(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008073
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】画像表示装置、画像表示方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/398 20200101AFI20240112BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20240112BHJP
G06F 115/12 20200101ALN20240112BHJP
【FI】
G06F30/398
H05K13/00 Z
G06F115:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109613
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松野 順也
【テーマコード(参考)】
5B146
5E353
【Fターム(参考)】
5B146AA22
5B146DG07
5B146DJ15
5B146EA09
5B146EC10
5B146GL07
5E353CC03
5E353CC04
5E353EE61
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353KK01
5E353KK11
5E353KK13
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品が実装された状態の被実装部材を表示する画像において、部品や被実装部材の視認性を高める。
【解決手段】部品Eが実装された被実装部材Pの画像Gを表示する画像表示装置は、画像Gを表示する表示部14と、制御部11と、を備え、制御部11は、被実装部材Pの設計データ17に基づいて、画像Gを生成し、制御部11は、画像Gに含まれる部品Eのうち、所定の条件を満たす部品Eの表示形態を、他の部品Eの表示形態とは異なる表示形態に変更して表示部14に表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装された被実装部材、及び前記被実装部材に実装された部品の画像を表示する画像表示装置であって、
前記画像を表示する表示部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記被実装部材の設計データに基づいて、前記画像を生成し、
前記制御部は、前記画像に含まれる前記部品のうち、所定の条件を満たす部品の表示形態を、他の部品の表示形態とは異なる表示形態に変更して前記表示部に表示する、画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記設計データは、部品に関する部品データを含み、
前記所定の条件は、前記部品データに基づいて定まる条件である、画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記設計データは、前記被実装部材に部品を実装する実装装置に関する実装装置データを含み、
前記制御部は、前記部品データ及び前記実装装置データに基づいて、部品の実装工程における前記実装装置の構成部材と、前記被実装部材に既実装の部品との干渉について判断し、
干渉する虞があると判断した前記既実装の部品について、表示形態を変更する、画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記表示形態の変更とは、生成する画像中において前記部品を2次元表示するか、3次元表示するかの変更である、画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記表示形態の変更とは、生成する画像中において前記部品を表示するか、非表示とするかの変更である画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記表示形態の変更とは、生成する画像中における前記部品の透過度の変更である、画像表示装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記表示形態の変更とは、生成する画像中における前記部品の色彩の変更である、画像表示装置。
【請求項8】
部品が実装された被実装部材の画像を表示する画像表示方法であって、
