(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080733
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】断熱材ブロック用取付金具及びこれを用いた断熱材ブロック。
(51)【国際特許分類】
F27D 1/14 20060101AFI20240610BHJP
F16L 59/12 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
F27D1/14 F
F16L59/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193912
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】591077645
【氏名又は名称】有限会社林製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】林 隆文
【テーマコード(参考)】
3H036
4K051
【Fターム(参考)】
3H036AA09
3H036AC01
3H036AD03
3H036AE13
4K051AA03
4K051AA04
4K051AB01
4K051AB03
4K051BA04
4K051BB04
4K051BB08
4K051BC05
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で変形を効果的に防ぐことができる断熱材ブロック用取付金具及びこれを用いた断熱材ブロックを提供する。
【解決手段】断熱材ブロック用取付金具10は、断熱材ブランケット積層体70に嵌着固定され、長尺の鍔付U型レール形状の取付基材11と、取付基材11の長手方向の略中央にスライド固定可能に外嵌被着されたC型レール形状の補強材15とを備え、取付基材11のウェブ部略中央に炉殻固定用ボルト93を挿通する第1軸孔が貫設され、補強材15のウェブ部略中央に該炉殻固定用ボルト93を挿着する第2軸孔が貫設されている。断熱材ブロック1は、断熱材ブロック用取付金具10を断熱材ブランケット積層体70の表面に嵌着固定して形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材ブランケット積層体に嵌着固定される、断熱材ブロック用取付金具であって、
長尺の鍔付U型レール形状の取付基材と、該取付基材の長手方向の略中央にスライド固定可能に外嵌被着されたC型レール形状の補強材と、を備え、
前記取付基材のウェブ部略中央に炉殻固定用ボルトを挿通する第1軸孔が貫設され、前記補強材のウェブ部略中央に該炉殻固定用ボルトを挿着する第2軸孔が貫設されたことを特徴とする断熱材ブロック用取付金具。
【請求項2】
前記第2軸孔の径は、前記炉殻固定用ボルトの軸径と略同径であり、前記第1軸孔は、該炉殻固定用ボルトが遊挿可能に形成されることにより、
前記炉殻固定用ボルトが、前記取付基材に対して前記長手両方向に移動可能である請求項1に記載の断熱材ブロック用取付金具。
【請求項3】
前記補強材のウェブ部のスライド方向両端中央部が凹設された一対の凹設部を備えた請求項1又は2に記載の断熱材ブロック用取付金具。
【請求項4】
前記補強材のリップ部及びフランジ部を一対以上切り欠いた形状である請求項1又は2に記載の断熱材ブロック用取付金具。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の断熱材ブロック用取付金具を断熱材ブランケット積層体の表面に嵌着固定したことを特徴とする断熱材ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材ブロック用取付金具及びこれを用いた断熱材ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
工業炉の炉殻は高温に晒されることから、その内面には断熱材ブロックによるライニング施工がされている。ライニング施工に際しては、例えば、断熱材ブランケット積層体に、取付金具を取着して断熱材ブロックを形成し、この取付金具を炉殻に固着することにより、ライニング施工する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の取付金具は、長尺のC型レール形状であり、そのウェブ部をブランケット積層体の表面に当接固定して、断熱材ブロックを形成している。
