(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080732
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】乗物用内装材の取付構造
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B60R13/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193910
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪 富之
(72)【発明者】
【氏名】上角 好孝
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB09
3D023BD08
3D023BE35
(57)【要約】
【課題】意匠性に優れるとともに部品種類を削減可能な乗物用内装材の取付構造を提供する。
【解決手段】乗物用内装材30は、乗物ボディ20の乗物室内面を覆う第1本体部32と、乗物ボディ20のフランジ部24に対向する側端部において折り返される折返部33と、を有する第1分割体31と、第1本体部32と連なって配され乗物ボディ20の乗物室内面を覆う第2本体部42と、第1本体部32と隣り合わない側端部において乗物室外側に向けて立ち上がる立壁43とを有する第2分割体41と、を有し、第1分割体31が乗物ボディ20に対してフランジ部24の先端側から乗物ボディ20の板面に沿う方向に組付けられるとともに、第2分割体41が乗物ボディ20に対して乗物室内側から乗物ボディ20の板面と交差する方向に組付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物ボディの乗物室内側を覆う乗物用内装材の取付構造であって、
前記乗物ボディはその板面に沿う方向に張り出すフランジ部を備え、
前記乗物用内装材は、
前記乗物ボディの乗物室内面を覆う第1本体部と、前記第1本体部のうち前記フランジ部に対向する側端部において、前記フランジ部をその張り出し方向の先端側から包み込むように折り返される折返部と、を有する第1分割体と、
前記第1本体部と連なって配され前記乗物ボディの乗物室内面を覆う第2本体部と、前記第2本体部のうち前記第1本体部と隣り合わない側端部において乗物室外側に向けて立ち上がる立壁とを有する第2分割体と、を有し、
前記第1分割体が前記乗物ボディに対して前記フランジ部の先端側から前記乗物ボディの板面に沿う方向に組付けられるとともに、前記第2分割体が前記乗物ボディに対して乗物室内側から前記乗物ボディの板面と交差する方向に組付けられる、乗物用内装材の取付構造。
【請求項2】
前記第1分割体と前記第2分割体との境界部は、前記第1分割体および前記第2分割体の一方を乗物室内外方向に屈曲させた段差状とされている請求項1に記載の乗物用内装材の取付構造。
【請求項3】
前記折返部の内側に、当該折返部の内側に配置された前記フランジ部を支持する支持部が設けられている請求項1または請求項2に記載の乗物用内装材の取付構造。
【請求項4】
前記フランジ部は前記乗物ボディに設けられたドア開口に向けて張り出し形成されており、前記乗物用内装材はピラーガーニッシュである請求項1または請求項2に記載の乗物用内装材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、乗物用内装材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の乗物は、乗物ボディの乗物室内側を内装材で覆う構成とされている。例えば特許文献1に開示された車両のセンターピラーは、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとを接合したパネル材(乗物ボディ)の車室内側に、ピラーガーニッシュ(内装材)を設ける構成とされている。このセンターピラーは、ピラーアウタパネルおよびピラーインナパネルの両端部の互いに接合したフランジ状の部分、およびピラーガーニッシュの両端部を、オープニングトリムで覆う構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、乗物室内の意匠性を向上させることへのニーズが高まっている。意匠性を向上させるために、従来のオープニングトリムを省略し、パネル材のフランジ状の部分(以下フランジ部とする)をその先端側からピラーガーニッシュで包み込むように覆う構成が考えられる。しかし、ピラーガーニッシュをパネル材に対して車室内側から取り付けようとすると、フランジ部は取付方向に対してアンダーカット形状となるため、フランジ部の車室外側を覆うことができない。このため、フランジ部を覆うためにオープニングトリムが必要となり、意匠性の低下だけでなく、部品種類の増加の要因にもなっていた。