前記画像に含まれる前記部品のうち、所定の条件を満たす部品の表示形態を、他の部品の表示形態とは異なる表示形態に変更して、表示部に表示する、画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像表示装置、及び画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板(被実装部材)の実装状態を3次元立体として表示させたうえで、使用する実装装置の動作条件を3次元図形で同時に表示させ、実物基板を試作することなく仮想的かつ確実に実装データの確認及び検討を行うことができる回路基板の実装状態表示装置が知られている(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被実装部材に実装された全ての部品を3次元表示すると、部品の位置や形状によっては、ユーザが視認したい部品や被実装部材上の箇所が、3次元表示された他の部品の陰に隠れて見難くなる場合がある。
【0005】
本発明は、部品が実装された状態の被実装部材を表示する画像において、部品や被実装部材の視認性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
部品が実装された被実装部材、及び前記被実装部材に実装された部品の画像を表示する画像表示装置は、前記画像を表示する表示部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記被実装部材の設計データに基づいて、前記画像を生成し、前記制御部は、前記画像に含まれる前記部品のうち、所定の条件を満たす部品の表示形態を、他の部品の表示形態とは異なる表示形態に変更して前記表示部に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示される画像において、部品や被実装部材の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】部品の表示形態が異なる画像の表示例を示す図
【
図5】実装工程における干渉を説明するための側面図
【
図7】部品の高さに基づき表示形態を変更する表示例を示す図
【
図10】品質上の問題が生じた部品を有する基板の表示例を示す図
【
図11】エラー判定された部品を有する基板の表示例を示す図
【
図12】部品を表示または非表示する場合の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。本開示の実施形態は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
<実施形態1>
1.全体構成
図1は、本実施形態に係る画像表示装置10を含む画像表示システムSの概略構成を示す図である。画像表示システムSは、実装装置による基板(被実装部材の一例)Pの生産に先立って、設計データ17に基づく基板Pの画像Gを生成し、生成した画像Gを表示するシステムである。
【0010】
ここで、部品は、抵抗器、キャパシタ、インダクタ等の受動部品や、半導体デバイス等の能動部品、基板P上の他の部品に対して上方から被せる箱状のシールド部品等を含む。
【0011】
図1に示すように、画像表示システムSは、画像表示装置10と、データベースDBと、を含む。画像表示装置10とデータベースDBとは、有線又は無線のネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)等である。
【0012】
図2は画像表示装置10の電気的構成を示すブロック図である。画像表示装置10は、制御部11、表示部14、入力部15を有している。表示部14は、一般的に用いられるディスプレイなどの表示機器である。入力部15は、一般的に用いられるキーボードやマウス、タッチパネル等の入力機器である。画像表示装置10のユーザは、入力部15を用いて所定の条件(後述)を設定したり、部品Eの表示態様(後述)を変更したりすることができる。
【0013】
制御部11、表示部14、及び入力部15はそれぞれ個別に構成されたものであってもよいし、一体に組み込まれて一つの装置とされていてもよい。
【0014】
データベースDBは、データを記憶する記憶装置である。データベースDBには、基板Pの設計データ17が記憶されている。設計データ17は、実装する部品Eに関する部品データ17Aと、部品Eを基板Pに実装する工程(以降の説明において実装工程という)で使用される実装装置に関する実装装置データ17Bと、を含む。
【0015】
部品データ17Aは、基板Pの外形サイズや厚み、基板Pに実装する部品Eの品種、外形、搭載点の座標に関するデータを含む。実装装置データ17Bは、部品Eを実装する際に部品Eを吸着する吸着ノズル34(
図5参照)のサイズや動作軌道に関するデータ、基板Pを下方から支持するバックアップピン33のサイズや配置、動作軌道に関するデータを含む。
【0016】
制御部11は、画像表示装置10の制御装置である。制御部11は、演算処理部12と、記憶部13と、通信部16と、を有している。通信部16は、各種のデータをデータベースDBとの間でやりとりする。
【0017】