ここで、断熱材ブロックを炉殻に固定するには、例えば、取付金具のボルト孔に挿着したボルトを、炉殻に貫通させ、炉殻の外側からナットで締め込むことにより、断熱材ブロックを炉殻に固定する。
この際、ナットをボルトに強く締め込むため、ボルト孔に負荷がかかり、その周辺の取付金具が浮き上がって変形しやすいという問題がある。
ここで、この変形を防ぐための補強材が提案されている(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭57-20553号公報
【特許文献2】特許4180259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2によると、取付金具の中央に形成されたボルト孔周囲に補強材を取り付けることにより、取付金具の変形を防止することができる。
しかしながら、この特許文献2の補強材については、取付箇所がボルト孔周囲であるという記載はされてはいるものの、その具体的な構成、取付方法については開示されていない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、断熱材ブロックを炉殻に固定する際に、簡易な構造で取付金具の変形を防ぐことができる断熱材ブロック用の取付金具及びこれを用いた断熱材ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の通りである。
1.断熱材ブランケット積層体に嵌着固定される、断熱材ブロック用取付金具であって、
長尺の鍔付U型レール形状の取付基材と、該取付基材の長手方向の略中央にスライド固定可能に外嵌被着されたC型レール形状の補強材と、を備え、
前記取付基材のウェブ部略中央に炉殻固定用ボルトを挿通する第1軸孔が貫設され、前記補強材のウェブ部略中央に該炉殻固定用ボルトを挿着する第2軸孔が貫設されたことを特徴とする断熱材ブロック用取付金具。
2.前記第2軸孔の径は、前記炉殻固定用ボルトの軸径と略同径であり、前記第1軸孔は、該炉殻固定用ボルトが遊挿可能に形成されることにより、
前記炉殻固定用ボルトが、前記取付基材に対して前記長手両方向に移動可能である前記1.に記載の断熱材ブロック用取付金具。
3.前記補強材のウェブ部のスライド方向両端中央部が凹設された一対の凹設部を備えた前記1.又は2.に記載の断熱材ブロック用取付金具。
4.前記補強材のリップ部及びフランジ部を一対以上切り欠いた形状である前記1.又は2.に記載の断熱材ブロック用取付金具。
5.前記1.又は2.に記載の断熱材ブロック用取付金具を断熱材ブランケット積層体の表面に嵌着固定したことを特徴とする断熱材ブロック。
【発明の効果】
【0006】
本発明の断熱材ブロック用取付金具(以下「取付金具」ともいう。)は、長尺の鍔付U型レール形状の取付基材と、該取付基材の長手方向の略中央にスライド固定可能に外嵌被着されたC型レール形状の補強材と、を備え、取付基材のウェブ部略中央に炉殻固定用ボルトを挿通する第1軸孔が貫設され、前記補強材のウェブ部略中央に該炉殻固定用ボルトを挿着する第2軸孔が貫設されているため、断熱材ブロックを炉殻に固定する際に、簡易な構造で取付金具の変形を防ぐことができる。
また、第2軸孔の径が、炉殻固定用ボルトの軸径と略同径であり、第1軸孔は、炉殻固定用ボルトが遊挿可能に形成されることにより、炉殻固定用ボルトが、取付基材に対して長手両方向に移動可能である場合には、炉殻固定用ボルトを炉殻に固着する際には、ボルト孔に対する炉殻固定用ボルトの位置の調整が可能となる。
更に、補強材のウェブ部のスライド方向両端中央部に凹設された一対の凹設部を備えている場合には、断熱材ブランケット積層体に嵌着固定する際に、嵌着する係止部材の妨げとならない。
更に、補強材のリップ部及びフランジ部を一対以上切り欠いた形状である場合には、断熱材ブロック用取付金具の軽量化を図ることができる。
