)で表示される第1選択画面の例として、第1選択画面101を示す。図6は、ステップS16及びステップS36で表示される第2選択画面の例として、第2選択画面102を示す。
【0087】
第1選択画面101は、印刷装置アイコン111、112、113を含む。印刷装置アイコン111、112、113は、それぞれ、端末装置40が接続可能な印刷装置20を示す。第1選択画面101には、端末装置40と印刷装置20との接続に使用する通信路ごとに分けて、印刷装置20に対応するアイコン111、112、113が表示される。例えば、第1選択画面101には、広域ネットワーク2により接続される印刷装置20Bを示す印刷装置アイコン112と、ローカルネットワーク7Bにより接続される印刷装置20Bを示す印刷装置アイコン113とが表示される。ユーザーは、印刷装置アイコン111、112、113をタッチ操作することにより、印刷装置20と、印刷装置20と端末装置40との接続に用いる通信路とを選択できる。
【0088】
印刷装置アイコン111には、印刷装置IDと通信路とを示す装置情報121が並べて配置される。同様に、印刷装置アイコン112には装置情報122が並べて配置され、印刷装置アイコン113には装置情報123が並べて配置される。装置情報121、122、123は、ユーザーが印刷装置アイコン111、112、113のいずれかを選択するための情報を提供する。
印刷装置アイコン111、112、113のうち、広域ネットワーク2を経由して接続される印刷装置20を示すアイコンには、広域通信表示114が付加されている。
【0089】
第1選択画面101には、確定ボタン131、及び、キャンセルボタン132が配置される。確定ボタン131及びキャンセルボタン132は、ユーザーのタッチ操作を受け付けるボタンとして機能する。キャンセルボタン132は、印刷装置アイコン111、112、113をユーザーが選択した状態をキャンセルさせる。確定ボタン131は、印刷装置アイコン111、112、113のいずれかをユーザーが選択した状態を確定させる。
【0090】
図6の第2選択画面102は、第1選択画面101と同様の印刷装置アイコン111、112、113、装置情報121、122、123、確定ボタン131、及び、キャンセルボタン132を含む。
【0091】
第2選択画面102では、印刷装置アイコン111、112、113のいずれかに、接続中表示115が付加される。接続中表示115は、第2選択画面102を表示する時点で端末装置40が接続している印刷装置20を示す。第2選択画面102は、例えばステップS36で、端末装置40が広域ネットワーク2によって印刷装置20に接続している状態で表示される。このため、端末装置40が接続中の印刷装置20をユーザーに明示するため、接続中表示115が付加されている。
【0092】
第1選択画面101、及び、第2選択画面102を用いることにより、ユーザーが、複数の印刷装置20、及び、複数の通信路の中から、適切な選択を容易に行うことができる。
【0093】
[5.他の実施形態]
上記実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することができる。
【0094】
上記実施形態では、接続領域10A、10Bの各々に1つの印刷装置20が設置される構成を例示したが、これは一例である。例えば、接続領域10Aに複数の印刷装置20が設置されてもよい。また、印刷システム1は、ローカルネットワーク7による接続ができず、広域ネットワーク2を利用してのみ端末装置40と接続可能な印刷装置20を含んでもよい。
【0095】
図1及び図2に示した各部は一例であって、特に限定されない。例えば、図2に示した端末装置40の構成は、必ずしも各部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。ソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、端末装置40の各装置の他の各部の具体的な細部構成について、任意に変更可能である。また、図2に示した端末装置40の構成は要部である。端末装置40は、音声を集音するマイク、音声を出力するスピーカー、マイク及びスピーカーを駆動する駆動回路、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信装置、加速度センサー、ジャイロセンサー等を備えていてもよい。端末装置40は、その他の装置を備える構成であってもよい。
【0096】
プログラム、又は情報処理装置の制御方法を、端末装置40に搭載されたコンピューターを用いて実現する場合、コンピューターに実行させるプログラムを記録媒体、又はプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。上記記録媒体は、サーバー装置が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
【0097】
図3及び図4に示す動作のステップ単位は、端末装置40の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。そのステップの順番は、適宜に入れ替えてもよい。
【0098】
[6.実施形態により説明される構成]
上記の実施形態により、以下の構成が説明される。
【0099】
(構成1)接続先機器と接続する情報処理装置であって、第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む前記接続先機器と通信を行う通信部と、前記情報処理装置が、前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定する領域判定部と、前記通信部を制御する接続制御部と、入力を受け付ける受付部と、を備え、前記接続制御部は、前記領域判定部の判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じた前記入力により特定される前記接続先機器に前記通信部を接続させる、情報処理装置。
構成1によれば、複数の異なる接続領域で複数の印刷装置に接続可能な構成において、情報処理装置が属する接続領域に対応して、情報処理装置を適切な印刷装置に接続させることができる。これにより、情報処理装置を接続させる印刷装置の選択や情報処理装置の接続状態の管理に関するユーザーの負担を軽減できる。