記憶部13は、通信部16を介してデータベースDBから取得した設計データ17を記憶する。
【0018】
演算処理部12は、いわゆるCPU(Central Processing Unit)であり、各種の演算処理を実行したり、画像表示装置10の各部を制御したりする。演算処理部12は、記憶部13から設計データ17を読み込んで、部品Eが実装された基板Pの画像Gを生成する。
2.画像中の部品の表示形態について
【0019】
図3(a)~(c)を参照して、画像Gの中で表示される部品Eの表示形態について説明する。表示形態とは、部品Eを画像Gの中で表示するときの形態であり、本実施形態では、2次元表示または3次元表示である。ある部品Eの表示形態が2次元表示の場合、その部品Eは基板Pの板面上に平面的に表示される。表示形態は、2次元表示または3次元表示以外でもよい。他の表示形態については、後述する実施形態2以降で説明する。
【0020】
部品データ17Aは、基板P及び部品Eの外形データと、基板P上の基準点を原点とした搭載点の座標データを含んでいる。外形データとは、例えば3次元CADデータである。演算処理部12は、部品データ17Aに基づいて、高さ情報を含まない部品Eの2次元モデルを生成することができる。表示形態が2次元表示の場合、
図3(a)の画像G1に示すように、部品E1~E5は基板P上に投影された外形線として表示される。本実施形態では、表示形態の初期設定は2次元表示である。
【0021】
また、演算処理部12は、部品データ17Aに基づいて、高さ情報を含む3次元モデルを生成することもできる。表示形態が3次元表示の場合、
図3(b)の画像G2に示すように、部品E1~E5の形状は、3次元(例えば直方体)で表示される。
【0022】
全ての部品を2次元表示した画像G1からは、部品Eの高さ情報を読み取ることはできない。上述したように表示形態の初期設定は2次元表示であるため、所定の条件が設定されていない場合や、所定の条件を満たす部品Eがない場合は、画像G1のように全ての部品が2次元表示される。
【0023】
全ての部品を3次元表示した画像G2では、基板Pの奥側に位置する部品が、手前側に位置する部品と重なって見えにくくなる場合がある。例えば、部品E4は手前側にある部品E3の陰に隠れてしまうため、ユーザは画像G2から部品E4を見つけにくい。また、部品E4の周囲が部品E3によって隠されてしまうため、ユーザは、画像G2を見ても部品E4の周囲の状態(他の部品との位置関係や距離など)を認識しにくい。
【0024】
画像G3は、画像G1に対し、所定の条件を満たす特定の部品(例えば部品E4、E5)の表示形態を2次元表示から3次元表示に変更し、その他の部品(部品E1~E3)は2次元表示を維持した場合の画像である。画像G3においては、2次元表示の部品E1~E3と、3次元表示の部品E4、E5が混在している。
【0025】
特定の部品(部品E4、E5)のみ、表示形態を3次元表示に変更することにより、特定の部品が画像中において視認しやすくなり、ユーザは、画像G3において特定の部品を容易に見つけ出すことができる。また、特定の部品以外の部品が2次元表示であるため、特定の部品が他の部品の陰に隠れることがなく、特定の部品及びその周囲の状態を容易に確認することができる。
【0026】
また、表示形態が2次元表示の部品E1~E3は外形線が基板P上に描画されるため、ユーザは、部品E1~E3の存在や、基板P上に投影した部品形状(部品の外形線)を画像G3から知得することができる。そのため、画像G3が表示された表示部14の画面上で、2次元表示された部品E1~E3を選択したり、2次元表示と3次元表示を切り替えたりする操作を容易に行うことができる。
【0027】
3.フローチャート
画像表示装置10で実行される、画像Gの生成、表示処理について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
ユーザが、画像表示装置10における処理を開始する操作を行うと、画像Gの生成、表示処理が開始される。
【0029】
ユーザは入力部15を用いて所定の条件を画像表示装置10に入力する(S10)。実装される部品Eのうち、表示形態を変更する部品Eを決めるための所定の条件は、ユーザが任意に設定できる。所定の条件は、記憶部13に記憶されている条件から選択してもよいし、ユーザが新たな条件を設定してもよい。また、演算処理部12が自動的に条件を設定してもよい。
【0030】
次に、演算処理部12は、記憶部13またはデータベースDBに記憶されている設計データ17を読み込む(S20)。
【0031】
演算処理部12は、設計データ17を参照して、実装する部品Eの中に、所定の条件を満たす部品Eがあるか否かを判断する。所定の条件を満たす部品Eが設計データ17に含まれている場合は(S30:YES)、演算処理部12は、所定の条件を満たす部品Eのみ、表示形態を初期設定の2次元表示から3次元表示に変更する(S40)。所定の条件を満たさない部品Eの表示形態は2次元表示のまま変更しない。