そして、断熱材ブロックを炉殻に固定する際に、簡易な構造で取付金具の変形を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る断熱材ブロックの模式的な斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る取付基材及び補強材の模式的斜視図であり、(a)は、補強材を取付基材に外嵌被着する前の状態であり、(b)は、外嵌被着した状態である。
【
図3】実施形態1に係る取付金具に炉殻固定用ボルトを固着した状態であり、(a)は、模式的斜視図、(b)は、(a)のX-X端面図、(c)は、(a)のY-Y端面図である。
【
図4】実施形態1に係り、取付金具を嵌着する、16層に積層したブランケット積層体の模式的な説明図である。
【
図5】実施形態1に係る取付金具及び嵌着部材の模式的な斜視図であり、(a)は嵌着部材の係止片を取付金具に挿着する前の状態であり、(b)は係止片を取付金具に挿着した状態である。
【
図6】実施形態1に係り、嵌着部材の係止片を取付基材の係止用長孔に巻き込み固定して形成した断熱材ブロックの模式的な断面図である。
【
図7】
図6における断熱材ブロックを工業炉の炉殻に固着した状態を示す模式的な断面図である。
【
図8】実施形態1に係る係止片に係り、86~89は、先端形状の変形例を示す模式的な側面図である。
【
図9】嵌着部材の係止片を取付基材に固定する他の方法に係り、(a)は、係止片を取付基材の長孔に螺子で固定した状態、(b)は、係止片を取付基材の表面に溶接固定した状態を、それぞれ示す模式的な断面図である。
【
図10】実施形態2に係る断熱材ブロックの模式的な斜視図である。
【
図11】実施形態2に係り、取付基材及び補強材の模式的斜視図であり、(a)は、補強材を取付基材に外嵌被着する前の状態であり、(b)は、外嵌被着した状態である。
【
図12】実施形態2に係り、取付金具を嵌着する、12層に積層したブランケット積層体の模式的な説明図である。
【
図13】実施形態3に係り、取付基材及び補強材の模式的斜視図であり、(a)は、補強材を取付基材に外嵌被着する前の状態であり、(b)は、外嵌被着し、更に炉殻固定用ボルトを固着した状態であり、(c)は、(b)のZ-Z断面図である。
【
図14】実施形態4に係り、取付基材及び補強材の模式的斜視図であり、(a)は、補強材を取付基材に外嵌被着する前の状態であり、(b)は、外嵌被着した状態である。
【
図15】実施形態4に係り、取付金具を嵌着する、16層に積層したブランケット積層体の模式的な説明図である。
【
図16】実施形態5に係り、取付基材及び補強材の模式的斜視図であり、(a)は、補強材を取付基材に外嵌被着する前の状態であり、(b)は、外嵌被着した状態である。
【
図17】実施形態6に係り、取付基材及び補強材の模式的斜視図であり、(a)は、補強材を取付基材に外嵌被着する前の状態であり、(b)は、外嵌被着した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施形態に基づき更に具体的に説明する。
[実施形態1]
実施形態1に係る断熱材ブロック1は、
図1に示すように、断熱材ブロック用取付金具10を断熱材ブランケット積層体70の表面の中央付近に嵌着固定して形成されている。
断熱材ブランケット積層体70は、1枚の断熱材ブランケット70aをつづら状に折り畳み16層(8山)に積層して形成されている。なお、ブランケットの積層形態は特に限定されず、種々の形態を採用することができる。
【0009】
断熱材ブロック用取付金具10は、
図2(a)に示すように、取付基材11と、取付基材11に外嵌被着される補強材15とからなる。
取付基材11は、長尺の鍔付U型レール形状であり、底部を構成するウェブ部11cと、ウェブ部11cの短手方向両側端から立設した一対のフランジ部11bと、フランジ部11bから水平方向外側に延出した一対の鍔部11aとからなる。
取付基材11のウェブ部11cの長手方向略中央には、後述の炉殻90に固定する炉殻固定用ボルト93を挿通するための第1軸孔11Hが貫設されている。第1軸孔11Hの形状及び大きさは、炉殻固定用ボルト93が挿通できれば特に限定はないが、後述のように、炉殻固定用ボルト93が遊挿可能に形成されていることが好ましい。すなわち、第1軸孔は、炉殻固定用ボルト93の軸径より大きな円形状、楕円形状又は長孔形状等とすることができる。