【0005】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、意匠性に優れるとともに部品種類を削減可能な乗物用内装材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために完成された本明細書に記載の技術は、乗物ボディの乗物室内側を覆う乗物用内装材の取付構造であって、前記乗物ボディはその板面に沿う方向に張り出すフランジ部を備え、前記乗物用内装材は、前記乗物ボディの乗物室内面を覆う第1本体部と、前記第1本体部のうち前記フランジ部に対向する側端部において、前記フランジ部をその張り出し方向の先端側から包み込むように折り返される折返部と、を有する第1分割体と、前記第1本体部と連なって配され前記乗物ボディの乗物室内面を覆う第2本体部と、前記第2本体部のうち前記第1本体部と隣り合わない側端部において乗物室外側に向けて立ち上がる立壁とを有する第2分割体と、を有し、前記第1分割体が前記乗物ボディに対して前記フランジ部の先端側から前記乗物ボディの板面に沿う方向に組付けられるとともに、前記第2分割体が前記乗物ボディに対して乗物室内側から前記乗物ボディの板面と交差する方向に組付けられる。
【0007】
乗物ボディに対して乗物用内装材を乗物室内側から取り付ける場合、乗物ボディのフランジ部は取付方向に対してアンダーカット形状となるため、フランジ部をその張り出し方向の先端側から包み込むように乗物室外側まで覆うことができない。このような問題に対し、上記構成のように、乗物用内装材を第1分割体および第2分割体の2つの部材に分割し、第1分割体を乗物ボディに対してフランジ部の先端側から乗物ボディの板面に沿う方向に組み付ける構成とすることにより、フランジ部を乗物用内装材で包み込むように覆うことができる。また、乗物ボディのうちフランジ部が設けられていない端部は、第2分割体の立壁により覆うことができる。したがって、従来使用されていた、内装材とは別体のカバー部材を省略することが可能となり、意匠性が向上するとともに、部品種類を削減することができる。
【0008】
前記第1分割体と前記第2分割体との境界部は、前記第1分割体および前記第2分割体の一方を乗物室内外方向に屈曲させた段差状とされていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、第1分割体と第2分割体との境界部が段差状の部分によって搭乗者から見え難くなる。つまり、段差状のデザインを利用することにより、境界部を見え難くして、乗物室内の意匠性を高めることができる。
【0010】
前記折返部の内側に、当該折返部の内側に配置された前記フランジ部を支持する支持部が設けられていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、折返部内に配置されたフランジ部のがたつきを抑制することが可能となり、もって、第1分割体全体を乗物ボディに対して安定的に保持させることができる。
【0012】
前記フランジ部は前記乗物ボディに設けられたドア開口に向けて張り出し形成されており、前記乗物用内装材はピラーガーニッシュであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に開示される技術によれば、意匠性に優れるとともに部品種類を削減可能な乗物用内装材の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】第1分割体をピラーパネルに取り付ける方法を示す一部拡大断面図
【
図5】第2分割体をピラーパネルに取り付ける方法を示す一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態を、
図1から