【0032】
演算処理部12は、各部品Eの表示形態を参照して各部品Eの2次元モデル又は3次元モデルを生成し、各部品Eを基板Pの搭載点に配置した画像Gを生成する(S50)。
【0033】
一方、所定の条件を満たす部品Eが設計データ17に含まれていない場合は(S30:NO)、表示形態は初期設定から変更されない。この場合、演算処理部12は、全ての部品Eを2次元表示した画像Gを生成する(S50)。
【0034】
演算処理部12は、生成した画像Gを表示部14に送信し、表示させ(S60)、画像Gの生成、表示処理を終了する。
【0035】
4.所定の条件について
図5は、実装工程における実装装置と基板Pの概略側面図である。基板Pは、一対の搬送コンベア35により紙面を貫通する方向(前後方向)に搬送され、一対のガイド部材31の間において左右方向の変位が規制されている。実装対象の部品E10を吸着保持したノズル34が、搭載点の上方に配される。基板Pの下方には、基板Pを下方から支持するバックアップ装置36が設けられている。バックアップ装置36は、板状のバックアッププレート32と、バックアッププレート32の上面に立設される柱状のバックアップピン33を有する。バックアッププレート32はバックアップピン33と一体的に上下移動可能である。
【0036】
実装工程において、バックアップ装置36は、バックアップピン33を、実線の位置から点線の位置まで上昇させて基板Pの下面を支持する。基板Pの下面をバックアップピン33で支持して持ち上げた後、ノズル34が実線の位置から点線の位置に下降して、部品E10を基板P上に実装する。
【0037】
部品E10を実装する前の時点において、基板Pの上面や下面に部品Eが既に実装されている場合がある。
図5の例では、部品E11~E16が部品E10よりも前に実装されている。既実装の部品E11~E16の位置によっては、ノズル34やバックアップピン33が既実装の部品と干渉するおそれがある。
図5の例では、バックアップピン33を上昇させると、既実装の部品E14と干渉するおそれがある。また、ノズル34を下降させると、既実装の部品E12と干渉するおそれがある。
【0038】
本実施形態では、部品E10を実装する際の干渉の有無を確認するために、所定の条件を「部品E10の実装工程において、実装装置を構成する部材と干渉する虞のある部品」と設定する。
【0039】
所定の条件をこのように設定した場合、演算処理部12は、部品データ17Aに含まれる既実装の部品E11~E16の形状及び搭載点の座標データと、実装装置データ17Bに含まれる、ノズル34及びバックアップピン33の形状及び動作軌道のデータを参照する。演算処理部12は、これらのデータに基づき、部品E10の実装工程において、ノズル34等が既実装の部品E11~E16と干渉するか否かを判断する。
【0040】
例えば、ノズル34等が動作する過程において、ノズル34と既実装部品E11~E16との距離が任意の値を下回る場合には、干渉する虞があると判断する。そして、判断結果に基づいて、干渉する虞のある部品(所定の条件を満たす部品)について、表示形態を2次元表示から3次元表示に変更する。
【0041】
図5に示すように、本実施形態では、所定の条件を満たす部品は、ノズル34と干渉する虞のある部品E12と、バックアップピン33と干渉する虞のある部品E14である。演算処理部12はこれら2つの部品の表示形態を3次元表示に変更する。なお、実装対象の部品E10の表示形態を3次元表示に変更してもよい。
【0042】
上記のように所定の条件を設定することにより、ユーザは、実装工程において実装装置を構成する部材と干渉する虞のある部品を、画像Gから容易に確認することができる。
【0043】
5.効果説明
本実施形態の画像表示装置10は、所定の条件を満たす部品Eの表示形態を、所定の条件を満たさない他の部品Eの表示形態とは異なる表示形態に変更して画像Gを生成し、表示部14に表示する。所定の条件を満たす特定の部品Eを、画像G中において選択的に目立たせ、視認性を高めることができる。ユーザは、画像Gから特定の部品Eの存在や位置を容易に確認できる。
【0044】
本実施形態の画像表示装置10は、実装装置に関する実装装置データ17Bに基づいて、実装装置の構成部材であるバックアップピン33やノズル34が、基板Pに既実装の部品Eと干渉する虞について判断する。演算処理部12は、干渉する虞がある部品Eの表示形態を変更して画像Gを生成する。
【0045】
これにより、画像Gにおいて、干渉する虞がある部品Eを選択的に目立たせることができるため、ユーザは、実装工程で干渉する虞がある部品Eの存在や位置を画像Gから認識しやすい。
【0046】