【0010】
更に、ウェブ部11cの短手方向に、後述の係止片85を挿通するための複数の係止用長孔11hが貫設されている。複数の係止用長孔11hは、略等間隔に貫設されているが、第1軸孔11Hの両隣の係止用長孔11h間が、広く形成されている。そのため、補強材15を取付基材11に固定した場合に、補強材15が係止用長孔11hと重なることがない。
また、鍔部11aとフランジ部11bが交差する角部、フランジ部11bとウェブ部11cが交差する角部に、それぞれ凹状のリブr1、r2を形成することにより、強度を増すことができる。リブr1、r2は、例えば、角部に対して金型を押圧することにより形成することができる。
【0011】
補強材15は、C型レール形状であり、底部を構成するウェブ部15cと、ウェブ部15cの両側端から立設した一対のフランジ部15bと、フランジ部15bから水平方向内側に延出した一対のリップ部15aとからなる。ウェブ部15cの両端には、一対の凹設部15dが凹設形成されている。凹設部15dが形成されることで、補強材15を取付基材11に固定した場合に、補強材15が取付基材11の係止用長孔11hから突出する係止片85の嵌着の妨げとならない。
補強材15のウェブ部15cの略中央には、前述の炉殻固定用ボルト93用の軸孔11Hと同軸となる軸孔15Hが貫設されている。
補強材15は、取付基材11の一端側から差し込んで、
図2(b)に示すように、スライド固定することにより、取付基材11に外嵌被着される。
【0012】
取付基材11及び補強材15の材質は、耐熱性の金属であれば特に限定はないが、ステンレス製であることが好ましく、例えば、SUS304、SUS310Sであれば好適に使用することができる。
取付基材11及び補強材15は、板材を折り曲げ形成することにより作製することができる。板材の厚さは特に限定はないが、例えば、取付基材11用の板材の厚さを0.8~1.2mm、補強材15用の板材の厚さを1.3~1.7mmとすることができる。
取付基材11及び補強材15の寸法については特に限定はないが、例えば、取付基材11の幅47mm、長さ260mm、高さ7mmとした場合に、補強材15の挿着方向の長さが30~70mmであることが好ましく、40~60mmであることが更に好ましい。
【0013】
図3(a)~(c)に示すように、補強材15のウェブ部の略中央の第2軸孔15Hに炉殻固定用ボルト93が挿着される。第2軸孔15Hの径は、炉殻固定用ボルト93が挿着できれば特に限定はないが、炉殻固定用ボルト93の軸径と略同径であることが好ましい。また、炉殻固定用ボルト93は、第2軸孔15Hに、溶接により固着されていることが好ましい。
ここで、取付基材11の第1軸孔11Hの径は第2軸孔15Hの径より大きく形成されていることで、同図(b)、(c)に示すように、炉殻固定用ボルト93は、軸孔11Hに遊挿される。そうすると、炉殻固定用ボルト93は同図(c)に示すように、取付基材11に対して長手両方向に移動可能となる。このため、炉殻固定用ボルト93を後述の炉殻90に固着するにあたり、炉殻固定用ボルト93の位置の調整が可能となる。
【0014】
炉殻固定用ボルト93を固着した取付金具10を断熱材ブランケット積層体70に嵌着固定する方法を以下に説明する。
図4に示すように、断熱材ブランケット積層体70に取着した6本の嵌着部材80の係止片85を取付金具10の係止用長孔11hから突出させて、隣接する係止用長孔11hに挿入して嵌着固定する。本実施形態では、嵌着部材80は6本であるが、本数は特に限定されず、4本であってもよい。
より具体的には、
図5(a)に示すように、断熱材ブランケット70aの折り部の内部70cに支持棒81を挿入し、係止片85を取付金具10側に突き刺す。そして、同図(b)に示すように、取付金具10の係止用長孔11hから係止片85を突出させる。
【0015】
次いで、
図6に示すように、突出したそれぞれ一対の係止片85を両側に開き、更に、両側の隣接する係止用長孔11hに、係止片85を挿入して、図示しない挟持具により、取付金具10の裏面側に巻き込み固定する。