図5を参照しつつ説明する。本実施形態では、車両10の側壁に設けられるピラー15において、ピラーパネル(乗物ボディの一例)20の車室内側にピラーガーニッシュ(乗物用内装材の一例)30を取り付けるための取付構造1について例示する。なお、各図において、FR及びRRの矢印は車両前方及び車両後方をそれぞれ示し、UP及びDWの矢印は車両上方及び車両下方をそれぞれ示し、IN及びOUTの矢印は車室内(乗物室内)側及び車室外(乗物室外)側をそれぞれ示す。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の車両10は、前後方向および上下方向に比較的大きな寸法の箱型のボディ11を有し、そのボディ11の内部空間である車室内に、複数の人を乗せて輸送可能とされたものである。車両10は、側壁にドア開口12とウインドウ開口13とを並んで備えており、これらドア開口12およびウインドウ開口13の間がピラー15により仕切られている。ピラー15は、上下方向に延びる細長い柱状をなしている。
【0017】
ピラー15は、ピラーパネル20の車室内側にピラーガーニッシュ30を取り付けることにより構成されている。ピラーパネル20は複数の金属製のパネル部材からなり、
図3に示されるように、車室内側に配されるピラーインナパネル21と、車室外側に配されるピラーアウタパネル23と、それらの間に配されるリインフォースメントパネル22とを備えている。ピラーインナパネル21、リインフォースメントパネル22及びピラーアウタパネル23の車両前後の各側端部同士は重畳されるとともに互いに接合されており、当該ピラー15の車室内面に概ね沿う形で前後方向に張り出す前方フランジ部24および後方フランジ部25を形成している。
【0018】
なお、リインフォースメントパネル22は、後方フランジ部25からさらに後方に延出された延出部22Aを備えている。
【0019】
また、ピラーインナパネル21、リインフォースメントパネル22及びピラーアウタパネル23は、前方フランジ部24および後方フランジ部25の間においては、車室内外方向に互いに離隔して配置されている。詳細には、
図3に示すように、ピラーインナパネル21は前後方向に延びるとともに後端付近が車室外に向けてクランク形状に屈曲した構成とされ、リインフォースメントパネル22は前後方向に延びるとともに、ピラーインナパネル21の屈曲部より前方かつ車室側において車室外に向けてクランク形状に屈曲した構成とされている。さらに、ピラーアウタパネル23は、前後方向に延びるとともに、リインフォースメントパネル22の屈曲部より前方かつ車室側において車室外に向けて略クランク形状に屈曲した構成とされている。このような構成により、後方フランジ部25は、前方フランジ部24と比較して相対的に車室外側に配置されている。
【0020】
ピラーパネル20の車室内側には、ピラーガーニッシュ30(乗物用内装材の一例)が取り付けられている。本実施形態のピラーガーニッシュ30は、上下方向に沿って分割された第1分割体31および第2分割体41の組合せにより構成されている。
【0021】
図2および
図3に示すように、第1分割体31は、ピラーパネル20の前方部分を車室内側から覆う上下方向に長尺な板状の第1本体部32と、第1本体部32のうち前方フランジ部24に対向する側端部(前方側の側端部)において、前方フランジ部24をその張り出し方向の先端側(前方側)から包み込むように車室外側に向けて略U字に湾曲して後方に折り返された折返部33と、を有している。これにより、前方フランジ部24は、略U字形状の折返部33の内側に配置されている(
図4参照)。
【0022】
折返部33の内側には、当該折返部33の延び方向(上下方向)において断続的に、当該折返部33の内側を架け渡す方向に延在する複数の支持リブ(支持部の一例)34が設けられている。支持リブ34は、
図4に示すように、折返部33内に挿入された前方フランジ部24を逃がすための凹部34Aを備えている。前方フランジ部24は先端側からこれらの凹部34A内に挿入されることにより、折返部33内で車室内外方向にがたつくことが抑制される。
【0023】
また、第1本体部32のうち折返部33が設けられた側端部と反対側(後方側)の側端部は、車室外側に向けて窪む溝状に屈曲されている。詳細には、
図5に示すように、第1本体部32の後方側の側端部から車室外側に向けて立ち上がる前壁部36と、前壁部36の車室外側の端部から後方に向けて延びる底壁部37と、底壁部37の後方側の端部から車室内側に向けて立ち上がる後壁部38と、で囲まれた溝部35を構成している。このうち後壁部38の縁部には、溝部35の延び方向(上下方向)において断続的に後方に向けて突出する複数の取付片39が設けられている。各取付片39には、取付孔が貫通形成されている(図示せず)。