本実施形態では、所定の条件を満たす部品Eの表示形態を、初期設定の2次元表示から3次元表示に変更する。これにより、3次元表示した部品Eについて、画像G中で高さを含む3次元形状を容易に確認できるようになる。2次元表示した部品Eについては、部品Eの存在や2次元形状(平面視した場合の外形形状)を画像Gから確認可能である。また、2次元表示の部品Eも画像中に表示されるため、画像中の2次元表示の部品Eの存在を容易に認識できる。また、2次元表示された部品Eを選択して、2次元表示と3次元表示を切り替える操作を容易に行うことができる。
【0047】
6.所定の条件について
上記の説明では所定の条件を「部品E10の実装工程において、実装装置を構成する部材と干渉する虞のある部品」としたが、ユーザは、目的に応じて所定の条件を任意に設定してもよい。ユーザが所定の条件を任意に設定することで、画像表示装置10に、ユーザの目的に沿った事項を確認するのに適した画像Gを表示させることができる。以下に、所定の条件の具体例を説明する。
【0048】
6.1 部品の種類
図6(a)、(b)に示す画像G21、G22は、基板P上に実装された部品E21に対して、下方が開口した箱型のシールド部品E20を、基板Pの上方から被せるように実装した状態を示す画像である。シールド部品E20の表示形態は、画像G21では3次元表示、画像G22では2次元表示である。シールド部品E20は、部品E21が外部空間から電磁波の影響を受けにくくするための部品である。
【0049】
画像G21では、シールド部品E20の高さや3次元形状を読み取ることができるが、シールド部品E20の内部に位置する部品Eを視認できない。一方、画像G22では、内部の部品E21を視認可能であるが、シールド部品E20の高さや3次元形状は読み取ることができない。
【0050】
ユーザは、所定の条件を部品Eの種類で定めてもよく、例えば所定の条件を「部品の種類がシールド部品である部品」としてもよい。「シールド部品」は、部品Eの種類の一例である。この条件では、基板Pに実装された部品E20、E21のうち、シールド部品E20について、表示形態が2次元表示から3次元表示に変更される。これにより、表示部14に表示される画像Gから、シールド部品E20の高さ情報を得ることができる。シールド部品E20の内部に配される部品E21を視認したい場合は、シールド部品E20が所定の条件に含まれないように、所定の条件を変更または削除する。また、シールド部品E20について、後述する透過度の変更を行ってもよい。
【0051】
6.2 部品の高さ
部品の高さが大きいと、実装装置の構成部材(ノズル34、バックアップピン33など)と干渉する虞が高まる。そこで、所定の条件を「閾値よりも高さの大きい部品」とすれば、干渉の虞が高く注意が必要な部品Eを画像G中において選択的に目立たせることができる。
【0052】
図7(a)の画像G31は、高さの異なる部品E31~E33を基板P上に実装した状態を示している。画像G31では、部品E30~E32の表示形態は全て3次元表示である。部品E31の高さをH1、部品E32の高さをH2、部品E33の高さをH3、閾値をH0とする。ユーザは、閾値H0を任意の値に設定できる。
図7の例では、H1~H3と閾値H0の大小関係は、H1<H2<H0<H3であるとする。
【0053】
図7(b)の画像G32は、部品E31~E33の表示形態が全て2次元表示である場合の画像である。実装される全ての部品Eが高さ情報を含まない2次元表示の場合、どの部品の高さが閾値H0よりも大きく注意する必要があるのか、画像G32から視認することはできない。
【0054】
図7(c)の画像G33は、所定の条件を「閾値H0よりも高さの大きい部品」とした場合の画像である。閾値H0よりも高さが大きな部品E33のみ、3次元表示に変更されており、部品E33が閾値H0よりも高く、干渉の虞が高い部品であることが画像G33から明確にわかる。
【0055】
6.3 実装装置を通過後に実装済みの部品
図8は、複数の実装装置41によって基板Pに部品Eを実装する実装ラインの一例である。実装ライン40は、3台の実装装置41A~41Cを有している。実装装置41A~41Cは、一列に並んで配置され、図示しない搬送コンベアによって、上流側の実装装置41Aから下流側の実装装置41Cまで基板Pが搬送される。実装装置41Aに搬入された基板Pは、実装装置41A~41Cを順次経由して、それぞれの実装装置で部品Eが実装され、最終的に下流側の実装装置41Cから搬出される。
【0056】
ユーザが、複数の実装装置41A~41Cのうち、特定の実装装置を通過した直後の実装状態を確認したい場合、所定の条件を「41A~41Cのうち特定の実装装置の通過後に実装済みの部品」とする。この条件で生成した画像G41~G43を
図9に示す。
【0057】
図8の実装ライン40では、1台目の実装装置41Aが部品E42を実装し、2台目の実装装置41Bが部品E41、E44を実装し、3台目の実装装置41Cが部品E43、E45を実装するものとする。