【0100】
(構成2)前記通信部は、前記第1接続領域のローカルエリアネットワークである前記第1通信路、前記第2接続領域のローカルエリアネットワークである前記第2通信路、及び、広域通信ネットワークである前記第3通信路を介して前記接続先機器に接続可能である、構成1に記載の情報処理装置。
構成2によれば、情報処理装置が、ローカルエリアネットワークと広域通信ネットワークとを用いて印刷装置に接続可能な場合に、情報処理装置を適切な印刷装置に接続させることができる。
【0101】
(構成3)前記通信部が前記第1通信路により前記第1印刷装置と接続するための第1ローカル接続情報と、前記通信部が前記第3通信路により前記第1印刷装置と接続するための第1広域接続情報と、前記通信部が前記第2通信路により前記第2印刷装置と接続するための第2ローカル接続情報と、前記通信部が前記第3通信路により前記第2印刷装置と接続するための第2広域接続情報と、を記憶する記憶部を備え、前記接続制御部は、前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記通信部により接続可能な前記接続先機器を特定する、構成2に記載の情報処理装置。
構成3によれば、情報処理装置を、ローカルエリアネットワークと広域通信ネットワークとを適切に利用して、印刷装置に接続させることができる。
【0102】
(構成4)前記接続制御部は、前記通信部を前記第1接続領域において前記第1印刷装置に接続させる場合であって、前記通信部が前記第1通信路による通信を行えない場合に、前記通信部を前記第3通信路により前記第1印刷装置に接続させ、前記通信部を前記第2接続領域において前記第2印刷装置に接続させる場合であって、前記通信部が前記第2接続領域において前記第2通信路による通信を行えない場合に、前記通信部を前記第3通信路により前記第2印刷装置に接続させる、構成1または構成2に記載の情報処理装置。
構成4によれば、情報処理装置の通信状態が変化した場合であっても、通信路を切り替えることにより、印刷装置を変更せず継続して利用できる。
【0103】
(構成5)前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第1接続領域から前記第3接続領域に変化すること、及び、前記第1接続領域において前記通信部が前記第1通信路を介して前記第1印刷装置に接続していたことを含み、前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を、前記第3通信路を介して前記第1印刷装置に接続させる、構成1から構成4のいずれかに記載の情報処理装置。
構成5によれば、情報処理装置の通信状態の変化に対応して、ユーザーの操作を求めることなく情報処理装置を印刷装置に接続させることができ、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0104】
(構成6)前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第1接続領域から前記第2接続領域に変化すること、及び、前記第1接続領域において前記通信部が前記第1印刷装置に接続していたことを含み、前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を前記第2印刷装置に接続させる、構成1から構成4のいずれかに記載の情報処理装置。
構成6によれば、情報処理装置の通信状態の変化に対応して、ユーザーの操作を求めることなく情報処理装置を印刷装置に接続させることができ、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0105】
(構成7)前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第2接続領域から前記第3接続領域に変化すること、及び、前記第2接続領域において前記通信部が前記第2通信路を介して前記第2印刷装置に接続していたことを含み、前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を、前記第3通信路を介して前記第2印刷装置に接続させる、構成1から構成4のいずれかに記載の情報処理装置。
構成7によれば、情報処理装置の通信状態の変化に対応して、ユーザーの操作を求めることなく情報処理装置を印刷装置に接続させることができ、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0106】
(構成8)前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第2接続領域から前記第1接続領域に変化すること、及び、前記第2接続領域において前記通信部が前記第2印刷装置に接続していたことを含み、前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を前記第1印刷装置に接続させる、構成1から構成4のいずれかに記載の情報処理装置。
構成8によれば、情報処理装置の通信状態の変化に対応して、ユーザーの操作を求めることなく情報処理装置を印刷装置に接続させることができ、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0107】
(構成9)前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第3接続領域から前記第1接続領域に変化すること、及び、前記第3接続領域において前記通信部が前記第3通信路を介して前記第1印刷装置に接続していたことを含み、前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を、前記第1通信路を介して前記第1印刷装置に接続させる、構成1から構成4のいずれかに記載の情報処理装置。
構成9によれば、情報処理装置の通信状態の変化に対応して、ユーザーの操作を求めることなく情報処理装置を印刷装置に接続させることができ、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0108】