以上により、断熱材ブロック用取付金具10を断熱材ブランケット積層体70の表面に嵌着固定した断熱材ブロック1が形成される。
断熱材ブロック1は、
図7に示すように、工業炉の鉄皮91とブランケット92からなる炉殻90に貫設したボルト孔に炉殻用ボルト93を挿通させ、座金95を介してナット94により固着される。
この場合、このナット94により炉殻用ボルト93に強く締付けても、取付金具10は、補強材15を備えていることで、断熱材ブロック1を炉殻90に固定する際に、取付金具10の変形を防ぐことができる。
【0016】
ここで、
図8に示すように、係止片85に代えて、例えば、先端形状がより鋭角の係止片86、先端形状が台形の係止片87、先端形状が左右対称の三角形の係止片88、先端形状が四角形の係止片89とすることもできる。
また、突出した係止片85は、取付金具10への巻き込み固定に代えて、
図9(a)に示すように、取付基材11の係止用長孔11hに、螺子99で螺合固定してもよい。更に、同図(b)に示すように、取付基材11の表面に溶接により溶着部Wを形成して固定してもよい。
【0017】
[実施形態2]
実施形態2に係る断熱材ブロック2は、
図10に示すように、断熱材ブロック用取付金具20を断熱材ブランケット積層体75の表面に嵌着固定して形成されている。
断熱材ブランケット積層体75は、1枚の断熱材ブランケット75aをつづら状に折り畳み12層(6山)に積層されて形成されている。
【0018】
断熱材ブロック用取付金具20は、
図11(a)に示すように、取付基材21と、取付基材21に外嵌被着される補強材25とからなる。
取付基材21は、長尺の鍔付U型レール形状であり、底部を構成するウェブ部21cと、ウェブ部21cの短手方向両側端から立設した一対のフランジ部21bと、フランジ部21bから水平方向外側に延出した一対の鍔部21aとからなる。
取付基材21のウェブ部21cの長手方向略中央には、前述の炉殻90に固定する炉殻固定用ボルト93を挿通するための第1軸孔21Hが貫設されている。第1軸孔21Hの形状及び大きさは、炉殻固定用ボルト93が挿通できれば特に限定はないが、後述のように、炉殻固定用ボルト93が遊挿可能に形成されていることが好ましい。すなわち、第1軸孔は、炉殻固定用ボルト93の軸径より大きな円形状、楕円形状又は長孔形状等とすることができる。
【0019】
更に、ウェブ部21cの短手方向に、後述の係止片85を挿通するための複数の係止用長孔21hが貫設されている。第1軸孔21Hの両隣の係止用長孔21h間は、広く形成されている。こうすることで、後述の補強材25を取付基材21に固定した場合に、補強材25が取付基材21の係止用長孔21hと重なるのを防ぐことができる。
また、鍔部21aとフランジ部21bが交差する角部、フランジ部21bとウェブ部21cが交差する角部に、それぞれ凹状のリブr1、r2を形成することことができる。その作用効果については、実施形態1において、前述の通りである。
【0020】
補強材25は、C型レール形状であり、底部を構成するウェブ部25cと、ウェブ部25cの両側端から立設した一対のフランジ部25bと、フランジ部25bから水平方向内側に延出した一対のリップ部25aとからなる。
実施形態1の補強材15と異なり、ウェブ部25cの両端に凹設部は形成されていない。
取付基材21の第1軸孔21Hの両隣の係止用長孔21h間が、広く形成されているため、補強材25を取付基材21に固定した場合に、補強材25が係止用長孔21hと重なることがない。
補強材25のウェブ部25cの略中央には、前述の炉殻固定用ボルト93用の軸孔21Hと同軸となる軸孔25Hが貫設されている。
補強材25は、取付基材21の一端側から差し込んで、
図11(b)に示すように、スライド固定することにより、取付基材21に外嵌被着される。
【0021】
取付基材21及び補強材25のその他の構成、及び作用効果については、実施形態1の取付基材11及び補強材15と同様であり、前述した通りである。
【0022】
炉殻固定用ボルト93を固着した取付金具20を断熱材ブランケット積層体75に嵌着固定する方法を以下に説明する。
