(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080730
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B65D47/06 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193908
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 振宇
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
(72)【発明者】
【氏名】大原 直人
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084AB06
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA02
3E084FB01
3E084FC04
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084HB01
3E084KA18
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD02
(57)【要約】
【課題】キャップを単体物として成型し、かつ内容物の注出後に容器内部への空気の流入を抑制できるキャップを提供する。
【解決手段】中栓インナーシール部10に囲まれた弁室19に設けた弁構造部20を有し、弁構造部20は、吐出部9の内側開口を覆って弁室19の内部に突出する籠状部21と、籠状部21の周囲に口部軸心回りに沿って中栓インナーシール部10の開口縁に設けた複数のフラップ片26からなる弁体22を有し、籠状部21は、口部軸心方向で吐出部9の内側開口に対向する邪魔板23と、邪魔板23を支持する複数のリブ24と、リブ24の相互間に設けた籠開口25を有し、弁体22は、各フラップ片26が弁室19の内測位置の開位置Oと弁室19の外側位置の閉位置Cとにわたって揺動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着するキャップ本体と、キャップ本体に装着する上蓋を有し、
キャップ本体は、容器の口部周囲を囲む筒状をなす本体部と、容器の口部開口を覆う中栓とを一体に有し、
中栓は、中栓外側天面に設けた筒状の吐出部と、中栓内側天面に設けた容器の口部開口に挿入する環状の中栓インナーシール部と、中栓インナーシール部に囲まれた弁室に設けた弁構造部を有し、
弁構造部は、吐出部の内側開口を覆って弁室内に突出する籠状部と、籠状部の周囲に口部軸心回りに沿って中栓インナーシール部の開口縁に設けた複数のフラップ片からなる弁体を有し、
籠状部は、口部軸心方向で吐出部の内側開口に対向する邪魔板と、邪魔板を支持する複数のリブと、リブ間に設けた籠開口を有し、
弁体は、各フラップ片が弁室内の開位置と弁室外の閉位置とにわたって揺動可能であることを特徴するキャップ。
【請求項2】
籠状部は、逆円錐台状に弁室内に突出し、邪魔板が逆円錐台の底面をなし、複数の籠開口が逆円錐台の側面に開口することを特徴する請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
各フラップ片は開位置で籠開口に向けて傾斜する内容物誘導面をなすことを特徴する請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
上蓋は、ヒンジを介してキャップ本体と一体をなし、上蓋内側天面に吐出部の外側開口に挿入する環状の上蓋インナーを有することを特徴する請求項1に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関し、シール性能に貢献する技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、キャップが容器本体の口部に取り付ける内栓と中蓋とを備える構成が記載されている。内栓は、容器本体の口部に取り付ける内取付部と、内取付部の内周から口径方向内側に張り出して容器本体の内部と外部とを仕切ると共にその内周側の空間部が内出口となる内仕切部と、内仕切部の内周から口径方向内側に張り出すと共に粘性物の内容物の逆流を止めると共に内出口を通過する内容物に押されて弾性変形させられるストッパー片とを備えている。
【0003】
中蓋は、容器本体の口部に取り付ける中取付部と、中取付部の内周から口径方向内側に張り出して容器本体の内部と外部とを仕切る中仕切部であってその内周側の空間部が中出口となる中仕切部とを備えており、内仕切部と中仕切部との間に内容物を滞留させるための滞留空間部を備える。