(構成10)前記第1条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第3接続領域から前記第2接続領域に変化すること、及び、前記第3接続領域において前記通信部が前記第3通信路を介して前記第2印刷装置に接続していたことを含み、前記接続制御部は、前記第1条件が成立した場合に、前記通信部を、前記第2通信路を介して前記第2印刷装置に接続させる、構成1から構成4のいずれかに記載の情報処理装置。
構成10によれば、情報処理装置の通信状態の変化に対応して、ユーザーの操作を求めることなく情報処理装置を印刷装置に接続させることができ、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0109】
(構成11)前記第2条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第3接続領域から前記第1接続領域に変化すること、及び、前記第3接続領域において前記通信部が前記第3通信路を介して前記第2印刷装置に接続していたことを含み、前記接続制御部は、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器として前記第1印刷装置と前記第2印刷装置とのいずれかを選択するよう要求する、構成1から構成10のいずれかに記載の情報処理装置。
構成11によれば、複数の印刷装置を情報処理装置に接続可能な場合に、ユーザーに選択を要求することにより、ユーザーの希望に適した印刷装置を情報処理装置に接続できる。
【0110】
(構成12)前記第2条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が前記第3接続領域から前記第2接続領域に変化すること、及び、前記第3接続領域において前記通信部が前記第3通信路を介して前記第1印刷装置に接続していたことを含み、前記接続制御部は、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器として前記第1印刷装置と前記第2印刷装置とのいずれかを選択するよう要求する、構成1から構成10のいずれかに記載の情報処理装置。
構成12によれば、複数の印刷装置を情報処理装置に接続可能な場合に、ユーザーに選択を要求することにより、ユーザーの希望に適した印刷装置を情報処理装置に接続できる。
【0111】
(構成13)前記第2条件は、前記情報処理装置が属する前記領域が変化しない間に、前記受付部により受け付けた入力に従って、前記通信部が接続する前記接続先機器の前記第1印刷装置から前記第2印刷装置への切り替えの入力、或いは、前記第2印刷装置から前記第1印刷装置への切り替えの入力を受け付けることを含み、前記接続制御部は、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器と通信する通信路として前記第1通信路と前記第3通信路とのいずれかを選択すること、或いは、前記第2通信路と前記第3通信路とのいずれかを選択することを要求する、構成1から構成10のいずれかに記載の情報処理装置。
構成13によれば、ユーザーの選択に従って、ユーザーの希望に適した印刷装置を情報処理装置に接続できる。
【0112】
(構成14)第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む接続先機器と通信を行う通信部を備える情報処理装置の制御方法であって、前記情報処理装置が、前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定し、判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じて選択される前記接続先機器に前記通信部を接続させる、情報処理装置の制御方法。
構成14によれば、複数の異なる接続領域で接続先機器に接続可能な構成において、情報処理装置が属する接続領域に対応して、情報処理装置を適切な接続先機器に接続させることができる。これにより、情報処理装置を接続させる機器の選択や情報処理装置の接続状態の管理に関するユーザーの負担を軽減できる。
【0113】
(構成15)第1印刷装置、及び、第2印刷装置を含む接続先機器と通信を行う通信部を制御するコンピューターにより実行可能なプログラムであって、前記コンピューターを、前記通信部が第1通信路及び第3通信路により通信可能な領域である第1接続領域と、前記通信部が第2通信路及び前記第3通信路により通信可能な領域である第2接続領域と、前記通信部が第1通信路及び前記第2通信路による通信を実行できず前記第3通信路により通信可能な領域である第3接続領域と、のいずれに属するかを判定する領域判定部と、前記領域判定部の判定結果に基づき、第1条件が成立したか否かを判定し、前記第1条件が成立した場合に前記通信部と前記接続先機器とを接続させ、前記第1条件が成立しない場合に、第2条件が成立したか否かを判定し、前記第2条件が成立した場合に、前記接続先機器の選択を要求し、要求に応じて選択される前記接続先機器に前記通信部を接続させる接続制御部と、して機能させるプログラム。
構成15によれば、複数の異なる接続領域で接続先機器に接続可能な構成において、情報処理装置が属する接続領域に対応して、情報処理装置を適切な接続先機器に接続させることができる。これにより、情報処理装置を接続させる機器の選択や情報処理装置の接続状態の管理に関するユーザーの負担を軽減できる。
【符号の説明】
【0114】
1…印刷システム、2…広域ネットワーク(第3通信路)、3…基地局、5、5A、5B…アクセスポイント、7…ローカルネットワーク、7A…ローカルネットワーク(第1通信路)、7B…ローカルネットワーク(第2通信路)、9…管理装置、10…接続領域、10A…接続領域(第1接続領域)、10B…接続領域(第2接続領域)、10C…接続領域(第3接続領域)、20…印刷装置(接続先機器)、20A…印刷装置(第1印刷装置)、20B…印刷装置(第2印刷装置)、21A…PR通信部、22A…PR制御部、23A…印刷部、40…端末装置(情報処理装置)、41…タッチパネル、42…ディスプレイ、43…タッチセンサー、46…端末通信部、47…第1通信部、48…第2通信部、50…端末制御部、51…受付部、52…通信制御部、53…領域判定部、54…接続制御部、60…記憶部、61…OS、62…印刷アプリ、63…接続履歴情報、64…接続情報、101…第1選択画面、102…第2選択画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6