図12に示すように、断熱材ブランケット積層体75に取着した4本の嵌着部材80の係止片85を取付金具20の係止用長孔21hから突出させて、隣接する係止用長孔21hに挿入して嵌着固定する。具体的な固定方法については、実施形態1において前述した通りである。
こうして、断熱材ブロック用取付金具20を断熱材ブランケット積層体75の表面に嵌着固定した断熱材ブロック2が形成される。
断熱材ブロック2は、実施形態1と同様、工業炉に固着される。工業炉への固着方法については、実施形態1において前述した通りである。
そして、補強材25を備えていることで、断熱材ブロック2を炉殻90に固定する際に、取付金具20の変形を防ぐことができる。
その他の構成、及び作用効果についても実施形態1と同様であり、前述した通りである。
【0023】
[実施形態3]
実施形態3に係る断熱材ブロック用取付金具30は、
図13(a)に示すように、取付基材31と、取付基材31に外嵌被着される補強材15とからなる。
取付基材31は、実施形態2における取付基材21において、第1軸孔21Hを取付基材31の長手方向に長尺の長孔である第1軸孔31Hに変更したものである。こうすることで、同図(b)に示すように、炉殻固定用ボルト93は、取付基材31に対して長手両方向に移動可能となる。取付基材31のその他の構成は、実施形態2における取付基材21と同様である。すなわち、取付基材21のウェブ部21c、フランジ部21b、鍔部21aが、それぞれ、取付基材31のウェブ部31c、フランジ部31b、鍔部31aに相当する。
補強材15は、実施形態1における補強材15を用いることができる。補強材15は、スライド方向両端に凹設部15dが凹設されている。そのため、同図(c)に示すように、第2軸孔15Hに炉殻固定用ボルト93を挿着固定した場合、炉殻固定用ボルト93が長孔である第1軸孔31H内をスライド方向に移動しても、補強材15のウェブ部15cが係止用長孔31hと重なるのを防ぐことができる。
【0024】
取付基材31及び補強材15のその他の構成、及び作用効果については、実施形態2の取付基材21及び実施形態1の補強材15と同様であり、前述した通りである。
取付金具30は、前述の断熱材ブランケット積層体の表面に嵌着固定することにより断熱材ブロックが形成される。取付金具30の断熱材ブランケット積層体への嵌着固定方法及び作用効果については、実施形態1において前述した通りである。また、断熱材ブロックの工業炉への固着方法については、実施形態1において前述した通りである。
【0025】
[実施形態4]
実施形態4に係る断熱材ブロック用取付金具40は、
図14(a)に示すように、取付基材41と、取付基材41に外嵌被着される補強材45とからなる。
取付基材41は、実施形態1の取付基材11と異なり、第1軸孔41Hの両隣の係止用長孔41h間が、比較的狭く形成されている。取付基材41のその他の構成は、実施形態1における取付基材11と略同様である。すなわち、取付基材11のウェブ部11c、フランジ部11b、鍔部11aが、それぞれ、取付基材41のウェブ部41c、フランジ部41b、鍔部41aに相当する。
【0026】
補強材45は、実施形態2における補強材25において、第2軸孔に相当する第2軸孔45Hのスライド方向両側に、係止用長孔45hが貫設されている。係止用長孔45hは、係止用長孔41hよりも幅広に形成されている。
補強材45のその他の構成は、実施形態2における補強材25と略同様である。すなわち、補強材25のウェブ部25c、フランジ部25b、リップ部25aが、それぞれ、補強材45のウェブ部45c、フランジ部45b、リップ部45aに相当する。
補強材45は、取付基材41の一端側から差し込んで、
図14(b)に示すように、スライド固定することにより、取付基材41に外嵌被着される。
ここで、係止用長孔45hは係止用長孔11hより幅広に形成することで、係止用長孔41hに対する係止用長孔45hの位置がズレても、前述の係止片85が係止用長孔41hと係止用長孔45hの両方の挿通が可能になる。
【0027】
炉殻固定用ボルト93を固着した取付金具40を断熱材ブランケット積層体70に嵌着固定する方法を以下に説明する。