【0004】
また、特許文献2には、容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなるヒンジキャップが記載されている。キャップ本体は、容器の口部に装着され、上蓋と係合する蓋係合部を有する装着部と、装着部から内方に延設され、注出口が開口された基壁と、基壁から立設された注出筒とを備えている。
【0005】
そして、キャップ本体に設ける流量調整機構は、注出筒の下端部から内方にわずかに傾斜して垂設される周壁と、周壁の下端部内方に延設される底壁とを備えており、周壁には、間隔をおいて、縦方向にスリット状に形成される複数の周壁開孔が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-85175
【特許文献2】特許第7096748号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のキャップには、上記の特許文献1、2のように、内容物を押し出した後に、容器の復元力によって内容物が引き戻され、空気が容器の内部に入る現象を防止するために、容器の口部に内容物を保持するものがある。
【0008】
しかし、従来のものは、容器の口部に内容物を保持する構造が2つの部材によって構成されており、部品点数が多いことによる組み立て工数の増加や、構成部品を別々に成型することにより生じる原料増に伴う環境負荷の増加等の問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、キャップを単体物として成型し、かつ内容物の注出後に容器内部への空気の流入を抑制できるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るキャップは、容器の口部に装着するキャップ本体と、キャップ本体に装着する上蓋を有し、キャップ本体は、容器の口部周囲を囲む筒状をなす本体部と、容器の口部開口を覆う中栓とを一体に有し、中栓は、中栓外側天面に設けた筒状の吐出部と、中栓内側天面に設けた容器の口部開口に挿入する環状の中栓インナーシール部と、中栓インナーシール部に囲まれた弁室に設けた弁構造部を有し、弁構造部は、吐出部の内側開口を覆って弁室内に突出する籠状部と、籠状部の周囲に口部軸心回りに沿って中栓インナーシール部の開口縁に設けた複数のフラップ片からなる弁体を有し、籠状部は、口部軸心方向で吐出部の内側開口に対向する邪魔板と、邪魔板を支持する複数のリブと、リブ間に設けた籠開口を有し、弁体は、各フラップ片が弁室内の開位置と弁室外の閉位置とにわたって揺動可能であることを特徴する。
【0011】
本発明に係るキャップにおいて、籠状部は、逆円錐台状に弁室内に突出し、邪魔板が逆円錐台の底面をなし、複数の籠開口が逆円錐台の側面に開口することを特徴する。
【0012】
本発明に係るキャップにおいて、各フラップ片は開位置で籠開口に向けて傾斜する内容物誘導面をなすことを特徴する。
【0013】
本発明に係るキャップにおいて、上蓋は、ヒンジを介してキャップ本体と一体をなし、上蓋内側天面に吐出部の外側開口に挿入する環状の上蓋インナーを有することを特徴する。
【発明の効果】
【0014】
上記構成により、容器から押し出される高粘度の内容物は、弁構造部を通って吐出部から流れ出る。
【0015】
弁構造部では、内容物の押し出しに伴って弁体のフラップ片が開位置に移動し、中栓の弁室が開口して内容物が弁室内に流入し、その後、籠状部の籠開口から籠状部内に流入する。そして、籠状部から吐出部を通って外部に押し出される。
【0016】
内容物の押し出し後に、容器の復元に伴って内容物が逆流し、逆流に伴って弁体のフラップ片が閉位置に移動し、中栓の弁室が閉口して内容物が弁室から容器内に戻ることを抑止し、内容物を弁室内および籠状部に保持する。
【0017】
この結果、吐出部内と籠状部内と弁室内とに内容物が残留し、空気の逆流を阻止する。
【0018】
また、各フラップ片は開位置で籠開口に向けて傾斜する内容物誘導面をなすので、内容物の押し出し時には、内容物が円滑に籠開口へ導かれて籠状部内に流入する。よって、軽い力で内容物を押し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係るキャップの開栓状態の断面図
【
図2】同実施の形態に係るキャップの開栓状態の斜視断面図
【
図3】同実施の形態に係るキャップの開栓状態の斜視図
【
図4】同実施の形態に係るキャップの開栓状態の平面図
【
図5】同実施の形態に係るキャップの開栓状態の下面図
【
図6】同実施の形態に係るキャップの弁体開口状態を示す模式図
【