【0024】
図3に示すように、第1分割体31は、上述したように、折返部33の内側に前方フランジ部24を配置し、第1本体部32によりピラーパネル20の車室内面の前方部分を覆った状態で、取付片39がピラーパネル20側に設けられた被固定部材26に対してボルト締結されることにより、ピラーパネル20に対して取り付けられている。
【0025】
一方、第2分割体41は、
図2および
図3に示すように、第1分割体31の後方側において第1本体部32と連なるように配されるとともにピラーパネル20の後方部分を車室内側から覆う上下方向に長尺な板状の第2本体部42と、第2本体部42のうち第1本体部32の反対側(後方側)に配される側端部、つまり、後方フランジ部25に対向する側端部において、当該第2本体部42から車室外側に向けて立ち上がる後方立壁(立壁の一例)43と、を有する、断面略L字形状とされている。第2本体部42の前後方向の寸法は、第1本体部32の前後方向の寸法と比較して小さい寸法とされている。
【0026】
後方立壁43は、後方フランジ部25よりも後方側に離れた位置に配置され、後方フランジ部25よりも車室外側まで延びている。これにより、後方フランジ部25は、車室内側および後方から第2分割体41により覆われている(
図3参照)。後方立壁43の車室外面には、板面から立ち上がって車両10前後方向に延びるリブ45が設けられるとともに、リブ45の板面と交差する方向に立ち上がる座面46が形成されており、この座面46に、板面を貫通する取付孔46Aが形成されている。
【0027】
また、第2本体部42のうち第1本体部32と連なって配置される側端部(後方立壁43が設けられた側端部と反対側の前方側の側端部)は、車室外側に向けてクランク状に屈曲されつつ立ち上がる前方立壁44とされている。この前方立壁44の先端は、上述した第1本体部32の底壁部37に臨むように配置されている。つまり、第1分割体31の前壁部36と、底壁部37と、第2分割体41の前方立壁44とで囲まれた溝状の溝部35Aが形成されており(
図5参照)、これにより、搭乗者が車室内側からピラーガーニッシュ30を見た場合に、第1分割体31および第2分割体41の境界部分が溝部35Aの底部(溝部35の底壁部37)からの前方立壁44の立ち上がり部分と重畳するため、境界部分がわかり難く、第1分割体31と第2分割体41とが一体に連なって見えるようになっている。
【0028】
なお、この溝部35Aは、車室内の意匠性を高めるために形成されているものであって、第1分割体31および第2分割体41の境界部は、この溝部35Aを利用することにより搭乗者からわかり難い位置に設定されている。
【0029】
第2分割体41は、上述したように、前方立壁44の先端が第1本体部32の底壁部37に臨むように配置された状態で、第2本体部42によりピラーパネル20の車室内面の後方部分を覆い、かつ、後方立壁43により後方フランジ部25を後方から覆った状態で、後方フランジ部25から延出されたリインフォースメントパネル22の延出部22Aに座面46を重ねてクリップを嵌合させることにより、ピラーパネル20に対して取り付けられている(
図3参照)。なお、第2分割体がピラーパネル20に対して取り付けられた状態において、第1分割体31の取付片39は第2本体部42により車室内側から覆われている。
【0030】
このように、第1分割体31および第2分割体41がそれぞれピラーパネル20に対して個別に取り付けられることにより、ピラーガーニッシュ30全体として、ピラーパネル20との間に空間を有する形でピラーパネル20の車室内面と前後の両側端部(前方フランジ部24および後方フランジ部25)を覆っている。また、前方フランジ部24の車室外面も覆っている。
【0031】