図15に示すように、断熱材ブランケット積層体70に取着した4本の嵌着部材80の係止片85を取付金具40の係止用長孔41hから突出させて、それぞれ一対の係止片85を両側に開き、更に、両側の隣接する係止用長孔41h(補強材45と重なる箇所は係止用長孔41h及び係止用長孔45h)に、係止片85を挿入して、図示しない挟持具により、取付金具40の裏面側に巻き込み固定する。
以上により、断熱材ブロック用取付金具40を断熱材ブランケット積層体70の表面に嵌着固定した断熱材ブロック3が形成される。
【0028】
取付基材41及び補強材45のその他の構成、及び作用効果については、実施形態1の取付基材11及び補強材15と同様であり、前述した通りである。また、断熱材ブロックの工業炉への固着方法についても、実施形態1において前述した通りである。
【0029】
[実施形態5]
実施形態5に係る取付金具50は、
図16(a)に示すように、取付基材41と、取付基材41に外嵌被着される補強材55とからなる。取付基材41は、実施形態4における取付基材41と同一である。
補強材55は、実施形態4に係る補強材45において、リップ部55a及びフランジ部55bの中央部分を切り欠いた形状である。すなわち、補強材55は、ウェブ部55cと、ウェブ部55cの両側端から立設した一対づつのフランジ部55bと、フランジ部55bから水平方向内側に延出した一対づつのリップ部55aとからなる。
補強材55は、取付基材41の一端側から差し込んで、
図16(b)に示すように、スライド固定することにより、取付基材41に外嵌被着され、取付金具50が形成される。
【0030】
取付基材41及び補強材55のその他の構成、及び作用効果については、実施形態1の取付基材11及び補強材15と同様であり、前述した通りである。
取付金具50は、前述の断熱材ブランケット積層体の表面に嵌着固定することにより断熱材ブロックが形成される。取付金具50の断熱材ブランケット積層体への嵌着固定方法及び作用効果については、実施形態1において前述した通りである。また、断熱材ブロックの工業炉への固着方法についても、実施形態1において前述した通りである。
【0031】
[実施形態6]
実施形態6に係る取付金具60は、
図17(a)に示すように、取付基材41と、取付基材41に外嵌被着される補強材65とからなる。補強材65は、実施形態4に係る補強材45のリップ部45a及びフランジ部45bの外側部分を切り欠いた形状である。すなわち、補強材65は、ウェブ部65cと、ウェブ部65cの中央両側端から立設した一対のフランジ部65bと、フランジ部65bから水平方向内側に延出した一対のリップ部65aとからなる。
補強材65は、取付基材41の一端側から差し込んで、
図17(b)に示すように、スライド固定することにより、取付基材41に外嵌被着され、取付金具60が形成される。
【0032】
取付基材41及び補強材65のその他の構成、及び作用効果については、実施形態1の取付基材11及び補強材15と同様であり、前述した通りである。
取付金具60は、前述の断熱材ブランケット積層体の表面に嵌着固定することにより断熱材ブロックが形成される。取付金具60の断熱材ブランケット積層体への嵌着固定方法及び作用効果については、実施形態1において前述した通りである。また、断熱材ブロックの工業炉への固着方法についても、実施形態1において前述した通りである。
【0033】
以上、本発明の実施形態に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1、2、3・・・・・・・・・・・・・・・・断熱材ブロック
10、20、30、40、50、60・・・・断熱材ブロック用取付金具
11、21、31、41・・・・・・・・・・取付基材
11c、21c、31c、41c・・・・・・取付基材のウェブ部
11H、21H、31H、41H・・・・・・第1軸孔
15、25、45、55、65・・・・・・・補強材
15H、25H、45H、55H、65H・・第2軸孔
15a、25a、45a、55a、65a・・補強材のリップ部
15b、25b、45b、55b、65b・・補強材のフランジ部
15c、25c、45c、55c、65c・・補強材のウェブ部
15d・・・・・・・・・・・・・・・・・・凹設部
70、75・・・・・・・・・・・・・・・・断熱材ブランケット積層体
93・・・・・・・・・・・・・・・・・・・炉殻固定用ボルト