図7】同実施の形態に係るキャップの弁体閉口状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るキャップの実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
図1~
図5に示すように、キャップ1は容器2の口部3に装着するキャップ本体4と、ヒンジ5およびバンド51を介してキャップ本体4と一体をなし、ヒンジ廻りに揺動して開閉動する上蓋6を有している。キャップ1は全体を樹脂で一体成型したものである。
【0022】
キャップ本体4は、容器2の口部3を容器2の軸心周りに囲む筒状をなす本体部7と、口部3の開口を覆う中栓8を有している。
【0023】
中栓8は中栓外側天面に筒状の吐出部9を有し、中栓内側天面に口部3の開口に挿入する中栓インナーシール部10を有し、中栓インナーシール部10と本体部7の間が口部3を挿入する嵌合溝11をなす。
【0024】
キャップ本体4の本体部7は内周面に雌ねじ部71を有し、雌ねじ部71で口部3の外周面に設けた雄ねじ部31にネジ嵌合する。また、本体部7は天面の外周縁に沿って環状の上蓋保持部12を有しており、上蓋保持部12は、外周面が円弧状に窪む嵌合面13をなす。上蓋保持部12は、キャップ本体4のヒンジ5の側において嵌合面13がなく、平坦面をなす。
【0025】
上蓋6は、口部径方向でヒンジ5に対向する側に鍔部14を有しており、上蓋内側天面に吐出部9の外側開口に挿入する環状の上蓋インナー15と、本体部7の上蓋保持部12の開口内側縁に挿入する上蓋アウターシール部16を有している。
【0026】
さらに、上蓋6は開口内側縁に中栓8を抱え込む中栓保持部17を有し、中栓保持部17が径方向内側に隆起する嵌合突起部18を有し、嵌合突起部18が上蓋保持部12の嵌合面13に嵌合する。中栓保持部17は鍔部14の側の一定区間に設けている。
【0027】
中栓8は、中栓インナーシール部10に囲まれた空間が弁室19をなし、弁室19に弁構造部20を有している。
【0028】
弁構造部20は、中栓8の中栓内側天面に設けた籠状部21と弁体22からなる。籠状部21は、吐出部9の内側開口を覆って弁室19の内部に突出し、口部軸心方向で吐出部9の内側開口に対向する邪魔板23と、邪魔板23を支持する複数のリブ24と、リブ24の相互間に設けた籠開口25を有している。籠状部21は、逆円錐台状に弁室19の内部に突出し、邪魔板23が逆円錐台の底面をなし、複数の籠開口25が逆円錐台の側面に開口している。
【0029】
弁体22は、籠状部21の周囲に口部軸心回りに沿って中栓インナーシール部10の開口縁に設けた複数のフラップ片26からなり、各フラップ片26が弁室19の内測位置の開位置Oと弁室19の外測位置の閉位置Cとにわたって揺動可能である。各フラップ片26は開位置Oで籠開口25に向けて傾斜する内容物誘導面をなす。
【0030】
以下、上記の構成による作用を説明する。
図6に示すように、容器2から押し出される高粘度の内容物Pは、弁構造部20を通って吐出部9から流れ出る。
【0031】
弁構造部20では、内容物Pの押し出しに伴って弁体22のフラップ片26が開位置Oに移動し、中栓8の弁室19が開口して内容物Pが弁室19の内部に流入し、その後、籠状部21の籠開口25から籠状部21の内部に流入する。このとき、各フラップ片26は開位置で籠開口25に向けて傾斜する内容物誘導面をなし、内容物Pが円滑に籠開口25へ導かれて籠状部21の内部に流入する。よって、軽い力で内容物を押し出すことができる。そして、内容物Pは籠状部21から吐出部9を通って外部に押し出される。
【0032】
図7に示すように、内容物Pの押し出し後に、容器2の復元に伴って内容物Pが逆流し、逆流に伴って弁体22のフラップ片26が閉位置Cに移動し、中栓8の弁室19が閉口して内容物Pが弁室19から容器2の内部に戻ることを抑止し、内容物Pを弁室19および籠状部21の内部に保持する。
【0033】
この結果、吐出部9と籠状部21と弁室19の内部に内容物Pが残留し、空気の逆流を阻止する。
【符号の説明】
【0034】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 キャップ本体
5 ヒンジ
6 上蓋
7 本体部
8 中栓
9 吐出部
10 中栓インナーシール部
11 嵌合溝
12 上蓋保持部
13 嵌合面
14 鍔部
15 上蓋インナー
16 上蓋アウターシール部
17 中栓保持部
18 嵌合突起部
19 弁室
20 弁構造部
21 籠状部
22 弁体
23 邪魔板
24 リブ
25 籠開口
26 フラップ片
31 雄ねじ部
51 バンド
71 雌ねじ部
P 内容物
O 開位置
C 閉位置