【0058】
図9(a)の画像G41は、所定の条件を「1台目の実装装置41Aの通過後に実装済みの部品」とした場合を示している。1台目の実装装置41Aで実装された部品E42のみが3次元表示であり、この時点で未実装の部品(E41、E43~E45)は2次元表示である。
【0059】
図9(b)の画像G42は、所定の条件を「2台目の実装装置41Bの通過後に実装済みの部品」とした場合を示している。部品E42に加えて、実装装置41Bで実装された部品E41、E44が3次元表示される。この時点で未実装の部品(E43、E45)は、2次元表示である。
【0060】
図9(c)の画像G43は、所定の条件を「3台目の実装装置41Cの通過後に実装済みの部品」とした場合を示している。画像G43では、未実装の部品はなく、全ての部品E41~E45が3次元表示される。
【0061】
このようにすると、特定の実装装置を通過した直後における、実装済みの部品と未実装の部品とを、画像G41~G43から容易に認識できる。
【0062】
6.4 ユーザが任意に選択した部品
ユーザは、所定の条件を、「ユーザが選択した部品」とすることができる。この場合、ユーザは、基板Pに実装される部品Eのうち、一つ以上の部品Eを任意に選択する。演算処理部12は、選択した部品Eの表示形態を2次元表示から3次元表示に変更して、画像Gを生成する。これにより、ユーザが任意に選択した部品Eを、画像G中において選択的に目立たせることができ、ユーザは容易に視認できる。
【0063】
6.5 過去に品質上の問題が生じた部品
データベースDBには、上述した設計データ17の他、過去の生産実績データが記憶されている。生産実績データには、過去行った基板Pの生産において実装に失敗した部品Eのデータが含まれる。演算処理部12は、生産実績データを参照することにより、過去に品質上の問題が生じた部品Eを抽出することができる。
【0064】
図10(a)は、ノズル34が部品E64を吸着保持して搭載点に向けて下降中に、ノズル34と部品E65が干渉したときの状況を示す図である。部品E65はノズル34と干渉することにより位置ずれし、本来実装される位置とは異なる位置に移動してしまう。この場合、生産実績データには、位置ずれした部品E65と、位置ずれが起こったときの実装対象であった部品E64が、過去に品質上の問題があった部品として記録される。
【0065】
所定の条件を「過去に品質上の問題が生じた部品」とすると、演算処理部12は、生産実績データを参照して、該当する部品E64、E65の表示形態を3次元表示に変更し、その後
図10(b)に示す画像G61を生成する。これにより、過去に品質上の問題が生じた部品である実装対象の部品E64と、位置ずれした部品E65の両方を、画像G61中において選択的に目立たせることができ、ユーザはこれらの部品を容易に視認できる。
【0066】
6.6 データチェック機能でエラーと判定された部品
演算処理部12はデータチェック機能を有している。データチェック機能とは、実装対象の部品Eが実装可能か否かを、実装装置のスペックに基づいてチェックする機能である。例えば、実装装置で実装可能な部品Eの高さに上限値が設定されている場合、上限値を超える高さの部品Eが実装対象に含まれていれば、その部品Eについてエラー判定を行う。
【0067】
所定の条件を「データチェック機能でエラー判定された部品」とした場合に生成される画像G71を
図11に示す。画像G71は、基板Pに実装される部品E71~E74のうち、部品E73の高さが実装装置に設定されている上限値を超えているときに生成される。部品E73のみ表示形態が2次元表示から3次元表示に変更され、他の部品は2次元表示のままである。これにより、データチェックの結果エラーと判定された部品E73を、画像G71中で選択的に目立たせることができ、ユーザはデータチェックの結果を画像G71から容易に視認できる。
【0068】
<実施形態2>
図12を参照して実施形態2について説明する。実施形態1では、部品Eの表示形態を「2次元表示」と「3次元表示」の間で変更した(
図3参照)。実施形態2では、部品Eの表示形態を「表示」と「非表示」の間で変更する。なお、部品Eを表示しない「非表示」も、表示形態の一種に含まれるとする。表示形態の違い以外は、実施形態1の構成と同一の構成である。
【0069】
実施形態2において、表示形態が「表示」の部品Eは2次元表示、3次元表示に限らず、任意の形態で画像G中に表示されていればよい。これに対し、表示形態が「非表示」の部品Eは、画像G中に全く表示されないようになる。以下の説明では表示形態が「表示」の部品Eが3次元表示される場合について説明する。
【0070】