次に、作用効果について説明する。本実施形態のピラーガーニッシュ30の取付構造1は、ピラーパネル20はその板面に沿う方向に張り出す前方フランジ部24を備え、ピラーガーニッシュ30は、ピラーパネル20の車室内面を覆う第1本体部32と、第1本体部32のうち前方フランジ部24に対向する側端部において、前方フランジ部24をその張り出し方向の先端側から包み込むように折り返される折返部33と、を有する第1分割体31と、第1本体部32と連なって配されピラーパネル20の車室内面を覆う第2本体部42と、第2本体部42のうち第1本体部32と反対側に配される側端部において車室外側に向けて立ち上がる後方立壁43とを有する第2分割体41と、を有し、第1分割体31がピラーパネル20に対して前方フランジ部24の先端側(車両前方)からピラーパネル20の板面に沿う方向に組付けられるとともに、第2分割体41がピラーパネル20に対して車室内側からピラーパネル20の板面と交差する方向に組付けられる。
【0032】
ピラーパネル20に対してピラーガーニッシュ30を車室内側から取り付ける場合、ピラーパネル20の前方フランジ部24は取付方向に対してアンダーカット形状となるため、前方フランジ部24をその張り出し方向の先端側から包み込むように車室外側まで覆うことができない。このような問題に対し、上記構成のように、ピラーガーニッシュ30を第1分割体31および第2分割体41の2つの部材に分割し、第1分割体31をピラーパネル20に対して前方フランジ部24の先端側からピラーパネル20の板面に沿う方向に組み付ける構成とすることにより、前方フランジ部24をピラーガーニッシュ30で包み込むように覆うことができる。また、ピラーパネル20のうち前方フランジ部24の反対側に配される後方フランジ部25は、第2分割体41の後方立壁43により覆うことができる。したがって、従来使用されていた、ピラーガーニッシュ30とは別体のカバー部材を省略することが可能となり、意匠性が向上するとともに、部品種類を削減することができる。
【0033】
また、第1分割体31と第2分割体41との境界部は、第1分割体31の後端部を車室外側に窪ませるように屈曲させた溝部35および第2分割体41の前端部を車室外側にクランク状に屈曲させた前方立壁44により、溝状とされている(溝部35A)。
【0034】
上記構成によれば、第1分割体31と第2分割体41との境界部が段差状の部分によって搭乗者から見え難くなる。つまり、段差状のデザインを利用することにより、境界部を見え難くして、車室内の意匠性を高めることができる。
【0035】
また、折返部33の内側に、当該折返部33の内側に配置された前方フランジ部24を支持する支持リブ34が設けられている。
【0036】
上記構成によれば、折返部33内に配置された前方フランジ部24のがたつきを抑制することが可能となる。また、本実施形態のように長尺な内装材(ピラーガーニッシュ30)では、製造公差や組付け公差が大きくなる場合があるが、そのような公差が生じた場合でも、支持リブ34によりがたつきを抑制することができる。もって、第1分割体31全体をピラーパネル20に対して安定的に保持させることができる。
【0037】
また、前方フランジ部24はピラーパネル20に設けられたドア開口12に向けて張り出し形成された部分である。このような部分を、本実施形態に記載のピラーガーニッシュ30で覆うことにより、車室内の意匠性を高めるとともに、部品種類を削減することができる。
【0038】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0039】
(1)上記実施形態では、第1分割体31と第2分割体41との境界部が溝形状とされた構成を示したが、境界部は、単なる段差状とすることにより、見え難い構成とすることができる。また、段差状の部分を備えない形態も、技術的範囲に含まれる。
【0040】
(2)折返部33の内側に設けた支持リブ34は、省略するともできる。
【0041】
(3)上記実施形態では、車両ボディに設けられたドア開口に向けて張り出し形成されたフランジ部と、このフランジ部を覆うピラーガーニッシュについて示したが、乗物用内装材はピラーガーニッシュに限らず、フランジ部を有する乗物ボディを覆う他の乗物用内装材に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:取付構造、10:車両(乗物)、12:ドア開口、15:ピラー、20:ピラーパネル(乗物ボディ)、21:ピラーインナパネル、22:リインフォースメントパネル、23:ピラーアウタパネル、24:前方フランジ部(フランジ部)、25:後方フランジ部、30:ピラーガーニッシュ(乗物用内装材)、31:第1分割体、32:第1本体部、33:折返部、34:支持リブ(支持部)、35A:溝部(段差部)、41:第2分割体、42:第2本体部、43:後方立壁(立壁)