図12(a)の画像G81は、基板Pに実装されている全ての部品Eの表示形態が「表示」の場合に生成される画像である。部品E81はシールド部品である。この場合、シールド部品E81の内部に他の部品Eが格納されていたとしても、ユーザは画像G81からは他の部品Eの有無を判別できない。
【0071】
シールド部品E81の表示形態を「表示」から「非表示」に変更したときに生成される画像が
図12(b)の画像G82である。シールド部品E81が画像中に表示されなくなり、シールド部品E81の内部に格納されている部品E82、E83が視認できるようになる。
【0072】
表示形態を「表示」から「非表示」に変更することにより、
図12(b)の画像G82に示すように、上述したシールド部品E81に格納されている部品E82、E83のように、他の部品の陰に隠れていた部品など、表示されていなかった部品を画像G82で視認できるようになる。
【0073】
<実施形態3>
図13を参照して実施形態3について説明する。実施形態3では、表示する部品Eの透過度を変更する。表示形態の変更が透過度の変更である以外は、実施形態1の構成と同一の構成である。
【0074】
図13(a)の画像G91に示すように、例えばシールド部品E91の透過度が0%(透過しない)の場合、シールド部品E91の内部に他の部品Eが格納されていたとしても、ユーザは画像G91からは部品Eの有無を判別できない。なお、透過度は0%から100%(透明)の間で任意に変更できる。例えば、透過度を70%に指定すると、その部品は半透明に表示され、その部品自体が視認可能であるとともに、その部品の奥に位置する他の部品や基板も視認できる。
【0075】
例えば、シールド部品E91の表示形態を
図12(b)の画像G92に示す「透過度70%」に変更する。これにより、シールド部品E91が半透明で表示され、シールド部品E91を透過して、内部に格納されている部品E92、E93を視認することができる。
<実施形態4>
図14を参照して実施形態4について説明する。実施形態4では、部品Eの色彩を変更する。表示形態の変更が色彩の変更である以外は、実施形態1の構成と同一の構成である。
【0076】
図14(a)の画像G101に示すように、表示形態が変更されていない状態では、全ての部品E101~E105の色彩は同一である。部品E104、E105の表示形態を変更した場合には、
図14(b)の画像G102に示すように、これらの部品について画像中の色彩が変更される。これにより、表示形態を変更した部品E104、E105を選択的に目立たせることができる。
【0077】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、記憶部13とデータベースDBの両方を備える部品表示システムSを例示したが、いずれか一方のみであってもよい。
【0078】
(2)上記実施形態では、表示形態の初期設定が2次元表示であり、所定の条件を満たす部品Eのみ3次元表示に変更する場合を例示したが、初期設定が3次元表示、変更後に2次元表示にしてもよい。
【0079】
(3)例えば基板P上の一部の領域を指定して、所定の条件を「基板上の特定の領域に実装されている部品」としてもよい。また、画像G中に表示されている部品Eを任意に選択して、表示形態を変更してもよい。また、所定の条件を「全ての部品」としてもよい。この場合全ての部品の表示形態を変更した画像Gが生成、表示される。
【0080】
(4)上記実施形態では、所定の条件に適用する部品の種類として「シールド部品」を例示したが、シールド部品に限らず、例えば、抵抗器、トランス、キャパシタ等、様々な部品の種類を所定の条件に適用してもよい。
【0081】
(5)上記実施形態では、所定の条件として「閾値H0よりも高さの大きい部品」を例示したが、「閾値H0よりも高さの小さい部品」であってもよい。
【0082】
(6)上記実施形態では、特定の実装装置を通過した後に実装済みの部品について、表示形態を変更する場合を例示したが、基板Pに実装される順番を所定の条件としてもよい。例えば所定の条件を「1~3番目に実装した部品」や「3~4番目に実装した部品」としてもよい。
【0083】
(7)上記実施形態では、実装装置で実装可能な部品Eの高さの上限値に基づいてエラーチェックを行った。部品Eの高さの上限値の他、部品Eの重量や形状、材質、表面状態などに基づき、実装装置で実装可能かどうかをエラーチェックで判断してもよい。
【0084】
(8)上記実施形態では、被実装部材の一例として基板Pを例示したが、被実装部材は基板に限られない。例えば、リードフレームや製品の筐体に部品を実装する場合にも、これらを被実装部材として本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0085】
10 画像表示装置
11 制御部
14 表示部
17 設計データ
17A 部品データ
17B 実装装置データ
E 部品
P 基板(「被実装部材」の一例)
G 画像